車の相続が発生した場合、相続人が運転免許を持っていないケースも考えられるでしょう。
この記事では、免許がない人も相続ができるか、免許がある場合と比べて手続きに違いがあるかを紹介します。また相続人が未成年の場合についても解説します。
免許がなくても相続手続きは可能
制度上、運転免許証は車を運転するための免許であるため、車を所有できるかの問題と関係がありません。よって免許がなくても車を相続することは可能です。また相続者が未成年者である場合も相続はできます。
未成年の相続では追加の書類が必要
未成年が相続人である場合は代理人を立てる必要があり、手続きが複雑になります。これは未成年者には遺産分割協議をする権利がないためです。
未成年が車を相続する場合は、通常必要となる添付書類に加えて以下の書類を用意しましょう。
・特別代理人選任の審判書の謄本
・特別代理人の印鑑証明書
代理人の決定法は以下の二択で、法定代理人(親権者または後見人)とするか、実印を押印する第三者の特別代理人を家庭裁判所が選任するかのどちらかです。
なお、未成年であっても婚姻をしている場合は成年とみなされ、追加書類提出の必要はありません。
免許がない場合の相続手続きの方法
車の相続人に運転免許がない場合も、相続人が未成年でない限りは通常の相続と同じ手続きを踏みます。以下では一般的な車の相続手続きの書類と流れを紹介します。
必要書類
相続手続き、特に名義変更の際に必要な書類は以下の通りです。
【相続人が1人だけで、その人が相続する場合】
・故人の戸籍謄本 (全部事項証明書)
・相続人の戸籍謄本 (全部事項証明書)
・相続人の印鑑証明書 (発行から3ヶ月以内のもの)
・相続人の実印
・車検証 (原本)
・車庫証明書
【複数人の相続人のうち1人が相続する場合】
・遺産分割協議書 (もしくは遺産分割協議成立申込書)
・故人の戸籍謄本 (全部事項証明書)
・相続人の戸籍謄本 (全部事項証明書)
・相続人の印鑑証明書 (発行から3ヶ月以内のもの)
・車検証 (原本)
・車庫証明書 (40日以内のもの)
他の書類が必要になる場合もあるため、書類の詳細は管轄の運輸局に問い合わせて確認しましょう。
手続きの流れ
相続手続きの流れは以下の通りです。
1. 対象車の正式な所有者を確認する
「自動車検査証」(車検証)で、故人の名義になっていることを確認しましょう。故人が車をローンで購入した場合や、リース契約で使用していた場合には、本人の名義になっていないことがあります。この場合は更なる手続きが発生するので、弁護士や税理士など専門家に、事前に必要事項の確認をした方が良いでしょう。
2. 新しい所有者を決めて「遺産分割協議書」を作成
遺言書で相続者が指示されている場合は、それに従います。
遺言書がない場合や車の相続についての記載がない場合は、遺産分割協議で誰が相続するか確定させます。そこで、のちの名義変更に必要な「遺産分割協議書」を準備します。「遺産分割協議書」には法定相続人全員の署名と捺印があることが必須です。
3. 警察署で車庫証明の申請をし、必要書類を準備する
これから登録する車庫証明の場所を管轄する警察署で手続きをします。当日必要なものを所轄の警察署に確認してから行くと良いでしょう。
当日は所定の申請用紙に必要事項を記入し、必要書類と一緒に提出しますが、この申請用紙はインターネット上で事前にダウンロードできます。詳しくは運輸局や自治体のウェブサイトから確認してください。
4. 運輸支局で名義変更の手続きをする
ここまでの手続きが終わったら名義変更です。必要書類を運輸支局に持参して手続きを行います。相続人が1人の場合と、複数人いる中の1人が相続する場合では必要なものに微妙な違いがあるので、事前に確認しましょう。
また、名義変更にかかる費用は、自身で全て行う場合は約6,000円、行政書士やディーラーなどに代行を依頼する場合は1万円以上です。
免許がない人が車を相続した後のパターン
この章では、免許がない人が車を相続した後に考えられるパターンを3つ紹介します。いずれも相続に伴う名義変更手続きが完了した後のパターンです。
免許を取得して車に乗る
車の相続人に運転の意志がある場合は、運転免許を取得して相続した車に乗りましょう。通うことが可能な運転教習所を選び、学科と実技についてそれぞれ教習、試験を受けます。通常免許の取得には数ヶ月〜半年以上かかり、教習所や地域によって費用も異なります。お住まいの地域の運転教習所に問い合わせて、詳細を確認すると良いでしょう。
車を売却する
車の相続人に運転の意志がない場合は、第三者に車を売却するのが一般的です。まずはディーラーや中古買取業者に連絡しましょう。また、その後売却時に必要になる以下のものも準備しておくことをおすすめします。
・実印
・印鑑証明書
・自動車検査証
・自動車税納税証明書
・自賠責保険証
・リサイクル券
・被相続人の戸籍謄本
・遺産分割協議書
相続人本人に運転の意志がない場合以外にも、新しい車なら運転したいという場合、車が古くて燃費が悪い、メンテナンスがかかる場合も、売却と再購入を検討する価値があります。売却によって次の車の資金を調達するのも賢明な判断です。ただし、売却にも多少の費用が発生するため、その点は考慮しなくてはなりません。
車の売却するときの注意点ですが、共同相続の場合は全員の許可が必要です。また、名義変更をしてからでないと売却してはいけないことになっています。道路運送車両法第13条でも定められており、場合によっては罰則も発生するので気をつけましょう。
廃車にする
相続した車が十分な価格で売却できない場合は廃車の選択肢も考えられます。故人の車を廃車にするには、まず業者に解体を依頼し、その後名義変更と廃車手続きをする、という流れで手続きを進めます。その後の手続きで解体記録日とリサイクル番号が必要になるため、業者に確認を取り、控えておきましょう。
解体の手配が終わったら、その後は運輸局での名義変更、廃車手続きに移ります。廃車手続きは複雑なので専門家に依頼するのがおすすめです。特に重量税などの還付金が発生した場合はさらに複雑になりますから、車の解体業者か、行政書士に依頼するとよいでしょう。
なお、廃車手続きに必要な書類等は以下のとおりです。
・実印、印鑑証明書
・戸籍謄本
・除籍謄本
・銀行口座 (国税局から重量税の還付がある場合)
・マイナンバーカード (国税局から重量税の還付がある場合)
・法定相続情報
まとめ
この記事では、運転免許がない人は車を相続できるのかについて解説しました。
・免許がなくても相続手続きは可能
・未成年の相続では追加の書類が必要
・相続人に免許がなくても、未成年でない限り手続きは通常の相続と同じ
・車の相続後は「免許を取る」「売却する」「廃車する」などの選択肢がある
上記のポイントを押さえて車の相続を適切に行いましょう。
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