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【相談例】
● 車売却のそもそもの流れが分からない
● どういった売り方が最適か相談したい
● 相続で車を売りたいけど売り方が分からない
● 二重査定や減額について知りたい
など
新車を購入するときは、将来的にクルマを解体する際の費用に充てられる「リサイクル料金」を預託(預けて任せること)する必要があります。リサイクル券は、リサイクル料金が預託されていることを証明する書類です。 個人事業主や法人が事業に利用するクルマを所有する場合、リサイクル料金に関する消費税の取扱いをよく理解し、正しく会計処理をする必要があります。 この記事では、リサイクル料金に消費税が課税されるケースや経理処理の方法などについて詳しく解説します。 クルマのリサイクル券の消費税の扱い 消費税は、商品の販売やサービスの提供などに課税される税金です。消費税を支払うのは商品を買った人やサービスを利用した人ですが、納税するのは課税事業者となっている個人や法人です。 リサイクル料金の消費税の取り扱いは、クルマの購入時、売却時、廃車時で異なります。以下で詳しく解説します。 購入時の消費税 新車を購入する際に支払うリサイクル料金には、消費税が課税される項目と不課税となる項目があります。詳細は以下のとおりです。 内訳と料金の用途 不課税 ・シュレッダーダスト料金:クルマの解体後に残る樹脂やゴムなどの処理・エアバッグ類料金:エアバッグ類の回収・処理・フロン類料金:カーエアコン用冷媒の回収・処理・情報管理料金:使用済自動車の処理状況の電子管理 課税対象 ・資金管理料金:リサイクル料金の収納・管理・運用 消費税は、原則として商品の販売やサービスの提供など役務提供を受けたときに納める税金です。 シュレッダーダスト料金、エアバッグ類料金、フロン類料金、情報管理料金は、クルマの廃車という役務提供を受けるために支払う費用です。これらは自動車リサイクル促進センターに預託され、廃車になるまで厳重に管理されるため「リサイクル預託金」と呼ばれます。 購入時点でのリサイクル預託金の支払いは、消費税の不課税取引にあたります。不課税取引とは、消費税の課税対象とはみなされない取引のことです。 一方、資金管理料金は、リサイクル預託金を管理するための手数料であり、クルマの購入時点で役務提供を受けているため、支払ったタイミングで消費税が課税されます。 売却時の消費税 クルマを売却するときは、車輌本体と合わせてリサイクル券を譲渡し、リサイクル預託金を買い手に引き継ぎます。この場合、売り手はリサイクル料金分が上乗せされた売却代金を受け取るのが一般的です。ただし、業者によって対応は異なるため確認が必要です。 売り手が受け取ったリサイクル料金相当額は「金銭債権の譲渡」の対価とみなされます。金銭債権の譲渡は、非課税取引に該当するため、受け取ったリサイクル料金相当額には消費税が課税されません。 廃車時の消費税 クルマを廃車にする際は、リサイクル料金の支払いに対する役務提供を受けることになるため、リサイクル預託金に消費税が課税されます。 消費税の税率は、クルマを購入したときではなく廃車された時点のものが適用されます。 リサイクル券の消費税の仕訳方法 個人事業主や法人が事業に使用するクルマを購入・売却したときや廃車にするときは、リサイクル料金を適切に会計処理する必要があります。以下では、リサイクル料金の仕訳方法を詳しく解説します。 購入時の仕訳 クルマを購入するときに支払ったリサイクル料金のうち、資金管理料金は支払手数料として経費に計上し、残りはリサイクル預託金(または長期前払費用)として資産計上します。 たとえば、シュレッダーダスト料金、エアバッグ類料金、フロン類料金が計1万6,000円としましょう。2025年4月時点の情報管理料金は130円、資金管理料金は290円※のため、リサイクル料金を現金で支払った場合の仕訳方法は以下のとおりです。 ※使用済自動車引取時は410円 借方 貸方 リサイクル預託金 1万6,130円 現金 1万6,420円 支払手数料 290円 出典:自動車リサイクル促進センター ホームページ (https://www.jarc.or.jp/automobile/fee/feeindex/) 売却時の仕訳 クルマを売却する際に買い手からリサイクル料金に相当する金額を受け取るときは、リサイクル預託金(または長期前払費用)として資産計上していた分を振り替えます。 リサイクル料金に相当する金額を現金で受け取った場合、仕訳方法は以下のとおりです。 借方 貸方 現金 1万6,130円 リサイクル預託金 1万6,130円 リサイクル料の授受は金銭債権の譲渡にあたるため、クルマの売却代金とは別に会計処理をする点に注意が必要です。 廃車時の仕訳 クルマを売却せず廃車にするときは、資産計上しているリサイクル料金を支払手数料に振り替えて経費に計上します。仕訳の例は以下のとおりです。 借方 貸方 支払手数料 1万6,130円 リサイクル預託金 1万6,130円 リサイクル券の消費税の仕入税額控除 個人事業主や法人が課税事業者となっている場合は消費税を納める必要があります。納税する税額は、原則として以下の計算式で求めます。 納付する税額=売上の消費税額−仕入れや経費の消費税額 仕入れや経費の消費税額を差し引く計算を「仕入税額控除」といいます。 クルマを購入する際に支払う「資金管理料金」に課税される消費税は、仕入税額控除の対象です。残りの部分については、クルマを廃車にして消費税が課税されるタイミングで仕入税額控除の対象となります。 2023年10月1日から「インボイス制度」が始まり、消費税の課税事業者が仕入税額控除を受けるためには適格請求書(インボイス)の保存が必要となりました。 また、クルマを売却した場合、リサイクル預託金に消費税は課税されませんが、金額の5%を課税売上割合の分母に含めることができます。以下で詳しく解説します。 仕入税額控除を受けるためには適格請求書の保存が必要</h3> リサイクル料金に課税される消費税を仕入税額控除とするためには「自動車リサイクルシステム」から以下の手順で適格請求書をダウンロードします。 1.自動車リサイクルシステムの「消費税のインボイス制度への対応について」へアクセス 2.「インボイス発行」をクリック 3.適格請求書を発行したい車輌の車両区分(登録自動車/軽自動車)、車台番号、登録番号/車両番号などを入力して検索(CSVファイルのアップロードで複数台検索が可能) 4.検索結果から該当車輌の適格請求書をダウンロード 適格請求書は、消費税が課税されるタイミングに合わせて発行します。発行のタイミングとダウンロードする適格請求書の種類は以下のとおりです。 発行するタイミング 発行する適格請求書の種類 新車購入時 ・資金管理料金 廃車時 ・再資源化等料金(シュレッダーダスト料金、エアバッグ類料金、フロン類料金) ・情報管理料金 売却時のリサイクル料金の5%は課税売上割合の分母に含められる 2014年(平成26年)の税制改正により、課税売上割合を計算する際には、金銭債権の譲渡額の5%を分母の総売上高に含めるというルールに変更されました。 課税売上割合は、課税期間中の総売上高に占める消費税がかかる売上(課税売上)の割合です。課税期間は、個人事業主の場合は1月1日から12月31日、法人は事業年度です。 消費税の納税額を計算する際、仕入れや経費で支払った消費税の全額を課税売上から差し引くためには以下2つの条件を満たす必要があります。 ・課税期間中の課税売上高が5億円以下 ・課税期間中の課税売上割合が95%以上 金銭債権の譲渡には消費税がかからないため、合計金額が高くなればなるほどに分母が増え、課税売上割合が下がって全額控除を受けにくくなります。 改正後は、金銭債権の譲渡額のうち5%のみを分母の総売上高に含めることになったため、仕入れや経費などに課税される消費税の全額を控除しやすくなったといえます。 まとめ クルマを購入するときは、支払ったリサイクル料金のうち資金管理料金のみが消費税の課税対象です。残りの部分が消費税の課税対象となるのはクルマを廃車にするときです。売却する場合、リサイクル料金相当額が返金されますが消費税は課税されません。 事業に利用するクルマを購入するときは、資金管理手数料を「支払手数料」とし、残りをリサイクル預託金として資産に計上します。資産計上されているリサイクル料金は、売却時には現金などに、廃車時は支払手数料に振り替えます。 購入や廃車の際に負担した消費税を仕入税額控除の対象とするためには、自動車リサイクルシステムから適格請求書の取得が必要です。消費税の会計処理や税額の計算方法、インボイス制度などに関する不明点がある場合は、税理士や税務署に相談するとよいでしょう。
クルマを売却するときに「リサイクル料金は戻ってくるのだろうか」と疑問に思う方は少なくありません。 リサイクル料金は、廃車時の処分費用を前払いするものです。クルマを売却する際は、リサイクル券を買い手に渡すことで基本的に返金されます。 この記事では、リサイクル料金が返金されるケースや返金方法、リサイクル券を紛失したときの対処法などについて詳しく解説します。 クルマ売却時にリサイクル料金が返金される場合がある クルマを売却するときや下取りに出すときは、基本的にリサイクル料金は売却額に上乗せする形で返金されます。ただし、業者によっては別途返金で対応しているため、あらかじめ確認しておきましょう。 リサイクル料金は、廃車時に発生する樹脂やゴムなどのシュレッダーダストやエアコンのフロン類、エアバッグ類を処分するための費用をまかなうために支払います。リサイクル料金を負担する義務があるのは、廃車時の所有者です。 クルマを売却する場合、リサイクル料金を負担する義務は新しい所有者に移ります。そのため、売り手はリサイクル券を買い手に引き渡す代わりにリサイクル料金に相当する金額を返金してもらえます。 個人間でクルマを売買する場合は、買い手との話し合いによりリサイクル料金を返金してもらうことは可能です。 廃車にする際はリサイクル料金が返金されない クルマを廃車にする場合、リサイクル料金は処分する際の費用として使用されるため、返金はありません。 また、売却や下取りの際にリサイクル料金が返金されるのは、クルマが中古車として再販される場合です。再販が難しいほどにクルマの状態が悪く、廃車になった場合は返金されません。 リサイクル料金の返金を受ける方法 クルマを売却する際にリサイクル料金を返金してもらう方法は、売却先によって異なります。以下では、業者と個人にクルマを売却する際の返金方法を解説します。 業者への売却 リサイクル料金の返金方法は中古車販売店やディーラーなどで異なりますが、一般的には買取価格や下取り価格に含める形で戻ってきます。 リサイクル料金を返金してもらうためにはリサイクル券が必要です。通常リサイクル券は、車検証やメンテナンスノートなどと一緒に保管されています。 業者によっては、クルマの査定額にリサイクル料金が含まれていない場合があります。売却や下取りの契約が成立したあとに、リサイクル料金が査定額に含まれていないことに気づいても返金してもらうのは困難です。 クルマを売却するときは、買取価格や下取り価格などにリサイクル料金が含まれるかどうかを業者に確認したうえで契約を結ぶことが大切です。 個人への売却 個人間でクルマを売買する場合、見積書や契約書を当事者自身で用意する必要があるため、売却金額にリサイクル料金が含まれているか否かが曖昧になりやすい傾向にあります。 そのため、業者に売却する場合に比べて「リサイクル料金が返金されていない」といったトラブルが生じやすいのです。 トラブルを防ぐために、見積書や契約書にリサイクル料金の項目を設けて金額を明記し、売り手と買い手の双方が記載内容をよく確認したうえで契約を結びましょう。 また、買い手が将来クルマを売却したり廃車にしたりする際、スムーズに手続きができるようリサイクル券を確実に引き渡すことも大切です。 リサイクル券を紛失した場合の対処法 リサイクル券は再発行ができません。クルマを売却したり廃車にしたりする際にリサイクル券が見当たらない場合は「自動車リサイクルシステム」から預託状況を印刷しましょう。印刷方法は、以下のとおりです。 1.自動車リサイクルシステムのトップページの「自動車ユーザーの方」から「あなたの車のリサイクル料金は?」をクリックする 2.「リサイクル料金検索」をクリックする 3.車両区分(登録自動車/軽自動車)、車台番号、登録番号/車両番号などを入力 4.「リサイクル料金の預託状況」にチェックを入れ検索ボタンを押す 5.出力された自動車リサイクル料金の預託状況のPDFファイルを印刷 預託状況を印刷する際は車台番号や登録番号などの入力を求められるため、手元に車検証を用意しておきましょう。 クルマのリサイクル券の返金に関するQ&A クルマのリサイクル券の返金について寄せられることの多い質問に回答します。 Q.リサイクル料金の返金を受ける際の必要書類は? リサイクル料金を返金してもらうためには、リサイクル券または自動車リサイクルシステムから印刷した預託状況の写しが必要です。 また、クルマを売却する際の必要書類も漏れなく準備しておきましょう。売却時の主な必要書類は以下のとおりです。 書類名 普通自動車 軽自動車 車検証 〇 〇 自動車税納税証明書 〇 〇 自賠責保険証 〇 〇 実印 〇 △※1 印鑑証明書 〇 △※1 認印 × 〇 譲渡証明書 〇 × 委任状 〇 × 住民票 △※2 △※2 ※1.原則不要だが買取業者によっては本人確認のために提出を求められている場合がある※2.車検証に記載される住所と現住所が異なる場合に必要 上記には記載されていない書類の提出を求められることもあるため、買取業者に必要書類を確認し、スケジュールに余裕をもって準備しましょう。 Q.リサイクル料金と自動車税(種別割)の関係は? リサイクル料金と自動車税(種別割)は「クルマを売却したときに返金してもらえる」という共通点があります。 自動車税(種別割)は、毎年4月1日時点の所有者に対して課税される地方税です。税額は、クルマの排気量によって決まります。 売り手がすでに1年分の自動車税(種別割)を納めている場合、買取業者によっては売却の翌月から3月末までの月数分に応じた金額を還付してもらえます。自動車税(種別割)の還付金は、リサイクル料金と同様に買取金額に含まれるのが一般的です。 ただし、軽自動車を売却する場合、基本的に自動車税(種別割)の還付は受けられません。 これは、普通自動車を廃車にした場合、残りの期間に応じた自動車税(種別割)を還付してもらえるのに対し、軽自動車は対象外であるためです。 Q.電気自動車やハイブリッド車のリサイクル料金は異なる? 電気自動車やハイブリッド車のリサイクル料金が、ガソリン車と比較して必ずしも割高なわけではありません。 リサイクル料金の金額は、車輌重量やエアバッグ類の個数などで決められています。電気自動車やハイブリッド車に搭載されるリチウムイオンバッテリーの有無や個数などは、基本的にリサイクル料金に影響しません。 ガソリン車だけでなくハイブリッド車や電気自動車も選択できるクルマの多くは、同一のリサイクル料金に設定されています。 ただし、一部の車種は搭載される動力システムによってリサイクル料金が異なる場合もあるため、購入を検討する際はよく確認することが大切です。 まとめ クルマを売却するときや下取りに出す際は、査定額にリサイクル料金が上乗せされるのが一般的です。個人間の取引でも買い手からリサイクル料金を返金してもらうことは可能です。一方、廃車にする場合、リサイクル料金は解体費用に充てられるため返金されません。 売却の際にリサイクル料金を返金してもらうためにはリサイクル券が必要です。リサイクル券を紛失した場合は、自動車リサイクル料金の預託状況を印刷しましょう。 長く乗ってきたクルマを売却したい場合は旧車王にご相談ください。クルマを熟知したスタッフが愛車を鑑定し、納得の買取価格を提示いたします。日本全国どこでも無料で出張査定いたしますので、旧車の売却を検討している方はお気軽にご連絡ください。
クルマの売却を決めた後に、家庭の事情が変わったり、より条件のよい買取業者が見つかったりする場合があります。このような場合、売却契約成立後であってもキャンセルはできるのか気になる人は少なくないでしょう。 しかし、原則として売却契約成立後のキャンセルはできません。本記事では、キャンセルできない具体的なケースとキャンセル料の目安を紹介します。キャンセルが必要になる状況を避けるための対策も解説しているため、クルマの売却契約を結ぶ前にぜひチェックしてください。 クルマの売却契約後は原則キャンセル不可 クルマの売却契約成立後は、原則としてキャンセルはできません。 民法における「契約」は、当事者間の意思表示が合致した時点で成立します。詐欺や脅迫といった違法行為がない限り、適正な契約を一方的に解除することはできないのです。 参考:e-GOV法令検索「民法522条」参考:e-GOV法令検索「民法96条」参考:e-GOV法令検索「民法541条」 また、クルマの売買にはクーリングオフが適用されません。同制度は特定の商品・サービスの購入後、一定の期間内であれば契約を解除できるものですが、クルマの売買は十分な熟慮期間があるとされ、適用外となっています。 参考:消費者庁「特定商取引法とは」 ただし、クルマの買取業者によっては、契約成立後にキャンセル可能な猶予期間を設定しています。まずは、契約のキャンセル規定を確認しましょう。 なお、クルマの売買は口頭での契約成立が可能です。買取業者によっては口約束でも契約成立とする場合があります。クルマの売却契約は安易に合意せず、熟慮したうえで書面で交わすこと、キャンセル規定の確認が必須です。 参考:国民生活センター「車を買うとき車の登録、購入のキャンセル」 クルマの売却をキャンセルできないケース例 売却契約成立後のキャンセル対応は買取業者によって異なります。 下記のようなケースはキャンセルできない可能性が高いため、特に注意してください。 ローンが残っているクルマの売却キャンセル ローンが残っているクルマですでに残務処理などの手続きが進んでいる場合、売却キャンセルは難しいでしょう。 たとえば、クルマの名義がディーラーや信販会社になっていると、売却時にローンの一括返済や所有権移転手続きが必要です。これらの手続きが進んでいる際にキャンセルを申し出ても、対応できないケースがほとんどでしょう。 一方で、銀行のカーローンによって購入したクルマの名義は自分であることが多くなっています。自分名義のクルマだと業者による残務処理などは不要ですが、銀行によってはローン返済中の売却に制限を設けています。 手続きの段階によってもキャンセル可否が異なるため、ローン規約や買取業者によく確認してください。 売却の必要書類とクルマを引き渡した後のキャンセル 譲渡証明書などの必要書類とクルマを引き渡した後は、原則としてキャンセルできません。 ただし、買取業者によっては「引き渡しの翌日まで契約解除可能」な規定を設けています。 たとえば、一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)の「自動車買取モデル約款」 には、「契約車両の引渡しを行った日の翌日までは、買主に通知することにより何等の負担なく本契約を解除することができるものとする」の定めがあります。 まずは、契約のキャンセル規定を確認してください。 参考:一般社団法人日本自動車購入協会「モデル約款」 契約の猶予期間を過ぎた後のキャンセル 一部の買取業者では、契約内容に「契約後●日以内なら契約解除可能」という猶予期間を設けています。猶予期間を過ぎていれば契約解除は認められないため、売却のキャンセルはできません。 猶予期間を終えると、買取業者はオークション出品や再販準備を進めます。このときキャンセルを申し出ても買取業者に実損が生じるため、応じてもらえる可能性は極めて低いでしょう。 売りに出された後のキャンセル 売却したクルマがすでにオークションや店頭・ネットなどで売りに出されている場合も、基本的にキャンセルはできません。 販売中のクルマはすでに他の顧客と取引が進んでいる可能性があります。出品後の取りやめは買取業者の信用問題や出品費用の損害につながるため、万が一キャンセルに応じてもらえても違約金が発生することがあります。 クルマ売却の契約解除のキャンセル料はどれぐらい? 猶予期間中に売却契約を解除すると、通常は違約金としてキャンセル料がかかります。 キャンセル料の相場は買取業者によって異なりますが、一般的には人件費や車輛保管費、車内クリーニング代、輸送費などが請求されます。 ただし、根拠が不明なものや法外なキャンセル料の請求には気をつけてください。消費者契約法第9条では、契約の解除に伴い発生する損害賠償額について、平均的な損害の額を超える場合は、超える部分を無効とする条文があります。 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。 一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分 出典:e-GOV法令検索「消費者契約法9条」 たとえ契約書にキャンセル料の定めがあっても、合理性のない項目や金額であればすぐに支払う必要はありません。不安のある人は消費生活センターなど専門機関に相談のうえ、買取業者に合理的な説明を求めましょう。 クルマ売却のキャンセルを避けるための対策 クルマの売買は売主・買主双方にとって大きな取引です。キャンセルタイミングによっては関係各所に不利益が発生し、大きなトラブルに発展することもあるでしょう。 キャンセルによるトラブルを防ぐためには、あらかじめ下記の対策を取ることが重要です。 複数の業者から見積もりを取る クルマの買取価格は買取業者によって異なります。売却の際は必ず複数の業者で見積もりを取り、愛車の一般的な相場を把握しましょう。 特に思い入れのある愛車だと、中古車市場の評価と自身の評価にズレが生じることがあります。相見積りで中古車市場における相場を把握しておけば、適正な売却判断ができるようになるでしょう。 金額に納得したうえで契約する 買取業者の担当によっては、契約を急かしてくることもあるでしょう。 しかし、多くの場合、急かされると適切な判断ができません。少しでも金額に不満がある状態で契約しても、後で「他の業者にすればよかったのでは」と思う可能性が高くなります。 売却の際は時間をかけて交渉を重ね、金額に納得したうえで契約しましょう。 キャンセルに関する規約を確認しておく 契約書のキャンセル規定はしっかりと確認しておきましょう。 買取業者から口頭でキャンセルの説明を受けていても、双方の認識にズレがある可能性があります。契約後に「聞いていた話と違う!」とならないためにも、ご自身の目で確認することが重要です。契約後のキャンセル可否と可能な場合の猶予期間、キャンセル料金の定めなどをくまなくチェックしておきましょう。 クルマ売却のキャンセル方法 キャンセルの方法は、売却後のタイミングや買取業者との連絡手段によって異なります。 個別の担当者がいる場合は電話やメールなど普段の方法で連絡し、それ以外の場合は下記の方法で問合せてください。 ・電話する ・店舗に訪問する ・メールする ・サイトに問合せる なお、クルマの一括査定のキャンセルについては、査定サイトではなく提携している買取業者への連絡が必要になることがあります。査定サイトの利用ポリシーをよく確認したうえで各所に連絡してください。 まとめ クルマの売却契約成立後は原則としてキャンセルできません。買取業者によっては契約解除可能な猶予期間の設定がありますが、タイミングによっては違約金としてキャンセル料がかかります。 たとえキャンセルできたとしても、費用や各種手続きの負担がかかるうえ、トラブルが発生する可能性もあります。 クルマの売却時には相見積もりやキャンセル規定を十分に確認し、納得したうえで契約するようにしてください。
トヨタが2000年11月に発売した高級セダン「オリジン」が、2025年11月に25年ルール解禁を迎えます。クラウンをベースに、クラシカルなデザインと最新技術を融合させた限定約1,000台の特別なクルマとして話題を集めたオリジンは、解禁に伴い海外での需要が高まる可能性があります。 今回は、オリジンの25年ルール解禁による影響と、モデルの魅力について詳しく解説していきます。 2025年11月にトヨタ オリジンが25年ルール解禁! トヨタ オリジンは、同社生産台数累計1億台突破を記念して2000年11月に発売された特別限定モデルです。発売時の価格は1台700万円と、当時のトヨタ車としては異例の高額設定でした。初代クラウンがモチーフで、プラットフォームはプログレと共有。3.0L 直列6気筒エンジンを搭載した豪華なセダンです。 生産台数は約1,000台に限定された希少車のため、国内外のコレクターから高い注目を集めています。 そもそも25年ルールとは? 25年ルールとは、アメリカにおける自動車輸入規制の特例制度です。製造から25年以上が経過したクルマは、右ハンドル車であってもクラシックカーとしてアメリカへの輸入が可能となります。 この制度により、通常は厳しい輸入規制の対象となる日本の右ハンドル車も、25年を経過すれば輸入できるようになります。アメリカの自動車愛好家にとって、日本の希少な名車を手に入れる絶好の機会です。 ▼関連記事はこちらアメリカ「25年ルール」とは?名車の中古相場が急騰するしくみ 25年ルール解禁でトヨタ オリジンは値上がりする? オリジンは、その希少性と歴史的価値から、25年ルール解禁後の価格上昇が予想されます。特に以下の要因が価格上昇を後押しする可能性があります。 1. 生産台数が1,000台と極めて少ない2. クラシカルなデザインと最新技術の融合という独自性3. 当時の日本の職人技術の結晶としての評価 ただし、実際の価格変動は市場の需要と供給バランス、個体の状態などにより変動する可能性があります。また、維持費用が比較的高額になる点も、市場価格に影響を与える要因となるでしょう。 25年ルールが解禁されるトヨタ オリジンの魅力 オリジンの最大の魅力は、クラシカルなデザインと最新技術の見事な調和にあります。外観は初代クラウンを彷彿とさせる伝統的なスタイリングを採用し、フロントグリルやヘッドライト、テールランプなどにクラシックカーの要素を随所に取り入れています。 パワートレインには、3.0L 直列6気筒エンジン(2JZ-GE型)を搭載し、最高出力215ps、最大トルク30.0kg-mを発生。重量のある高級車でありながら滑らかな加速性能を実現しました。 内装は縫い目にまでこだわった最高級の本革シートや木目調パネルを贅沢に使用しており、細部にまでこだわった匠の技が随所に光ります。観音開きのドアもその威厳を象徴する装備の1つといえるでしょう。 トヨタ オリジン以外で2025年に25年ルールが解禁される車種一覧 2025年には、オリジン以外にも注目の車種が25年ルールの解禁を迎えます ・トヨタ WiLL Vi(1月解禁)クラシックと未来を融合した独創的なデザインをもつモデル。丸みを帯びたボディライン、バブルのようなヘッドライト、円形のリアランプが特徴的で、内装も丸型メーターなど個性的です。 ・トヨタ 2代目 エスティマ(1月解禁)2代目エスティマは、革新的な空力デザインと広々とした3列7〜8人乗りの室内空間を両立させた先進的ミニバンです。2.2Lや3.0Lエンジン、4WDモデルも用意され、実用性と走行性能を高次元で融合したモデルです。 ・トヨタ bB(2月解禁)トヨタ bBは2000年に登場した独特なボックス型デザインが特徴のコンパクトカーです。四角いフォルムと広い室内空間を持ち、カスタマイズ性の高さから若者に人気を集めました。1.3Lと1.5Lエンジンを搭載し、実用性とスタイリッシュさを両立させた革新的なモデルです。 ・ダイハツ アルティス(3月解禁)ダイハツ アルティスは、トヨタ カムリのOEMモデルとして登場した高級セダン。2.2L 直4エンジンによる滑らかな走りと快適な乗り心地、高い信頼性が特徴です。広い室内空間も魅力です。 ・トヨタ 2代目RAV4(5月解禁)2代目RAV4は、初代の成功を発展させたクロスオーバーSUVです。拡大したボディサイズと室内空間を持ちながらも取り回しの良さを維持しています。2.0L/1.8Lエンジンを搭載し、洗練されたデザインと実用性を兼ね備え、日常からアウトドアまで幅広く活躍します。 ・トヨタ オーパ(5月解禁)オーパは、2000年5月に発売された5ドアハッチバックです。コンパクトなサイズながらも広々とした室内を有し、ファミリー層から人気を博しました。 ・ホンダ アコード ユーロR CL1型(6月解禁)2.2L DOHC VTECエンジンを搭載した高性能セダンで、スポーティな走りが特徴です。 ・ダイハツ アトレー7(7月解禁)アトレー7は、コンパクトなボディに7人乗りの3列シートを実現した実用的なミニバンです。1.3Lのエンジンを搭載し、スライドドアや折りたたみ可能な後部座席など、日常使いに便利な機能を備えています。 ・スバル インプレッサ WRX STI GDB型(8月解禁)ターボエンジンと4WDシステムによる高い走行性能で、世界中のファンを魅了したモデルです。 ・ダイハツ YRV(8月解禁)コンパクトながらも広い室内空間と個性的なデザイン、スポーティな走りを兼ね備えた実用性の高いモデルです。 ・30セルシオ(8月解禁)30セルシオは、2000年8月から製造されたトヨタのフラッグシップ高級セダン。4.3L V8エンジンを搭載し、世界トップレベルの静粛性と快適な乗り心地が特徴です。 ・9代目カローラ(8月解禁)9代目カローラは、2000年から2017年まで製造された大衆車です。空力性能を重視した流麗なデザインと、1.3L、1.5L、1.8Lのエンジンによる力強い走りを両立させています。 ・スマートシビック(9月解禁)ホンダ シビックの7代目モデルです。先代よりも一回り以上大きくなったボディで、ミニバンを思わせる外観をもちます。 ・3代目シビックフェリオ(9月解禁)走行性能、実用性、どちらにもこだわってつくられたコンパクトカーです。VTECエンジンを搭載し、小さいボディながらハイパワーを誇ります。 ・トヨタ 110系 マークⅡ(10月解禁)高級感あるセダンフォルムと多彩なパワーユニットが特徴のモデルです。ツアラーVに搭載された1JZ-GTEターボエンジンによる280psの走行性能は多くのファンを魅了しています。 ・マツダ トリビュート(11月解禁)マツダとフォードの共同開発によって生まれた、実用性と優れた走行性能を兼ね備えた小型クロスオーバーSUVです。 ・日産 エクストレイル(11月解禁)初代エクストレイルは最高280psのエンジンと「ALL MODE 4×4」で本格オフロード性能と日常の使いやすさを両立。スクエアなボディによる大容量荷室と実用的装備、優れた視界と収納で、クロスオーバーSUVの先駆けとして魅力的なモデルです。 まとめ 2025年11月に25年ルール解禁となるトヨタ オリジンは、限定約1,000台という希少性と、クラシカルなデザインを持つ特別なモデルです。解禁後は、海外コレクターからの需要増加により、市場価格の上昇が予想されます。 オリジンをお持ちの方で売却をご検討の際は、旧車王にぜひご相談ください。旧車専門の鑑定士が、オリジンの価値を最大限に見出し、適正価格での買取をご提案いたします。まずは無料査定をご利用いただき、愛車の価値を見極めてみてはいかがでしょうか。
クルマの売却は、人生の中で何度も体験しない手続きです。そのため、手続きに慣れていないことを理由に、予期せぬトラブルが起きることが珍しくありません。長く乗り続けた愛車を満足のいく形で売却できるよう、起こりがちなトラブルの内容と対応方法を確認しておきましょう。 この記事では、クルマ売却で起こりがちなトラブル事例と対策、相談先について詳しく解説します。 クルマ売却のトラブル事例 クルマの売却トラブルを避けるためには、起こりうるトラブルの内容を知っておくことが重要です。ここでは、実際に報告されているクルマ売却の代表的なトラブル事例を紹介します。 査定だけのつもりが強引に契約を迫られる クルマの売却トラブルの代表例の1つが強引な勧誘です。査定に来た業者から「今ここで決めてくれれば高値で買い取る」「今日でないとこの金額は出せない」などと強引に契約を迫られるケースがあります。 複数の買取業者の査定を比較検討しようと考えていたにもかかわらず、長時間の居座りや高圧的な態度を取られることで、断り切れずに契約してしまう人も少なくありません。 キャンセルしようとしたら高額な違約金を請求される 一度契約を結んだものの、よりよい条件の業者が見つかった、あるいは売却自体を取りやめたいと考え直すこともあるでしょう。しかし、いざキャンセルを申し出ると「契約書に記載がある」として高額なキャンセル料や違約金を請求されるトラブルが発生しています。 契約上、一度結んだ契約は双方の合意がなければ解除できません。そのため業者側の主張が正しいケースもありますが、契約の内容ですべてが決まるわけではありません。たとえば、違約金が高額な場合には違法の可能性があります。 違約金のような契約に関わるトラブルは自分だけで判断するのは危険なため、しかるべき機関へ相談しましょう。 契約後に「解除できない」と言われる 契約内容に納得がいかず解除を求めても、「一度結んだ契約は解除できない」と一方的に主張されるトラブルも報告されています。特に、契約書に署名・捺印してしまった後では、業者側も強気な態度に出やすい傾向があります。 契約書に契約後の解除は認めない旨の条項が盛り込まれていると、解除は非常に困難です。また、解除不可の条項がない場合であっても、売主に専門知識がない場合は業者に言いくるめられることも少なくありません。クルマの売却契約を結ぶ際は、安易にサインせずに契約解除の条項もしっかり確認しましょう。 売却したのに代金が支払われない クルマを引き渡したにもかかわらず、約束の期日になっても売却代金が振り込まれない悪質なトラブルも存在します。特に、経営状況が不安定な業者や、計画的に詐欺を行おうとする業者との取引で発生しやすい問題です。 代金の未払いは、売主にとって非常に深刻な損害となります。売却先に信頼できる業者を選ぶのはもちろん、契約後も入金を確認するまでは車輌の引き渡しや書類の発送を控えるといった対策も必要です。 契約後に「修復歴があった」と減額を要求される 契約が成立し、クルマを引き渡した後になってから「査定時には見つからなかった修復歴や不具合が見つかった」として、契約金額からの減額を要求される場合があります。こうした要求は、契約不適合責任を理由にした正当なものであるケースもありますが、悪質業者からの不当な減額要求であることも少なくありません。 契約時に車輌の状態について正確に申告することはもちろん重要ですが、後から一方的な理由で減額を迫られた場合は、その場での判断は避け、関係各所への相談を検討しましょう。 ▼関連記事契約後に減額される中古車売買トラブル「二重査定」とは?定義や対策について解説 クルマ売却のトラブルの相談先 クルマの売却に関してトラブルに巻き込まれてしまったら、1人で悩まずに関係各所へ相談することが大切です。ここでは、主な相談先とその特徴について紹介します。 JPUC(一般社団法人日本自動車購入協会) クルマの買取に関するトラブルの相談窓口の1つが、一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)です。JPUCは、自動車買取業界の健全な発展を目指して設立された団体であり、消費者からの相談に対応しています。業界団体ならではの知見に基づいたトラブル解決に向けた具体的な助言やアドバイスが期待できます。 Webサイトから相談窓口である「JPUC車売却消費者相談室」の情報提供フォームや電話番号を確認できます。困った際にはまず相談してみることをおすすめします。 弁護士(個人・法人) 契約の解除や損害賠償請求など、法的な解決が必要な場合は、弁護士に相談しましょう。弁護士は個別の状況に応じた解決策を提案できるうえに、代理人として業者との交渉や法的手続きを行ってくれます。 弁護士への相談や依頼には費用がかかります。経済的な理由で弁護士への依頼が難しい場合は「法テラス(日本司法支援センター)」の利用を検討しましょう。法テラスでは、収入や資産が一定基準以下であれば、無料の法律相談や弁護士費用の立替え制度を利用できます。 国民生活センター 独立行政法人国民生活センターは、さまざまな消費者トラブルの解決を図る組織です。相談窓口となる各地域の消費者生活センターをサポートするほか、消費者の相談窓口である消費者ホットライン「188」のバックアップ相談に対応しています。「188」は全国どこからでも利用できます。 クルマ売却のトラブルを防ぐ方法 クルマ売却のトラブルは、未然に防ぐことが大切です。安心してクルマを売却するためにも、以下の点を心がけましょう。 買取業者の評判を事前にリサーチする 査定を依頼する前に、買取業者の評判をインターネットの口コミサイトや比較サイトなどで確認しましょう。実際にその業者を利用した人の体験談は、信頼性や対応の質を知る上で貴重な情報源となります。悪い評判が多い業者や、トラブルに関する書き込みが目立つ業者は避けるのが賢明です。 ただし、口コミは個人の主観も含まれるため、複数の情報源を確認し、総合的に判断しましょう。 落ち着いて判断する 査定額を提示された際に「今だけ」「ここだけ」といった言葉で契約を急かされても、その場で即決するのは避けましょう。クルマの売却は高額な取引であるため、冷静に考える時間を持つことが非常に重要です。他の業者との比較や家族への相談を踏まえて売却を決めるためにも、一度持ち帰って検討しましょう。 契約内容を細かく確認する 契約書にサインする前には、すみずみまで読み、理解できない点や疑問点は必ず質問しましょう。特に売却金額、支払い条件、支払い時期、キャンセル料の有無や金額、契約不適合責任の範囲などは重要な項目です。 口頭での説明だけでなく、必ず書面に記載されている内容を確認することが大切です。少しでも不安な点があれば、納得できるまで説明を求め、安易なサインは避けましょう。 必ず書面で契約する 口約束だけでなく、必ず書面で契約を交わすことが重要です。契約内容を明確に記録として残すことで、後々のトラブルを防ぐことができます。 なお、業者が自宅などを訪れて契約を結ぶ訪問買取であっても、クルマの売却契約は特定商取引法のクーリング・オフ制度の対象外です。一度契約を結ぶと、無条件で解除することはできないため、契約前のより慎重な確認が必要です。 相場を調べておく ご自身の愛車が、現在の中古車市場でどのくらいの価格で取引されているのか、事前に相場を調べておくことも対策の1つです。複数の買取専門サイトや中古車情報サイトなどで、おおよその買取相場を確認できます。 相場を把握しておけば、業者から提示された査定額の妥当性を判断しやすくなります。 JPUC加盟店から探す 買取業者を選ぶ際の1つの目安として、JPUCに加盟しているかどうかを確認する方法があります。JPUC加盟店は、協会が定める「適正買取店認定制度」の基準を満たしているため、安心感があります。 ただし、JPUCに加盟していない業者が必ずしも悪質とは限りません。あくまで業者選びの判断材料の1つとして捉え、他の情報と合わせて総合的に判断することが大切です。 ▼関連記事JPUCって何?適正買取店への依頼が安心な理由を解説! まとめ クルマの売却では、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。強引な契約、不当なキャンセル料請求、代金未払い、契約後の減額要求といったトラブルは、決して他人事ではありません。 事前にトラブル事例を知り、対策を講じることで、そのリスクを大幅に軽減できます。万が一、トラブルに巻き込まれてしまった場合は、1人で抱え込まずにJPUCや法テラス、国民生活センターなどに相談するとよいでしょう。
事故車はクルマの重要な部分が損傷しているため、「買い取ってもらえないのでは?」「処分にお金がかかるだろうか?」と不安に感じる方が多いでしょう。しかし、事故車だからといって売却を諦める必要はありません。適切な知識と方法を知れば、想像以上の価格で売却できる可能性もあります。 この記事では、事故車の定義から売却の手順、高額で売却するためのポイントや注意点について解説します。 事故車とは 事故車と聞くと、多くの方は事故にあったクルマ全般を指すと考える方は多いのではないでしょうか。事故車は「修復歴あり」のクルマのことです。 中古車業界における事故車の定義は、クルマの骨格にあたるパーツに修復歴がある車輌です。下記のパーツが損傷し、修復した場合に事故車となります。 ・フレーム ・ダッシュパネル ・ラジエーターコアサポート ・フロントクロスメンバー ・フロントインサイドパネル ・ルーフパネル ・ルームフロアパネル ・ピラー ・トランクフロアパネル これらの骨格部分は、クルマの安全性や走行性能に大きく関わるため、修復歴が中古車としての評価に影響します。一方、ドアやボンネットのへこみ、バンパーの擦り傷程度の修理であれば、「修復歴あり」とはみなされません。 ▼関連記事事故車とは?事故車の定義や購入時の見抜き方についても解説 事故車における売却の特徴 事故車の売却は、そうではないクルマの売却と異なる点がいくつかあります。一般的な中古車売却と異なる点について詳しくみていきましょう。 査定額が下がることが一般的 事故車の条件に該当する修復歴は、一般的に査定額に対してマイナスの影響を与えます。クルマの骨格部分の損傷は、修復をしても完全に元の状態に戻すことは難しく、安全性や走行安定性に対する懸念が残る可能性があるためです。 修復の程度や箇所によって減額幅は異なりますが、通常の相場よりも低い査定額になることは覚悟しておく必要があるでしょう。ただし、どの程度下がるかは、損傷の度合いや車種、査定する業者によって異なります。 事故車でも需要がある 事故車はある程度査定額が下がることはあっても、買取を拒否されるケースはそれほど多くありません。 運転に支障がなければ、再販売や海外への輸出が可能です。また、エンジンやトランスミッションなどの主要部品をリサイクルパーツとして販売するために、事故車でも買い取っているケースがあります。 車両保険の活用も検討する 事故車は、売却するほかにも、保険を使ってクルマを修理し乗り続けるという選択肢もあります。修理費用の見積もりや保険を使った場合の等級ダウン、事故車の売却査定額などを総合的に比較して判断することが重要です。 今後、新たな不具合が生じ、修理費用がかさむ可能性もあります。 損傷が軽微であることに加え、オーナーが強い愛着を持っているような場合には、安全に配慮することを前提として乗り続けてもよいでしょう。 ▼関連記事事故車における修理代の相場とは?修理代が決まる要因も解説 事故車の売却の流れ 事故車を売却する流れは、一般的な中古車売却と大きく変わりません。スムーズに進めるために、手順を確認しておきましょう。 1.査定を受ける まずは、買取業者への査定依頼から始めます。複数の業者に査定を依頼することで、より適正な価格を知ることができるでしょう。事故車を売却する際には、事故車である事実と、修理状況を正確に伝えることが重要です。 2.査定額に納得できたら売却する 提示された査定額に納得できれば、売買契約を結びます。金額や引き渡し条件といった契約内容を確認し、不明な点や疑問点があれば契約前に解消しておくことが大切です。事故車の場合、修復歴に関する告知義務など、通常とは異なる特約事項が含まれる場合もあるため、契約内容を入念に確認しましょう。 3.引き渡す 契約が完了したら、指定された日時に車輌と必要書類を引き渡します。必要書類は事前に業者に確認し、漏れなく準備しておきましょう。車輌の引き渡しが完了し、代金の入金が確認できれば、事故車の売却手続きは完了です。買取代金はおよそ1~2週間程度で指定の銀行口座へ振り込まれます。 ▼関連記事クルマ売却の流れ7ステップ!注意点や必要書類も丁寧に解説します事故車の買い替え方法は?修理の判断ポイントや注意点についても解説事故車は下取りに出せるの?事故車の下取りの条件やそれ以外の処分方法についても解説 事故車を所有し続けるリスク 事故車を修理して乗り続ける、あるいは修理せずに保管し続けることには、いくつかのリスクがともないます。売却を検討する際には、事故車ならではのリスクも考慮しましょう。 大きな故障がいつ起きるかわからない 一度大きな事故を起こしたクルマは、目に見えない部分にダメージを負っている可能性があります。修理で完全に元通りになったように見えても、フレームの歪みや内部部品の損傷が原因で、後々予期せぬ大きな故障が発生する危険性は否定できません。走行中に突然トラブルが発生すれば、さらなる事故につながるおそれがある点は意識すべきでしょう。 維持費が高額になりやすい 事故によるダメージは、たとえ修理済みであっても、目に見えない部分に影響を残している可能性があります。そのため、無事故車と比較すると、予期せぬ不具合が発生するリスクが高まり、結果としてメンテナンス費用や修理費用が通常よりもかさむ傾向にあります。 特に、クルマの心臓部ともいえるエンジンや、走行性能に直結する駆動系の部品に修理や交換が必要となった場合、その費用は数十万円におよぶことも珍しくありません。 査定額がさらに下がる 事故車の査定額は、一般的な中古車に比べて下落するスピードが速い傾向にある点に注意が必要です。クルマは通常、経年劣化やモデルチェンジによって徐々に市場価値が下がっていきます。事故車は一般的な市場価値の低下に加えて、修復歴に対する懸念などから中古車市場での需要が限られがちです。 そのため、一般的な価値の下落と需要の低さが影響し、売却のタイミングが遅れるほど買取価格が大きく下落する可能性が高いでしょう。 事故車をなるべく高く売るためのポイント 少しでも有利な条件で事故車を売却するためには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。 そのクルマの買取が得意な業者に依頼する 特定の車種やジャンルに強みを持つ専門業者に相談することで、高価買取につながる可能性があります。一般的な買取業者は幅広い車種を取り扱うため、特定のモデルや車種が持つ独自の価値や希少性が査定額に反映されにくい傾向があります。 その点、特定の車種やジャンルに特化した専門業者であれば、クルマが持つ価値を豊富な知識と経験から正しく評価できるでしょう。たとえ事故による修復歴があったとしても、一般的な相場よりも高く買い取ってもらうことが期待できます。 旧車王は、長年の経験と豊富な知識により旧車の価値を見出し、適正価格での買取を目指しています。事故車に該当する旧車の売却を検討中のオーナー様は、ぜひ一度ご相談ください。 相見積もりを取る 少しでも高額買取を目指すなら、複数の買取業者から見積もりを取り、提示された金額を比較検討しましょう。1社のみ査定を受けても、提示された金額が適正であるかどうかを判断できません。 複数の業者から査定を受ければ、事故車であっても高く評価してくれる業者を選ぶことができます。 事故車の買取が得意な業者も検討する 一般的な中古車買取店だけでなく、事故車や故障車を専門に買い取る業者も検討することをおすすめします。これらの業者は、事故車の修理や部品取り、海外輸出など独自の販路を持っていることが多く、一般的な買取店では値段がつかないような状態のクルマでも、価値を見出して買い取ってくれる可能性があります。 まとめ クルマの骨格部分に修理歴がある車輌は、中古車市場において「事故車」と定義されます。事故車は修理しても重要なパーツに問題が残る可能性があることから、中古車市場においては人気が低く、高額買取は難しいのが現状です。 少しでも高額での売却を考えるなら、車種やメーカーに特化した専門業者や事故車専門の買取業者へ相談しましょう。また、複数の業者から相見積もりを取るのがおすすめです。 そのクルマの価値をきちんと評価してくれる業者を見つけることができれば、納得のいく価格で売却できる可能性が高まるでしょう。
リサイクル券とは、クルマのリサイクル処理費用がすでに支払われていることを証明する領収書のような書類です。クルマを売買する際に必要な書類のため、取り扱い方について理解しておかなければなりません。そこで今回は、リサイクル券の購入タイミングや種類、料金などについて詳しく解説します。 クルマのリサイクル券とは リサイクル券は、クルマを廃車にする際のリサイクル処理費用がすでに支払い済みであることを証明する書類です。リサイクル処理費用とは、廃車処理で発生するシュレッダーダスト、エアバッグ類と、カーエアコンのフロン類をリサイクルするための費用であり、クルマの所有者が負担しなければなりません。 クルマのリサイクル券の購入のタイミング リサイクル券を購入するタイミングは、クルマを買うときです。リサイクル処理にかかる費用をあらかじめ支払う必要があり、リサイクル券の購入代金を「預託金」と言います。つまり、クルマの所有者がリサイクル費用を前払いする仕組みになっています。そのため、リサイクル券は廃車処理まで保管しておかなければならず、クルマを売るときにも必要です。 クルマのリサイクル券の種類 リサイクル券には4つの種類があります。それぞれの違いについて確認しておきましょう。 A券:預託証明書 A券は、クルマのリサイクル料金が、支払い済みであることを示す券です。A券にはリサイクルする際にかかる費用の金額も記載されています。 B券:使用済自動車引取証明書 B券は、クルマを手放す際に中古車販売店などが最終的なクルマの購入者に交付する券です。B券を陸運支局へ持っていくことで廃車手続きが可能になります。廃車の際に必要なリサイクル券とは、このB券を指します。 C券:資金管理料金受領証 クルマのリサイクルを管理する「自動車リサイクルセンター」に資金管理料金が支払い済みであることを示す券です。資金管理料金は、リサイクル料金の収納や管理のために使われます。新車として購入する場合は290円、中古車として購入する場合は410円です。 D券:料金通知書券発行者控 自動車販売業店などが、クルマの購入者に対してリサイクル料金を通知した際の控えとして保管します。 クルマのリサイクル券の料金 リサイクル券の料金は前述のとおり、シュレッダーダスト、エアバッグ、フロン類のリサイクル費用であり、車種によって異なります。具体的な金額は自動車メーカー・輸入業者各社が公表しています。気になる方は各社のホームページなどで確認してみてください。一般的な車輌のリサイクル料は、6,000円~1万8,000円程度です。 クルマのリサイクル券の料金が返金されるケース クルマを廃車処理ではなく下取りなどで売却した際には、A券に記載された料金が自動車を下取りしてもらった業者から返金されます。業者によっては車の買取価格とまとめて支払われる場合があります。車輌の査定額とは別に、リサイクル料金が含まれていることを確認しましょう。 クルマのリサイクル券の料金が返金されないケース クルマを廃車にする場合、あなたがそのクルマの最後の所有者ということになります。クルマの最後の所有者は廃車処理のためにリサイクル処理のサービスを受けます。そのため、リサイクル券の代金は返金されません。 クルマのリサイクル券の返金手続きの方法 所有している車を中古車として自動車買取業者に売却すると、リサイクル券のA券に記載されている金額が買取業者から返金されます。所有者はクルマの下取り金額と一緒にリサイクル料金相当額を受け取り、買取事業者にリサイクル券を渡します。 クルマのリサイクル券を紛失したときの対処法 万が一リサイクル券を紛失してしまっても、「自動車リサイクル料金の預託状況」を代わりに使用できます。自動車リサイクルシステムのWebサイトから、「自動車リサイクル料金の預託状況」を確認して印刷してください。印刷したその書類がリサイクル券の代わりになります。なお預託状況の確認には、車検証に記載された情報が必要です。 クルマのリサイクル券に関するQ&A リサイクル券に関してよくある4つの質問をQ&A形式で解説します。 Q.リサイクル券は車検時に必要ですか? 車検の際、リサイクル券を準備する必要はありません。 リサイクル券が必要なのは、クルマの売却と廃車の手続きのときです。 Q.リサイクル券がないとクルマの売却や廃車はできませんか? 基本的に、リサイクル券がないと売却や廃車の手続きは進められません。どちらであっても書面としてのリサイクル券の提出が求められます。 原則、再発行はできません。手続きのスケジュールが見えた段階で保管場所を確認し、探しても見つからない場合は、自動車リサイクルシステムのWebサイトから、預託状況を印刷しておきましょう。 Q.クルマのリサイクル券の有効期限はありますか? 有効期限はありません。 リサイクル券は廃車になるまで、新車のときから引き継がれていくものです。つまり、リサイクル券は「クルマの一生を通じて有効な証明書」と考えるとよいでしょう。 Q.クルマのリサイクル料金の支払い履歴はどこで確認できますか? 自動車リサイクルシステムのWebサイトで、車台番号や車検証の情報を入力することで、預託(よたく)状況やリサイクル料金の支払履歴を照会できます。 なお、システムの利用時間は毎日7:00~24:00です。手続きに支障が出ないよう、事前に余裕をもって確認しておきましょう。
リサイクル券は、クルマのエアバッグやカーエアコンの冷媒などを処分するための費用に充てられるリサイクル料金が支払われていることを証明する書類です。 軽自動車を売却するときや廃車にする際は、原則としてリサイクル券が必要です。 この記事では、リサイクル券が発行される理由やリサイクル料金の目安、紛失時の対応方法などについて詳しく解説します。 軽自動車のリサイクル券とは リサイクル券とは、自動車リサイクル法にもとづくリサイクル料金を支払った証明としてディーラーや販売店などが発行する書類のことです。 リサイクル料金は、クルマを解体・破砕した後のゴミ(シュレッダーダスト)とエアバッグ類のリサイクル、エアコンのフロン類を破壊する費用に充てられる金銭です。原則として、新車を購入する際に支払います。 クルマの約80〜90%の部品はリサイクル可能ですが、シュレッダーダストやエアコンのフロン類など残りの部分は適切な処理が必要な有害廃棄物です。 環境や安全に配慮しながらクルマが適切に処分されるようにするために、自動車リサイクル法により所有者にはリサイクル料金の負担が義務付けられています。 リサイクル券の種類 リサイクル券には以下の4種類があります。 詳細 A券(預託証明書) リサイクル料金が預託されていることを証明する書類 B券(使用済自動車引取証明書) 廃車にする際に引取業者からクルマの最終所有者に渡される書面 C券(資金管理料金受領書) 公益財団法人自動車リサイクル促進センターが資金管理料金を受け取ったことを証明する受領書 D券(料金通知書券発行者控) リサイクル料金を発行した事業者が控えとして保管する書類 リサイクル券は、中古車として売却するときや廃車にするときに必要となるため、発行後は車検証とあわせて大切に保管しておきましょう。 軽自動車のリサイクル券の金額 リサイクル券の金額(リサイクル料金)は、シュレッダーダスト、エアバッグ類、フロン類のリサイクルに必要な費用に応じて決められます。 金額は車種や装備によって異なりますが、エアバッグ4個、エアコンありの軽自動車の場合、目安は7,000~1万6,000円です。 他の車種の金額は以下のとおりです。 金額の目安 軽自動車・コンパクトカー (エアバッグ類4個、エアコン有り) 7,000~1万6,000円 普通乗用車 (エアバッグ類4個、エアコン有り) 1万~1万8,000円 中・大型トラック (エアバッグ類2個、エアコン有り) 1万~1万6,000円 大型バス (エアバッグ類2個、エアコン有り) 4万~6万5,000円 参照:経済産業省「自動車リサイクル法とは」 新車の購入時に支払われたリサイクル料金は、クルマが廃車になるまで国が管轄する財団法人自動車リサイクル促進センターで管理されます。 また、自動車リサイクル促進センターがリサイクル料金の情報を管理するための費用として情報管理料金130円がかかります。 さらに、新車の購入時と使用済自動車として引き取ってもらう際は、資金管理料金の支払いが必要です。金額は、新車購入時が290円、使用済自動車の引取り時は410円です。 リサイクル料金の金額は、各自動車メーカーのホームページや自動車リサイクルシステムのWebサイトで確認できます。 軽自動車のリサイクル料金が返金されるケース 乗っている軽自動車を売却する際、リサイクル料金は返還されます。新しい所有者は、クルマを購入する際にリサイクル券を受け取る代わりに、車輌価格にリサイクル料金を上乗せした金額を売り手に支払うのが一般的です。 一方、軽自動車を廃車にする場合、引取業者にリサイクル券を渡しますが、リサイクル料金は戻ってきません。 リサイクル券を紛失した場合の対応方法 リサイクル券は再発行できません。しかし、パソコンやスマートフォンなどで自動車リサイクルシステムのWebサイトから預託状況を印刷することで、リサイクル券の代わりとして使用できます。 なお、売却や廃車手続きにおいてリサイクル券は必須ではありません。 預託状況の印刷方法は、以下のとおりです。 1.自動車リサイクルシステムのトップページの「自動車ユーザーの方」から「あなたの車のリサイクル料金は?」をクリックする2.「リサイクル料金検索」をクリックする3.車両区分(登録自動車/軽自動車)、車台番号、登録番号/車両番号などを入力4.「リサイクル料金の預託状況」にチェックを入れ検索ボタンを押す5.出力された自動車リサイクル料金の預託状況のPDFファイルを印刷 自動車リサイクル料金の預託状況を印刷する際は、車検証またはリサイクル券を手元に準備しましょう。 軽自動車を廃車にするときのリサイクル券の扱い 自動車販売店や解体業者などに軽自動車を引き渡すときは、リサイクル券も渡します。リサイクル券を紛失した場合は、自動車リサイクル料金の預託状況を印刷して渡しましょう。 業者にクルマとリサイクル券を渡すと「使用済自動車引取証明書」が発行されます。 使用済自動車引取証明書は、軽自動車を廃車にしたあと軽自動車検査協会で解体返納をする際に必要なため、大切に保管しましょう。 その後、引取業者から解体報告記録日の連絡を受けると軽自動車検査協会で解体返納の手続きができるようになります。使用済自動車引取証明書や車検証、ナンバープレートなどを準備し、解体届出書に必要事項を記入して軽自動車検査協会の窓口で手続きをしましょう。 自動車リサイクル法とは 自動車リサイクル法は、クルマのリサイクルについて所有者、自動車メーカー・輸入業者、関連事業者それぞれの役割を定めた法律です。使用済自動車の適切な処理と積極的なリサイクルの推進を目的に2005年1月に施行されました。 以下では、自動車リサイクル法の対象となるクルマと、所有者がリサイクル料金を負担する理由を詳しく解説します。 対象 自動車リサイクル法は、以下を除くほぼすべての自動車を対象としています。 対象外となる自動車 被牽引車 二輪車(原動機付自転車、側車付のものを含む) 大型特殊自動車、小型特殊自動車 その他の農業機械、林業機械、スノーモービル など 乗用車やトラック、バスなどは基本的に自動車リサイクル法の対象です。 所有者が料金を負担する理由 クルマのリサイクル費用を所有者が負担するのは、使用済自動車を出した人も責任を持って処理をすべきという「排出者責任」の考え方にもとづいています。 自動車リサイクル法が制定される前は、クルマの処理費用をすべて事業者が負担していました。しかし、最終処分場の容量不足による処理費用の高騰と鉄スクラップ価格の低下により、利益が圧迫された事業者の不法投棄や不適正な処理の増加が懸念されていました。 このような背景から、自動車リサイクル法では事業者の経済的な負担を軽減し、クルマが適切に処理されるように所有者も費用の一部を負担することが定められています。 まとめ リサイクル券は、リサイクル料金が適切に支払われていることを証明する書類です。リサイクル料金の目安は、軽自動車の場合7,000~1万6,000円です。 軽自動車を売却する際は、リサイクル券を買い手に渡すとリサイクル料金を返還してもらえます。一方、廃車にする場合は、リサイクル券を提出すると解体返納の手続きで必要となる使用済自動車引取証明書が交付されます。リサイクル料金は戻ってきません。 リサイクル券を紛失した場合、再発行はできませんが自動車リサイクル料金の預託状況を印刷して使用できます。軽自動車の売却や廃車を検討している方は、手元にリサイクル券があるか確認しましょう。
「クルマやバイクを買うとなぜ自賠責保険に加入しなければならないのか」と疑問に感じたことがある人は多いのではないでしょうか。 自賠責保険は、事故の被害者を救済するためにクルマを運転するすべての人に加入が義務づけられている保険です。未加入でクルマを運転すると法律で罰せられる他、事故発生時に自身の資産では賄えないほどの賠償責任を負う恐れがあります。 この記事では、自賠責保険が必要な理由や加入しない場合の影響、契約の仕組みや任意保険との違いなどについて詳しく解説します。 自賠責保険はなぜ必要? 自賠責保険は「自動車損害賠償保障法(以下、自賠法)」により、事故による被害者の救済を目的としてすべての自動車やバイクに加入が義務づけられる保険です。根拠となる条文は以下のとおりです。 第1条:この法律は、自動車の運行によって人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立することにより、被害者の保護を図り、あわせて自動車運送の健全な発達に資することを目的とする 第5条:自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険又は自動車損害賠償責任共済の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない また、自賠法の第3条ではクルマの人身事故で相手にケガを負わせたときや死亡させたときは、そのクルマを運転していた人に損害を賠償する責任があると定められています。 第3条:自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって損害を賠償する責めに任ずる 自賠責保険に加入していると、被害者がケガをしたときや後遺障害を負ったとき、亡くなったときに一定金額を上限に保険金が支払われます。 事故の加害者は受け取った保険金をもとに損害を賠償することが可能です。もし自賠責保険がないと加害者が十分な賠償資力を持たない場合、被害者は必要な補償を受けられない恐れがあるため、すべての車輌に加入が義務づけられています。 引用:e-gov 法令検索「自動車損害賠償保障法」 自賠責保険が誕生した背景 戦後の日本ではクルマを持つ人が急激に増え、それにともない交通事故も増加しました。 しかし、加害者の多くは被害者に十分な賠償金を支払えるだけの経済力がなく、交通事故でケガをしたり亡くなったりしても泣き寝入りせざるを得ないことも多くありました。 また、当時の民法では「事故が加害者の故意(わざと)または過失(不注意)によって発生した」ことを被害者側が証明する必要がありました。法律の専門知識がないために、損害賠償の請求を諦めた人も少なくなかったようです。 こうした問題を解決するためには、主に以下の2点が必要でした。 ・事故の立証責任を加害者に転換させる法的な整備 ・加害者に十分な賠償能力がなくても被害者が最低限の補償を受けられる仕組み そこで、1955年に自賠法が制定され自賠責保険に加入していない車輌の運行は禁止されることになりました。 自賠責保険がないとどうなる? 自賠責保険に加入しないままでは車検を受けられないため、公道を走行できません。また、未加入の状態でクルマを運転すると、以下の刑事罰と行政処分が科せられます。 ・1年以下の懲役または50万円以下の罰金 ・違反点数6点・免許停止処分 クルマの運転中に人身事故を起こしても保険金が支払われないため、加害者と被害者に以下のような影響が生じる可能性があります。 加害者は多額の損害賠償請求を受ける 事故の加害者が自賠責保険に加入していないと、高額な損害金をすべて自己負担することになる可能性があります。 たとえば、交通事故の被害者が亡くなり、2,000万円の損害賠償を請求されたとしましょう。自賠責保険に加入していれば、人身事故の被害者が死亡したとき最高3,000万円の保険金が支払われるため、賠償金の全額をカバーできます。 一方、自賠責保険に未加入の場合は保険金は支払われないため、2,000万円の賠償金を加害者が全額負担しなければなりません。 加害者が自賠責保険に加入していなかった場合、被害者が政府保障事業を請求すると、国土交通省が代わりに被害者の損害をてん補することがあります。しかし、加害者の賠償責任が免除されるわけではなく、国から損害賠償を請求されます。 加害者が弁済しない場合は訴訟を起こされ、最終的には自動車や不動産、給与などが差し押さえられてしまうでしょう。 被害者は生活や仕事に大きな影響を受ける 自賠責保険に加入していない場合、原則として被害者は治療費や通院の交通費などを一時的に自己負担することになります。 事故の被害者は、加害者に対して損害賠償を直接請求することも可能です。しかし、加害者側に十分な支払い能力がないと、被害者は十分な賠償金を得られず、治療費や生活費を支払うために多額の貯蓄を切り崩さざるを得なくなる可能性があります。 大ケガを負ったことで仕事ができなくなり、収入の減少が続いて被害者とその家族の生活が苦しくなる場合もあります。 また、加害者との示談交渉や示談手続きを弁護士に依頼したり訴訟を提訴したりすると被害者側の手間や金銭的な負担はさらに増えてしまうでしょう。 被害者に多大な迷惑をかけないようにするためにも、自賠責保険には必ず加入することが大切です。 自賠責保険の契約内容 続いて、自賠責保険の補償対象や保険金額、保険料などについて詳しく解説します。 対象 自賠責保険の補償対象となるのは人身事故による損害賠償に限られます。 自賠責保険に加入するクルマが事故を起こし、相手がケガや後遺障害を負ったとき、または死亡したときに保険金が支払われます。 事故相手のモノを壊したことによる損害や運転者自身と同乗者のケガ、事故車輌の修理代などは補償されません。 保険金額 自賠責保険の保険金額(支払限度額)は、被害者1名につき以下のとおりです。 ・死亡による損害:3,000万円 ・後遺障害による損害:障害の程度に応じて75万〜4,000万円 ・傷害による損害:120万円 上記金額を上限として、実際の損害額が支払われます。 後遺障害による損害の場合、障害の程度に応じた第1〜第14級の等級に応じて保険金額が決まります。 自賠責保険の保険金は、原則として加害者がまず損害賠償金を支払った後で損害保険会社に請求をします。加害者が不誠実な場合や示談交渉が難航するときは、被害者が保険会社に損害賠償額を直接請求することも可能です。 保険料 自賠責保険は事故の被害者を救済することを目的とした社会的保障の性格がある保険であるため、保険料には保険会社の利益が含まれません。これを「ノーロス・ノープロフィットの原則」といいます。 また、自賠責保険の保険料は、車種や契約期間などで異なります。2023年4月1日以降に補償が始まる契約の場合、自家用乗用車普通自動車と軽自動車の保険料は以下のとおりです。 (単位:円) 契約期間 普通自家用自動車 軽自動車 12ヶ月 11,500 11,440 13ヶ月 12,010 11,950 24ヶ月 17,650 17,540 25ヶ月 18,160 18,040 36ヶ月 23,690 23,520 37ヶ月 24,190 24,010 ※沖縄県、離島など一部地域については上記と異なります。 契約期間 自賠責保険の契約期間は、1〜37ヶ月のあいだで車検の有効期間をカバーする範囲内で設定します。 自家用乗用車の場合、車検の有効期間は新車登録から3年間で以後2年ごとです。自賠責保険の契約期間は、一般的に車検の有効期間+1ヶ月に設定します。 これは、車検の有効期間が満了日の24時で切れるのに対し、自賠責保険は満了日の12時までが期限であり、12時間の無保険期間が生じないようにするためです。 たとえば、車検の有効期間が2年の場合は自賠責保険の契約期間は25ヶ月、3年の場合は37ヶ月に設定します。 自賠責保険の保険金が支払われないケース 自賠責保険に加入しても以下の場合では保険金が支払われません。 ・契約者または被保険者の悪意(故意が明白であること)による場合 ・重複契約の場合 ・加害者である運行供用者(※1)および運転者に責任がない場合 ・電柱に自ら衝突するようないわゆる自損事故で死傷した場合 ・自動車の運行(※2)による死傷ではない場合 ・被害者が他人(※3)ではない場合 参照:一般財団法人 日本損害保険協会「損害保険Q&A」 ※1.自賠法第3条の自己のために自動車を運行の用に供する者※2.人または物を運送するしないにかかわらず、自動車を当該装置の用い方に従い用いること。走行、駐停車だけでなく自動車に構造上設備されているすべての装置を本来の目的にしたがって使用する場合(例:クレーン車のクレーン操作)も含む※3.運行供用者および運転者以外の者 たとえば、被害車輌がセンターラインをオーバーしたことで発生した事故や被害車輌の信号無視による事故などは、自賠責保険の補償対象外です。 2つ以上の自賠責保険を重複契約している場合、契約日が最も早い契約から保険金が支払われます。その他の自賠責保険から保険金は支払われません。 自賠責保険の契約方法 自賠責保険の加入や更新、解約をする際の手続きは以下のとおりです。 加入方法 新車や車検が切れている中古車を購入する場合、ディーラーや中古車販売店などが自賠責保険の加入手続きを代行してくれるのが一般的です。車検が残っている中古車の場合、購入時に自賠責保険の加入手続きは必要ありません。 軽二輪(125cc超250cc以下のバイク)や原付など車検がない車輌についても、購入店が自賠責保険の加入手続きをしてくれるケースがほとんどです。 自身でも損害保険会社の支店やクルマ・バイクの販売店などで自賠責保険の加入手続きができます。車検のない車輌の場合は、コンビニや保険会社のWebサイトで手続きをすることも可能です。 しかし、費用が安くなるなどのメリットは特にないため、基本的には販売店に任せるのがよいでしょう。 更新方法 自賠責保険の更新は、車検の際に行われるのが一般的なため、所有者自身が別途手続きする必要はありません。 軽二輪や原付など車検のない車輌は、自身で更新の手続きが必要です。損害保険会社の支店やクルマ・バイクの販売店などで更新できる他、車検のない車輌はコンビニやインターネットでも手続きが可能です。 有効期限は、車輌本体に貼られている自賠責のステッカーまたは車検のステッカーに記載されています。 解約方法 クルマを廃車にするときや自賠責保険を重複契約したときなどは解約手続きが必要です。 廃車の場合、一般的には車輌を引き取る業者に自賠責保険の解約手続きを任せられます。 自身で解約する場合は、保険会社に連絡をして必要書類を郵送します。保険会社によっては、インターネットの「One-JIBAI」で情報を入力し、必要書類をアップロードして解約手続きをすることも可能です。 自賠責保険を解約すると、残りの保険期間に応じた解約返還金を受け取れることがあります。ただし、解約返還金は基本的に払い込んだ保険料の総額を下回ります。また、残りの保険期間が1ヶ月未満の場合、返還保険料はありません. 自賠責保険に加えて任意保険への加入も重要 自賠責保険の補償は、事故相手のケガや死亡、後遺障害による損害に限られており、保険金額にも上限があります。そのため、人身事故により億単位の損害賠償を負ったときや事故相手のモノを壊したときなどは、自賠責保険のみではカバーできません。 過去には、事故の被害者が亡くなった場合や介護を要する重度の後遺障害を負った場合に、以下のような高額な損害が認められたケースもあります。 認定損害額 性別・年齢 職業 損害 約5億2,800万円 男性・41歳 医師 死亡 約3億9,700万円 男性・21歳 大学生 後遺障害 約3億8,200万円 男性・29歳 会社員 後遺障害 約3億7,800万円 男性・23歳 会社員 後遺障害 約3億6,700万円 男性・38歳 医師 死亡 約3億6,500万円 男性・14歳 中学生 後遺障害 引用:損保ジャパン「ここが知りたい、事故サービス 高額賠償事案判例(人身事故)」 人身事故による高額な損害賠償や物損事故などに備えるためには、自賠責保険だけではなく「任意保険」に加入することも重要です。 任意保険では、対人賠償責任保険の保険金額を無制限にできます。また、自賠責保険ではカバーされない、事故相手のモノを壊したときに負った損害や自身や同乗者のケガ、運転していた車輌の損害などに備えることも可能です。 また、事故相手との示談交渉サービスや弁護士費用をカバーする特約、事故車輌を指定の場所まで運搬するロードサービスなどもあります。クルマやバイクを運転する場合は、万が一の事故に備えて自賠責保険だけでなく任意保険にも加入しておくことをおすすめします。 まとめ 自賠責保険は、交通事故の被害者が必要最低限の補償を受けられるようにするために加入が義務づけられている保険です。 未加入のまま運転すると、懲役刑または罰金、免許停止処分といった厳しい罰則が科されます。また、事故を起こした際の損害賠償をすべて自己負担することになります。 たとえ自賠責保険に加入したとしても、人身事故を起こして高額な賠償責任を負ったときや、運転者自身や同乗者がケガをしたときなどには対処できません。クルマを所有している方は、安全運転を心がけるだけでなく自賠責保険と任意保険にも必ず加入しましょう。
事故を起こしてしまったクルマは、買い替えか修理をするかで悩む人も多いでしょう。「事故車は修理せずに売却できるのか」「買い替えるにはどうしたらよいのか」を万一に備えて知っておくことが大切です。今回は、事故車の買い替えと修理の判断ポイント、事故車を買い替えずに乗り続けるメリットやデメリットについて解説します。事故車の買い替えや修理を検討中の方は参考にしてください。 事故車とは 事故車とは、一般的に事故を起こした車であると思う人が多いでしょう。しかし、事故車の定義は修復歴車であることです。修復歴車とは、事故などで自動車の骨格部分に損傷を受けたものや、その損傷部を修理や交換で修復したものを指します。 事故車(修復歴車)の定義は、自動車公正取引協議会や日本自動車査定協会、日本中古車販売協会連合会の規約で定められています。事故により擦過傷やへこみができて修理した車は、骨格に損傷がなければ事故車の扱いを受けません。ただし、客室を守る安全強化ボディ構造のクルマは、事故の衝撃が骨格に分散するため軽微な損傷でも修復歴がつくケースもあります。 事故車の買い替えと修理の判断ポイント 事故車の買い替えと修理の判断ポイントについて詳しく解説します。 修理費 修理費が100万円を超える場合は、買い替えを検討したほうがよいでしょう。なぜなら、中古車購入が検討できる価格帯といえるためです。 具体的には下記のような要素で修理費が変動します。 ・事故の規模:クルマのダメージが大きいほど高額になる・破損部位:フレームやエンジンなど基幹部位は高額になる・車種特性:ハイブッド車や高級車、外車は普通車より高額になる たとえば、フロントバンパーの修理であれば10万円未満で収まることが多いでしょう。一方、フレーム修理の場合は100万円を超えることも珍しくありません。 クルマへの愛着を優先し直して乗り続けるか、新しい転機として乗り換えるかを考えるうえで、修理費は判断材料の1つです。 保険の等級 加入している任意保険を使うと等級が下がり、次年度以降の保険料が上がります。ただし、保険等級が変わらないノーカウント事故もあります。 等級が下がる事故を起こしたものの修理費が少額な場合は、保険を使わないほうが長期的にみると経済的といえるかもしれません。なお、保険の等級は無事故なら毎年1つずつ上がります。 どの保険等級と保険料がどの程度変わるのか、10等級年間保険料2万7,750円を例に挙げて紹介します。 ・1等級ダウン事故:翌年度は9等級になり年間保険料は4万9,670円(約1.8倍)・3等級ダウン事故:翌年度は7F等級になり年間保険料は5万1,780円(約1.9倍) 参考:SBI損保「自動車保険の等級 下がるとどうなるの?下がる事故とは?」 仮に5万円程度の修理費用に保険を使って等級が下がると、次年度以降の保険料上昇額が修理費を上回る可能性があります。 判断に迷った際は、加入している保険会社に問い合わせ、等級ダウンの有無や年間保険料の変動について確認しましょう。 ▼なお、保険を使うべきかどうかの判断基準については、下記で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。クルマの修理に保険を使う判断基準は?保険を使えるケースや等級数も紹介 走行距離 走行距離が10万kmを超えるクルマは、修理よりも買い替えを検討したほうがよいでしょう。具体的には、下記のような問題が生じる可能性が高いためです。 ・査定額が大幅に下がる・経年劣化による故障リスクの高まり・主要部品の寿命が近い たとえば、走行距離12万kmのクルマに50万円の修理費をかけても、修理後の市場価値が50万円以上になる可能性は低いでしょう。また、修理箇所以外の部分から故障するリスクも考えられます。 走行距離が10万km未満の場合は、修理費を乗り換えの頭金にした場合と天秤にかけると比較しやすくなります。将来的な維持費も含めて検討しましょう。 年式 年式が10年を超えている場合、買い替えが第一候補になるでしょう。下記のような不利といえる点があるためです。 ・保険での評価額がほぼ0円・補償金額が心許ない・純正部品の入手が困難・最新の安全性能が備わっていない 修理費や維持費など将来的な負担を考えると、年式が10年以上か未満かを目安にするとよいでしょう。 事故車を買い替えずに乗り続けるメリット 事故車に乗り続けると、経済面や精神面でメリットがあります。具体的な内容を解説します。 修理費だけで済む 軽度から中程度の損傷であれば、修理費だけで済ませるほうが経済的です。具体的な修理費のイメージは下記のとおりです。 ・ミラーの破損:約2万〜5万円・バンパーの凹み:約2万〜3万円(交換が必要な場合、5万円以上)・ドアの擦り傷:約2万〜3万円(交換が必要な場合、10万円以上) 任意保険を使えば、自己負担分はさらに少なく済みます。短期的な出費をおさえたい場合、特に大きなメリットといえるでしょう。 愛着のあるクルマに乗り続けられる 大切に乗ってきた愛車を元の状態に戻せるのなら、できるだけ修理したいと考えるのが多くのオーナーの心情でしょう。 クルマは単なる乗り物ではなく、特別な価値を感じられる資産になり得ます。そのようなクルマに乗り続けることで、幸福感を得られる方は少なくありません。 手間がかからない クルマを買い替える際は、下記のような対応に手間がかかります。 ・乗り換えるクルマ選び・手続き書類の準備・廃車や売却の手続き 日頃忙しい方にとって、手間を減らせることは大きなメリットです。 修理して乗り続けたほうがお得な場合もある 条件が合えば、修理のほうがお得です。たとえば、新車で購入したばかりのクルマは、修理したほうが経済的な負担をおさえられます。 その理由は、メーカー保証で多くの部品交換をまかなえるためです。条件はメーカーによりますが、新車登録後3年以内、走行距離6万km以内が一例です。 事故車を買い替えずに乗り続けるデメリット 事故車を修理して乗り続けることには、デメリットもあります。安全面や将来的な価値の問題を踏まえて、総合的に判断しましょう。 安全性に不安が残る 事故車は、見た目は元通りになっていても、構造的なダメージが残っている可能性があります。 具体的には、下記のような懸念が挙げられます。 ・目に見えない金属疲労・フレームのわずかな歪み・衝撃吸収部品の強度低下 特に、フロント部分で大きな損傷を負ったクルマは、わずかな衝突で想定以上の損傷を被るリスクがあります。安全性の不安は、金銭面では補えないデメリットといえるでしょう。 売却額がさらに下がる 修復歴のあるクルマは、将来売却する際に大幅な減額査定を受けます。減額幅の目安は30万円程度です。状態が悪ければ、さらなる減額もあるでしょう。 クルマを資産として捉えるのであれば、見逃せないデメリットといえます。 次回の保険料が高くなることがある 事故により保険を使うと、保険料が上昇します。保険を使うかどうかは、下記の点を確認するとよいでしょう。 ・修理内容の詳細確認(部位、損傷の程度)・保険を使った場合のシミュレーション算出 保険等級が下がれば、年間保険料が約2倍になることもあります。短期的な負担と長期的な負担のどちらを優先するか、慎重に判断しましょう。 事故車を買い替えるメリット 事故車を修理しないメリットは複数あります。乗り続ける場合と何が違うのか、具体的にみていきましょう。 安全性の高い新しいクルマに乗れる ここ数年で、国内外問わず先進安全装備の充実や、堅牢なボディ構造のクルマが充実しています。事故に遭った不安な気持ちを和らげつつ、安心して運転できるでしょう。 事故車は、修理をしてもエンジンやフレームなど、運転に影響する部分の不安をゼロにはできません。心にもたらすメリットは大きいといえます。 トータルコストを抑えられる場合がある 全損や大規模修理が必要な事故車の場合、買い替えを選んだほうが経済的です。また、事故車専門の買取業者を利用すれば、想定よりも多く資金回収ができることもあります。次に乗るクルマの頭金にあてれば、車種の選択肢が広がり経済的負担も軽減できます。 保険適用によって買い替え費用の負担を軽減できる 車両保険は修理だけでなく、買い替えにも適用できます。自分が加害者か被害者かによって受け取れる保険金は異なりますが、どちらも資金面をサポートしてくれる存在です。 具体的に、加害者と被害者では下記の違いがあります。 ・加害者:自身が加入している対物損害賠償保険から支払い・被害者:相手が加入している対物損害賠償保険から受取り・相手方が無保険:自賠責保険でまかなえない金額は、損害賠償請求をしたうえで賠償請求額を受け取る 保険会社や保険代理店に相談したうえで対応方法を決めましょう。 事故車を買い替えるデメリット 事故車を買い替える場合のデメリットについて、詳しくみていきましょう。 買い替えに伴うコストがかかる 買い替えには、ある程度の資金が必要です。コストは下記のとおりです。 ・新車購入資金・事故車のローン残債 なお、クルマの所有権はローンを完済するまではローン会社やディーラーです。そのため、完済するまでは原則的に売却できません。 手続きや買い替えのための時間と手間がかかる 事故車の処分と乗り換え手続きには、ある程度の時間と手続きが必要です。ディーラーに一括で対応してもらえますが、代行費用が高めです。廃車専門業者は、自分で探す必要はありますが、ディーラーよりも費用をおさえられます。 (費用の違い)・ディーラー:1万〜8万円程度・廃車専門業者:0〜2万円程度 何を優先するかで、依頼先は変わります。費用だけではなく、手間や時間の価値も考慮して総合的に判断しましょう。 ▼手続きに関する時間は下記の記事でより詳しく解説しています。あわせてご覧くださいクルマの売却手続きにかかる時間はどのくらい?事前準備のポイントと必要書類も解説 事故車を買い替えるときの注意点 事故車を買い替えるときの注意点について解説します。 二重ローンを避ける 事故車のローンが返済中であると、自動車保険の保険金も一括返済のために充当するケースがほとんどです。ローンの残債を残したまま新たな車を購入すると、二重ローンとなり毎月の返済額も高額化するため注意しましょう。ローン残高を確認して返済計画を決めてから買い替えを検討する必要があります。 事故車であることを隠さない 事故車を買取や下取りに出す場合は、査定時に事故車であることを隠さないようにしましょう。後に発覚すると瑕疵担保責任を追及され、結果として多額の損害賠償を請求される可能性があります。瑕疵担保責任とは、売主が契約内容にそぐわない欠陥品を売却した場合に負う責任のことです。 事故車を買い替えるときの流れ 続いて、事故車を買い替えるときの流れについて詳しく解説します。 1.修理と事故車買取の見積もりを依頼 修理と事故車買取の見積りを並行して依頼しましょう。自動車保険を契約している修理業者の場合は、保険会社ともやり取りをしてくれるので負担が減ります。別の修理業者に依頼する場合は、保険会社に業者の情報を伝えることで見積りの正当性確認と補償額の算出をしてくれます。また、修理中の代車はレンタカーを自己負担で借りるケースが多いため、自動車保険に代車費用特約があるかも確認しましょう。 事故車専門の買取業者には入庫先の修理工場に出張査定に訪れてくれるところもあるため、査定を依頼する場合は修理工場に承諾を得る必要があります。また、カーナビゲーションやアルミホイールなどを買い替える車に使用する場合はその旨も伝えましょう。買い替えを検討している新車や中古車の見積りも依頼しておくと検討材料になります。 2.買い替えor修理を選択する 修理代や買取査定金額、保険金の見積りがすべてそろった時点で買い替えか修理を選択します。事故車がローン返済中の場合は、ローン残高や返済期間も考慮しましょう。また、修理にかかる期間や買い替え時の納車予定日も判断材料の1つになります。 3.保険を使用する場合は保険会社に連絡 車両保険を使用する場合は保険会社に連絡します。保険金は修理業者に直接入金される場合と、保険契約者口座に振り込みの場合があるため確認しましょう。次年度の自動車保険料について知りたい場合は、保険契約の窓口となっている保険代理店に見積りを依頼する必要があります。 4.修理または売却する 修理または売却をします。修復歴が出る損傷の場合は修理工場に車を預けているケースが多いため、業者に修理申し込みをするか買取業者が引取りに訪れる旨の連絡を入れましょう。自宅に車を保管している場合は、自分で業者に届けるか引取りを依頼する必要があります。 5.売却した場合は新しい車を購入する 事故車を売却した場合は新しい車を購入しましょう。納車までに一定期間が必要なため、事前に商談を進めておくと納車までスムーズです。事故車の売却金額や保険金を新しい車の購入費用に充当する場合は、それぞれの入金時期を確認しておく必要があります。