トヨタ ランドクルーザーは、半世紀以上にもわたって世界中で愛され続けており、トヨタシリーズにとって欠かせない存在となっている。
オフロードの先駆者でありながら、いかに伝説的かはいわずと知れたところだろう。
ドイツにとってのメルセデス・ベンツGクラス、アメリカにとってのジープ、イジリスにとってのランドローバー、そして日本にとってはランドクルーザーこそ、そのポジションに相当する。
そんな日本を代表するSUV・オフロード車であるランドクルーザーは、ドイツでどのように評価されているのか。
果たして人気はあるのか。
ドイツから現地調査を行った。
■ランドクルーザー専門店を発見
現在、ドイツの大手中古車サイトには約800台のランドクルーザーが掲載されており、日本と比べると4分の1程度の台数となっている。
“クロスオーバーを購入するなら、メルセデス・ベンツGクラスか?トヨタ ランドクルーザーか”
…という記事を度々見かけるが、正直な感想としてドイツにおけるGクラス人気は圧倒的であり、販売台数や市場規模から比べてもGクラスの圧勝だろう。
日本やアメリカと比べるとまだまだ台数が少ない印象だが、そんなドイツにもランドクルーザー専門店は存在する。
先日シュツットガルトで行われたクラシックカーの祭典には、70系ランドクルーザーを中心としたレストア車が複数台展示されていた。
1951年に登場して以来、長い間愛されて続けてきた歴史あるモデルだけに、一定数の愛好家はいるようだ。
■1番人気は70系ランドクルーザー
トヨタ ランドクルーザーは、誕生から72年間、170か国以上で1,100万台以上も販売されている。
何十万キロにも上る道路を悠々と走行し、自動車の歴史のなかでその独自の地位を証明した。
そのエキサイティングで多様な歴史により、この車輌は世界で最も有名なモデルの1つとなった。
一言でいえば、トヨタ ランドクルーザーはカルトである。
その長い歴史のなかでも特に人気が高いのは、1980年から1989年にかけて生産された、70系ランドクルーザーだ。
クラシックな丸型のヘッドライトに角張ったボディが特徴的で、まるでGクラスと兄弟車であるかのような力強いデザインとなっている。
また、相場も30,000ユーロ〜50,000ユーロ(日本円で約500万円〜800万円)と、クラシックモデルとしても非常に高価な部類である。
■ドイツでの評価ポイントは?
実際にランドクルーザーを購入した人のほとんどが、故障が少ない信頼性を重視したパターンが多いようだ。
正直、見た目やステータス、内装の豪華さなどは欧州車に劣る部分がある。
カッコ良さやステータスを重視した場合、Gクラスやランドローバーを選ぶ人が多いようだ。
しかし、価格は新旧モデルどちらも高めの相場設定となっており、現行の新型ランドクルーザー(J30)にいたっては、平均価格が175,000ユーロ(日本円で約2700万円)と、非常に高額である。
60系や70系ランドクルーザーの人気モデルでも、低走行で状態の良いモデルになると50,000ユーロ(日本円で約800万円)にもなるため、間違いなく高級車のカテゴリーとなるだろう。
中東やアフリカでは多くのランドクルーザーが市場に出回っているが、ヨーロッパ国内では比較的少ないイメージで、その希少性から値段の相場が上がっていることが予想される。
また、一部のコレクターにとって、状態の良い旧型ランドクルーザーは垂涎モノであり、ドイツにもそのコレクターが数多く存在する。
やはり世界的にも評価されているランドクルーザーは、ドイツでもさすがの人気といったところだろう。
また、ドイツでは2024年3月に、旧型のデザインと最新のテクノロジーを融合した新型ランドクルーザー『250』の導入が予定されており、ネット上でも愛好家たちが今か今かと待ち侘びているそうだ。
トヨタ ランドクルーザーほど長い歴史を誇る自動車は多くない。
15世代を超え、無数のバリエーションがあり、70年以上にわたり車輌の歴史を刻んできた。
すべてのランドクルーザーには、妥協のない信頼性という共通点があり、それこそがドイツ国内でも評価されている所以なのだ。
[ライター・画像 / 高岡 ケン]