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■旧車といってもイロイロ。まずは愛車のカテゴリーを理解しよう
旧車といっても、そのボディタイプやエンジン形式、使用燃料や駆動方式、年代、メーカー、生産国など、イロイロな分類基準がある。
このページで扱うのは国産車なので日本車限定だが、国内生産車と海外生産車、輸出国からの逆輸入車などに分類することもできるから意外と複雑だ。
特に逆輸入車の場合、国内モデルと仕様が大きく異なるものも少なくない。
例えばフェアレディ2000。
1967年から70年まで生産されたクルマで、大多数がアメリカに輸出されている。
ボクのフェアレディもアメリカからの帰国子女だから当然左ハンドル。
だけど国内仕様との差はそれだけではない。
輸出モデルでは、キャブレターがソレックスからSUに変更され、オイルパンも大容量7リットルのアルミ製フィン付きではなく、SP時代と同様フィンのない4リットルの鉄製であり、カムの仕様も異なる。
ノーマル状態のUS仕様SRL311は、スポーツカーのスタイルを持ちながら普通の乗用車のような乗り味。
逆に日本国内仕様のSR311は、当時の言葉で表現するなら「レーシー」な乗り味に溢れるスパルタンなジャジャ馬というセッティングだ。
▲ミクニ製ソレックスツインキャブレターは、国内仕様SR311に標準装備されている。独特の吸気音はマニアにとってたまらない魅力。US仕様では、扱いやすさに優れるSUツインキャブが標準だ
▲国内仕様に標準のアルミ製フィン付オイルパン。7リットル級の大容量で、ホットな走りを支えてくれる。US仕様の標準は、SPと同じオイルパンで、フィンを持たない鉄製。容量も4リットルになる
つまり、ノーマル状態前提で乗り味を基準に分類するなら、同じフェアレディ2000でも、SRL311とSR311は異なるグループになるといえるわけだ。
ちなみにボクのはUS仕様のSRL311だが、エンジン仕様はオイルパンも含め国内仕様に変更しているので、SRLグループではなくSRグループといえるだろう。
これらをふまえて仲間を探すなら、キーワードはオープン2シーター、60’sカー、ダットサン、スポーツカー、フェアレディ、クラシックカーなど。
少々話がズレてしまったが、細かく分類し、それに近いカテゴリーのグループとの接点を含めて考えれば、どういう車種が仲間となるのかが見えてくる。
さらにはそのオーナーも指向にも共通点が見出せるはずだ。
まぁ、この分類ってのは文字にするとややこしいし堅苦しいものだけど、一般的には感覚的に分類を捉え、やがてその「ニオイ」を嗅ぎ分けるようにグループを形成していくわけだ。
■具体的な仲間探し。インターネット・バージョン
ではどのように仲間を探すのか?
今の時代でもっとも手軽で有効な方法はインターネットの活用だろう。
ボク自身も、最近手に入れた83年型フェアレディZターボ2by2に関しては、元々興味を持っていないクルマだったから、知り合いもいなければ同好の仲間もいない。
そこで最初に起こした行動は、facebookでのグループ探しだ。
まずは、S130型フェアレディZで検索。
この車種に特定したグループだから迷いがない。
すると3件のグループが登録されていた。
その中で唯一の国内サイトである「Firlady S130 Owner’s Netwaork」にアクセスし、参加申請したわけだ。
そこで愛車の写真とともに初投稿のご挨拶を済ませたのだが、
圧倒的少数だと思っていた2by2で逆マンハッタンカラーのターボ車オーナーを、あっという間に2名確認することができた。
S130Zミーティングの案内もあり、参加すれば、ネット上のバーチャルワールドではなく、リアルワールドでの仲間と出会えるはずだ。
また、実用上不便を感じていた欠品パーツについて問い合わせたら、その日のうちに何人もの仲間から純正パーツの代用品情報が得られ問題解決。
信頼している、旧い日産車を得意とするメインテナンスショップでも、社外品の流用パーツに関する情報はなかっただけに、同好の仲間達との繋がりの大切さを痛感したことは記憶に新しい。
ボクが検索したのはfacebook内のグループだけだけど、他のバーチャルワールドでも、検索してみればイロイロ出てくるに違いない。
■具体的な仲間探し。リアルワールド・バージョン
リアルワールドで仲間と出会うなら、愛車に参加資格がある各種イベントに参加するのが一番。
そのためにも、愛車のカテゴリーをシッカリ確認しておきたい。
ここでは、ボクが最近手にいれ、日常のアシとして活用中のデカレディこと83年型フェアレディZターボ2by2(GS130型)を例に、一緒に考えてみよう。
まず、S130型フェアレディZの経歴と特徴を確認する。
1.デビューは1978年。当初のエンジンは、電子制御燃料噴射装置を採用したL20E型とL28E型だった。
2.大きく重くなったボディには、L28E型エンジン車がベストマッチだったが、当時の日本では3ナンバー車となると、自動車税が5ナンバー2リッター車の約2倍となるため、国内の主力はL20E型。ノーマル状態では、パワー、トルク共に非力さが目立った。
3.エンジンは非力だが、大容量80リットルのガソリンタンクを持ち、高速巡行なら800km級の航続距離を誇っていた。
4.1980年には、国産車初のTバールーフ車を追加。81年秋にマイナーチェンジ。82年10月には国産初の超ワイドタイヤ「215/60R15」を標準としたL20ET型ターボエンジン車を追加し、83年9月のモデルチェンジによりZ31型へとバトンを渡した。
5.なお、対米輸出モデルには、81年から、2800ccのL28ET型ターボエンジンが追加されたが、国内には導入されていない。
6.全輪ディスクブレーキの採用、セミトレーリングアーム式リアサスペンションに変更、一部グレードだが、パワーステアリングやパワーウインドウの採用、そしてセンターピラー付とするなど剛性を強化したボディ、サッシュレスのドアなど、S30型から総合的に進化している。
これがS130型フェアレディZの大雑把な経歴と特徴。
生産年次が70年代末から80年代初期のモデルだから、ネオクラシックカーと呼ばれるカテゴリーに属するクルマといえる。
▲「旧いクルマ」という緩い縛りの展示型イベント。この日は、50’sカーから90’sまで、多様な車種で賑わっていた
クラシックカー関係のイベントで、「79年までに生産されたクルマ、またはその同型車」という参加資格を見かけるが、S130型フェアレディZはそのあたりに該当するわけだ。
また、フェアレディ一族であるから、当然、オールフェアレディといったイベントにも参加できるだろう。
もちろん、もっと緩い、自動車趣味人なら誰でもどうぞ、みたいな集まりも各地で開催されている。
こうしたイベントは、マイカーとともに参加するのが一番だ。
しかし、見学に行くだけでも、仲間を見つけたり、同時開催のフリマなどでパーツやアクセサリーを見つけたりするチャンスなので、積極的に参加したいものだ。
▲展示型のイベントは、見学者も多数いるので出会いのチャンスが多い。参加するのが一番だけど、見に行くだけでも楽しめる
■愛車で走り回るだけでも出会いがある!
仲間を見つける目的ではなくても、単純に愛車で走り回ることも仲間の輪を広げるために有効な方法といえる。
走行中に同好の趣味人とすれ違ったり、信号待ちで声をかけられたり、なんてケースも少なくないからだ。
実際、たまたま寄ったコンビニとか、高速道路のSAやPAで話しかけられ、一緒にツーリングしたり、まったく別のイベント会場で再会、なんてことも少なくない。
▲たまたま寄ったコンビニで偶然一緒になった旧車たち。こういう出会いは意外と多い
さらにいえば、乗っていたクルマを譲って欲しいと懇願され、譲ったこともある。
よくクルマ好きが集まる喫茶店や、ワインディングロードに近いレストランなど・・・。
旧車ファンに人気のスポットに行くのも、出会いのチャンスを広げる効果的な方法だ。
それがどこにあるかは、事前にインターネットで調べればよい。
リアルワールドの出会いは外に出ることが大切だ。
さらに行動に高効率を求めるなら、インターネット検索などバーチャルワールドを活用する、ハイブリッド方式が有効といえるだろう。
と、ほぼ原稿を書き終えた時点で、デカレディに乗り、公共料金を払いにコンビニに寄ったら、フィガロとラシーンをアシに使う趣味人に声をかけられ名刺交換(笑)。
旧車に乗って走り回ると、必然的に同好の仲間や、昭和世代に憧れる人々を寄せ付けてしまうようだ。
[撮影&ライター/島田和也]