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懐かしい日本車と再会できる国「ニュージーランド」現地レポート
海外現地レポ 2023.06.09

懐かしい日本車と再会できる国「ニュージーランド」現地レポート

筆者(ライターのtomato)は、現在、ニュージーランドのオークランドに在住している。   気づけば、かれこれ7年目。 日本からの長期滞在者/永住者のなかでも中堅グループに入りつつある。   さて「ニュージーランド」という国名から、皆さんが連想するモノは一体何だろうか?    ぜひ、数十秒ほど考えていただけないだろうか。   一般的には、「羊がいっぱい」、「ハチミツのマヌカハニー」、「チーズなどの乳製品」、「ワイン」、「キーウィフルーツ」、「ラグビーのオールブラックス」、「先住民のマオリ族」、「壮大な映画のロケ地」といったところだろうか。   正直なところ、ワーキングホリデーや留学などで渡航した経験がない限り、そもそもの地理的位置を含め、あまり認知されていないのが現実ではないだろうか。   ▲オークランド(出典: Pexels)   ▲マウントクック(出典: Adobe Stock)   ■島国「ニュージーランド」とはどのような国?   ニュージーランドという島国について、簡単に概要をまとめてみた。   日本から南南東、およそ9,300㎞離れた南半球にニュージーランドは位置している。   おもに北島と南島の2つから縦長に構成され、日本との時差は+3時間(夏時間は+4時間)となっている。国土面積はおよそ27万平方キロメートルで、日本の7割ほどだ。   人口は、2022年時点で510万人強で、移民により右肩上がりで成長しているが、それでも日本人口と比較してわずか4%ほどと少ない。   最大都市は北島のオークランドで、実に人口の1/3が暮らしている。   自然豊かな国土をテコとした酪農、木材、果実などが主要産業だ。 自動車関連の真面目な話としては、季節が真逆であることを利用し、世界に名だたる自動車およびタイヤメーカーが、北半球の冬を待たずに冬季テストを行う民間試験場が南島クイーンズタウン近郊の山頂にある。   各社の要望に合わせ、「圧雪路」や「氷盤路」などを用意してくれるのだ。   開発期間を短縮できるのだから、とても重要な施設なのはいうまでもない。   なお、冗談みたいな本当の話で、稀に「オーストラリアのすぐ脇にある島国」という誤解があるが、それはオーストラリアのタスマニア島だ。   同国の東海岸とニュージーランドとの時差は2時間であり、それはタイと日本の時差と同じといえば、その距離感をご理解いただけるだろう。   少し乱暴ではあるが、「日本の本州サイズの国土に、福岡県民だけが在住し、その1/3にあたる福岡市民だけが東京都で暮らし、どの主要国からも遠い島国」というアナロジーが成立するように思う。 ■ニュージーランドのクルマ事情について   そんななかで、どんな「自動車事情」を想起されるのだろうか。自動車メーカーが存在する日本やアメリカやドイツなどとは異なり、情報が極端に少ないというのが実情だ。特徴を幾つかお伝えしたい。   日本からの直行便が就航するオークランド国際空港に到着し、道路をものの5分も走ればすぐに、多くの日本人は、「何か懐かしい」とても不思議な感覚を抱くだろう。 1. 右ハンドル/左側通行 大きな要因は、第一にそもそもコモンウェルス(イギリス連邦)加盟国であるため、日本と同じく、世界では少数派といえる右ハンドル/左側通行であるためだろう。   実際、日本の運転免許証の書き換えは優遇されている。   ▲高速道路(State Highway 1)   唯一、多くの日本人が戸惑うのは、日本国内にはほとんどない円形の環状交差点「ランダバウト」が当たり前のようにあることぐらいだろう。   さまざまな意見があるだろうが、これは欧州に住んでいた頃に初めて経験したが、個人的には非常にシンプルで頭の良いシステムだと思っている。   一番のメリットは高い安全性だろう。通行車輌はどれも同じ進行方向へ走ろうとするため、理論的に(相対速度が大きくなる危険な)正面衝突が発生しえない。   信号機がないから停電にも強い。   ただ、クルマを旋回させるスペースを必要とするのと、一定の交通量を超えると、信号機の交差点に効率面で負けるのがデメリットのようだ。   ▲ランダバウト/Roundabout 2. 旧車天国(別名「日本車の墓場」とも)   もうひとつ要因は、懐かしめの日本車が普通に元気に走っているためだろう。   日本とは異なり、地場メーカーや現地生産拠点が存在しないため、すべてが海を渡ってくる高価な輸入車となる。   ところが日本のような立派な鉄道網はないため、主に日本国内で5~10年ほど使用され、十分に安価になった中古車(JDM = Japanese Domestic Marketと呼称される)を大量に輸入することで、貧弱な公共交通を埋め合わせ、「国民の足」とするという構図になっている。   ▲スーパーマーケット駐車場-1(スズキ「イグニス」、フォード「レンジャー」、日産「デュアリス」、マツダ「MX-5/ロードスター」、トヨタ「プリウス」ほか)   ▲スーパーマーケット駐車場-2 (マツダ「626/カペラ」、トヨタ「ラクティス」ほか)     その裏付けとして、下表にある通り、日本の中古車の輸出先として、ニュージーランドはお得意様になっている。   ロシア/UAEは第三国への経由地も兼ねているのに対して、島国であるニュージーランドは終着駅だ。 したがって、10年落ち/走行距離10万キロ越えのクルマは至って普通で、誰も驚きはしない。   ある意味、日本では買い替えの目安にもなっているのだから、まさに「所変われば品変わる」だ。   なお、2022年にニュージーランドに陸揚げされた輸入新車と輸入中古車の台数比率は、車輌登録実績で、およそ60:40となっている。   その結果、ピックアップトラックや電気自動車を含めた最新の自動車と並び、多くの旧車が元気に走る独特な風景が広がっている。   さらには、イギリスの「バックヤードビルダー」文化も継承されていて、週末になるとレストアされたクラシックカーがどこからともなく湧いて出てくるのも興味深い。     ▲スーパーマーケット駐車場-3 (ホンダ「クロスロード」、トヨタ「セリカコンバーチブル」、ホンダ「シビックタイプR」ほか)   ▲ぺトロールステーション (フォード「モデルAクーペ(1930年式)」)   3. ニュージーランドにおいて、クルマは「1人1台」   近年、日本では、「(特に若者の)クルマ離れ」がいわれているが、ここニュージーランドでは、起きていないように思う。それを証明する世界ランキングを2つご紹介しよう。   1つ目はクルマの保有率だ。ニュージーランドは、2022年における1,000人あたりのクルマ保有率で堂々の世界第5位に入る。   スマホ同様、ほぼ1人1台の国と解釈できる。   ちなみに、自動車検査登録情報協会「自動車保有台数(2021年)」によれば、日本は500台に満たない。     だが、裏を返せば、公共交通が貧弱なニュージーランドは、「クルマがないと不便」ということになる。   2つ目は、Confused.comというサイトが最近行った調査で、「世界でもっともクルマに頼る国」ランキングで、少し不名誉ではあるが、世界一に輝いている。   とはいえ、結果的には、ありがたいことに維持費(税金/車検)も安く抑えられている。   また、車庫証明も必要なく、複数台持つのもまったく苦にならないので、個人的には素晴らしい国だと感じている。   ■ニュージーランドで懐かしい日本車と感動の再会   以上のことから、ニュージーランドは「クルマ好きが大好きになる国」だと筆者は自負している。   これを機に「ドライブ旅行してみたいな」と思っていただけたのなら、嬉しい限りだ。   日本ではあまり見かけない旧車に会えるのはもちろん、日本から大量の中古車を輸入しているのだから、皆さん自身や両親や友人が所有していたクルマたちは、かなりの高い確率でニュージーランドに来ているはずだ。   「愛車に再会できるかもしれない」。   そんな楽しみを持って、ニュージーランドに渡航されるのはいかがだろうか。   [画像/Pexels、Adobe Stock・ライター・撮影/tomato]    

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