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例年であれば11月に開催されるエキサイティングポルシェ(旧エキサイティングポルシェミーティング)。2007年以来、知る限りでは初となる暑い時期の開催となったエキサイティングポルシェ。エアコンレス&ほぼエアコンレスのポルシェにはしんどいかと思いきや…。 開催当日の9月1日は雨。しかも日本中を混乱させた迷走台風10号のおかげで高速道路は通行止め、東海道新幹線が開業以来ここまで営業運転に支障が出たのは初とのこと。エントリーしたオーナーとしては参加したいけれど、高速道路が通行止めで泣く泣くエントリーを断念したケースも相次いだ。 それでもなんとかエキサイティングポルシェは無事に開催することができた。こうして、100台以上のポルシェが今年も横浜赤レンガ倉庫に集結した。 ■「エキサイティングポルシェ」とは? エキサイティングポルシェ(EXCITING PORSCHE/EXP)とは「オーナーの大切な愛車、自慢の愛車をお披露目する場」であるということ。横浜赤レンガ倉庫に愛車であるポルシェを1日展示できるいわば「晴れ舞台」だ。初開催は2007年。当初は「エキサイティングポルシェミーティング(EXCITING PORSCHE MEETING/EPM)」だったが、6年前に現在のイベント名へと改称している。 エキサイティングポルシェの参加台数は150台前後。先着順のため、エントリー開始から数時間で枠が埋まってしまうほどの人気イベントだ。当日、雨のなか横浜赤レンガ倉庫に集結した100台以上のポルシェを可能な限り撮影したので、モデルごとに分けて紹介する。 ■エキサイティングポルシェ2024:ポルシェ911(ナロー)編 エントリーリストには356やナローポルシェをはじめとする多くのクラシックポルシェがエントリーしていた。そのなかには356Pre-AやカレラRS 2.7なども含まれる。イベント当日朝の雨もあり、多くのオーナーが参加を断念したようで、今回のエントリーは少なめであった。 ■エキサイティングポルシェ2024:ポルシェ911(930)編 1974年のデビューから今年はちょうど50年。アニバーサリーイヤーということもあり、雨にも関わらず数多くの930型がエントリー。初期のモデルからカレラ、ターボとさまざまな930が集結。なかにはフラットノーズや'74RS 3.0ルックと思しき個体もエントリーしているあたり、エキサイティングポルシェならではといえるだろう。 ■エキサイティングポルシェ2024:ポルシェ911(964)編 例年はエントリー台数が多いはずの964型も、今年は少なめ。気づけば30年選手のモデルだけに、雨の日はエントリーを断念した個体がいたのかもしれない。それでも、年々貴重な存在となりつつあるオリジナル度高めの個体や、シュトロゼックのコンプリートモデルもエントリーしていた。 ■エキサイティングポルシェ2024:ポルシェ911(993)編 964型と同様に、エントリー台数が多いはずの993型も今年は少なめ。イベント常連の993GT2も今年は不参加。今回エントリーしていた993はいずれも独自のモディファイを加えた個体が中心だった。空冷最後の911だけに、964と同様に雨によるエントリーを断念した個体が多かったのかもしれない。 ■エキサイティングポルシェ2024:ポルシェ911(996)編 エンジンが水冷化された初の911でもある996型。このモデルも気づけばクラシックポルシェの仲間入りしている。今となっては懐かしさすら感じる前期モデルのカレラ(992型に比べると小さく見える)や、GT3およびGT2、ゲンバラのコンプリートモデルもエントリーしていた。若い世代のオーナーも見掛けたので、今後の盛り上がりに期待したいところだ。 ■エキサイティングポルシェ2024:ポルシェ911(997)編 2004年にデビューした997型も、いまやクラシックポルシェのカテゴリーに属するモデルとなった。昨年と同様に今年も997型のエントリーは少なめ。ターボやGT3などのスペシャルモデル以外に、独自のモディファイを加えた個体もエントリーしており、見応えのあるカテゴリーだった。 ■エキサイティングポルシェ2024:ポルシェ911(991)編 近年のエキサイティングポルシェでは勢力を拡大中(?)の991型。今年もエントリー台数が多く、さまざまなモデルを見比べるほど。中古の911を購入するとなると、991型が魅力的なポジションにあるのかもしれない。前期/後期モデル、ターボ、GT3、RUFなど、バラエティ豊かなカテゴリーであった。 ■エキサイティングポルシェ2024:ポルシェ911(992)編 そして現行モデルにあたる992型。最新のGT3RSがエントリーしており、注目を集めていた。その他、タルガやカブリオレ、カレラTなど、数は少ないながらも珍しいモデルがエントリー。今後、台数が増えていくことが予想されるので、来年以降のエキサイティングポルシェに期待したい。 ■エキサイティングポルシェ2024:ポルシェ924/944/928編 常連組の924が今年も雨のなかエントリー(おつかれさまでした!)。944が4台、928が2台集まるのも、エキサイティングポルシェならではの光景。今回は968のエントリーがなかったので、オーナーの方、来年のエキサイティングポルシェへのエントリーをお願いします! ■エキサイティングポルシェ2024:ポルシェボクスター&ケイマン編 年々、参加台数が増えつつあるボクスター&ケイマン。初代ボクスター(986型)が参加しているかと思いきや、スパイダーRS、ケイマンGT4などが展示されていたり。レアなモデルの個々の違いを見比べられるのもエキサイティングポルシェならではの光景といえる。 ■エキサイティングポルシェ2024:ポルシェタイカン&パナメーラ編 エキサイティングポルシェ2024では、タイカンとパナメーラが1台ずつエントリー。セダンということもあるけれど、この2台は911などと並べるととにかく大きいことに気づかされる。それほどクルマに詳しくない人でも、タイカンやパナメーラを見れば何となくポルシェっぽいデザインと思わせる力量はさすがだ。 ■エキサイティングポルシェ2024:ポルシェライフを支える各ショップ 年代やモデルを問わずポルシェライフを支える各ショップも、雨のなかブースを出展。普段はネットでしか見られないアイテムを直に触れることができたり、なかには掘り出しモノがあったり…。普段聞けないこと、疑問に思っていることをプロフェッショナルに相談できるまたとない機会でもある。ポルシェオーナーはもちろんのこと、ポルシェオーナー予備軍の方も多いに参考になるので、次回の開催時には思い切って疑問や質問をぶつけてみてはいかがだろうか。 ■エキサイティングポルシェ2024:まとめ 台風くずれの熱帯低気圧が接近し、イベント当日の午前中は強い雨にも見舞われたエキサイティングポルシェ2024。例年とは異なり9月上旬の開催なので、肌寒さを感じることがなかった分、蒸し暑いくらいの気候だった。 エキサイティングポルシェに限らずだが、イベントの運営スタッフが全力で頑張ったとしても、一部の参加者やギャラリーの迷惑行為が決定打となり、来年以降の開催ができなくなってしまう。 毎年、主催者が運営会社に申請し、許可がおりてはじめてエキサイティングポルシェの開催が決まる。つまり、次回も必ず開催できるとは限らないのだ。これはエキサイティングポルシェにエントリーする全オーナーが知っておくべき事実だろう。 参加者の皆さま、各ショップの皆さま、そして運営スタッフの皆さま、今年も本当におつかれさまでした。 次回の開催は、2025年3月30日(日)神戸メリケンパークとのこと。大変だ思うが、来年の11月の横浜赤レンガ倉庫の開催も(もしかなうなら)お願いしたいところだ。 [ライター・撮影/松村透]
昨年、筆者が参加した「初音レーシング」の走行会が今年も開催された。 今年は昨年よりもスケールアップする走行会との情報をキャッチし、体験走行に筆者もエントリーしたので、その模様をお届けしたい。 ■今年の初音レーシングの走行会はさらにスケールアップ! 昨年取材した「初音レーシング」から今年も富士スピードウェイのレーシングコースを使用した走行会を行うとのオファーがあった。 昨年は1回の走行枠だったが、今年はなんと走行枠は2回に増え、プロレーサーによるアドバイスも受けられるとのことだ。 早速問い合わせをしたところ、走行枠は希望者多数ですぐに埋まってしまったとのことで、体験走行枠の空きがあったため、すかさず申し込みを行った。 もちろん、メインの痛車展示も実施され、さらに出展企業もスケールアップするとのこと。 楽しみでしかたない状況で当日を迎えた。 開催日は見事な快晴で、連日全国的に猛暑が続いてはいたが、富士スピードウェイの立地に助けられた。 日陰に入れば風が心地よく感じることができ、ちょっとした避暑地感覚だ。 今回出展ショップも増えており、スポーツ走行に欠かせないアイテムの販売や、旧車乗りの部品事情に寄り添った展示も行われた。 ■サーキット走行までの準備 体験走行の受付を済ませ、フリー走行向けのブリーフィング(説明)が行われた。 ブリーフィングは、コースを走るうえでのルール、走行にあたっての注意事項、危険などを知らせる旗の意味について説明が行われる。 今回、併せて初心者講習も実施された。 走行車輌の車内映像を使用し、コース上の気を付けるポイントについても分かりやすく説明を行った。 ブリーフィング後はサーキットのルールに合わせ、ライトなどへの飛散防止テーピングという準備もあるが、走行以外の時間を過ごすための準備についても紹介しよう。 走行会に多く参加されている方は、走行時間以外の勝手がわかっているため、休憩場所の設営も参考になる点が多かった。 タープ型テントを利用されている方は、予期せぬ風で動かないよう、柱に重り代わりに工具箱などの重量物を取付けて対策されていた。 走行会は朝早くから行動することが多い。仮眠をとるために一人用のテントを準備して休憩されている方もいた。 サーキットを走行にあたり、車載映像を撮る方も多くいる。 ハッチバックタイプのエッセのオーナーはボディ補強のリアピラーバーにカメラを取付けていた。 これならしっかりと固定ができ、さらに運転状況と車内からの走行シーンが撮れることもあり、ベストポジションだった。 ■プロによる富士スピードウェイ攻略法講義はまさに必見! 今回、スーパー耐久等で活躍されているプロレーサーの加藤 芳皓(カトウ ヨシヒロ)選手が講師として参加されていた。 本来ならば、体験同乗走行も企画されていたが、あいにくのマシントラブルによりそのイベントは中止となってしまった。 しかしその分、質問コーナーは濃いものとなった。 加藤選手にとって、富士スピードウェイのレーシングコースは、庭のようなものである。 各コーナーの特徴や注意点はすべて頭に入っている状態だ。 参加者からの質問に対しても、親切かつ的確に答えていた。 走行経験者なら共感できるあるあるネタなどを交え、途中笑いが起きるようなアットホームな環境でトークが行われていた。 1本目の走行後に行われた質問コーナーでは、実際に走行した際に感じたことを基にした質問が多く出ていた。 ライン取りの仕方、加減速のコツについて、レース車輌の車載映像も用いて実際のドライバー目線でどこに目標を置くべきかといった解説は伝わりやすかったはずだ。 また、質問者の乗っているマシンに合わせたアドバイスも行われ、2本目の走行時に試したドライバーは多かったはずだ。 今回のようにプロレーサーから直々に質問を行いアドバイスもらえるという機会はなかなか経験することができない貴重な体験となった。 ■本コースの体験走行を初体験 今回筆者にとってのメインイベントである体験走行の時間がやってきた。 この体験走行は先頭車に続いて2周レーシングコースを走ることができるイベントだ。 フリー走行の車輌は、完熟走行という事前確認も合わせて行う。 体験走行参加者は、乗ってきたクルマでヘルメットの着用不要、普段通りの服装(もちろんサンダルNGといった最低限のルールはある)で走行ができる。 しかも同乗走行も可能なため、一緒に来た仲間や家族を乗せて走ることも可能だ。 今回も遊びに来ていた友人やご家族を乗せて体験走行をしている方が多くいた。 ルートとしては、ピットからメインコースに入って走行する形になる。 スーパーGTのようなレーシングカーの車載映像で見た景色が、同じ視点で実際に見えることに感動を覚える。 レース映像やスタンドから見るコースはそこまで幅が広くないと思っていたが、実際に運転すると道幅は驚く程の広さだ。 コカ・コーラコーナーは視覚的に広く感じるためか、実際に走ると思っているよりも速度が乗っていることに途中で気がついた。 場所によっては遠心力でクルマはアウト側に引っ張られていく。 本当のレーシングスピードで走ったときにどうなってしまうのだろうか?と気になっている間にアッという間に2周は終了してしまった。 いつかはフリー走行も経験してみたいと思う大変すばらしい経験となった。 きっと、同様の思いになった参加者も多いことだろう。 ■個性豊かな参加車輌たち ここからは、筆者の琴線に触れた、ちょっとマニアックな車輌の紹介。 今回の参加車輌、ギャラリー車輌のなかでひときわ目立っていたのが、このいわゆる顔面スワップといわれているカスタムを施した、フロントフェイスが変わった3台のV35型スカイラインたちだ。 オーナーにお話を伺ったところ驚きの関係性が判明した。 最初V35型スカイラインクーペにV37型スカイライン(セダン)のフロントフェイスを移植したことがスタートとのことだ。 その際に、不要となったV35型スカイラインクーペのフロントフェイスをV35型スカイラインセダンに移植したとのことだった。 V35型スカイラインはセダンとクーペでデザインが大幅に異なる。 同型でもボディ形状の違いから移植するのは困難なところ。この循環型フロントフェイスはある意味SDGsに当てはまるのではないだろうか?(笑) そしてもう一台は、Y51型フーガのフロントフェイスを移植していた。 オーナーとしてはまだ完成形ではないとのことだったが、ボンネットを加工してボンネットピンを利用した装着に強いこだわりを感じた。 やはりクルマ好きが集まるイベントだけに、ギャラリーと体験走行で参加していた車輌も今やレアな存在のマシンが集まっていた。 いっぽうこちらは、RS13型180SXにM312S型ブーンX4だ。 なかなかフルノーマルの状態を維持している個体が少ない最終型180SXも現在ではレアな存在となっている。 さらに元々がレアといえるのがブーンX4だ。 出るタイミングが違えば…と思ってしまうが、ダイハツにはまた元気印のクルマを出してもらいたいと切に願っている。 そして、S13型シルビア、RS13型180SX、GG型インプレッサの並びは、フリー走行と体験走行にエントリーされたグループだ。 この並び、10年ほど前の走行会ではよく目にした並びだ。 シルビアはフリー走行参加車のため、走行前にテーピングや空気圧調整を体験走行に参加する仲間とおしゃべりしながら準備されていた。 体験走行の枠があるのは、見学に来た仲間も見るだけでなく走る楽しみも共有できるチャンスとなる。 フリー走行にエントリーしていたEK9型シビックと両隣のBMWは関西からの遠征組だ。 驚くことにシビックは女性オーナーで、富士スピードウェイの走行は初めてとのこと。 そのため、手前のBMW M2の師匠が1本目は先導して走り方をレクチャーしていたそうだ。 普段は関西エリアのサーキットをM2と一緒に走行して楽しまれているという。 走行会がお盆休みのタイミングもあり、普段とは違うサーキットを楽しむことも可能なのだ。 協賛ショップのホンモノドラッグマシン展示も行われた。 今回多くの協賛ショップが出店していたが、そのなかで「BLACK LINE」がSC300(3代目ソアラ)ベースのドラッグマシンを展示していた。 普段見る機会がないドラッグマシンを間近に見て、このマシンに搭載されたタービンの大きさなどに多くの人が足を止めていた。 閉会時、エンジン始動とレーシングパフォーマンスが行われ迫力あるエンジンサウンドを耳にすることができた。 ■まとめ もし、フリー走行に興味がある方は、まずは体験走行を経験されることをオススメする。 今回筆者が体験走行をしたことでサーキットの雰囲気を経験することができた。 フリー走行のようなレーシングスピードで走る前に、ぜひ体験走行を経験してもらいたいと思う。 走行時間以外にも楽しめる催しや出展があり、大変楽しい一日となった。 気になった方は、是非体験走行またはフリー走行のエントリーを。 運営の「初音レーシング」関係者の皆さん、ありがとうございました。 次回も期待しております! [ライター・画像 / お杉]
日本でクラシックカー好きの方なら、一度は耳にしたことがあるであろう「La Festa Mille Miglia(ラ・フェスタ・ミッレミリア)」。 クラシックカー愛好家のためのカーレースイベントです。 この大会、実は起源はイタリアにあるってご存知でしたか? 今回の記事では、そんな本場のミッレミリアの歴史や背景、そして2023年の大会のレポート、ウィキペディアではわからない深堀情報や、現地の愛好家から聞いた話などをお届けします。 ■クラシックカーの通過を待っている間に古参のミッレミリアファンと仲良くなる 北イタリアでは毎年恒例のこのイベント。 2023年の開催は6月13日〜17日でした。 私が住むモデナ地区には、15日に参加者と参加車が通るということで、各街の通過予定時間をインターネットでチェックし、さっそく見に行くことに。 毎年恒例のイベントで、とりわけクラシックカーが大好きというわけではない一般人も、地元のお祭りのような感覚で見物に行くほどの知名度です。 家の近くの大通りでクルマの群れの通過を待っていたのですが…なかなか来ない…。 時刻は18:00を過ぎていましたが、夏の日照時間の長いイタリアではまだまだ日中のような強い日差しが照りつけており、気温は27度。 直射日光の下、私と同じようにクルマを持っている地元のみなさんと「暑いですね〜」「今年は結構遅れていますね〜」と立ち話をしているうちに、隣で待っていた方と仲良くなりました。 お名前はジャンカルロさん。 聞けば、彼は何十年も毎年ミッレミリアを楽しんでいる古参ファンだそうです。 今年もちょっと良いカメラを片手にクラシックカーの通過を待っており、良いショットを撮るのを楽しみにしているとのこと。 私が「日本語でミッレミリアの記事を書きたいんです」と言うと、「ミッレミリアのことなら俺に何でも聞きな〜。もう長年見てきているからね」と言ってくださいました。 ということで、遠慮なく色々聞くことに。 ▲ジャンカルロさんによると、ここ数年なぜか開催日に毎年雨が降るというジンクスがあり、「オープンカーに乗っている人たちはずぶ濡れになってかわいそうだった。今年はせめて晴れて良かった」とのことでした ■現地の古参ファンによるミッレミリア歴史解説 「もともとのミッレミリアは、スピードを競う本気のカーレースだったんだよ。」と語るジャンカルロさん。 元祖のミッレミリアは1927年から1957年までおこなわれていたのだそうですが、1957年レース中に9人の死者が数名出る惨事が起きてしまいました。 事故原因となったクルマはメンテナンスに問題があり、走行中に突然タイヤがバーストしてしまったのですが、当時は道路と歩道の境界が曖昧で、観客とクルマの距離が非常に近かったため、このような惨事につながってしまったそうです。 この事故以来、民衆の意見を尊重する形で大会は無期限停止に。 しかし20年の時を経て、1977年に「またあのころのミッレミリアを復活させよう」という動きがあり、大会が復活。 ただしそこからは、カーレースという形だけを残し、実際は愛好家たちの楽しみのためのカーラーリーイベントの趣向を強くして、再スタートしたのでした。 最近では、特にイタリアの観光業ともタイアップしたイベントとして進化を遂げています。 2023年の大会では前年までよりコースも日程も長くなっていますが、これも「もっと色々な街と景色を楽しめるように」という観点からの工夫です。 当然ミッレミリアのコース上に該当する街では、大会中ホテルやレストランの景気も良くなるため、クラシックカーの力で観光業界を盛り上げるという意味も入っています。 ■ウィキペディアではわからなかった小話 1957年、大会凍結の原因となる事故を起こしたのはフェラーリ。 以前クラシックカーのバイヤーをしていたジャンカルロさんによると、その年以降数年は、事故を起こしたフェラーリのモデル・335Sが一気にイメージダウンし、イタリア国内で値段が大幅に下落したそうです。 事故当時、フェラーリの創業者であるエンツォ・フェラーリは、その責任を問われて訴訟されるほどだったとのこと。 ただしかなり時間を置いてからは、イギリスなど他の国である種のプレミア価値がついたのだとか。 さて、ここまでのミッレミリアの歴史話を興味深く伺っているうちに、モデナの街は夕焼け色に染まってきました。 そして待機開始から1時間以上経ったころ、ようやくミッレミリアの出場者が通り始めました! よく見ると…とある時点からフェラーリの群れが! モデルや色にバリエーションはあるものの、全部フェラーリです。 これはクラシックカーなのか…?という感じの比較的新しいモデルのフェラーリも数多く通りました。 大会の趣旨としては、参加するクルマは大会が求める基準をクリアしている必要があり、ヴィンテージカーや歴史的に価値のある車輌が重視されているはずなのですが…実際はどうなのでしょう。 フェラーリの創業時の、元々のメインカラーであった黄色のフェラーリも通りましたよ! フェラーリの原産地、モデナの住人はだいたいフェラーリに誇りを持っているので、私も次々にやってくるフェラーリには自然と親近感が湧き、見ていて嬉しくなりました。 ここからどんどん他のタイプのクラシックカーもやってくるわけですが、お話の続きは次回の記事にて! [撮影 / Fabio・ライター / Maya.Y]
去る2024年4月12日〜14日にかけて、幕張メッセで開催された「オートモビルカウンシル2024」の模様を取材した。 今回が9回目の開催となるオートモビルカウンシル。前回に引き続き、今回も「Classic Meets Modern and Future」のテーマだった。 出展者数は過去最多の113を数え、自動車関連商品等の販売店(マルシェ)が34社、オーナーズクラブが4団体、フード・ドリンクのコーナーが9店舗と、年々規模が大きくなっている感がある。ちなみに、来場者数も過去最高の39,807人。気の早い話だが、第10回となる2025年は5万人を突破する可能性もありそうだ。 ■自動車メーカー&インポーター トヨタは「トヨタ クルマ文化研究所」と銘打ってブースを出展。日産は「LOVE GOES ON - Nissan Lovers Every Customer-」、マツダは「ロータリースポーツカーコンセプトの歴史と未来」のテーマをそれぞれ掲げていた。 ホンダはシビックをメインに、そして三菱も、パジェロやギャランVR-4、ランサーエボリューションのラリーカーを展示していた。 ついに、というか、いよいよというべきか。日本車メーカーによる、古いクルマに対する対応が手厚くなりつつある印象を受けた。いまどき、ここまでいい切ってしまってから「やっぱりやめます」というわけにはいかない。これまで積み上げてきた期待値が一瞬でゼロになってしまうからだ。 メーカーサイドとしても後戻りが許されない「不退転の決意」だと思う。「はじめの一歩」のハードルは高いと思うが、来年はぜひスバルをはじめとする他の日本車メーカーの出展も期待したい。 そしてインポーターは、ポルシェジャパン、マセラティジャパン、BYD Auto Japanの3社が出展。ポルシェジャパンは、ポルシェライフスタイルの新たなカテゴリーである「ターボNo.1コレクション」のプレゼンテーションを行った。 また、マセラティジャパンは独自のカスタマイズプログラム「マセラティ・フォーリセリエ」を施した「グレカーレ トロフェオ」と「クアトロポルテ V6 2.8 エヴォルツィオーネ(4代目)」を展示。さらにBYD Auto Japanは、発売間近の「シール」と「ATTO 3」を展示。3社とは少し寂しい。予算の関係か本社マターの決済が必要なのかは分からないが、他のインポーターのエントリーも期待したいところだ。 ■ヘリテージカー販売店出展車両 ヘリテージカー販売店は35社が出展。気に入った個体を購入することもできる。全体的にドイツ車を中心にヨーロッパ車が多めな印象。海外のクラシックカーイベントと同様に、空冷911が人気。オリジナルにこだわる個体があるいっぽうで、独自の解釈がなされたレストモッドされたクルマも見掛けた。 また、ヤナセクラシックカーセンターからは1969年式メルセデス・ベンツ280SEをはじめ、1988年式メルセデス・ベンツ560SL、1992年式メルセデス・ベンツ500E、1993年式メルセデス・ベンツ500SL、1995年式メルセデス・ベンツ280TEの5台が展示されていた。 実は20年ほど前に、あるイベントでR129型の500SLが100万円そこそこで売りに出されているのを見てショックを受けたことがある。ちなみに、展示されていた500SLの販売価格は670万円とのこと。ずいぶんと高くなったと思いつつ、本当に欲しい人が手に入れるのだろうから、これはこれでいいのかもしれない。 その他、カニ目や貴重なブリストル、すっかり見掛ける機会が減ったフェラーリ テスタロッサ、プジョー406クーペの姿も。いずれもそれ相応の資力がなければ手に入れることは困難だが、こうして眺めているだけでも眼福といえる気がする。 ■見みどころ満載だった企画展 3月13日にこの世を去ったカーデザイナー、マルチェロ・ガンディーニ氏の追悼企画が急遽追加され、「ミウラP400」と「カウンタックLP400」のほか、ガンディーニ氏の傑作のなかから厳選した「ランチア・ストラトスHFストラダーレ」「ディーノ308gt4」「アルファ・ロメオ・モントリオール」が展示されていた。 そして、この記事の公開日の翌日の5月1日は、もはや伝説のF1ドライバーとなったアイルトン・セナがこの世を去ってから30年。そのため「アイルトン・セナ没後30年特別企画」が実現。 「JPS ロータス 97T ルノー(1985年)」「マールボロ・マクラーレン MP4/5B ホンダ(1990年)」「マールボロ マクラーレン MP4/6 ホンダ(1991年)」、そして「ホンダ NSX タイプR プロトタイプ」の4台、さらにセナが愛用したレーシングスーツおよびヘルメットが展示され、各々のギャラリーがセナへの思いを馳せていたようだ。 また、歴代フォルクスワーゲン ゴルフのなかからGolf1、Golf2、Golf4、Golf7、Golf8が展示されており、進化の過程を観察することができた。さらに、「アメリカンヘリテージ」の名車達と題して、1963年式シボレー コルベット、1967年式シボレー カマロRS、1970年式ダッジ チャレンジャーR/T 440+6 コンバーチブル、1976年式AMCジープJ-10、1983年式AMCイーグル ワゴンの5台が展示され、イベントに花を添えた。 ■まとめ:来年は10回目となるオートモビルカウンシル 春に開催されるクルマのイベントとして定着した感のあるオートモビルカウンシル。来年は記念すべき第10回開催となる。おそらくはさまざまな試行錯誤を繰り返しながら「オートモビルカウンシルとしてのスタイル」が少しずつ確立していくのだと思う。 初期の頃とはイベントの中身が変わってきたという声も耳にした。そのいっぽうで、現在のスタイルが好ましいという人もいるだろう。それぞれに想い入れやこだわりがあるだけに、すべてのファンの希望を叶えることは難しいだろう。 しかし、この種のイベントは続けることが何よりも大変であり、同時に重要だと思う。いちど休止してしまうと復活するハードルが一気に高まるからだ。 東京オートサロンやノスタルジック2デイズなどと同様に、多くのクルマ好きにとって欠かせないイベントとなってくれることを願うばかりだ。 [ライター・撮影/松村透]
2024年4月7日、埼玉県朝霞市にある「朝霞の森」にて『スーパーアメリカンガレージ朝霞の森 2024』が開催された。 週間天気予報では、この日の予報は雨。しかし、主催者の増井淑博氏は自他ともに認める晴れ男であり、この予報を覆した。結果、イベント当日は見事なまでの晴れ! さらに、少し暑いくらいの陽気で、過去10年でもっとも開花が遅れたというソメイヨシノも楽しめる絶好のイベント(お花見)日和となった。 ■普段はめったに観られないアメ車が朝霞の森に多数集結! 午前9時をまわる頃には、どこからともなく「ドコドコ」と野太いV8エンジンサウンドを轟かせながら続々とアメ車が朝霞の森に集まってきた。最新のモデルはもちろん、1950年代のアメ車も少なくない。 70年前のクルマが、生まれ故郷であるアメリカから遠く離れた日本の地で素晴らしいコンディションを保っているのだ。現地の人が見たら驚くに違いない。 ■アメ車以外のクルマも個性豊か! フォルクスワーゲン ビートル(Type1)や、お父さん世代には懐かしいGX71系のトヨタ マークII、トヨタ ハイエースのカスタムカー、日産スカイライン(R34型)の展示もあり、こちらも注目を集めていた。以前、左ハンドル仕様のマツダMPVが展示されていてびっくりしたけれど、今回はエントリーしていなかった模様。 ■朝霞市の公認イベントならではのゲスト!朝霞市長はアメ車好き!? 埼玉県朝霞市が後援するイベントということもあり、開会の挨拶には現朝霞市長が登壇。若き日の市長がトランザム乗りであったのだとか。 また、外務大臣政務官を務める衆議院議員のほさかやすし氏も登壇し、このイベントが地元に根ざしていることが実感できた。 ■スーパーアメリカンガレージ朝霞の森には欠かせないライブも スーパーアメリカンガレージ朝霞の森の主催者である増井淑博氏は音楽プロデューサーとしての肩書きも持っている。そのキャリアを活かし、メインステージではミュージシャンによるライブが行われた。ギャラリーもノリノリ。イベントを大いに盛り上げていた。 ■スワップミートも見所満載 スーパーアメリカンガレージ朝霞の森に欠かせないプログラムに「スワップミート」がある。ファッション、ガレージに飾るグッズ、ミニカーなど、目移りするアイテムばかり。 思わぬ掘り出しモノが見つかる確率が高いので、衝動買い気味の人は要注意だ(笑)。キッチンカーも多数出店しているので、好みやその日の気候に合わせていろいろ選べるのも嬉しい。 ■まとめ:1人でも多くの人にアメ車の魅力を知ってもらいたいと願う増井氏の想いを形に イベントの主催者である増井氏には「より1人でも多くの人にアメ車の魅力を知ってもらいたい」という強い想いがある。 スーパーアメリカンガレージ朝霞の森のエントリーフィーは記念シャツとステッカー付きで5000円という、参加者にとって良心的な価格設定もかなり魅力的だ(エントリーは当日の受付のみ)。 そして、2024年10月20日(日)には、お台場ウルトラパークにて、31回目となる「スーパーアメリカンフェスティバル2024」が開催される。7月からエントリーを開始するとのことだ。詳細は公式サイト(http://amefes-since1992.net/)まで。 また、増井氏のFacebookページ(https://www.facebook.com/masuiyoshihiro/)でも告知される予定なので、そちらも合わせてチェックされたし! [ライター・撮影/松村透]
去る2024年3月20日(水)、横浜赤レンガ倉庫で【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】が初めて開催された。 横浜赤レンガ倉庫で開催されるクルマのイベントはいずれも華やかで、偶然、その場を訪れた人を楽しませるエンタメの要素も持ちあわせている。 そして今回、新たなアプローチでクルマのイベントが開催された。 「若者たちのカーライフ」。 (以下、オフィシャルサイトより転載)若者が所有するクルマ達約100台を横浜赤レンガ倉庫に展示!35歳以下の若者達が、趣味として楽しむ自慢のクルマ達を展示いたします。場所はなんと横浜赤レンガ倉庫!!展示車両のレギュレーションは無く、国籍、年代問わず様々な車種が集まります。皆様ぜひ遊びにお越しください。 あえてこの切り口を前面に出し、開催にこぎつけた主催者の方たちの想いとは? イベント当日、ご多忙のなか、主催者である後藤氏、本田氏、甲野氏が取材に応じていただいた。 ── 抜群のチームワークに映りますが、皆さん知り合って長いんですか? ▲左から甲野大輔さん(ホンダS2000)、後藤和樹さん(いすゞピアッツァ)、本田浩隆さん(シトロエンBX) 本田さん(以下、本田):私と甲野は私が高1、甲野が中3の頃からの長い付き合いです。 甲野さん(以下、甲野):学年こそひとつ違いますが、幼馴染みたいな感じですね。 後藤さん(以下、後藤):私はここ3〜4年くらいです。某パーキングエリアに寄ったとき、BXがいるなーって思いました。 本田:俺もピアッツァがいるなーって。 本田:BXに興味津々の後藤から声を掛けられて、「もしかしてピアッツァのオーナ ーさんですか?」って尋ね返したのが運の尽きです(笑)。 ── それぞれおいくつですか? 後藤:26才です。 甲野:27才です。 本田:29才です ── 企画から運営までどれくらいの期間がかかりましたか? 後藤:約1年です。ちょうど1年くらい前に本格的にやろうということになり、クルマ関連のミーティングを主催した経験がある本田と甲野にも声を掛けたんです。 ── 横浜赤レンガ倉庫の場所を押さえたということは行政に掛け合ったんですか? 後藤:そうです。企画書を作って横浜市に提案しました。 ── 企画書を作成するのは大変だったのではないですか? 後藤:毎年秋に「横浜ヒストリックカーデイ」 というイベントを主催している方を横須賀にあるリバイバルカフェさんに紹介していただきました。その方からイベントを提案するうえで必要な書類などのノウハウを伝授していただき、横浜市に企画書を提出したところ承認が得られたんです。 ── イベント開催日を3月20日を選んだ理由を聞かせてください 後藤:単純にこの日(3月20日)しか空いてなかったんです(笑)。 ── どうやってこれだけの台数を集めたんですか? 後藤:基本的に我々3人の友人を中心に声掛けしました。これまで各々が培ってきたつながりもありますし、本田と甲野は別のミーティングを主催していたのでイベント運営のノウハウもあります。私はイベントを企画することはできるけれど、クルマを集めて誘導する運営の方はこの2人のほうが優れてる。 僕らは全員横浜育ちなので、地元横浜赤レンガでってなるとこの2人と組んでやろうと。 ── このイベントを開催するうえでもっとも大変なことはなんでしたか? 甲野:「YOKOHAMA Car Session」というイベントを横浜赤レンガ倉庫で行います、という声掛けはもちろんのこと、参加費の集計と管理ですね…。入金状況を確認して、未入金の方に個別でリマインドしたり、直前でキャンセルが出て、別の方に声を掛けたり。 後藤:参加台数を100台は確保したかったんです。なのでイベント覗きに行くね、といってくれた方に「枠空いたから並べてみませんか?」とお声がけしたパターンもあります。 ── 初開催ですし、準備も大変だったんじゃないですか? 後藤:大変ではありましたが、徹夜するほどではなかったです。前週の週末に深夜2時くらいまで準備したのがもっとも遅かったくらいですね。 甲野:3人ともサラリーマンゆえ、平日はそれぞれに本業があります。その合間を縫いつつも3人の役割分担を明確にして、密に連携できたのが良かったです。 ── このイベントにはサポートメンバーの方も? 後藤:います。10人ほどの友人に協力していただき、会場内への誘導などはサポートメンバーにお願いしました。自分たち3人はこうしてメディア対応もできるようにしたかったですし。彼らの協力なくしては成り立たないイベントです。 ── とはいえ、1日仕事です 後藤:おそらく「イベントをやるぞ」っていう熱意と同じくらい大事なのが人脈なのかもしれません。やりたいって思い立ったとき、人のつながりを広げて大切にしていれば、「君たちがやるのなら手伝うよ」っていってくれる人が出てきてくれるのかなと…。 甲野:この3人ならではのネットワークが強みになったところはありましたね。この3人って、クルマへの情熱や向いている方向は一緒なんですけど、クルマの趣味嗜好は割りと違うんですよ。だからこそ、バラエティに富んだ「面白味」が出せるのかもしれません。それぞれが趣味に本気で向き合ってきている分、その路線ごとに友だちがいますし。 ── 敢えて伺います。大変なこともあったと思いますが、開催してよかったですか? 後藤:メチャクチャよかったです!開催までは不安なんですよ。昨日の夜なんかは3人で仕事終わりに集まって、いよいよ明日だよって…。でも、横浜赤レンガ倉庫で開催できたことで、「若者にもこれだけ熱いクルマ好きがいますよ!」ということがアピールできたと思うんです。 本田:例えばご高齢の方が大事に乗ってきた愛車を泣く泣く手放すことになったとき「今の若い人のなかにもクルマ好きがいっぱいいます。だから若い世代に安心してお任せください!」ということを伝えたいという想いもありました。 クローズドなイベントと違って、ここ(横浜赤レンガ倉庫)なら、偶然訪れた多くの人の目にも触れることができますから。 甲野:あとは赤レンガの公式サイト、みなとみらい21の公式サイトなどでイベントの告知をしてもらいましたし。それも功を奏してこれだけの人が集まってるのかなって思ってます。ちなみにそこに停まっているゼロクラウンは走行距離43万kmなんですよ。10万kmの中古で買って、1人で30万km以上乗っています。 甲野:彼に限った話ではなく、今回のイベントに参加してくれた人は「このクルマじゃなきゃダメなんだ」という意識で乗っているオーナーが多いですね。もちろん我々3人も含めて。 ── 若者のクルマ離れって言われて久しいと思うんですけど、実際にどう思いますか? 後藤:昔に比べたら数は減っているかもしれませんが、私はそうは思えません。10年前に1回いわれたクルマ離れからもうそれだけが1人歩きしてしまっている現状はあると思うんです。 「若者のクルマ離れ」が叫ばれた世代って私たちよりも上の世代なんです。30代半ば〜40歳くらいの方のイメージです。私たちの世代は親がクルマ好きだったり、頭文字Dやグランツーリスモにハマった世代なので、少し異なるかもしれません。 ── 同感です!少し気が早いですが、来年の開催はありますか? 3人:現時点では未定です。でも、今回の反響次第では来年も開催したいという想いはあります!! ── まとめ:多くの一般来場者が訪れる「横浜赤レンガ倉庫で開催したこと」に意義がある 「若者のクルマ離れ」という、ある意味では本当で、ある意味では幻想にすぎないキーワードに危機感を抱いているのはおじさん・おばさん世代ばかりではない。むしろ、当事者である若い世代の方が「たしかにそうかもしれないけれど、そんなことはない」と自らイベントやオフ会を各地で企画し、クルマの魅力を伝えている。 今回の横浜赤レンガ倉庫で【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】がそれらのイベントと一線を画すのは、多くの一般来場者が訪れる「横浜赤レンガ倉庫で開催したこと」にある。 しかも、単なる愛車自慢大会ではなく「クルマ好きが存分にアピールできた」ことも大きい。ストレートに表現するなら嫌味がまったくないのだ。あくまでも等身大のカーライフを伝える。失礼ながら「クルマエンゲル係数高め」な参加者もいたはずだ。 そしてノンジャンルとしたことも功を奏していたことだろう。国内外の珍しいクルマから懐かしいクルマ、マニアから一般の方まで、クルマに詳しくない人ならではの視点で楽しめる点に配慮されているように感じた。 次回の開催は未定とのことだが、横浜赤レンガ倉庫に自分の愛車が展示される快感を知ってしまったオーナーもいることだろう(笑)。さまざまなハードルはあると思うが、何とか赤レンガ倉庫で開催されるクルマ系のイベントのひとつとして定番化することを願うばかりだ。 ── 『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』関連記事 ●初開催『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』を取材して思うことhttps://www.qsha-oh.com/historia/article/yokohama-car-session-2024/ ●若きオーナーたちの愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結!『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(国産車編)』https://www.qsha-oh.com/historia/article/yokohama-car-session-2024-japanese/ ●参加できるのは30代前半まで!愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(輸入車編)』https://www.qsha-oh.com/historia/article/yokohama-car-session-2024-import/ [ライター・撮影/松村透]
去る2024年3月20日(水)、横浜赤レンガ倉庫で初開催された【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】の模様を取材した。 横浜赤レンガ倉庫で開催されるクルマのイベントはいくつもあるが「若者たち」というくくりはおそらく初めてではないかと思う。 イベントの主催者であり、地元横浜育ちである後藤氏、本田氏、甲野氏の3人が1年掛かりで実現にこぎつけたという。 ■YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは? ▲左から甲野大輔さん(愛車はホンダS2000)、後藤和樹さん(愛車はいすゞピアッツァ)、本田浩隆さん(愛車はシトロエンBX) (以下、オフィシャルサイトより転載)若者が所有するクルマ達約100台を横浜赤レンガ倉庫に展示! 35歳以下の若者達が、趣味として楽しむ自慢のクルマ達を展示いたします。場所はなんと横浜赤レンガ倉庫!!展示車両のレギュレーションは無く、国籍、年代問わず様々な車種が集まります。皆様ぜひ遊びにお越しください。 このときの印象は一足先に下記記事にまとめたので、ご一読いただければ幸いだ。 ●初開催『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』を取材して思うことhttps://www.qsha-oh.com/historia/article/yokohama-car-session-2024/ 当イベントに参加していたクルマを2回に分けて、1台ずつ紹介していく。2回目となる今回は「輸入車編」だ。 ■ドイツ ドイツ車は16台がエントリー。メルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェ、アウディ、オペル、スマートなど…。幅広いモデルが展示されていた。 ポルシェ914は代官山蔦屋に展示されていたこともある個体なので、実車を観たことがあるかもしれない。 バブル世代には懐かしいアウディ90は、以前姉妹サイトである「外車王SOKEN」で取材させていただいた三上諒人氏の愛車であり、初代アウディTTは旧車王ヒストリアの執筆陣のひとりである林 哲也氏の愛車だ。ちなみにおふたりとも20代。 ■21才のオーナーがかつて父親が所有したクルマを愛車に選んだ理由とは?1991年式アウディ90クワトロ 20V(B3型)https://www.gaisha-oh.com/soken/audi-90-mikami/ ■林 哲也氏https://www.qsha-oh.com/historia/article/hayashi-tetsuya/ ■イギリス イギリス車も14台がエントリー。スーパー7をはじめ、ロータスエランやロータスエスプリ、ジャガーXJSなど懐かしいモデルが並ぶ。その他、クラシックミニやヴァンデンプラスプリンセスなど、エンスー度もかなり高め。たまたま現地で会ったクルマ仲間(おじさん世代)も「ほんとに若者の愛車なのか!クルマの方が年上ばかりじゃん!!やるなぁ〜」と目を丸くしていたほど(同感です)。 ■フランス 国別対抗(?)では最大勢力となったフランス車は21台がエントリー!70年代〜2000年代まで幅広く、スポーツ系からヘ○タイ系までバラエティに富んでいて度肝を抜かれた。プジョー405やルノーアヴァンタイムの実車を見たのは筆者も本当に久しぶりだったし、BXが3台もエントリーという時点でかなりヘ○タイ度の高めのイベントといえるだろう(笑)。困ったもんだ(もちろん良い意味で)。 ■イタリア フランスとくればイタリアでしょう!ということで10台がエントリー。フェラーリやマセラティがいなくとも十二分に華があった(360モデナのオーナーさんがエントリー予定だったものの、修理中で断念したとか)。こうして他国のクルマと並べてみると、ボディカラーがどれも艶っぽく映るのは気のせいだろうか。ヌヴォラブルーのアルファ ロメオ166、DTMで活躍した155、フィアットバルケッタ、クーペフィアット、500にパンダ…、アウトビアンキ、極めつけのランチアフルビアクーペ…。それまでは無縁だったイタリア車に乗ろうと決意できたのもこのイベントのおかげかもしれない。 ■スウェーデン スウェーデン車は6台がエントリー。角張った時代のボルボ、バブル時代は伊達男が乗っていたサーブ。いずれも令和の世の日本では見掛ける機会が減ってしまったけれど、こうして若い世代の方が大切に乗ってくださっていることに目頭が熱くなった。ちなみにグリーンのボディカラーが美しいサーブ9-3は、以前外車王SOKENで取材させていただいたしょーへいさんの愛車だ。 ■幼少期の8年間を一緒に過ごして別れたあと、運命の再会。20才のオーナーと1998年式サーブ9-3 クラシック 2.3ihttps://www.gaisha-oh.com/soken/saab-93-classic-shyouhei/ ■アメリカ アメリカ車も2台がエントリー。カマロの方はボディカラーが色褪せていたけれど、かえってこれが味になっていて雰囲気満点だった(3代目カマロも生産終了から30年以上。いつの間にかクラシックの領域に足を踏み入れていたことを実感した)。 ■出展ブース 今回のイベントには、名だたるショップや遠藤イヅル氏といった、クルマ好きであれば誰もが知るであろう豪華な顔ぶれがそろった。これも、主催者である後藤氏、本田氏、甲野氏の熱意と人徳によるものだろう。 ●LE GARAGE ・URL:https://www.legarage.jp・住所:東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 1F・Tel:03-3587-2785・営業時間:11:00〜19:00(夏期休業・年末年始休業などは除く)・定休日:毎週水曜日 ●Auto Glanz ・URL:https://a-glanz.com・住所:埼玉県入間市小谷田2-1032-1・Tel:04-2968-7773・営業時間:10:00〜19:00・定休日:毎週月曜、第1、第3火曜日 ●遠藤イヅル ・Facebook:https://www.facebook.com/izuru.endo.9 ●リバイバルカフェ ・URL:https://revivalmiura.com・住所:神奈川県三浦市初声町和田2650-3・Tel:046-845-6224(予約番号もこちら)・営業時間:月火水 11:00~18:30、土日祝 10:00~18:30(L.O:フード 17:30、ドリンク&スイーツ 18:00)・Facebook:https://www.facebook.com/revivalmotorstationcafe/・X:https://twitter.com/revivalmiura・YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC-IBrf9Q3OAmMg7mtZoOttw・Instagram:https://www.instagram.com/revivalmiura *貸切利用プランをスタートとのことで要チェック!!・11台/13名以上・時間:3時間・料金:平日/1名:4000円〜、土日祝/1名:4500円〜・ランチ/ドリンク/デザート/コーヒーor紅茶のフリードリンク付き ●Unilopal ・URL:https://unilopal.jp・Facebook:https://www.facebook.com/unilopal・X:https://twitter.com/unilopaljapan ●AUTOREVE ・URL:https://autoreve.jp・住所:146-0093東京都大田区矢口3-3-15・Tel:03-6427-5820・営業時間:10:00〜19:00・定休日:火曜日および第1、第3、第5水曜日・メール:contact@autoreve.jp・Facebook:https://www.facebook.com/autoreve.japan ●CCG ・URL:https://www.carcityguide.info・YouTube:https://www.youtube.com/@carcityguide・Instagram:https://www.instagram.com/car_city_guide/ ■まとめ:若きエンスージアストの皆さんにエールを! 国内外を問わず“ノンジャンル”というくくりで開催された【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】。 参加者の誰もがこの日の主役であり、スポットライトを浴びるに相応しいクルマだった。 オリジナル志向のオーナーがいるいっぽうで、時代考証をしっかりと行いつつ「当時はこんなモディファイをしていたんじゃないか」を追求していた個体もあった。 「自分のクルマなんだからどう煮て焼いて食おうとオーナーの自由」という考え方がある。これはこれで一理あるだろう。その一方で「いじくり倒して飽きたら売る」という行為に対しては個人的に疑問に思うところもある。 その点においては『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?』にエントリーしていた方たちは「自身の愛車の価値や出自、そしてセオリー」を理解したうえで自分色に染めているように感じられた。 今回、参加した皆さんも、今後さまざまな理由で現在の愛車を手放すことがあるかもしれない。しかし「コンディション良好な個体」として、大切にしてくれるであろう次のオーナーが見初めてくれるはずだ。 なんだか上から目線で申し訳ないが、若い世代の方たちのカーライフを楽しみ、そしてクルマと誠実に向き合う姿勢は、ベテラン勢も大いに学ぶべきところがあるように感じた。 欲しいクルマが見つからない。昔が懐かしい。最近のクルマはツマラナイ。「現在」という時間の流れを否定して愚痴をこぼしているだけでは何の解決にもならない。 今回のイベントを企画したお三方、そして参加した皆さんのように、クルマという趣味と気の合う仲間たちとともに楽しむことでで初めて見える景色、そしてさらなる次のステップが現れるはずだ。 [ライター・撮影/松村透]
去る2024年3月20日(水)、横浜赤レンガ倉庫で【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】が初めて開催された。 イベントの主催者であり、地元横浜育ちである後藤氏、本田氏、甲野氏の3人が1年掛かりで実現にこぎつけた。 ■YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは? ▲左から甲野大輔さん(ホンダS2000)、後藤和樹さん(いすゞピアッツァ)、本田浩隆さん(シトロエンBX) (以下、オフィシャルサイトより転載)若者が所有するクルマ達約100台を横浜赤レンガ倉庫に展示! 35歳以下の若者達が、趣味として楽しむ自慢のクルマ達を展示いたします。場所はなんと横浜赤レンガ倉庫!!展示車両のレギュレーションは無く、国籍、年代問わず様々な車種が集まります。皆様ぜひ遊びにお越しください。 このときの印象は一足先に下記記事にまとめたので、ご一読いただければ幸いだ。 ●初開催『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』を取材して思うことhttps://www.qsha-oh.com/historia/article/yokohama-car-session-2024/ 当イベントに参加していたクルマを2回に分けて、1台ずつ紹介していく。今回は「日本車編」(輸入車編は次の記事で)。 ■トヨタ&レクサス 今回の展示車輌のなかでは12台と、国産勢で最大勢力を誇ったトヨタ&レクサス。1980年代〜90年代のクルマが多かったのが印象的。ということは、オーナーよりも年上のクルマを所有していることになる。 ハチロクことAE86はもちろんのこと、稀少なMRスパイダーをはじめ、俳優の永瀬正敏がCMに登場していたカレン、JTCCでも活躍したカローラエクシブなど、お父さん世代には懐かしいモデルが並んだ。 ■日産 日産車は5台。ステージア260RSや、180SX、スカイラインGTS-t タイプMなど、根強い人気を誇るモデルが並ぶほか、7代目サニーや3代目ラルゴといった、当時のファミリーカーが展示されていたのも新鮮だった。ノンジャンルらしい、このイベントならではの風景かもしれない。 前車3台は淘汰が進み、すでに保存の域に入っているだろうが、後車2台は実用車ゆえの悲劇で、数が売れても廃車にされてしまい、後世に残りにくい。貴重な生き残りともいえるので、(大変なこともあると思いますが…)末永く乗っていただければと思う。 ■ホンダ ホンダ車は9台。懐かしのCVCCシビックオーナーはなんと新潟県から自走してのエントリーだというから驚きだ。 その他、ホンダS2000やS660といったスポーツ系から、「カッコインテグラ」でおなじみの2代目インテグラをはじめ、リトラクタブルヘッドライトが特徴的な3代目アコードなど、最近ではめったに見掛けなくなった懐かしいモデルもエントリーしていた。失礼ながら「ホンダ地獄」などといわれるほど純正部品の確保が難しいモデルも多い。にも関わらず、素晴らしいコンディションを維持している若きオーナーの皆さんたちの熱量が伝わってきた。 ■マツダ マツダ車は2台ともユーノスロードスターがエントリー。2台ともオリジナル度が高い個体だった。いずれもナンバーを移設しているということは1.6Lモデルだろうか。 元NAオーナーとしてはオーナーさんに声を掛けたかったのだが、タイミングが合わず。今度取材させてください!それにしてもNAロードスターと赤レンガ倉庫の組み合わせは画になる。 ■スバル スバル車では唯一のエントリーとなった4代目レガシィツーリングワゴン。レガシィツーリングワゴンの完成形ともいえるスタイリングは、実はもうデビューしてから20年以上(2003年)経っているとは思えないほど古さを感じさせない。 私事で恐縮だが、恩師が歴代レガシィツーリングワゴンを所有していたり、当時の勤め先の社用車がこのレガシィツーリングワゴンだったこともあり、懐かしさのあまりしばらく眺めてしまった。 ■いすゞ いすゞ車は2台がエントリー。いすゞが国内で乗用車の販売を終了したのが2002年。それから22年。今回、エントリーしたオーナーさんたちは当時小学生くらいだろうか。 おじさん世代が当時を懐かしんで、あるいは新車ワンオーナー車として所有しているならいざ知らず、若い世代の方がこうして大切に所有していることに思わずぐっときてしまった。世代を超えてピアッツァが愛されていることをジウジアーロが知ったら喜ぶに違いない。 ■ダイハツ ダイハツからは唯一のエントリーとなった4代目ミラ。そして懐かしのTR-XXアバンツァート!このモデルも残りにくいモデルのひとつだろう。純正部品はほぼ欠品&製造廃止状態だと思われ、各種トラブルに加えて部品の確保にも苦労されているのではないかと推察する。いちど、オーナーの方にこのクルマへの想いを伺ってみたい。 ■まとめ:クルマに興味がない人も楽しめるホスピタリティあふれるイベント こうして振り買ってみると、昭和の終わりから平成初期に掛けて街中でひんぱんに見掛けた日本車の展示車輌が多かったように思う。 当時を知る世代にとっては懐かしいクルマばかりで、たまたま現地を訪れたであろう人たちのテンションがあがり「おじさんホイホイ状態」になっていた(笑)。また、道行く若いカップルも展示車輌をじっくりと眺めているのも確認できた。 この種のイベントはどうしてもスポーツカーにスポットライトがあたりがちだ。たしかにその方が華やかになるし、同じクルマが何十台も並ぶ光景(しかも横浜赤レンガ倉庫で)は壮観だ。 しかし、他のイベントではなかなか見掛けないモデルやさまざまなメーカーを一同に介するノンジャンルとしたことで、1台1台をじっくりと眺めることができた。その方が結果的にたまたま横浜赤レンガ倉庫を訪れた来場者の人たちも楽しめたに違いない。 自分たちだけでなく、来場者にも(クルマに興味がない人にも)楽しんでもらう。そんなホスピタリティあふれるイベントだったことはたしかだ。 今回のような絶妙な塩梅を創り出すのは、簡単なようで、実はものすごく難しい。 この雰囲気を残しつつ『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?』を継続していくには、主催者である後藤氏、本田氏、甲野氏の存在が欠かせないものとなっていくだろう。 主催者が変わると、イベント自体の雰囲気もガラリと変化する。さまざまなご苦労があると思うが、ぜひ来年以降も続けてほしいと思う。 [ライター・撮影/松村透]
去る2024年3月20日(水)、横浜赤レンガ倉庫で【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】が初めて開催された。 取材当日は快晴。ただ、天気予報では午後から通り雨があるとのことだった(事実、2度通り雨があった)。赤レンガ倉庫の敷地は多数の来場者が訪れるため、空いているうちに展示車輌を撮影しておきたいので早めに現地に向かった。 ■このイベントの参加条件は30代前半までの若い世代の方限定! この【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】は、「若い世代の方による若い世代の方のためのもの」であり、中高年の人たち、つまり昭和世代には参加資格がない。主役はあくまでも平成世代のクルマ好きだ。 若い世代の方が中心となって開催されているクルマのイベントは他にもあるし、オフ会的な集まりであれば日本のどこかで毎日のように行われている。しかし、この種の集まりやイベントの多くは参加者が楽しむためのものであり、一般の来場者が来ることを想定していないことも多い。 クルマ関連のイベントの存在意義のひとつとして、SNSやLINEなどでやり取りしているクルマ仲間と直接会える機会の場としての側面も持っている。お互いの近況報告や情報交換の役割も担っているから、むしろクローズドなイベントの方が都合がいいケースも考えられる。 しかし、今回の会場は横浜赤レンガ倉庫。多くの一般の来場者の方も訪れるオープンなイベントだ。別の目的で横浜赤レンガ倉庫を訪れ、偶然、このイベントに遭遇した人もいるはずだ。観光スポットのド真ん中に展示されることになるので、ある意味では晴れ舞台ともいえるかもしれない。オーナーの皆さんも、手塩に掛けた愛車を、オープンな場所、しかも横浜赤レンガ倉庫に並べられることに魅力を感じていたはずだ。 ■国産車・輸入車を問わず、100台ものクルマが横浜赤レンガ倉庫に集結 SNSを通じて参加表明をしている人がいるとはいえ、現地に行ってみるまでは全容が分からない。分かっているのは、少なくとも国産車・輸入車を問わずノンジャンルである、ということだ。 正直、ノンジャンルだと薄味なイベントになってしまわないのかな…なんて思ったりもした。しかし、現地に着いて赤レンガ倉庫を見回してみると、そんなことはまったくの杞憂だった。参加しているクルマが「旧車やネオクラシックカー率高め」であり「絶妙な濃さ(しかも、ヘンタイ度高めなクルマ多し!)」なのだ。 イタフラ系はもちろんのこと、国産スポーツモデルも軽自動車もいる。ノンジャンルらしいバラエティに富んだクルマが並べられていて、見ていてとても楽しい。 今回、ウン千万単位の最新の高級車やスーパーカーは1台も展示されていなかった。誰がどう見ても「この日の主役はこれ」といった異様に目立つクルマがいないおかげで、どこかほのぼのしている印象を受けた。 ■開催にこぎつけた主催者の方たちの熱意と行動力に対して敬意を このイベントの主催者である後藤氏、本田氏、甲野氏にお話を伺ったところ、発案から開催までおよそ1年掛かったそうだ。「横浜赤レンガ倉庫でイベントをやりたい」と思ったとしても、管理元である行政(横浜市)の許可を得なければならない。 毎年11月に赤レンガ倉庫で「エキサイティングポルシェ」を開催している石田氏にインタビューしたとき、「企画書を作成し、運営会社に送付、審査のうえ承認されると仮予約となります。毎回、必ず審査があり、そのたびに承認してもらえるという保証はありません」と伺ったことがある。特に初回はこれまでの実績がないため、承認を得るのに苦労したという。 ●初開催は2007年!主催者が語る「エキサイティングポルシェ(EXCITING PORSCHE)」を続ける理由とは?https://www.gaisha-oh.com/soken/exciting-porsche-forever/ 参加者はイベントが終われば「今日はすごく楽しかったねー。また来年もやってね!」で済んでしまうが、主催者はそうはいかない。すぐさま会場を元どおり(原状復帰)させ、その後は管理元である行政(横浜市)に対してこの日のイベントに関する報告をしなければならない。 その他にも、イベントの告知や参加者からのエントリーフィーの確認や集計(入金催促)、急なキャンセルへの対応、イベント当日の誘導や取材対応、トラブル対応…などなど。やることは山のようにある。 筆者も、多少なりともその大変さを知っていたので、見事にイベントの開催にこぎつけたお三方には頭が下がる思いだ。今回、イベント会場で忙しい合間のぬってこのあたりの苦労話?を伺うことができたので、記事にまとめてお伝えする予定だ。 ■まとめ:YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~を取材して思うこと 「若者のクルマ離れ」が叫ばれるようになって久しい。あくまでも筆者の感覚値ではあるが、少なくともここ10年以上はいわれ続けていることは確かだ。 …ということは、当時の若者も気づけば中年の仲間入りとなり、かつて少年少女だった人たちが運転免許を取得して、自分の愛車を所有する時期に差し掛かっていることを意味する。つまり、世代交代しているのだ。 いまの20代の方を取材していると、幼少期に頭文字Dやグランツーリスモ、映画「ワイルド・スピード」シリーズなどを見たことがきっかけでクルマに興味を持ったり、親御さんがクルマ好きで英才教育を受けたという話をよく耳にする。これらが原体験となってクルマに興味を持つようになり、それがみるみるうちにエスカレート(笑)して、気づけば沼にハマっている、らしい。 昭和世代であれば、幼少期のスーパーカーブームを思い出してもらえれば、この感覚が容易に想像できるだろう。 当時、スーパーカーブームや、バブル期にカーライフを謳歌した世代が親となり、自分の子どもたちに英才教育を施し(笑)、見事に開花した次の世代が大人になり・・・。ついに自分のクルマが持てる時代になったのだ(いまの30代半ばから40代前半くらいの人たちには、そういった原体験や洗礼を受ける機会に恵まれなかったのかもしれない…と思うのは考えすぎだろうか)。 前置きが長くなったが、初開催となった「YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~」を取材してみて思うのは、外野の声なんてスルーして、(上目線で何だか申し訳ないけれど)いまのうちに思い切りクルマがある暮らし、つまりはカーライフを思う存分楽しんでもらいたいということだった。まさに今回のイベントもその思い出作りのひとつだろう。 自分では「俺(私)のクルマサイコー」と思っていても、それを誰かに認めてもらえる機会は意外と少ない。それは趣味の世界の宿命ともいえる。つまり「自己満足の世界」だ。 この種のイベントを自己の承認欲求を満たすためだという人がいる。たしかに、それは否定しない。と同時に、オーナーにとっては、これまでのカーライフが肯定されたことを実感、そして確認できる絶好の機会なのかもしれない。 ふと横浜赤レンガ倉庫を訪れた人から「このクルマ、カッコイイねー」とか「いいセンスしてますねー」といわれるだけでも、このイベントに参加する意義があるように思う。 横浜赤レンガ倉庫という、クルマのイベントとしてはある意味特別な場所に自分の愛車を展示できた。ただの展示ではなく「お披露目の場」なのかもしれない。この体験は生涯忘れられない思い出となるはずだ。 昭和世代がこれ以上、あれこれ口を出すのは野暮というものだろう。サングラスにノースリーブの赤い軍服がトレードマークの某氏の名言?ではないが「新しい時代を作るのは老人ではない」のだ。 年齢制限がある以上、主催者のお三方も、このままこのイベントが恒例行事となったとしても、いつか卒業しなければならないときが訪れる。しかし、それはいまではない。まだ時間はある。 その時代、その時代ごとに姿を変えつつも「YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~」がこれからも続いていくことを切に願うばかりだ。 *イベントの参加車輌は別記事にて公開いたします。 [ライター・撮影/松村透]
去る2024年2月17日~18日、パシフィコ横浜 展示ホールB.C.Dにて「第15回ノスタルジック2デイズ2024」が開催された。 この時期らしい気温だったものの、天候にも恵まれた。新型コロナウイルスの影響で中止になったのが2021年。あのときは関係者も涙を飲んだことだろう。しかし、5類に移行して日常生活が戻ってきたこともあり、そして旧車の人気の勢いがプラスされ、コロナ禍以前よりも勢いを増している感がある。 ■メディアも一般来場者もイコールコンディション(に近い) ノスタルジック2デイズのようなイベントを取材する場合、たいていは運営元に「取材申請」を行い、受理されると晴れてメディアパスが発行される仕組み。 かつての東京モーターショー、現在のジャパンモビリティショーのような巨大イベントでは、報道関係者向けの「プレスデー」があり、取材に集中できる。また、東京オートサロンでも、開催期間の初日はビジネスデイ(業界&報道関係者向け)となっていて、14時以降は特別料金を払えば入場可能。つまり、14時までにあらかたの取材を終わらせていないと、撮れ高を押さえるのがさらに困難となる。 いずれのイベントも、報道関係者用の出入口やプレスルームが用意されており、ここで原稿を書いて速報記事を公開している。ノスタルジック2デイズはというと、チケットを購入した一般の方と同じように列に並び、プレス用の受付でパスをもらって入場という流れ。午前10時を過ぎないとプレスルームにも入れない。 午前10時開場前に現地に到着し、パシフィコ横浜の外まで列が続く大渋滞に加わることに…。入場までどれくらい待たされるのか…と思いきや、スムーズな誘導であれよあれよといううちに会場内へ。このあたりの段取りも、主催者ごとに異なるので興味深いポイントのひとつだ。 ■会場で販売される旧車の多くが「応談/ASK」に ノスタルジック2デイズを取材するたびに感じる、旧車の販売価格の上昇。はじめて取材で訪れた2016年には。価格を明示する個体が多く「これなら思い切って買えるかも」と期待を抱かせるクルマも少なくなかった。 今年のノスタルジック2デイズに出展・販売されている旧車の多くが「応談またはASK」。価格が明示されている個体に関していうと目玉が飛び出そうなクルマも少なくなかった。 まるで精肉店のコロッケの価格表示に使われていそうなPOPに書かれていた「GT-R 3300万」のプライスタグ。POPのほのぼの感と、場所によっては新築の戸建てだって買えそうな金額で売られているハコスカGT-Rとのギャップに思わず撮影せずにはいられなかった。果たして売れたのだろうか…。 ■いよいよメーカー系が本気を出してきた? 自動車メーカーや関連会社、販社などが本格的に旧車の部品再販に動きはじめてまだ10年は経っていないと思われるが、年々、その気合いの入れ具合が増してきている気がする。 KINTOブースに展示してあったAE86 BEV Conceptや、NISMOブースではL型6気筒エンジンベースのDOHC化されたエンジンが展示されており、会場でも注目を集めていた。 まさかL型のDOHCエンジンがメーカー系のブースで観られる日が来るとは思わなかった(これまで独自に部品を開発してきたチューニングショップもいろいろな意味で驚いただろう)。 部品が復刻したり再販されるモデルは限られるが、これで少しでも延命できる個体も増えるのではないかと思う。 ■毎回取材するたびに実感する「ノスタルジック2デイズの客層の良さ」 ノスタルジック2デイズを取材していて毎回感じることがある。それは「客層の良さ」だ。こちらがカメラを構えていると、わざわざ歩みを止めて撮影が終わるのを待ってくれたりと、画角に入らないよう何かと気を遣ってくれる方が本当に多い。あえてイベント名は伏せるが、撮影するのが一苦労というケースも実際にある。 例えばこちらのカット。人が映らない「クリアラップ」になるまでひたすら待つことになるのだが、腰を下ろして撮影待ちの状態で待機していると、ギャラリーの皆さんがそれに気づいてくれて一瞬待ってくれるのだ。これは本当に助かりました。この場を借りて改めてお礼申し上げます。 ■まとめ:日本人ならではの「モノを大切にする」という美意識が光る いつだったか「日本には自動車文化は根付かない」と主張する人がいた。 さまざまな考え方や意見があると思うので一概にはいえないが、個人的には日本独自の自動車文化が確実に根付きつつあるように思う。 その根底にあるのは「モノを大切にする」という、多くの日本人に刻まれているであろうDNAがうまく作用していると感じる機会が増えているからだ。 もちろん、商売になると踏んで参入してくる企業もあるだろう。しかし、ハッキリいってしまうと、邪な考えで首を突っ込んでくる連中は遅かれ早かれ淘汰される。ユーザー側も1度はだまされてしまうかもしれないが、2度、3度と同じ轍は踏まない(はずだ)。それに、いまならSNSや口コミなどで悪評はまたたく間に拡散されてしまう。 旧車本体や部品の価格が上昇しているという弊害があるのが辛いところだが、メーカー、ショップ、ユーザー、そしてイベント主催者が一体となって後世に残していこうという足並みは揃った感がある。あとは、古いクルマをきちんとメンテナンスできる主治医の後継者をどう育てていくかが今後の課題かもしれない。 [ライター・撮影/松村透]