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日産・フェアレディZの系譜とその魅力【S30系・中級編】
ライフスタイル 2023.09.27

日産・フェアレディZの系譜とその魅力【S30系・中級編】

前回、旧車界のアイドル「S30型 フェアレディZ」の魅力をお伝えする「基本編」をお送りしました。 今回はその続きとなる「中級編」をお届けしようと思います。 みなさんは初代のフェアレディZというと、どんな姿を思い浮かべるでしょうか? 近年の旧車ブームから旧車に興味を持った人や、マンガの「悪魔のZ」が好きな人は、ショートノーズのスタイルを想像するでしょう。 その一方で、私のようにスーパーカーブームのころZに出会ったという人や、タミヤなどの模型で知ったという人などは、ノーズ先端が流線型に尖った「Gノーズ」を装着した「240Z」のスタイルを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。 この、どちらがS30型のフェアレディZっぽいのか?というイメージは前述のように人それぞれで、おそらくそのまま好きなZの姿と一致しているのではないかと思います。 ちなみに私は「どちらも好き」です(笑)。 初めて見て心を奪われたのは240Zの流麗な姿でした。 前回お伝えしましたが、スーパーカーブームの時に、大判のスーパーカーの写真集に堂々と載っていたのがマルーン(あずき色)の「240z」でした。 ランボルギーニやフェラーリ、マセラティなどのスーパーカーに魅了されていた同級生達と写真集を囲みながら「おれはカウンタック!」「じゃあボクは512BBもらう!」なんてワイワイいい合っていたなか、それらのイタリアン・スーパーカーに後ろ髪を引かれつつ、「日本のフェアレディZもかっこいいよ!」と言った私に対して、周囲の反応は真っ二つに分かれたのを覚えています。 赤や黄色など華やかなボディカラーをまとった、いかにもエキセントリックな形のスーパーカー達に比べると、わりと身近な感じがするZのデザインとマルーンの地味なカラーは、少年達の心を奪うにはいささか物足りなかったのかもしれません。 ただその当時、そんな友達といっしょに自転車で走っているときにZとすれ違えば、やっぱり他の乗用車とは異なる存在感と、走る姿のカッコ良さに、しばらくみんなで見とれていたシーンも忘れられません(淡い記憶では、白の240Zだったと思います)。 そして時が経ち、オトナになってから改めて出会ったZは、ショートノーズでした。 オトナになった私の、子供時代からのZに対する印象をガラッと塗り替えてしまった車輌は、ゼロヨンのコースで現行車に負けない迫力の走りを見せつけていました。 その迫力と共に、ノーズの短いスッキリとしたスタイルリングが、私の心にしっかりその存在感を刻みつけたのでした。 ■Gノーズ装着の「240Z」の誕生と根強い人気のワケ 「240Z」はS30系・フェアレディZの派生モデルの一つで、流線型のノーズカウルとリヤゲート後端のスポイラー、そしてリベット止めのオーバーフェンダーが装着された性能上位モデルとして、初期の発表から2年後にラインナップされました。 旧車ファンの間では「240(ニーヨンマル)」または「240Z」といえばGノーズ装着のモデルを指しますが、正式名は「フェアレディ240Z-G」となります。 さらにいうとこの「240Z」の元祖は、北米輸出仕様の「ダットサン240Z」です。 排気量が大きく広い土地を突っ走るアメリカ車の市場に食い込むため、1,998ccのL20型エンジンのボア&ストロークをアップして、2,393ccに拡大したL24型エンジンを搭載した左ハンドル仕様の車です。 意外と知らない人もいるかもしれませんが、「240Z-G」と同じ時期に、「ダットサン240Z」を逆輸入したようなショートノーズの「フェアレディ240Z」も併売されていました。 このGノーズは見掛けだけのものではなく、れっきとした空力パーツとして開発されたものです。 「240Z」同士でショートノーズの車両と最高速度(カタログ値)を比べると、ショートノーズ車の205km/hに対して、「240Z-G」は210km/hと5km/hアップしています。 参考までに、L20型搭載の初代フェアレディZの最高速は185km/hです。 当時は、カタログや雑誌で発表される最高速の数値を見てはスポーツカーのファン達が一喜一憂していた時代なので、この5km/hの差はけっこう大きいものでしたが、近年の300km/hオーバーが当たり前の時代では誤差のような数値でしかありません。 しかし、今の旧車ファンの心を捉えている要素はもはやそこではなく、やっぱりあの流麗なシルエットに惹かれて憧れたという人が多いのではないでしょうか。 ■もうひとつの派生モデル「Z432」がいかに特別だったのか 当時の日産が力を入れていたのがレースで勝利することでした。 日本でもツーリングカーレースの観覧席が毎回満席になるほどの盛り上がりを見せていた時代で、フェアレディZのイメージアップのためにレースで勝つという目的で高性能モデルの「Z432」を投入しました。 レースで勝つための最大のポイントとなるエンジンは、当時合併したばかりのプリンス自動車が開発した、レース用エンジンとほぼ同じ設計である「S20型」が搭載されました。 「432」の由来は4バルブ・3キャブレター・2カムシャフトという意味で、今風に言うとDOHCの高性能設計エンジンに、競技用のスポーツ・キャブレターを装着、という感じです。 当時の国産車で4バルブ機構を持つエンジンは他に無く、160馬力というパワーは2000ccクラスのエンジンとしてはぶっちぎりの性能でした。 そのため、市販車を改造した車輌にもかかわらず、ほぼレース専用設計の車輌(ポルシェ908やフォードGT40など)とレースで互角に渡り合い、狙った以上のイメージアップを達成しました。 実物の「Z432」を見掛ける機会が何度かありましたが、そんな素性にもかかわらず、低回転での排気音は意外なほど静かで、「さすがに市販車はいろいろ規制されているんだな」と思いました。 しかし、エンジンの回転を上げたときにその印象はガラッと変わり、精密な部品が高回転でキレイに作動したときに生まれるキレイな高音を響かせていたのが印象に残っています。 ■当時と今では人気の度合いがまるで逆!?4シーターの「2by2」 初代の発売から4年後に施行された「48年排出ガス規制」によって、高出力なモデルが直撃を受け、「240z」や「Z432」がカタログから姿を消していきました。 そんななかで追加されたのが、ボディ中程を延長して4シーターにした「2by2」です。 イメージリーダーだった高性能モデルが無くなり、活気が削がれた感のある販売状況でしたが、この「2by2」がカンフル剤として効き、フェアレディZの売り上げをV字回復させました。 当時のフェアレディZは2シーターだたっため、一部の限られた層にしか需要がありませんでしたが、この4シーター化によってファミリー層にも需要が広がったのです。 その結果、S30系全体で最も多くの販売台数を記録したモデルとなったそうです。 しかしこの人気は近年の旧車ブームになると真逆といって良い状況になってしまいます。 美しいフォルムを持つ昔のスポーツカーというイメージで見たときに、「2by2」の長いフォルムが野暮ったく受け取られ、一転して不人気車扱いになってしまったのです。 昨今に目を向けると、フェラーリやポルシェの4シーターモデルがひとつのジャンルを確立している状況もありますが、趣味のクルマとしてのS30系・フェアレディZはやっぱりカッコ良さが第一、ということなのでしょう。 ちなみに、ここ数年の旧車ブームの様子を見ていると、徐々に「2by2」の人気が上向いてきた気配を感じます。 運転席に収まってしまえば2シーターのZと何ら景色は変わりませんし、趣味と実用性を兼ねて1台持ち、というスタイルの旧車ファンが「2by2」を求めるようになってきたようです。 ■おわりに この後は、昭和51(1978)年に施行され、さらに基準が厳しくなった「51年排出ガス規制」に対応させるため、キャブレターだった燃料供給装置がインジェクションに置き換わったり、触媒の装着など排気ガス規制対策デバイスが追加されました。 さらにパワーウインドウの導入などの電動化が始まったりと、細部に変更が加えられましたが、昭和53年に次期モデルの「S130系」にバトンタッチされ、生産が終了となりました。 世界全体では55万台もの数が生産されて、歴代のZの中でもトップと言われるS30系・フェアレディZですが、現存する台数は見る影もありません。 昨今は、手に入らないといわれていた外装パーツのリビルド品も増えてきたようで、ダメージを受けても修理が容易になってきたようです。 とはいえ、まだまだ替えが効かないパーツも多くあります。 ドライブに出掛けた後は水分を飛ばしてやるなど、できるだけケアをおこない、末永く一緒に過ごせるように目を掛けてあげてください。 次回はフェアレディZの系譜とその魅力【S30系・マニアック編】をお届けする予定です。 お楽しみに。 [ライター・往 機人 / 画像・日産]

おおきいオトモダチのみなさま、ミニカーは好きでせう?
ライフスタイル 2023.09.25

おおきいオトモダチのみなさま、ミニカーは好きでせう?

■男のコはミニカーが好きである 男のコはナゼかミニカーが好きである。 それはほとんど本能といえるかもしれない。 とにかく、ほとんどの男のコはミニカーで遊ぶ。 もしも家の近くに鉄道が走ってたら「鉄っちゃん」に走るかもしれないが、そんな子たちでも「ミニカー遊び」は避けることのできない、男のコの儀式のようなモノなのだ。 このジェンダーフリーの世の中で「男のコ」だなんていうのもアレだが、それでも仕方がない。 カレーライスが好き、ハンバーグが好き、というのと同じレベルで、男のコはミニカーが好きなのだ。 みなさんはミニカーというと、何を思い出す? 国産だったら「トミカ」とか「ダイヤペット」かな。 英国製の「コーギー」とか「マッチボックス」なんかも有名どころ。 米国製だと「マテル」とか「ホットホイール」とか。 スーパーなどでは「マジョレット」など見かけるし、模型店だと「ブラーゴ」とか「シュコー」とか、ちょっと高級なモデルを見かけたりする。 そんなミニカーではあるけれど、多くの「男のコ」たちは、大人になる前にミニカーの多くを手放してしまう。 ナゼかわからないが、オトナになるにしたがって、自分の周りからミニカーがなくなってゆくのだ・・・・・。 ■オトナになってもミニカーが好きである さて、前置き(笑)はこのくらいにして、そうして育った「男のコ」たちの一部は、オトナになると、またミニカーを集め始める種類のヒトが現れる。 あるいは、旧いミニカーを実家の押し入れの中から発掘して、ノスタルジーにとらわれつつ、なんとなく手元に置いておいたり、机の上に飾ったりしたりしてしまうヒトたちもいる。 そして、そのなかの何人かは「自分の乗っているクルマ」や「自分の乗っていたクルマ」のミニカーを手に入れ、眺めてニヤニヤする、という性癖に陥る人たちもいたりするのだ。 ヤバいぜ。 またはミニカー繋がりで、プラスティックモデルに走る人もいるだろう。 いずれにせよ、ミニカーというのは、オトナになってしまった「男のコ」たちの郷愁を誘ったりするモノなのだ。 それが「旧い」モノであればなおさら。 いやはや、そういうワタクシも発掘してしまったわけですよ、ミニカーを。 いつ買ったのか?買ってもらったのか?なんでこんなの持ってるんだ?みたいなのが出てきて、自分でもびっくり。 今回はそんな「自慢(笑)」のミニカーを、ムリやりご覧いただこうと思う。 ■旧車のミニカー(あるいは)ミニカーが旧車 ●日産ディーゼルのダンプカー 「男のコはダンプだろ!」ということで、多分みんな持ってたダンプカー。 昭和生まれなので昭和っぽい日産ディーゼルのダンプだが、ゴツい感じがダンプっぽくって良いね。 ダイナマイトどんどん! もちろん荷台はダンプ可能。 ●トヨタメールカート って、車体の裏に書いてあるんだもん。 よく知らんけどこんな車あったんでしょうかね。 クラウンか何かの特装車なのかもしれません。 荷物室のドアが開くギミックがついてるです。 フロント周り見るとコロナっぽい気も。 ●トヨタセリカ(初代) スペシャリティカーのご先祖セリカ。 2ドアクーペでカッコいいスね。 このミニカーはちょっとぼてっとした感じだけど、まあ、誰が見ても「セリカ」だってワカるのがすてき。 コレは外せない1台。 ●メルセデス・ベンツ 300SL リアルで買ったら1億円オーバーのガルウイングも、小さな男の子の憧れかも。 ちゃんとガルウイングが開閉するのもカッコいいな。 色はシルバーに決まっている。 うむー、かっこいいなあ。 ●ランチア ストラトス スパーカーブームの中でも、ちょっと異端派のストラトスだけど、こうしてみるとシャープでなかなかイカす。 ボンネットのアミアミが黒くなってるのは、マジックで塗ったからかな? 元々そうだったのか全然覚えてないデス。 ●ランボルギーニ カウンタック コレは多分だいぶ後に手に入れたやつだろうか、傷ついてないから。 ブルーのカウンタックって正直似合わねーとおもって、あまり遊ばなかったのかもしれない。 だからキレイなのかも。 ホイールがストラトスと同じだ。 ●タダノクレーン車 ナゼかみんな持ってるクレーン車。 クレーンがちょっとだけ伸びたりするギミックで、いろんなもの釣り上げたりして遊ぶんだよなあ。 こうしてみると、なかなかいい造形ではないか。 というわけで、なんで持ってるんだかワカらない車種の数々だが、よく残ってたもので(笑)。 ■本命のミニカーは別にある そして、ここからあとは「積極的に自分で集めた」というより、自分が乗ってるクルマだから手に入れたというミニカーをご紹介。 そう、その車種はモチのロン、シトロエン2CVであります。 ●ブリキのシトロエン(赤) ワタクシがまだ2CVを手に入れる20年以上前に千駄ヶ谷あたりの雑貨屋で売ってた2CV。 中国製でプルバックゼンマイが内蔵されている「走るヤツ」だ。 たしか900円くらいで手に入れた。 プロポーションはまあまあだが、細かい部分の造形がやや甘い。 とはいえ、フランスの農民車らしい安っぽい感じがとても気に入っている。 安くて頑丈なのは本物の2CVと同じ。 ●ダイキャストのシトロエン そらいろの2CVは銀座の教文館で発見。 クリスマスプレゼント用に年末に売りに出されていて、こちらも980円とお手頃価格。 とはいえ、値段の割にはムッチャ出来がいい。 プロポーションも細部の作りも手抜きなしのGOODモデル。 自分の持ってる2CVに近い色なので即購入。 赤い2CVよりも一回り小さいけれど、コレもお気に入り。 とても良い買い物でありましたことよ。 ■やっぱりミニカーすきでせう? という感じで、歳を重ねてもヤング・アット・ハート(笑)。 男のコの時代からずっと付き合ってきたミニカーは、いまだに本棚の端っこにゴチャって固まって置かれていたりするのです。 さてみなさんいかが? 実は1台や2台や3台くらい、ミニカー持ってたりするでしょ? 自慢の1台、あるんじゃないすか? 捨てられないやつがあったりしませんか? 男のコだったら身に覚え、あるでしょう? うひひひ。 [ライター・画像 / まつばらあつし]

富とセンスを兼ね揃えた海外セレブからも愛されるクラシックカー
ライフスタイル 2023.09.21

富とセンスを兼ね揃えた海外セレブからも愛されるクラシックカー

海外ドラマや映画の中には、よくクラシックカーが登場します。 特に歴史的な物語を描いている作品に多いといえますが、その時代に主流だったクルマのデザインを映像で知ることができ、映画もドラマも大好きな筆者にとっては楽しみな要素のひとつとなっています。 映画やドラマに出演している俳優や著名人の中にも、クラシックカー愛好家がいるのを知っているでしょうか? ときどき、ファッション誌の特集などで紹介されているのを目にしますが、富も名誉も手にしているスターが最先端の技術と機能を兼ね揃えたハイテクなクルマではなく、あえて古いクルマに乗っているということにとても興味を持ちました。 実際にはどんな人がどんなクルマに乗っているのでしょう? ハリウッドスターからスーパーモデルまで、海外セレブが愛してやまないクラシックカーを紹介していきたいと思います。 ■ランボルギーニ ミウラ SVJ 1971年製(Lamborghini Miura SVJ)  1966年にデビューした「ランボルギーニ・ミウラ」のサスペンションを作り直し、エアロエンハンスメントを追加し、V12を400馬力以上に改善した最高傑作といわれているのが、「ランボルギーニ ミウラ SVJ」です。 この希少価値の高いクルマに乗っているのは、なんと俳優のニコラス・ケイジ。 名作「リービング・ラスベガス」でアカデミー賞主演男優賞やゴールデン・グローブ賞など数々のアワードを受賞し、「ザ・ロック」「フェイス/オフ」など大作映画に出演しています。 日本人のリコ・シバタさんと結婚したことでも話題となりました。 世界中に不動産を所有しているニコラス・ケイジですが、イランのシャーから1971年製「ランボルギーニ ミウラ SVJ」を購入したとのことです。 しかし経済的理由から、2002年にはすでに売却してしまったというエピソードもあります。 フォルムだけでなく、車内も同色で統一され、マットな質感がより一層高級感を引き立てています。 ■ポルシェ 356B 1963年製(Porsche 356B) ポルシェ社が1948年に初めて世に送り出したモデル、356シリーズ。 356Bは1959年に発表され、ボディはスチール製でエンジンは1.6Lになり、1961年には2.0Lエンジンが追加されました。 小型ながら丸みを帯びたフォルムがエレガントで女性に好まれそうですが、大道芸人から俳優へと転身したパトリック・デンプシーが溺愛しているとのことです。 「ザ・プラクティス/ボストン弁護士ファイル」や、大ヒットとなった医療ドラマ「グレイズ・アナトミー」で知られています。 クルマも多数コレクションしているとのことですが、最初に所持した1963年製の「ポルシェ 356B」が最もお気に入りのようです。 幼少期にポスターで見た「ポルシェ 911」を所持したかったようですが、当時は高価すぎたため「ポルシェ 356B」を購入したというエピソードもあります。 ■ロールスロイス シルヴァークラウドⅡ 1959年製(Rolls-Royce Silver Cloud II)  1959年に「シルヴァークラウド」からモデルチェンジしたのが「シルヴァークラウドII」です。 最大の違いは、エンジンが直列6気筒からV型8気筒に載せ替えられたことにより、排気量は6227ccとなりました。 デスティニーズ・チャイルドのメンバーとしてデビューし、ソロとしても3rdシングル「イレプレイスブル」が全米チャート10週連続1位、グラミー賞における多数の受賞歴など、輝かしいキャリアを誇る世界の歌姫ビヨンセ。 そのビヨンセが愛車として乗っているのが、1959年製の「ロールスロイス シルバー・クラウドⅡ」。 ラッパーで夫のジェイ・Zが、ビヨンセの誕生日にプレゼントしたとのことです。 美しいブルーのソフトトップとホワイトウォールタイヤを備えたコンバーチブルバージョンで、インテリアには豪華なソフトレザーが使用されています。 ■エクスキャリバー SSロードスター(Excalibur SS ROADSTER)  「エクスキャリバー SSロードスター」は、1930年代の名車メルセデス・ベンツ SSKを現代に蘇らせたモデルです。 主にスチュードベーカーのシャシーにSSK風のボディを被せ、シボレー製のV8エンジンを積んでいます。 SSKの美しいボディと、アメリカンなV8エンジンの組み合わせを楽しめるのは、まさにレプリカモデルならではと言えるでしょう。 そもそもモデルとなったメルセデスのSSKとは、ポルシェの生みの親であるフェルディナント・ポルシェが設計したスポーツカーです。 優れたデザインや性能で当時から人気でしたが、オリジナルはわずか37台のみという希少さ。 レプリカといえど、俳優、実業家、そして政治家と、あらゆるジャンルで成功を収めたアーノルド・シュワルツェネッガーの愛車とあって納得です。 ■MG MGB 1960年製  「MGB」は、1955年に販売開始された「MGA」の後継車として、1962年10月にMG(BMC)から発売されました。 マツダ・ユーノス ロードスターが登場するまで、世界で最も多く販売されたオープンカーとして知られています。 1962年から生産され、1980年10月までアビントンで生産されましたが、工場の閉鎖にあたり、周辺では反対運動が起こるほど支持されていました。 世界中から愛されたこのクルマを愛用しているのは、誰もが知ってる説明不要のスーパーモデルであり、UK版『ヴォーグ』のコントリビューティングエディターも兼任しているケイト・モスです。 クラシックカーでありながら、シャープで前衛的なデザインのオープンカーがとても似合いますね。 ■フォード ピックアップ 1940年製(FORD PICKUP) 主に農業の貨物輸送用に使用されていたピックアップトラックですが、1924年にフォード・オーストラリアが生産を開始したのがはじまりといわれています。 1950年代によりスタイリッシュなモデルを各社が生産し始めましたが、1940年に製造された「フォード ピックアップ」はコロンとしたフォルムが愛らしく、街中を走ってもトラックらしくないスタイリッシュなデザインです。 これと同じではないですが、似たデザインのクルマに乗っているのが、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ等に出演している人気俳優のオーランド・ブルーム。 これまでポルシェ、マクラーレンなどのスポーツカー愛好家として知られてきましたが、クラシックカーやEV車も愛用しているとのことです。 セレブリティーは多数のクルマを所持しているイメージですが、古くて希少価値の高いクラシックカーを長年に渡り、大事に乗っているエピソードは好感が持てますね。 [ライター・Kana / 画像・Lamborghini,Rolls Roycemotorcars,MG]

「ステーションワゴン」という言葉に市民権を与えた、スバル初代レガシィツーリングワゴンの輝き![開拓者シリーズ:第2回]
ライフスタイル 2023.09.20

「ステーションワゴン」という言葉に市民権を与えた、スバル初代レガシィツーリングワゴンの輝き![開拓者シリーズ:第2回]

■「ステーションワゴン」の王道を走っていた。レガシィツーリングワゴンの物語のはじまり ナポリタンにミートソース、さらにはペペロンチーノ……。 カテゴリー(種類)豊富なスパゲティに選ぶ楽しさ、味わう楽しさがあるのと同様に、クルマにもカテゴリーは多く、クルマ選びの楽しさを倍増させていると感じる。 スパゲティの話からという、やや大胆な入りになったが(汗)、クルマのカテゴリーの基盤を築き、軸となっていった「開拓者」に迫るシリーズ。 その2回目のテーマはステーションワゴン。 そして開拓者は「スバルレガシィツーリングワゴン」の初代(上写真)。 これに異を唱える者はいないでしょう。 きっと! ■スキーや釣りなどのアウトドアレジャーの人気の高まりが、背景にあった スバル初代レガシィツーリングワゴンの誕生前夜、日本車にステーションワゴンがなかったわけではない。 1970年代末から1980年代にかけて、スキーや釣りなど、アウトドアレジャー人気が高まるのと並行するように、トヨタ スプリンターカリブや日産 サニーカリフォルニアなどのステーションワゴンが誕生。 そして、スバルレオーネからもステーションワゴンが誕生する。 この後継モデルこそ、初代レガシィツーリングワゴンだ。 1980年代に各メーカーからいくつか生まれたステーションワゴンは、それまでのライトバンと異なり、当時の人気のカテゴリー「セダン」と同じ、あるいはそれ以上の機能を備えるカテゴリーとしてジワリとユーザーに定着していく。 ■居住性に驚き、走りにも驚いた。「ツーリングカーの新時代」を感じた初代モデル ▲いきなりですが、時代を一気に駆け抜け、2009年登場のレガシィツーリングワゴン5代目モデルに登場いただいた! そして、バブル真っ盛りの1989年。 スバルレオーネの後継モデルとして、初代レガシィツーリングワゴンが誕生する。 レオーネ同様、4ドアセダンもあったが、注目はツーリングワゴン。 洗練されたスポーティなスタイリングが、なんといっても目を引いた。 1970年代末、それまで格好いいともてはやされた「ラッパズボン」が急に格好悪く見えたように(例えが古いですか?)、それまでの各社のワゴン・デザインが急に、やぼったく見えたほど……。 2Lターボエンジンが搭載され、セダンにも引けを取らない走行性能。 スバル特有の4WD走破性に加え、エアバネと減衰力可変ダンパーを備えるグレードもあり、乗り味は上質。 ……走りに関する、これらのウリ文句だけでもウットリするほど。 そのうえで5人がムリなく乗れる居住性があり、ラゲッジに荷物をたくさん積める実用性。 さらに後席を倒すと、長さ1685×幅1365mmという広大なフラットスペースが現れる。 この「優秀さ」がユーザーに認められ、初代レガシィツーリングワゴンの人気とともに、「ステーションワゴン」というカテゴリーは市民権を得ていくわけだ。 ■初代~3代目までは5ナンバーサイズ。「荷物満載の長距離移動でも快適でした!」 ▲こちらは2代目モデル。初代のDNAが注入され、レガシィ人気を定着させた どこか洒落た匂いがする、レジャーヴィークルという位置づけとなったステーションワゴン・カテゴリー。 各メーカーからも「ならばウチも出そう!」とばかりに、本格的に開発されたステーションワゴンモデルが次々と投入され、日本にステーションワゴンのブームが到来したのが1990年代前半。 この軸となったのは、間違いなく初代レガシィツーリングワゴン。 「国産車ステーションワゴンの開拓者」、その称号にふさわしいモデルだ。 その初代に続き登場した2代目(1993年)は、初代のDNAを受け継いだモデルで、3代目(1998年)は大胆に顔つきを変えたのが話題になった。 それ以上に、FFモデルが廃止され、全グレードが4WDとなったことがクルマ好きの心を躍らせたのは記憶に新しい。 そして、この3代目までが5ナンバーサイズボディというのも、今となっては驚く。 そういえば2000年のころ、筆者は友人が所有する2代目レガシィツーリングワゴンに乗り、4名で東京~新潟・釣りドライブに出かけてことがある。 1泊2日の旅だったが、荷物や釣り具を満載した状態での長距離移動でも快適だったことを思い出す。 数時間ほどしか運転せず(寝ている時間のほうが長い!)、今でもみんなに申し訳ない気持ちでいっぱいだが(笑)。 ■トヨタ、日産、ホンダ……。各社からのワゴン包囲網をものともしない「安定した実力」 ▲3代目モデル。全グレードが4WDとなったのも話題になった! 初代がステーションワゴンというカテゴリーを切り拓いて定着させ、2代目でそのカテゴリーを盤石のものにしたといっていいスバル レガシィツーリングワゴン。 3代目が誕生した1990年代後半から21世紀に入ったころは、世の中に「RVブーム」が巻き起こり、各メーカーからのステーションワゴンの新規モデル投入はますます過熱。 トヨタからはカルディナ、カローラワゴン、マークⅡクオリス、クラウンワゴン、アルテッツァ・ジータなど。 日産からはプリメーラワゴンやステージア。 さらには、ホンダ アコードワゴン、三菱からはランサーセディアワゴン、ディアマンテワゴン、加えてマツダ カペラワゴン……など。 一部しか車名を挙げていないが、壮観ともいえる各メーカーのラインナップ数だ。 そのさなかでもスバル レガシィツーリングワゴンの凄みは圧倒的だった。 「ステーションワゴンとしての出来」で見た場合。 総合評価で、どのモデルもレガシィツーリングワゴンには及ばない、というのが当時の専門家の評価だったと記憶している。 数多のライバルを敵にまわしても、王者レガシィの座は揺るがなかった……ということである。 レガシィツーリングワゴン、恐るべし。 ■後継モデルとしてレヴォーグが誕生。ここにもレガシィDNAはしっかりと息づく ▲初代レヴォーグ ステーションワゴン・カテゴリーの開拓者となり、世代が変わっても常にステーションワゴン界の主役であったレガシィツーリングワゴン。 2009年誕生の5代目が最終モデルとなり(海外ではレガシィの名前は継続販売)、2014年、後継モデルとなるレヴォーグが誕生。 2023年現在、2代目が現行モデルとなり、スタイルや走りはもちろんのこと、先進安全技術などの評価も高く、人気を博している。 さらに、2023年9月にはレヴォーグをベースにした、レヴォーグレイバックというSUVモデルが登場するなど、「レガシィツーリングワゴンのDNA」は新章を迎えている。 ちなみに、筆者のイチ推し世代は2003年登場の4代目モデルである。 ▲レガシィ4代目モデル レガシィ初の3ナンバーサイズモデル(といっても車幅は1730mm)で、扱いやすさと徹底した軽量化が施された、街中でもロングツーリングでもベストな相棒というワゴンだ。 EJ20エンジンを踏襲しながらも、出力などをブラッシュアップ。 ドライバーになんら不満要素を与えないモデルだったと思う(……実燃費が悪いのはご愛敬ですが)。 多くの自動車評論家の評価が今でも高く、その年の日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたのも納得といえる一台である。 [ライター・柴太郎 / 画像・Dreamstime, 旧車王]

固着したネジでも諦めないで!回らないネジの緩め方アラカルト
ライフスタイル 2023.09.14

固着したネジでも諦めないで!回らないネジの緩め方アラカルト

普通の人なら、ネジなんてドライバーかスパナで回せば緩むんじゃないの?と思われるかもしれません。 ですが、旧車王ヒストリアの取材対象になるような年式のクルマの場合、長年の使用でネジ山の隙間に埃が詰まったり、何度も再塗装されたために塗料が固着したり、ネジ同士が錆び付いたりなど、緩めることが困難になることが往々にしてあります。 その際に、無理にネジを回そうとしてネジの頭部分を破損する、いわゆる「ネジをナメる」ことで回せなくなったり、ネジが中で折れてしまいネジが取れなくなるという事があります。 ■基本は緩めるネジにあった工具を使い、強引に回さない ナベネジ、皿ネジの場合は必ず頭の切れ込みの大きさにあったドライバーを選びます。 切れ込みに入ればいいと小さいドライバーで無理に大きなネジを回そうとすると、切れ込みを破損する「ナメる」原因になります。 六角ボルトの場合はなるべくメガネレンチ、ソケットレンチを使います。 片口スパナやモンキーレンチは「ナメる」原因になります。 どうしてもスパナがやソケットレンチが入らない場所、手持ちに合うサイズが無い場合など、やむを得ない理由がある時以外は極力使わないようにしてください。 ■固着したネジの緩め方 まずは、CRCなどの浸透性潤滑剤をネジに吹き付けます。 鍋ネジ、皿ネジの場合、切れ込みに合った貫通ドライバーをあて、ドライバー後端をハンマーで叩いて打撃を与えると、かなりの高確率でネジが回ります。 打撃を回転力に変えることでネジを回す「インパクトドライバー」という工具も存在します。 自分でクルマを弄る人なら持っておいて損は無い工具です。 六角ボルトの場合は、同様にCRCを吹き付け、大き目のマイナス貫通ドライバーをボルトにあて、同じ要領で打撃を与えます。 ネジが回り出したら、無理に最後まで回そうとせず、回りにくくなったら一旦そこで止め、逆方向(締める方向)に回します。 この緩める・締めるの動作を繰り返しているうちに、ネジ山に詰まっているサビやチリが剥がれ、CRCが浸透していきます。 次第に回転角度が大きくなり、回転も軽くなり、最終的にネジを外すことができます。 DIYのお供として、CRCやMD-40などの浸透性潤滑剤が必須アイテムなのは言うまでもありません。 摺動部の潤滑よりも、固着部分の潤滑剤としてのほうが重要という方も多いと思います。 最近は「凍結浸透ルブ」という、ボルトを凍結収縮させることでサビや固着部分にクラックを入れ、潤滑剤を浸透させやすくするスプレーもあります。 ■ネジの頭をナメてしまった場合の緩め方 ドライバーやスパナがネジの頭の切れ込みや角をえぐり取ったときのグニッとした感触は、なんともいやな物です。 プラスネジの場合は、糸ノコやディスクグラインダーでネジの頭に切れ目を入れ、マイナスドライバーで緩めるという方法があります。 六角ボルトの場合、もしも12角のメガネレンチかソケットでボルト・ナットの角をナメかけた!と思ったら、即作業を中止して、6角のメガネレンチかソケットで作業を再開してください。 12角よりも6角の方が、ボルト・ナットに対する接触面が増えるためです。 ボルト・ナットの角が少しえぐれた程度なら、6角のメガネレンチでボルト全体を回せば持ち堪えてくれる可能性はまだまだあります。 完全にネジの頭が潰れてしまい、ドライバーもスパナ・レンチでは回せなくなった場合、バイスプライヤー、ロッキングプライヤーと呼ばれているプライヤーで直接ネジを掴んで回します。 バイスプライヤーは鋼鈑やパーツを貼り合わせるときの仮止めにもよく使うので、2~3種類は持っておいて良い工具だと思います。 ■破損したネジを外す専用工具を使う 最近は「ネジザウルス」という、破損したネジを緩める専用のプライヤーもあります。 ネジザウルスブランドを展開する「株式会社エンジニア」では、「ネジレスQ」という外れなくなったネジを外すための相談も受け付けています。 ネジの頭が完全に破損したり折れてしまった際は「エキストラクター」という工具を使います。 逆タップとも呼ばれ、テーパー型のタップに左回りのネジ山が切られています。 ナメてしまったネジの頭にドリルで垂直に穴をあけ、エキストラクターを左回転でねじ込んでいきます。 ポンチで位置決めをしてから、細いドリルで垂直に穴を開け、順番にドリル径を大きくしていきます。 ボルトに開けた穴にエキストラクターを差し込み「左回り」に回転させると、折れたネジが抜けるハズなのですが、撮影時はうまくいかず、ネジ山を別の方法で再生させました。 その様子が次項です。 ■いっそネジに工具を直接溶接してしまう 溶接機を持ってる人限定ですが、余っている工具や不要になった工具を、ネジに直接溶接してしまうという方法もあります。 熱を加えることで、膨張、収縮を繰り返し、固着部分が剥がれるという効果も期待できます。 いずれの方法を用いてもネジが緩みも外れもしないとなれば、あとはドリルやボール盤でネジをもみ切り、修正タップやリコイルヘリサートを使ってネジを再生することになります。 次回はネジの再生手段について書きたいと思います。 [ライター・画像 / 鈴木 修一郎]

見た目より中身を優先!? こんな人に旧車を乗ってほしい!
ライフスタイル 2023.09.08

見た目より中身を優先!? こんな人に旧車を乗ってほしい!

私自身、Z32専門店を営む店主ですが、いつの間にか疑いようのない「旧車」であることを日々実感しています。 年々、個体数が減っていく現状を目の当たりにし、絶滅の危機に直面している日を案ずる日々です。 これから先「一台でも多くZ32を後世に遺すためには?」を、皆さんと一緒に真剣に考えなければなりません。 いきついた答えは、その一台を大事に守ってくれるオーナー様が必要だということです。 「こんな人に乗ってほしい!」という要望をまとめてみました。 これから旧車に乗りたい方へのメッセージでもあります。 ■愛車を守り、一生乗り続ける覚悟がある人 オーナー様が、愛車を守り、一生乗り続ける覚悟が必要です。 そのクルマは縁あって出会ったわけですが、貴方のお陰で幸せなはずです。 一蓮托生の思いがあれば、貴方の気持ちに愛車が応えてくれます。 ■維持費がかかることを理解している人 愛車を維持していくために、お金がかかることに対する理解が必要です。 自動車税・ガソリン代・車検代はもちろん、修理やメンテナンス代も確実にかかります。 お金を惜しみなくかけてあげれば、愛車も喜んでくれます。 ■見た目より中身を優先し、メンテナンスしながら乗る人 見た目より中身(機関系)を優先し、メンテナンスしながら乗ることが必要です。 いくら見た目を良くしても、調子が悪ければ、安心して楽しく乗れません。 しっかりメンテナンスしてあげれば、愛車がいつまでも活き活きと長生きしてくれます。 ■改造メインではなく、ノーマル重視で乗る人 改造メインではなく、ノーマル重視で乗ることが必要です。 改造してクルマが良くなることはありません。 やはりノーマルが一番格好良いのです。 ノーマルで綺麗に乗ってあげれば、愛車も喜んでくれます。 ■万が一の場合、中途半端な状態で手放さない人 万が一の場合、中途半端な状態で手放さないことが必要です。 中途半端な状態の車からは愛着が感じられず、次の方へ受け継ぐのが難しいのです。 次の方も大事に乗ってくれれば、愛車も安心するはずです。 ■オーナー自身が健康な人 愛車を守るためには、オーナー自身が健康であることが必要です。 病気がちでは、愛車に手をかけることも、乗ってあげることもできません。 オーナー自身も健康であり続ければ、愛車を一生守ることができます。 ■まとめ 旧車に乗るのは、ペットを飼うのと同じです。 ただ可愛いだけでペットを飼うのはダメですよね? 住みやすい場を提供し、毎日栄養のある良い物を食べさせ、定期的に健診・散歩・シャンプーをします。 日々、健康管理をし、清潔にして、安らげる環境を見直す必要があります。 気が抜けません。 時間とお金を惜しみなく使い、愛を与え続けます。 それが可愛がるということです。 そうすることで、ペットも、この人が飼い主で良かった、この人のお蔭で幸せだと感じるはずです。 それができない人は、ペットを飼ってはいけません。 ペットが不幸になるからです。 飼い主は、ペットのためにモチベーションを維持し、健康で、一生添い遂げることができる覚悟が必要なのです。 [ライター・画像 / 小村英樹]

映画007シリーズの"James Bond"はアストンマーティン人気の立役者?
ライフスタイル 2023.08.30

映画007シリーズの"James Bond"はアストンマーティン人気の立役者?

イギリスで大人気の映画007シリーズ James Bondでは、主人公がいつでもアストンマーティンを運転しています。 1964年初代の007シリーズ『Goldfinger』では、アストンマーティン DB5が使用されました。 それ以降すべての映画に登場しており、アストンマーティンと007は、切っても切れない縁となっています。 映画007は初代より今現在までの60年間、ここイギリスでは常に大人気で、次回作をいつも楽しみにされているほどです。 日本でいうジブリ映画と同じくらい知名度があります。 ある英国民を対象とした「一番好きな憧れのクルマはなんですか?」という質問調査では、アストンマーティンはベスト3でした。 年齢別でみると、中高年の方々から多く支持されているようです。 ■クラッシックカー、アストンマーティンの価値は億単位 映画007を観た方はご存じかもしれませんが、主役は外見はもちろんのことながら、いつもスマートでかっこいいですよね。 そんな人をさらにかっこよくするのが、上質で品格のあるアストンマーティンなのです。 1964年製DB5コンバーチブルの値段は、軽く1億ポンドを超えます。 また、初代のジェームズボンドを演じたショーンコネリーは、アストンマーティンを所有していましたが、これをオークションで売却しています。 その値段は2億3千ポンドでした。 また、DB4のオリジナルレプリカが25台のみの限定で製造されましたが、こちらのお値段も2億9千ポンドです。 現在市場に出ている、アストンマーティン中古車の値段を調べてみました。 1964年製DB5は60万ポンド、さらにボディカラーがシルバーバーチの場合は1億ポンド。 シルバーバーチは007映画で使われているボディカラーです。 1963年製DB5ヴァンテージは90万ポンド、1963年製DB5コンバーチブルは1億2千ポンド、1964年製DB5とDB6に使われたクルマのパーツ(リア車軸のみ)は9千ポンドです。 桁が多すぎてクラクラしますね。 すべてのモデルにいえることですが、希少価値がこれらの値段に反映されています。 ■アストンマーティンの歴史に迫ると... アストンマーティンは、1913年に2人のイギリス人エンジニアによって、レース用に作られました。 エンジンと車の土台は、特別かつ質のいいものを使用し、高性能でかつ高速であることで、そのためいくつかのレースでも優勝しています。 ちなみに名前の由来アストン(ASTON)はレース場の地名です。 アストンマーティンは、すべて高級な部品を使用して希少性を保っています。 量より質にこだわり、すべての人のために作られたわけでなく、その性能を知る人のみのためにデザインされ、巧みさを兼ねて作られたクルマです。 贅沢さ、美々、洗練、スタイルなどの表現をされ、これは本来の英国性を反映させているように思われます。 第一次世界大戦後から第二次世界大戦が始まるまでの間の製造台数を見てみると、たったの55台。 また戦後、DBシリーズのみでは、1950年から1972年の22年間で約7000台。 年間平均製造台数はたったの316台です。 ■アストンマーティンの倒産、暗黒時代 アストンマーティンは今年で110年を迎えますが、実は現在に至るまで7回もの倒産を繰り返しています。 創業から2021年までの、108年間で製造販売されたクルマの合計数は、約12万台だけです。 ちなみに他社と比べてみると、ホンダは1963年から1億台以上を製造しています。 かなりの違いがわかると思います。 アストンマーティンは美しいレーシングカーと呼ばれ、ル・マンなどのレースでも優勝、または上位で完走していましたが、約400億ポンド以上の損失を作り倒産しています。 その後、何人ものオーナーに買われ続け、現在に至ります。 この倒産を繰り返すなか、DB5がアストンマーティンの利益挽回に貢献しました。 007シリーズの著者でもあるイアン フレーミングは、アストンマーティンのファンだったことから、自身の著書の中でアストンマーティン DB3を登場させています。 しかし、実際の映画『Gold finger』ではDB5かジャガー3.4の選択肢を与えられ、結局、映画プロデューサーはアストンマーティンを選びました。 これは、アストンマーティンが広告目的で映画会社へ35億ポンドを支払ったためです。 そして、このことから一気にアストンマーティン DB5が世に知れわたり、瞬く間に人気となります。 ■やっぱり人気のDream Car アストンマーティン 007シリーズでは、DB5の他にもV8ヴァンテージヴォランテ、DBS V12、DBS V10などが登場してきましたが、そのなかで圧倒的に人気なのがやはりDB5で、なんと24本中8本の映画に登場しています。 映画を見るたびに登場するアストンマーティンが英国人の夢のクルマとなり、そこに誰でもが手にすることができない希少さが加わって、人気度は上昇しました。 やはり007シリーズ James Bondは、アストンマーティン人気に影響を与えたといっても過言ではないでしょう。 英国人にアストンマーティンの魅力について聞いてみると、スタイル、そして洗練さと答えます。 また、1世紀を超える歴史をもつことも魅力であり、古いものを大切にする英国人ならではの感性が伺われます。 私からいわせてもらうと、アストンマーティンはスポーツカーでありながら、上品さや気品を感じるのと、フェラーリやポルシェなど他のスポーツカーにはない、なにか伝統的英国らしさというものを感じるのです。 この先の100年も、多くの英国人にとってアストンマーティンはドリームカーであり続けることでしょう。 [ライター・SANAE]

ガレージカレント取材記:1989年式メルセデス・ベンツ500SE(W126)
ライフスタイル 2023.08.28

ガレージカレント取材記:1989年式メルセデス・ベンツ500SE(W126)

今回は、20代による20代のための輸入車デビュー応援企画! 目的地であるガレージカレント(神奈川県横浜市)に向かい、取材してきました。 ■クルマの紹介 今回僕が取材した車輌は、メルセデス・ベンツの1989年式500SEというクルマです。 この500SEは、1979年にデビューしたW126と呼ばれる二代目のSクラスのなかでも上級グレードに位置するクルマです。 当時メルセデスは「最善か無か」というトガったスローガンを掲げた結果、生産終了から30年以上経過した現在においても「オーバークオリティ」と称されるほどの質感を誇ります。 当時の新車価格は1210万円。 まさに「高級車」といえるクルマですが、歴代Sクラスのなかでもっとも多い販売台数を記録。 現在のメルセデスのイメージを確かなものにしたクルマともいわれています。 また、当時の日本では、金丸信、田中角栄などの大物政治家をはじめ、企業経営者、プロ野球選手やプロゴルファー、芸能人などもW126を愛用していました。 また、F1ドライバーの間でも非常に人気があり、ケケ・ロズベルグ、ニキ・ラウダ、ナイジェル・マンセルなど、多くのドライバーたちがプライベートでW126を運転していたのだとか。 このことからも、ただ高級で快適なサルーンカーというだけでなく、ドライバーズカーであったことがうかがい知れるエピソードですね。 しかし、このクルマがスゴイのはわかったけど、価格も高いし若者にはもっと軽快なクルマのほうがよさそうなのに、なぜこれが20代におすすめなのかと疑問に思うことでしょう。 安心してください。ここからしっかり解説してまいります。 ■経験として体で知っておくべき上質さ 販売車輌ということで助手席での同乗走行となりましたが、その乗り心地に大きな衝撃を受けました。 ただ単に快適さでいったら現行の高級車のほうが上かもしれませんが、今のようにアクティブサスペンションや電子制御スロットルなどの魔法みたいなハイテク装備を持たずして、建築物のようなボディ剛性、バネの柔らかさに頼った乗り心地ではなく、コシをのこしたしなやかな足回りなどが体感できます。 クルマの基本的かつ根本的なメカニカルな部分を徹底的に煮詰めることで、80年代において現代と比べてもまったく謙遜のない素晴らしい乗り心地を保持している点には、本当に感動しました。 若いときに当時のメルセデスが持つプロダクトへのこだわりや、本物の上質さを体で知っておくということは、今後のカーライフに絶対的な影響を与えてくれるはずです。 しかし、この先W126もどんどん年老いて台数は減っていき、コンディションの良い個体を探すのは難しくなっていくことが予想されます。 そのため、このW126が当時のシャンとした面影を残したまま、はっきりと僕たちにその現役時代の実力を伝えてくれる時間はそれほど残されていないはず、といってもいいでしょう。 ■ガレージカレント店長に聞くW126の「オススメの使い方」とは? もし、僕たちがこのW126を手に入れたとき、どのような使い方をしたらカーライフを楽しめるのか、このとき、別の個体の取材に来ていたライターの林氏と、ガレージカレント店長を交え、20代のクルマ好き同士で真剣に考えてみました。 筆者:皆さんだったらどうやって使いますか? 店長:僕だったら仕事終わりに、好きな音楽を流しながら好きな道をぐるぐる走り回るのが楽しいと思うなぁ~。 林:ん~、僕だったら週末に友達とどこか遠くの温泉に出かけたりして使うとかですかねぇ。 筆者:あー温泉いいですね、みんなで運転を替わりながらタクシー、ハイヤーごっことかしても楽しそう! 店長:タクシーごっこは楽しいかもね。 筆者:大きなボディの割に意外と小回り効くから、都会でも難なく運転できそう。意外と普通に通勤とかで乗っていたら、偉くなった気分で面白いかもしれないですね(笑)。 一同:いずれにしてもクルマ主体の生活というよりかは、上質な道具としてうまく各々のライフスタイルに取り入れて使えるからいいよね。 もし仮に、新車同様のW126が残されていたとして、それはもはやコレクターズアイテム。そう簡単に手が届くものではないことが予想されます。 しかし、今ならまだコンディションのいい個体が、頑張れば20代でも手の届く価格帯で購入できるチャンスが残されています。 維持費のことが気掛かりなのはいうまでもありません。しかし、素性の良い個体を手に入れ、このクルマに精通した主治医やベテランオーナーたちと巡り会うことでさまざまな困難を乗り越えられる確率が格段にあがります。 仕事終わりの深夜、現代のスポーツカーに乗ってドライブすることで気分がリフレッシュできるように、僕のような20代の人たちが生まれる前に造られたクラシック・サルーンで音楽を聴きながら優雅に高速道路を流す……。 多様性が求められ、なおかつ受け容れられる現代だからこそ、クルマの本質を存分に味わっておきたいものです。 ホンのちょっとの勇気があれば、そこにはクルマに対する価値観を根底から覆すほどの「ホンモノの世界」が待っている。そう感じた取材となりました。 ⚫︎今回取材したクルマはこちらhttps://www.garagecurrent.com/car/87221 なお、ガレージカレントの運営元であるカレント自動車は「旧車王」という買取サービスも行っています。今回取材したガレージカレントと同様に、20年以上にわたって事業を展開した実績があり、クルマのプロが多く在籍しています。もし将来、クルマの売却を検討することがあればぜひ「旧車王」を検討してみてください。 [ライター・小河昭太]

日産・フェアレディZの系譜とその魅力【S30系・基本編】
ライフスタイル 2023.08.23

日産・フェアレディZの系譜とその魅力【S30系・基本編】

■スーパーカーたちと並んでも堂々として見えた国産スポーツカーの代表格 私が“フェアレディZ”と出会ったのは1970年代の末ごろ。 ランボルギーニやフェラーリ、マセラティなどのスタイリッシュなデザインをまとった“スーパーカー”たちが展示会場に集められ、スーパースターのように子供たちの憧れの視線を集めていた“スーパーカーブーム”のただ中でした。 どっぷりブームにハマっていた小学生の私は、親に買ってもらった大判のスーパーカーのグラビア本に毎日のように熱心に見入っていました。 その1ページを飾っていたのが、S30系・フェアレディZの1モデルである「240Z」でした。 特徴的なマルーンのボディ色に塗られたロケットを思わせる流線型のボディは、小学生の私にも美しく感じられ、並み居るイタリアのスーパーカーたちにも引けを取らない、堂々としたたたずまいが印象的でした。 日本人として誇らしい気持ちにさせてくれたのを覚えています。 ■オトナになった目線で見直したフェアレディZの素顔 今回紹介する「S30系」の「フェアレディZ」は、「フェアレディ」としてはSR311/SP311型の「ダットサン・フェアレディ」に次ぐ2代目ですが、その後ずっと受け継がれていくことになる「フェアレディZ」としては初代のモデルになります。 その成り立ちは、北米市場を主軸として見据えた、世界戦略モデルの開発からでした。 軽量なボディ設計に始まり、高性能なヨーロッパ車ともレースでじゅうぶんに戦える足まわりを備え、高出力な直列6気筒エンジンが搭載されたことで、国際的な基準で見ても一線級の動力性能が与えられました。 外観は、ジャガーEタイプやMG-Bなど英国車のエッセンスを採り入れつつ、独自の個性をカタチにした優れたデザインにまとめられました。 それらの要素が相まって、当時の代表的な存在であったジャガーやポルシェなどのスポーツカーに負けない魅力と性能を備えながらリーズナブルな価格だったことも後押しして、かなりのヒットを記録したそうです。 しかしそれから30年以上経ち、オトナになってある程度冷静な目で「S30系・フェアレディZ」を見たところ、ローコストで制作された車輌という側面が浮かび上がってきました。 軽量なモノコックボディは、同時期に作られたスカイライン(ハコスカ)ほど手が込んでおらず、足まわりは前後とも安価に製造できるシンプルなストラット方式、エンジンは実用性の色が強いタフなつくりで、製造コストを抑える努力があちこちに感じられるものでした。 それは、フェアレディZがスーパーカーに肩を並べていたという印象のまま育った私にはショックなことでしたが、デザインは当時美しいと感じたままの魅力を変わらず備えていましたし、ローコストの設計とは思えない性能を達成した開発陣の創意工夫と努力には、むしろリスペクトが高まったほどでした。 ■旧車ブームの立役者としてのフェアレディZ 今から約20年ほど前から盛り上がりを見せ始めた"旧車ブーム"のなかで、「ハコスカ(C10系・スカイライン)」との二枚看板でブームの火付け役となったのも、この「S30系・フェアレディZ」でした。 デビュー当時から、その流麗なデザインはスポーツカー好きの支持を集める大きな要因でしたが、それから40年以上経った今でも色あせずに、旧車ファンの心に刺さり続けていることが人気の大きな理由だと思います。 そしてそれと合わせて、搭載されている“L型エンジン”の存在も、もう一つの重要な要素ではないでしょうか。 発売当初も1,998ccで130馬力を発生して高性能ユニットと好評を得ていましたが、1980年代終盤から1990年代にかけての“ゼロヨンブーム”で盛んに競い合いが繰り広げられたおかげで、飛躍的にチューニング技術が進みました。 L型エンジンで最高排気量のL28型をベースに3.2Lまで排気量が拡大され、高度なチューニングが施された結果、300馬力をゆうに超える出力を発揮。 古い型式と言えるOHC(オーバーヘッド・カムシャフト)方式にも関わらず、当時の高性能の証といえるリッター100馬力オーバーを達成していたのです。 そんな背景が重なって、チューニング指向ではない人たちも憧れる存在として、新たに脚光を浴びることになりました。 ■S30系・フェアレディZのインプレッション S30系・フェアレディZの魅力は、何といってもまずデザインでしょう。 前に向かって鋭くなる流線形シルエットに加え、ロングノーズ&ショートデッキの“ファストバック”スタイルが、風を切り裂いて進むスポーツカーらしさをより強調させています。 エンジンは基本グレードのL20型(1,998cc)で130馬力。 あとから追加された「240Z」に搭載のL24型では、2,393ccで150馬力を発生。 今のクルマと比較すると心もとない数値ですが、実際に乗ってみると、L20型でも今の高速で気持ちよく走れる性能を有しているのに驚かされます。 それよりも特筆すべきは、数値には表れない回したときの気持ち良さです。 さすがに回転上昇の鋭さはそれほどではありませんが、直列6気筒特有のスムーズな回転フィーリングは、ぜひ味わっていただきたい部分です。 排気音よりもキャブレター特有の吸気音がよく聞こえるエンジン音も、今のクルマではけっして味わえない魅力の一つと言えるでしょう。 それらが相まって、どこか遠くにドライブしたくなる気持ちにさせてくれます。 室内を見てみましょう。 クラシックな雰囲気の中に、高性能さを感じさせる2眼+3眼メーターや、大径のウッドステアリングなどのスポーティな装備によって、欧州のGTカーを思わせる精悍な雰囲気を感じられます。 ハンドルはアシストのない、いわゆる“重ステ”なので、停止時の“据え切り”は少し覚悟して掛からないとなりませんが、慣れれば(真夏以外は)涼しい顔で回せるようになるでしょう。 シートの座り心地はお世辞にも良いとは言えませんが、適度に柔らかく、長距離でもそれほど心配することはないと思います。 それよりも印象的なのはその着座位置です。 ドアを開けて後ろに手を回すと、リヤタイヤに触れるくらい後方に位置するポジションは、走っていると背中にリヤタイヤの存在が感じられるようで、今のクルマに慣れた人には想像できない感覚を体験させてくれるでしょう。 ■S30系・フェアレディZの豆知識 S30系のフェアレディZは、年式やグレードごとに何種類かに分類されますが、ざっくり括ると前期と後期に分けられます。 見分ける点はいくつもありますが、大きなところだと、まずはテールランプの形状です。 前期は“ワンテール”と呼ばれ、ストップ、ウインカー、バックの各ランプがひとつのユニットにまとまっています。 後期はバックランプが独立して、前期のワンテールに対して“ツーテール”と呼ばれています。 もう一つは内装のダッシュボードの形状です。前期/後期とも、ハンドル正面の速度/回転計の2眼と、ダッシュ中央上部の水温&油圧/電圧&燃料/時計の3眼メーター(年式、グレードにより例外あり)という構成は共通です。 異なる点はそのデザインで、前期は各メーターにヒサシが付いた、独立感のある有機的な造形が特徴です。 後期になると各メーターのヒサシはなくなり、全体的にややシャープ感のあるデザインに変更されます。 ※年代やグレードでさらに細かく分類されるようですが、ここでは省略します。 ちなみに、“初期”と呼ばれる希少なモデルがあります。 その特徴は、リヤウインドウの後部に左右1対の細長い通気口があって、それが紳士のヒゲに見えることから、マニアの間では「ヒゲ付き」と呼ばれています。 次回は、フェアレディZの系譜とその魅力【S30系・中級編】をお届けする予定です。 どうぞお楽しみに。 [ライター・画像 / 往 機人]

土より街を選んだ「SUV」カテゴリーの開拓者、初代ハリアーを深掘り![開拓者シリーズ:第1回]
ライフスタイル 2023.08.21

土より街を選んだ「SUV」カテゴリーの開拓者、初代ハリアーを深掘り![開拓者シリーズ:第1回]

醤油、味噌、トンコツ。さらには家系……。 種類(カテゴリー)が多いゆえに味わう楽しさがラーメンにあるように、クルマにもいくつかのカテゴリーがあり、クルマ選びのスタート地点になっていると思う。 例えば「セダンから愛車を選ぼうと思ったけど、ラゲッジの使い勝手を考えるとハッチバックもアリだね……」と。 そんなクルマのカテゴリーには、それぞれ「始まりの存在」があるはず。 カテゴリーの開拓者(パイオニア)たちにスポットをあて、その開拓者の魅力を探りながら、私、柴太郎の独自視点でカテゴリーを形成していった功績や理由(ワケ)にも焦点をあてていきたい。 「短期集中3回シリーズ」でお届けしていきたいが、第1回目のカテゴリーは「SUV」。 そして、その開拓者はトヨタ初代ハリアーだ。 ■「SUV」という言葉が浸透する前夜には、確固たる「クロカン」ブームがあった 国産車、輸入車問わず、今をときめくカテゴリーといえば「SUV」だろう。 時代を遡り、1980年代から1990年代にかけて、最低地上高が高く、オフロードに強いヘビーデューティー使用の4WDモデルは一定人気があり、「クロカン」(クロスカントリー)というカテゴリーを形成していた。 スズキジムニーからトヨタランドクルーザーまで、サイズはさまざま。 都会乗りでも人気を集めた「三菱パジェロブーム」(1992年頃)が巻き起こり、また、従来のクロカン・カテゴリーの匂いがあまりしないトヨタRAV4(1994年)やホンダCR-V(1995年)など、シティ派ライトクロカンといえるモデルも次々と誕生。 それらは大ヒットしたが、「新しい何か」や「SUV」という言葉を市場に浸透させるには至らなかった。 ■「クロカンのようだが、どこか違う」。1997年、トヨタ初代ハリアーが新たな風を吹かせた そして1997年。突如としてトヨタが放ったモデルに世間の耳目が集まる。 それが初代「ハリアー」。 それまでのクロカンと、大枠という意味でのカタチは似ているが、丸みを帯びたスタイリッシュなデザイン。 斬新な大径タイヤを履き、オフロードをイメージさせる雰囲気はほぼ皆無。 その外観だけで「クロカンのようだが、どこか違う……」という新たな世界観を感じさせた。 今改めて見ても、リアピラーのデザイン処理は秀逸すぎる、と思う。 また、FFベースでモデルをつくりあげたという発想も、それまでのクロカンモデルとは一線を画している。 頑丈さと耐久性に優れたラダーフレーム構造。 多くのクロカンは、ピックアップやトラックなどに採用されるこのラダーフレームを採用していたが、初代ハリアーはフレームと上屋を一体構造にしたモノコックボディ構造を採用。 オンロード重視のコンセプトは「なんちゃってクロカン」と当時揶揄されたが、今思えば時代をかなり先取っていた戦略であり、この構造の違いが「別物」を生み出したと言っていい。 床から天井までのボディ全体でクルマを構築しているモノコックボディからは乗用車感覚が伝わり、広いキャビンは「まるで高級サルーン!」と例えていいほど。 初代ハリアー。 まさに「新しい何か」が感じられるモデルであり、当時のクルマ好きを振り向かせる存在であった。 ■初代のCMキャッチフレーズは「WILD but FORMAL」。猛々しくもスタイリッシュ。それが似合っていた 前項で「まるで高級サルーン!」と述べたが、当時、クルマ好きの仲間たちと初代ハリアーで高速道路を試乗したことがある。 そのモデルのパワーユニットはV6、3Lだったが、走行しながら、「この滑らかな走り味は背の高いクラウンのようだ~!」と興奮しながら、みんなで絶叫したことを思い出す。 そういう意味では、現在人気絶頂のクラウンクロスオーバーのコンセプトを、25年前に先駆けていたのが初代ハリアーなのかもしれない(……これはちょっと乱暴な表現ですかね。笑)。 このように「新しい何か」をもたらせた初代ハリアー。 シティ派クロカン、あるいはスタイリッシュ・クロカンともいえる存在となり、直後にメルセデスベンツMクラスやBMW X3など欧州ブランドからも「その手があったか!とフォロワーが誕生。 まさに開拓者(パイオニア)といえる。 SUV(スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)という、北米で形成されつつあったカテゴリーの言葉が、初代ハリアーの認知、市場への浸透とともに膨らんでいったのが、ちょうど20世紀が終わりを告げるあたりである。 ■2代目、3代目と正常進化したハリアー。パワフルな走りを味わえるハイブリッドモデルには驚いた! ▲レクサスRXの兄弟車的存在の2代目(上)と、価格を抑えたグレードもあった3代目(下)。3代目のグリルデザインは注目の的! その後、ハリアーの2代目は、レクサスRXの兄弟車的存在として2003年に誕生。 2005年にはトヨタの懐刀、ハイブリッド搭載車も追加された。 V6、3.3Lエンジン+モーターの組み合わせは、当時のハイブリッド=エコという認識を覆すかのように、燃費性能よりむしろ速さ重視というセッティング。 背の高いSUVでも速い! という新境地を提供したモデルといっていい。 2013年誕生の3代目はレクサスRXと袂を分かち、専用モデルとして新たなにスタートを切った。 2Lガソリンモデルという、価格が抑えられたグレードがラインナップされたこともあり、20代の若者にも人気が広がり、「SUV」はいろんな層に受け入れられていく。 ハリアーらしいエレガントさは保ちつつも、スポーティ志向もある。 何よりフロントグリルにガラスのような素材を採用したのが斬新。 当時、ある自動車評論家氏はこのグリルを見ながら「SUV界のEXILEだね」と言っていた。 ふむ、まさに言い得て妙だ。 ……そして、現行4代目ハリアーは2020年に誕生。 クーペフォルムとなったスタイルは、シティ派SUVの本流のど真ん中を走っているといっていい。 また、国産ミドルサイズSUVの主役を担っていることも明言したい。 それだけ、トヨタが力を入れて開発しているモデルであり、ユーザーが求めるクルマでもある、ということだ。 初代の誕生から26年。 SUVの開拓者となった「ハリアー」というクルマは、脈々と世代を紡ぎ、SUVのなかで今でも主役を張る。 これは……「凄い」としか言いようがない。 [ライター・柴太郎 / 画像・Dreamstime, Photo AC]

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