旧車売買の豆知識

初めてでも安心!中古車の名義変更の手順・必要書類・費用を解説
旧車売買の豆知識 2024.11.21

初めてでも安心!中古車の名義変更の手順・必要書類・費用を解説

中古車を購入または譲渡された場合、名義変更手続きが必須です。しかし、名義変更の必要書類や手続きの流れを把握していない方もいるでしょう。 そこで本記事では、中古車の名義変更の必要性や手続きのタイミングを解説します。必要書類や手続きの流れも解説するので、ぜひ参考にしてください。 中古車を購入したら名義変更が必要 中古車を購入または譲渡された場合、名義変更の手続きをする必要があります。名義変更しないと、4月1日時点の所有者に対して発生する自動車税(種別割)の納付書が、前所有者に届いてしまうためです。交通違反を起こしたときにも、前所有者が賠償責任を負うことになってしまいます。 また、自賠責保険の名義変更手続きも行わないと、事故にあった際に補償が下りない可能性があります。前所有者とのトラブルを避けたり、しっかりとした補償を受けたりするためにも、速やかに名義変更の手続きを行いましょう。 中古車の名義変更のタイミング 中古車の名義変更のタイミングは、道路運送車両法で「クルマを購入または譲渡された日から15日以内」と定められています。しかし3月中旬〜後半に中古車を所有した場合、4月1日以前に手続きを行わないと、前所有者に自動車税(種別割)の納付書が届いてしまうので注意が必要です。 万が一15日を過ぎてしまった場合、50万円以下の罰金が科せられます。前所有者に迷惑がかかる可能性があるため、定められている期間を基準にせず速やかに手続きしてください。自分で名義変更を行う場合は、手続きのタイミングに注意しましょう。 参考:道路運送車両法「第13条」「第109条2項」 中古車の名義変更の必要書類 中古車の名義変更の必要書類は複数あります。中古車の名義変更を予定している場合は、必要書類を事前に把握し、手続きをスムーズに行えるようにしましょう。続いて、中古車の名義変更の必要書類を解説します。 実印・印鑑証明書 中古車の名義変更には実印と印鑑証明書が必要です。実印を登録しておらず印鑑証明書を入手できない場合は、市区町村で事前に手続きを行いましょう。なお、名義変更の手続きに必要な実印は、市区町村で登録した印鑑であることが条件です。 譲渡証明書 中古車の名義変更には譲渡証明書が必要です。譲渡証明書とは、前所有者からクルマを譲渡されたことを証明する書類です。自分で手続きをする場合は、国土交通省のHP(こちら)から譲渡証明書をダウンロードし、前所有者にも必要事項を記入してもらいましょう。記入例も国土交通省のHPに載っているので、参考にしてください。 ▼関連記事はこちら自動車譲渡証明書とは?記入の仕方や作成時の注意点についても解説 委任状 中古車の名義変更には委任状が必要です。委任状は、前所有者から手続きを委任された旨を証明する書類であるため、自分で手続きする場合でも用意しておかなければなりません。譲渡証明書と同様に、国土交通省のHP(こちら)から委任状をダウンロードできます。記入例も国土交通省のHPに記載があるので、参考にしてください。 車検証 中古車の名義変更には、購入または譲渡されたクルマの車検証が必要です。車検証はコピーではなく原本で手続きします。また一時的にクルマの登録が抹消されている場合は「登録識別情報等通知書」が必要です。 車庫証明 中古車の名義変更には、車庫証明が必要です。(普通車のみ)車庫証明とは、クルマを保管する場所を証明する書類であり、管轄の警察署で取得できます。マンションやアパートに住んでいる場合は「保管場所使用承諾書」を警察署に提出する必要があるため、管理会社に発行してもらいましょう。 ▼関連記事はこちら車庫証明の発行にかかる期間は?有効期限や申請方法なども紹介車庫証明の取得にかかる費用は?支払い方法や取得の流れも紹介車庫証明は本人じゃなくても取得できる!代理人による手続き方法を紹介軽自動車は車庫証明がいらないのは本当?必要なケースも紹介 実車(管轄地域が変わる場合のみ) 前所有者と管轄地域が異なる場合は、ナンバー変更手続きをする必要があるため、陸運局にクルマそのものを持ち込まなければなりません。 【管轄地域が変わる例】前所有者 渋谷区在住 品川ナンバー(東京陸運局)所有者 台東区在住 足立ナンバー(足立自動車検査登録事務所) 旧ナンバープレートを外した後に新しいナンバープレートに取り付ける際、陸運局側で盗難防止用の「封印」をしてもらうため実車が必要となります。なお、旧ナンバープレートは自分で取り外して窓口に返却するため、プラスとマイナスドライバーを用意しておくとよいでしょう。希望ナンバーに変更する場合は、事前に申請をしておく必要があるので、注意してください。 ▼関連記事はこちらクルマのナンバーの変更費用は?変更方法別の目安も紹介 中古車の名義変更にかかる費用 名義変更は6,000円程度で手続きできます。発生する費用の内訳は下記のとおりです。 車庫証明書代 2,500〜3,000円(地域によって異なる) 印鑑証明書代 300円程度 移転登録代 500円程度 申請用紙代 100円程度 ナンバープレート代(変更する場合のみ必要) 1,500〜2,000円 ※希望ナンバーは5,000円程度 クルマの時価によっては、自動車取得税が発生するケースもあるため、事前に陸運局に金額を問い合わせると安心です 中古車の名義変更の流れ 中古車の名義変更の流れを理解しておけば、スムーズに手続きできるため、把握しておきましょう。ここでは、中古車の名義変更の流れを解説します。 1.必要書類を準備 まずは、前述した必要書類を用意します。平日しか窓口があいていない機関で取得する書類があるため、予定を調整しておきましょう。 たとえば、車庫証明書は警察署で取得しますが、平日の9:00~16:30までしか手続きできません。印鑑証明書も市区町村の役所で発行する必要があり、原則は平日のみの受付です。自治体によって受付時間が異なるため、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。 2.管轄の陸運局へ行く 必要書類を準備できたら、管轄地域の陸運局で手続きを行います。陸運局の受付可能時間は平日の8:45〜16:00であるため、必要書類の発行時と同様に、名義変更の期日を過ぎないようにスケジュールを調整しましょう。 3.申請書・手数料納付書に記入 陸運局に着いたら、申請書と手数料納付書に必要事項を記入します。手数料納付書とは、手続きに必要な手数料を支払うための書類です。記入後に手数料相当額の印紙を購入して貼り付けます。 4.窓口で申請書・手数料納付書と必要書類を提出 申請書と手数料納付書の記入が終わったら、必要書類とともに窓口に提出します。 5.新しい車検証を受け取る 手続き後に窓口から呼ばれたら新しい車検証を受け取りましょう。このとき、申請書に記入する、申請人もしくは申請代理人の名前で呼ばれるため、正しく名前を記入していないと、自分の順番がきたことに気が付けない可能性があります。 誤った情報を書いていないか、書き忘れている項目がないかを確かめてから提出すると安心です。読みにくい名前にはしっかりとフリガナをふるとよいでしょう。 6.自動車税(環境性能割・種別割)を申告する 車検証を受け取ったら、陸運局に隣接する自動車税申告窓口にて自動車税(環境性能割・種別割)申告書に必要事項を記入し、税金を納めます。 ▼関連記事はこちら自動車取得税が廃止!自動車取得税の内容や新たに導入された環境性能割についても解説クルマの税金にはエンジンの排気量で決まるものがある!自動車税(種別割)について解説【13年・18年経過】自動車税種別割・重量税の早見表|乗り換えた方がよい理由も紹介 7.ナンバープレートの変更手続き(管轄地域が変わる場合のみ) 管轄地域が変わる場合はナンバープレートの変更手続きを行います。旧ナンバープレートを外して窓口に提出し、新しいナンバープレートを取り付けましょう。盗難防止用の「封印」は陸運局側で行います。 軽自動車を名義変更する場合 軽自動車の名義変更をする場合、ここまで紹介したものと異なる書類を用意する必要があります。手続き場所も違うため、事前に確認しておきましょう。 手続き場所 軽自動車の名義変更は「軽自動車検査協会」で行います。全国各地に拠点があり、軽自動車検査協会のHPにて管轄地域の事務所を検索できます。受付時間は、平日の8:45〜16:00のみです。 必要書類 軽自動車の名義変更に必要な書類は下記のとおりです。 ・車検証・印鑑証明書もしくは住民票の写し・ナンバープレート(管轄地域が変わる場合のみ) 普通車と異なり、車庫証明書や譲渡証明書は必要ありません。委任状も不要ですが、新所有者以外が手続きする場合は「申請依頼書」を用意します。これから軽自動車を購入するのであれば新所有者は自分にあたるため、代理人や販売店に名義変更を委任する際に準備しましょう。軽自動車検査協会の窓口で入手できるほか、HP(こちら)からダウンロードできます。 また、管轄地域が変わる場合はナンバープレートの変更手続きが必要ですが、普通車と違って「封印」しないため、実車の持ち込みは不要です。事前にナンバープレートを取り外して持参しましょう。 名義変更手続きは代行依頼が可能 中古車の名義変更手続きは煩雑なため、プロに依頼したいという方もいるでしょう。中古車の購入時には、販売店に名義変更を依頼することが可能です。 スムーズに手続きを進められますが、一方で代行費用がかかるという注意点もあります。名義変更の代行を依頼する前に、メリットとデメリットを把握しておきましょう。 代行のメリット 中古車の名義変更の手続きを行う陸運局の窓口は平日しかあいていません。なかなか時間を確保できない場合は、販売店に依頼するとよいでしょう。また、手続きに慣れているプロが代行してくれるため、滞りなく名義変更できる点も大きなメリットです。 代行のデメリット 販売店に名義変更を依頼すると、代行費用がかかります。中古車販売店に依頼する際の相場は、1万〜2万円程度です。ただし、クルマの購入に伴う名義変更であれば、割引されるケースもあるため、相談してみるとよいでしょう。 また、販売店が代行できるのは名義変更手続きのみです。必要書類は自分で揃えなければならないことに注意しましょう。 まとめ 中古車の名義変更の手続き内容について解説しました。 名義変更するには、書類を用意したり指定の機関に出向いたりする必要があるため、自分で行う場合には時間に余裕をもって予定を組みましょう。万が一譲渡された日から15日以上経過すると罰金が科されます。 どうしても時間を確保するのが難しい場合には、販売店に代行依頼するのも選択肢の1つです。別途費用がかかるため、ご自身の都合にあわせて検討してみてください。

車庫証明シール(保管場所標章)は貼らないとダメ?廃止って本当?綺麗に剥がす方法も紹介
旧車売買の豆知識 2024.11.20

車庫証明シール(保管場所標章)は貼らないとダメ?廃止って本当?綺麗に剥がす方法も紹介

車庫証明シールは、表示が義務付けられているため、必ずクルマに貼り付けなければなりません。しかし、住所変更や経年劣化などで、剥がす必要が生じることがあります。 この記事では、車庫証明シールを貼らなかった場合の罰則や綺麗に剥がす方法などを紹介します。 車庫証明シール(保管場所標章)とは 車庫証明シールは、保管場所が確保されている車輌であることを証明するシールです。正式には「保管場所標章」といい、車庫証明と同時に警察署で交付されます。シールに記載されている内容は、以下のとおりです。 ・標章番号(9桁)・保管場所の位置(都道府県と市町村区)・手続きした警察署 また、クルマの保管場所の確保等に関する法律により、「クルマを所有する場合は、使用の本拠地から2km以内の保管場所を確保すること」が義務付けられています。確保したことを証明するには、警察署で車庫証明の手続きを行い、シールを車輌に貼り付ける必要があります。 出典:自動車の保管場所の確保等に関する法律「保管場所の確保 第三条」・警視庁公式Webサイト「保管場所の要件」 なお、車庫証明の手続きはクルマを購入したときのほかに、保管場所に変更があった際も必要なため、忘れずに申請しましょう。 車庫証明シール(保管場所標章)を貼らないのは法律違反 車庫証明シールの表示は「自動車の保管場所の確保等に関す法律第六条の2」で義務付けられているため、貼らないと法律違反です。続いて、車庫証明シールを貼らなかった場合の罰則や罰金を紹介します。 罰則・罰金 車庫証明シールを車輌に貼らなくても、罰則や罰金は科せられません。しかし、表示義務を怠ると交通違反時や検問時に警察から指導を受ける可能性があります。 車庫証明を取得しなかった場合は車庫法に違反するため10万円の罰金が科せられます。ただし、普通乗用車の場合は車庫証明を取得しなければ陸運局で登録ができないため、罰せられるケースは基本的にないと考えてよいでしょう。軽自動車は車検証取得後に車庫証明を提出するため、注意が必要です。 貼る位置 車庫証明シールは後方から見やすいよう、車輌のリヤガラスに貼り付ける必要があります。リヤガラスの真ん中や上側は、運転する際に後方の視界を妨げてしまうため、左下に貼るとよいでしょう。 また、車庫証明シールはガラスの内側と外側の両方に貼り付けることが可能です。リヤガラスの結露を解消する熱線がある車輌の場合は、線が損傷したり剥がれたりするケースもあるため、なるべく外側に貼り付けましょう。 なお、以下の場合はリヤガラスではなく、車輌の左側面に車庫証明シールを貼り付けます。 ・リヤガラスがない場合 ※トラックやオープンカーなど・保管場所標章に表示された事項を後方から見ることが困難な場合・リヤガラスに貼り付けることが適当と認められない場合 出典:自動車の保管場所の確保等に関する法律施行規則 「保管場所標章の表示の方法 第七条」 車検ステッカー(検査標章)も剥がしてはいけない 車検ステッカーは、フロントガラスへの貼り付けが法律で義務付けられているため、剥がしてはいけません。 車検ステッカーを剥がしたり貼り忘れたりすると、道路運送車輌法の第109条に違反するため、50万円以下の罰金が科される点に注意しましょう。なお、円形の「点検ステッカー」と「燃費や排ガス基準達成シール」は、貼り付ける義務がないため、剥がしても公道を走行できます。 参考:道路運送車両法「第五章 道路運送車両の検査等(自動車検査証の備付け等)第六十六条」・道路運送車両法「罰則 第百九条」 車庫証明シール(保管場所標章)は廃止される! 2024年5月17日に開かれた参議院本会議において、「自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)」の改正案が可決・成立し、車庫証明シールの廃止が決定しました。 改正案は公布から6ヶ月〜1年以内の時期に施行されることが多い傾向にあり、車庫証明シールの貼り付け義務も2025年5月までに廃止されます。 これから購入する新車や中古車はもちろん、すでに乗っているクルマでも、車庫証明シールは不要になります。 車庫証明シール(保管場所標章)が廃止になる理由 車庫証明シールが廃止になる主な理由は、警察のチェックシステムの改善によりナンバープレートから保管場所の情報を照会できるようになったためです。 違法駐車や無断駐車などの通報があった場合、従来は車庫証明シールから所有者情報の照会を行う必要がありました。しかし、現在はクルマのナンバープレートの情報から保管場所を確認できるシステムが導入されたため、 車庫証明シールが不要となりました。 また、駐車監視員の導入で違法駐車自体の件数が減少したことも、車庫証明シールが廃止になった理由の1つといえるでしょう。 車庫証明シール(保管場所標章)はどんなときに剥がす? 貼り付けが義務付けられている車庫証明シールですが、剥がす場面は主に3つです。 転居で住所変更を行ったとき 転居にともなってクルマの保管場所が変わった場合には、新たに車庫証明シールが発行されます。そのため、元の車庫証明シールを剥がして貼り替えなければなりません。 車庫証明シールの貼り付けに失敗したとき 車庫証明シールを自分で貼り付ける際、向きや場所を誤ってしまった場合には、一度剥がして貼り替える必要があります。警察署で再発行手続きをしたうえで貼り直しましょう。 長年貼り付けたままでボロボロになったとき 車庫証明シールもいわゆる一般的なステッカーであるため、長期間そのままにしておくと劣化してしまいます。文字が読めないほどボロボロだと適切に情報を表示しているとはいえないため、車庫証明シールを再発行したうえで剥がし、貼り直さなければなりません。 車庫証明シール(保管場所標章)の再発行方法 車庫証明シールは、使用の本拠地を管轄する警察署で再発行できます。手続きには警察署で入手できる「保管場所標章再交付申請書」の提出と、500円程度の手数料が必要です。保管場所標章再交付申請書には、車の情報を記載する必要があるため、車検証を参考に記入します。車輌にシールを貼り付けていない場合は、警察に指導される可能性もあるため、紛失した場合はすみやかに再発行を依頼しましょう。 また、手続き時は車庫証明の交付時に渡された「保管場所標章番号通知書」が必要なケースもあります。保管場所標章番号通知書は、車検証入れに保管されているケースが多いため、あるかどうか確認してみましょう。 車庫証明シール(保管場所標章)をきれいに剥がす方法 車庫証明シールには、強力な糊が使用されているため、剥がすのは容易ではありません。ここでは、車庫証明シールを剥がすのに必要な道具と綺麗に剥がすための方法を解説します。 必要な道具 車庫証明シールを綺麗に剥がすためには、以下の道具が必要です。 ・スクレーパー スクレーパーは、薄いヘラ状の刃にプラスチックや木製の柄がついた道具のことで、ECサイトやホームセンターで購入できます。 スクレーパーには鋭い刃が用いられているため、ガラスを傷めてしまうのではないかと不安になる方もいるでしょう。しかし、ガラスの表面は非常に固く、水を使いながら剥がせば、傷がつきにくくなります。ただし、塗装されている箇所はガラスよりも柔らかく、簡単に傷がついてしまうため、気をつけましょう。 ・パーツクリーナー 車庫証明シールの糊を溶かすために使います。こちらもECサイトやホームセンターで購入可能です。 ・水 傷の防止と車庫証明シールを剥がしやすくするために使います。水を使わずに剥がしてしまうと、頑丈なガラスであってもスクレイパーの刃で傷がついてしまうため、必ず用意しましょう。 ペットボトルに水を入れて作業をすれば、適度に水分を含ませながら剥がせます。 ・ウエス ウエスはパーツクリーナーを糊に染み込ませるときに使います。ウエスがない場合は、不要なタオルでも問題ありません。 手順 (1)傷を防止するためシール全体に水をかけます。 (2)スクレーパーで全体を剥がします。スクレーパーがガラス面以外の部分に当たらないように注意しながら、シールの端から少しずつ丁寧に作業を進めましょう。 (3)シールを剥がした後は糊がこびり付くケースが多いため、パーツクリーナーとウエスを使ってきれいに拭き取りましょう。 状態によっては剝がれづらいこともありますが、道具をしっかりと活用すれば、綺麗にシールを剥がせます。 まとめ 車庫証明シールは、保管場所を確保した車輌であることを証明するシールです。罰則はないものの、車輌のリヤガラスへの貼り付けが義務付けられています。 車庫証明シールの廃止に伴って、2025年6月以降の貼り付けの義務はなくなりますが、それまでは今まで通り貼っておかなければなりません。廃止された後に車庫証明シールを剥がす際は、スクレーパーやパーツクリーナーを活用することで、たとえ貼ってから時間が経っていても綺麗に剝がせます。 なお、車庫証明の制度自体は継続されますので、引っ越しなどでクルマの保管場所が変わった場合は、速やかに最寄りの警察署で車庫証明書を発行しましょう。

車庫証明の取得にかかる費用は?支払い方法や取得の流れも紹介
旧車売買の豆知識 2024.11.18

車庫証明の取得にかかる費用は?支払い方法や取得の流れも紹介

車庫証明は、車を登録する際や住所が変わった場合に必要な書類です。取得する際に費用がどの程度かかるのか気になる方もいるでしょう。車庫証明の取得費用は管轄の警察署によって異なるほか、専門業者に代行を依頼する場合は代行費用もかかります。 この記事では、車庫証明の取得にかかる費用や支払い方法、手続きの流れなどについて解説します。 車庫証明の取得費用の内訳 車庫証明の取得費用には、申請時に支払う「申請手数料」と、後日受け取る際に必要な「標章交付手数料」があります。手続きを専門業者に依頼する場合は、代行手数料も発生するため、費用を考慮したうえで、自分で手続きするか代行してもらうか検討しなければなりません。まずは、車庫証明の取得費用の内訳を紹介します。 申請手数料 申請手数料は、車庫証明を警察署で申請する際に必要な費用です。費用目安は2,000〜2,400円で、申請する都道府県によって金額が異なります。 主要都市ごとの金額は、下記のとおりです。 主要都市 金額 北海道 愛知県 大阪府 福岡県 2,200円 東京都 2,100円 軽自動車の場合は、申請手数料が不要なため購入する必要はありません。 標章交付手数料 標章交付手数料は車庫証明を交付するために必要な費用で、金額は500円程度です。交付される際に必要な手数料ではあるものの、申請手数料と同じタイミングで購入されるケースがほとんどです。窓口で「車庫1台分の印紙をください」と伝えると、まとめて購入できます。 代行費用 車庫証明の取得をディーラーや販売店、行政書士に依頼した場合は、申請手数料や標章交付手数料に加えて5,000〜2万円程度の代行費用が発生します。警察署の車庫証明手続きは、平日9時〜16時頃までしか受け付けていないため、仕事の都合により出向けないケースもあるでしょう。 ディーラーや販売店は車、行政書士は法律のプロであり、スムーズかつ確実に車庫証明を取得してくれます。受付時間内に手続きできない場合は、各業者に代行を依頼してみてください。なお、代行費用は各業者によって料金設定が異なるため、費用を抑えたい場合は低価格で代行してくれる業者を探してみましょう。 その他費用 駐車場を契約する際は、管理会社や地主に「保管場所使用承諾書」を記入してもらう必要があります。車庫証明の申請時に必要な書類のため、忘れずに依頼しましょう。多くの場合、3,000〜2万5,000円程度の費用がかかります。 車庫証明の費用の支払い方法 車庫証明の費用は、収入印紙を現金で購入して申請書に貼り付けて支払います。収入印紙のほかに、以下のキャッシュレス決済でも各手数料を支払うことが可能です。 クレジットカード ※1回払のみ 電子マネー QRコード決済 VisaMasterCardJCB アメリカンエキスプレス ダイナースクラブカード DISCOVER 銀聯 交通系(SuicaやPASMOなど)iD楽天EdynanacoWAONQUICPay PayPay d払い 楽天ペイ メルペイ auPAY ゆうちょPay ※自治体で異なる また、地域によっては収入印紙での支払いを廃止し、キャッシュレス決済のみに移行している警察署もあります。手続きする警察署に問い合わせておくと、スムーズに支払えるでしょう。 車庫証明の取得の流れ 車庫証明を取得するまでの流れを把握しておくことで、スムーズに手続きできるようになります。続いて、車庫証明の取得の流れを紹介します。 1.車庫を確保する まずは、車の保管場所である車庫を確保します。以下の要件をクリアした車庫が必要なため、事前にチェックしておきましょう。 1.駐車場、車庫、空き地等道路以外の場所であること。2.使用の本拠の位置から2キロメートルを超えないこと。3.自動車が通行できる道路から、支障なく出入させ、かつ、自動車の全体を収容できること。4.保管場所として使用できる権原を有していること。 出典:警視庁公式Webサイト「保管場所(車庫)の要件」 使用の本拠地から駐車場まで、2km以内の車庫を確保する必要があります。車庫に車輌の全体を収容する必要があるため、愛車の大きさも考慮しなければなりません。 駐車場であれば、どこでもよいわけではないため、要件を必ずチェックしておきましょう。なお、使用の本拠地はほとんどの場合、申請者の自宅が該当します。 2.必要書類を揃える 車庫を確保したら、使用の本拠地を管轄する警察署の交通課で必要書類を揃えます。車庫証明手続きに必要な書類は以下のとおりです。 ・自動車保管場所証明申請書・保管場所標章交付申請書・保管場所の所在地・配置図・使用の本拠の位置が確認できるもの ※使用の本拠地と申請者の住所が異なる場合・保管場所使用権原疎明書面 ※自分の所有地を車庫にする場合・保管場所使用承諾書 ※他人の所有地を車庫にする場合 必要書類は警視庁公式WebサイトでもPDFファイルをダウンロードできます。警察署に出向く時間がない場合は、活用してみてください。 また、自宅のガレージや庭など、自分の所有地を車庫にする場合は「保管場所使用権原疎明書面」が必要です。賃貸の敷地内の駐車スペースや、月極駐車場を契約する場合は「保管場所使用承諾書」を管理会社に署名と捺印をしてもらい、警察署に提出します。管理会社に車庫証明の手続きをしたい旨を伝えて、署名や捺印をしてもらいましょう。 なお、使用の本拠地の位置を確認できるものは、申請者の公共料金の領収書や運転免許証などです。使用の本拠地と申請者の住所が異なる場合に限り必要なため、まずは車検証をチェックしてみてください。 3.警察署の交通課で申請する 必要書類を揃えたら、使用の本拠地を管轄する警察署へ出向きます。到着したら警察署に隣接している「交通安全課」で、申請手数料と標章手数料分の収入印紙を購入しましょう。 基本的に申請手数料分は「自動車保管場所証明申請書」、標章手数料分は「保管場所標章交付申請書」の「紙ちょう付欄」に貼り付けます。収入印紙を申請書類に貼り付けたら、警察署内の「交通課」の窓口に必要書類を提出しましょう。 ただし、都道府県によって印紙の貼り付け欄が異なるケースがあり、間違えた場合は再度購入しなければならない可能性もあります。不安な場合は、必要書類を提出する窓口に印紙を貼り付けてもらうとよいでしょう。 4.車庫証明を取得する 必要書類に不備がなければ、標章手数料分の印紙が貼られた保管場所標章交付申請書を控として渡されます。保管場所標章交付申請書には、車庫証明が交付される日付と時間が記載されています。車庫証明は申請日から3〜7日程度で交付されるため、記載されている日付と時間以降に、警察署へ受け取りに行きましょう。また、保管場所標章交付申請書の控えは車庫証明を受け取る際に必要なため、紛失しないよう気をつけてください。 なお、交付された標章シールは、車庫証明が交付されている車輌であることを証明する書類です。リアガラスの左下に貼ることが義務付けられているため、忘れないようにしましょう。 まとめ 車庫証明の取得費用は2,000〜2,400円と、手続きする地域によって金額が異なります。ディーラーや販売店に手続きの代行を依頼する場合は5,000〜2万円程度の代行費用も発生します。 ただし、車庫証明の手続きは平日9〜16時までしか受け付けていないため、都合がつかない場合は、ディーラーや販売店に代行を依頼した方がスムーズに取得できるでしょう。また、ディーラーや販売店は車の手続きのプロのため、車庫の要件をクリアしているかどうかや書類の作成も任せることが可能です。車庫証明の取得に関して、不安がある場合はディーラーや販売店に相談してみてください。

クルマの名義変更の費用はいくら?自分で手続きする場合&代行料も解説
旧車売買の豆知識 2024.11.18

クルマの名義変更の費用はいくら?自分で手続きする場合&代行料も解説

クルマを譲り受けたときは、車の名義変更をしなければなりません。この名義変更には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。今回は、名義変更にかかる費用や自分で名義変更する方法について解説します。名義変更をするときの参考にしてみてください。 クルマの名義変更にかかる費用 車の名義変更の費用は、車庫証明の取得費用やナンバープレート代などです。ここからは、名義変更に必要な手続きの費用について解説します。 【車庫証明書】2,500円前後 車庫証明は、車の保管場所を証明する書類です。手続きは、管轄の警察署で行います。車庫証明の取得費用は、各都道府県で若干の違いがあるものの、おおよそ2,500円です。内訳は、申請時の手数料が2,000円程度、車庫証明を受け取るときの保管場所標章手数料が500円程度です。また、軽自動車の場合は500円ほどの手数料がかかります。 【ナンバープレート代】1,500円前後 ナンバープレート代は約1,500円です。ただし、この金額はペイント式のものとなります。自光式の場合は3,000円程度、希望ナンバーの場合は5,000円程度の費用がかかります。詳しくは管轄する運輸支局に問い合わせてください。 代行手数料 クルマの名義変更手続きを行政書士やディーラーなどに依頼すると、代行手数料が発生します。金額は依頼先によって異なり、料金設定が低い業者に依頼すれば、クルマの名義変更にかかる費用を抑えられます。 また、依頼先によって対応範囲も異なるため、それぞれの費用や特徴を把握しておきましょう。ここでは、依頼先ごとの代行手数料の費用について解説します。 行政書士 行政書士に名義変更を依頼した場合、代行手数料は1万〜2万円程度です。別料金で、下記のような名義変更以外の手続きも依頼できます。 サービス内容 料金相場 車庫証明書の申請・受取代行 5,000~1万5,000円程度 車庫証明申請書類作成代行 2,000~4,000円程度 希望ナンバー申込代行 3,000円程度 出張封印 8,000円程度 出張封印とは、クルマを運輸支局に持ち込まずに名義変更を行うことです。本来、普通車の名義変更は運輸支局内で新ナンバープレートを封印してもらわなければならないため、クルマを持ち込む必要があります。 国土交通大臣から委託を受けている行政書士であれば、封印の取り付けを依頼できるため、運輸支局にクルマを持ち込む必要がありません。 自宅の車庫や勤務先の駐車場などでナンバープレートを封印してもらえるため、手続き当日でもクルマを使うことが可能です。通勤によりクルマを預けられない場合は、出張封印も行っている行政書士に名義変更を依頼するとよいでしょう。 ただし、すべての行政書士が出張封印に対応しているわけではありません。出張封印を希望する場合は、対応している行政書士に依頼しましょう。 ディーラー ディーラーに名義変更を依頼した場合の費用は、3万〜6万円程度です。ディーラーでは、車庫証明書の取得や申請書類の作成も行っています。 クルマの購入と同時に依頼すれば、スムーズに手続きできるため、乗り換える予定がある場合はディーラーに依頼するとよいでしょう。 ただし、輸入車ディーラーの場合は6万円以上かかる可能性があります。メーカーや会社によって料金設定が異なるため、事前に問い合わせましょう。 自動車販売店や整備工場 自動車販売店や整備工場の名義変更の費用相場は、2万~3万円程度です。ディーラーと同様に、車庫証明書の取得や申請書類の作成も代行してもらえます。 ディーラーより費用を抑えられるため、中古車の購入や売却、車検などのタイミングで代行を依頼するとよいでしょう。 自動車環境性能割 環境性能割は、クルマを譲り受けたり購入したりしたときに納める税金です。税率は、そのクルマの環境性能によって異なり、取得価額の1%〜3%(乗用車の場合)となります。ただし、取得価額が50万円以下の場合には課税されません。 なお、自動車税環境性能割の税額は「自動車税環境性能割 税額検索サービス」にて検索できます。型式指定番号や類別区分番号が必要なため、手元に車検証を用意して調べましょう。 クルマの名義変更の代行依頼の判断ポイント クルマの名義変更の代行依頼には費用がかかるため、下記の観点から依頼するかどうかを慎重に判断しましょぅ。 ・スムーズにクルマの名義変更を行いたいかどうか・手間を減らしたいかどうか・平日の日中に手続きに行けるかどうか クルマの名義変更は、所有者が変わってから15日以内に手続きしなければなりません。また、運輸支局や軽自動車検査協会の受付時間は、平日の9時〜16時頃までです。 15日を過ぎると50万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、期間までに手続きできない場合は、代行を依頼しましょう。 参考:道路運送車両法「第13条」「第109条2項」 一方、下記の場合は自分でクルマの名義変更を行うことをおすすめします。 ・クルマの名義変更にかかる費用を抑えたい・平日の日中に手続きする時間がある 自分でクルマの名義変更を行えば、4,000円程度で手続きが可能です。ただし、手続き方法が難しいと感じたり必要書類をスムーズに揃えられなかったりするケースもあります。 自分の状況に合わせて、クルマの名義変更の代行を依頼するか判断しましょう。 クルマの名義変更を自分で行う方法 名義変更する際、必要書類を揃えて普通車は「運輸支局」、軽自動車の場合は「軽自動車検査協会」で手続きします。 スムーズに名義変更するためにも、手順や必要書類を把握しておきましょう。 続いて、クルマの名義変更を自分で行う際の手順や必要書類を解説します。 手順 クルマの名義変更を自分で行う際の手順は、下記のとおりです。 1.保管場所を管轄する警察署で車庫証明書を取得する2.ほかの必要書類を揃える3.クルマを運輸支局に持ち込む4.「自動車検査協会」の窓口で手数料分の印紙を購入する5.「登録事務所」の窓口に必要書類を提出する6.名義変更後の車検証を受け取る7.「自動車税事務所」の窓口で税申告をする8.「ナンバーセンター」の窓口でナンバープレートを返却する9.新ナンバープレートと封印を受け取る10.敷地内の「封印取付場」でナンバープレートを封印してもらう クルマを持ち込むのは、新所有者の住所(使用の本拠の位置)を管轄する運輸支局です。たとえば、旧ナンバープレートが練馬ナンバーでも、新所有者が足立区に住んでいる場合は足立ナンバーを取得する必要があるため「足立自動車検査登録事務所」に出向かなければなりません。 また、ナンバープレートの4桁の数字を指定したい場合は、事前に希望ナンバーを申請する必要があります。希望ナンバーは、取得できるまで1週間程度かかるため、余裕を持って予定を立てましょう。 中でも「・・・1」や「・777」、「8888」などの人気ナンバーは、毎週月曜日に行われる抽選で当選しなければ取得できません。 抽選ナンバーに該当するかどうかは、こちらのページで確認できます。希望番号・図柄ナンバープレート申込サービス「抽選対象希望番号照会」 必要書類 クルマの名義変更を自分で行う際の必要書類は、下記のとおりです。 ■事前に揃える書類・車検証・車庫証明書・新所有者の印鑑証明書 ※発行から3ヶ月以内・旧所有者の印鑑証明書 ※発行から3ヶ月以内・譲渡証明書・委任状  ■運輸支局で当日に入手する書類・申請書(第1号様式)・手数料納付書・自動車税申告書 参考:国土交通省 東北運輸局「自動車の名義変更や住所変更はどのようにすればよいですか?」 譲渡証明書と委任状には、旧所有者の実印の押印が必要です。代理人に手続きを依頼する場合は、旧所有者に加えて新所有者の実印の押印が必要なことにも留意してください。 申請書や手数料納付書は、運輸支局にある記載例を参考に作成しましょう。 また、書類に不備がある場合は手続きを受け付けてもらえません。2度手間になるため「必要書類が揃っているか」「実印がはっきり押印されているか」など、チェックしてから運輸支局に出向きましょう。

クルマのラジエーターって何?構造・役割・トラブルなどを解説
旧車売買の豆知識 2024.11.18

クルマのラジエーターって何?構造・役割・トラブルなどを解説

ラジエーターは、クルマのエンジンを冷却するための装置の一部です。ラジエーターにトラブルや不具合が発生すると、エルジンがオーバーヒートしたり故障したりすることがあります。そのため、定期的なメンテナンスや不具合がないかチェックしておくことが大切です。今回は、クルマのラジエーターの構造や役割、トラブルの前兆や故障時の症状などについて解説します。 ラジエーターとは ラジエーターとは、クルマのエンジンや発熱部品などから発せられた熱を帯びた冷却水を冷やす装置のことです。冷却水を通す「コア」や、コアに風を当てる「ファン」などで構成されています。 クルマのエンジンは、シリンダー内で発生する爆発によって2,000℃前後の熱を発します。高温になるエンジンの性能を保つためには、エンジンを冷却しなければなりません。その冷却装置の一部がラジエーターです。 構造 ラジエーターは、ラジエーター本体である「コア」に、エンジンで温められた冷却水を通し、ファンや走行風などを利用して冷却水を冷やす構造です。 ラジエーターを通る冷却水の循環の流れは次のとおりです。 1.エンジンによって温められた冷却水がラジエーターのアッパータンクに溜まる2.ラジエーターのコアに温まっている冷却水を流す3.ファンや走行風でラジエーターコアの温かい冷却水を冷やす4.冷やされた冷却水がラジエーターロアタンクに溜まる5.ロアタンクに溜まった冷却水が再びエンジンなどを冷却するために循環する 役割 ラジエーターには、クルマのエンジンや熱を発生させる部品を冷やすために使われる冷却水の熱を放出する役割があります。 クルマのエンジンを冷やす方法には水冷式と空冷式がありますが、現在販売されているほとんどのクルマは水冷式です。水冷エンジンは、エンジンを冷却するための水(冷却水)を使ってエンジンを冷やす構造となっており、エンジン回転数や車速によって冷却効率が変わりにくいことが特徴です。 また、ラジエーターに冷却水を循環させてエンジンを冷やすだけでなく、ファンでラジエーターに風を当てたり、走行風を利用したりすることで、冷却水やエンジンの冷却効率を高めています。 このように車には、エンジンを効率よく冷やすために、ラジエーターをはじめ、さまざまな工夫がされているのです。 種類 ラジエーターは、冷却水を流す方向に応じて「縦流れ式(ダウンフロー)」と「横流れ式(クロスフロー)」の2つに分類されます。 縦流れ式は主に国産車に採用されており、上から下に冷却水を流して冷やします。一方、横流れ式は水平に冷却水を流す構造です。冷却範囲が広いため、縦流れ式より冷却性能に優れています。 ただし、横流れ式は必要以上に冷却水を冷やす「オーバークール」が発生しやすいことに注意が必要です。オーバークールが発生するとエンジンが適正温度に達しないため、クルマに下記の影響を与える可能性があります。 ・燃費が悪化する・エンジンオイルの劣化が早まる・エンジンが適正に機能しない・暖房が効きにくい・黒煙の発生が増える エンジンは、高温だけではなく低温の状態でもトラブルが起きるおそれがあります。オーバークールは気温が低い冬に発生しやすいため、冷却水の温度をよりこまめにチェックしましょう。 コンデンサーとの違い クルマの発熱部品を冷却する装置には、ラジエーターのほかに、コンデンサーもあります。コンデンサーは、エアコンのガスを冷却する部品です。冷却装置と聞くと同じように感じますが、冷却する部品や目的が異なります。 ラジエーターの冷却水の補充方法 ラジエーターを通る冷却水は、一定量をキープしておかないと冷却性能を維持できません。冷却水が減ってしまうと冷却効率が下がり、エンジントラブルや不具合の原因となります。そのため、日常点検や定期点検では、必ず冷却水の量を確認しましょう。 冷却水が減っているかどうかは、エンジンルーム内の冷却水のリザーバータンクを見て確認します。リザーバータンクの位置や色は車によって異なるため、各車種の取扱説明書で確認してください。 リザーバータンクには「LOW」と「HIGH」の目盛りがあり、水量が「LOW」と「HIGH」の間に位置していれば問題ありません。しかし、「LOW」ギリギリだったり、「LOW」を下回っていたりするときは、冷却水の補充が必要です。 補充する冷却水は、指定の冷却水を使うことをおすすめします。カー用品店や量販店などで冷却水を購入する場合は、車種に適合するものを選ぶようにしてください。また、薄めて使うタイプやそのまま入れるタイプなど、さまざまな冷却水があるため、注意書きを確認して適切な方法で補充しましょう。 冷却水を補充する際は、エンジンルーム内にこぼさないよう慎重に入れてください。 ラジエーターの故障時の症状 ラジエーターは、経年劣化や外部の環境など、さまざまな影響により故障することがあります。ここからは、ラジエーターが故障した際に起きる症状について解説します。 エンジンルームから甘いにおいがする エンジンルームから甘いにおいがするときは、冷却水が漏れている可能性が高いです。エンジンを始動しているときやエンジンルームを開けたときに甘いにおいが漂ってきた場合は、ラジエーター周辺の故障が考えられるため、早めに修理工場やディーラーにクルマを持ち込み点検してもらいましょう。 水温警告灯が点灯する 水温警告灯(赤)が点灯したときもラジエーター関連が故障している可能性が高いです。水温警告灯(赤)は、エンジンを冷却する冷却水が何らかの理由により高温になったときに点灯します。冷却水が高温のまま走行を続けると、オーバーヒートをはじめとするさまざまなトラブルが起きる可能性が高くなるため、早めにクルマを安全な場所へ停止させ、クルマを冷やすようにしてください。 エアコンの調子が悪い エアコンの暖房の効きが悪いときは、ラジエーターに循環する冷却水が漏れている可能性が高いです。クルマのエアコンの暖房は、冷却水の熱を利用して暖かい空気を作り出しています。つまり、暖房の効きが悪いということは、エンジンの熱によって温まった冷却水が正しく循環していないことを意味します。そのため、暖房の効きがいつもより悪いと感じたときは、そのままにせず早めに車の点検をしてもらいましょう。 ラジエーターの故障・破損の原因 ラジエーターが故障したり破損したりすることがあります。ここからは、ラジエーターの主な故障・破損の原因を解説します。 冷却水液の不足・劣化 冷却水の液量不足や冷却水の劣化が原因で、ラジエーターが故障したり破損したりすることがあります。冷却水は、エンジンの冷却に欠かすことができない重要な液体です。その冷却水が減ったり劣化したりすると、エンジンを正しく冷却できなくなります。冷却性能を落とさないようにするためにも、冷却水の液量点検や定期的な交換をしましょう。 ラジエーターキャップ・ホースの劣化 ラジエーターキャップやホースは、温度や圧力の変化が激しい冷却水に耐えられる構造となっています。そのラジエーターキャップやホースが劣化すると、圧力の調整ができなくなったり耐圧性が下がったりするため、ラジエーターが正しく機能しなくなります。このようなトラブルを避けるためにも定期点検を実施し、キャップやホースに異常がないか確認しましょう。 タンクの損傷 ラジエーターのアッパータンクやロアタンク、リザーバータンクが破損するとエンジンに冷却水が循環しなくなり、ラジエーターが機能しなくなります。定期点検や日常点検では、ラジエーター本体だけでなくタンク類の点検も欠かさずに行いましょう。 ラジエーターのメンテナンス ラジエーターは、車にとって欠かすことができない冷却装置の一部です。そのため、定期的な点検やメンテナンスが必要となります。ここからは、ラジエーターのメンテナンスについて解説します。 冷却水の残量を確認する 冷却水の液量は定期的に確認しましょう。決まった時期に液量を点検していれば、冷却水が減るペースを知ることができます。 冷却水が減るペースが早くなってきたときは、冷却水が漏れている可能性が高いです。ラジエーターの故障を防いで安心して運転を楽しむためにも、定期的に冷却水の液量点検をしておくことが大切です。 コアとホースを確認する コアやホース・タンク類は、ラジエーターに冷却水を循環させるために必要なパーツです。コアが変形していたり、ゴムや樹脂などでできているホースやタンク類がひび割れたり劣化していたり硬化していたりすると、冷却・放熱性能に影響する可能性が高いため、早めに点検し、必要に応じて部品交換しましょう。 冷却ファンを確認する 冷却ファンが正しく作動しているか確認するのも大切なポイントです。ファンが回っていなかったり、ファンを回す部品から異音がしたりするときは、ディーラーや整備工場に車を持ち込んで点検や修理を依頼しましょう。 ラジエーターキャップと加圧バルブをチェックする ラジエーターキャップや加圧バルブに不具合がないか確認しましょう。キャップや加圧バルブに不具合が起きると、冷却水を正しく循環させることができなくなります。 ただし、エンジンが温まっているときにキャップを開けると、熱せられた冷却水が噴出するため、キャップを開けるときはエンジンが冷えていることを確かめてから開けてください。また、キャップを確実に閉めましょう。 もし、キャップの取り扱いに自信がないときは、ディーラーや整備工場などに依頼することが大切です。 ラジエーターの故障時の対応方法 ラジエーターが故障すると、エンジンや発熱部品などの冷却が行われなくなるため大変危険です。そのため、水温警告灯が点灯したときは、安全な場所に車を停め、エンジンルームを冷やしてください。冷やしても異常が解消されないときは、ロードサービスを手配し、整備工場やディーラーなどに運んでもらい、点検や修理をしてもらいましょう。 ラジエーターの交換は必須? ラジエーターは、経年劣化によって性能が低下するため、定期的に交換する必要があります。交換頻度の目安は下記のとおりです。 ・普通車:8〜12年・軽自動車:6〜10年 なお、冷却水は2年を目安に交換することをおすすめします。同じ冷却水を長く使うと、ラジエーターの腐食や損傷につながります。 ラジエーターの修理費用 ラジエーターの修理費用は、故障部位や交換部品によって異なります。主な修理箇所や費用は次のとおりです。 ・冷却水の補充や交換:数千円〜数万円・ホースやタンク類の交換:数万円程度・キャップの交換:数千円・ラジエーター本体の交換:数万円 車種によってラジエーターの種類や部品が異なるため、詳しくはディーラーや整備工場などで見積もりを取ってください。 まとめ ラジエーターは、クルマのエンジンや発熱部品を冷却するために必要な冷却水の放熱装置です。そのため、ラジエーターや関連部品が故障・破損すると、クルマに大きなダメージを与えてしまいます。ラジエーターや関連部品は、クルマにとって重要な部品の1つであるため、定期的な点検や部品交換などを実施し、未然に不具合やトラブルを防止することが大切です。

78プラドの年間維持費を解説!税金・保険料・車検費用を詳しく紹介
旧車売買の豆知識 2024.11.15

78プラドの年間維持費を解説!税金・保険料・車検費用を詳しく紹介

ランドクルーザープラドといえば、ランドクルーザーシリーズのライトデューティー用に開発・発売されたモデルです。プラドの中でも1990年4月~1996年5月に発売された78プラドが現在クラシックランクルとして人気を集めています。「クラシックランクルはランニングコストが高くて維持できないかもしれない」と心配の方も多いですよね。そこでこの記事ではランクル78プラドにかかる維持費について解説いたします。 ランクル78プラド維持費の内訳 78プラドの維持費について、5項目に分けて解説します。 燃料代 78プラドには排気量3Lのディーゼルエンジンが搭載されています。燃料の軽油はガソリンより安価ですが、気になる燃費はどれほどなのか見ていきましょう。 MT:8.5~10km/リットルAT:6.5~7km/リットル 大きな車体を考えたらMTモデルの燃費はよくもないけど悪くもないといったところでしょうか。ATモデルの燃費は、なかなかの大食いというイメージです。燃料代が安い軽油でも空タンクから満タンにした際、スタンドの料金メーターを見て驚くかもしれません。 78プラドはエンジン回転数のレッドゾーンが4,400rpm~と低めです。高速道路走行時はレッドゾーン近くまで回転数が上がってしまうため燃費が落ちてしまいます。高速道路の利用頻度が高い方は注意しましょう。 ここからは金額をシミュレーションします。 ここからは金額をシミュレーションします。 78プラドの年間の燃料代は、約24万8,400円です。内訳と条件は以下のとおりです。 燃費:7km/L月間走行:1,000km燃料代:144.9円/L*消費ガソリン量:142.8L1ヶ月あたりの燃料代:約20,700円1年間あたりの燃料代:約24万8,400円 *2024年11月9日時点の全国平均の軽油価格 自動車税(種別割) 2024年11月現在、新車登録が2019年10月1日以後の排気量2.5L~3L未満(自家用)の自動車税(種別割)は5万円/年です。 78プラドはディーゼル車で、なおかつ車齢が11年を超える可能性が非常に高いため、5万8,600円/年かかります。 任意保険料 ここからは78プラドにかかる保険料を、等級別、走行距離別にシュミレーションして紹介します。 等級別の任意保険料の違い 等級と年齢別に保険料をシミュレーションしました。結果は以下のとおりです。 <条件>運転免許証の色:ブルー使用目的:通勤・通学運転者:本人限定主な使用地:東京都走行距離:1万km超〜1万2,000km以下 8等級(25歳)約6万6,000円15等級(35歳)約4万3,000円20等級(45歳)約3万5,000円 年齢が若いほど、保険料は2倍近くも高くなります。また、1990年代発売の古いクルマであるために、いずれの等級でも車両保険は付帯できませんでした。万が一事故を起こしてしまうと修理代金の負担が大きくなる可能性が高いです。 走行距離別の任意保険料の違い 走行距離の差も、保険料の金額に影響する場合があります。そこで、走行距離別に保険料をシミュレーションしました。結果は以下のとおりです。 <条件>運転免許証の色:ブルー使用目的:通勤・通学運転者:本人限定主な使用地:東京都年齢:35歳等級:15等級 ※()内は使用目的 3,000km超〜5,000km以下(日常・レジャー):約2万9,000円5,000km超〜7,000km以下(日常・レジャー):約3万1,000円7,000km超〜1万km以下(通勤・通学):約3万6,000円1万km超〜1万2,000km以下(通勤・通学):約4万3,000円1万2,000km超〜1万5,000km以下(業務):約5万4,000円 やはり走行距離が長いほど保険料は高くなります。通勤や通学、仕事でクルマを使用する場合には負担額に注意しておきましょう。 車検代 ここからは78プラドの車検費用をディーラー、民間車検のそれぞれでいくらかかるかを紹介します。なお、車検の内容や店舗や工場によって増減するため、目安としてお考えください。 ディーラー車検の場合 自賠責保険:1万7,650円(24ヶ月)自動車重量税:3万7,800円(24ヶ月)※初年度登録から18年経過で算出印紙代:1,800円車検料:10万円合計:15万7,250円 民間車検の場合 自賠責保険:1万7,650円(24ヶ月)自動車重量税:3万7,800円(24ヶ月)※初度登録年月から18年経過で算出印紙代:1,800円車検料:5万円合計:10万7,250円※指定工場の場合 民間車検のほうが安いですが、それでも11万円近くかかります。78プラドは発売から30年近く経過するクルマのため、重量税の負担がどうしても大きくなってしまいます。2年に一度の車検に向けて、計画的に費用を用意しておく必要があるでしょう。 メンテナンス費用 最後にメンテナンス費用を見ていきましょう。78プラドのメンテナンスには以下の費用がかかります。 ・洗車代・ワイパーゴム交換代・ウォッシャー液交換代・冷却水補充代・エアコンフィルター交換代・ヘッドライト交換代・エンジンオイル交換代・オイルフィルター交換代・ブレーキオイル交換代・エアクリーナー交換代 1年間でこれらの費用が発生します。5万円ほどを見込んでおけばよいでしょう。タイヤ交換が発生する場合は大きなタイヤが必要なため、+10万以上かかるケースもあります。 78プラド年間維持費はいくら? 維持費の内訳を見てきましたが、合計でいくらぐらいになるのでしょうか。合計額を見ていきましょう。 燃料代:約24万8,400円自動車税(種別割):5万8,600円任意保険料:約2万9,000〜約6万6,000円車検代:5万3,625〜7万8,625円(2年ごとにかかる費用の半額分)メンテナンス費:5万円合計:約43万9,625円〜50万1,625円 月額では約3万6,600円〜4万1,800円かかります。燃料代と車検費用がウェイトを大きく占めています。また、車齢11年超のディーゼル車のため、自動車税(種別割)の負担にも留意しましょう。ローンで購入した場合は、さらに月々の返済が発生します。 【番外編】78プラド ナローボディならを4ナンバー登録できる! 78プラドには、ワイドボディとナローボディの2つのボディタイプが存在します。小さいナローボディであれば、小型貨物車として4ナンバー登録が可能です。 4ナンバー車の条件は、全長4.7m、全幅1.7m、全高2.0m以内であることです。なおかつ、ディーゼルエンジン以外は排気量が2,000cc以下でなければなりません。78プラドの場合、ナローボディだと全長が4,585mm、全幅が1,690 mm、全高が1,890mmであり、エンジンがディーゼルのため、仕様変更が必要であるものの基本的には条件をクリアしています。 78プラドを4ナンバー登録した場合の年間維持費は以下のとおりです。 燃料代:約24万8,400円自動車税(種別割):1万7,600円 ※初度登録年月から11年経過で算出任意保険料:約2万9,000〜約6万6,000円車検代:8万4,300〜13万3,350円メンテナンス費:5万円合計:約42万9,300円〜51万5,350円 自動車税(種別割)は初度登録年月から11年経過している場合、1万7,600円かかります。3ナンバー登録時よりも大幅に安い税額です。 車検時にかかる自賠責保険料は、4ナンバーの場合1万2,850円/年です。重量税については、4ナンバーの場合は車輌総重量をもとに算出されます。車輌重量1,900kg +定員5名(4ナンバーの場合)+最大積載量350kgとして、車輌総重量は2,525kgです。初年度登録年月から18年以上経過していると仮定して、3t以下に区分されて1万8,900円。結果、車検費用は8万3,350〜13万3,350円かかります。 自動車税(種別割)や重量税が安いことから費用を抑えられると思われがちですが、車検を1年ごとに受けなければならないため、3ナンバー登録時と負担はあまり変わりません。また、4ナンバー登録する際には仕様変更や構造変更手続きが必要なため、その分の工賃や手間を把握したうえで判断しましょう。 78プラドの維持費が高いと思った時の対処法 旧車の維持には現代のクルマと比較するとお金がかかるものです。特に78プラドのような大排気量で大型の車種は自動車税(種別割)、重量税がかさむために費用がかかります。さらに、古いクルマのため故障が増え修理費用など別途発生する可能性があります。 もし、78プラドの維持費が高いと思ったら手放すことを検討してみてはいかがでしょうか。一昔前は10年落ち10万km以上走行したクルマは価値がないといわれていました。しかし、昨今の旧車ブームにより高く売却できるかもしれません。売却を検討の際には、買取専門業者に問い合わせてみましょう。 78プラドから乗り換えるのにおすすめなクルマ ここからは、78プラドからの乗り換え候補としておすすめのクルマを3車種紹介します。 150プラド 150プラドは、ランドクルーザープラドの系譜として78プラドの後継車種にあたります。高年式で維持費が安く、ディーゼルモデルも選択可能なため、78プラドよりも費用負担は抑えられます。 78プラドより近代的なフォルムでキャラクターは異なりますが、「次は快適性が高いクルマがよい」と考えているユーザーにおすすめのモデルです。 ジムニー(JB64型) ジムニーは、クロスカントリーモデルとして78プラドと同じ感覚の乗り味が楽しめる1台です。2018年発売の高年式かつ軽自動車のため、維持費の安さが大きなメリットです。 釣りやアウトドアを趣味にしており、走破性を重視するユーザーに適しています。 200系ハイエース 200系ハイエースは、発売から20年以上のロングライフモデルです。78プラドとはボディタイプが異なりますが、ディーゼルエンジンや4WDが選択できるため、基本的な使い勝手は共通している部分があります。 78プラドをカスタムし、4ナンバー登録しているユーザーであれば同じ商用車として抵抗なく乗り換えられるでしょう。また、現行車のため選択肢の自由度が高い点も魅力です。 ※2024年11月時点のデータです

クルマの修理は見積もりだけ依頼できる?注意点や費用についても解説
旧車売買の豆知識 2024.11.15

クルマの修理は見積もりだけ依頼できる?注意点や費用についても解説

クルマの修理が必要になったとき、多くの方は業者に費用の見積もりを依頼します。しかし、見積もりだけ依頼できるのでしょうか。この記事では、クルマの修理の見積もりだけできるのか、またその費用や注意点などについても詳しく紹介します。 クルマの修理の見積もりだけ取ることは可能 修理業者やディーラーなどに修理を依頼する際は、修理前に見積もりを取得できます。なお、見積もりを取ることは依頼の確約ではないため、料金が高い、ほかによい依頼先が見つかったなどの理由で、依頼をしないことも可能です。 実際の見積もりでは、修理費用の概算や作業内容を把握できます。見積もりを依頼する際は、下記の情報を準備しましょう。 ・車種・年式・走行距離・気になる症状や修理したい箇所・保険利用の有無 保険を使う場合は、保険会社への見積書の提出が必要です。事前に保険を利用する旨を伝えれば、見積もりのやり直しを防げます。 店舗への来店が難しい場合は、各社のホームページから見積もり依頼が可能です。写真を添付すれば、より正確な概算を出してもらえます。見積もり結果は、修理費用の目安として活用しましょう。 事前に見積もりを取得することで、修理内容や費用を踏まえた依頼先選びが可能になります。必要に応じて複数の業者から見積もりを取得し、比較するとよいでしょう。 クルマの修理見積もりに費用がかかるケース・かからないケース クルマの修理だけでなく、車を下取りに出すときや引越し業者を選ぶときなど、さまざまな場面で見積もりを依頼します。 見積もりは無料で依頼できるのが当然と認識している方もいますが、車の修理の場合は見積もりが有料になることも多くあります。 以下では、見積もりに費用がかかるケース、かからないケースについて詳しく解説します。 費用がかかるケース クルマの修理の見積もりは有料であるケースが多いです。 車は、数多くのパーツが複雑に組み合わさって構成されてます。たとえば、エンジンの調子が悪くなるトラブルであっても、エンジン自体に不具合が出ているのか、周りのパーツに不具合が出ているのかを見ただけでは判別できません。 不具合が出ているであろう箇所を1つずつ丁寧に確認をして、修理すべき部分を見つけ出し、見積もり費用を算出します。 このように時間と労力がかかるうえに場合によっては特殊な機械を使用するため、車の修理の見積もりには基本的に費用がかかります。 費用がかからないケース ボディのかすり傷や凹みなどパッと見て修理部分がわかる場合には、見積もりの費用がかからないこともあります。 ただし、かすり傷や凹みだけであっても傷の大きさや深さ、箇所によっては見積もりに時間がかかることもあり、個人で無料かどうかの判断はできません。 後々トラブルにならないよう、無料である可能性があっても事前に費用がかかるかどうか確認しておきましょう。 また、なかには「見積もり無料」をアピールしている業者もあります。こういった場合には見積もり自体には費用がかかりません。 しかし、上記でも解説したとおり、車の修理の見積もりを出すには時間がかかります。そのため、見積もり自体は無料であっても算出にかかった人件費や費用分が修理代に加算されることがあります。 クルマの修理の見積もりだけ取るときの注意点 冒頭でも伝えたように、修理内容によっては買い替えるほうがお得になる場合もあることから、費用次第で検討したいという方も多くいます。 クルマの修理の見積もりだけ依頼する際にはトラブルにならないよう、以下の点に注意しておきましょう。 ・見積もりだけということを事前に伝える ・保険会社からの依頼の場合はその旨を伝える それぞれ詳しく解説します。 見積もりだけということを事前に伝える 事故にあったときは修理と買い換えのいずれかを選択することになるため、見積もりだけ依頼する場合は、その旨を事前に伝えておくことが大切です。事前に伝えていない場合、急に修理が始まってしまいトラブルになる可能性もあります。 さらにどのような条件であれば修理を受けるのかなど細かく伝えておきましょう。たとえば、「費用が何万円以下なら修理を任せたい」のように、明確に金額を伝えることでトラブルを防げます。 また、見積もりにかかる手数料や時間についても確認しましょう。 保険会社からの依頼の場合はその旨を伝える 保険会社から保険金を受け取る場合には、修理の見積もりが必要です。業者には事前に「保険会社からの依頼で見積もりを取りたい」という旨を伝えておきましょう。保険金が支払われるまでに、保険会社が業者やディーラーと直接やり取りをして修理箇所や修理費用を確認します。 保険会社からの依頼であることを伝えていないと、業者に突然連絡が入ることで、やり取りがスムーズに進まないこともあります。 クルマの修理の見積もりにかかる費用の相場 見積もり費用は、修理業者や修理内容によって異なります。見積もり費用の目安は、修理費用の5~10%程度です。 たとえば、修理費用が10万円の場合は5,000~1万円、20万円の場合は1~2万円です。 見積もり費用が発生する理由は、修理箇所の把握に時間がかかることや、安易な見積もり依頼を防ぐためです。バンパーの傷やドアの凹みなど、見た目で修理箇所がわかる場合は、無料で見積もってもらえるケースもあります。一方、エンジンやミッションの不具合のように点検に時間がかかる場合は有料扱いとなるでしょう。
 クルマの修理の見積もりの依頼先 修理の見積もり依頼先は主に、ディーラー・修理工場・カー用品店の3つが挙げられます。各依頼先の特徴と向いているケースについて紹介します。 ディーラー メーカー直営の正規販売店として、専門の整備士による高品質な修理が特徴です。純正部品を使用し、修理後の保証も充実しているため、安心感があります。一方で、費用は高めで修理期間も比較的長くかかります。 【メリット】・メーカー専門の整備士が対応・純正部品による高品質な修理・アフターサービスが充実・修理後の保証が充実 【デメリット】・修理費用が高め・社外品は使用不可・修理期間が比較的長い 特に新車や保証期間が残っているクルマの修理におすすめです。高品質な修理を重視する方や、修理後の保証を大切にする方に向いています。 整備工場 社外品やリサイクル部品を使用し、ディーラーより安価な修理が可能です。即日修理や多様な車種への対応など、柔軟なサービスも魅力です。ただし、工場により技術力に差があるため、評判の良い工場選びが重要です。 【メリット】・修理費用が比較的安価・社外品での修理が可能・即日修理にも対応している・多様な車種に対応できる 【デメリット】・工場により技術力の差がある・社外品使用時は保証対象外・部品の取り寄せに時間がかかる場合もある 修理費用をおさえたい方や、柔軟な対応を求める方におすすめです。特に信頼できる工場を知っている場合は、継続的な利用がお得です。 カー用品店 バンパーの傷や軽度な凹みなど、簡単な修理に対応します。料金設定が明確で、気軽に相談できる雰囲気が特徴です。ただし、大規模な修理や特殊な車輌には対応できない場合が多い点には注意が必要です。 【メリット】・料金設定が明確・軽度な修理なら即日対応できる・気軽に相談できる・修理費用が比較的安価 【デメリット】・大規模な修理は非対応・スタッフの技術力にばらつきがある・特殊な車輌は対応できない場合もある 外装の軽度な修理や、明確な料金設定を重視する方におすすめです。また、気軽に相談したい方にも向いています。 クルマの修理の見積もりを取るメリット 車の修理の見積もりはいくつかの業者への依頼をおすすめします。その理由は、主に以下の3点です。 ・費用相場がわかる ・依頼先を判断しやすくなる ・売却と修理を適切に選べるようになる それぞれ詳しく解説します。 費用相場がわかる 複数の業者に見積もりを依頼することで、修理費用の相場を把握できます。修理にかかる費用は一様ではなく、また業者によって修理方法が異なるため、見積もり金額には大きな差が生じます。 そのため、大体の相場を把握したうえで、適正価格の業者を選ぶことが大切です。見積もり金額に大きな差がある場合、高額な場合はその理由を確認しましょう。逆に安すぎる場合も同様に問い合わせてみてください。料金に対する疑問や不安が解消されない場合は、その業者への依頼は避けたほうが無難です。 依頼先を判断しやすくなる 複数の業者に見積もりを依頼し、費用の相場がわかるようになれば依頼先の判断もしやすくなります。上述のとおり、相場を知ると高くても安くても疑問に思うようになります。 なぜ高いのか、なぜ安いのかを質問し、納得できる説明を得ることで、業者の選定がスムーズに行えます。同時に、スタッフの対応やサービスなど他のポイントも確認して比較しましょう。 売却と修理を適切に選べるようになる 場合によっては修理するより買い換える方がお得な場合もあります。複数の業者に見積もりを依頼すると修理費用の相場がわかるため、買い換えも視野に入れる機会となります。 まとめ 見積もりは、車の修理を依頼するうえで大事な判断材料になります。また、業者選びをするためにも複数の業者に依頼することが大切です。 ただし、業者とのトラブルにならないよう、見積もりだけ依頼する場合は事前にその旨は伝えておきましょう。

高齢者がクルマの買い替えをするときのポイントとは?
旧車売買の豆知識 2024.11.15

高齢者がクルマの買い替えをするときのポイントとは?

高齢者がクルマを買い替えるとき、どのような基準でクルマ選びをすればよいのでしょうか。この記事では、高齢ドライバーのクルマの買い替え基準やクルマ選びのポイントを解説します。高齢運転者がクルマを買い替えるときの参考にしてみてください。 クルマを何歳まで運転する人が多い? クルマを運転する年齢に上限はありませんが、「運転免許統計 令和5年版」の年齢別免許保有者数を見てみると、75歳以上になると免許保有者数が急激に減少しています。 そのため、75歳以上になると、クルマの運転をやめて、免許を返納する人が増える傾向にあるといえるでしょう。 なお、高齢者の年齢については明確な定義はありませんが、世界保健機関(WHO)では65歳以上を高齢者としています。そのため、一般的に65歳を超えると高齢者といえるでしょう。 高齢者がクルマを買い替えるか返納するかの判断基準 高齢者がクルマを買い替えるか免許返納するかは、どのように判断すればよいのでしょうか。ここでは、免許返納の基準となる身体機能を基準に買い替えるか、免許返納するかを解説します。 運転能力の明らかな低下がある場合は返納 加齢に伴う身体機能の低下がみられるときは、免許返納を検討しましょう。 ただし、加齢に伴い身体機能が低下してきているものの、運転に必要な身体機能を有している場合は、免許を更新しても問題ありません。 もし、運転を継続してもよいか悩んだときは、各都道府県の警察署に設置されている「安全運転相談窓口」に相談しましょう。 安全運転相談窓口については、警察庁「安全運転相談窓口について」をご覧ください。 ▼免許返納の手続きに関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。免許返納する時の手続きとは?免許返納するメリットについて解説免許返納できる場所は?調べ方やあわせて知っておきたいことも解説! 運転能力の低下がみられない場合は買い替え 身体機能の低下が見られない場合には、免許更新やクルマの買い替えをしても問題ないでしょう。 クルマを買い替えるときは、身体機能が低下したときも安心なクルマ(見通しがよくサポート機能が充実しているクルマ)を選ぶことをおすすめします。 高齢者のクルマに関する補助金 高齢者がクルマを買い替えるときに補助金を受けられる場合があります。 国の補助金「サポカー補助金」は受付を終了しているため、サポカー補助金を受けることはできませんが、各自治体の助成金を受けられる場合があります。 高齢者がクルマを乗り替えるときは、自治体のホームページや窓口で助成金を受けられるか確認してみましょう。 高齢者が買い換えるクルマの選び方 高齢者がクルマを買い替えるとき、どのようなポイントに注目すればよいのでしょうか。ここからは、高齢者がクルマを選ぶときのポイントについて解説します。 安全装備が充実している 高齢者がクルマの乗り替えるときは、安全装備が充実しているモデルがおすすめです。衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制機能など、さまざまなサポート機能が充実しているモデルであれば、もしものときにシステムが作動し、事故のリスクや被害を軽減してくれます。 コンパクトなサイズ コンパクトなサイズのクルマを選ぶと、少し細い道路でも楽に運転できます。クルマを買い替えるときは、クルマの使用シーンや自身の運転スキルなどに合うサイズのモデルを選びましょう。 視界がよい 視界がよいクルマとは、前方だけでなく、斜め前方、左右、後方・斜め後方など、全方位にわたり死角が少ないクルマのことです。視覚がよいクルマであれば、歩行者や自転車、クルマの接近に気づきやすいため、疲労感や事故のリスクを軽減できます。運転席に座ったときに全方位を見渡し、死角が少ないクルマかどうか確認しましょう。 乗り降りしやすい 乗り降りのしやすさも重要なポイントです。クルマを見に行ったときは、腰を掛けるようにして座れるかどうかということも確認しておきましょう。 高齢者がクルマを買い換えるときに確認しておきたい安全装備 高齢者がクルマを選ぶときに注目したい安全装備について解説します。 衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ) 衝突被害軽減ブレーキは、衝突の危険性が高いときにシステムが警告したりブレーキをサポートしたりする機能です。一般的に「自動ブレーキ」とも呼ばれますが、完全な自動ではなく、あくまでもサポート機能であるため、システムを過信しないよう注意してください。 ペダル踏み間違い急発進抑制装置 ペダル踏み間違い急発進抑制装置は、アクセルペダルとブレーキペダルを踏み間違えたときに急発進しないよう抑制する機能です。誤発進抑制機能とも呼ばれています。 もしものときのために、誤発進抑制機能が装備されているクルマを選びましょう。 リアビークルモニタリングシステム リアビークルモニタリングシステムは、ミラーの死角となる斜め後方の車輌等を知らせてくれるシステムです。ブラインドスポットモニターとも呼ばれています。 高齢ドライバーのみならず、全ドライバーにおすすめの機能のため、なるべく装備しておくことを推奨します。 定速走行時の車間距離制御装置(ACC) ACC(Adaptive Cruise Control)は、定速走行時にシステムが車間距離を一定に保ってくれる機能です。主に高速道路を走行するときに使います。 一般道路で使用すると、思わぬ事故につながる可能性があるため、高速道路で定速走行をする場面で使いましょう。 車線逸脱防止システム 車線逸脱防止支援システムは、車線をはみ出さないようサポートする機能です。レーンキープアシストとも呼ばれています。 ただし、車線を認識できない場合は、車線逸脱防止支援システムを利用できません。そのため、線が消えかかっている場所や線の変更があった場所などでは、システムが正しく機能しない可能性があります。 ドライバーモニタリングシステム ドライバーモニタリングシステムは、車内に取り付けられたカメラやセンサーなどで運転者の様子を観察し、異常が発生した場合に警告して非常停止する機能です。広く普及している機能ではありませんが、選択できる場合は装備するとよいでしょう。 横滑り防止装置 横滑り防止装置は、クルマがスリップしそうなときにクルマの姿勢を安定させるシステムです。ほとんどのクルマに装備されています。機能には限界があるため、装置を過信しないよう注意しなければなりません。 オートマチックハイビーム オートマチックハイビームは、ヘッドライトのロービームとハイビームを自動で切り替える機能です。夜間の視認性向上に寄与するため、装備しておくことをおすすめします。 また、オートマチックハイビームの進化版であるアダプティブヘッドライトは、前方にクルマがいる場合でも部分的にロービームにすることで、周辺を明るく照らせる機能です。夜間の視認性を重視するのであれば、アダプティブヘッドライト装着車を選ぶとよいでしょう。 高齢者におすすめのクルマ5選 高齢者におすすめのクルマを5車種紹介します。クルマ選びをするときの参考にしてみてください。 トヨタ ヤリス トヨタ ヤリスは、全長4,200mm以下、全幅1,695mmの5ナンバーサイズのコンパクトカーです。トヨタの安全機能「Toyota Safety Sense(トヨタセーフティセンス)」が装備されているため、安全性能が高いことも特徴となっています。また、ハイブリッドカーも用意されているため、燃費性能がよく、維持費を抑えられることも魅力です。 日産 ノート 日産 ノートは、高い質感が特徴の5ナンバーサイズのハッチバックで、安全機能の「360°セーフティアシスト」が装備されていることが特徴のモデルです。 また、電動パワートレイン「e-POWER」による高い燃費性能、4WD車の安定した走行も魅力です。さらに、着座しやすいシートや見やすい位置に調整できるドライビングポジションもポイントとなっています。 日産 サクラ 日産 サクラは、街中での運転がしやすい電気自動車の軽自動車です。高い安全性能と軽自動車ならではの運転のしやすさが特徴となっています。また、購入時に複数の補助金を受けられるのもポイントです。 なお、日産 サクラと三菱 ekクロスEVは兄弟車のため、サクラを検討しているときはekクロスEVと見比べて選ぶことをおすすめします。 ホンダ N-BOX ホンダ N-BOXは、3年連続国内販売台数No.1を誇る人気の軽自動車です。 両側にスライドドアを持つスーパーハイトワゴンのN-BOXには、優れた燃費性能とホンダならではの安全システム「Honda SENSING」が搭載されています。 居住性がよく、燃費性能が高く、安心感のある軽自動車を探しているのであれば、N-BOXを検討するとよいでしょう。 ダイハツ タント ダイハツ タントは、ピラーレスのミラクルオープンドアが特徴のスーパーハイトワゴンの軽自動車です。 開口部が広く取れるピラーレスドア(左側)により、乗り降りや荷物の積み下ろしがしやすいことが魅力です。また、安全システムの「スマートアシスト(通称 スマアシ)」が装備されているため、安全性能も十分といえます。 まとめ 高齢者のクルマの乗り替えでは、身体機能や認知機能などに応じたクルマを選ぶことがポイントです。高齢ドライバー本人やその家族がクルマを選ぶときは、この記事で解説したポイントに注目してクルマ選びをしましょう。

クルマのクラッチとは?仕組み・種類・劣化を抑える方法を解説
旧車売買の豆知識 2024.11.12

クルマのクラッチとは?仕組み・種類・劣化を抑える方法を解説

クラッチは、エンジンの動力をタイヤへ効率的に伝える装置で、クルマの動きをスムーズに調整する役割を担っています。 本記事では、クラッチの基本的な仕組みやクラッチの種類、劣化を防ぐための操作方法についてわかりやすく解説します。クルマとバイクのクラッチの違いや、AT車に採用されるトルクコンバーターの役割についても触れていますのでぜひ参考にしてみてください。 クラッチとは クラッチは、エンジンの動力をタイヤに伝えるために必要な伝達装置で、変速機(トランスミッション)とエンジンの間に取り付けられています。 クラッチを言い換えると「動力伝達装置」です。エンジンの動力をトランスミッションに伝える役割があります。 クラッチの仕組み 基本的にクラッチは、エンジン側のフライホイールとトランスミッション側のクラッチ板の2つの板で構成されています。この2つを繋げたり切ったりするのがマニュアルトランスミッション車(MT車)のクラッチペダルです。 クラッチペダルから足を離すとフライホイールクラッチ板が繋がります。反対に、クラッチペダルを踏み込むとフライホイールとクラッチ板が離れます。 半クラッチとは 半クラッチとは、エンジン側のフライホイールとトランスミッション側のクラッチ板がつながるポイント(クラッチミートするポイント)を調整することです。 MT車の運転では、クラッチが繋がるポイントを探せることが重要となります。 もし、高速で回転するエンジン側のクラッチ板をトランスミッション側のクラッチ板に急につなげてしまうと、次のようなトラブルが起こります。 ・急発進する・エンジンが止まる・クラッチを傷める このようなことが発生する可能性があるため、MT車のクラッチペダルを操作するときは、一気に踏み込み、クラッチが繋がるポイントを探し、クラッチミートするところでクラッチペダルを戻すのを一時的に止め、速度が乗ってきたらクラッチペダルを戻す動作を再開するという基本的な操作をマスターすることが大切です。 クラッチの種類 クラッチには、さまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。ここからは、クラッチの種類や特徴を簡単に解説します。 ドッグクラッチ ドッグクラッチは、クラッチ同士の接続が凹凸になっているクラッチです。クラッチが噛み合う構造となっているため伝達効率が高いことが特徴となっています。 摩擦クラッチ 一般的にクラッチと呼ばれるのが「摩擦クラッチ」です。エンジン側のクラッチ板とトランスミッション側のクラッチ板の摩擦を利用して動力を伝えます。また、摩擦クラッチには以下のタイプがあります。 ・クラッチ板の操作を自動化したタイプ・クラッチ板を複数枚にしたタイプ(多板クラッチ)・オイルで満たしたタイプ(湿式クラッチ)・電磁石でクラッチの圧着するタイプ(電磁摩擦クラッチ) など 遠心クラッチ 遠心クラッチは、エンジンで発生した動力によって生み出される遠心力を利用して繋げるクラッチです。エンジンの回転が速くなると、遠心力でクラッチが繋がり、動力が伝わるしくみになっています。 流体クラッチ 流体クラッチは、流体で満たされた密閉空間でエンジン側の動力をトランスミッションに伝えるクラッチです。動力がスムーズに伝わることが特徴です。 クルマとバイクのクラッチに違いはある? クルマとバイクのクラッチでは、構造や機能、操作方法に違いがあります。具体的な違いについて、下記の表でまとめました。 項目 クルマ バイク 構造 1枚板の単板式(クラッチプレートとフライホイール) 複数板を重ねた多版式(クラッチプレートとフリクションプレート) 機能 ・乾式クラッチ(オイルに浸かっていない)・摩耗が多い・騒音が大きい ・湿式クラッチ(オイルに浸かっている・摩耗が少ない・静音性に優れる 操作方法 左足でペダル操作 左手でレバー操作 ※車種によっては構造が異なる場合があります。 一時期、バイクにも乾式クラッチが採用されていました。しかし、騒音や冷却の問題、摩擦材のカスが飛び散るなどの問題などがあり、現在ではほとんどみられなくなっています。 AT車にはクラッチの代わりにトルクコンバーターを搭載 クラッチ操作を必要としないオートマチックトランスミッション(AT)には、クラッチの代わりに流体クラッチを応用したトルクコンバーターを採用しています。また、近年ではクラッチ操作を自動化した2ペダルのマニュアルトランスミッション車(多板クラッチや自動クラッチなど)も増えてきました。 クラッチの寿命を縮める原因 クラッチの寿命を縮めてしまう原因は、主に下記の3つです。 ・急なクラッチ操作・無理にクラッチを繋げる・わずかに擦っている状態(半クラッチ)を多用する 急なクラッチ操作は、クラッチディスクに過度な負担がかかります。特に発進時や加速時に荒く踏み込む操作をしてしまうと、摩耗を早めます。 また、無理なクラッチ接続も摩耗を進行させる原因です。エンジン回転数が高いままクラッチをつなげると、強い摩擦が発生してしまいます。 なお、半クラッチの多用は最も注意が必要です。クラッチを中途半端な位置で使い続けるほど、劣化が進みます。坂道発進時や渋滞時に多くみられる半クラッチ状態は、できるだけ短時間で完了させましょう。 クラッチの劣化を抑えるためのポイント クラッチの寿命を縮めたり、劣化を抑えたりするためには、クラッチの構造を理解して正しい操作をすることが重要です。ここからは、クラッチの劣化を抑えるポイントを紹介します。 ブリッピングする ブリッピングは、シフトダウンしたときにエンジン回転数を合わせる操作です。MT車でシフトダウンしたときに、急減速したり突っかかるような動きが起きるのは、エンジンの回転数と車の速度とギアが合っていないことが原因です。 このような急減速や突っかかるような挙動をなくすためには、シフトダウンしたときに、エンジン回転数を上げる必要があります。このエンジン回転数を上げてギアを繋げる操作がブリッピングです。 クラッチペダルから足を離す 運転の最中、何気なくクラッチペダルの上に足を置いている方も多いかもしれませんが、クラッチを劣化させる可能性があります。足に力を入れているつもりがなくても、無意識に軽く踏み込んでしまい、半クラッチ状態になっていることも少なくありません。 微々たる影響ですがクラッチを摩耗させてしまい、積み重なると大きなダメージに発展しかねないため、なるべくクラッチペダルから足を離して運転しましょう。 まとめ クラッチは、エンジンの動力をタイヤに伝えるために必要な動力伝達装置の1つです。限定なし(MT)免許を取得する際に苦労することがあるクラッチ操作は、仕組みや構造を理解すると、どのように操作するのが適切なのかわかるのではないでしょうか。クラッチの構造や仕組み、伝達方法を理解し、適切なクラッチ操作をして、運転をさらに楽しんでみてください。

ローン中でもクルマを売却できる!手続きの流れ・残債の返済方法まで徹底解説
旧車売買の豆知識 2024.11.12

ローン中でもクルマを売却できる!手続きの流れ・残債の返済方法まで徹底解説

「クルマを手放したいけど、ローン中だと売却できないのでは?」と思っている方もいるのではないでしょうか。結論として、ローン中でもクルマの売却は可能です。しかし、ケース別にポイントや用意しなければならない書類があります。 そこでこの記事では、ローンが残っているクルマを売却する流れや注意点などを紹介します。 ローン中のクルマを売却するならまずは名義をチェック! ローン中のクルマを売るのであれば、まずは誰の名義なのかを確認する必要があります。名義によって売却の流れが変わるためです。名義が誰なのかわからない場合は、車検証の「所有者」欄をチェックしましょう。 自分・家族名義の場合 自分名義のクルマであれば、ローン中であっても問題なく売却できます。家族名義でも同様です。売却前に以下の必要書類を揃えておきましょう。家族名義の場合は所有者の実印と、代理人(自分)の身分証明書と印鑑が必要です。 ・車検証・自賠責保険証・自動車税納税証明書・リサイクル券・譲渡証明書 ・委任状 ・印鑑登録証明書・実印 ただし、自分・家族名義であっても契約でローン中の売却が禁止されている場合もあるため、クルマを売る前に必ず契約書を確認しましょう。 ローン会社・ディーラー名義の場合 ローン中のクルマは、ローン会社やディーラーの名義になっているケースが多いです。その場合は、売却時にローン完済と名義変更の手続きをしなければなりません。 ローン会社・ディーラー名義のクルマを売却する流れ ローン会社・ディーラー名義の場合、ローン完済と名義変更が必要だと説明しました。それでは、実際にどのような手順で手続きを進めればよいのでしょうか。詳細な流れを紹介します。 1.査定の申し込み まずは売却するクルマの査定を買取業者に申し込みます。申込時に「残債があるクルマを売却したい」旨を伝えると、当日話をスムーズに進められるでしょう。 また、どのくらい残債があるのかを事前に確認しておくと、「どのくらいの金額を提示されたら売却するか」をあらかじめ決められるでしょう。ローンの残債は、ローン会社のWebサイトで照会したり電話で問い合わせたりすることで確認できます。 ▼ローンの残債の確認方法については下記の記事で解説しています。クルマのローン残債を確認するには?ローンを早く減らす方法や乗り換え時の注意点を解説! 2.必要書類の準備 クルマを売却するにあたっての必要書類を用意します。自分で用意する書類は下記のとおりです。 ・車検証・自賠責保険証・自動車税納税証明書・リサイクル券・印鑑登録証明書・実印 名義を変えるにあたって、売却が決まったあとにローン会社・ディーラーから送られてくる書類もあります。基本的には買取業者とローン会社・ディーラーがやりとりしますが、手続きを依頼された場合には対応しましょう。 3.査定してもらう 申込日に予約した当日を迎えたら、買取業者の査定士にクルマを査定してもらいます。提示された金額に納得できたら、売却する意思を査定士に伝えましょう。 4.ローンの返済方法を決める 金額に納得し売却することを決めたら、ローンの完済方法を検討します。売却金額が残債よりも高いか低いかで方法が異なります。 売却金額が残債額よりも高い場合 売却金をそのまま返済にあてられ、ローンを完済できます。別途手続きは必要ありません。 売却金額が残債額よりも低い場合 売却金額が残債額よりも低い場合は、当然ながらローンが残ってしまいます。ローンの残りを返済する方法は、下記の2つです。 ・残債を現金で返済するすぐに支払える金額であれば、もちろん一気に返済して問題ありません。 ・次に購入するクルマのローンとまとめるローン会社・ディーラーの名義のクルマは、ローンを一括で完済しないと売却できず、次に買うクルマと残債を並行して支払い続けることも不可です。しかし、2つのローンをまとめられるサービスを提供している信販会社もあるため、そうしたサービスを利用するのも1つの方法といえます。 例:ツインリセットオートローン|ローンのオリコ 5.売却する 売買契約を締結して必要書類を提出したら、クルマを買取業者へ引き渡します。当日ではなく後日クルマを引き取られる場合もあるため、契約後の流れを確認しておくとよいでしょう。 名義変更は業者が代行してくれる! 売却時にはローン会社・ディーラーからの名義変更が必要ですが、多くの買取業者ではその手続きを代行しています。書類に不備があるとスムーズに手続きできない場合もあるため、わからないことは買取業者に確認しつつ漏れがないように用意しましょう。 ローン中にクルマを売却するときの注意点 ローン中のクルマを売却する手順を紹介しましたが、気をつけておきたいポイントがあります。思わぬトラブルを防ぐためにも事前に把握しておきましょう。 あらかじめクルマの買取相場を調べる クルマを売却するからといってローンの返済義務がなくなるわけではなく、ローン会社・ディーラーの名義であれば完済しないと売却できません。完済できるかどうかを把握するために、事前にクルマの買取相場を調べておくとよいでしょう。 正確な金額は車輌の細かな状態までチェックしないと算出できないため、査定に出すまでわかりませんが、目安として相場を把握しておけばローンがいくら残るのかを計算できます。 銀行系ローンは契約内容を要チェック 銀行系ローンだと自分名義になっている場合が多いですが、返済中の売却を禁止していることがあります。そのため、事前に必ず契約内容を確認しておきましょう。 クルマを高く売却するポイント 返済の負担を減らすために少しでも高くクルマを売りたいと思う方がほとんどでしょう。ここからは、買取価格を上げるために準備できるポイントを紹介します。 査定前に洗車しておく 査定前に少しでもクルマを綺麗にしておくと「メンテナンスをこまめに行っていて、車を大事にしている」という印象を査定士に与えられます。汚れやすい足回りまで丁寧に洗車しておけば、よりプラスに働くでしょう。また、外装だけではなく内装も清掃しておくことをおすすめします。 純正パーツを準備しておく カスタムが好きで自分なりにクルマをいじっている方も多いですが、モデルによってはフルノーマルのほうが高く評価される場合があります。そのため、ノーマル状態に戻せるように査定前に純正パーツを用意しておきましょう。 メンテナンスノートを用意しておく メンテナンスノートとは、点検整備記録簿とメーカー保証書のセットです。クルマを売る際に次のオーナーへと引き継がれていきます。クルマの点検・整備の記録が載っているため、査定の際には「きちんとメンテナンスしている」のアピールに活用できます。逆にメンテナンスノートがないと整備されていないと見なされ、査定額が下がってしまうかもしれません。きちんと保管・用意しておきましょう。 ローン中のクルマを売却するタイミングはいつがよい? 少しでも高値でクルマを売却するためには、手放す時期も見極める必要があります。続いて、ローン中のクルマを売るベストタイミングを紹介します。 モデルチェンジ前 クルマは、モデルチェンジ前に売却すると高値がつきやすいといわれています。モデルチェンジ後だと、一世代前のクルマとして取扱われ、価格が下がってしまう場合があるためです。なるべくモデルチェンジ前に手放せば、ローンの負担を減らせるでしょう。 一定の走行距離を超える前 車種によりますが、一般的には走行距離10万kmを超えると過走行車と見なされます。あまり走行距離が長いと車輌の状態がよくないと評価されるため、10万kmを超える前に売却するのがおすすめです。 ローン中のクルマを売却するなら実績豊富な「旧車王」へ! ローン中のクルマの売却について解説しましたが、実際に売るにはどんな業者がよいのでしょうか。ずばり、実績豊富な買取専門業者がおすすめです。なかでも私たち旧車王は、長年培ってきたノウハウを活かしたスムーズな買取が可能です。 20年以上の実績 旧車王は20年以上にわたって、10年以上経過した古いクルマ専門の買取サービスを行っています。国産車・輸入車問わず、数多く査定してきたため、クルマに関する知識・ノウハウは他社に負けません。メーカーや車種、そして状態に関わらず、古いクルマであればどんな車輌も丁寧かつ正確に“鑑定”いたします。 手間のかかる手続きもおまかせ 長年にわたって買取サービスを行っているため、名義変更などの手続きにもスムーズに対応できます。書類に関してはお客様にご用意いただく必要がありますが、わからないことがあれば旧車王の鑑定士(査定士)が丁寧にご案内します!「ローン中の売却で何をどうしてよいかわからない」という方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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