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■エピソード1:なんとなく始まった旧車複数所有生活
ボクはバランス至上主義の天秤座生まれ。
当然、義務教育とオプション教育の年数バランスにもこだわり(?)、6-3-3-6(最後の6は、1年の休学と留年を含む)という学生生活を送っている。
その最後の年となった1978年、学生時代最後のクルマとして、ふと目が合ってしまった1964年式のボルボ1800Sを購入したのだ。
当時は旧車という概念がなかったけど、「品5」ナンバーだったし、今なら普通に2年車検だけど、当時は11年以上経過すると1年車検だから明らかに旧い。
でもね、カッコイイんだこれが!!
気に入ってブイブイいわせていたけど、流石に北国のクルマ、冬は良いのだろうが、夏の室内は我慢大会の決勝レベル。
そこで借金して、マイカー初のクーラーを付けてもらうことになった。
いやぁ涼しい!
こちらの画像はスウェーデン工場生産になって車名が「P1800」から「1800S」になった直後のモデルだ。
翌年春、卒業して某国産車ディーラーに勤めたのだが、ボルボは車検が近いし、エンジンやミッションのマウント劣化が激しく修理費用がかかる。
そんなとき、車検が1年ほど残ってるけど、いらなくなったから乗ってよ、ってなわけでホンダLN360がやってきた。たしか70年式あたりだから約9年落ち。
今の感覚では、まだまだ旧車というにはほど遠い存在だったけど、当時は、10年も経ったらポンコツのオンパレードという時代だったから、一般的な視線では旧いクルマに見えたはずだ。
まぁ、クルマを購入、維持するために必死になってバイトをしていた若造のボクは、あっという間に複数所有が成立して大喜び。
まるでおぼっちゃまになったような気分を味わったものだ。
こちらの画像はLN360のカタログの一部。
都内を走る分には不満のないパワーで、当時一緒に暮らしていたワンコとのドライブを楽しんだ記憶がある。
ただ第一次複数所有時代は、約半年という短期間のうちに終了した。
初任給の段階ではボルボの修理と車検は難しく売却することになったからだ。
LN360も、通勤用にコロナHT2000EFI-SLを入手した際に手放すことになった。
短い時間だったが、目的に応じてクルマを使い分ける喜びや楽しさを実体験できたことは、とても幸運だったと思う。
■エピソード2:複数所有は楽しさ倍増、ただ……
その後も、一時的に複数所有することもあったサラリーマン時代だが、2台以上が旧車といえるパターンは皆無だった。
多くの場合、複数所有の基本は、好きなクルマと普段使う実用車って構成だから、旧車が好きで所有するなら、当然2台目は普通に快適な現代のクルマとなる。
その常識的複数所有パターンが一気に崩れたのは、独立2年目となる1989年のこと。
当時愛用していた新車で買った趣味兼実用のホンダCR-X Siに加え、今も所有する69年式フェアレディSRLを手に入れたのだ。
そのキッカケは、新車購入のCR-X Siの走行距離である。
起業し、通勤、営業、取材、そしてストレス解消の峠走りと大活躍してくれたのだから、
走行距離がガンガン伸びるのは当然だけど、2年弱で10万キロも走っていたのだ。
そろそろ買い替えを…と勧めてきた営業マンに、過走行だから査定の減点がナンチャラと言われてショックを受け、複数所有で走行距離の分散が必要と考えたわけだ。
冒頭の画像は69年式フェアレディSRL311。
89年に日本に帰ってきた帰国子女で、国内最初のオーナーがボク。
今も溺愛している最愛の個体だ。
まぁ、ここまでは自然な流れだったけど、その直後、事態は急変。
付き合いのあったアメ車屋さんから79年式ポンティアックファイアーバードトランザムが、自動車趣味の仲間から70年式スバル1300Gスポーツが同時期に転がり込んできたから、大きな変化に対応するため走り回った記憶がある。
さらにその半年後には、73年型1303Sと76年型1200LSと、2台のVWビートルまで加わり、一気にひとりと6台の大家族となってしまったわけだ。
予期せぬ出会いから無計画かつ強引な増車……ある意味ボクらしいできごとだった。
もちろん、好きなクルマがいつでも身近にあるのは幸せだったが、当時はバブル真っ盛りで、年中無休24時間営業の超多忙な毎日。
とても楽しむ余裕なんてない。
そこで、楽しむために乗れないなら仕事に使っちゃえぇ!! と割り切り、取材や納品、外注先との打ち合わせなど、あらゆるシーンで遠慮なく活用し、コンディション維持に努めていた。
突如訪れた大家族生活で、コンディション維持走行同様苦労したのが自動車税だった。
当時の税額だと、トランザム1台だけで16万円コースだったから、とてもキツかった。
駐車場確保も大切な責務。
でも、自分の性格上、クルマがドンドン増えそうな予感がしたので、あらかじめ農業用倉庫を借りていたので救われた。
ただ、置き場があっちこっちになるのはねぇ……。
台風なんかがくると、クルマが心配でじっとしていられなくなってしまう。
多くの旧車に囲まれた生活は喜びも絶大だが、心労が絶えないのも事実と知ったのだ。
■エピソード3:ナンバーは選ばず、偶然あてがわれたナンバーを楽しむ!?
ボクはある時期哲学にハマっていた。
特にC.G.ユングの提唱した理論である「共時性」には強く共感したのだが、それは、思念のエネルギーと偶然の事象に「関連」を感じていたからだ。
身近な例では、電話番号の下4桁やクルマのナンバーがそれ。
初めて就職した会社の配属先の電話番号下4桁が「9771」で、結婚して最初に借りたアパートに付けた電話の番号下4桁が「7197」。
転職して京都に移り、初めて買ったマンションの部屋が「519号」で、そのときの電話番号下4桁が「5195」だからシンクロしてるように思えるでしょ。
最近でも、「3867」のクルマを代えたら「3864」になって、それを代えたら「3877」だから、なんとなく偶然の引き寄せ現象を感じちゃう。
さらに、その時期に買い足した1台が強烈だった。
友人であるショップオーナーは、910型ブルーバードのバンだから、ナンバーは910にするだろ? と提案してきた。
しかしボクは、偶然の一致を予感するから指定はしないで、と頼み、自分のメモの隅に、多分ナンバーは「38〇〇」or「〇〇77」?と書いていた。
そうしたら、そのナンバーが「8677」!!
笑っちゃうでしょ。
ショップオーナーも驚いていましたよ(^^)
この連鎖は、それが最後になって、その後GETした2台には継承されなかったけど、思念が偶然を引き寄せたようで興味深い。
だからボクは意図せずに回ってきたナンバーとともに歩み、次のシンクロを楽しみにしているのだ。
■エピソード4:2シーターシンドローム
複数所有のメリットは、使用目的に応じたラインアップを構築できること。
例えばボクの場合なら、
1.フェアレディ2000、
2.車中泊も快適なミニバン、
3.仕事機材が積みやすく機動性に優れる小型ステーションワゴン
4.フォーマルな席にも似合う、重厚なセダン
5.お買い物やチョイ乗りのアシ
・・・ってなラインアップなら実に明快だ。
実は、東京から兵庫に転居した時点では、この理想に近い状態だった。
セダンは真っ赤なアルファロメオ75TSだったからチョイとヤンチャ系だったけど、足りないのは小型ステーションワゴンだけ。
・・・で、探し始めたのだが、ここに割り込んできたのがポルシェ964だった。
ステーションワゴンとはほど遠いし、よりによってRSR仕様に作り上げた2シーター。
もちろん金額も圧倒的に高かったのだが、つい、買っちまったのである。
その頃、中古で購入後5年強乗ったプレサージュに大きな修理が必要となったので、ホンダのシャトル(もちろん中古)に代替え。
さらに、アルファロメオ75TSとアシに使っていたプレオRMも手放すことになり、ラインアップの再構築をしなくてはならなくなった。
そんなとき、ついうっかりヤフオクで「ポチってしまったの」がボクスターだった。
すでに2台のナンバー付き2シーターがあるだけでなく、2台持っていたレース用のフェアレディSRのうち、ノーマルエンジンクラス用の1台にナンバーを付けるプロジェクトも進行中のできごと。
こうして完成してしまったのが、シャトル+2シーター4台というラインアップだ。
こちらの画像は、2シーターが4台揃っちまった頃のボクの所有車両。
ボクスターの奥は、当時、唯一の普通のクルマとして活躍してくれたシャトル。
そこにミニ1300iが加わったので、少しはまともになったけど、2シーターを主体とする多頭飼いの実用性レベルは、チイとばかり低すぎた。
我ながら、なんともマヌケなクルマ選びをしたものである。
現在は、2台のポルシェを手放し、ナンバーを付けたレース用フェアレディは初期型の240Zに変身している。
2シーターは2台に減って、なんとなく実用性が向上したけど、実はこれも一時的。
そろそろ、現在仕上げ中の2シーターが完成しちゃいそうなので、またまたややこしくなりそうだ。
■エピソード5:多頭飼いを苦しめる任意保険
クルマを運転する以上、事故の可能性はゼロではない。
だから当然のこととして任意保険に加入し、そのリスクに備えることになる。
でもね、この任意保険のシステムは疑問符のオンパレードだ。
例えば、長年無事故を継続して、任意保険で20等級であるドライバーが、初めて複数所有を敢行し、2台目の任意保険に新規加入するとしよう。
そのとき、2台目の特例として、初年度から1ランクアップで7等級から始まるのだが、ここで最初の疑問符が舞い降りてくる。
運転者が契約者本人限定であれば、2台契約しようが5台契約しようが、保険会社が請け負う事故リスクは1台だけの契約と同じはずだからだ。
過去のデータから、車種や地域によってリスクに差があるにせよ、それは保険の基本料率の話であって、等級に差を付ける正当性が理解できない。
この問題を考えると、2番目の疑問符も浮上してくる。
それは、同一個人が何台契約しようが、運転者が契約者本人限定なら、1回の運転で動く車両は1台だけであり、保険会社が背負うリスクも当然1台分だけ。
でも、それぞれの車両に対し、保険契約をしないとならない。
契約者個人は、例えば5台所有の場合、1回の運転時に背負う事故リスクを5台分負担するということになるし、保険会社は1台分のリスクで5台分の保険料収入を得ることにもなる。
運転者はひとりでも、彼の所有する複数のクルマが動き回るというなら話は別だが、これはユーザーが圧倒的に不利となるやり方ではないだろうか。
もちろん、車両保険に関しては個別契約が必要だが、対人、対物、搭乗者など、基本的な自動車保険契約部分に関しては、車両にかけるのではなく、ドライバーにかけるスタイルにするべきだと感じる。
これは、任意保険だけではなく、自賠責保険に関しても同様で、自動運転車両以外は、車両個々ではなく、ドライバーにかけるべき保険と考える。
車種によるリスク変化をカバーしたいのであれば、ドライバー保険としながら、その個人が所有する車両の申告を義務付け、必要に応じた係数をかければ良い。
また、契約しているドライバーが一時的に他車に乗る場合の短期契約もあるとありがたい。
任意保険のシステムが、もっと自由に多頭飼いができるよう改善されたなら、出会ったクルマをもっと気軽に受け入れられるのになぁ、なんて思う今日この頃。
これって、ボクの単なるワガママかな……?
[画像/ボルボ 撮影&ライター/島田和也]