旧車の魅力

世界初の技術満載でガルウィング発祥の車メルセデス・ベンツ 300SL
旧車の魅力 2021.12.28

世界初の技術満載でガルウィング発祥の車メルセデス・ベンツ 300SL

存在感抜群のガルウィング、艶かしい曲線基調のスタイリング。令和の現代でも違和感のない先鋭的なデザインのメルセデス・ベンツ 300SLは、多くの名車を生み出してきたメルセデス・ベンツのモデルの中でも、特に人気の高いモデルの1つです。 ガルウィングという名前を最初に使用するなど、世界初の技術を多数盛り込んだ先進的なモデルで、販売当時から高い人気を誇りました。 現在のメルセデス・ベンツのスポーツモデルの源流となった、メルセデス・ベンツ 300SLの魅力に迫ります。 メルセデスSLクラスの源流300SL メルセデス・ベンツのSLクラスは、同社の2シータースポーツカーの最高峰に位置づけられているシリーズ。メルセデス・ベンツは、歴代数々の名車を生み出していますが、初代となる300SLは、1950年代の登場にも関わらず今でも絶大な人気と存在感を放つ車種です。 名門レースでの活躍が市販化につながる 当初メルセデス・ベンツ300SLの市販化は予定されておらず、プロトタイプレーシングカーとして開発されました。 多くのレースで結果を残しますが、特に「世界一過酷な公道レース」といわれるカレラ・パナメリカーナ・メヒコでの勝利は、アメリカのスポーツカーファンに強い印象を残します。300SLとして市販化が決定したのは、アメリカの輸入車ディーラーによる熱心な説得によるもので、1954年のニューヨーク国際オートショーでデビューしました。 初代モデルは、乗降性が悪く窓の開閉ができないなど、市販車としては不便と言わざるを得ない仕様で、本当に元々市販化する予定ではなかったことがうかがえます。 デザインではなく機能優先のガルウィング 現代でも多くのスーパーカーに採用される跳ね上げ式のドアですが、市販車として搭載したのは300SLが最初。いまでは跳ね上げ式ドアの代名詞とも言える「ガルウィング」という名称も、この300SLで初めて使用されました。 ガルウィングは非日常感のある姿から、どうしても見た目ばかりが注目されがちです。しかし、実際は低い車高と分厚いサイドシルという、構造上どうしても発生してしまう乗降性の悪さを解消するために考え出されました。 エンジンも市販車初採用の技術を搭載 300SLがすごい点は、市販モデルに搭載されたエンジンが、元となったプロトタイプのエンジンよりも高性能なことです。 直列6気筒の3,000ccエンジンは、世界初となる機械式燃料噴射装置を採用したエンジンで、最高出力215psを発生。最高時速は260km/hと、当時の市販車としては世界最速でした。 一方で、世界初の技術には車を維持する上でいくつかの弊害も生みます。機械式燃料噴射装置は整備が難しく、加えて残留ガソリンがシリンダー内部のオイルを洗い流してしまい、約1,600km毎にエンジンオイルの交換が必要でした。 廉価版も存在した300SLその他のバリエーション メルセデス・ベンツだけでなく、世界のスポーツカー史に残る名車である300SL。ここで、市販化前のプロトタイプモデルと、300SLの美しさそのままでヒットモデルとなった廉価版190SLもご紹介しておきましょう。 300SLプロトタイプ(W194) 現在ではメルセデス・ベンツの最高峰スポーツモデルの名称となっている「SL」ですが、当初は超軽量を意味する「Super Leicht」の略語でした。 プロトタイプモデルは、レース投入だけを目的に開発されたこともありかなり軽量。3,000ccエンジン搭載にも関わらず、軽量なアルミ製ボディの採用などにより、車重はわずか870kgでした。 なお、シャーシやボディは新設計ながら、開発期間短縮のためエンジンや足回りは300リムジンから流用され、市販化される際に大きく見直されることとなります。 190SL(R121) 300SLには、市販モデルの300SLと変わらない外見の廉価版モデルがあります。190SLとして販売された廉価版モデルは、300SLと同様の外観を持ちつつ、販売価格が安価だったことで、2万5千台以上を売り上げるヒット車となりました。 ただし、中身については、300SLとは全くの別物。シャーシは別設計で、1,900ccのキャブレターエンジンは110psしか発生しません。一方で、世界初の技術がふんだんに盛り込まれて、メンテナンスが大変だった300SLと比較して、一般ユーザーでも扱いやすかった点が商業的な成功につながりました。 まとめ 今でも高い人気誇るメルセデス・ベンツ 300SLは、高値での取引が続いています。2000年以降、多少の上下はあるものの高騰し続けていて、現在は1億5千万円以上で取引された実績があります。(2021年10月現在) また、新車時の生産台数が全世界で3,000台強しかなかったため、中古車市場で見かけることも稀。中古車の購入を考えている方は、国内の中古車販売店だけではなく、海外まで含めて広くアンテナを張って探す必要があります。 300SLの廉価版となる190SLなら、国内の中古車市場でも購入可能です。大手中古車情報サイトで調べたところ、5台あり、価格は、1,600万円〜2,000万円弱でした。(2021年11月現在)とても廉価版とは言えない金額ですが、300SLの取引価格と市場での希少性を考えると、190SLなら入手するのも不可能ではありません。 [ライター/増田真吾]

トヨタ ハイラックス以外も魅力的!海外で人気の日本製ピックアップトラック
旧車の魅力 2021.12.27

トヨタ ハイラックス以外も魅力的!海外で人気の日本製ピックアップトラック

アメリカの広大な道を走る姿が「サマ」になるピックアップトラック。でも、意外なことに、ピックアップトラックとして高い支持を受けているのは日本車です。一方、日本国内では、現在はほとんど販売されていません。 海外で人気があるのに日本国内で販売されていない不思議な車種、ピックアップトラックについて紹介します。 ピックアップトラックの魅力 広く開放的な荷台と、パワフルな走りのピックアップトラックは、海外で人気の車種です。日本でほとんど目にすることがなくなってしまったため、国産メーカーのピックアップトラックは国内でほとんど認知されていません。しかし、性能の高い日本製ピックアップトラックは海外で大きく支持されています。 ピックアップトラックとは ピックアップトラックとは、別名ボンネットトラックともいい、車室前方にボンネットがあり、車室後部に荷台のある車のことを指します。 ピックアップトラックの特徴は、荷台がオープンなこと。オープンな荷台には、汚れたり濡れたりした荷物でも気にせず積み込めますし、屋根がないため大きな荷物や背の高い荷物積み込むことができ、さまざまなシーンで活躍します。 また、堅牢なラダーフレームや4WD を採用している車種が数多くあるのも特徴の1つ。クロスカントリーSUV車として、オフロードシーンや悪路などで、幅広く活用できます。 国内販売はトヨタ ハイラックスを残すのみ 海外で現在も人気の高いピックアップトラックですが、現在日本国内向けとして販売されているのは、トヨタ ハイラックスのみです。 かつては、国内でもさまざまなメーカーから販売されていました。現在日本で荷台がオープンな形状の自家用車として残っているのは、ほとんどが軽トラックです。 ピックアップトラックの人気が日本で衰退した明確な理由はありませんが、日本の道路事情から、「小型で取り回しのしやすい軽トラックのほうが好まれた」という側面もあるのかもしれません。 国内販売はハイラックスのみですが、実は現在でも複数の国内メーカーが海外向けに新車のピックアップトラックを販売しています。 今でも人気の歴代日本製ピックアップトラック4選 日本製ピックアップトラックが現在も海外で人気の理由は、過去に販売された多くの国産車種が築いてきた信頼によるものです。そこでここからは、過去に販売されたピックアップトラックを紹介します。 初代ハイラックス(1968-1972) ピックアップトラック市場が低迷している日本にあって、現在も唯一販売されているピックアップトラックの代表ともいえるのがトヨタ ハイラックスです。 初代モデルは小型ピックトラックとして販売され、「トヨタ・トラック」の名称で、人気を不動のものにします。当時からすでに、車は1人1台という文化だったアメリカでは、家族で複数台所有は当たり前でした。 広い荷台に気軽に荷物が載せられて、どこでも走れるピックアップトラックは、日本でいう軽自動車、西部開拓時代の「馬」といった感覚だったのかもしれません。 ちなみに、映画「バックトゥザフューチャー」で1985年に主人公のマーティ・マクフライが憧れていた4×4(フォー・バイ・フォー)ピックアップトラックは、4代目のハイラックスです。 Datsun(ダットサン) 620(1972-1979) ハイラックスと並び、アメリカで定番ピックアップトラックとして認知されているのが、日産の小型車向けブランド「ダットサン」です。ダットサントラックの初代の登場は、戦前の1935年。初代登場以来モデルチェンジを繰り返し、1972年の7代目620が北米でヒットします。S30型フェアレディZと並んで、北米でのダットサンブランド定着に一翼を担いました。 ハイラックスほど走破性に優れた設計ではありませんでしたが、それが一般層の需要を掘り起こします。購入者の半数が、「仕事以外の目的で購入した」としている情報もあるほど、一般層に手軽なピックアップトラックとして浸透しました。 初代パスファインダー(1985-1995) 日産 パスファインダーは、本格SUVとして発売されました。走破性に優れたサスペンションと、フェアレディZと同系統のパワフルなVG30系エンジンを搭載。高い性能とスタイリッシュな外観で、一気に人気が高まります。 パスファインダー自体は、ピックアップトラックではありませんが、パスファインダーの元となったのは、「ピックアップ」として発売されたD21型ピックアップトラックです。エンジンこそ、後発のパスファインダーとは異なりますが、デザインは共通で、スタイリッシュなピックアップトラックとして多くの支持を集めました。 初代スズキ サイドキック(1989-1999) スズキ サイドキックは、日本国内でエスクードの名称で販売されていたSUVの北米モデルです。本格クロスカントリー車の機能を備えつつ、省燃費性と高速走行性能という乗用車の機能も持ち、都市型S UVの先駆けともいえる車種。先進的な外観に加えて、堅牢な設計と走行性能の高さから人気を集めました。 サイドキックの堅牢さに対する評価の高さを示すおもしろいデータがあります。2015年のイエメン内戦がはじまる2年前の2013年に、イエメン、オマーンに向けたアメリカからのサイドキックの輸出台数が爆発的に増加したのです。 まとめ 過酷な状況での走行や乱暴に取り扱われることが多く、アメリカを象徴する車の1つであるピックアップトラック。高い耐久性と信頼性が要求される車種で、日本の自動車メーカーが多くの支持を集めています。 一方、日本国内では、需要の低下からほとんどが輸入扱いとしてしか販売されておらず、新車はトヨタ ハイラックス以外の車種は販売されていません。 しかし、ホンダや三菱など、実は多くの国内自動車メーカーが、今もピックアップトラックの新車を発表しています。日本国内で販売されていない日本車として、国内では希少なピックアップトラックを選ぶのもおもしろいかもしれません。 [ライター/増田真吾]

時代を先取りしすぎたSUV!?一度見たら忘れられない いすゞ ビークロスの魅力と中古車市場
旧車の魅力 2021.12.27

時代を先取りしすぎたSUV!?一度見たら忘れられない いすゞ ビークロスの魅力と中古車市場

スタイリッシュなSUVは今でこそ数多く販売されていますが、1997年に登場したいすゞ ビークロスは、時代を先取りした先進的なデザインで大きな話題を呼びました。曲線を多用したうねるような外観と、SUVとしても文句のなしの力強い走破性を併せ持ち、今でも根強い人気があります。 今回は、SUVの歴史のなかでもひときわ異彩を放つビークロスの魅力と、中古車市場について解説していきます。 ほぼコンセプトカーどおりの姿で登場したビークロス いすゞ のスペシャリティカーSUVとして、1997年4月に発売したビークロス。発売のきっかけは、1993年の第30回東京モーターショーに出品したコンセプトカー「VehiCROSS(ヴィークロス)」であり、近未来的なデザインで当時注目を浴びました。 その特徴的な造形が人気を博したことで、いすゞはヴィークロスの市販化を決定。ビークロスと名前を変え、市販車でありながらコンセプトモデルとほぼ変わらない姿で登場しました。さらに車体ベースを4WDのジェミニから、ビッグホーン・ショート型に変更したことで車体サイズは拡大。市販モデルで大型化したビークロスは、コンセプトモデル以上のインパクトを発揮していました。 通常、市販モデルは外観デザインが控えめになることがほとんどですが、ビークロスはほぼコンセプトどおりの姿で登場したことで、いまでも人々の記憶に残るSUVとして、車史にその名を残しています。 先進的すぎるデザインで後方視界に難あり? コンセプトモデルから大型化したビークロスのサイズは、全長4,130mm×全幅1,790mm×全高1,710mm。開発は欧州で行われ、デザインは当時いすゞのデザイナーだった中村史郎氏と、のちにインフィニティのロンドンスタジオのトップに就任するサイモン・コックス氏が担当していました。 ビークロスのテーマは「ワイルド&フレンドリー」であり、力強い走破性を持ちながらも、デザインは先進的で、どこか愛らしい雰囲気が取り入れられています。丸くねじれたようなフォルム、ボディ下半分を覆う樹脂パネル、スペアタイヤを内側に内蔵したバックドアなど、目につく全てが斬新なスタイリングです。 しかし、デザインを優先させたことで室内からの後方視界は悪化。それを解消するため、ビークロスはバックアイカメラを標準装備し、これは乗用自動車としては初の試みでもありました。         見掛け倒しじゃない確かな走破性能 ビークロスは最高出力215ps、最大トルク29.0kgf・m/3,000rpmを発生するビッグホーンと同型の3.2リッターV6エンジンを搭載。いすゞのSUVとしては珍しく、ディーゼルエンジンの設定がなくガソリンエンジンのみとなっていました。 駆動は前後輪のトルク配分制御システムを搭載したパートタイム4WDを採用しており、エンジンの力強さも合わせて、十分な悪路走破性を与えられています。 足回りはフロントにダブルウィッシュボーン、リアが4リンク式コイルサスペンションを採用し、ショックアブソーバーはラリー用にチューンされたものを使用しているため、オンオフ問わず安定した走行性を発揮します。 中古車在庫は少なく、すでに希少車の域に そんなビークロスですが、日本国内での中古車市場はどうなっているのでしょうか。原稿執筆時の2021年11月時点で、ビークロスの市場価格を大手中古車サイトで調べてみました。 中古車サイトでのビークロスの在庫台数はわずか3台と少なく、希少性の高い車だということがうかがえます。車体価格は安いもので、1997年式109,000km走行の個体が148万円。最高値では1998年式79,000km走行で218万円。ビークロスの市場価値は新車価格の295万円(ベースグレード)に達するほどではありませんが、中古車としては比較的高プライスの部類に入ります。 また1997年~2001年の販売期間中、約1800台しか流通していないということもあり、ビークロスの希少価値を高めているのもしれません。 まとめ コンセプトモデルからほとんど姿が変わらないという、まさかの状態で販売されたビークロス。 未来感あふれた斬新な姿は多くの人に驚かれた一方、その奇抜さは当時のクロカンファンにヒットし、今でも根強い人気を持っています。そんなビークロスも現在は台数が減っており、中古車の価格もそれなりの値段になっているのが現状です。 悪路走破性が高く、人とは違ったSUVが欲しいという方にはビークロスは非常におすすめですが、今や希少車となっているこの現状なので、購入を考えているならば早めの行動が重要になってくるでしょう。 [ライター/増田真吾]

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