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● 車売却のそもそもの流れが分からない
● どういった売り方が最適か相談したい
● 相続で車を売りたいけど売り方が分からない
● 二重査定や減額について知りたい
など
筆者には愛してやまない3歳の甥っ子と生後7ヶ月の姪っ子がいる。 最近、少し落ち着いたが、誰に似たのか、甥っ子はクルマが大好きだ。 現行車の名前はもちろん、旧車王ヒストリアで扱う年代(彼にとっては、本当の旧車なのだと気づき、感慨深くなってしまった)でも知名度の高い車種はわかるようになってきた。 現行車であるが、ジムニーシエラ、フェアレディZのカタログをプレゼントした。 そしたら、各ページの謳い文句を暗記。 グレードも判別ができるようにまでなっていた! おっと、甥っ子の話は今回の本題ではないので、ここまでにしよう(笑)。 そんな甥っ子、姪っ子とクルマで出かける際の必須アイテムのひとつがチャイルドシートである。 今回は、筆者所有の旧車にチャイルドシートを装着した経験から、読者の方々に少しでも情報共有ができればと思う。 ■同じに見えるチャイルドシート、実は取付方法にも種類が! 筆者が所有する「愛車たち」の生産された年代は、1992年〜2002年式と、10年くらいの幅がある。 それぞれの愛車を見比べると、この10年という期間において、クルマの進歩は目覚ましいものがある。 そのなかのひとつが、安全性能であり、チャイルドシートに関連する機能の進化だ。 チャイルドシートの固定方法については、大きく分けて3種類ある。 まず、現代の主流であるISO-FIXタイプ。 現在販売されているクルマは、ISO-FIXという規格にて簡単に取り付けが可能となっている。 シートの座面と背面の間に固定用のバーがある。 対応したチャイルドシートは、ワンタッチでバーに固定することができる。 確認方法としては、取り付け位置付近にマークが設置されている。 2つ目はALR(自動ロック)付きELR式シートベルトタイプ。 シートベルトを最大限に引き出した後、戻していくと引き出し方向へはロックされる構造となっている。 チャイルドシートを固定する際、緩みを少なく装着することができる。 確認方法としては、上記のようにシートベルトを操作して確認することである。 車両によっては説明が書かれている場合もある。 3つ目はELR式シートベルトタイプ。 従来からある、急ブレーキ時にロックするタイプである。 運転席のシートベルトと同様の構造とイメージしていただければ分かりやすいと思う。 このタイプの場合、チャイルドシートメーカーから、固定用の金具がオプションで用意されている。 固定用金具については、使用するチャイルドシートに合うものの確認を行っていただきたい。 これらクルマ側の仕様に合わせ、取り付け可能なチャイルドシートを選ぶ形となる。 ■同じクルマでも年式で取り付け方法が違う⁉ ここまでは、チャイルドシートの取り付け方について紹介した。 同じ車種でも、取り付け方が異なるパターンもある。 ここからは筆者の体験を交えて、説明したいと思う。 まずは、筆者の愛車であるU14型ブルーバードを例に挙げてみよう。 U14型ブルーバードは96年1月にデビューをしている。 筆者の愛車は98年4月登録の車両である。 前述のALR付きELR式シートベルトが装着されている。 しかし、96年式では、ELR式シートベルトとなる。 同一モデルでも、マイナーチェンジで安全性能がアップデートされているのである。 このような違いは、よほどのマニアでも知らないと思う(笑)。 実は、筆者の親族が96年式のモデルを所有している。 その車両にチャイルドシートを装着しようとした際、ALRの自動ロック機構がないことに気がついた。 もう一例として、T30型エクストレイルを例に挙げる。 筆者が所有しているのは、2002年式モデルである。 購入後に甥っ子が生まれ、改めて車両を確認した。 てっきりISO-FIXが装着されていると思っていたが、確認した際に装着されていないことを知った。 ALR付きELR式シートベルトは装着されているため、ブルーバード同様にチャイルドシートは装着できる。 2002年当時はまだ、ISO-FIXはメーカーオプション(工場装着オプション)の扱いとなっていたのであった。 ちょうど過渡期の時期に登場したモデルでは、このようなケースもある。 過去、クルマに詳しくない友人から、相談を受けたことがある。 「ISO-FIXのチャイルドシートを買ったけど、自分のクルマに付くのかな?」 その結末はそのことについてまとめた。 ■現代主流のISO-FIX、旧車にもあるのか!?確認方法とは? 友人は、2000年代初頭のミニバンに乗っていた。 チャイルドシートを購入する際、車名と年式で調べ、ISO-FIXという単語と装着事例を見たようだ。 購入後、いざ車両に装着する段階で、ISO-FIXが車両に無いことに気が付いたのだった。 これも、ISO-FIXがまだオプション設定のクルマだったため、起きたハプニングであった。 結果としては、チャイルドシートは装着可能なモデルに交換してもらえたそうだ。 過渡期のモデルでは、今回のようなパターンが実際にある。 では、車両に装着されているかの確認方法を説明したいと思う。 多くは後席の座面と背面近辺に「ISO-FIX」を明示する、マークやタグが装着されている。 過渡期世代の明示については異なることもあるため、各車の取扱説明書にてご確認いただきたい。 ■いざ取付け!しかし思わぬ落とし穴も ここまで、旧車にチャイルドシートを取り付けるための説明をまとめてきた。 では、実際に取り付ける段階になるのだが、ここで思わぬ落とし穴が! チャイルドシートを車両に乗せると、意外と大きいことに驚く。 着座姿勢で装着する場合では、大人と同じ一席分で収まる。 しかし、0歳児用のチャイルドシートは、背もたれを寝かせてベッドスタイルにする。 このベッドスタイルが予想外にスペースを取ることを、装着して初めて知ったのだ。 姪っ子用に購入したチャイルドシートは、ベッドスタイルにした際、左右方向に寝かせるスタイルだ。 リアシートに装着したところ、中央席分のスペースも使用するほどのスペースを要したのだ。 5名乗車出来るクルマだが、4名しか乗れなくなってしまったのだ。 前後、左右方向に余裕のある車両なら問題はないだろうが、旧車世代は車内スペースがタイトな場合が多い。 そのことも考慮し、購入を検討する際はぜひ販売店で試着させてもらうことを強くお勧めする。 ■まとめ:必要になる前にクルマの機能とチャイルドシートの種類を理解しておこう クルマの機能とチャイルドシートの種類をよく理解すれば、多くの旧車世代車両にも装着は行える。 但し、くれぐれも誤った装着とならないよう、万全の確認をしていただきたい。 筆者含め、旧車に乗りつつ次世代のクルマ好きを皆さんと一緒に育てていきたいと思うばかりだ。 [ライター・撮影/お杉]
ランドクルーザーといえば、日本が世界に誇るトヨタのクロスカントリーモデルだ。 1951年の初期モデルの販売から現在に至るまで、約70年もの間、愛され続けているキング・オブ・SUVである。 なかでも1984年に発売開始された40系の後継モデルである70系ランドクルーザーは、2004年に日本国内での発売が終了となった。 しかし、復活を望むファンの強い要望に応え、2014年から1年ほど「30周年記念モデル」として発売された。 今回は世界でもいまだに根強い人気を誇っている70系ランドクルーザーについて解説していく。 ■ランドクルーザーの歴史 ランドクルーザーの初期モデルの誕生は1951年、米軍と警察予備隊(現在の自衛隊)からの要請により軍用車両として開発され、当時は「トヨタ・ジープBJ」という名で誕生した。 「BJ」の由来は、水冷直列6気筒B型エンジンとJ型シャーシを採用したことからこの名が付けられた。 結果的に軍用車としては三菱ジープが採用されたものの、トヨタジープは富士山の6合目まで登頂に成功し、警察のパトロールカーとして採用されることになった。 しかしジープという名はアメリカのウィリス・オーバーランド社に商標登録されたため1954年に「ランドクルーザー」へと改名し、現在のランクルという愛称で親しまれるようになった。 ■ランドクルーザーのもっとも売れたモデルは? ランドクルーザーシリーズ全モデルの世界累計販売台数(トヨタ調べ)は、2019年8月に1,000万台を超え、現在では世界170ヵ国で年間約40万台が販売されている。 1955年の20系ランドクルーザーの発売以降、本格的に海外輸出を開始した。 当初年間100台にも見たなかった輸出台数は10年後の1965年には年間1万台を超え、1960年に発売された3代目ランクル、通称40系は北米で記録的な大ヒットとなった。 当時アメリカでもっとも売れたクルマがこの40系ランクルである。 1960年〜1984年と、24年間も生産され続けた。 その結果、世界販売台数は100万台を突破するほどの超ロングセラーかつ大ヒットモデルである。 しかし、日本国内で断トツで売れたモデルはデビュー11年目を迎えたランドクルーザープラドだ。 日本で販売されているランドクルーザーのうち、9割近くがランドクルーザープラドという驚異的な人気を誇っている。 ■ランドクルーザーが世界中で愛される理由とは? ランドクルーザーは開発思想である「信頼性、耐久性、悪路走破性」を最重要視し、お客様のニーズに応えるクルマづくりを一貫して守り続けた。 これはトヨタQDR:Quality(品質)、Durability(耐久性)、Reliability(信頼性)の象徴であると同時に、「世のため、人のため」というトヨタのクルマづくりの原点でもある。 仕事、生活を営むための心強い相棒として「人の命や物を運び、移動の夢を叶えるクルマ」であり「行きたいときに行きたいところに行って、必ず帰って来られるクルマ」、それがランドクルーザーである。 アフリカのブルンジではマラリアに罹った子供を病院に移送したり、ウガンダの難民キャンプでは診療所に患者を運んだり・・・。 さらには人道支援の面でも活躍し、オーストラリアでは亜鉛、銅鉱山の地1,600メートルの坑内の移動車として、また兵庫県とほぼ同じ広さを持つ広大な牛放牧牧場で牛の追い込みに使われるクルマも存在する。 中米コスタリカでは、標高3,500メートルの人が立つのもやっとという急斜面でニンジンの収穫の足として活躍し「畑まで入っていけるのはランドクルーザーだから」と信頼を寄せていただいている地域もある。 ランドクルーザーがないと生活が成り立たない場所が地球上にはまだまだたくさん存在している。 その信頼性と耐久性の高さから現在に至るまで世界中で愛され続ける唯一無二の存在となった。 ■まとめ:中東でランドクルーザーに求められる役割とは? ランドクルーザーは特に中東、オーストラリア、アフリカで絶大な人気を誇っており、現在も70系ランクルやFJクルーザーが新車で販売されている。 これは生活で必要なためであり、日本での自家用車とは違い、主に商用車として活躍しているそうだ。 1951年の初期モデル誕生から70周年を迎えた2021年、フラッグシップモデルのランドクルーザー(ランクル300)はフルモデルチェンジし大きな話題を呼んだ。 現在、新型ランクルの納期は4年待ちとまでいわれており、注文を一時停止するほどに世界各国から注文が殺到しているようだ。 常に進化を続けるトヨタのランドクルーザーはこれからも世界中で活躍し続け、人々の助けとなり、生活必需品として、また相棒として愛され続けるであろう。 まさに「キング・オブ・SUV」の名に相応しいクルマである。 [ライター/高岡ケン]
■1.メンテナンスの基本中の基本、ジャッキアップ ▲空冷ビートルに付属する車載ジャッキ。欧州車は新旧関わらず、この手のジャッキが多く標準装備されるが、あくまでもパンク時のスペアタイヤへの交換用だこれを普段のメンテナンスに使用するのはもってのほかだ。車両の下に潜るような用途には絶対に使用してはいけない DIYでクルマのメンテナンスを行うオーナーにとって、避けて通れない作業がジャッキアップだ。 旧車のみならず、DIY初心者にとって登竜門になると思われるエンジンオイル交換やホイール脱着を行う際にジャッキアップが必須の作業となる。 また、作業を行わないまでも、晴れて購入したクルマの下回りを覗いてみたいと思うメカ好きなオーナーも多いはずだ。 旧車のみならず、クルマの真のコンディションは下回りを見てみなければ分からないからだ。 ジャッキアップ自体は、DIYの中では基本中の基本の作業なので、ハウ・トゥー的な記事は他にも数多く存在する。 今回は、生産後数十年が経過した旧車オーナー向けに、20年来のポンコツ愛好家である筆者が、旧いクルマの独特な注意点をお伝えできればと思う。 ■2.決してマニュアル通りとは限らない、旧車のジャッキアップ方法 ▲空冷ビートルのジャッキアップポイント。新車時ならともかく、旧車で錆による腐食などでフロアやサイドシルにダメージがあるクルマでは、果たしてこんな部分で、クルマの重さを支えることができるのであろうか? DIY初心者であるオーナーが、クルマをジャッキアップしたいと考えたとき。 まず手にするものは、パンタグラフ式を代表とする「車載ジャッキ」ではなかろうか? 結論からいえば、旧車については、これを普段のメンテナンスに使用するのはかなり危険だ。 クルマの「トリセツ(取扱説明書)」には当然のごとく、パンク修理用に車両に付属する車載ジャッキの使用方法が記されているはずだ。 そして、これらはほとんどの場合、ボディーのサイドシルと呼ばれる部分にあるジャッキアップポイントにあてがって使用することを前提としている。 しかし、考えてみてほしい。 旧車と呼ばれるクルマは最低でも生産後20年は経過している。 「オールドタイマー」と呼ばれるクルマであれば、生産後40年~50年は当たり前だ。 すでに「アンティーク(骨董品)」となっている車載ジャッキが果たして使い物になるのか?という問題も当然あるが、クルマのボディー自体がジャッキアップに耐えられない状態になっている場合も存在するのだ。 旧車のみならず、クルマのサイドシルという部分は、縁石などのダメージを受けることが多い。 さらにクルマが長らく放置された場合、この部分に雨などの水分が溜まり、フェンダー裏などと同様、錆で腐食が進行しやすい部分といっても過言ではない。 ジャッキアップポイントには、そのクルマの重さが集中して掛かる。 取扱説明書に記されている通りに車載ジャッキでジャッキアップした瞬間に、いきなりサイドシルが潰れてしまった!そんな話は旧車の世界では決して珍しい話ではない。 このような話は、きれいにレストアされたクルマのオーナーには他人事の様に聞こえるかもしれない。 しかし、実施にはきれいに仕上げられたクルマほど、要注意である。 なぜなら、レストアされたクルマはどのような方法で作業されたのかが不透明な場合が多いからだ。 海外では、腐ったパネルを鈑金せずにFRP樹脂とファイバーパテで埋めるという方法が当たり前のように存在する。 その道のプロであっても、きれいに仕上がっていると一見ではなかなか判別しづらいものである。 塗装面にクラックが入って初めて、厚く盛られたパテが露見するのだ。 旧車にとって、何も考えずにジャッキアップするという行為は、クルマに致命的なダメージを与えてしまう可能性がある行為そのものなのだ。 また不確実なジャッキアップは、作業中に事故に遭う可能性がある。命の危険すらあるのだ。 それでは、一体どうすればよいのか?次項で説明しよう。 ■3.旧車のジャッキアップに必要な知識と道具とは? ▲実際に筆者クマダが使用しているフロアジャッキとリジットラック。どれも安価品だが十分に使えている。赤いフロアジャッキはそろそろ寿命だ まずは、そのクルマの正しいジャッキポイントを探ることが最優先である。 前回の記事で触れたが、サービスマニュアルに必ず記されている項目の一つだ。 なお、フロアジャッキ用のジャッキポイントは良しとして、リジットラックをあてがう部分はサービスマニュアルにおいても、サイドシルが指定されている場合が多い。 前述のとおり、旧車のサイドシルは必ずしもフロアジャッキやリジットラックをあてがえるコンディションではないことが多い。 そうなるとボディーやシャーシの強度のあるポイントを探すこととなるが、これはその車種によって異なる。 そのため、同車種のベテランオーナーか、やはり専門知識を持ったプロに尋ねることをおすすめする。 だいたいの場合、フレームや足回りのサスペンションアーム等の付け根の部分が、強度のあるポイントとして検討できるはずだ。 予備知識を得たら、ここからが道具選びだ。まずはジャッキを選ぼう。 はじめに、車載ジャッキでは定番のパンタグラフ式は、ここではおすすめしない。 それはなぜか? 先述の通り、旧車はサイドシルにダメージを負っている可能性がある点もあるが、何よりもパンタグラフ式のジャッキは車両の前後方向に倒れやすい点がある。 何らかの原因で車両の前後方向に力が加わると、いとも簡単に倒れてしまう。 後述するが、輪留めなしの状態での使用は非常に不安定でとても危険だ。 おすすめはやはり、油圧式のフロアジャッキとリジットラック(通称:ウマ)のセットだ。 これらはベテランのDIYオーナーであれば、必ずガレージに備わっていることであろう。 まずは、フロアジャッキから説明する。 大きく場所をとり、重量もあるフロアジャッキだが、整備工場で使用されるプロ用はとても頑丈な代わりにたいへん高価で、DIYでの購入はハードルが高い。 実際にはDIY向け工具店でのラインナップから選択することになることであろう。 この場合、まずはじめの一台は、鉄製の2.5~3トン程度のものをおススメする。 ネット通販などでアルミ製の3トンといったものも存在するが、これらはあくまでも2トン程度までの使用で考えたほうが良い。 実際に使用すれば分かるが、明らかに容量不足を感じるはずだ。 アルミ製の2トンについては車載用と考えたほうが良いだろう。 安価なアルミ製のフロアジャッキは軽くて持ち運びしやすいが、よくしなる。重量車には使えない。 フロアジャッキの次は、車体を保持するリジットラック選びだ。 これは、一部の折りたためるものを除けば、ホームセンターで販売されている2トンのもので十分こと足りる。 3本脚か、4本脚かの検討ポイントもあるが、ここでは省略する。 実際に手に取って気に入ったものを選んでほしい。 あえて注意点を述べるとすれば、リジットラックが車両と接触する部分の形状だ。 車載ジャッキの先端を注意深く見ると、サイドシルのジャッキポイントの部分にジャストフィットする形状になっているはずだ。 しかし、この部分は市販のリジットラックではぴったりフィットするとは限らない。 また、先述の通り、旧車ではサイドシル以外の部分にリジットラックをあてがう場合もある。 ジャッキアップ後にクルマがリジットラックの上に安定して乗っていればよいが、不安定な場合、車体をしっかり保持できる形状のアダプターを用意する必要がある。 ほとんどがゴム製になると思われるが、この部分は市販のものがうまくフィットしないなどの理由で、木端などの材料で自作している強者も存在する。 最後に輪留めを忘れずに用意してほしい。 輪留めについては、持ち上がっているタイヤの対角線上となる位置のタイヤに使用する。 旧車に限った話ではないが、ニュートラル状態のマニュアル車やサイドブレーキが甘い車両の場合、ジャッキアップした瞬間にクルマが動き始めてしまうということが十分にあり得る。 DIY初心者のみならず、ベテランオーナーにも注意喚起をしたい。事故が起きてからでは遅いのだ。 付け加えれば、スロープを用意するととても便利だ。 スロープについては、本来ローダウンされたクルマなどで、フロアジャッキを車体の下に潜らせることができない場合に使用するものだ。 しかし、車高の高い旧車の場合、エンジンオイル交換などは、ローダウンでもしていない限り、クルマをスロープに上らせれば対応できてしまう場合が多いのだ。 「スロープ+輪留め」で作業をすれば、クルマの下敷きになる可能性は大幅に減少する。 DIYの初心者・上級者に関わらず、ここは必ず実施したいところだ。 ■4.旧いクルマには、常にいたわりをもって接したい ▲旧車でこのようなジャッキアップを行うと・・・ ここまで駆け足で説明したが、話の要は、変形しやすい箱を、いかにダメージを与えずに持ち上げることができるかだ。 分からないことは、なんでも指先で検索できてしまう時代。 いわゆる「自称・正しい方法」とやらが、生産後数十年を経過した旧いクルマにそのまま当てはまると思ったら、それは大間違いである。 今回は旧車という偏った観点からジャッキアップについて短めにまとめてみた。 これは良かれと思って行った作業が、かえってクルマにダメージを与えてしまうということがある一例である。 せっかくの愛車だ。この記事の読者の方は、小さなことでもよく考えて、いたわりをもってクルマに接してほしい。 ●YouTube:BEARMAN’s チャンネル(ベアマンチャンネル)https://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g/ ●Twitter:https://twitter.com/BEARMANs_Ch [ライター・撮影/クマダトシロー]
■インドの街並みとモータリゼーション ▲新型車も古くからのキャリーオーバーモデルも連なる市街地。その合間をバスやスクーターと自転車、徒歩の人までが行き交う パンデミック直前の2020年の冬、筆者はインディラ・ガンディー国際空港に降り立った。 外はデリバリーのタクシーでごった返し、南アジア独特のまとわりつくような空気を肌で感じとる。 不思議の国、インド。 その名を聞けばガンジス川にタージマハル。 神秘的な景色と歴史。 そのなかに力強く、目をギラつかせながら逞しく生きている人々の情景をつい思い浮かべてしまう。 ニュースで伺っている通りインド経済は右肩上がりで、やがて中国を抜いて世界で最も人口が多い国になるらしい。 当たり前のように多くの人はスマートフォンを持ち、都市部では電子決済システムの導入も珍しくない。 乗り合いタクシーのオートリキシャは順次EV化へと進んでおり、まだ設置箇所は一部ではあるが充電スポットなんかも街中で見るようになってきた。 インフラや道路が未整備に感じられる箇所も多く存在するものの、道路建設やショッピングモールも増えはじめた。 これでマンパワーがあれば、やがて他の新興国のように街全体が近代的に発展するのも時間の問題だろう…。 そんなことを考えながら、空港から市街地へと向かうトヨタ・エティオスセダンのタクシーから車窓の風景を眺めた。 ▲日本車の進出も大きい。手前がトヨタ・エティオス。奥がトヨタ・イノーバ エティオスは2011年からインドをはじとしたBRICs諸国へとデリバリーが始まったモデルで、2021年まで10年もの間販売されていたロングランモデルだ。 発売されてすぐの頃、ニュース記事に「気温の高い国で販売される同車種は、運転席に乗り込んだ瞬間に顔へと風を浴びられるように、大き目の丸型ルーバーを装備した」という記事を読んだ記憶がある。 当時は「デザインや設計にもさまざまな観点があるものなんだな」と感じていたものだが、蒸し暑いインドの気候のなか、ドライバーがまさに心地よくエアコンの風を浴びているのを見て、一人後部座席でほくそ笑んでしまった。 空港からニューデリーの駅前までは約50分ほどかかる。 ホテルにはギラギラの電飾が飾られ、四方八方からクラクションの音を響かせあう。 あまりにもひっきりなしに鳴らすので、インドのクルマは”クラクション自体”が故障することもあるそうだ。車両と車両の間はギリギリまで詰めてすぐに渋滞になるが、不思議なものでさほど事故を起こしている場面には遭遇しなかった。 ネットで有名な動画に、クルマが往来する車道を平然と渡っていくインド人の映像を見たことがある。 一体そのバランス感覚はどこで培ってくるものなのかはまさにインドの不思議のひとつだ。 実際にインド人に手を繋いでもらいながらたくさんの車が行き交う道を渡ってもらうと、止まったり怯むことなく平然と道を渡り切ってみせてくれるので、とても印象的な体験だった。 話を戻そう。勃興著しいインド市場。人々と経済が豊かになれば、当然のように欲されるのはクルマだ。 10年以上前、インドの大手現地メーカーのタタ社が10万ルピー(当時のレートで30万円以下)で日本の軽自動車よりも小さい「ナノ」という自動車を発売したのは衝撃的なニュースだった。 自動車とスクーターの中間を補うようなモデルだったが、都市部のニューデリーで現地の男性ドライバーにタタ・ナノの話を伺うと「ああ、あの小さいクルマね...悪くないけど、どうせお金を出して買うならセダンのほうが良くない?安全だし」とあっさり答えられてしまった。 日本のクルマ趣味人に聞かれた手前、自国の古いクルマに対して少し恥ずかしがって答えたようにも思われたが、実際ニューデリーの街中でタタ・ナノとすれ違う回数はそう多くなかったと思う ■ニューデリーにおける人気のジャンルとは? インドといっても非常に広い国であり、経済事情や産業によって必要とされるクルマは異なってくる。 インド国内でもいくつかの都市を見て回ったが、首都であるニューデリーではどんなクルマが流行っているのか。 世界の街角に生きているクルマの姿を切り取り続けている筆者目線で伝えていきたい。 街を見渡すとA〜Bセグメントのコンパクトカーの人気は絶大だ。 マルチスズキのアルト800をはじめ、現代・i10シリーズやタタ・TIAGOなどファミリーから若者、ビジネスカーとして使われる個体まであちこちにいる。 ワゴンRなども多数見かけるが、新車価格が日本円で50万円台から用意され、まさにエントリーカーとしての立ち位置を担い続けているアルトおよびその競合車種が一番の人気といって良いだろう。 ここ数年ではコンパクトカー派生のSUV系の人気が、各メーカー猛威をふるっている。 スズキでいうとAセグメントにあたるエスプレッソがそうだ。 車体は3565mmで軽自動車の寸法を僅かに伸ばした程度であるが、隆々としたボディワークはユニークだ。 海外勢だとルノーやヒュンダイからも同様の車種がリリースされ、街中ですれ違う機会が増えている。 特にポップなデザインは若者需要も巧みに掴み取っており、趣向をキャッチするのが上手いと感じる。 次いでセダンの台数もかなりを占めているように感じる。 これはタクシーで使用されるセダンの数が多いことにも由来するが、これからさらに大きく成長していくインド市場のなかで、”ちょっと良いクルマ像”を追い求めて購入するユーザーが多いことを象徴しているかのようだ。 とはいえ、海外のプレミアムカーであるメルセデスやBMWに関しては見かけると“いかにもお金持ち!”といった印象が強い。 街中で多く見かけるのはマルチスズキ・スイフトディザイアやタタ・Tigor、ヒュンダイ・AURAなどA~Bセグのコンパクト3BOXだ。 ハッチバックにノッチをつけたスタイリングはまさにインド市場的であり、愛嬌を感じさせるデザインだ。 しかし近年では、ハイグレードにもなるとディスプレイオーディオなど上級な装備の設定があり、内装色やパネル類にもこだわりを感じさせる”イイクルマ感”がしっかりと演出されていてなかなかに侮れない。 車種によってはバイフューエルエンジンも用意され、エコ・パフォーマンスに訴求するモデルも多い。 ここで旧車王ヒストリアの読者の皆さまには残念なお知らせだ。 インドでは排ガス規制である「バーラト・ステージⅥ」が実施され、古いクルマは以前よりいっそう姿を少なくさせつつある。 2020年時点でもマルチ・スズキ製のエスティーム(スズキ・カルタスエスティームのインド版)は見ることができたが、台数を減らしているであろうことは街中ですれ違う台数の少なさからも見受けられる。 インドにおけるタクシーの顔だったヒンドゥスタン・アンバサダーも2011年にタクシーとしての使用が禁止され、街中での遭遇回数はめっきりと少なくなっている。 2014年に販売が終了する頃までいすゞ製のディーゼルエンジンが積まれていたりなど、意外なところで日本メーカーとの繋がりがあるが、ヤングタイマーになる前に個体自体が数を減らしてしまうのかもしれない。 ■インドで出会う古いクルマたち! ・・・と、インドのモータリゼーションは先述の通り環境規制なども相まって意外にも新しいクルマが多いのだが、さまざまなブランドが業務提携などを行い古くから製造を続けてきた「近年まで作り続けられている旧型車」が穴場的な存在だ。 例えばアショック・レイランド製の「ドスト」という小型トラックは2011年から2016年まで製造されている比較的新しい車種だが、日本では1985年に製造が開始されたC22型のバネットをベースとしているものだ。 クルマ好きの読者ならば写真をみれば一目瞭然だが、フロントエンドを新造していながらも、キャブはバネットの面影を色濃く残している。 旧スワラジ・マツダを引き継いだSML・いすゞ社からは1982年リリースのマツダ・パークウェイが長きに渡り製造され続けていた。 日本ではほぼ見かけることがなくなったパークウェイだが、インドではさまざまなボディタイプがあり、少なくとも2020年のデリーショーではパンフレットが配布されている。 バスボディの世界は根が深い...と思わざるを得なかった。 もちろんトラックも多数現存している。 ▲手前から三菱・パジェロスポーツ、旧スワラジ・マツダ(現SML・いすゞ)のトラック、奥にマルチスズキ・ZENが見える マルチスズキからは80年代のスズキ・キャリーをベースとしたオムニバスが2019年まで販売されており、いまだに街中で見かける。 渋滞のなかを救急車仕様のオムニバスが走っていくのを何度も見かけたが、日本の高規格救急車の姿に見慣れている自分としては、あの小さなボディでどんな搬送業務が行われているのかは未知の世界だ。 後継車種に当たる「イーコ」は1998年リリースのエブリィ・プラスを基本としたものだ。 現在でもマルチスズキにて新車としてラインナップされている。 今でも新車で買える日本の90年代車としては徐々に希少な存在になってきた。 現在では中国資本のブランドも数多く参入し、選択肢が増えていくインド市場。 キャッチアップに優れたニューカマーと熟成されたモデルが入り乱れる街中のモータリゼーションの風景は、今後さらに混沌を極めるだろう。 まだ、インドでは庶民的なクルマに”レトロ”や”クラシック”をありがたがるという概念は薄いだろうが、今後は現在の中国や韓国のようにレトロフューチャーの波がいずれやってくるのかもしれない。 逆にその頃、日本のセルボ・モードや初代MRワゴンにインドから熱いラブコールがかかったりしたら面白いのだが…。 これからの未来、インドにどんなクルマ趣味が広がっていくのか、今から期待だ。 ■新刊のお知らせ 筆者は自費出版、いわゆる同人誌というものを制作している。 世界の街角を行くクルマの姿をひたすらに撮り続ける本「世界まちかど自動車シリーズ」も新作のインド編で5作品目だ。 まさに今回の記事の延長線でありながら、さらにディープな内容になる予定である。 興味のある読者の方はぜひ、以下のURLより確認していただきたい。 ●インドじどうしゃ #世界の中心編 著:TUNA・サークルINPINE2022年12月31日発売https://inpine.booth.pm/items/4418054 [ライター・撮影/TUNA]
私はZ32専門店を営んで25年になります。 当初、Z32は新車でも売っていましたし、スタイルからして、いつまでも色褪せない現役のスポーツカーだと思っていました。 しかし、この10年で徐々に旧車感が増し、残念ながら今や立派な旧車になってしまいました。 そもそも、「旧車」というワード、今は普通に使っていますが、比較的最近のもので、定義が曖昧なものだと思っています。 一般的には「古い車=旧車」です。よくいえば、「長く生き抜いてきた車=旧車」です。 一体、いつから旧車といわれるのでしょうか? Z32を例に、乗り続けるオーナー様にリスペクトしながら考えていました。 ■2世代以上「型落ち」になった Z32の生産終了後、22年が経ちます。 その後、Z33⇒Z34⇒新型Zへとモデルチェンジを重ねています。 実質3代前の「型落ち」ですから、流石に「旧車」というくくり(扱い)なってきます。 それでも、その型に拘って乗り続けるってすごいことですよね? ■生産終了後、20年経った 「十年一昔」といいますが、その2倍ともなれば、時代もすっかり変わっています。 クルマも進化して。今や電気自動車の時代ですから、流石に「旧車」となってきます。 それでも、乗り換えせずに乗り続けるってすごいことですよね? ■「最近見なくなった」「懐かしい車」といわれるようになった 「最近めっきり見なくなったなぁ」とか、「懐かしいクルマだなぁ」といわれるようになると、流石に「旧車」となってきます。 化石化扱いされても乗り続けるってすごいことですよね? ■修理が増え、レッカーで搬送されるようになった 長く乗っていると、オルタネーターがダメになったり、エアコンが効かなくなったり、経年劣化が進んできます。 レッカーで搬送される場面が増えてくると、流石に「旧車」となってきます。 それでも直しながら乗り続けるってすごいですよね? ■純正部品がなくなってきた 生産終了から10年はメーカーが純正部品を供給してくれますが、それを過ぎた頃から製廃(製造廃止)が増えてきます。 純正部品がなくなってくると、流石に「旧車」となってきます。 それでも諦めずに乗り続けるってすごいことですよね? ■ボディや下廻りの劣化がひどくなってきた 経年劣化で、ボディの塗装が剥がれてきたり、下廻りが錆びてくれば、流石に「旧車」となってきます。 オールペンしたり、レストアをしてまで乗り続けるってすごいですよね? ■ディーラーさんで修理を嫌がられるようになった 修理は近くのディーラーさんを頼りたいものですが、修理を嫌がられたり断られるようになり、乗り換えを勧められるようになると、流石に「旧車」となってきます。 それでも遠くの専門店を頼って乗り続けるってすごいことですよね? ■結果、旧車になりえるクルマは「名車」となる! 総じて考えてみると、旧車になりえるクルマは、どれも名車となっています。 その車を守るファンと専門店によって残り続け、その時代を懐かしく思い出させてくれます。 これからも「旧車=名車」が増えることを期待しています。 ・ホームページhttp://www.Z32-Zone.com/ ・Facebookhttps://www.facebook.com/pages/Fairlady-Z32-Proshop-Zone/286263454768481 ・Instagramhttps://www.instagram.com/Z32_Zone.omura/ ・YouTubehttps://www.youtube.com/user/ZoneZ32 [ライター・撮影/小村英樹(Zone代表)]
■旧車といってもイロイロ。まずは愛車のカテゴリーを理解しよう 旧車といっても、そのボディタイプやエンジン形式、使用燃料や駆動方式、年代、メーカー、生産国など、イロイロな分類基準がある。 このページで扱うのは国産車なので日本車限定だが、国内生産車と海外生産車、輸出国からの逆輸入車などに分類することもできるから意外と複雑だ。 特に逆輸入車の場合、国内モデルと仕様が大きく異なるものも少なくない。 例えばフェアレディ2000。 1967年から70年まで生産されたクルマで、大多数がアメリカに輸出されている。 ボクのフェアレディもアメリカからの帰国子女だから当然左ハンドル。 だけど国内仕様との差はそれだけではない。 輸出モデルでは、キャブレターがソレックスからSUに変更され、オイルパンも大容量7リットルのアルミ製フィン付きではなく、SP時代と同様フィンのない4リットルの鉄製であり、カムの仕様も異なる。 ノーマル状態のUS仕様SRL311は、スポーツカーのスタイルを持ちながら普通の乗用車のような乗り味。 逆に日本国内仕様のSR311は、当時の言葉で表現するなら「レーシー」な乗り味に溢れるスパルタンなジャジャ馬というセッティングだ。 ▲ミクニ製ソレックスツインキャブレターは、国内仕様SR311に標準装備されている。独特の吸気音はマニアにとってたまらない魅力。US仕様では、扱いやすさに優れるSUツインキャブが標準だ ▲国内仕様に標準のアルミ製フィン付オイルパン。7リットル級の大容量で、ホットな走りを支えてくれる。US仕様の標準は、SPと同じオイルパンで、フィンを持たない鉄製。容量も4リットルになる つまり、ノーマル状態前提で乗り味を基準に分類するなら、同じフェアレディ2000でも、SRL311とSR311は異なるグループになるといえるわけだ。 ちなみにボクのはUS仕様のSRL311だが、エンジン仕様はオイルパンも含め国内仕様に変更しているので、SRLグループではなくSRグループといえるだろう。 これらをふまえて仲間を探すなら、キーワードはオープン2シーター、60’sカー、ダットサン、スポーツカー、フェアレディ、クラシックカーなど。 少々話がズレてしまったが、細かく分類し、それに近いカテゴリーのグループとの接点を含めて考えれば、どういう車種が仲間となるのかが見えてくる。 さらにはそのオーナーも指向にも共通点が見出せるはずだ。 まぁ、この分類ってのは文字にするとややこしいし堅苦しいものだけど、一般的には感覚的に分類を捉え、やがてその「ニオイ」を嗅ぎ分けるようにグループを形成していくわけだ。 ■具体的な仲間探し。インターネット・バージョン ではどのように仲間を探すのか? 今の時代でもっとも手軽で有効な方法はインターネットの活用だろう。 ボク自身も、最近手に入れた83年型フェアレディZターボ2by2に関しては、元々興味を持っていないクルマだったから、知り合いもいなければ同好の仲間もいない。 そこで最初に起こした行動は、facebookでのグループ探しだ。 まずは、S130型フェアレディZで検索。 この車種に特定したグループだから迷いがない。 すると3件のグループが登録されていた。 その中で唯一の国内サイトである「Firlady S130 Owner’s Netwaork」にアクセスし、参加申請したわけだ。 そこで愛車の写真とともに初投稿のご挨拶を済ませたのだが、 圧倒的少数だと思っていた2by2で逆マンハッタンカラーのターボ車オーナーを、あっという間に2名確認することができた。 S130Zミーティングの案内もあり、参加すれば、ネット上のバーチャルワールドではなく、リアルワールドでの仲間と出会えるはずだ。 また、実用上不便を感じていた欠品パーツについて問い合わせたら、その日のうちに何人もの仲間から純正パーツの代用品情報が得られ問題解決。 信頼している、旧い日産車を得意とするメインテナンスショップでも、社外品の流用パーツに関する情報はなかっただけに、同好の仲間達との繋がりの大切さを痛感したことは記憶に新しい。 ボクが検索したのはfacebook内のグループだけだけど、他のバーチャルワールドでも、検索してみればイロイロ出てくるに違いない。 ■具体的な仲間探し。リアルワールド・バージョン リアルワールドで仲間と出会うなら、愛車に参加資格がある各種イベントに参加するのが一番。 そのためにも、愛車のカテゴリーをシッカリ確認しておきたい。 ここでは、ボクが最近手にいれ、日常のアシとして活用中のデカレディこと83年型フェアレディZターボ2by2(GS130型)を例に、一緒に考えてみよう。 まず、S130型フェアレディZの経歴と特徴を確認する。 1.デビューは1978年。当初のエンジンは、電子制御燃料噴射装置を採用したL20E型とL28E型だった。 2.大きく重くなったボディには、L28E型エンジン車がベストマッチだったが、当時の日本では3ナンバー車となると、自動車税が5ナンバー2リッター車の約2倍となるため、国内の主力はL20E型。ノーマル状態では、パワー、トルク共に非力さが目立った。 3.エンジンは非力だが、大容量80リットルのガソリンタンクを持ち、高速巡行なら800km級の航続距離を誇っていた。 4.1980年には、国産車初のTバールーフ車を追加。81年秋にマイナーチェンジ。82年10月には国産初の超ワイドタイヤ「215/60R15」を標準としたL20ET型ターボエンジン車を追加し、83年9月のモデルチェンジによりZ31型へとバトンを渡した。 5.なお、対米輸出モデルには、81年から、2800ccのL28ET型ターボエンジンが追加されたが、国内には導入されていない。 6.全輪ディスクブレーキの採用、セミトレーリングアーム式リアサスペンションに変更、一部グレードだが、パワーステアリングやパワーウインドウの採用、そしてセンターピラー付とするなど剛性を強化したボディ、サッシュレスのドアなど、S30型から総合的に進化している。 これがS130型フェアレディZの大雑把な経歴と特徴。 生産年次が70年代末から80年代初期のモデルだから、ネオクラシックカーと呼ばれるカテゴリーに属するクルマといえる。 ▲「旧いクルマ」という緩い縛りの展示型イベント。この日は、50’sカーから90’sまで、多様な車種で賑わっていた クラシックカー関係のイベントで、「79年までに生産されたクルマ、またはその同型車」という参加資格を見かけるが、S130型フェアレディZはそのあたりに該当するわけだ。 また、フェアレディ一族であるから、当然、オールフェアレディといったイベントにも参加できるだろう。 もちろん、もっと緩い、自動車趣味人なら誰でもどうぞ、みたいな集まりも各地で開催されている。 こうしたイベントは、マイカーとともに参加するのが一番だ。 しかし、見学に行くだけでも、仲間を見つけたり、同時開催のフリマなどでパーツやアクセサリーを見つけたりするチャンスなので、積極的に参加したいものだ。 ▲展示型のイベントは、見学者も多数いるので出会いのチャンスが多い。参加するのが一番だけど、見に行くだけでも楽しめる ■愛車で走り回るだけでも出会いがある! 仲間を見つける目的ではなくても、単純に愛車で走り回ることも仲間の輪を広げるために有効な方法といえる。 走行中に同好の趣味人とすれ違ったり、信号待ちで声をかけられたり、なんてケースも少なくないからだ。 実際、たまたま寄ったコンビニとか、高速道路のSAやPAで話しかけられ、一緒にツーリングしたり、まったく別のイベント会場で再会、なんてことも少なくない。 ▲たまたま寄ったコンビニで偶然一緒になった旧車たち。こういう出会いは意外と多い さらにいえば、乗っていたクルマを譲って欲しいと懇願され、譲ったこともある。 よくクルマ好きが集まる喫茶店や、ワインディングロードに近いレストランなど・・・。 旧車ファンに人気のスポットに行くのも、出会いのチャンスを広げる効果的な方法だ。 それがどこにあるかは、事前にインターネットで調べればよい。 リアルワールドの出会いは外に出ることが大切だ。 さらに行動に高効率を求めるなら、インターネット検索などバーチャルワールドを活用する、ハイブリッド方式が有効といえるだろう。 と、ほぼ原稿を書き終えた時点で、デカレディに乗り、公共料金を払いにコンビニに寄ったら、フィガロとラシーンをアシに使う趣味人に声をかけられ名刺交換(笑)。 旧車に乗って走り回ると、必然的に同好の仲間や、昭和世代に憧れる人々を寄せ付けてしまうようだ。 [撮影&ライター/島田和也]
■第6回 ~アルミ弁当箱と旧車の意外な関係~ どうも!「日本アルミ弁当箱協会」会長のマツド・デラックスでございます。 「旧車王」連載6回目となりました今回も「アルミ弁当箱と旧車の意外な関係」を語って行きたいと思います! ■アルミ弁当箱に描かれない車両たち その2 アルミ弁当箱には、特撮やアニメ、漫画などたくさんのヒーローが描かれます。 そして、そのヒーローを助ける人間たちの武器や戦闘用のメカ等も描かれるわけです。 そのなかでも比較的多いのは空を飛ぶ戦闘機。 しかし、活躍が地味(?)な車両は描かれていることが少ないようです。 今回もあえてそんな車両たちに注目して行きたいと思います。 前回冒頭で少しだけ紹介した「帰ってきたウルトラマン」に登場する「マットビハイクル号」に今回はスポットを当ててみましょう。 ▲写真提供/城井康史氏 ■生まれて来たときからすでに特撮車両のようなスタイリング~ ウルトラシリーズのアルミ弁当箱のスタートは、意外にも「帰ってきたウルトラマン」です。 「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」のアルミ弁当箱は私自身、いまだに見たことがありません。 なぜそうなったか?さえも今となっては知る人もほとんどいません。 そのため、私が会長を務める「日本アルミ弁当箱協会」お得意の「想像と妄想」で語るしかないのです。 それはさておき「帰ってきたウルトラマン」で登場した「コスモスポーツ」は、当時の子どもたちにとって「特撮用」のクルマと思っていたほどスタイリッシュかつカッコイイと映っていたのではないでしょうか 「帰ってきたウルトラマン」のアルミ弁当箱は5種類ほど確認されており、90年代に「駅弁」として販売されたものも加えると6種類あります。 しかし、そのどの図柄にも「マットビハイクル」は描かれていません。 そういえば、現存するお弁当箱の描かれている車両は「オペルマンタ(レッドバロン)」と「フィアットX1-9(ジャッカー電撃隊)」は輸入車です。 また「バロム1(SR311)」は原型がわからないほどの改造車両。 「ストラダ5(トライシャーク)」に至ってはベース車両すらわかっていないことを考えると、ベース車両が国産の一般車両とわかることが「版権」等に関わってしまい、当時アルミ弁当箱に描かれなかったのかもしれません。 当時のアルミ弁当箱を製造・販売する企業は、子どもたちの熱望するものと「大人の事情」で図柄にできなかったものを狭間で考え、工夫をしたうえで私たちに楽しいお弁当時間を提供してくれていたのかも知れませんね。 ▲写真提供/城井康史 そんなことを想像させてくれたのが今回の「コスモスポーツ」だったような気がします。 次回もアルミ弁当箱を通し斜めから見た旧車をお送りいたします。 ■12月11日(日)「アメイジング商店街5 and すーぱーレトロEXPO 出張版」にてアルミ弁当箱展示予定! まったく脈絡のないコラムではありますが、「旧車王」ともども「マツドデラックスコレクション アルミ弁当箱図鑑」もよろしくお願いいたします。 また、アルミ弁当箱を並べて欲しい等とご要望のある方もぜひお声をかけてください。 次回はイベントは12月11日(日)に開催される「アメイジング商店街5」です。場所は「東京都立産業貿易センター浜松町館」にて展示予定です。 よろしくお願いいたします! ●「アメイジング商店街5 and すーぱーレトロEXPO 出張版」 開催日:2022年12月11日(日) 会場:東京都産業貿易センター浜松町館2F(東京都港区海岸1-7-1/竹芝駅[西口]から徒歩約3分)時間:10:30(先行入場) 11:00〜16:00主催:マクラウド 代表:白石知聖https://www.macleod.jp/amezing5form/ ●日本アルミ弁当箱協会会長「アルミ弁当箱図鑑 厳選50 」出版への道https://www.qsha-oh.com/historia/article/matsudo-bangai-1/ ※アルミ弁当箱を並べて欲しい等とご要望のある方も是非お声をかけてください。 ●日本アルミ弁当箱協会ホームページhttps://kyokai.fans.ne.jp/arumibenntou/ ●Twitterhttps://twitter.com/keisuke38922 [撮影/ライター・マツド・デラックス(山本圭亮)]
早いもので、インターネットが一般に普及してから20年以上経過した。 自分自身、はじめてインターネットに触れたのがたしか1996年。もう四半世紀以上の前のことだ(愕然)。 これは面白そうだと、秋葉原でアウトレット品の富士通FM-VデスクトップPCを購入し、自宅にインターネット回線を引いたのが1997年の末。 常時接続はもう数年先のことであり、YouTubeで動画を再生しながらダラダラと過ごすなんて想像すらできない時代だ。 当時「テレホーダイ」というサービスを利用しないと通話料金が青天井で加算されていった。 しかし、このテレホーダイを利用することで、23時から翌朝8時まではインターネット使い放題になるという、当時としては夢のようなプランだった。 その結果、夜11時になると日本中のネットユーザーがいっせいに回線にアクセスして、ページの表示が遅くなるのでイライラ・・・みたいな毎日だった。 20代の方にとっては「?????」かもしれないが、お父さん世代の人たちはこんな感じだったのだ。 なるほど、インターネット老人会などとという言葉が生まれるわけだ。 ■20数年間でインターネットがカーライフにもたらしたものとは? 2000年代に入り、職場はもちろん、自宅にもインターネット回線を引く人が増えてきた。 そのうち、自分でホームページを立ち上げ、自慢の愛車やカーライフを紹介する人も増えていった。 「ホームページビルダー」というホームページ作成ソフトの存在が知られるようになると、さらにその流れが加速していったように思う。 ネットユーザーが増えていくにつれて、自然とコミュニティが生まれる。 mixiのようなSNSが普及するまで、ML(メーリングリスト)がコミュニティの形成によく使われていたように思う。 現在でいうところのLINEグループの原形のようなものかもしれない。 参加を許されたMLメンバー間のみでメールの中身を見ることができたり、やり取りが可能であった。 こうして、インターネットがなければ知り合うことができなかった人、と同時に「名前も顔もよく分からない人」との接点が生まれる。 次に行われたのが、いまでも続く「オフラインミーティング(通称オフ会)」だ。 ここで初めて・・・というか、ようやくMLメンバー同士が顔を合わせることになる。 初対面だけど、これまでのMLのやりとりで関係はできているだけに、既になんだか妙に気心が知れた間柄・・・という不思議な感覚を味わった人も多いと思う。 インターネットが普及したことで知り合えた人、手に入れたクルマや部品、果ては仕事まで・・・さまざまな恩恵が受けられたはずだ。 しかし、そこは世の常。そんなきれいごとばかりではない。 そこにはメリットはある一方で、同時にデメリットも存在する。 キリがないので5つに絞ったが、どれか1つか身に覚えがあるかもしれない。 ■インターネットがカーライフにもたらしたメリットとは? 1.端末ひとつあれば世界中から買い物ができる ひと昔前ならパソコンで、いまならタブレットやスマホさえあれば、検索して欲しいものが探せたり、購入できようになった。あまり語学力がなかったとしても、Google翻訳などを駆使すれば意外と何とかなることも多い。一例として、利用する・しないはともかく、eBayとはどんなものか?いちど見てみる価値はあると思う。 2.本来であれば出会えなかった人と知り合える 現在所有している愛車の前オーナーだったり、ファーストオーナーだったり、同じ趣味を持つ海外に住む外国人であったり・・・。例を挙げればキリがないが、インターネットがなければ知り合える、あるいは出会える確率がグッと低くなる(またはほぼ不可能)ことは間違いない。誰がいったか「愛車はコミュニケーションツール」は本当なのかもしれない。 3.探している情報が飛躍的に見つけやすくなった インターネットがなかった頃、使えない環境を想像してみてほしい。AE86レビン(前期)のGT-APEXとGTVってタイヤサイズ違うんだっけ?といった疑問にぶつかったとする。インターネットがあれば検索すれば一発で解決だが、ない場合は・・・カタログなどの資料を探すところからはじめなければならない。自宅になければ友人宅か図書館か・・・。ネット検索と同じゴールにたどり着くまで時間が掛かりそうだ。 4.自分のカーライフを気軽に発信できるようになった 自身で作成したホームページに加えて、ブログやSNS、YouTubeなど、あらゆる方法で自慢の愛車や自身のカーライフを発信できるようになった。その結果、これまでの情報源は雑誌か口コミだったものが、爆発的に情報量が増えた。そのなかにはメディアでは発信不可能なネタも含まれる。 5.旧車オーナーの駆け込み寺・セーフティーネットの確立 旧車およびネオクラシックカーオーナーを取材すると、純正部品の欠品や製造廃止で悩んでいる方が本当に多い。そんなオーナーたちのよりどころが、YAHOO!オークションをはじめとするネットオークションや、メルカリなどのフリマサイトだ。ただ、考えることはみな同じなので、争奪戦&共食いであることもしばしば・・・なのが辛い。 ■インターネットがカーライフにもたらしたデメリットとは? 1.世の中が非寛容になった? 「ネット文化=揚げ足取りの文化」という経験をしたことがあるかもしれない。ちょっとした間違いやミスを徹底的に攻撃したり、ひと昔なら「これくらいは・・・いいよね」といった投稿を許容しない風潮が年々強まっているように思えてならない。今後も刻々と変化するグレーゾーンを見極める必要がありそうだ。 2.情報の精度を見極めるスキルが求められる インターネットが普及する以前とは比較にならないくらい情報量が増えた分、「ホントかよ」と思うものも増えた。メンテナンス系の情報など、鵜呑みにすると危ないこともある。迷ったときはプレスリリースやカタログ、取扱説明書(インナー向け専門書も含む)、オフィシャルサイトで確かめるのがいいかもしれない。 3.コミュニケーション力が問われる? 日常的にSNSを利用している方であれば想像できるかもしれないが、「どこの誰かよく分からない相手と文字だけでコミュニケーションをとる」ことも少なくない。そのため、自分の意図したこととは違う意味で解釈されてしまうことも充分にありえる。日常生活以上にコミュニケーション力や空気を読むスキルが問われる世界だ。 4.良くも悪くも情報が拡散する 友人・知人を問わず、時事ネタ、SNSを通じて、涙なしにはいられないイイ話しもあれば、テメーコノー!*●$〒〆◆・・・(*自主規制)なものまで。日々、ありとあらゆる情報が怒濤の如く押し寄せてくる。1億総ジャーナリスト、総監視社会・・・挙げればキリがない。そういえば自分の記事も良くも悪くも拡散することがあり、フルボッコされることもしばしば・・・。 5.個人情報がダダ漏れになる可能性あり SNSなどに旅行先で撮影した画像をアップしたり、行動パターンが読める投稿をしたり・・・と思わぬカタチで個人情報がダダ漏れになることがある。どうしても発信したい!という人もいるだろうから、鍵アカウントにするなど、公開範囲を限定するのが得策だと思われる。 ■まとめ:25年使って感じた「インターネットがカーライフにもたらしたもの」とは 気づけばこの25年間、ほぼ毎日インターネットに接続してきたように思う(改めて愕然)。 もはや生活の一部であり、なくなってしまったらどうなるんだろうとすら思うこともある(意外と何とかなるかもしれない)。 25年使って感じた「インターネットがカーライフにもたらしたもの」。 答えをひとつに絞るとしたら、それは「人との出会い」に尽きるような気がする。 ■余談:ヤフオクはもはや旧車オーナーの駆け込み寺? そして、旧車オーナー、ネオクラシックカーオーナーを含め「絶版車」を所有する方であれば、1度はヤフオクやメルカリ、eBayなどを利用したことがあるかもしれない。 今も昔も主戦場、駆け込み寺であることは確かだ。 しかし・・・車両本体の高騰に呼応するかのように、中古部品の相場も同様だ。 さらには仲間内で共食いになっているケースも少なからずあると聞く。 今後は同じクルマを愛する人たちのコミュニティに属し、有益な情報やお互いの部品のトレードするのが懸命かもしれない。 それにはまず「ギブ・アンド・テイク」の精神が不可欠といえるだろう。 [画像/Adobe Stock ライター/松村透]
皆さーん! 大好きな愛車の、あるいは欲しい旧車のどこが好きー!? 僕はねー、格好いいとこと、身軽なとこと、適度にゆるいとこと、なにより乗ってて楽しいとこー! いや、ここのところ「旧車は不便を受け入れて乗るものよ」など、ネガティブな発言を続けてしまったので、ここらでポジティブな内容をお送りしたいなと。 というわけで、今回は実際に所有し、数年間、乗り続けたクルマの好きなとこ語りです。 いずれも現愛車S15以前のクルマなので、旧車とみなしても問題ないかと。 ■加速とアクセルレスポンスは、現行車にもひけを取らない3代目プレリュード 免許証を取得後、お仕事の先輩から5万円で購入した、記念すべき最初のクルマである3代目プレリュード。 デートカーとしてあまりに有名ですが、助手席に母親以外の女性を乗せたことはありません。 あとクルマに詳しい方からは、挨拶のように「後輪を曲げてみせて」と話しかけられました。 グレードは廉価の2リッターSOHCモデル。 このSOHC、本気でナメちゃいけません。 1トンちょっとしかない車重もあって、加速とアクセルレスポンスは鋭いことこの上なし。 雨の日に荒っぽい発進をすると、たちまちタイヤは空転します。 このプレリュードに乗ったおかげで「クルマのエンジンはSOHCで十分。むしろエンジンフィールの気持ちよさを売りにするならSOHCが最良だ」という信念が生まれました。 「エンジンのホンダ」の真価と、のちにホンダ車の主流がFFである理由を気付かせてくれた一台でした。 ■運転が楽しいクルマの最高峰! 2代目マーチ 親から譲ってもらった2代目マーチ。 今でも十分に通用する完成されたデザインとインテリアで、累計100万台も売れた、(当時の)日産の救世主。 グレードは廉価の1リッター、ウインドウレギュレーターハンドルくるくるモデル。 個人的に、これまで乗ってきたクルマの中で、1、2位を争うほど運転と操作が楽しかったクルマです。 ちゃんと操作すればMTもスコスコと入るし、1トンを切る車重により出足も良好。 当時のコンパクトカーは上り坂や高速で息をつくものでしたが、MTのおかげで、どんな場面でもパワー不足を感じたことはありません。 道を選ぶことなくキュンキュン走ってくれました。 軽すぎてカーブを曲がっている最中、真横に飛ぶこともあったけど、それもまた楽しかったなぁ(まだ親が乗ることもあったので、急ぎ、タイヤを格上ブランドものに交換しました)。 楽しく運転や操作、高回転まできっちりと回し、適切な回転数で走行することを学ばせてくれた、僕にとって教官的なクルマ。 もし駐車場とかの住居環境が許すなら、今からでも再購入したい一台です。 ■クルマいじりや正しい運転を学ぶのに最適だった古典的FR、6代目シルビア はじめて新車で購入した6代目シルビア。 通称“ツリ目”でグレードはNAエンジンのQ‘sモデル。 シルビアは素人でも色々と手を加えられる、シンプルな古典的FR。 クルマいじりための教本が山ほど売られていました。 くわえてネットオークションの普及により、地方であっても手軽にパーツが購入できるようになった時代。 私も実家の庭の一角を占有し、様々なパーツを付け替えては遊んでいました。 交換したパーツの効果を知るには、正しい運転や操縦の知識が必要と、運転の教本も読みあさっては、試行錯誤をしたころでもあります。 ドライバーとクルマは対話をしながら操作するもので、特にFRはドライバーが我を押し通すと、たやすく関係が破綻すること。 振り返ってプレリュードやマーチが持っていた、ドライバーの技量を受け止めるFFならではの懐の広さを知ることもできました。 S14は移動だけでなく、クルマの知識、クルマいじることによる変化、正しい運転や操作を行うことで、気持ちのいい手応えが返ってくることなど、基礎を学ぶための教材として大いに活躍してくれました。 ■長く乗り続けることで嬉しいことが増えた7代目シルビア 最後に現愛車である7代目シルビア。 グレードはNAエンジンのSpec_Sモデル。 S14よりボディサイズがちょっと小さくなっただけで、ずっと運転しやすくなったことを最初に感じました。 事実、S14のバンパーの四隅には、無数の小傷を作っちゃってましたし。 さっきも記しましたが基本的にはS14と一緒なので、大きな衝撃はなかったのですが、乗っているうちに「乗りやすくなった」ことを実感。 また短期間ですがS13Q‘sを所有していた経験も生きて、“熟成を重ねる意味”を知ることができましたね。 ただ、いいとこばかりではなく、バブル崩壊の影響なのでしょう。 いたるところにコストカット跡があることも分かっちゃったわけですが……。 あと、S15を目にする機会が少なくなったこともあってか、お子さんに「あ、シルビアだ」って指さされることが増えました。 またシルビア系のオーナー間の連帯感も強くなり、すれ違うときに挨拶しあうことも多くなりましたね。 これは地味に嬉しく、楽しい変化です。 ■その時代のクルマならではの魅力が見つけられる 興味はもちろん仕事柄もあり、最新車種を運転する機会もあります。 最新車種は完成度の高さと多くの新しい技術により、さまざまな衝撃や「欲しいな」という意欲を抱かせてくれます。 けれど自身のS15に戻ると「まだまだ、これでいいじゃん。いや、“これが”いいじゃん!」と、あらためてこの時代のクルマが持つ楽しさを再確認させてくれるんですね。 プレリュードから始まりS15まで、それぞれのクルマが持っていた魅力は、クルマを取り巻く環境的な問題により、もう再現できないものだと思っています。 楽しい思い出とともに、それぞれの魅力を知ることができたのは、とてもいい経験でした。 こちらをごらんの皆さんの好きなクルマや欲しいクルマは、必ず、そのクルマだけが持つ魅力や所有することで得られる楽しさ、そして生産された時代の香り秘めています。 それを色濃く感じられるのは、実際に購入を果たしたオーナーだけです。 この記事が、購入を迷うあなたの背を押す力になれば、幸いです。 [画像/日産・ホンダ ライター・カメラ/糸井賢一]
前回、初めて工具を購入する旧車オーナーのために、簡単ではあるがアドバイスとなるであろう記事を担当した。 今回はその続編として、晴れて旧車オーナーとなったら、次にいったい何を揃えれば良いのか、具体的な内容にまとめてみた。 ▲おちゃらけた内容の筆者のYouTube動画も、すべて事前にサービスマニュアルやパーツリストなどで下調べをしたうえで作業をおこなっている(私クマダはYouTubeでポンコツ再生動画を公開しております。ぜひ動画もご覧になってください。チャンネル登録お待ちしております。動画はこちらです→ https://t.co/jshezU8Be0) ■工具以外にもこれだけは揃えておきたい 晴れて旧車オーナーになって、少しでも自分自身でクルマに手を入れてみたいと思ったら、まずは参考となる資料を用意するべきであろう。 DIY派の旧車オーナーに筆者が入手を強くおすすめしたいのが、「自身の愛車のサービスマニュアル」と「パーツリスト」だ。 ▲筆者所有のサービスマニュアルやパーツリスト、社外アフターマーケット品のパーツカタログなど。余談だが、海外のパーツカタログ類は資料性が高く、参考となるものが多い。英語というハードルがあるが、国産旧車でも海外輸出されていた車両であれば、洋書で探すという手段が存在する 旧車は、日常的に行われる基本的なメンテナンスなどにおいても、現代のクルマでは当たり前となっている方法とは異なる場合が多い。 例えば基本中の基本、エンジンオイルを例に挙げてみよう。 たかがエンジンオイルと思われるかもしれないが、今日一般的に入手できるオイルが使用できるのか、もしくは旧車用と呼ばれる特殊な粘度のオイルを用意しなければいけないのか、サービスマニュアルがなければ判断すらできない。 タイヤひとつとっても、ホイールナットの締付トルクはおろか、規定の空気圧すら分からないなど、手探りで作業する場面が容易に想像できる。 DIY初心者にとっては、とても心許ないものであろう。 また、旧車は修理などパーツ交換が必要な際に、あらかじめそのパーツが入手できるか否か作業を行う前に探りを入れておかなければならない。 パーツの供給状況によっては、その作業を断念せざるを得ないことがあるからだ。 パーツリストは部品検索のための必須ツールだ。 部品番号がわからないと発注はおろか、パーツ探しすらままならない。 正直なところ、これらは当時モノとなるため、車種によっては入手困難なケースもある。 しかし、ネットオークションなどを駆使して何としてでも手に入れてほしい。 サービスマニュアルとパーツリストは旧車オーナーにとって、たいへん重要な参考資料であり、いわば旧車維持の道しるべともいえるからだ。 ■現代車では用いられることがない、旧車ならではのツール。タイミングライトとシックネスゲージ ▲シックネスゲージを使用して実際にタペット調整をする。決してむずかしい作業ではない。ある年代より旧いクルマでは必須メンテナンスだ(画像は空冷ワーゲンの水平対向4気筒エンジン リアルタイムで旧車に接してきた世代のオーナーにとっては当たり前のことであっても、若いオーナーにとってみれば「なにそれ?」といったことは多々あるだろう。 旧車といえども、比較的に現代車に近い感覚で乗れる1990年代以降のネオクラッシックカーであっても、平成生まれのオーナーにとっては生まれる以前に造られた、あるいは同世代のクルマだ。 筆者はいわゆるアラフォー世代の「おっさん」である。 その「おっさん」が免許を取ってクルマをいじり始めた20年前であっても、実際に当時で「旧車」と呼ばれたクルマに触れないかぎり、出会うことはないであろう基本的なメンテナンスが存在した。 代表的なものをいくつか挙げてみれば、「タペットクリアランス調整」「ポイントギャップ調整」「点火時期調整」あたりだろうか。 具体的内容については話が長くなるのでここでは割愛するが、これらは、よくいわれるエンジン完調のための基本「良い圧縮・良い火花・良い混合気」すべてに関連する。 旧車を絶好調に走らせるための必須メンテナンスだ。 ここで必要となるのが、タイミングライトやシックネスゲージである。 さすがにこれらはホームセンターの店頭はおろか、工具店でも在庫として店頭に置いてある店舗が非常に少なくなったように感じる。 これらはネット通販であれば安価に入手できるが、筆者の経験ではタイミングライトの安価品は高い確率で早くに故障する。 シックネスゲージについては高額ではないので、精度を信頼できる日本製を選んでほしい。 デジタル化された現代のクルマでは、これらの部分は「メンテナスフリー」というより、「ノンタッチ」となっている。 これらは当時、車検点検の際には必ず行われる身近なメンテナンスであったと聞く。 車種によっては、取扱説明書に作業方法が記載されるほどであったという。 これらはDIY派の旧車オーナーには、オイル交換・スパークプラグ交換の次に、ぜひ実践してほしい基本メンテナンスだ。 この部分を普段から触れているオーナーは、早い段階で一見判りづらい完調であるクルマ、そうで無いクルマの判別が感覚的に身についてくることであろう。 ▲「画像④」:YouTube動画内で登場したタイミングライト。40年以上前のナショナル製。(#11 完成 / スズキ カプチーノのへたったエンジンをリカバリーせよ)より。動画はこちらです→ https://youtu.be/1Fx3xMNmNxM ■DIY派の旧車オーナーは、ぜひグリースにもこだわってほしい 自身でメンテナンスを行うと、グリスアップを行う場面が増えてくるはずだ。 グリスアップはメンテナンスの基本中の基本といっても過言ではないだろう。 オイルと同じくメカニズムを潤滑保護するために必須の油脂、グリース。 各種オイルにこだわりを持つ旧車オーナーは多いが、グリースもオイルと同様、目的に応じてさまざまな種類が存在する。 ここに一般的な自動車整備に使用されるグリースの代表的なものを挙げるとしよう。 ●リチウム石けん系グリース マルチパーパスグリースという名で広く一般的に使用される。 マルチパーパス(万能)というが、これを鵜呑みにしてどこにでも使用してはいけない。 ●カルシウム石けん系グリース 通称シャーシグリースとも呼ばれる。 主にジャバラチューブに入っていて、下回り各所のグリースニップルにガンで充填することが多い。 耐水性もあり安価だが、耐熱性は期待できない。 ●二硫化モリブデングリース マルチパーパスグリースに二硫化モリブデンを配合し、耐摩耗性・耐荷重性を持たせた黒いグリース。 トライブシャフトなど、等速ジョイントのブーツ内部などに使用される。 ここまでは、液状の「ベースオイル」を、半固体の「グリース」にするための「増ちょう剤」にリチウムやカルシウムを使用した「石けん系」のグリースである。 以下は増ちょう剤に石けんを使用しない「非石けん系」グリースの代表的なものを紹介する。 ●ウレアグリース マルチパーパスグリースとほぼ同じ用途で使用されるが、やや耐水性・耐熱性が高い。 密封されたシールドベアリング内部など製品に使われることが多い。 筆者はクルマよりもバイクの整備によく使われるイメージを持っている。 前述の3種類の石けん系グリースは、ほぼ鉱物油ベースといって間違いない。 しかし、この非石けん系のウレアグリースに関しては、製品ごとにベースオイルが異なる場合が多い。 購入する場合には、耐ゴム性能の観点から購入時の確認は必要と思われる。 ●ポリグリコール系グリース 「ラバーグリース」や「ブレーキグリース」の名称で店頭に並ぶ合成油ベースのグリースだ。 ブレーキ内部のピストンシールやカップラバーなど、ゴムを傷めずに潤滑する。 ●シリコーン系グリース 耐熱かつ耐寒、幅広い温度帯で使用可能。 さらに耐水性も抜群な白いグリースだ。 ただし金属同士の摺動面や力のかかる部分には使用できない。 主にプラスチックやゴムに使用される。 高額ではあるが、幅広い用途に使用できる。 その他、特定の使用用途に応じたグリースも多々存在する。 ここで、前述した汎用グリースでは代用できない例を二つ挙げてみよう。 ●ブレーキパッドグリース 主にブレーキパッドとシムなどキャリパー周辺や、ドラムブレーキのライニングとバックプレートの接触部分などに使用する。 他のグリースで代用すると雨などの水分に流されてしまい、ブレーキ鳴きの原因の一つとなる。 耐水性をもつことから、シリコーン系グリースでも代用できるという意見もある。 しかし、筆者はグリースの固さ、すなわち「ちょう度」によると考える。 相手は重要保安部品のブレーキだ。 ここは専用品を使用するべきであろう。 ●クラッチスプライングリース クラッチ交換時に使用するグリースである。 乾燥しにくい性質を持たせることで、グリースがクラッチ摩擦材などのダストを含むことで固くペースト状になることを防ぎつつも、周囲に飛び散りにくいという特長を持つ。 このグリースについては、オートマ車全盛の今日において使用頻度が低いためか、修理の際に別のグリースで代用され時間の経過とともにグリースが粘着する。 クラッチペダルが極端に重くなったり、グリースが周辺に飛び散るなどしてジャダー発生の原因となっている例がある。 細かい部分ではあるが、安易なグリース選びができない一例だ。 他にも挙げられるものはあるが、一般的なクルマのメンテナンスに使用されるものは、おおよそこれぐらいであろうか。 お分かりいただけたと思うが、クレ5-56にマルチパーパスグリースだけがあれば良いわけではないのだ。 確かに広範囲に使用できるグリースは存在するが、筆者の知る限り、どこにでも使える万能なグリースは存在しない。 使用する用途を間違って使用した場合、良かれと思って使用した高額なグリースが、外側のラバーブーツをボロボロにしてしまったという例もある。 これでは本末転倒だ。 まさに「間違いだらけのグリース選び」ではなかろうか? 良かれと思って行ったメンテナンスが、トラブルの原因となる。 潤滑系ケミカルは、どうしてもインターネット広告に流され、高額なものを購入しがちだ。 グリースなどのケミカルは、まずは先述のサービスマニュアルをもとに選択してほしい。 購入の際にはパッケージの裏書きと照らし合わせれば、どれが正しい選択であるか判るはずだ。 幸いなことにこれらは決して高額なものではない。 比較的安価である。 荷姿の問題で少し多めに購入することになったら仲間内でシェアすればよい。 まずは目的に必要なものを用意して、ツールボックスにストックするべきである。 くれぐれも「都市伝説」に騙されてはいけない。 ▲筆者使用のエンジンオイル(主に旧車用)。クルマ用のオイルやケミカルは数多く存在するが、これら油脂類も信頼できる資料をもとに正しい選択をしたい ■まずは自分のペースに合わせて、できることからはじめよう 今回は、サービスマニュアルとパーツリストの入手のススメから話を展開した。 相手は古い機械モノである。 一筋縄でいくとは考えないほうが良い。 DIYの前にまずは情報収集だ。 作業の事前準備はたとえ、その道のプロであっても必要不可欠である。 筆者の経験上、腕の良いメカニックであるほど、この点についてはとても真剣かつ用意周到であると感じる。 森羅万象ともいえる筆者の師匠(熟練の整備工)はサービスマニュアルの内容が脳内にインプットされており、最新情報にも常にアンテナを張っている。 旧車のみならず、DIY初心者の方は今回の記事を読んで「いきなりプロ相手の修理書かよ!?」と思われるかもしれないが、これは修理の具体的かつ、王道である内容である。 これから自身で愛車に手を入れようという方には、ぜひ正しい方法を覚えていただきたい。 ここまで聞くと、難しく感じてしまうかもしれないが、現代のクルマとは異なり、旧車にはオーナーが手を入れられる余地が数多くある。 クルマを構成する部品点数も、必要な工具も現代車に比べればはるかに少ない。 肩ひじ張ることはないのだ。 これなら自分でもできるという部分からはじめればよい。 繰り返しとなるが、そのために道しるべとなるのが「サービスマニュアル」と「パーツリスト」である。 自分のクルマだ。 やりたいようにやればいい。 納得できるところまでやればいい。 そして、何度でもやり直せばいいのだ。 自身の手を汚し、絶好調になったクルマに乗る瞬間は、何事にも代えられない素晴らしい体験である。 こればかりがお金で買えるものではない。 一度経験すると病みつきになる。 まさにプライスレスだ。 プロ顔負けのプライベーターが存在する理由はここにある。 「千里の道も一歩から」「先ず隗よりはじめよ」。 いずれの言葉も、まずはできることからはじめようという意味だ。 ・・・閑話休題。 今後も旧車を維持するにあたって、より実践的な工具の選択方法やケミカルについても案内していこうと思う。 次回も期待して待っていてほしい。 ※前回の記事 ■車整備歴20余年の経験者が思う、旧車オーナーが初めて工具を購入する際の注意点とは? https://www.qsha-oh.com/historia/article/maintenance-tools/ [YouTube]BEARMAN's チャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g [ライター・撮影/クマダトシロー]