全損とはどのような状態?保険金の支払額や全損車輌の取り扱いも紹介

目次
1.一般的な意味での「全損」とは 2.車両保険における「全損」とは 3.盗難も全損扱いになる 4.全損時の保険の支払額 5.全損時の残存物の取り扱い 6.車両保険で全損した車が補償されないケース 7.全損したクルマの取り扱い 8.まとめ

事故の規模や内容によっては、愛車が「全損」になる場合があります。全損になった場合、どのように補償されるのか気になる方もいるでしょう。

また、全損になると修理できないケースがあるため、全損車輌の適切な取り扱い方法も把握しておく必要があります。この記事では、クルマの全損の意味や保険金の支払額、全損車輌の取り扱いなどについて紹介します。

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一般的な意味での「全損」とは

一般的な意味での全損とは、クルマの損傷が大きく物理的に修理できない状態のことです。事故によりクルマが大破したり、車輌の骨格部分であるフレームが歪んだりした場合が該当します。

修理が可能なものの、修理費が時価額を上回る場合も全損に該当します。たとえば、クルマの時価額が70万円で、修理費が120万円だった場合です。

クルマの時価額とは、同等の車種を現時点で再度購入した際の値段のことです。時価額は年式や走行距離、クルマの状態なども考慮されています。

クルマの時価額は、有限会社オートガイドが発行する「レッドブック」に記載された中古車市場価格を基準に認定されます。

なお、修理費が時価額を下回った場合は「分損」といいます。事故後のクルマの状態は、全損と分損の2種類があることに留意してください。

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車両保険における「全損」とは

車両保険における全損とは、クルマが物理的に修理できない状態、もしくは修理費用が車輌保険金額を上回った場合を指します。

物理的に修理できない状態は「物理的全損」、修理費が車両保険金額や時価額を上回ることは「経済的全損」と呼ばれます。

車両保険金額とは、車両保険で補償される保険金の支払限度額です。たとえば、クルマの車両保険金額が150万円で自損事故の修理費が200万円だった場合、経済的全損に該当します。

車両保険金額は保険の契約時の時価額を基準に設定するため、契約者が自由に金額を決められるわけではありません。ただし、設定できる金額は130万〜160万円のように幅があり、その範囲内で車両保険金額を決められます。

盗難も全損扱いになる

クルマの盗難も全損扱いになるため、車両保険を付帯していれば、設定した車両保険金額を限度に保険金を受け取れます。クルマが盗難されたら、警察に盗難届を提出し、加入している保険会社に連絡しましょう。

一定期間内にクルマが見つかり、受け取った保険金を返戻すれば、盗難されたクルマの引き取りが可能です。返戻の期間や引き取りが可能かどうかは保険会社によって異なります。

なお、保険金を受け取った場合、クルマの所有権を保険会社名義に変更する必要があります。

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全損時の保険の支払額

全損時の保険の支払額は、クルマの時価額を基準に補償されます。加害者が負う法律上の損害賠償責任は「時価額まで」とされているため、修理費全額が補償されるわけではありません

加害者が対物賠償保険の限度額を無制限にしていても、時価額を基準に補償されます。たとえば、長年大事に乗ってきた愛車の修理費用が70万円でも時価額が20万円の場合は、20万円しか補償されません。

修理する場合、差額の50万円を自己負担する必要があります。経済的全損になった場合は、修理費用の全額が補償されるわけではない点に注意してください。

ただし、加害者が「対物超過特約」を付帯していれば、泣き寝入りせずにクルマを修理できます。対物超過特約とは、相手側のクルマの修理費と時価額の差額を補償する特約のことです。

差額を補償してもらえるとはいえ、支払われる保険金の限度額は一般的に50万円程度です。具体的な金額を保険会社に確認しましょう。

また、クルマの時価額は、必ずしも中古車市場と一致しているわけではありません。同等のクルマを購入できないケースもあるため、経済的全損の場合は被害者が泣き寝入りする場合があります。

「全損時諸費用特約」や「新車特約」などを付帯していれば、買い替え費用に充てられるため、必要に応じて加入しておくとよいでしょう。なお、車両保険を使って保険金を受け取る際は、契約時に設定した車両保険金額を限度に補償を受けられます。

全損時の残存物の取り扱い

全損と判断され、時価額の全額を保険金として受け取った場合、クルマの所有権は保険会社に移ります。法律により、債権者が損害賠償として損害の全額の支払いを受けたら、債務者はその物の所有権をもつことができると定められています。

参考:民法「第422条 損害賠償による代位」

つまり、損害賠償を支払った保険会社に所有権が移るため、債権者である元所有者が勝手にクルマを処分してはいけません。全損でもクルマには残存価値があるため、保険会社は車輌や再利用できるパーツを売って、支払った保険金分を回収しています。

以下のような理由で勝手に処分すると、保険会社とトラブルになる可能性があります。

・全損車輌を保管している自動車販売店に迷惑がかかるから早く処分したい
・知り合いの買取店で全損車輌を売却して、少しでもお金を受け取りたい

なお、所有権が保険会社に移ることを承諾しないと、保険金を受け取れない場合があります。保険金の受け取りを希望する場合は、保険会社の指示に従いましょう。

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車両保険で全損した車が補償されないケース

車両保険に加入していても以下に該当する場合、全損したクルマは補償されません。

1.故意または重大な過失による損害
2.飲酒運転や無免許運転などの違法運転による損害
3.地震や噴火、津波によって生じた損害
4.法律で禁止されている改造を施した部品に生じた損害
5.パンクのみに生じた損害
6.クルマの欠陥や摩減など自然の摩耗による損害
7.競技や曲技による損害

参考:東京海上日動公式Webサイト「保険金をお支払いしない主な場合」

車輌保険にはほとんどの事故が対象な「一般型」と、補償範囲が限定されている「エコノミー型(車対車+α)」があります。一般型でも上記の場合は、補償されない点に注意してください。

また、違法運転の場合、車両保険は補償対象外ではあるものの、対人や対物賠償保険は適用されるため被害者の補償は行われます。

契約者や被保険者が意図的に起こした事故も車両保険の対象外です。しかし、違法運転とは異なり対人や対物賠償保険は適用されないため、高額な賠償金を負担しなければなりません。

なお、地震や噴火、津波によって生じた損害を補償できる特約に加入できる保険会社もあります。不安な場合は特約の詳細を保険会社に確認し、万が一のために加入を検討するとよいでしょう。

全損したクルマの取り扱い

事故の状況や保険の手続き次第では、全損したクルマが手元に残るため、廃車にしたり修理したりすることは所有者の自由です。続いて、全損した車の取り扱いについて紹介します。

廃車

物理的全損の場合は、修理できないため廃車にするケースがほとんどです。解体業者にクルマのスクラップを依頼した後、運輸支局や軽自動車検査協会で、永久抹消登録(廃車手続き)を行いましょう。

なお、永久抹消登録をすると未経過分の以下の還付金を受け取ることが可能です。

・自動車税
・重量税
・自賠責保険

また、自動車販売店や廃車業者に廃車手続きを依頼できます。場合によっては処分ではなく、クルマが買取されるケースもあります。買取してくれるうえに、手続きの手間を省けるため各業者に相談してみましょう。

修理

経済的全損の場合は、修理すれば再び愛車に乗れます。しかし、年式が低い場合は時価額が低いため受け取れる保険金が少なく、自己負担金が多い傾向にあります。

自己負担金がかかっても愛車に乗り続けたい場合は、保険金を受け取って修理するとよいでしょう。

保管

全損したクルマを保管しておくことも可能です。ただし、保管しているだけでも自動車税は発生するため、税金の支払いを止めたい場合は「一時抹消登録」をしなければなりません

一時抹消登録とは、クルマの登録を一時的に抹消する手続きのことです。修理して再登録を行えば、公道での走行が可能になります。

なお、駐車場を契約している場合は駐車場代も発生します。一時抹消登録により税金の課税は止まっても、駐車場代がかかることに留意してください。

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まとめ

クルマの全損は、修理が不可能な状態の「物理的全損」と、修理費が時価額や車両保険金額を上回った場合の「経済的全損」の2種類があります。経済的全損の場合、時価額や車両保険金額を基準に保険金が支払われるため、修理費の全額が補償されるわけではないことに留意してください。

また、時価額や車両保険金額の全額を受け取った場合、クルマの所有権は保険会社に移ります。保険会社の指示に従わず、勝手にクルマを処分した場合は、トラブルに発展する可能性があります。

ただし、保険を使わなかった場合、全損したクルマは手元に残ります。廃車手続きをする時間がない場合は、自動車販売店や廃車業者に代行を依頼しましょう。

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