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オークランド在住のtomatoです。 さて、今回の記事では、単純ではありますが、きっと誰もが興味のあるトピックを取り扱おうと思います。 「ニュージーランドでは、今どんなブランド、どんなクルマが売れているのか」です。 さっそく、2023年上半期の車輌登録データから、最新の人気動向を見てみましょう。 ■総市場 / Total Vehicle Industry 日本の自動車市場は、自販連および全軽自協の「初登録/検査データ」を見ると、近年は10台に4台は軽自動車で、残りの多くはコンパクトカー/ミニバン/SUVが占め、なかなか独特だが、ニュージーランド市場も、以前の記事(https://www.qsha-oh.com/historia/article/tomato-new-zealand-report1/)でその特徴をお伝えしたとおり、これまた非常に独特です。 ●懐かしい日本車と再会できる国「ニュージーランド」現地レポートhttps://www.qsha-oh.com/historia/article/tomato-new-zealand-report1/ 下表にあるように、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどでの販売を目的として、その安全基準や環境規制に適合し開発・製造したクルマ達の「正規輸入/新車市場」がある一方で、他市場では存在感のない「並行輸入/中古車」が4割も占めるのが特徴です。 加えて、その多くが5~7年落ちのの中古車で、9割以上が日本の規制に適合させた日本仕様の中古車なのです。 少し専門的な話をすれば、各自動車メーカーは、開発効率の観点から、国・市場を数種類のグループに分けて新車を開発するのが通例になっています。 ニュージーランドへは、欧州右ハンドル(イギリス)仕様のクルマ、もしくはオセアニア(オーストラリア)仕様のクルマを送り込むのが一般的です。 前者であれば、ウインカーレバーはステアリングホイールの左側であるし、後者であれば、日本で売られている日本車と同じく右側です。 結果的に、この国では同じブランド内でも、ウインカーレバーの位置が異なる場合もあるほどです。 ■正規輸入/新車市場 ●トップ20(ブランド別) この数年で、世界の潮流と同様、大きく様変わりしています。 見てのとおり、韓国や中国ブランド、テスラの存在感が高まっているのです。 「ルノー・日産・三菱」の3社アライアンスで、アセアンやオセアニア地域を戦略的に担当する三菱の強さにも驚かれるかもしれません。 ●トップ20(モデル別) ニュージーランドの新車市場の特徴としては、SUVが増加の一途をたどっている一方で、減少傾向ではあるが、タイやオーストラリアなどと同様に、農耕を支えるUte(「ユートゥ」と発音)と呼ばれるピックアップトラック(商用車カテゴリーに属する)の人気が高い傾向にあります。 ご覧のように、ベストセラーの地位をレンジャーとハイラックスが争っているのです。 ▲フォード レンジャー(新車輸入車「人気ナンバー1」、圧倒的なブランド力を誇る) ▲MG ZS (低価格のBEV/PHEVを中心に躍進する中国ブランド) ちなみに、自販連の「車輌登録データ」によれば、日本の上半期の(軽自動車を除く)乗用車市場はモデル別だと、ヤリス、カローラ、シエンタ、ノート、ノア、プリウス、ヴォクシー、アクア、ルーミー、ハリアーがトップ10となっていて、当然のことながらブランド別ではトヨタが50%以上の占有率で他社を圧倒しています。 ■並行輸入/中古車市場 ●トップ20(ブランド別) 前述のとおり、日本の規制に適合させた日本仕様の中古車が9割以上を占めています。 これは日本市場は、地理的に近く、安価かつ丁寧に使用・メンテナンスされた高品質の右ハンドル中古車が大量にあるためです。 日本市場と比べて、マツダやスバルが強いのがオセアニア地域の特徴です。 ●トップ20(モデル別) 公共交通機関が貧弱なニュージーランドでの、輸入中古車の役割は「国民の足」です。 したがって、基本的には低燃費のコンパクトカーに人気が集中しています。 Uber (ウーバー)ドライバーのほとんどが、走行距離10万キロを優に超えたアクアやプリウスを愛用している印象があります。 なお、軽自動車には税制上のメリットがまったくないので、日本車であれど存在感はほぼありません。 また、クルマは一人一台という国なので、多人数乗車ができるミニバンへの需要も低いことが特徴です。 ▲トヨタ アクア(中古輸入車「人気ナンバー1」、「国民の足」) ■追い風と向かい風 ニュージーランドは、2021年7月から「クリーン カー ディスカウント(Clean Car Discount)」という名のフィーベイト(*)制度を導入しています。 これは購入価格8万NZドル(約700万円)以下に限り、低CO2 車の購入を補助し、その財源を逆に高CO2車の購入者から得るという仕組みになっているのです。 なお、これは初車輌登録時のみで、以降の売買には適応されません。(*)Feebate: Fee=罰金、Rebate=補助金の両方を意味する造語 8月執筆現在のルール(https://rightcar.govt.nz/)では、例えば、テスラの「モデルY(RWD)」であれば、7,015NZドルの補助金を得られます。 反対にトヨタの「ハイラックス(SR5 Cruiser Diesel Double Cab)」であれば、5,002.50NZドルの罰金を支払うことになるのです。 この制度の影響をお伝えすべく、輸入新車市場(SUV/乗用車)のパワートレイン動向をグラフにしてみました。 我々人間とは単純な生き物で、当該制度が非常に効果的なのが顕著に見て取れる。 (出典: MIA) ▲テスラ モデルY(テスラのベストセラーSUV) ▲赤い車輌はBYD アット3。テスラを猛追する中国BEVブランド。日本では見ない、後方のミニバン「ヒョンデ スターリア」にも注目) なお、輸入新車市場とは異なり、輸入中古車市場では補助金や罰金額が半減されるだけでなく、中古車輌の主たる供給元となっている日本市場では中国車や韓国車が少なく、日産 リーフ以外に安価な中古EVがまだ存在しないため、まだまだ電動化の波は新車市場ほど顕在化していません。 実は、このフィーベイト制度とは別に、トヨタなどの各輸入業者に対しても、輸入車輌の平均CO2が規定値を超えると罰金を課せられる制度(Clean Car Standard )があります。 しかし、消費者の購入価格に直接的には影響しないので、ここでは割愛します。 ■最後に 同じ時代、同じ時間を切り取っても、使用用途などの国民性やライフスタイルであったり、税制/仕組みなどが変わるだけで「ここまで違うのか」と驚かれたのではないかと思います。 ちなみに、製造後20年を超えるようないわゆる「旧車」に関しては、ニュージーランド最大のオークション/広告サイト「Trade Me」(https://www.trademe.co.nz/)の自動車セクション“Motors”を覗いてみてください。 少し検索するだけでも、きっと面白いですよ。 いずれ、ニュージーランドでクルマを買い、日本に送るということも記事化しようと思っています。 ご期待ください。 [撮影・ライター / tomato]
アメリカの自動車登録に関する規定は、50州ごとで異なります。 排気ガスに関する規定はそのうちのひとつで、もっとも厳しいのはカリフォルニアではないでしょうか。 ■20数年前のLA近郊はスモッグで街全体が煙に包まれたかのよう 私がアメリカに来たころ(二十数年前)のLA近郊は、スモッグにより街全体が煙に包まれたような日がありましたが、排気ガスの規制が年々厳しくなったり、古いクルマが徐々に少なくなっていったことで改善されていった気がします。 ▲キレイな夕焼けも見せてくれます その頃はまだまだ70年代、80年代のクルマがバリバリ走っていましたし、スモッグチェック(排気ガスの検査)が通らないクルマでも見逃してくれる業者がいたほどです(当時、私は75年式のモンテカルロに乗っていました)。 今はシステムがテスト業者とDMV(日本の陸運局にあたるところ)で直結になったので、そんな裏技をする(してくれる)業者はかなり少なくなったと思います。 しかし、今でもたまに程度良く維持されている初代シビックや、初代プレリュード(ホンダが多い)が元気に走っている姿を見かけます。 新車登録の際、カリフォルニアにおける排気ガス規定(Emission Standard)はとても重要で、州内のメーカーディーラーから購入する場合であれば、当然販売ディーラーは州内における登録を前提としているので問題はありません。 ただし州外のディーラーから購入する際は、カリフォルニア適応、もしくは50州適応のクルマかどうかしっかりと確認する必要があります。 今まで州内・州外ディーラーどちらとも取引をしましたが、メーカーディーラーで働いている販売営業の人間は知識が乏しいため、念には念を入れないとあとで大変面倒なことになります。 カリフォルニアの排気ガス規定に適合するかは、エンジンルーム内にあるEPAステッカーで確認できます。 ▲こちらがEPA ステッカー。今はほとんどのメーカーが、初めからCalifornia Emission Standardになっているようです ■厳しい排ガス規制が、LAの人々の環境に対する意識を高めた この排気ガス規制の厳しい環境だからこそ、LAの人々の環境に対する意識は他州よりは高く、『環境に配慮していることを他者へアピール』⇒『スマートなイメージ』の図式があるように感じます。 このような土壌のなかで、EV、特にテスラは着実にLAでのシェアを獲得しています。 数年前は、日本同様とにかくプリウス(先々代)の数が多く、信号待ちで「四方八方プリウスに囲まれている!」ってことがよくありました。 それが最近はテスラになっています。 前は、Model 3、左右がModel Y、後ろはModel Xといった風に。 アメリカ企業であり、強烈なカリスマ性のあるイーロン・マスクに惹かれる【愛国心の強さ】+【トレンドに敏感】な人々が、それまで乗っていたクルマ(日本、ヨーロッパメーカーが多い)から乗り換えるパターンが多いように思います。 実際、最近私のご近所さんも、1件はレクサス ES300からModel 3へ、もう1件はそれまでトヨタばかり4台所有していたのに、5台目としてModel 3を増車しました。 州のEV購入支援(最大$7,500の税金控除)や、Car Pool(相乗りレーン)の一人乗車での使用可能(テスラは2023年度モデルまで)も、人々の購入を後押ししていると思います。 また私が感じるに、アメリカの人、特にLAの人々はとてもフェアで、合理的な考えを持っています。 なのでとてもフレキシブル。 自分たちの生活に合っていて、それがトレンドや時流に合っていれば、それを選択するのです(なかには、「うちは絶対フォード (シェビー)しか買わない!」という人もいますが…)。 テスラを追随するように、Lucid、Rivian、Polester、FiskerなどEVに特化したメーカーの参入、また大手メーカーも次々とEVのラインナップを投入してしのぎを削っている状況ですが、最近そのなかでも韓国メーカーの台頭が目立ちます。 ▲Rivian R1T ▲Rivian R1S。かわいい外見ですが、実用性も高いです ▲RivianはAmazonデリバリーバンも製造しています ■韓国の自動車メーカーはとにかくマーケットへの対応が早い! 以前から感じていましたが、韓国メーカーはとにかくマーケットへの対応が早いのです! マイナーチェンジも頻繁に行い、消費者に対して常に目新しさを提供してきますし、EVに関しても次々と新しいモデルを投入し、キャッチーなデザイン、標準装備の多さ、どのメーカーよりも長いWarrantyでLAの人々に受け入れられている感があります。 ですが従来からのアメリカンメーカーも負けていません。 以前はシェルビーのVoltとBoltくらいしか見かけませんでしたが、フォード F-150 Lighting、Mach-Eも、よく見かけるようになりました。 【ブランド】+【デザイン】でポジションを確立しているヨーロッパメーカーには、やはり安定の強さがあります。 特にメルセデス・ベンツのEQシリーズ、ポルシェ タイカンも増加中。(このあたりはテスラのModel S/Xと価格帯がかぶるのでしょうか) 私は日本人として、やはり日本メーカーに頑張ってもらいたいと心より思っているのですが、100% EVの選択肢がまだ少ないのが現状です。 ・トヨタ bz4x (252miles)・日産 Ariya (304miles)・日産 Leaf (149miles)・マツダ MX-30 (100miles!?)・スバル Solterra (228miles)※カッコ内は市街/ハイウェイを合わせた平均走行可能距離(ちなみにTesraはほぼ300マイル/約483キロ超え) Youtube ShortのレビューでもAriya以外は結構酷評…。 コロナの影響をもろに受けた人も多いなか、印象としては好景気が続き、人々のインカムは上昇。 利上げの影響すら、一部の人にはあまり大きな影響を与えていないようで、10万ドルを超えるEVの需要も確実に伸びています。 ■ファミリー層でEV1台のみという家庭はかなり少数派 シングルの方は除いて、EV1台のみを所有するファミリーはかなり少なく、ほとんどが複数台所有(公共交通機関があまり便利でない+その他の理由によりetc...)という環境下、今所有しているガソリン車・ハイブリッド車からEVへの買い替えは、今後も増加いしていくと思われます。 各メーカーが在来モデルをEV化させマーケットに送り込んでくるなか、現状ハイブリッドを中心に展開しているトヨタが2026年、新しいバッテリー方式(Solid-State:全個体電池)を搭載したモデルを投入するとのこと。 今のメインストリームとなっているリチウムバッテリー搭載車勢に勝負を挑むときが非常に楽しみです。 [ライター・撮影 / Kenny.M]
去る2023年6月、フランス北西部にあるサンマロへ行った際、何台ものキャンピングカーを見つけました。 高速道路では、うしろに自転車や牽引トレーラーを積んだクルマも。 7月にもなると田舎だけではなく、パリ市内でも無意識にこういった車輌が目に入ってきます。 長くて暗い冬が開けたあとのヨーロッパの夏のバカンスは、フランス人にとって本当に大切な時期で、太陽と自然を求めて旅に出るのです。 ■ドイツのREIMOでカスタムされたフォルクスワーゲン 海辺で見つけた1990年代のフォルクスワーゲンT4ですが、レトロな緑色が駐車場のなかでもひときわ目をひいていました。 なぜでしょうか、フランスの風景には少し古臭いくらいのクルマがしっくりきます。 ぐるっと回って見ていると「REIMO」の文字を見つけました。 持ち主が近くにいる気配がなかったのでお話は聞けなかったのですが、調べてみるとドイツのキャンピングカーメーカーとのこと。 ライモ社は1980年創業の会社だそうで、サイトを見てみると、キャンピングカーシステムやキャンプ用品を幅広く取り扱っていました。 細かなアイテムも多いので、ニーズや家族構成によって車内をカスタムできるのが老舗メーカーの強みなのでしょう。 ■フランス人はキャンプが好き!? 2022年におこなわれているネットでのアンケートによると、約70%以上のフランス人が、過去5年間にキャンプ場に滞在したことがあるという結果が出ています。 特にこの間はコロナの流行もあり、フランス国内で自然に触れて過ごすバカンスが一層人気だったのかと思います。 今年の2月にパリでおこなれたクラシックカーの展示会では、クルマとともに過ごすバカンスや、キャンプの提案をしているコーナーもありました。 普通のクラシックカーの展示と違って、小道具をふんだんに使ってデコレーションされていたので、さまざまな年齢層のファンが思い思いに覗き込んでいました。 まだ雪の降る時期でしたが、私たちの気分も一気に明るくなり、次のバカンスの話に花が咲いたことを覚えています。 ▲「Si trop haine, faites l’amour(嫌っていても愛そう)」と車体に書いてありますが、コンマまでを「シ トロッ エン、」と発音するので、Citroënをもじった言葉遊びとわかります ■キャンプはバカンスの多すぎるフランスでの節約術!? 高速道路を運転していると、何台ものキャンピングカーとすれ違います。 ほとんどが年季の入った車体で、運転をしているのも60代前後のムッシュが横に奥さまを連れて…といった場面が本当に多いのです。 勝手なイメージですが、子どもの誕生とともに購入したキャンピングカーを、独立したのち、今度は夫婦水いらずでキャンプを楽しんでいる、といったイメージでしょうか。 バカンスが多いフランスでは、子どもを持つ親にとっておよそ約2ヶ月ごとにやってくる2週間ほどのバカンスを、いかに楽しく、お金をかけずに過ごすかが悩みの種です。 そうなるとキャンピングカーで過ごすバカンスは、節約をしながらも山や海など毎回違った場所へ訪れることができるので、子どもたちも飽きずに過ごせるのが利点です。 フランス国内には約3000箇所以上のオートキャンプ場があり、日本と比べると断然に多く、無料のキャンプ場もあるので敷居が高くありません。 大抵、バカンスで人気な観光地の近くには、駐車場とは別にキャンピングエリアが用意されていて、日本ほど整っていないサービスエリアの横にすら、シンプルなキャンプ場が準備されています。 「aire de camping(キャンプ場)」とネットで探せば専門のサイトも見つかり、連泊できるか、水道があるか、コンセントは使えるかなど、条件に沿って検索することができます。 日本のキャンプ場ほど綺麗に整っている施設ではありませんが、自然を堪能することを提供しているフランス国内のキャンプ場には、キャンピングカーを利用して、フランス国内だけではなくベルギーやオランダからもバカンスを楽しむ家族がたくさんやってくるのです。 ▲横を通るたびに、私もキャンピングカー生活をイメージしてしまいます [ライター・写真 / スミ]
■ロンドンに導入された超低排気量ゾーンとは? ここイギリスでも、環境問題はいつも取り出されていますが、正直ドライバーにとっては痛いこともあります。 2019年からロンドンでは、ULEZ(Ultra Low Emission Zone)といって、超低排気量ゾーンというものが始まりました。 それは、このエリアを運転するときULEZ対応のクルマでなければ、税金を支払わなければいけないというものです。 このエリアは年々広がっており、今ではロンドン全域のみならず、ロンドン郊外まで拡大しています。 これがきっかけで、クルマを買い替えるオーナーが増えています。 実は私もその一人でありまして、ULEZゾーンをきちんとチェックせずに、たった数メートルその道路を走ったときにしっかりカメラで撮影され、後日罰金請求が届きました。 日本円で約8千円ほどですが、車両税に加え、毎回ロンドンに行くたびに税金がかかるのではやっていられません。 そこで、電気自動車や低排気量車に買い替えざるをえないのです。 最近はクルマを運転していると、本当に電気自動車が増えたと感じます。 目にするクルマの半分は電気自動車です。 ちなみに私のクルマはULEZ対応ではないので、ロンドンに行くときだけもう一台のULEZ対応車を使います(ULEZのためだけに買い替えました)。 ■ULEZとユーロカテゴリー では、クラッシックカーでULEZゾーンを走ると、どうなるのでしょうか? バリバリに黒いガスと騒音を出しながら走っている、とても環境にやさしいと思えないクルマですが、実は税金が「ゼロ」なんです。 1992年に「ユーロカテゴリー」というものが始まりました。 「ユーロカテゴリー」とは、排気量別にクルマをカテゴリー分けすることで納税額が決まる制度です。 クラッシックカーとよばれるクルマは、このユーロカテゴリーに当てはまらないため、税金免除となります。 要はクルマが古いので、40年以上前のものには枠がないのです。 クラッシックカーによっては、エンジンが7リットルを超えるものもありますし、私の好きな車のひとつ、ジャガーE Typeは4. 2リットルです。 こんなに大きくても税金は一切かからないんですね。 ULEZは環境問題への影響を緩和するために始まったものですが、ちょっと矛盾している気もします。 クラッシックカーファンとしては、これでもいいのかなと思ってしまいますが…。 ■クラシックカーとMOTの関係 クラッシックカーは、ULEZのみならず車両税も無料です。 例えば、クルマの製造年月が40年前のもの(1975年以前)であれば、これまた免除です。 今となればたくさんの電気自動車をみますから、高い車両税を払っている人はそれほど多くはないかもしれません。 しかし、クルマによっては今でも高額の税金を払っている人もいます。 例えば、普通車エンジン4リットルの車両税は、年間 約£520(日本円で約95,500円)です。 また、イギリスでは年に一度MOT(Ministry of Transport=陸運省)と呼ばれる、クルマのチェック(日本でいうところの車検)が義務づけられています。 これは道路を走るためにクルマが適しているかどうかというチェックをおこなうことですが、タイヤ、ブレーキの状態、ライト、ミラー、シートベルトなどのベーシックなものです。 実は、クラシックカーならば、これもまたまた免除なんです。 車両製造年月が40年前のクルマであれば、免除の対象になります。 ただ、これに関してだけは不明瞭な点がたくさんあり、誤解をしているオーナーが多いとか。 年間千人以上の人が罰金として、最大£2,500(日本円約456,000円)を科せられています。 免除になるためには、製造時よりエンジン、サスペンション、排気ガスシステムなどの、メジャーな入れ替えをしていないことが条件となっていますが、それを知らずMOTを受けずに走行し続けると、痛い目にあうようです。 こうして税金のことについて考えてみると、クラッシックカーを持つことでの利益はたくさんあるようですし、税金免除ってかなり大きいですよね。 ■免除=必ずしもお得とは限らない? 傍から見たら「オーナーはラッキーだ」なんて思われがちですが、実はその逆で、なんでもそうですが、古いものをいい状態で保つのは簡単ではありません。 特にクラッシックカーに関しては、メンテナンスによってコンディションに雲泥の差がでます。 コンディションを保つために費やす費用は相当なものです。 MOTは金額的にそれほど高いチェックではありませんし、メンテナンス費用の方がはるかに金額を上回ります。 それに加え、手間と時間のかけようもかなりのものです。 まあ、趣味なのでそれに関してはクラシックカーを保有する醍醐味でもあるとは思いますが。 今後、ULEZはロンドンに限らず、いろいろな場所で始まっていくことでしょう。 ちなみにスコットランドのエディンバラでもULEZが開始しています。 さらに、罰金は増大していく可能性も大きいです。 そこで自分自身でこんな質問をしてみました。 「もし自分がどちらかを選べるとしたら?」 クラッシックカーで税金免除でいくか、それとも完全な電気自動車に買い替えて、税金ゼロでいくか?? 果たしてどちらが得なのか? 税金に関してだけ考えると答えが出ません。 でも、ほとんどのクラッシックカーオーナーはこう答えます。 「税金がかかろうがかからまいがどちらでもいい」と。 税金はたまたまフリーになっただけ。 好きなクラッシックカーを毎日眺め、磨き、そして週末だけオープンカーにして田舎町でのドライブを楽しむことが一番なんだと。 本当に納得です…。 そして、それをみて楽しむのが私なのです。 [ 画像・AdobeStock、Jaguer、ライター・SANAE]
■5ドアジムニーの祖先、ジプシー 筆者が今一番欲しいクルマ、それはスズキのジムニー5ドアだ。 もう、欲しくてたまらない。 そもそも、本格オフローダーの名を欲しいがままに、セレブリティな車両と肩を並べるその日本車が気にならないはずはないのだが...。 そんなモデルが新車で、性能を考えればそれなりにリーズナブルに登場したとなれば、興味を持ってしまうのは仕方のないことであろう。 残念ながら、国内ではまだ数万台の既存ジムニーのバックオーダーを抱えており、日本での発売は先とのことだが、今から待ち遠しい。 2023年7月現在の販売地域は、南アフリカとオセアニアなどと、生産国であるインドである。 以前の記事(https://www.qsha-oh.com/historia/article/india-car-situation/ )でも少し触れたが、スズキのインドにおけるシェアは国内トップの約40%ある。 これでも少なくなった方で、1981年にインド政府とスズキの合弁会社、マルチ・ウドヨグを設立後、1990年代にはシェアが80%を越えていた。 2006年には、インド政府が全保有株式を売却し完全民営化され、翌年現在の社名マルチ・スズキ・インディアとなった。 先述の5ドアジムニーの生産もマルチ・スズキがおこなっており、今後販売や輸入等どうなるかが楽しみだ。 マルチがジムニー系列のモデルを生産するのは今回が初めてではなく、1985年から2019年頃まで生産を続けていた2代目ジムニーのロング版「ジプシー」が存在する。 「ジプシー」のボディサイズは、全長は4010mm、全幅1540mm、全高1845mm、ホイールベースは2375mm。 日本国内でも数年前まで並行輸入されているケースもあった。 現地ではパーソナルユーズのほか、警察や軍用車両として導入されているのを見ることができる。 その信頼感は抜群のようで、かつてインド政府が掲げた”国民車構想”は深く浸透し、数十年経ってなお生き続けているように思える。 ■世界人口トップの国。その国民車 中国を抜き、いまや世界人口がトップになったインド。 まだ幹線道路は、リアカーやオートバイがひしめき合う光景も見ることができるが、片や徐々に富裕層も増え始め、街のいたるところで再開発をおこなっている光景が見られる。 カラフルなバスや装飾されたトラックも数多く見受けられるが、人々の所得が増えるほどに、各世帯へとクルマが普及していくことだろう。 なかでもマルチ・スズキの発展を支えてきたのは、同社が得意とする小型車の存在だといえる。 マルチ・ウドヨグ時代から、日本のアルトをベースとするマルチ800が、インドにおけるベーシックラインとして販売され続けてきた。 初代モデルは1983年、2代目モデルは1986年から2014年まで生産が続けられ、累計で291万台もの生産がされた。 いまだに街のなかで見かける回数が多い。 マルチスズキでは後継車にアルト800、アルトK10が存在する。 これらはインドの街中で数多く見かけることができ、まさに国民車といえる様相だ。 当然、他のメーカーも黙ってそれを見過ごすわけもなく、ヒョンデからはi10、ルノーからはKWIDなど、近年ではエントリークラスでも商品性の高い車種が増えた。 やはりベーシックカーの人気は依然高く、インドの街中をキビキビと走る小さなモデルを観測してみるのはユーザーによって改造が施されたり、ダメージを受けていたりなど...個性が際立っていてとても面白い。 トップシェアのマルチ・スズキ。 そこにラインナップされるのはベーシックカーだけではない。 街のなかではワゴンR、初代ランディをベースとしたEECO、マルチパーパスカーのエルティガ、スイフトベースのセダン、ディザイアなど、バラエティに富んだ顔ぶれだ。 また、よく街中でみかけるのは7代目キャリーをベースとしたオムニ。 2019年まで生産されてきた廉価なバンは、商用車から乗り合いタクシー、救急車にまで採用され、いまだに数多くが走っている。 ほとんどの車種がインド国内向けに特化した改良が施されており、例えば同じスイフトでも、インド向けでは装着される部品のあしらいかたに差異が感じられるのも特徴だ。 ■現地化されたトレンドのキャッチアップ もちろん、世界的なトレンドはインド市場でもキャッチアップされ、顧客の要望は高まっている。 インドのマネサール工場で生産され、日本へも2020年まで輸入されていた、初代・スズキバレーノ。 インド人の知人に、現地で感じるバレーノの様子を伺うと 「インドでは一般の人にとってクオリティの高い上級車種として捉えられていると思う。特にデザインはカッコいいと思っているけど、自分のような若手のビジネスマンにとってまだ新車では難しいね。」 と教えてくれた。 現在も2代目のバレーノ、そしてOEM車種として、トヨタからはグランツァ(なんと南アフリカ向けの輸出名はスターレットとして販売)が発売されている。 2015年より、マルチ・スズキはインド向けの高級販売チャンネル「NEXA」を立ち上げ、バッレーノを筆頭に上級セダンのシアズ、SUVのフロンクスやグランドビターラなどもラインナップさせている。 現状、インドにおけるスズキブランドの最高級車ジムニーもNEXAでの取り扱いだ。 ディーラーのなかはさながら輸入車ディーラーのようであり、ストリートの雑然とした雰囲気とは一線を画す。 これからもどんどん増えていくと予想される、世界を向いたインドの若い層に響くクルマづくりは欠かせないことであろう。 ベーシックカーから顧客のニーズに応える上位車種まで、インド国内の世相を読み取りながら発展するスズキの動向に、今後も目が離せない。 [ライター・撮影 / TUNA]
日本にいたころは、まったくといっていいほどクルマに関心がありませんでした。 公共交通機関が充実している、都会での暮らしに必要性を感じなかったからです。 しかし、ベルリンへ移住してから、道沿いにさり気なく駐めてあるクラシックカーのデザインに一目惚れしました。 もともと、ファッションやインテリアのアンティークやヴィンテージが大好きだった筆者にとっては新たな発見であり、クラシックカーどころかクルマのことなどほとんど知らない素人ですが、ベルリンの街でクラシックカーを見かけるたびに、スマホで写真を撮るようになったのです。 そんなある日、友人から「ヒストリックカー」の存在を教えてもらいました。 ■"H"マーク付きのヒストリックカーとは? ドイツのクラシックカーが好きな人であれば誰でも知っているかと思いますが、ヒストリックカーとは、ナンバープレートに”H”マークが入っているクラシックカーのことを指し、正式に認定されている年代もののクルマを意味します。 生産されてから30年以上経過している、オリジナルの状態が保たれている、走行に支障をきたす欠陥がないと判定された状態であるなど、条件を満たしたクルマのみが認定資格を持てるのです。 この”H”マーク付きのヒストリックカーを見つけると、自然に憧れと尊敬の眼差しを向けるようになりました。 ちなみに、連邦自動車交通局(KBA)調べによると、2022年におけるドイツ国内でのHナンバー登録数は648,365台とのことで、前年より10%も増えているそうです。 ベルリンの街を歩いているだけでも頻繁に見かける理由がよくわかりますね。 では、実際にはどんなクラシックカーがベルリンでは人気なのでしょうか? 街中で見かけたクルマを写真とともに紹介していきたいと思います。 ■メルセデス・ベンツ ミディアムクラス 300D やはり一番人気は、ドイツ車三大メーカーのトップ、メルセデス・ベンツです。 筆者の住むプレンツラウアーベルク地区だけでも、続けてすぐに発見できました! 1985年~1989年に生産されていた、メルセデス・ベンツ ミディアムクラス 300Dは、四角くて、コロンとしたフォルムが特徴的でレトロな印象を受けます。 無駄のないシンプルなデザインが男性に人気がありそうです。 清潔感のあるホワイトカラーもいいですね。 ■メルセデス・ベンツ W123 230E こちらは、大人気のメルセデス・ベンツW123シリーズの、最終モデルとして生産されました。 1976年から1985年に生産されていたW123シリーズは、街中でもよく見かけますが、メルセデス・ベンツならではの圧巻の存在感と、よりクラシックなフォルムと高級感漂うデザインが、個人的にもかなり好みです。 ■フォルクスワーゲン ゴルフガブリオレ 同じくドイツメーカーのフォルクスワーゲンも大人気で、ゴルフガブリオレと、作業用としてよく活用されているバンを見かける機会が多いです。 ビートルの後継者としてゴルフカブリオレが誕生したのは1979年で、コンパクトなサイズと見た目のかわいさで、女性にとても人気があります。 定番のブラックも人気ですが、筆者としてはレッドやブルーといった、発色の良いカラーが目を引きます。 ベルリンでは、住宅の前にクルマがズラリと並んでいる光景が日常的ですが、並んでいるクルマを見るとクラシックカーに限ったことではなく、メルセデス・ベンツとフォルクスワーゲンが圧倒的に人気なのが一目瞭然です。 ドイツの国産車だから当然ではありますが、その中にクラシックカーがさり気なく紛れ込んでおり、街の景観を美しく演出しています。 ちなみに、ベルリンでは駐車禁止地域以外であれば、基本的に路上駐車が可能となっています。 ただ、埋まっていることがほとんどのため、空きスペースを探すのは至難の技です。 ■ジャガー XJS ハイブランドショップが立ち並んでいることでも有名な、ベルリン随一のショッピング通り、通称“クーダム”で発見したジャガーのクラシックカー。 ドイツの国産車がトップの人気を誇るなか、イギリス産のジャガーと出会えたのは嬉しかったです。 ごくたまに見かけますが、レトロフューチャーなフォルムと渋いカラーがたまりません。 ■マセラティ 222 同じくクーダムの近辺で発見したのが、イタリア産のマセラティです。 1914年操業と、100年以上もの長い歴史を誇り、高級スポーツカーとして人気を博しています。 記憶が正しければ、筆者はこの日初めてマセラティを見ましたが、フロントの渋さと、バックスタイルでさり気なくブランドを語るかのようにロゴを入れたデザインが、ステキだと思いました。 ■おわりに クルマの国ドイツであっても、意識して見なければクラシックカーに気付かないかもしれません。 しかし、街中を隈なく探すと、持ち主のこだわりや個性の見えるデザイン性の高いクルマと出会うことができます。 特に筆者は、メーカーよりもフォルム、デザイン、カラーに魅了されることが多く、いつの年代に生産されたのか、その時代のトレンドはどんなデザインだったのか、時代背景はどんなだったのか、そんなことに想像を膨らませています。 これからも、ベルリンの街でステキなクラシックカーにたくさん出会えることを楽しみにしています。 [ライター・撮影 / Kana]
皆様はドイツにおけるHナンバー制度をご存知だろうか。 日本でクラシックカーのイメージといえば、税金が高く、維持するのも一苦労。 …といったところだろうか。 初年度登録から13年以上経過したクルマは自動車税が大幅に上がってしまうのが現実だ。 そんなクラシックカーのイメージを覆す制度がここドイツには存在する。 それがこのHナンバー制度だ。 今回は、クラシックカー大国といわれるドイツにて導入されている「Hナンバー制度」について解説していく。 ■1.Hナンバー制度とは 1997年1月1日より、自動車の文化遺産を保護するために導入された。 HナンバーのHとはドイツ語で「Historisch」(歴史的)という意味を表し、ナンパプレートの右側にHが記されるのだ。 ドイツでは一般的に、初年度登録から30年が経過すると、クラシックカーと呼ばれるようになる。 そしてこの国では、クラシックカーの文化を維持するために、Hナンバープレートを取得すると、税負担の軽減などの恩恵が受けられるようになる。 つまり、新しいクルマよりも維持費が安くなるのだ。 なんて素晴らしい制度なんだ。 もちろん、30年経過したクルマが全てこのHナンバーを取得できるかと言われると、そうではない。 このナンバーの取得に際しては、ほぼオリジナルの状態であること、または専門的に修復された車両のみに与えられる。 Hナンバーを取得したクルマだけが、真のクラシックカーとなるのだ。 ■2.自動車税は一律3万円! 前述でも述べたとおり、Hナンバーを取得するのは簡単ではない。 まずは大前提として自動車保険に加入しており、車検が有効である状態でなれければならない。 その後、専門家によるクラシックカーの査定、主な検査を行ってもらい、クラシックカーレポートを取得する。 このレポートや車検証などの必要書類を準備し、登録事務所へと提出する。 ここでHナンバーの基準をクリアすることができれば、晴れて登録が完了するというわけだ。 実際に査定や登録などの費用は車両の状態などにより異なるが、おおよそ300〜400€(現在のレートで約6万円)ほどの費用がかかってくる。 それ以降、年間の税金は排気量に関係なく、一律191.73€(現在のレートで28,759円)となっている。 日本では13年以上経過したクルマで、例えば排気量が3000ccの場合、66,700円にもなってしまう。 Hナンバーの税金が実に安いことをお分かりいただけるだろう。 ちなみに、オートバイにもHナンバー制度は導入されており、この場合の税金は一律46.02€(現在のレートで6,903円)となっている。 ■3.ドイツで30年以上経過したクルマは100万台以上!? 連邦自動車交通局(KBA)の調べによると、2022年1月1日、ドイツでは30年以上経過したクルマが100万台を超えた。 そのうち、Hナンバーのクルマが648,365台も登録されている。 Hナンバープレートの普及率は驚異の57.3%だ。 これは、古い車の所有者の半数以上が、クラシックカーとして登録していることを示している。 クラシックカーの在庫はここ25年間で常に増加傾向にあり、ドイツにおけるクラシックカー人気は今もなお上昇し続けているのだ。 最も人気のあるクラシックカーは、メルセデス・ベンツW124、SLクラス、 フォルクスワーゲンビートル、バスとなっている。 ■まとめ 結果的にHナンバー制度は大成功のモデルとなった。 クラシックカー愛好家は、環境保護区域内でも自由に運転することができ、税金を安く抑えることができるため、Hナンバーを取得しない理由はない。 クラシックカーは自動車の歴史そのものであり、古くなったら終わりではなく、古いからこそ価値があるのではないだろうか。 また、ドイツにおける自動車文化遺産を保存し、維持する姿勢にも素晴らしいものを感じる。 著者は日本にも導入してほしいと切実に願っている。 [ライター・撮影 / 高岡 ケン]
イタリアで、いや欧州で、いやもしかしたらファンの間では世界的に有名かもしれない「Alfa Blue Team」のコレクションを見学に行くことができたので、今回はその様子をお届けしたいと思います。 ■Alfa Blue Teamとは? 「Alfa Blue Team」はアルファ ロメオ公認のクラブで、会員はイタリア国内だけにはとどまらず、世界中にいるそうです。 彼らはビンテージアルファ ロメオのコレクションを行っている団体で、廃車となったクルマを改修したり、あるいはオーナーから買い取るなどしてそれらを集めています。 まずは彼らのコレクションを紹介します。 ■Alfa Blue Team珠玉のコレクション 建物へ入ると、すぐに大量のアルファ ロメオたちが整然と並んでおり、私たちの到着を歓迎してくれているように感じました。 こちらの「BALDUZZI」のエンジンを搭載したGiulia TZは世界に数十台しか存在しないそうです。 大人気のジュリエッタ系も、所狭しと鎮座しています。 2階には主にGTシリーズが約20台展示されており、この景色は圧巻です。 この建物だけではなく、別の建物にもコレクションがあります。 そちらには、アルファ ロメオのトラックやバス、出店用の車輛等も展示されていました。 アルファ ロメオの大型バス、超レアだと思うのですが、皆さんは見たことがありますか? なかも見せてもらいましたが、非常にシンプルでスタイリッシュな感じです。 バスもトラックも、スポーティーなアルファロメオの印象とは少し離れ、親近感が湧くような可愛らしい容貌です。 もちろん、この施設内には整備場も隣接しており、テクニシャンたちがここでクルマを一台一台丁寧に生き返らせています。 テクニシャンにも話を聞いてみると、「下手に修理されているクルマがよくある。そういったクルマの修理が実に大変なんだ」と少し不満を漏らしていましたが、彼らは皆生き生きとした目をしていました。 この仕事が好きで、アルファ愛が止まらない方たちなのだな、と感じました。 ここで生き返ったクルマたちは販売されたり、コレクションに追加されたりするようです。 ■代表・アレッサンドロさんに直撃インタビュー さて、現在のAlfa Blue Teamの代表のアレッサンドロさんがお忙しいなか、インタビューに応じてくれました。 アレッサンドロさんは創設者の息子さんです。 ●クルマに同じ情熱を持つ日本人に対してどのようなイメージを持っていますか? まずいえることは、イタリア国外のアルフィスティ*はより「アルフィスティ」なんです。例えばドイツやオランダ、ベルギーのアルフィスティたちはより本格的で、アルファ ロメオに対して非常に強い情熱があるように思います。一方で、アメリカや日本等のヨーロッパから離れた大陸では「遠い国のエキゾチックさ」をアルファロメオに感じ、それに向かって脚を伸ばしているという印象があります。*Alfisti(アルフィスティ)=アルファロメオファンのことを指します。 ●あなたにとってアルファ ロメオの魅了とは何ですか? アルファ ロメオは歴史に名を刻むブランドです。機械的、パフォーマンス的、スポーティなボディ、美的に完璧なブランドなのです。それは、アルファロメオが1920年ごろに航空技術を世界的に牽引していたこと、過去にレース界で多くの勝利を収めてきた事実から明言できますよね。また、ビンテージアルファロメオは、何千ユーロとする高額なものもあれば、少額で手にすることができるものもあるんです。つまり、アルフィスティには手の届く範囲でビンテージのアルファロメオが存在しているということ。あなたがお金持ちだろうとそうでなかろうと、あまり関係ないのです。 ●ブルーチームではなぜビンテージアルファ ロメオのコレクションを始めたのですか? 1957年に私の叔父が、ジュリエッタを購入したのが始まりです。それは私の父が5才のときの話で、彼はそのジュリエッタに恋に落ちるかのように愛したのです。ときが経ち、父は高校の同級生で、アルファ ロメオに情熱を持った仲間どうしで集まるようになり、中古のアルファ ロメオを集めるようになりました。父は18才のとき、彼にとって初の愛車となるジュリアSSを購入し、その後、廃車場で見つけたジュリエッタ スプリント ザガートを2台目のクルマとして迎え入れました。その翌年、父がアルファ ロメオのコレクションをするために、このブルーチームを立ち上げたのです。当初は、友人間でコレクションを愉しむほどでしたが、その活動の領域は広がっていき、父は友人と街に出て、アルファ ロメオを見つけては、「もしこのクルマを売りたかったら、私たちが買い取ります」と書いた札をクルマの窓に貼り付けるなど、地道な努力をしていたそうです。コレクションの置き場所を確保するのに、1981年に元工場を買い取り、ブルーチームのコレクションを収納することにしました(それが現在のブルーチームの所在地)。また、仲間たちで週に1回必ず集まり、会議をすることを鉄則とし、友が友を呼び、どんどん大きいコミュニティになっていきました。 ●もっとも好きなアルファ ロメオはなんですか? 一番はないですね、それぞれにユニークなバックグラウンドがありますから。ただ、強いて言うなら、父が一番初めに購入したジュリアSSは特別な思い入れはありますよ。もともとは赤のボディだったのですが、このようにボディを青にしたのは、父は青が好きで、自分好みにクルマを改造したのです。このクルマがブルーチームの始まりですし、名前の由来でもありますからね。 ▲アレッサンドロさんとジュリアSS ●アレッサンドロさんは日本車についてどう思いますか? アルファ ロメオは運転を愉しむために生まれたクルマで、一方、日本車はそれと真逆のコンセプトでヨーロッパに入ってきたと思います。愉しむというよりかは、移動の道具として。例えば効率が良い、ファミリーフレンドリーなデザインとかですよね。日本車の欧州での販売は、アルファ ロメオの衰退にも影響しました。日本車に搭載された新しい技術は人々にとって魅力的で、アルファ ロメオはスポーティなボディ、美しさを追求したデザインへと方向転換せざるを得なかったと思います。そういえば、日本車が持つ効率の良さとファミリーフレンドリーさを取り入れるために、日産とコラボレーションをして開発された“アルファ ロメオ アルナ”というクルマがありますが、人々に受け入れてもらえず、売れなかったクルマの一つなんて話もあります。 ●日本のアルフィスティたちに何かメッセージはありますか? 情熱を持ち続け、突き進んでほしい。応援しています! ■取材後記 私はこの訪問を通して、「アンティークカー」それは過去のものだけれど、それに携わる方々は未来を見ている、そう感じました。 未来にアルファ ロメオの素晴らしさを継承していきたい、そのハートが先を向いているのでしょう。 そして今回、アルフィスティである父も日本から来伊し、コレクション場に同行したのですが、一切イタリア語を話せない父と、一切日本語を話せいないイタリア人たちが不思議と通じ合っていたのです。 同じ情熱を持つ者どうし、言葉が通じなくても、つながっている何かがあるんだな、そう強く感じました。 ※「Alfa Blue Team」の訪問は普段20人以上の団体客しか受け入ていません。 余談:Alfa Blue Teamの駐車場でこんな標識を見つけました。 この駐車場にドイツ車を駐車したら、牽引するぞ、そんな標識です。 イタリア車とドイツ車の関係が、ユーモアによって表現されている面白い1枚でした。 [ライター・画像 / PINO]
6月上旬の週末に諸用があり、クルマでノルマンディー地方へ行くことになりました。 観光地として有名なノルマンディー地方はとても広いので、2時間ほどで着く内陸部もありますが、今回は4時間以上運転をして海岸沿いを目指します。 ■ノルマンディーの小さな街で3台のjeepと遭遇 古くてかわいらしい街並みを運転していると、チラホラとミリタリー系のクルマを見かけるようになりました。 内心古いクルマが見られるかもとワクワクしていると予感的中です。 トランという小さな街の市役所を通り過ぎた瞬間、3台のjeep御一行が駐車しているのを発見しました。 気付いたときには追い抜いていましたが、車輌だけではなくドライバーの雰囲気もすてきでしたので、折り返して私たちも駐車することにしました。 それがこちらの1944年製のjeepです。カッコイイですね。 ■1944年といえば、ノルマンディー上陸作戦がはじまった年 1944年と聞いてピンとくる方もいるかもしれません。 フランス人の旦那は、すぐに「anniversaire debarquement 6 juin!!(6月6日の記念日だ!!)」とひらめいておりました。 そうです、6月6日はノルマンディー上陸作戦が始まった日で、それに関するセレモニーがその前の週末から当日にかけて行われるということでした。 ノルマンディー上陸作戦は、第二次世界大戦中ドイツに支配されていたフランスにてアメリカ・カナダ・イギリスなどを中心とした連合国軍が、ドーバー海峡を渡ってノルマンディーに上陸した史上最大規模の上陸作戦です。 のちにパリまで解放され、終戦のきっかけのひとつにもなっているできごとです。 きれいに全塗装されている車体には、英語で「USA」とフランス語で「grabuge(騒ぎ出すぞ)」と、二か国語が混ざって書かれているのも、普段なかなか見かけない組み合わせなので歴史的な物語を感じます。 私はこのできごとの名前くらいしか聞いたことがないのですが、フランス人にとってはナチスに占領されていた自国を取り戻すことができた大切な日で、今年も当日にはフランスのマクロン大統領がノルマンディー地方を訪問され話題となっていました。 ■オーナーのひとりが1944年製のjeepに座らせてくれた この日は22℃を超える晴天でしたが、乗車されているみなさまそろって当時を意識した装いをされていました。 クルマだけではなく、タイムスリップをしたような空間に興奮をしていると、ドライバーのムッシュが助手席へ座ることを提案してくれました。 車輌は綺麗に塗装し直されていましたが、触れると熱くなっている扉やシートベルトの感触は、当時を感じさせるものでした。 彼らもその先の海岸沿いまで行き仲間と合流をするそうで、いくつかのイベントの情報を教えてくれたので、私たちも時間をみつけて立ち寄ってみることにしました。 プログラムを見てみると、日にちごとにパレードや展示などがあり、私たちはles bourses militariaというミリタリー専門のフリーマーケットへ。 当時のクルマや戦闘機のナンバープレートやシートベルトなど、コレクターの方々にはお宝であろう商品がたくさんありました。 まわりの会話を聞いていると、海外から買い付けをしに来ている人もいたようです。 たくさんの映画やドラマのテーマになっているできごとですから、ファンが多いのもわかります。 先ほど話を聞かせていただいた御一行を探したのですが、海岸沿いの会場がいくつにも分かれていたため、再会できなかったのが残念です。 しかし、偶然にもこのイベントを知って堪能できて楽しかったです。 来年はこの歴史的大作戦をおこなった年から丸80年を迎えます。 10年前の70周年記念式典では、各国より首脳が来仏し盛大なパレードがおこなわれましたから、80周年記念式典では、また一層たくさんののイベントが各地でおこなわれることでしょう。 私も次回はより早くチェックをして参加したいと思います。 [ライター・撮影 / スミ]
筆者(ライターのtomato)は、現在、ニュージーランドのオークランドに在住している。 気づけば、かれこれ7年目。 日本からの長期滞在者/永住者のなかでも中堅グループに入りつつある。 さて「ニュージーランド」という国名から、皆さんが連想するモノは一体何だろうか? ぜひ、数十秒ほど考えていただけないだろうか。 一般的には、「羊がいっぱい」、「ハチミツのマヌカハニー」、「チーズなどの乳製品」、「ワイン」、「キーウィフルーツ」、「ラグビーのオールブラックス」、「先住民のマオリ族」、「壮大な映画のロケ地」といったところだろうか。 正直なところ、ワーキングホリデーや留学などで渡航した経験がない限り、そもそもの地理的位置を含め、あまり認知されていないのが現実ではないだろうか。 ▲オークランド(出典: Pexels) ▲マウントクック(出典: Adobe Stock) ■島国「ニュージーランド」とはどのような国? ニュージーランドという島国について、簡単に概要をまとめてみた。 日本から南南東、およそ9,300㎞離れた南半球にニュージーランドは位置している。 おもに北島と南島の2つから縦長に構成され、日本との時差は+3時間(夏時間は+4時間)となっている。国土面積はおよそ27万平方キロメートルで、日本の7割ほどだ。 人口は、2022年時点で510万人強で、移民により右肩上がりで成長しているが、それでも日本人口と比較してわずか4%ほどと少ない。 最大都市は北島のオークランドで、実に人口の1/3が暮らしている。 自然豊かな国土をテコとした酪農、木材、果実などが主要産業だ。 自動車関連の真面目な話としては、季節が真逆であることを利用し、世界に名だたる自動車およびタイヤメーカーが、北半球の冬を待たずに冬季テストを行う民間試験場が南島クイーンズタウン近郊の山頂にある。 各社の要望に合わせ、「圧雪路」や「氷盤路」などを用意してくれるのだ。 開発期間を短縮できるのだから、とても重要な施設なのはいうまでもない。 なお、冗談みたいな本当の話で、稀に「オーストラリアのすぐ脇にある島国」という誤解があるが、それはオーストラリアのタスマニア島だ。 同国の東海岸とニュージーランドとの時差は2時間であり、それはタイと日本の時差と同じといえば、その距離感をご理解いただけるだろう。 少し乱暴ではあるが、「日本の本州サイズの国土に、福岡県民だけが在住し、その1/3にあたる福岡市民だけが東京都で暮らし、どの主要国からも遠い島国」というアナロジーが成立するように思う。 ■ニュージーランドのクルマ事情について そんななかで、どんな「自動車事情」を想起されるのだろうか。自動車メーカーが存在する日本やアメリカやドイツなどとは異なり、情報が極端に少ないというのが実情だ。特徴を幾つかお伝えしたい。 日本からの直行便が就航するオークランド国際空港に到着し、道路をものの5分も走ればすぐに、多くの日本人は、「何か懐かしい」とても不思議な感覚を抱くだろう。 1. 右ハンドル/左側通行 大きな要因は、第一にそもそもコモンウェルス(イギリス連邦)加盟国であるため、日本と同じく、世界では少数派といえる右ハンドル/左側通行であるためだろう。 実際、日本の運転免許証の書き換えは優遇されている。 ▲高速道路(State Highway 1) 唯一、多くの日本人が戸惑うのは、日本国内にはほとんどない円形の環状交差点「ランダバウト」が当たり前のようにあることぐらいだろう。 さまざまな意見があるだろうが、これは欧州に住んでいた頃に初めて経験したが、個人的には非常にシンプルで頭の良いシステムだと思っている。 一番のメリットは高い安全性だろう。通行車輌はどれも同じ進行方向へ走ろうとするため、理論的に(相対速度が大きくなる危険な)正面衝突が発生しえない。 信号機がないから停電にも強い。 ただ、クルマを旋回させるスペースを必要とするのと、一定の交通量を超えると、信号機の交差点に効率面で負けるのがデメリットのようだ。 ▲ランダバウト/Roundabout 2. 旧車天国(別名「日本車の墓場」とも) もうひとつ要因は、懐かしめの日本車が普通に元気に走っているためだろう。 日本とは異なり、地場メーカーや現地生産拠点が存在しないため、すべてが海を渡ってくる高価な輸入車となる。 ところが日本のような立派な鉄道網はないため、主に日本国内で5~10年ほど使用され、十分に安価になった中古車(JDM = Japanese Domestic Marketと呼称される)を大量に輸入することで、貧弱な公共交通を埋め合わせ、「国民の足」とするという構図になっている。 ▲スーパーマーケット駐車場-1(スズキ「イグニス」、フォード「レンジャー」、日産「デュアリス」、マツダ「MX-5/ロードスター」、トヨタ「プリウス」ほか) ▲スーパーマーケット駐車場-2 (マツダ「626/カペラ」、トヨタ「ラクティス」ほか) その裏付けとして、下表にある通り、日本の中古車の輸出先として、ニュージーランドはお得意様になっている。 ロシア/UAEは第三国への経由地も兼ねているのに対して、島国であるニュージーランドは終着駅だ。 したがって、10年落ち/走行距離10万キロ越えのクルマは至って普通で、誰も驚きはしない。 ある意味、日本では買い替えの目安にもなっているのだから、まさに「所変われば品変わる」だ。 なお、2022年にニュージーランドに陸揚げされた輸入新車と輸入中古車の台数比率は、車輌登録実績で、およそ60:40となっている。 その結果、ピックアップトラックや電気自動車を含めた最新の自動車と並び、多くの旧車が元気に走る独特な風景が広がっている。 さらには、イギリスの「バックヤードビルダー」文化も継承されていて、週末になるとレストアされたクラシックカーがどこからともなく湧いて出てくるのも興味深い。 ▲スーパーマーケット駐車場-3 (ホンダ「クロスロード」、トヨタ「セリカコンバーチブル」、ホンダ「シビックタイプR」ほか) ▲ぺトロールステーション (フォード「モデルAクーペ(1930年式)」) 3. ニュージーランドにおいて、クルマは「1人1台」 近年、日本では、「(特に若者の)クルマ離れ」がいわれているが、ここニュージーランドでは、起きていないように思う。それを証明する世界ランキングを2つご紹介しよう。 1つ目はクルマの保有率だ。ニュージーランドは、2022年における1,000人あたりのクルマ保有率で堂々の世界第5位に入る。 スマホ同様、ほぼ1人1台の国と解釈できる。 ちなみに、自動車検査登録情報協会「自動車保有台数(2021年)」によれば、日本は500台に満たない。 だが、裏を返せば、公共交通が貧弱なニュージーランドは、「クルマがないと不便」ということになる。 2つ目は、Confused.comというサイトが最近行った調査で、「世界でもっともクルマに頼る国」ランキングで、少し不名誉ではあるが、世界一に輝いている。 とはいえ、結果的には、ありがたいことに維持費(税金/車検)も安く抑えられている。 また、車庫証明も必要なく、複数台持つのもまったく苦にならないので、個人的には素晴らしい国だと感じている。 ■ニュージーランドで懐かしい日本車と感動の再会 以上のことから、ニュージーランドは「クルマ好きが大好きになる国」だと筆者は自負している。 これを機に「ドライブ旅行してみたいな」と思っていただけたのなら、嬉しい限りだ。 日本ではあまり見かけない旧車に会えるのはもちろん、日本から大量の中古車を輸入しているのだから、皆さん自身や両親や友人が所有していたクルマたちは、かなりの高い確率でニュージーランドに来ているはずだ。 「愛車に再会できるかもしれない」。 そんな楽しみを持って、ニュージーランドに渡航されるのはいかがだろうか。 [画像/Pexels、Adobe Stock・ライター・撮影/tomato]