イベントレポート

メーカーとユーザーの絆を感じるイベント「MAZDA FAN FESTA 2022 IN OKAYAMA」
イベントレポート 2022.12.05

メーカーとユーザーの絆を感じるイベント「MAZDA FAN FESTA 2022 IN OKAYAMA」

去る11月5日(土)6日(日)、岡山国際サーキットにてマツダによるモーターイベント「MAZDA FAN FESTA 2022」が開催された。 コロナ禍の影響で2020年、2021年と中止となっていたため、3年ぶりの開催となった。 「共に始めよう」とキャッチコピーを掲げた「MAZDA FAN FESTA 2022」は、レースや多彩な体験型イベント、トークショー、展示などが充実。 ファンにはたまらないポイントが満載で、世代関係なく誰もが自動車の魅力に触れることができる参加型イベントだ。その初日を取材した。 サーキットは早朝からにぎわい、大勢のファンが並んだ。 レーシングコースでは本格的に走行も始まり、徐々に会場の熱気が増していった。 展示ブースには早い時間から多くの来場者が訪れ、なかでも注目を浴びていた「FD RX-7 CLASSIC MAZDA レストア展示」は、このあと詳しく紹介する。 ■レーシングコースではさまざまな競技 サーキットのレーシングコースでは、二日間に渡って耐久レースやナンバー付き車輌のレース、ドライビングアカデミー、デモラン、マツダ各車種のパレードランなどが行われた。 今年10周年を迎えたという「マツダファン・エンデュランス(マツ耐)」は第5戦岡山ラウンド。 岡山大会では土曜に「NORMAL系クラス」が行われ、日曜に「TUNED系クラス」が行われた。 ▲走行に備える参加者 そのほかにも二日間に渡って、RX-8のワンメイクレースとしては日本最大級の「エイトリアンカップ」や、多様なマツダ車が出走する「マツダファン・サーキットトライアル(MFCT)」なども開催された。 ●熱狂!ドリフトパフォーマンス 2018年FORMULA DRIFT JAPANチャンピオンのマッド・マイク選手が来場。 レーシングコースのホームストレートにてパフォーマンスした。 ホームストレートの観客席からは歓声があがっていた。 また、2023年のパイクスピークへMAZDA3で参戦するという発表もあった。 ▲走行するロードスターの周りを旋回してドリフトに持ち込む超絶テクニックも披露 ●ハイレベルな戦い、「ロードスター・パーティレース」 ロードスターのモータースポーツベース「NR-A」による、JAF公認ナンバー付きワンメイクレース「ロードスター・パーティレース」。 西日本シリーズの覇者を決める最終戦だった。 今回、岡山でのパーティレースとしては過去最多の36台がエントリーした。 ▲NDシリーズは「ミノワファクトリーロードスター(箕輪卓也選手)」(左)が、NDクラブマンは「Shootingロードスター(中村進選手)」(右)が優勝を飾った ●レースで活躍中のマシンたちが疾走!「MAZDA SRIRIT RACING&パートナーズレースカー展示・デモラン」 レースカーのデモランも行われた。 マツダは2021年にレーシングチーム「MAZDA SPIRIT RACING」を立ち上げている。 スピードスポーツに挑戦する人、モータースポーツに憧れている人、応援する人、モータースポーツに限らず道具を操ってスピードに挑む人をつなぎ、サポートする取り組みを行っている。 そのチームマシンをはじめとしたパートナーズレースカーたちがコースを駆け抜けた。 ▲スタートしていくマシンたち ▲スーパー耐久レースへのステップアップをサポートするマシン、倶楽部 MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER。今年はパーティレース出身のドライバーを中心に挑戦中だという ●愛車でタイムアタックに挑戦!「マツダファン・サーキットトライアル」 「マツダファン・サーキットトライアル(MFCT)」は、自分に合ったスタイルでモータースポーツを楽しめるのが魅力だ。 JAF公認サーキットで年5戦が行われている。 今回はその第4戦。 マツダのさまざまな車種が出走し、タイムアタックに挑んでいた。 ▲ランティス(ゼロウノフロンティアランティス) ▲デミオ(M8トルクディーゼルデミオ) ▲アクセラ(SKM’AXELA) ■誰もが楽しめる展示やカフェ、参加型コンテンツが盛り沢山 参加型コンテンツや展示も豊富で、どのブースも盛況だった。 eスポーツを体験できるブースや、マツダワークスで活躍したレジェンドマシンの展示、RCカー体験、子ども向けのストライダースクールまで家族で楽しめるような催しが充実していた。 さらに、飲食ブースやオーナーと愛車をテーマにした写真展、ペーパークラフト作り、雑貨販売なども行われていた。 ミニコースではドライビングアカデミーやオートテスト、CX-60の同乗体験など、最新モデルにふれたり安全運転技術を学べる催しもあった。 ▲マツダワークスで活躍したマシンを展示。なかでも787B(レプリカ)は人気で、一緒に記念撮影するファンも多かった ▲クラブハウスにはカフェスペースが開設されて憩いの場に。愛車をテーマにした写真展も催されていた。テラスでは雑貨販売も ■名車を未来へ!「FD RX-7 CLASSIC MAZDA レストア展示」 早い時間から大勢の人が訪れていた、RX-7のレストアブース。 マツダは2017年よりロードスター(NA)のレストアサービスを開始。 その第二弾としてRX-7が検討されている。 すでに復刻パーツが一部再供給されており、現時点でFC3Sのパーツは30点、FD3Sは72点のパーツが復刻されている(いずれもエアーコントロールバルブは2023年1月発売予定)。 今回は、初日にFD3Sのホワイトボディ、二日目に塗装されたボディを展示。 レストアサービスの実現に向け、前進していることをアピールした。 ▲今もロータリーエンジンの製造を継続するマツダ。ハンドメイドで製造されている ▲レストアサービス検討中のイメージとして公開されていた車体[写真提供:MAZDA] ▲ローター部品やスロットルセンサーセットなどが展示されていた 現段階では、NAロードスターに続く「第二弾」として、1台丸々できるかどうかをシミュレーション中。 再生産できない部品もあるので、リビルド品で対応するなど検討しているという。 今後の展開を、担当の西田芳伸さんに伺った。 「お客様から要望の声は大きいですが、本社で行うと台数をこなせないという問題があります。今、NAロードスターのお客様にも待っていただいている状態です。価格においてもどのくらいでスタートできるのかを検討しています。NAロードスターのときはサービス開始まで2、3年を要していますが、なるべく早く実現したいという思いはありますね」 そう話す西田さんのもとには、つねにファンやRX-7のオーナーが訪れて熱く語り合う場面も見られた。 そこで、来場者にレストア事業への要望を伺ってみた。 ▲商品開発企画部・西田芳伸さん ●【VOICE】「メーカーのイメージとしても良い取り組み。部品を出し続けてください」 最初に話を伺ったのは、藤谷敬さんと大和基宏さんのおふたり。 藤谷さんは初代デミオ、大和さんは初代アテンザが愛車で「マツダファン・サーキットトライアル」に出場。 待ち時間に見学に来たそうだ。 藤谷さん:「部品がなくてクルマを降りてしまう人もいるなかで、このようなイメージの取り組みはマツダユーザーとしてとてもうれしいです。まだ乗り続けられるという希望が湧いてきます。私は初代デミオに乗っているのですが、ゴム部品をまだ出してくれているので助かっています。これからも純正部品を使っていきたいですね」 大和さん:「他のメーカーでも部品の復刻やレストアはありますが、ここまでの規模は他にないように思います。私の初代アテンザの部品は幸いにも供給されていますが、これからも多くの車種の部品を生産し続けてほしいです」 ▲初代デミオ(Team枯山水デミオ)でサーキットトライアルに出場していた藤谷さん ▲初代アテンザ(どうでしょうアテンザ)でサーキットトライアルに出場していた大和さん ●【VOICE】「クラウドファンディングしてもいい。どうにか部品を出し続けてほしいです」 山口裕さんは、RX-7(2001年式最終型)のオーナー。 スポーツカー好きの友人、木村裕介さんと会場を訪れていた。 ホワイトボディを前に熱心に見学するおふたりに話を伺った。 ▲ホワイトボディを眺める山口さんと木村さん 山口さん:「長く乗り続けているオーナーにとっては、代わりがないかけがえのない1台です。もし部品の設計図があるならデータ化するとか、何らかの形で継続できるような体制をお願いします。特にロータリーエンジンの部品は、マツダしか作れませんから。生産し続けることが困難になったときは、クラウドファンディングしてもいいと思っています。海外とは違い、日本は旧車にいろいろと厳しいですが、そのような状況下で部品を出し続けてくれていることに感謝しています」 木村さん:「部品がなくなってしまうクルマがあるなか、乗り続けられることがすばらしい。これからも必要なときに手に入る状況であるよう願っています」 ▲個体にもよるが、実際にレストアする場合はこの状態にするまで約10日、2〜3カ月で完成という工程となるようだ ▲NAロードスターの場合は外装のみの費用が約300万円。FDはルーフもあり、個体の状態によっても価格は変わってくるため、価格決定は課題のひとつとなっているという[写真提供:MAZDA] ■取材後記 今回は初日のみの取材だったが、ユーザーとの絆をイベントの随所に感じられ、マツダユーザーでなくとも、さまざまな取り組みや先進技術を知ることができるクルマ好きにはたまらない催しだった。 特に「FD RX-7 classic MAZDAレストア展示」は、いち「ネオ・クラシック」のオーナーとしても胸が熱くなった。 メーカーとの距離が近く、直接声を届けられる場所が設けられていたことに感服した。 こうした取り組みが業界の起爆剤となり、自ずと旧車に光が差す未来を想像せずにはいられなかった。 ▲コースに虹。初日の午後は、にわか雨に見舞われた。筆者も含め、会場にいた大勢の人がスマホで撮影していた様子が印象的だった [取材協力] ●岡山国際サーキットhttp://www.okayama-international-circuit.jp/ ●MAZDAhttps://www.mazda.com/ja/innovation/MAZDA_SPIRIT_RACING/event/okayama2022 [ライター・撮影/野鶴美和]  

横浜赤レンガ倉庫を彩る旧車が集結!横浜クラシックカーデイ2022
イベントレポート 2022.12.02

横浜赤レンガ倉庫を彩る旧車が集結!横浜クラシックカーデイ2022

去る11月12日、横浜赤レンガ倉庫にて横浜クラシックカーデイ2022が開催された。 良く晴れた秋空の下かつての横浜保税倉庫、通称赤レンガ倉庫に多数のクラシックカーが集結した姿はまさに圧巻であった。 今回はその模様をお届けしたい。 ■横浜クラシックカーデイとは? 今年で11回目を数える同イベント、赤レンガ倉庫という歴史ある場所で同じく文化遺産ともいえるクラシックカーの展示を行っている。 多くの方に間近で観ていただき、後世につなげていくことを目的として開催されている。 参加資格は1974年までに製造された車両だ。 それ以外は車種、生産国を問わない。 この日もこの1日限りの青空展示会に多くのクルマ達が遠方からも参加、オーナー同士の交流や訪れた一般の方への解説で華やいでいた。 また毎年恒例になりつつある旧いクルマの絵を描こうという企画では、展示されたクラシックカーを子供たちがこぞって描くイベントだ。 現在は大人も負けじと筆を取る姿もみられ、個性豊かなカーイラストが次々に描かれる様はほほえましいものがあった。 ■魅惑の参加車両たち 参加車両の一部に少し迫ってみることにしよう。 それがこちらの初代ミニキャブ。2ストのエンジンを搭載している。 現在のオーナーが手に入れてからは1年ほどとのことだが、現在は2週間に1度くらいの割合で近所をドライブしているとのこと。 2ストはどうしてもエンジンに寿命があるのため、大事に乗っていたいと話す。 そのために、エンジンオイルは高くても社外品のいいものを入れないと焼き付く恐れがあるという。 ちなみにこちらのオーナーはジムニーの初期モデル(こちらもエンジンは2スト)所有しており、筋金入りの2ストマニアといってもいいのかもしれない。 ■新しい試み 赤レンガ倉庫は以前ならショッピングモールとしてその中に店舗が入り、立ち並ぶ飲食店にて参加者も昼食を取っていた。 しかし今年は残念なことに建物の改装工事中ということもあり、仮設トイレが設けられたのみで倉庫の扉は固く閉ざされたまま。 そこで取られた策が会場の両端に配置されたケータリングカー群。 8台/8店舗のケータリングはカフェやランチのサービスはじめ、サンドイッチのように片手で食べられる手軽なものまで。 訪れた方や参加者のおなかを満たすことができたようだ。 ■横道を行く 恒例のイベントの横道を行く。 これだけのクラシックカーが居並ぶ会場、さぞやいろいろなクルマで来場する方がいるに違いないと思いつつ、やはり相応な車両が多数ひっそりと来場していた。 その中の1台が「ヨタハチ」ことトヨタスポーツ800。 大衆車トヨタパブリカのシャーシとエンジンを使い生産されたスポーツカーであり、レースの世界でもライバルであるホンダS600との激闘を繰り広げたクルマだ。 中でも圧巻だったのは船橋サーキットでの浮谷東次郎による逆転優勝だろう。 また、同車両はガスタービンとモーターによるトヨタ初のハイブリットカーのベース車でもある。 キレイに仕上げられた赤いヨタハチは、きらびやかな表舞台の参加車両を見物に来たであろうオーナーにより、ひっそりと裏手のコインパーキングに止められていた。 ■多くの訪問者を楽しませるイベント 横浜クラシックカーデイは開催ごとに参加者だけではなく、そこに訪れる観光客や一般の方々にも広く展示している。 それゆえにどこか普通のカーイベントと違い、同好の士の集まりというよりも動く博物館としての要素の方が強いように感じられる。 それはより一般の方との距離感が近い状態で・・・だ。 ここで初めてクラシックカーを見る子供たちも少なくないだろう。 だが、それでいい。 それがいつか見たあのクルマという思いにつながり、この日ここで観たクルマに対する思いにつながっていくことこそが、この赤レンガで開催されるクラシックカーイベントの意義ではないかと思うからだ。 [ライター・撮影/きもだ こよし]     

歴代モデルがトヨ博に集う!「COROLLA & SPRINTER DRIVERS MEETING」
イベントレポート 2022.12.01

歴代モデルがトヨ博に集う!「COROLLA & SPRINTER DRIVERS MEETING」

トヨタカローラ。 日本だけでなく世界のベーシックカーとして名を轟かせ続けている。 その名前は例えクルマに興味がない人でも耳にしたことはあるのではないだろうか? 1966年の登場以来、セダンを皮切りにさまざまなボディラインナップが登場。 時代にフィットしたさまざまな顔ぶれのなか、兄弟車としてスプリンターも追加される。 クーペ、ミニバン、ハッチバックに近年では派生車種としてSUVタイプのカローラ・クロスも加えられ、世界中のライフスタイルに合わせたクルマとして魅力を放ち続けている。 ■クーペ、SUVにライトバンまで!時代を越えたカローラのラインナップが集結! そんなカローラに愛好家は少なくなく、世界中にファンも多い。 インスタグラムを眺めれば、これまでにまったく見たことがないグレードや度肝を抜くようなカスタムが施された車両も数多く存在し、その歴史の深さと愛され方を伺うことができる。 去る2022年11月5日、日本屈指の自動車博物館としても名高い愛知県、トヨタ博物館にて第三回「COROLLA & SPRINTER DRIVERS MEETING」が開催された。 秋晴れの会場の中には美しく磨き上げられたノーマル個体から、思い思いにカスタムされた数多くのカローラとスプリンターの姿が快音を響かせ流れ込んでくる。 参加台数は総勢で68台。 遠くは九州からも参加者がおり、その熱意に感じ入るものがある。 来場者のラインナップは古くは70系のライトバンから、最新型のカローラクロスのハイブリッドまでざまざまな顔ぶれであり、会場はとても同一車種名のミーティング会場とは思えないほどだ。 会場内にはイギリスから輸入されたカローラツーリングスポーツなど、ワールドワイドに販売されている車種であることを改めて意識させられる車種もあり非常に興味深い。 ■モデルを越えた出会いの場になれば。カローラ・スプリンターの名のもとに集いしオーナーたち 主催であるKA-10さんは今回スプリンターGT(AE111)で参加。 この車両の他にも、サーキット走行用にスプリンタートレノも所有している。 新車当時にカローラレビンのBZ-Gを購入してから、兄弟車であるカローラ、スプリンター系の車種だけで5台も乗り継ぐというから驚きだ。 ▲主催のKA-10さんが所有するのはスプリンターGT(AE111)。引き締まった車高にコーナーポール、レースのシートカバーと、カスタムと往年のセダンらしさが融合する そんなKA-10さんにカローラ・スプリンターのイベントを開催するきっかけについて伺ってみることにした。 「“COROLLA & SPRINTER DRIVERS MEETING”は、2019年に初開催されたイベントです。カローラとスプリンターは長い歴史の中でざまざまなボディタイプが派生しており、それぞれの車種のオフ会は多数行われています。ただ、それらの車種や世代を越えた交流ができれば良いな、と思い、開催する運びとなりました」 新車で販売されている1998年からAE111のスプリンタートレノを所有していたKA-10さん。 インターネット黎明期だった当時、オンラインの掲示板で同車種の集まりが開催されていることを知り、イベントに参加するようになったそうだ。 しかし、時間を重ねるごとに当時のメンバーも次第に別車種に乗り換えるなど、集まる機会自体が自然消滅していってしまったのだとか。 そんな中、近年では車種を取り巻くユーザー層にも変化があり、イベントの在り方にも変化が訪れていったという。 「ここ数年で以前よりもレビンやトレノに乗る若い方々が再び増えてきたのです。しかもオーナー間で活発に交流をしていることを知りました。カローラ系の車種では共有している部品や共通の知識がカスタムやメンテナンスで活きることも多く、イベントの方向性もモデルごとに縛りをつけるのではなく、カローラ・スプリンターという広い括りのイベントとすることで幅広いオーナーさんやクルマと出会うことができる、そんなイベントとしています」 そう伺ってから会場を眺めると、ベテランオーナーさんの姿もあれば、初心者マークをつけたオーナーさんの姿も見える。 若者のクルマ離れなんて言葉が聞こえてきて久しいが、世代を超えて心を惹きつけて止まない力をこの会場からは感じることができる。 ▲まだまだ新しいと思っていた12#系も、国内での販売を終了してから既に16年が経過 ■そこにあるはずのないエンジン!?名機4A-G搭載の4WDワゴン! 会場を見回すと一台のカローラツーリングワゴン(AE104)へと妙に興味が惹かれた。 初代カローラツーリングワゴンは1991年に発売されたレジャー感溢れるステーションワゴンだ。 1997年に大幅なマイナーチェンジが施され、後期型のCMで篠原ともえとユースケサンタマリアが”カロゴン”と謳うモデルだ。 その違和感は年式不相応に綺麗なボディからではなく、そのボンネットフードの中にあった。 ▲外観はGツーリングだが、エンジンはカローラレビン。これまでサーキット走行なども楽しんできたという AE104型の前期カローラツーリングワゴンには4A-Gの設定はないはずだ。 中期型以降から搭載される4A-Gも黒ヘッドの前輪駆動。 こちらのモデルは銀ヘッドの4A-Gで車体側面にはFULLTIME4WDの文字が輝く。 この世界に存在しないはずの組み合わせだ。 すかさず近くにいたオーナーの”るるデブ”さんに話を伺った。 「こちらの車両は1996年に自分が新車で購入した車両です。ワンオーナーで26年間持っているのですが、2004年頃にエンジンのオーバーホールを行う際、AE101系レビンの解体車を丸ごと買い、エンジンやハーネス類、パワステの制御など他車流用の部品を含めて様々なものを移植して完成させました」 外観の変更はカンガルーバーとフォグランプやトムスのホイールに留められているだけに、そのエンジンスワップという行為に潔い輝きを放つ。 4A-Gと4WDとの組み合わせはトラクションも抜群で、雨の日の発進などはお手のものだという。 「排気量が同じ1600ccの4A-FEから4A-Gへと変更したのですが、最初の印象は”とにかく速い!”でした。音も違うし、アクセルの踏み方と速度感が異なることにも驚きがありました。通勤から遊びまでこれ一台でこなす万能マシンです。車体の走行距離は30万キロを越えましたが、カローラのミーティングにはさらに沢山走行している大先輩がいるのでまだまだ頑張りたいですね!」 そういえば、これまで他のカローラミーティングで50万キロ越えの個体を見せていただいたこともある。 頑丈さが都市伝説的に語られるカローラだが、日々の丁寧なメンテナンスや保守なしではここまで生き残ることはきっとできないはずだ。 ■クルマがオーナーを選んだかのような出会い!希少なスプリンターシエロと歩む 会場では普段の街並みではすれ違わないようなモデルと出会うこともある。こちらのスプリンター・シエロも歴代唯一となったモデルだ。 ▲1987年式のスプリンターシエロ、グレードはxi。これまで歴代の愛車は現行モデルなど新しめのクルマが多かったが、先輩の勧めで突如ネオクラ車に目覚めたという E80系をベースとしながら5ドアリフトバックのボディを採用した同車種。 オセアニア地域や欧州、北米ではジオ・プリズムハッチバックとして販売されていた。 いまだヨーロッパの片田舎でごく少数見かける機会があるが、本国の日本ではほぼ見かけることがないといっても過言ではないだろう。 オーナーの”見てのとおり”さんはシエロをインターネットを通じて2018年に入手。 元々クルマ好きではあったものの、旧車に属するクルマを趣味で買うつもりはなかったという。 「元々地方の旧車イベントに会社の先輩と一緒に足を運んでおり、話の流れで”古いクルマを買ってみたらどうか”となり、たまたまオークションで出品されていたシエロを購入する運びとなりました」 オークションでは当時でも驚くほどの安価な値段ながらも、長い間落札されることなく出品が繰り返されていた個体だったという。 そんな個体ながらも、出品者の方から「おおかたの整備は済んでいます。いい買い物でしたね!」といわれたそう。 実際、購入してからの4年間で交換したのはショックアブソーバーのみで現在までトラブルは皆無。 モールや樹脂類に至るまで艶やかさを失っておらず、これまで愛情が掛けられてきたことを感じる。 シエロは“見てのとおり”さんのもとに来てからというもの、各イベントに出没。 購入時からほぼそのままの状態で展示され、いくつかのアワードをも受賞している。 美しい状態で令和の時代まで生き残り、大切にしてくれるオーナーさんと出会うそのときまで待っていたのでは...。 なんて表現すると、少しファンタジックすぎるだろうか。 新旧、カローラとスプリンターに囲まれた一日。 クルマの数だけユーザーとの濃密な物語があるはずだ。 経験や知識の共有、新たな出会いも生まれるミーティングの場に感謝を感じ、これからもクルマと歴史の傍らにこんなイベントがあってくれたら嬉しいと感じてやまない。 [ライター・撮影:TUNA]

歴代(近代!?)4世代が集結! ブルーバードミーティングに参加
イベントレポート 2022.11.14

歴代(近代!?)4世代が集結! ブルーバードミーティングに参加

今回、歴代ブルーバードミーティングに参加した模様をレポートしたいと思う。 本文中、筆者のマニアックで温度高めなところが出てしまう点を、あらかじめおことわりしておきたいと思う。 ■嵐のなか開催された歴代ブルーバードミーティング 季節もイベントに適した気候になり、多くのイベントが各地で再び開催されるようになった。 今回、筆者の愛車である"ブルーバード"も、対象の歴代ミーティングにお誘いを受け、参加してきた。 本ミーティングはブルーバードオーナー有志の方々が開催した。 初秋の季節柄、開催直前に台風が来ており、一時は開催が危ぶまれた。 幸いにして直撃にはならず、高速道路の通行止め等あったが、各地域から多くの参加車両が集まった。 ■多種多彩な歴代ブルーバードたち 今回は8代目であるU12型以降の4世代が集まった。 参加台数の内訳が、筆者の予想と意外な点で異なっていた。 その意外な点とは、今回1番台数が多かったのはU12型であったということだった。 なぜ、U12型の参加台数が多かったかについて、筆者の考えはまた後ほど説明したいと思う。 次に多かったのは、筆者の愛車と同型であるU14型であった。 年式が比較的新しく(とはいっても新しくても約20年落ちではあるが)各排気量にMTの設定があった。 そのため、セダンで走りを楽しみたいオーナーに好まれているのかもしない。 今回、U14型での参加車両の多くはMTであったため、筆者はこのように考察をした。 U13型の参加車両は2台であったが、驚くべきことにSSSとARXが揃う結果となったのである。 U13型について少し語らせていただくと、ボディタイプが2タイプ用意されていた。 バブル期に開発が行われたこともあり「セダンのSSS」、「ハードトップのARX」と作り分けていたのである。 ただ現存率が低く、イベントでもお目にかかれる機会が少ない。 今回”歴代”とのことだったため、SSS(画像の白の個体)に乗る、古くからの友人を誘っていた。 結果として、今回ARXにお乗りの方が参加されており、それぞれのボディタイプが揃うという、めったにない光景が広がった。 G11型ブルーバードシルフィは、シルフィとしては2代目となる。 ブルーバードの名を冠した最後のモデルである。 「シルフィ」のネームが付き、サルーン路線へ大きく変革を行った。 サルーン路線になったとはいえ、意外や走りに関してはブルーバードの血統を感じさせる。 オーナーは毎日通勤も含め、山坂道を走っているとのことだが、走りに不満はないそうだ。 購入当初、ブレーキ性能に不満があったそうだが、利き具合が好みのパッドに交換をしてからは解消したという。 筆者も何度か運転したことがあり、動力性能は十分にあることを知っていた。 そのため、オーナーの感想に共感をした。 残念ながら、6代目の910型で参加予定だったが、不調のため急遽セカンドカーで参加された方もいた。 次回はぜひ、一緒に並べたいと願うばかりだ。 ■なぜ、U12型の参加台数が最多だったのか?についての考察 では、U12型がなぜ今回最多数の参加車両だったのか、筆者の考察を披露したいと思う。 U12型にはセダン、ハードトップ、5ドアハッチバックという3種類のボディタイプがある。 セダン、ハードトップそれぞれのボディタイプには、SSS(スポーティ)とサルーン系の2つのキャラクターが存在する。 当時、新車で購入された方はまず、5種類の大分類から選択することになる。 ボディタイプとキャラクターを選択後、多くのグレードとオプションから理想に近いものを選択することができた。 細分化されたグレード構成から選んだ理想の一台のためか、現在も新車時から乗り続けているオーナーが多いようだ。 今回参加されたU12型オーナーのなかにも、2年以内にワンオーナー車だった個体を購入して、乗り始めた方が数名いたようだ。 新車当時と同じように、現役オーナーたちも自身の好みに合わせた選択を行うことができたため、多種多彩なU12型が集まったのかもしれない。 余談だが、このモデルは、新技術のアピールも積極的に行っていた。 そのひとつに、日産の新たな4WDシステム”アテーサ”がある。 このアテーサは、その後のモデルにも引き続き採用された。 今回、現地に向かっている道中、ウェット路面だけでなく、水溜まりの箇所も多くあった。 そんな路面状況でも”アテーサ”搭載車のオーナーたちは、安心して(むしろ楽しんで)ドライブしてきたとのことだった(笑)。 ■驚愕の絶滅ノベルティグッズ 今回、ミーティングの受付に飾られた、あるモノに驚いた! 2台の金色に輝くU13型(SSS)とU14型のモデルカーである。 一緒に置いてあるトミカと比較すると、大きさがお分かりいただけるだろう。 この2台が何かというと“シガレットケース”そう、タバコ入れである! 新車販売時に設定されていたノベルティグッズになる。 他車種で、このシガレットケースというノベルティがあったことは知っていた。 過去、目にした車種の多くはローレル、マークⅡといったハイソカーであった。 しかも、80年代にデビューしたモデルが大半であった。 実は、少し前にU13型のシガレットケースが存在することを知り、驚いたばかりであった。 今回、96年に登場したU14型にも設定があったことを初めて知り、驚愕の事実であった。 ご存知の通り、現在新車販売されているクルマのほとんどには灰皿が装着されていない。それだけ、喫煙文化は衰退している。 今後、このようにタバコにまつわるノベルティは、今後出てくることはないだろう。 一時代を反映した、貴重なノベルティであった。 ■ミーティング開催場所を提供してくれる貴重なお店 今回のミーティング場所は「ドライブイン もちや(静岡県富士宮市)」の駐車場である。 「もちや」という名前は、SNSのオフ会投稿で目にすることがあると思う。 筆者も名前は知っていたが、どういう場所なのかは知らなかった。 ミーティング当日、会場に着くとお店裏手の広い駐車場が会場となっていた。 この場所はなんと、もちやさんが提供しているとのこと! 流れとしては、事前に参加予定台数を申請して予約。 当日、参加台数と1台当たりの使用料を納めれば、場所の提供をしていただけるとのことだ。 昼食はもちやさん店内にて、豊富なメニューから選ぶことも可能であり、お土産の購入ができる点も助かる。 たしかにミーティングにはうってつけのロケーションである。 周辺道路は流れもよく、クルマにもドライバーにもストレスフリーな環境でもある。 なかなかミーティングを行いたくても場所の確保が難しいことが多い。 筆者としては、もちやさんはミーティングの救世主と感じた。 ●施設名:朝霧高原もちや(ドライブイン もちや) ・営業時間:9:00~18:00(天候等により変更する場合あり)・定休日:不定・TEL:0544-52-0202・FAX:0544-52-0771・住所:〒418-0108 静岡県富士宮市猪之頭1114-1・交通情報:東名富士ICより車で約25分、中央道河口湖ICより車で約40分、新東名新富士インターから車で約20分・駐車可能台数:320台(無料)・URL:http://www.mochiya.co.jp *オフ会についての規定も公式ホームページに公開されているhttp://www.mochiya.co.jp/もちやオフ会規定.pdf ■まとめ 長い歴史のあるブルーバードにおいて、8代目以降のモデルが集まった。 ブルーバードとしては”近代”モデルが集まったことで、近い年代同士での比較、情報共有が積極的に行われた。 今回、筆者個人としてはミーティングを歓迎してくれるお店があることを知った。 読者の皆様においては、ミーティングを行おうと計画されている方もいると思う。 ぜひ、お近くのミーティング歓迎な施設を探して、気兼ねなくイベントを行うことをお勧めしたいと感じた。 [ライター・撮影/お杉]

参加台数は100台以上!熱海ヒストリカ2022イベントレポート
イベントレポート 2022.11.04

参加台数は100台以上!熱海ヒストリカ2022イベントレポート

■小雨が降るなか「熱海ヒストリカ2022」が開催 去る10月10日、小雨降る南熱海・長浜海浜公園芝生エリアにて、クラシックカーイベント「熱海ヒストリカ2022」が開催された。 主催はACJ(オートモービルクラブジャパン)。 長浜海浜公園では秋の風物詩ともいえるイベントで、この日公園内の緑地部分にクラシックカーが100台以上が整列した。 参加資格は1995年までに製造された車両、国産外車は特に区分けはない。 会場には10時から開催となっていたが、既に9時を過ぎた頃にはほとんどの車両が集まっていた。 クラシックイベントでも、1995年という枠組みから、わりと近年の車両と思えるR32GT⁻Rのようなクルマから、見たこともないような欧州車まで・・・。 広範囲にわたるクルマで参加者や居合わせた見物人を楽しませてくれた。 ■特異なクルマと若者の邂逅 今年のヒストリカではバブルカーが少なからずエントリーしており、筆者も唖然とする車両がこのツェンダップ・ヤヌスである。 バブルカー最盛期に1年ほどというごくわずかな時間生産され、現存は世界でも数十台もちろん、日本にはこれ1台だという。 正直、筆者も初めて見るどころか、存在すら知らなかった。 50代である筆者をしてその状態なのだから、若い方などは推して知るべしである。 BMWのイセッタベースの600など、ドアが前面から開くことに驚き、なぜこのようになっているのかと質問攻めにするほどであった。 黎明期の車両など、現代の洗練されきった車両からすれば一見無意味な構造に違いない。 しかし、そうなった過程にはもちろん意味があるのだが、彼らからすれば不合理極まりないものに見えるようだ。 温故知新、そうしたことを知ることも、また教える意味でもこうした車両の存在は大事だろう。 ■「蒼いクルマたち」が集結 今回は主催者の意向であるテーマ車両が多数参加していた。 それは「Team Blue Blood」と称する蒼いクルマのエントリー枠だ。 いわゆる青系なら年式問わずどのようなクルマでも参加可能というものだ。 この枠には30台近くエントリーしていた。 そのこともあって毎年クラシックカーのみ(一部現行のスーパーカー等を含む)が芝生エリアに並んでいたが、今年は現行モデルの国産車がちらほら姿があった。 イベントの区分けとしてはどうなのか? そう思われる向きもあるかもしれないが、筆者は悪くない試みではないかと思う。 現代の水準において、旧車はあまりにも値段が上昇してしまった。 その結果、人によっては縁遠い、あるいは手の出ないものとして捉えられているかもしれない。 それでも、懐かしさだけでなく興味を持って会場を訪れてくれた人に、より身近にクルマもオーナーも知ってもらうことは重要だと感じるからだ。 そうした意味で、現行車両でテーマに沿って来てくれた人も、参加者として迎え入れた意義は大きいと思う。 ■横道を行く 会場外にいる車両をピックアップする横道を行く。 例によって探した結果、今回は駐車場ではなく会場内で見つけた1台を。 明らかにモディファイドされたクルマなのですが、ベースはMR-S。 一見するとリア回りなどポルシェのボクスターのようにも見える。 いったいこれは何かとたまたまクルマに戻ってきたオーナーに伺うと、アブフラックというエアロパーツ(カスタマイズ)メーカーのものだそうだ。 ■国内最古のカークラブ、オートモービルクラブジャパン(ACJ)とは? 主催であるオートモービルクラブジャパン(ACJ)は、国内最古のカークラブである。 最古参というと他にも名乗りを上げそうな話ではあるが、ACJの歴史は明治41年にまで遡る。 さすがにここまで過去にさかのぼられてはいかなるカークラブも最古を名乗ることは難しい。 それもそのはず、この明治41年の8月1日に日本で最初の遠乗会つまりツーリングが行われたのだ。 この時に先頭に立たれたのが有栖川宮殿下であり、他10台と連れ立って国立鎮守の森谷保天満宮まで走ったのが国内初のドライブツアーだとされる。 この際に同時に自動車クラブとして設立されたのがはじまりだ。 前述の谷保天満宮でのイベントはもちろん、熱海ヒストリカをはじめ、多数のイベントを企画または他のクラブとの連携やコラボレーションを行っている。 ■まとめ:クラシックカーのイベントは敷居が高そうに思う方ほど参加を! 最近では、熱海ヒストリカも参加車両が多くなり、エントリーが難しくなっているようだ。 しかし、ACJクラブ員は優先的にエントリーができるようになっている。 最古のカークラブとしてこの先を見据えての新しい試みなど、世代交代にも向けた取り組みに歴史と重みを感じずにはいられない。 クルマ好きだが、自クラシックカーのイベントは敷居が高そうに感じる。 そう思われている方こそ、こうした枠組みをきっかけにエントリーすることをお勧めしたい。 ■Automobile Club Japanhttps://acj1908.com/  [ライター・撮影/きもだ こよし]  

13年ぶりに復活「彦根赤祭り」の参加条件は赤いクルマであること!
イベントレポート 2022.10.21

13年ぶりに復活「彦根赤祭り」の参加条件は赤いクルマであること!

この夏、各地で数年ぶりに多くのイベントが行われた。 去る8月14日に滋賀県彦根市で行われた「赤祭り」もそのひとつである。 筆者の“赤い”愛車で、参加してきた模様をレポートしたいと思う。 ■「彦根赤祭り」とは? 彦根藩主であった、井伊家の甲冑が“赤”だったことに因んで“赤い”クルマを集めて行われたイベントである。 2009年を最後に、13年間お休みをしていたという「赤祭り」。 実は、過去行われた赤祭りに筆者は参加していたのだ! 今回開催される情報を滋賀在住の友人から教えていただき、すぐさまエントリーしたのだった。 ■赤ければOK!参加車両はオールジャンル! 今回のイベントは事前エントリー制となっている。 事務局の判断で“赤いクルマ”と認定された場合、参加が可能である。 これは、過去行われた際も事前エントリー制としており、徹底して“赤”にこだわっていることが伺えられる。 そのなかには働くクルマも参加されていた。 働く赤いクルマの代名詞といえば、郵便配達車や消防車である。 今回、郵便配達車が働くクルマの代表として展示されていた。 来場されたファミリーのお子様は、カブに跨って撮影を楽しまれていた。 他には、日頃彦根城周辺で活躍している人力車、電動コミューターもエントリーしていた。 ■個性的でマニアックな車両もエントリー! 会場内には、さまざまなジャンルのクルマが参加していた。 ここからは、筆者の琴線に触れた”マニアックな”クルマを紹介していこうと思う。 会場で駐車した際、筆者のブルーバードに興味を持っていただき、声をかけて下さった方が居た。 この方が、初代インサイトのオーナーである。 筆者の記憶では、初代インサイトを間近で見たことはなかった。 初めて間近で見て「非常にコンパクト」という印象を感じた。 デビュー時に「3Lのガソリンで100kmの航続を可能にした」という情報を知り、驚いたことを今も覚えている。 当時、空力を考えリアホイールの半分をカバーしている姿を見て「そこまでするのか!」とメーカーの本気度も感じた。 初代インサイトが「オールアルミボディ」というのは有名な話だ。 しかし、ペダル類、補器類のブラケットまでもがアルミで作製されているのは、あまり知られていないと思う。 今回オーナーからの説明を受け、筆者も初めて知った次第である。 近未来を感じていた、初代インサイト。 しかし、気づけば旧車の域に突入していることを知った。 なかでも気になるのは動力用バッテリーの劣化である。 劣化が進んでいるため、交換が必要になっているそうだ。 対処法として、リビルトや他車種のバッテリー流用が、手段としてあるとのこと。 ハイブリッドカーでは、従来のエンジンオーバーホール、載せ替えに相当するメンテナンスが、バッテリーに該当するようだ。 会場内の参加車両を見て回っていたところ、ヴィヴィオ T-topを発見した。 ちょうどルーフを外しているところだったので、お話を伺うことができた。 オーナーの方は、現在のT-topは2台目とのこと。 驚いたことに、過去乗られていた車両も新たなオーナーとともに、今回参加されているとのことだった! T-topも初めて、間近で拝見した。 オープンにする際、頭上部分は手動で脱着できる仕組みとなっている。 左右席頭上、センター部分と3部品で構成されている。 Tバールーフにもなる仕組みだ。 Bピラー後方、リアウィンドウ部分は単独で開閉可能だ。 このリアウィンドウが電動で開閉されるということは、あまり知られていないことと思う。 筆者はこのことも、今回初めて知った。 新たに学ぶことが多い。と、いつもイベントに参加する際に思うばかりだ(笑)。 今回、お話を伺ったクルマたちを間近で見ることはなかなかない。 貴重な機会となった。 大変ありがとうございました! 今回ご紹介した2台。 お話を伺うと、イベントに参加した車両は”セカンドカー”とのこと。 お2人とも、別に“本命”車両をお持ちだそうだ。 イベントにも参加できる“セカンドカー”を持つ、旧車マニアな人が増えていると、改めて実感した次第だ。 ■クルマだけでなくみんなが楽しめるイベントも! 今回、会場ではeスポーツの体験ブース、トークショーも行われていた。 グランツーリスモだけでなく、各自ゴーグルをつけて対戦を行う、体感型のブースも設けられていた。 トークショーでは、過去の赤祭りでも登壇された、赤い彗星ことシャア・アズナブルの声を担当している声優の池田秀一さんが登場したのだ!!! なぜ?と思われるかもしれないが、演じられたキャラクターにて"赤"にまつわる縁があるとのことで、過去に引き続き登壇されていた。 各アニメキャラクターファンの方々も来場していた。 駐車場では、ガンダムの“シャア”関連カスタム車も多く参加されていた。 クルマが主体ではあるが、自治体が主催だけにそれだけではなく、多くの来場者が楽しめるイベントとなった。 ■まとめ:来年の大規模開催予定に期待! 今回、13年ぶりの開催となった赤祭り。 閉会式でも、来年は更なる大規模開催を予定しているとのアナウンスがあった。 すでに予定日を決め、場所の確保にも動いているとのこと。 現在、彦根市は彦根城の世界遺産登録をめざしている。 来年は世界遺産登録された彦根城と共に、最大の盛り上がりを今から期待してしまう。 来年はぜひ“赤い”クルマに乗っている方はエントリーされてはいかがだろうか。 ●「赤祭り」公式ホームページhttps://www.akamatsuri.com [ライター・撮影/お杉]

3年ぶりに開催「第14回ゆーるぴあんミーティング」イベントレポート
イベントレポート 2022.10.05

3年ぶりに開催「第14回ゆーるぴあんミーティング」イベントレポート

台風の影響や線状降雨帯により長雨にさらされた日本列島・・・。 ようやく晴れた日曜日、長野県は富士見パノラマスキー場にスキーとは無縁そうなクルマたち(もちろん時期的にもスキーでもないが)が続々と集まっていた。 去る9月11日、この日は3年ぶりとなるノンジャンルイベント『ゆーるぴあん』ミーティングが開催された。  その模様をご紹介しようと思う。 ■「ゆーるぴあんミーティング」とは? 「ゆーるぴあんミーティング」は2015年から始まったノンジャンルのイベントだ。 したがって参加車両は国産外車乗用商用を問わない。  そしてイベントを立ち上げたメンバーの多くが、当時まだ学生だったという、少しばかり異色なイベントだ。 若者のクルマ離れととかくいわれがちな業界ではあるが、彼らを見ていると、それはいったいなんのことだろうと思わずにはいられなかった。 そんな熱意に溢れたメンバーが始めたイベントだけに、やはり参加者も勢いに満ちている。 ■第14回ゆーるぴあんミーティング    話を戻そう。 ゆーるぴあんは開催以来、概ね年2回行っていたが、このコロナ禍で多くのイベントと同様に自粛を余儀なくされていた。 しかし今回、3年ぶりに開催することができたという。 それ以前は車山高原で開催されていたが、紆余曲折もあり、心機一転こちらの富士見パノラマスキー場での開催となった。 こちらのスキー場は、過去にもシトロエン等がイベントを行うなど、カーミーティングに理解のあるスキー場として知られている。  会場には参加台数キッカリ300台という様々な車両が並ぶ。 ずいぶんキリのいい数字だがこれはスタッフの入念な準備の賜物である。 というのも告知でしっかりと300台限定としそこでキッパリと区切ったことで感染対策や会場側への配慮を明確にする意図がみえるのである。 実際スタッフにもその話をうかがうと『事前に登録をされずに来た方には本当に申し訳ないのですが車両のご入場をお断りいたしました』と徹底していた。 事実筆者も事前登録をして少し早めに参加していたが、一般参加として登録していたため、入場開始の時間まで車両の搬入はできなかった。 しかし、これを読まれている方々に断っておきたいのだが、決して融通が利かないのではなく、イベントを円滑に進めるためであることをご理解いただきたい。 ■フリマや協賛店も楽しめる! ゆーるぴあんでは特に何かをするということはない。 もちろんフリーマーケットやショップの展示はあるが、基本は皆が思い思いに交流を図る集まりだ。 企業ブースに展開したユニルオパール。 この日は新規展開をはかるための、イタリア製のケミカルグッズを多数用意していた。 名古屋のCAR-BOXがこの日持ち込んでいたのはパンダ。 「シティクロス」と呼ばれる、2駆のクロス仕様『トラサルディ』は、ファッションメーカーとの限定コラボモデルである。   アバルトモデルのフィアット500のハッチゲートに陳列されているのは、カーグッズやチューンドパーツではなく海苔。 吉田商店の海苔は、銀座九兵衛にも下ろされている高級品である。 真ん中にある某猛牛をあしらったカーメーカーに似たロゴは、アウトモビリ・ランボルギーニではなく、オイシイノリデ・ランチオニギーリとなっていた。 ■イベントの横道を行く イベント会場に早い段階で到着したのはいいが、準備中のため入ることができなかったのは前述の通りである。 しかしだからといって無為に時間が過ぎるのを待つ必要はない。 必ず筆者と同じように、待機しているクルマはあるはずだと会場の周囲を探してみると、早速発見。 このマルっとしたセダンが何かお分かりいただけるだろうか? オートザム(かつてマツダの販売チャンネルのひとつだった)レビューだ。 一見すると軽自動車のようなコンパクトな車両だが、1.3Lと1.5Lのエンジンを持つ小型乗用車である。 そのスタイリングから女性をターゲットにしたが、あまり支持はされなかったようだ。 しかし、大人4人がしっかりと座れることやコンパクトなわりに、スーツケースが2個は入るトランクと、見た目以上にしっかりとした設計であったため、海外では「マツダ121」という名で評価を得ていた。 驚くのはまったくの無改造でしかもMTモデル。 その後、会場入りすると案の定、参加者だったことが判明した。 オーナーの方はまだ20代だろうか・・・。 手に入れてからまだ2年ほどとのこと。 なんとこの前に所有していたのもレビューだという。 こちらもまた強者の気配が伝わってきた。 ■情熱は止まらない ゆーるぴあんミーティング、この言葉を初めて耳にして訪れたのは、まだ横浜のカーグッズ量販店や本牧の駐車場でのことだった。 スタッフもあの時は学生だったが、今はもう社会人になってン年。 以前のようにはさすがに開催できまでも、できるだけ続けていきたいですねと語っていた。 彼らがイベントを始めてもうそんなに時間が経っていたのか・・_と驚かされる。 もはや若いだけではなく、中堅をなすイベントとしてその位置を確立しているといっていい。 空白期間を経て開催されたゆーるぴあんミーティング。 これからも熱意溢れるメンバーと続いていくことだろう。 ■公式Twitterhttps://twitter.com/yu_ru_pr  [ライター・撮影/きもだ こよし]  

約200台のAE86がエントリー!「OURA 86 meets 2022」
イベントレポート 2022.09.30

約200台のAE86がエントリー!「OURA 86 meets 2022」

去る2022年9月18日(日)、群馬県邑楽郡邑楽町おうら中央多目的広場にて開催されたイベント「OURA 86 meets 2022(邑楽町商工会青年部主催)」の模様を取材してきた。 イベント名にもあるとおり、主役はAE86型のカローラレビン&スプリンタートレノだ。 イベント開催日当日は、台風14号が日本列島に接近しており、開催地である群馬県も朝から雨の予報だった。 ホームページでは「雨天決行」と表記されていたし、公式SNSでもイベント当日の案内が投稿されていたので、ひとまず現地に向かった。 午前10時開場の30分ほど前、9時半に現地に到着してみると・・・なんと曇り! これはチャンスとばかりに、すでに会場内に整然と並べられた約200台ものAE86型カローラレビン&スプリンタートレノを撮りまくった。 しかし、10時半を過ぎたあたりから雲が厚みを増し、10時45分頃には雨が降り始めた。 それでも次々と多くのギャラリーが集まってきた。 今回の「OURA 86 meets 2022」は実に3年振りの開催だという。 雨の予報であることを承知のうえで会場に足を運んだ人もいたはずだ。 それだけこのイベントの開催を待ち望んでいた人が多かったということなのだろう。 ■OURA 86 meets 2022:カローラレビン編 総生産台数でいうなら、カローラレビンが約6万6000台、スプリンタートレノが約3万6000台と、圧倒的にカローラレビンの方が多い。今回、2ケタナンバーやフルオリジナルに近い状態の個体を何台も見掛けた。いずれもオーナーの愛情を感じずにはいられない素晴らしいコンディションをキープしたハチロクが多かったように思う。 ■OURA 86 meets 2022:スプリンタートレノ編 リトラクタブルヘッドライトが特徴的なスプリンタートレノ。展示中は敢えて「ヘッドライトぱっちり」にしている個体も多かった。限定モデルである「BLACK LIMITED」が少なくとも3台はエントリーしていたようで、それぞれの個体のオーナーのこだわりを垣間見ることができた。 ■OURA 86 meets 2022:ショップ編 ハチロク関連のショップもブースを構え、デモカーを展示していた。会場限定アイテムや掘り出しモノの販売もあり、ハチロクオーナーが熱心に見てまわっていた。途中から本降りの雨となってしまい、せっかくのデモカーのエンジンルームが観られなかったのが残念でならない。来年に期待したい! ■OURA 86 meets 2022:ステッカー編 オーナーや有志のクラブなど、個性豊かなステッカーを貼ったハチロクが多かったこともこのイベントの特徴かもしれない。(なかには記事にアップできないものもあったので割愛しつつ)、ユニークなものから定番まで、趣向を凝らしたオーナーの個性が垣間見えるショットをお届けしたい。 ■OURA 86 meets 2022:複数台まとめて・・・編 仲間同士で同じ仕様、カラーリング、イタ車仕様のラッピングなどなど・・・。並べることでぞれぞれの魅力が引き立つ展示をしていたことも印象的。そのなかから気になったハチロクをピックアップしてみた。今回、ラリー仕様にしているハチロクがあることを初めて知った。 ■OURA 86 meets 2022:まとめ 当日は生憎の雨模様となり、台風14号の接近に伴い、午後には雨足が強くなっていった。 それでも、参加者や主催者の方たちの熱量は変わらなかったように思う。 なぜなら・・・新型コロナウイルス感染症の影響で「OURA 86 meets 2022」は2020年、2021年の開催を断念。 今回は実に3年振りの開催となったのだ。 イベントは立ち上げること自体が容易ではないが、継続させるのはさらに大変だとしばしば耳にする。 一部の心ない参加者が原因で開催中止に追い込まれてしまったイベントも実在する。 主催者と参加者が力を合わせることでイベントが成立し、長きにわたり継続していくのだと思う。 今回、全国各地から多くのハチロクが集結した。 雨で濡れたボディがきれいに水を弾き、その多くの個体にはワックスがビシッと効いていることが分かる。 このイベントの魅力を再認識したオーナーも少なからずいることだろう。 今回は生憎の雨模様となってしまったが、来年も開催されるのであればぜひ天候に恵まれることを祈るばかりだ。 ●OURA 86 meets:Facebookページhttps://www.facebook.com/OURA86meets/ ●OURA 86 meets:Twitterhttps://twitter.com/oura86meets ●OURA 86 meets:YouTubehttps://www.youtube.com/channel/UCTaaeWzoOUJFdLXutXjU_pw ●邑楽町商工会ホームページhttps://osk.or.jp [ライター・カメラ/松村 透]  

北海道で開催「第二回キュウマルカーミーティング」イベントレポート
イベントレポート 2022.09.24

北海道で開催「第二回キュウマルカーミーティング」イベントレポート

■二回目開催、道内各地から様々な顔ぶれの車両が集結 去る2022年8月28日(日)、晴天に恵まれた北海道、室蘭港フェリーターミナルにて「第二回キュウマルカーミーティング」が開催された。 北海道でもカーミーティングは盛んに行われているが、ことネオクラシックな車種や90年代車にスポットを当てたものとなると開催されている数はまだ少ない。 今回のイベントの仕掛け人である将利歩さんも、かつて関東でのカーミーティングにも頻繁に参加していた経験から「北海道でもっと気軽に集まれるイベントが開催されれば良いのに…」との想いがあり、開催の運びとなった。 第一回は夕張市の日の出クラシックパークで開催され、大盛況ののち幕を閉じた。 第二回目となる今回の開催は室蘭港の広く開放的な駐車場で行われ、前回よりもさらに規模を広げた印象を受ける。 イベントでメインを飾るのは「1989年から2001年以内に生産、新車発表された車種」といったレギュレーションこそあるものの、「沢山の人にイベントを親しんでもらいたい」という主催側の意図もあった。 展示車両のバリエーションもレギュレーションを緩め、より豊富に広がった楽しいイベントとなっていた。 今回のイベントで車両を展示されている方の声で多く聞こえてきたのは、「いわゆる旧車として扱われている80年代以前の車は大事に保管されている印象が強いが、日常のツールとして使われてきた90年代〜00年代初頭の車は近年一気に台数を減らしていっているように感じられる」とのことだ。 ■北海道ならではの旧車事情とは? 実際に2000年式のU14型ブルーバードを所有している将利歩さんに北海道内でのネオクラシックカーの所有について伺うと「90年代後半から生産されたU14ブルーバードでも北海道内ですれ違ったのはこの2年間で2台ほど。 道内では融雪剤などの影響で錆びの進行が早かったり、仕様によってはリサイクルパーツですら入手が難しい車種もあり維持を諦めるケースがある」とのことだった。 ▲道外で使用していたブルーバードを引っ越しとともに連れてきたそう。いざ北海道で乗り始めると同車種とすれ違う回数は片手で数えるほど 筆者も13年ほど前まで北海道内に住んでいたが、そう言われて街のなかを改めて観察していると、すれ違う90年代車の台数とバリエーションはかなり少なくなった印象だ(むしろファームトラックやディーゼルのクロカンなどの古いモデルは本州より比較的多く見かけるのだが)。 北海道は寒冷地仕様車、4輪駆動車、ディーゼル車など、雪国ならではの車種も多く走っている地域だ。 かつては地域の特性上、ロシアへの中古車輸出も盛んであり、今や本国よりも海外で見かける機会の方が多い車種もあるほどだ。 所変わればクルマを取り巻く環境も変わる。 北国ならではの事情を知りながら会場を改めて見回してみよう。 北海道外と同じように後輪駆動のスポーツモデルも多く見かけるのだが、冬期間の運転や雪深い時期に乗るためのサブカーの所有など…ひとえに所有と言っても北海道ならではの苦労は尽きない。 燦々と降り注ぐ太陽が嬉しい夏の期間、愛情を注いだクルマたちを眺めながら談義に花を咲かせるオーナーたちの笑顔を感じると、また異なる視点でイベントの表情が見えてくる。 カスタムカーやスポーツモデルではない乗用モデルにも北海道ならではの視点は伺える。 冬タイヤを装着する地域では冬タイヤ用にもう1セット分のホイールを持っているパターンが多い。 オートバックスなど量販店で装着されたホイール一つとってもその時代ごとの雰囲気が伺える。 また、電球の熱で雪を溶かしてナンバープレートの視認性を高めるための字光式ナンバープレートや、雪下ろしのダメージをなくすためにダイバーシティアンテナを車内に取り付ける例など、それぞれの車両から雪国ならではの視点を見受けることができる。 これらも雪が降る北海道の旧車イベントならではといえるのではないだろうか。 ■ちょっと懐かしいけど、どこか違う。北海道的なクルマの話 参加された17系クラウンのオーナーさんに話を伺ってみた。 「自分はこのクラウンとは別に所有しているエスティマで行く場所に合わせてクルマを使い分けています。特に行く場所の距離やイベントによってはクラウンで行き、冬の期間はエスティマの出番が増えます」 ▲”和ユーロ”テイストにカスタムされた17クラウンは珍しいロイヤルサルーンのUパッケージ。ランプのカバー類はワンオフで作られ、エアロと統一感を出す。所有するホイールは複数セットあり、イベントに合わせて靴のように履き替えているとのこと こちらは最近、全国的に見かける回数が少なくなってきた3代目ビスタハードトップだ。 90年代の北海道では多く見かけた仕様でフルタイム4WDのステッカーに懐かしさが込み上げてくる。 このビスタの他にもカスタムされたマークXとスカイラインを所有するというオーナーさんだが、MTでノーマルのまま維持されていたビスタを残したい、との気持ちで奥様のお祖父様から受け継いだ個体なのだそう。 ▲かつては道内でよく見かけたビスタやカムリ。今ではロシアの街中で多く見かける。実際にオーナーさんが部品を探すと日本ではなくロシアのサイトで発見したりすることもあるそう 10系セルシオのオーナーさんは今年、愛知県で販売されていた車両を取り寄せたとのこと。 「マジェスタやアリストなど、大排気量のトヨタ車に憧れていてその思いがこの一台で実現しました。字光式ナンバーにこだわりがあるのでぜひみて欲しいところです」と語る。 セルシオと電球タイプのフレームにナンバープレートが誇らしさすら感じさせる。 ▲念願叶って購入したセルシオは愛知県で見つけた個体を北海道へと送ってもらったそう。冬季間は元々乗っているダイハツ・ミラと使い分けるそうだ 全道各地から車両が集まるこのイベント、いくつもの管轄のナンバープレートを見ることができた。 例えば今回イベントが開催された室蘭港から北海道の道東地域である帯広ナンバーの陸運局までは約250km、北見ナンバーの陸運局までの距離を測ると約380km(東京ー名古屋間と同等)の距離だ。 道内をドライブすればクラシックなモデルが数台連なってツーリングをしている光景にも出会うことはたまにあるが、こういったイベントが開催されていればこそ、遠方からでも足を運びたくなる気持ちはとても理解できるものだ。 車両の維持が難しい地域であるからこそ、晴れの舞台は喜ばしい。 まだまだ、全道各地にいるであろう北海道内のネオクラシックな車両たちとそのオーナーたち。 今後もイベントの機会が増え、交流が増えていくことを考えるとこの先の開催もとても楽しみにしてしまうものだ。 [ライター・撮影/TUNA]

今年はコペン誕生20周年!コペン夏祭り2022イベントレポート
イベントレポート 2022.09.16

今年はコペン誕生20周年!コペン夏祭り2022イベントレポート

■1.2022年はコペンは初代誕生から20周年 クルマに興味がない人でも「名前は知っている」「あのカワイイカタチのクルマね!」といわれるダイハツコペン。 初代が登場してから驚くことに今年で20年が経過した。 先日、20thアニバーサリーモデルが即完売した記憶に新しいニュースだろう。 初代コペンがデビューしたとき、どうしても間近で実車を見てみたくなり、初めてダイハツディーラーを訪れた。 筆者はまだ中学生だった。 今となっては懐かしい思い出である。 現在、筆者自身も愛車として初代コペンを所有している。 日々、多くのコペンが街中を走っている。 いまだに初代コペンも多く見かけるため、20年の歳月を感じさせない印象がある。 このように、多くのオーナーに愛され続けているコペン。 大規模なオーナー向けのイベントが富士スピードウェイで行われるのを知り、コペンオーナーの一人として参加してきた模様を今回お伝えしたいと思う。 ■2.イベント告知はSNSのみ!現代版の口コミ効果を実感 今回のイベント、告知スタートはSNS、それもTwitterのみとのこと。 ●コペン夏祭り CoCoRO COPEN 2022 in FSW @8/12 https://twitter.com/CoCoRoCOPEN イベントの開催を主催者がまずフォロワーに呼びかけた。 その呼びかけがフォロワーを通じ、リアルなコペンオーナーたちに伝わり、Instagramなど他のSNSも介して広まったそうだ。 筆者もこのイベントについてはSNSを通じて知った。 恥ずかしながら筆者は、SNSについては古くに登録したものしかやっていなかった。 そのため、コペンを所有して7年ほど経つが、コペンオーナーと交流する機会がなかった。 今回、友人に薦められて登録したSNSで、コペンオーナーの方をフォローしてミーティングの情報に触れる機会を得た。 世の中の情報伝達速度が上がり、主なソースがSNSになった。 しかし、肝心の情報が伝わり、そして広がるにためには「人を介していること」は変わらないのだと、改めて実感した。 ■3.みんなコペンが好き!初代も現行も勢揃い  イベント当日、会場へ向けて走っているとき、何台かのコペンと遭遇した。 勝手に同じイベントに行く仲間かと思い意識していたが、途中でそれぞれ会場とは別方向に走っていってしまった。 いわゆるイベント時に起こる"あるある"であった(笑)。 趣味性は高いが、通勤など日常の使用も行える、懐の深さのあるクルマだからこそ起こった勘違いであった。 その後、会場である富士スピードウェイに到着するとスタッフの方々に誘導された。 誘導役を担当していたのは、有志であり、同じコペンオーナーの方々だという。 頭の下がる思いである。 ボディカラーごとに誘導され、自分と同じ色のコペンがどれだけ参加しているのかを実感した。 開会式において、今回のキーワードである"ココロコペン"について説明があった。 「ココロもコペンも動かさないと錆びてしまう」という思いを語られた。 近年の情勢を踏まえつつも”動いていこう”というメッセージは参加者に強く伝わったに違いない。 ■4.三車三様!工夫で広がるさまざまなコペンライフ コペンといえば2シーター、電動ルーフ、軽自動車というワードから、荷物が積めないイメージをお持ちの方が多いのではないかと思う。 筆者も愛車にするまではそのようなイメージを持っていた。 しかし、ルーフを閉じていれば、トランク内スペースがそのまま使えるため、意外と荷物を積むことができる。 ただ、ルーフを開けてしまうとトランクにはわずかなスペースしか残されていない。 筆者は今回のイベントでオープンにする予定だったので、トランクの限られたスペースに収められる、最小限の荷物にして家を出たのだった。 そんなコペンに自転車を積載されている方を発見した!  お話を伺うと、ワンオフのヒッチメンバーを装着、ヒッチメンバー用のサイクルステーを利用しているとのこと。 トランクリッドにキャリアを装着して、タイヤを積載している。 このスタイルで出かけ、現地で自転車に乗り換え、ツーリングを楽しんでいるそうだ。 さらにフェンダーミラーを装着されているコペンも発見!  珍しい後付けフェンダーミラーだが、車検は大丈夫なのか尋ねてみた。 先日車検を受けた際に適合性を確認して、お墨付きとのこと。  カスタムスタイルからお気づきの方もいると思うが、クラシックな英国車がテーマだそうだ。 英国車で見たことのある、助手席を覆うカバーはなんとオーナーのお手製。 クラシックカーに乗るのには相応の覚悟が必要だが、理想のスタイルに創意工夫でカタチにしていくのも楽しみである。 会場ではクラシックカー風のカスタムも多く見かけた。 比較的アフターパーツが充実しているコペンだが、他車パーツも活用して個性をアピールされている方が多く見かけた。  アフターパーツのなかにはアストンマーティンのフェイスにするキットもあるそうだ。 オーナーは本物のアストンマーティンもお持ちとのこと。 ガレージでこの2台並ぶ姿はきっと微笑ましさすら感じさせる光景に違いない。 ■5.世代や性別、メーカーとユーザーの垣根を超えた交流が実現 SNSで広まったイベントだけあり、各所でハンドルネームを呼び合い、談笑をしているグループを多く見かけた。 オフラインで初めて会う方が居たり、愛車を前に気になる箇所を質問しあう場面も見られた。 人見知りな筆者も今回、意を決して気になるカスタムのコペンオーナーに声をかけてみた。 初対面にも関わらず、皆さん気さくにお答えいただき、ありがたい限りであった(この場を借りてお礼申し上げます!!!)。 SNSのリンクとハンドルネームを記載した名刺をくださった方もおり、筆者も次回は準備して参加しようと思う。 ボンネットを開けると人が集まって来るのも「オフ会あるある」の光景といえるだろう(笑)。 今回のイベント、オーナー有志が主催のイベントであったが、お昼頃にサプライズゲストが登場した。 会場である富士スピードウェイ内で同日「ダイハツチャレンジカップ」が行われていたのだ。 そちらに参加されていたダイハツ工業の殿村さん、相原さんがなんとD-SPORT Racing Teamのマシンで登場したのだ! お二人はGRコペンや20周年記念車の立役者でもある。 お昼休みの時間にイベント会場に姿を現し、急遽トークショーと時間が許す限りコペンオーナーたちとの写真撮影を行っていた。 メーカーの開発者とオーナーが直接交流する機会は稀である。 コペンだから叶ったことなのかもしれない。 ■6.まとめ:いつまでも愛し愛され続ける存在であることを実感 今回参加して改めてコペンというクルマは、多くの人々に愛されていることを実感した。 イベント内でも告知がされていたが、全国各地でさまざまな規模のコペンミーティングが行われているそうだ。 もしコペンオーナーで気になる方は、各種SNSで調べると近場での開催案内が見つかるかもしれない。 きっと新たな発見や出会いがあり、さらにコペンライフが豊かになると思った。 今回はあいにくの雨だったが、次回は晴天のなかオープンのコペンが並ぶことを、今から心待ちにしているのは筆者だけではないはずだ。 [ライター・撮影/お杉]

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