去る11月12日、横浜赤レンガ倉庫にて横浜クラシックカーデイ2022が開催された。
良く晴れた秋空の下かつての横浜保税倉庫、通称赤レンガ倉庫に多数のクラシックカーが集結した姿はまさに圧巻であった。
今回はその模様をお届けしたい。
■横浜クラシックカーデイとは?
今年で11回目を数える同イベント、赤レンガ倉庫という歴史ある場所で同じく文化遺産ともいえるクラシックカーの展示を行っている。
多くの方に間近で観ていただき、後世につなげていくことを目的として開催されている。
参加資格は1974年までに製造された車両だ。
それ以外は車種、生産国を問わない。
この日もこの1日限りの青空展示会に多くのクルマ達が遠方からも参加、オーナー同士の交流や訪れた一般の方への解説で華やいでいた。
また毎年恒例になりつつある旧いクルマの絵を描こうという企画では、展示されたクラシックカーを子供たちがこぞって描くイベントだ。
現在は大人も負けじと筆を取る姿もみられ、個性豊かなカーイラストが次々に描かれる様はほほえましいものがあった。
■魅惑の参加車両たち
参加車両の一部に少し迫ってみることにしよう。
それがこちらの初代ミニキャブ。2ストのエンジンを搭載している。
現在のオーナーが手に入れてからは1年ほどとのことだが、現在は2週間に1度くらいの割合で近所をドライブしているとのこと。
2ストはどうしてもエンジンに寿命があるのため、大事に乗っていたいと話す。
そのために、エンジンオイルは高くても社外品のいいものを入れないと焼き付く恐れがあるという。
ちなみにこちらのオーナーはジムニーの初期モデル(こちらもエンジンは2スト)所有しており、筋金入りの2ストマニアといってもいいのかもしれない。
■新しい試み
赤レンガ倉庫は以前ならショッピングモールとしてその中に店舗が入り、立ち並ぶ飲食店にて参加者も昼食を取っていた。
しかし今年は残念なことに建物の改装工事中ということもあり、仮設トイレが設けられたのみで倉庫の扉は固く閉ざされたまま。
そこで取られた策が会場の両端に配置されたケータリングカー群。
8台/8店舗のケータリングはカフェやランチのサービスはじめ、サンドイッチのように片手で食べられる手軽なものまで。
訪れた方や参加者のおなかを満たすことができたようだ。
■横道を行く
恒例のイベントの横道を行く。
これだけのクラシックカーが居並ぶ会場、さぞやいろいろなクルマで来場する方がいるに違いないと思いつつ、やはり相応な車両が多数ひっそりと来場していた。
その中の1台が「ヨタハチ」ことトヨタスポーツ800。
大衆車トヨタパブリカのシャーシとエンジンを使い生産されたスポーツカーであり、レースの世界でもライバルであるホンダS600との激闘を繰り広げたクルマだ。
中でも圧巻だったのは船橋サーキットでの浮谷東次郎による逆転優勝だろう。
また、同車両はガスタービンとモーターによるトヨタ初のハイブリットカーのベース車でもある。
キレイに仕上げられた赤いヨタハチは、きらびやかな表舞台の参加車両を見物に来たであろうオーナーにより、ひっそりと裏手のコインパーキングに止められていた。
■多くの訪問者を楽しませるイベント
横浜クラシックカーデイは開催ごとに参加者だけではなく、そこに訪れる観光客や一般の方々にも広く展示している。
それゆえにどこか普通のカーイベントと違い、同好の士の集まりというよりも動く博物館としての要素の方が強いように感じられる。
それはより一般の方との距離感が近い状態で・・・だ。
ここで初めてクラシックカーを見る子供たちも少なくないだろう。
だが、それでいい。
それがいつか見たあのクルマという思いにつながり、この日ここで観たクルマに対する思いにつながっていくことこそが、この赤レンガで開催されるクラシックカーイベントの意義ではないかと思うからだ。
[ライター・撮影/きもだ こよし]