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近年、20~30代の若者の間でネオクラシックカーと呼ばれる旧車ブームが巻き起こっており、非常に注目を集めている。 都内で大学生をしている筆者のまわりでも、ゴルフやボルボに代表される王道車種はもちろん、そのほかにも個性的なネオクラシックカーがほしいという声がちらほらと聞こえるようになってきた。 クルマが好きな筆者としては、同世代の友人たちがどんな要因であれ自動車に興味を持ってくれるのは本当に嬉しいことである。 ▲近年絶大な人気を得ているゴルフ2 ▲同じく人気を集めているボルボ240 しかし我々20代の学生にとって、クルマというのはとてもハードルが高い買い物、ましてや旧い車なんてなおさらのこと。 しかも自動車というものは買っただけでは済まず、維持費がかかるし、旧車なら修理費もかかったりもする。 そういった点で、皆あこがれてはいるけれど、なかなか手が出ないというのが現状である。 そんな“旧車に乗りたいけれど、ハードルが高くてあきらめかけている同世代のオーナー予備軍の方々”へ。 ごく一般家庭で育った文系大学生の筆者が、“どのようにして旧車ライフを送れているかのコツと工夫”を参考になるかはさておき、お伝えしておこうと思う。 ■旧車は維持費が高い、燃費が悪いというイメージについて 僕のまわりの大人や友人、いろいろな人から“超”頻繁に聞くフレーズとして“旧車は壊れる、旧車は金がかかる、燃費が悪い”がある。 これは確かに間違っていないが、正しいとも言い難い。 旧車のなかでも大小さまざま千差万別であり、これを真に受けて旧車をあきらめてしまうのは非常にもったいないと思う。 ■旧車と付き合っていくうえでネックになる維持費や修理費を節約するには 旧車がその魅力にもかかわらず敬遠される要因でもあるランニングコスト。 これは工夫次第で抑えることができるのだ。 もちろん税金や保険は節約できないので、頑張って捻出する以外に選択肢はないのだが、ここでは車検や整備費などの抑え方について解説していく。 ポイント1 ~ユーザー車検~ 車検というと、整備工場に依頼して取得してもらうのが一般的である。 しかし旧車の場合、車検を取得には現行の自動車とは少し異なる技術が必要であり、整備費が高くついてしまうのだ。 それを自分でおこなうことによって、大幅に費用を節約することができる。 もちろん車両によって注意点などが異なったりもするわけだが、近年ではユーザー車検に挑む人も増えている。 さらにネットにも多くの情報が公開されているので、それらを参考にすると良いだろう。 ポイント2 ~こまめな点検、整備を自分で~ 旧車は壊れやすいといわれるが、理由としてはさまざまな部品が年数を経て劣化していることがあげられる。 それらの部品は大抵大事になる前に予兆があり、それに気が付いて事前に交換や修理、調整をしてやることで解決できる。 ほったらかしにしないで日頃からこまめに車の様子を観察して注油するなど、メンテナンスしてクルマとコミュニケーションを取ることが大切だ。 これらのことを続けていれば、オーナーにしかわからないクルマの声のようなものが聞き取れるようになっていき、これが旧車と付き合っていくことの醍醐味だったりもする。 ポイント3 ~修理を自力で行う方法~ 旧車は壊れやすいといわれるが、それゆえに構造がシンプルで簡単に修理できる傾向がある。 メジャーな車種や一部輸入車などは、未だにメーカーから新品の部品が生産されていたり、そうでなくてもヤフオクやイーベイなどを駆使すれば、素人でも簡単に部品が入手できるケースが多い。 一定数人気のある車種だと修理の解説をしている動画やサイトなどもあるので、筆者のような完全な素人でもネット時代の恩恵である程度の修理はできてしまうのだ。 手をかければかけるほど愛着が湧くので、なるべく自分で修理するというのもオススメである。 ■筆者がオススメするクルマの条件 比較的維持しやすいクルマの条件を解説する ・排気量が小さめ 税金やガソリン代を抑えるためというのもあるが、排気量はクルマ自体の大きさや重さ、パワーに直結する指標であるので、排気量が少なければタイヤにかかる負担も小さくなりやすい。 ▲排気量ごとの税金 ・1960~1970年代に設計されたクルマ この年代に設計されたクルマは、それ以降のクルマに比べてはるかにシンプルな構造になっていて、電気的に車を制御するシステムなどもない。 つまりDIYで修理をするにも比較的イージーであり、不便な部分は多いけれど運転するのにもコツが要るため、ドライバーを育ててくれる利点もある。 ▲シンプルで手の入りやすい旧車のエンジンルーム ・自分が心から惚れ込んでしまったクルマ 旧車というのは現行の自動車に比べてやはり手間がかかるし、苦労する部分もあるので情熱がないとなかなか厳しい。 なので苦労や手間もすべて吹き飛んでしまうくらい大好きなクルマを選ぶことが肝心だ(もちろん妥協のないクルマ選びというのは口でいう100倍以上難しいのだけれど…)。 ■さいごに筆者より クルマが欲しいと思ったなら、旧車やクルマ全般によく言われる噂やイメージなどを鵜呑みにせず、ネットなり本なりで細かくいろいろと調べてみることを薦めます。 ハードルが高いとはいえ情熱があれば案外どうにでもなったりするものです。 諦めなければいつかきっと手に入るはず。 これを読んでいる旧車にあこがれているみなさまが、ステキなカーライフを送れることを心より祈ります。 [ライター・画像 / 小河昭太]
私は、25年前からZ32専門店を営んでいますが、Z32型フェアレディZが現行車から旧車になっていく様を見てきました。 いつしか、名車であるZ32を一台でも多く遺したいと思うようになり、今はそれを使命として尽力しています。 なぜなら、年々減ってきている光景を目の当たりにし、今となっては「絶滅危惧車種」になってしまったからです。 この先、一台でも多く遺すために何をすべきか?考えている時間はなく、今から行動する必要があります。 遺すのはオーナー様であって私達ではありません。私達は、あくまでもサポート役です。 日頃から、オーナー様にお願いしていることをまとめてみました。 ■1.いつまでもファンがいること そのクルマを愛するファンがいなければ、絶対遺りません。 時代が変わっても不変の愛が必要です。 そのクルマの魅力を次の時代にも受け継ぎ、ファンを絶やさないようにしなければなりません。 ■2.オーナーが「旧車に乗っている自覚を持つ」こと オーナーがいなければ、絶対遺りません。 乗り続ける強い意志が必要です。 オーナーが旧車に乗っているという自覚を持ち、大事に守っていかなければなりません。 ■3.点検やメンテナンスを怠らないこと 日々の点検やメンテナンスをしなければ、絶対遺りません。 前向きな予防整備が必要です。 ドレスアップや見た目を良くするよりも、中身を重視した整備を行わなければなりません。 ■4.純正部品を使った整備をすること 純正部品がなければ、絶対遺りません。 部品があるうちにストックすることも必要です。 純正部品をオーダーし続け、メーカー製廃を阻止しなければなりません。 ■5.中途半端な状態で手放さないこと 中途半端な状態のクルマは、絶対遺りません。 オーナーである以上は、コンディションを保つことが必要です。 万が一、売却しなければならなくなったとき、次オーナーに自信を持って受け渡さなければなりません。 ■6.専門店を頼ること 旧車は専門店を頼らなければ、絶対遺りません。 メンテナンスは専門店を頼ることが必要です。 専門店が存続するために利用し続け、一緒に遺す努力をしなければなりません。 ・ホームページhttp://www.Z32-Zone.com/ ・Facebookhttps://www.facebook.com/pages/Fairlady-Z32-Proshop-Zone/286263454768481 ・Instagramhttps://www.instagram.com/Z32_Zone.omura/ ・YouTubehttps://www.youtube.com/user/ZoneZ32 [ライター・撮影/小村英樹(Zone代表)]
昨今の旧車ブームによって、旧いクルマに対してにわかに興味を持たれた方は多いことだろう。 これまでもお伝えしてきた通り、旧車には現代のクルマにはない魅力があるのは紛れもない事実である。 しかし、相手は最低でも20~30年落ちのクルマだ。 快適装備をこれでもか!と装備した現代のクルマと同じように扱えるとは到底思えない。 同じように感じる方は少なくないだろう。 旧車に憧れはあっても、実際に手に入れようとすると、どうしても購入をためらってしまうことは決して不思議なことではない。 クルマは自身の生活の一部分になるものだ。 初めて旧車を購入しようとする方にとって、旧いクルマを一筋縄に扱えるか、不安なことこの上ないものだろう。 筆者自身、プロ・アマチュアにかかわらず、数多くの旧車愛好家とお付き合いをさせていただいている。 これらの観点および自身の経験も含め、これから旧車を購入予定の方に少しでも参考になるように、愛車を末永く維持して旧車ライフを満喫できるヒケツを紹介したい。 ■旧車の不便な部分とは? ▲エアコンが備わる前の旧いクルマ独特の装備、三角窓 この記事をご覧のあなたは旧車、すなわち旧いクルマは現代のクルマに比べて、何かと不便な部分が多いイメージをお持ちではないだろうか? 当時を知る由もない、とくに20代の若いオーナーにとっては、憧れの旧車とはいえ、自身が生まれる前のクルマの購入を考えたときに悩みがちな部分であろう。 ある程度、歳を重ねたベテランオーナーには当たり前のことかもしれないが、ここで具体的にどのような部分が不便なのか、ここで一例を挙げてみよう。 ●「エアコン・パワステ・パワーウィンドウ」が装備されていない 昭和や平成初期の中古車には、「フル装備」と表示がされていたが、これは「エアコン・パワステ・パワーウィンドウ」の3点を指す。 ある一定の年代より旧いクルマは、これらが備わらない車種が多いため、快適性能からして劣るイメージを持たれる方が多いよう感じるが、まずこの部分から考えてみよう。 なお、エアコンについては後述する。 パワステ(パワーステアリング)については備わらなくとも、カスタムなどで極端に太いタイヤを履かせていたり、小径ステアリングを装着していない限りは、それほど困ることはないだろう。 ステアリング操作の軽い現代車に慣れてしまっていると、やや旧車への抵抗感を感じるかもしれない。 しかし、クルマが停車した状態で無理に据え切りをせずに、少しでもクルマが動いている状態でステアリングを切るなど、当時、誰もが行っていた運転方法に慣れれば、それほど苦にならないはずだ。 思えば、筆者の母も当時細い腕で、ノンパワステのVWゴルフを転がしていたものだ。 次に、パワーウィンドウが備わらないクルマについて述べよう。 よく、パワー(いるんです)ウィンドウなどと揶揄されるが、そんなことはない。 レギュレーター周りのメンテナンスがしっかり行き届いていれば、窓の開閉が重いということはまずないはずだ。 むしろ筆者はクルマを修理する観点から、旧車にパワーウィンドウが装備されていると、逆に身構えてしまう。 まずパワーウィンドウの開閉スイッチは、そもそも旧車でなくとも壊れる可能性が高い部品であるし、経年劣化によりモーターやレギュレーターが傷んでいるクルマが多い割には、部品の供給を心配しないといけない部分でもある。 偏った考えではあるが、パワーウィンドウが備わらないことで、イグニッションスイッチがオフの状態、さらにバッテリーが上がっている状態でも窓の開閉ができるといえば、これは意味メリットではなかろうか? パワステにしても、パワーウィンドウにしても、無くてもなんとかなるものではないだろうか? 最後にエアコンについて述べる。 エアコン(エアーコンディショナー)とは、その名の通り、空気を調整する機能だ。 クーラーとヒーター両方の風を混合(ミックス)し、室内空間をドライバーにとって快適な温度と湿度に調整する機能がエアコンである。 少なくとも70年代前半までのクルマには、エアコンという概念がないクルマが数多く存在する。 ヒーターと三角窓(画像参照)のみ備わるのだ。 旧車であれば、現代のクルマには絶対にない三角窓やクロッチクーラー(外気取り入れ口)といった装備がある。 これらはドライバーの体感温度をそれなりに下げてくれるが、気温40℃を超えることもある昨今の猛暑では完全に役不足だ。 旧車にはクーラーのみ後付けできることが多い。 これは当時からの贅沢な手段ともいえる。 旧車にクーラー装着はエンジンに悪影響があり、NGという意見もあることは確かだ。 しかし、昨今のクーラーキットは旧来のものに比べ、コンパクトかつ性能が良く、とても冷えるものが多い。 高額な装備ではあるが、検討してみても良いと思う。 ●現代のクルマでは当たり前のものが装備されていない その他、旧車にはナビやドライブレコーダーはおろか、ETCも後付けが当たり前、ドリンクホルダーなども当然のごとく備わらない。 リモコンドアロックなど、もっての外だ。 シートについてもフルフラットはおろか、ある年代より旧くなるとリクライニングすらできない車種もある。 ビジュアル面からのイメージが先行して、こういった部分を知らずに旧車を購入してしまい後悔したという話もないわけではない。 ■多少不便な部分があっても、まずは自分をクルマに合わせる ▲エアコンが備わらないクルマの、後付けクーラーの一例 ここまで、ほんの一部分ではあるが、旧車の不便な点を解説した。 今日は空前の旧車ブーム真っただなかであり、業界はとても賑やかだ。 旧車であっても、自分好みのカスタムを楽しんでいるオーナーは多く存在する。 なかには旧車カスタムの域を超え、旧車の不便な部分をフォローすべく、現代の最新デバイスを装着する例も決して珍しくはない。 極めればそれをレストカスタムとも、魔改造とも呼ぶ。 いかんせん旧車の構造は現代車に比べれば、とてもシンプルである。 例えば、クラシックな鉄板製のダッシュボードを切削加工して、最新の2DINナビを装着することも可能であろう。 リクライニングができないシートの代わりに、現代車のパワーシートをシートレールごと溶接して装着する方法だってある。 筆者も20代の頃は個人的に、このようなカスタムが好みであったが、皆さまはいかがお考えだろうか? 不便だからといってあまり深く考えず、これ見よがしに最新装備を旧車に移植するようでは、何のために旧車に乗っているのか分からない。 一度加工したものを元に戻すことはとても面倒である。 そもそも絶版となった部品はハード・トゥ・ファインドである場合が多く、失ったら最後、2度と手に入らないモノも多い。 決して、現代の装備を旧車に装着することを否定するわけではないが、その最新のデバイスが自身にとって本当に必要なものかを考えることも重要である。 多少不便な部分があっても、その当時の時代背景を考えることも、旧車趣味のひとつではなかろうか? 旧車に乗れば、現代車への進化の過程を身をもって体感できる。 なぜ、現代においてマニアがビートルズを真空管アンプとLPで聴く趣味があるのかを、よく考えてみたい。 旧車趣味も同じベクトルであるのは間違いないのだ。 なお、ベテランかつ通なオーナーは、あたかもそのクルマが新車のころのオプションを装着したかのように巧みにカスタマイズする。 筆者はこういった先輩オーナーの隠れたこだわりをみて、自分もまだまだであると感じるものである。 当時モノのモモやナルディーのステアリング、レカロシートなどが高額で売買される理由はここにある。 旧車と長く付き合いたいのであれば、自身にとって本当に足らないと感じたモノを後付けすれば良いのではなかろうか。 機能がなくなることで、その大切さやありがたみが分かってからでも決して遅くはないはずだ。 クルマを自分に合わせるのではなく、まず自分をクルマに合わせることが、ベテラン旧車オーナーへの道ではなかろうか。 ■洗車をしたら、車庫にしまわずにドライブへ 旧車は磨きがいのあるクルマが多い。 旧いクルマはその佇まいこそが特別なものであり、一切カスタムせずとも存在感のあるクルマが多いものだ。 ボディーにしっかりワックスが乗りかかり、モールに磨きがかかっていれば、多少のキズヘコミがあろうとも、凛として見えるモノだ。 旧車を手に入れれば、クルマを磨くことも趣味の一つになることであろう。 ただ、一つここで注意を促したい。 雨を浴びたり、洗車後のクルマは、ボディ内側の至る部分に水分が溜まっている。 フェンダーやトランクの裏側、足回り、そしてフロアやドアの内側などだ。当然この部分は、手の届かない部分である。 タオルで水分を拭き上げることはまず不可能だ。 では、いったいどうすれば良いのか? それは、クルマが水を浴びたらまずは走行してほしい。 クルマの内部は走行することで、至る部分で負圧が生まれる。 この負圧が、クルマに溜まった水分を吸い上げてくれるのだ。 旧いクルマは錆びるからといって、バケツに水を汲み、軽く絞ったタオルで吹き上げる。 いわゆるバケツ洗車を行うと、塗装に傷が入りやすい。 しっかりと水を使ってホコリを流したうえで、シャンプーで汚れを浮かし、入念に泡を流し、これを吹き上げる。 これこそ洗車の基本だ。 そのうえで、先述の通り、クルマを走らせることでしっかりと水を切りたい。 洗車後のドライブも、洗車の一工程といえるのだ。 ドライブから帰ってきたら、各部をグリスアップすれば完璧だ。 これも旧車維持のための必須事項だ(旧車のグリスアップについては以前の記事をぜひお目通しいただきたい)。 ■目先のカスタムよりも、メカにお金をかける ▲旧車は一筋縄とはいえない。常にメンテナンスは念頭に入れておくべきだ 憧れのクルマを購入した次には、自分好みにカスタムをしたくなったり、アクセサリーを購入したくなる。 これは至極当然のことだ。 ただ少し待ってほしい。 購入したクルマのコンディションはいかがだろうか? 購入したクルマの見た目はキレイであっても、クルマの下回り、すなわちメカの状態が悪かったということは決して珍しい話ではない。 クルマを購入するときに、下回りを見て購入することはほとんどないことであろう。 また旧車の場合、車検切れなどで、試乗をせずに購入することも多いことだろう。 購入元がメンテナンスや修理に力を入れているショップであれば心配はないであろう。 しかし、これが販売専門のショップであったり、個人売買などでクルマを手に入れた場合、まずメンテナンスを引き受けてくれる工場を探すべきである。 購入したばかりの愛車が、次回の車検に問題なく合格できるとは限らない。 大きな費用がかかる場合もあれば、入手困難な部品が必要になる場合もある。 旧車は一筋縄では行かないとよくいわれるが、こういった場合に痛感することが多い。 カスタムは、購入したクルマが本当の意味で絶好調になってからでも遅くはない。 クルマを購入してから、少なくとも最初の車検を通すまでは、しっかりメンテナンスの予算を用意しておくべきだ。 ■とにかくクルマに乗ろう!使用による傷はなんのその ▲さほど使用せずとも、家庭用充電器では完全放電したバッテリーの充電は難しい どうしても愛車を大切にしている気持ちから、なかにはセカンドカーを購入し、クルマをガレージにしまいがちになるオーナーもいることだろう。 そして、それは筆者も同様だ。 色々な要因があると思う。 雨風に愛車をさらしたくないといった、至極単純なことから、燃料の高騰が叫ばれるなか、燃費が悪いため、ガソリン代がかさんだり、絶版部品が多く、できる限り事故に遭いたくなかったり・・・。 しかし、旧車を放置するとロクなことがない。 まず、キャブレター内のガソリンが劣化しエンジンが掛かりづらくなる。 さらに、ガソリンタンク内は結露が発生するため、ガソリンに水分が混じりやすい。 そしてこれがタンク内部の錆の原因となり、これが燃料ポンプの故障の原因ともなる。 タイヤは常に地面に接している部分に力がかかるので、丸いタイヤが四角く潰れる。 これがいわゆるフラットスポットだ。 このまま走ると、バタバタとした振動が不快なこと極まりない。 バッテリーも短命になる。 充電器を繋げれば良いと思われるかもしれないが、一般的な家庭用充電器は劣化して抵抗と化したバッテリーの過充電を避けるため、50%以上容量が消耗したと思われるバッテリーの充電を行わない。 バッテリーを交換するか、ブースターケーブルを繋げない限り、エンジンを始動できなくなってしまうのだ。 とにかく旧車は1週間に一度はエンジンに火を入れて、それなりの距離を走るべきだ。 旧車の日常使いはもったいないという意見を耳にするが、こればかりは肯定も否定もできない。 しかし、愛車のコンディションを隅から隅まで理解しているオーナーは、やはり日常使いをしている方が多い。 筆者もその傾向にあるのだが、どうしてもバッテリーを放電しがちなほどクルマに乗らないと、自身のクルマであっても、完調なのか不調なのか分かりづらくなってくる。 旧いクルマの扱いに長けたベテランの旧車オーナーは「やはりクルマは乗ってなんぼ」であることをよく理解している。 日常的に火が入るエンジンは、隅々までオイルが行き渡り、クランクの回りも軽くとても調子の良いものだ。 とにかく乗ることが、愛車の維持管理の近道であることは間違いない。 多少の傷など、何のその。 とにかくクルマは乗って楽しもうではないか! ※私クマダはYouTubeでポンコツ再生動画を公開しております。ぜひ動画もご覧になってください。チャンネル登録お待ちしております。 ●YouTube:BEARMAN’s チャンネル(ベアマンチャンネル)https://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g/ ●Twitter:https://twitter.com/BEARMANs_Ch [ライター・撮影/クマダトシロー]
▲筆者の所有する空冷ビートル。ソリッドカラーとはいえクリアー層を有するが、比較的高年式の車輌とはいえ塗装の質は現代車に比べ明らかに劣る 新車・中古車に関わらず、クルマを購入する際に、必ずといってよいほどボディーコーティングの施工を勧められることはないだろうか? クルマの見積書に記載があれば、これから自身のモノとなる愛車のために、いわれるがまま施工される方も多いことであろう。 もはやボディーコーティングといえば、車輌購入時のオプションメニューとして、代表的な選択肢の一つといっても過言ではないはずだ。 さて、ここまでは一般的な現代のクルマでの話であるが、これが旧車へのボディーコーティングとなったら一体いかがなものであろうか? 今回はボディーコーティング施工の業務経験から、旧車へのボディーコーティング施工について、私クマダの主観とはなるが、初心者のためにできるだけ簡単に意見を述べてみたいと思う。 ▲現代のクルマでは、購入と共に当たり前のように施工されるボディーコーティング ■1.そもそもボディーコーティングとは何か? ボディーコーティングとは、その名のとおり、自動車のボディーなど外装に施工する保護処理の一つである。 業務用の特殊なコーティング剤を塗布してボディーの塗装面全般を保護し、耐久性を向上させるためにおこなわれる。 使用されるコーティング剤については、黎明期はワックスに類似する程度のものから、フッ素(テフロンとも呼ばれる)やシリコーンを用いたポリマーコーティング剤が主であったが、おおよそ10数年ほど前から、(ガラスの組成に近いシロキサンやポリシラザンを原料とする)二酸化ケイ素を用いたガラス系コーティング剤が主流となった。 今回の記事は、現代において主流となったガラス系コーティングの施工を前提として、話を進めていきたいと思う。 ▲昨今では近所のガソリンスタンドでも施工できるほど、身近になったボディーコーティングではあるが・・・ ■2.ボディーコーティングを施工するメリットとは? それでは、旧車にボディーコーティングを施工するメリットとデメリットについて語っていきたい。 まず、現代車に施工する場合と同様の一般的なメリットをあげれば、以下のとおりだ。 【塗装の保護】厚く硬いコーティング膜により塗装面を傷やスクラッチなどのダメージを緩和し、傷そのものをつきづらくする。 【光沢に優れる】ガラスの組成に似た成分を持つことから光沢に優れる。ハイグレードなコーティング剤を施工すれば、その膜厚によりクリアー層がさらに厚くなった様に見える製品も存在する。 【汚れが定着しづらくなる】コーティング被膜上に汚れが定着しづらくなる。ピッチ・タールなど、特に油性の汚れがこびり付くことが少なくなる。また、長期間放置したものはNGだが、水アカも通常の洗車でかなり落としやすくなる。 【長寿命である】ガラス系コーティングは無機質のため、酸化しないことが特徴だ。 旧来のポリマーコーティングについて全てがそうとはいえないが、ロウや石油系溶剤などの有機物からなるワックスについては、熱を受けたり時間の経過により、ゆくゆくは保護膜そのものが酸化し、汚れとともに塗装にこびりついて劣化してしまう場合もある。 無機質であるガラス系コーティングは熱や紫外線に強く、酸性雨からもボディーを保護する効果が高い。 これは有機物からなるワックスやポリマーコーティングとの最大の違いである。 一般的に寿命は3~5年といわれるが、筆者の経験上、メンテナンス次第だが寿命はそれ以上ともいえる。 【旧車に施工するメリットは?】旧車に施工するメリットは、とくに青空駐車にてクルマを保管するオーナーにとって、紫外線や酸性雨からボディーの塗装を保護できることが最大のメリットとなるはずだ。 それ以上に、現代車のように厚いクリアー層を持たない旧車については、膜厚のあるコーティングを施工することによって、ボディーに光沢を与えることができる場合もある。 また、油性の汚れがこびり付きづらくなる防汚性能にもメリットがある。 キャブレター車など、リアバンパーのマフラー周りに排気ガスによる黒いススがつくことが無かろうか? こういった汚れが通常の洗車で落としやすくなるのだ。 ■3.逆にボディーコーティングを施工することによるデメリットは? それでは、逆にデメリットを述べよう。 今日においては、ボディーコーティングを施工するうえで、選択肢はほぼガラス系コーティング一択となるであろう。 考えられるデメリットは以下のとおりだ。 【施工費用が高額である】価格が高い。誰しもがそう感じるはずだ。情報化の進んだ今日では、ボディーコーティングに用いるプロ用の薬剤もインターネットショッピングで手に入れることができる。薬剤そのものの価格は、施工する金額の数分の一となり、けっして高価ではない。 それでは、なぜプロに施工を依頼すると高額なのか? 答えは簡単だ。施工にとても時間がかかり、とにかく重労働だからである。 その理由を次の項で述べる。 ▲旧車ではありませんが、筆者はこんなYouTube動画をつくっております。https://youtu.be/SK1gWpUxyIk ■4.ボディーコーティング剤への過度な期待は禁物 ところで、実際にボディーコーティングの施工をプロに依頼する際の検討材料といえば、よほどのマニアでない限り、なんとなく使用するコーティング剤のブランドや、ネームバリューから想像される仕様や性能に興味が向きがちではなかろうか? 私クマダは、この部分に注意喚起をしたい。 あくまでもボディーコーティングの施工において、作業の主役はコーティング剤そのものを塗布する工程ではなく、その施工時間の大半を費やす、施工者自身による下地作りの工程なのだ。 では、ボディーコーティング施工において主役となる、下地作りとは何か? 簡単にいえば、それはボディーの汚れ落としと塗装面の研磨だ。 ボディーに付着した長年の汚れ、鉄粉やピッチ・タールをトラップ粘土で除去することから始まり、ボディーについた傷やスクラッチを、ポリッシャーを用いて入念にコンパウンド掛けをして削り落とす。 使用過程のクルマにおいては、通常の洗車では手の届かない部分の汚れ、一例を述べれば、モールとボディーのすき間やエンブレムの周りなどにこびりついた長年の水アカなどを、スケール除去剤のような個人で取り扱うにはリスクのある「プロ仕様」の特殊な薬剤をもちいて入念に落とす。 実は、ボディーコーティングを施工することでクルマが輝くのではなく、むしろこの下地作りの作業でクルマが輝くといっても過言ではない。 ではなぜ、ボディーコーティングを施工するために、そこまでの作業が必要なのか? それは、ガラス系コーティングの被膜はとても強固なため、簡単にやり直しができないからである。 ガラス系コーティングはシンナーで簡単に落とせるような代物ではない。 下地となる塗装面に傷や汚れが残ったまま施工してしまうと、そのままその傷や汚れを強固にコーティングしてしまうのだ。 新車と違い、使用過程におけるクルマを磨くことは、面倒なことこの上ない。 さらにコーティング剤を塗布する場合にも、塗布する場所の温度や湿度など、施工環境への配慮が必要である。 また施工後も、決められた時間、ボディーを水に濡らさないようにして、しっかり乾燥させなければならない。 とにかく、全般的にとても気を遣う作業なのだ。 だからボディーコーティングの施工は高額となるのである。 どこかで聞いたような言葉で述べれば、「コーティング剤の性能の違いが、コーティングの仕上がりの決定的な差ではない」のだ。 むしろ、施工者の技術や経験で仕上がりに大きな差がでるといって過言ではないであろう。 コーティング剤のネームバリューに惑わされてはいけない。 お金を費やすべきものは、施工者自身の腕と情熱なのだ。 ▲旧車ではありませんが、筆者はこんなYouTube動画をつくっております(その2)https://youtu.be/mLqZ6kl4BWc ■5.悩ましい旧車へのボディーコーティング 旧車にボディーコーティングを施工する場合は、さらにいくつか注意するべき点がある。 ここまでの記事を読めば、勘の良い読者の方は気づかれたことであろう。 ボディーコーティングの下地作りをする際におこなう、電動ポリッシャーによるコンパウンド掛けはボディーの塗装面を磨くので、当然のことではあるが少なからずボディーの塗装を薄くしてしまう。 もとより旧車の塗装といえば、経年により少なからずダメージがあることが前提ではある。 しかしながら、事故などの補修による再塗装部分やキレイにレストアされた車輌など、プロフェッショナルであっても、その塗膜がどのような下地の上に乗っているものか予想がつかない場合が多い。 こういった部分に安易に手を入れると、下地作りの作業途中で、思いもよらない原因で塗装面を傷めてしまう場合もあるのだ。 旧車のボディーコーティングについては、施工を断られることもあると耳にしたことがある。 当然のことであろう。 旧車の塗装に手を入れるには、それなりの経験が必要だ。 ボディーコーティング施工者の誰もが旧車を相手にできるわけではないのだ。 レストアされた車輌であればまだしも、貴重なオリジナルペイントの車輌に手を入れる場合は特に慎重に作業せねばならない。 それこそ取り返しのつかない事態になりかねないからだ。 ならば、旧車のボディーコーティングはどこに依頼すれば良いのか? ボディーコーティング施工は洗車の延長線上、すなわちカーディティーリング業界に属する。 旧車への施工を唱っている施工業者であればなんら問題ないが、身の回りに見つからなければ、鈑金塗装の、それも旧車が得意なプロフェッショナルの門を叩くと良い。 ワックスは塗料を弾くため、塗装時のトラブルの素となるためか、洗車業界と鈑金業界は水と油といわれることもある。 しかし、常にボディーペイントの下地と塗膜に向き合っている彼らからは「佳い(よい)」アドバイスをいただけるはずだ。 ▲業務上、今日までガラス系コーティングを施工する時間はいくらでもあったが、今日までワックス仕上げで維持している。メキシコ産ビートルとはいえ、すでに25年が経過したオリジナルペイント塗装はいたるところでクリアー層の剥がれが始まっている ■6.まとめ レストアされたクルマはどれも美しい。 しかし、自身の幼少期、これらのクルマが新車であった頃、はたして、これほど艶やかに輝いていただろうか・・・?ふと思うことがある。 旧車といえば、ある時代より旧いクルマの場合、ソリッドカラーのクルマなど、クリアー層を持たない塗装が多く存在する。 筆者もいわばアラフォーのおっさんとなり、昨今の旧車ブームではネオクラシックと呼ばれる1970年代後半から1980年代のクルマが自身の刷り込みのクルマであるのだが・・・。 そういえばこのクルマ、新車の頃はもう少し落ち着いた輝きだったような・・・。 特にここ数年、旧いクルマを眺めていると、このように感じることが多い。 極端にいえば「不自然」に感じるのだ。 レストアされ、新車時以上に高品質な塗装で、エンジンルームのスミからスミまで美しく厚い塗膜でオールペイントされたクルマ。 こういったクルマには、躊躇せずボディーコーティングを施せばよいことであろう。 しかし、オリジナルペイントが残るクルマはどうだろうか? 当時はまだ高額だったシュアラスターのカルナバで仕上げたクルマは、まだ幼かった筆者の目でも違いを感じたものだ。 ここからは余談であるが、ここまでボディーコーティングについて語っておきながら、特にオリジナルが随所に残る旧車風情が漂う佳き時代のクルマに対し、安直にガラス系コーティングをおススメして良いものかと感じているのが筆者の正直な感想だ。 青空駐車かつ日常使いの旧車オーナーにとって、ボディーコーティングは強くおススメできるものではあるが、決して必須であるとはいえない。 有機物ゆえに、ボディーの水アカの原因になりかねない旧来のカーワックスであっても、その自然な艶と肌ざわりに根強い人気があり、週末の洗車とワックス掛けがルーチンワークとなっているベテランオーナーは数多い。 長い期間隅々までキレイに磨かれ、良好な状態を保たれた旧車のボディーの細部に残る、どうしてもオーナーが落としきれないちょっとした水アカに、むしろそのオーナーの愛着の深さを感じてしまうことがあるのだ。 あばたもえくぼ。 結局は、自身のいちばんやりたい方法でクルマを仕上げるのが、究極の旧車メンテナンスではなかろうか。 閑話休題。 旧車においては、最新が最良と言えないことが多いのだ。 ボディーコーティング然り。 ボディーコーティングはあくまでも、クルマ維持の選択肢の一つに過ぎない。 ※私クマダはYouTubeでポンコツ再生動画を公開しております。ぜひ動画もご覧になってください。チャンネル登録お待ちしております。https://www.youtube.com/@BEARMANs [ライター・クマダトシロー / 画像・クマダトシロー, AdobeStock]
前回は、愛車のメンテナンスを自身の手で行いたいと思う旧車オーナーにとって、初めてのDIYにふさわしいであろうメンテナンスとしてエンジンオイル交換について触れた。 ▲多少面倒でも、愛車の面倒は自身で見たいと思う方は決して少なくないはずだ そして、まずはじめに、旧車用エンジンオイルの選択方法について記事を執筆した。 DIY旧車オーナー必読!「複雑なエンジンオイルの選択肢」とはhttps://www.qsha-oh.com/historia/article/oldcar-eg-oil-1/ 今回の記事はその続編であるが、具体的なエンジンオイル交換の方法について、ハウ・トゥー的な記事はインターネット上など他にも数多く存在する。 また、クルマ一台一台がすべて同じ方法でオイル交換できるとは限らないことから、以前の記事に記した通り、修理書やサービスマニュアルを参照するべきであると筆者は考えている。 今回はあえて、筆者の経験が中心となるが、DIYの初心者がエンジンオイル交換で陥りやすいリアルな注意点についてまとめてみた。 なお、本題に入る前にあらかじめお断りするが、今回の記事もすでに豊富な知識を持つベテランオーナーや評論家のための記事ではない。 DIYを志し、初めて作業される方などの参考になるよう、幅広い内容をできるかぎり分かりやすくお伝えするための記事であることをご承知おきいただければ幸いだ。 ■1.作業前に最低限用意したいものはこれだ! 基本的な工具の他に、以下のものを用意していただきたい。 ●エンジンオイル 当然のことだが、これを用意しないとエンジンオイル交換が始まらない。 あらかじめ取扱説明書やサービスマニュアルを参照したうえで、そのクルマに使用するエンジンオイルの規格や必要な量を確認しておきたい。 また、旧車に限らず、間違ったエンジンオイルの選択は、エンジンにダメージを与えてしまう可能性がある。 エンジンオイルの選び方については、前回の記事において詳細を記したので、併せて読んでいただきたい。 ●オイルジョッキ 意外と忘れがちだが、これもぜひ用意してほしい。 先述のとおり、エンジンオイルの規定量は、車種・エンジンによって千差万別である。 エンジンオイルは、それこそウォッシャー液のごとく、タンクの口まで目いっぱい入れれば良い訳ではない。 エンジンオイルの量は、多くても少なくてもNGなのだ。 給油するオイルの量を間違えると、エンジンにダメージを与える原因となる。 DIYで作業することを目的として日本国内で流通するエンジンオイルを検討した場合、荷姿は4リットル缶と20リットルのペール缶のどちらかであることが多い。 オイルジョッキはこのオイル缶から、おおよそではあるが計量して使用する分を給油する目的に使用する。 このオイルジョッキがないと注ぎづらいだけではなく、自身でエンジンに何リットル給油したか分からなくなってしまうこともある。 購入したオイルを無駄にしない目的のみならず、しっかりオイルレベルを合わせるためにも必須のアイテムだ。 ▲オイルジョッキとオイルドレンパンはDIYエンジンオイル交換では必須だ なお、これは筆者からのアドバイスであるが、使用後はチリやホコリなど異物が入らぬよう、オイルジョッキにはビニール袋をかぶせるなどして配慮してほしい。 余談であるが、海外で流通するオイル製品はプラスチック製のボトル容器入りであることがほとんどだ。 特に北米市場で出回るものは1クォーター(4分の1ガロン=0.946リットル)のものが多く、ボトル自体に中身が透けている部分があり、これで計量できてしまう。 DIYの盛んな、北米ならではともいえるだろう。 ●ドレンボルトとパッキン 次に用意してほしいものは、細かいものではあるが「ドレンボルト」と「パッキン」だ。 旧車の場合、パーツの入手性の問題からか他車種のものが間に合わせで使用されていたり、長年の使用で傷んだドレンボルトやパッキンに、液状ガスケットを塗って無理やり止められていたりといった話を耳にすることがある。 旧車に限らず、中古車を購入して初めてオイル交換をする場合は、このドレンボルトが度重なる使用により傷んでいる場合がある。 そのため、あらかじめ用意しておくと良いことだろう。 可能であればドレンボルトとパッキンは純正部品での用意をおススメする。 昨今アフターマーケット品として、複数サイズのドレンボルトやパッキンが詰められたセット物が販売されているのを見かけることがある。 これらは組み合わせによっては、微妙な寸法違いからオイルにじみの原因ともなりかねない。 自身の愛車のメンテナンスの第一歩として、まずはこういった部分をしっかり正して、デフォルト(初期)状態に戻していきたい。 ●オイルフィルターとフィルターレンチ(2種類) エンジンオイルと同時交換することが多いオイルフィルターも用意されることと思うが、オイルフィルターが適合品であることは当然として、このオイルフィルターを外す工具(レンチ)にもアドバイスをしたい。 ▲締めすぎで固着したオイルフィルターを緩めるのは至難の業だ できればオイルフィルターレンチは2種類を用意したい。 お椀状のカップ型レンチがその代表的なものと思われるが、これとは別に種類はあるが、回転させるとともにオイルフィルターに食い込んでいくタイプのアジャスタブル型も併せて用意をおススメする。 というのも、長らく交換されていなかったオイルフィルターは固着して外れない場合が多い。 筆者は何度も経験があるが、カップ型レンチがオイルフィルターにうまく噛まずに緩まないので、最終的にオイルフィルターに貫通ドライバーをハンマーで打ち込み、強引に外すなどの方法を行ったこともある。 余分な工具がひとつ増えると思いがちだが、役に立つときがきっと来るはずだ。 オイルフィルターとて甘く見てはいけない。 何らかの手段は事前に準備しておくべきだ。 ●オイルドレンパン・ブレーキクリーナー(パーツクリーナー) 抜いたオイルを受け止めるための器(ドレンパン)は必須だ。 キッチン用品などでも代用できなくもないが、工具店で販売されている、専用のドレンパンをおススメする。 抜けたオイルが飛び散りにくい形状になっていたり、ドレンボルトやオイルフィルターが置きやすい形状になっている部分があったりするなど、それなりに工夫されているものが多い。 購入を検討する場合は、交換するクルマのエンジンオイル量に対して、余裕をもった容量のものであることをおススメする。 また初心者のうちは、どうしてもクルマの周りにオイルをこぼしてしまうことがある。 作業用のマットや、ロールウエス、洗浄用にブレーキクリーナー(パーツクリーナー)なども用意してほしい。 そして、まずいないと思うが、絶対に廃油をその辺に撒いたりしてはいけない。 環境汚染はもちろんであるが、火災の原因にもなりかねない。 廃油の処理方法については後述するので、最後まで記事を読んで欲しい。 ■2.初心者がやりがちな作業ミスはこれだ! ●オイルをこぼす(ぶちまける) これは誰もがやってしまうことであろう。 オイルを抜くときなど、ドレンボルトを緩めた後に抜けゆくオイルの放物線が予想と異なり、ドレンパン内に着地せず周囲を汚してしまったり、新しいオイルをエンジンに注ぐ際に、ジョッキからエンジンルームにオイルをこぼしてしまったり・・・。 なにかと作業をする周辺にオイルを撒いてしまったことは、当然筆者も経験済みだ。 注意したいのは、エンジンオイルは当然ながら「可燃性である」という点だ。 高熱となるエキゾーストマニホールドや触媒、マフラーなど排気系にオイルが付着してしまった場合、車両火災の原因となる可能性がある。 万一、オイルをこぼしてしまった場合は、よく拭き取ったあとにパーツクリーナーなどでしっかり洗浄してほしい。 ●抜くオイルを間違える 笑いごとではない。 これが意外と「あるある」なのだ。 FR車であれば、エンジン後部にトランスミッションがあり、さらにドレンボルトの形状がエンジンとまったく異なるので、まず間違えることはないであろう。 問題はエンジンとトランスミッションが横に並んだFF車だ。 このFF車のなかには、エンジンオイルとATFのドレンボルトの見かけがそっくりなクルマが稀に存在する。 クルマを下から覗いた場合、当然ながらエンジンルームを上から見た場合と景色が異なる。 クルマの構造に詳しくない場合、ここで錯覚してしまうことがあるようだ。 筆者はエンジンオイルを抜くつもりが、ATFを抜いてしまったという失敗談を耳にしたことがある。 確かに筆者もオイルパンの形状も含め、紛らわしい車種を目にしたことがある。 ベテランのメカニックであれば、紛らわしい車種であっても、ファンベルトやクランクプーリーがある側と論理的に判断するだろう。 万が一ドレンボルトを緩めてしまっても、ATFは抜いた瞬間に色や臭いで瞬時に気づくはずである。 残念ながら、これは実際に発生した失敗談で、ATFをすべて抜いた後に、エンジンオイルを規定量エンジンに注入、オイルが規定量の2倍入りながらも(オイルレベルはどうした?)エンジンは通常通り始動し、工場内から車両を移動する際に、クルマが突然走行不能となり作業ミスが発覚した次第である。 初めてエンジンオイル交換をする場合は、念のため注意してほしい。 ●やけどする 作業に慣れたメカニックは、あらかじめエンジンをある程度暖機して、エンジンオイルを温めてからオイル交換を行う。 これは必須の作業ではないが、確かにエンジンオイルが抜けやすくなり作業がはかどる。 ただ、作業に慣れないうち、さらにジャッキアップやスロープなどを使用して、狭いクルマの下に潜り込んだ場合はマフラーなどに体が接触して、やけどを負ってしまう可能性がある。 作業に慣れないうちは、暖機運転はほどほどにするか、ある程度エンジンルームが冷えた状態で作業することをおススメする。 ●ドレンボルトやオイルフィルターを締めすぎてしまう これも、初めて作業を行った際に起こしがちな失敗であろう。 正しい締め具合が分からず、ドレンボルトが緩んでこないか心配で、ついつい力を入れて締めすぎてしまいがちだ。 手元に独特な感触が伝わってきたあと、いくらボルトを締めても力がかからなくなってしまったなど・・・DIY初心者のこういった失敗談はドレンボルトに限らず、さまざまな部分で耳にする。 ドレンボルトを締めすぎる場合は、おもに軽量化と放熱性向上を目的にしたアルミ製のエンジンオイルパンにて発生することが多い。 現代車のみならず、旧車でも高性能なエンジンでは決して珍しくない仕様である。 アルミは鉄に比べて、柔らかい材質だ。 アルミ製のオイルパンの場合、鉄製のオイルパンと同じ感覚で、ドレンボルトを締め付けると、すぐにネジ山を傷めてしまうことだろう。 軽症であれば、ネジ山を切りなおしたり、少し長めのドレンボルトを使用したりしてごまかすことができるだろうが、基本的にはオイルパンを交換するか、ヘリサートなどを使用してネジ山を修正するしかない。 また、オイルフィルターについても締めすぎにより、次回の交換時になかなか緩まず、オイルフィルターの頭部のカップレンチが引っかかる部分を丸めてしまい、緩められなくなってしまったなど・・・。 あくまでも個人的な意見であるが、ドレンボルトにせよ、オイルフィルターにせよ、単なる締め忘れを除き、締め付けトルクの不足よりもオーバートルクで締め付けてしまった場合に、トラブルが発生しがちに感じる。 トルクレンチで締め付ければ、一見問題なさそうに考えられるが、相手が旧車の場合、そもそもネジ山などが傷んでいる場合もある。 トルクレンチはレンチ自体が重めであることと、レンチ自体が長いため、一般的な3/8インチ角のトルクレンチでは、ドレンボルトやオイルフィルターを締め付ける場合、手元へのトルクの伝わり方、すなわちフィードバックが少なくなる。 可能であれば、ソリッドに手元に間隔が伝わる、長すぎないコンビネーションレンチやメガネレンチを使いたいところだ。 言葉で伝えるのが難しいが、手元の感覚で交換した新品のドレンボルトのパッキンが少しだけつぶれる感覚が確かめられれば、締め具合はそれで充分といえる。 オイルフィルターについても、パッケージに締め付けトルクと共に記載されていることが多い。 オイルフィルターのパッキンが対象に接地してから、4分の3回転~1回転と角度締めをすることもできる。 トルクレンチを使用すると分かるが、実はカップレンチを使用して感覚で締め付けた場合、オーバートルクとなっていることが多い。 初めてのオイル交換の場合、プロとは言わないので、作業に慣れたオーナーを呼び、アドバイスをもらえれば心強い。 一度行えばどうという作業ではない。 誰だって、最初は初心者だ。 賛否両論かもしれないが、ここでは、あえてトルクレンチを使用せず、手の間隔を身に付けて欲しい。 ●オイルフィラーキャップやドレンボルトの締め忘れ 締め忘れは集中力が落ちてくると、発生しやすいミスである。 慣れない作業に疲れていても、作業完了後にもう一度、しっかり確認したい。 特にドレンボルトは締めたつもりでも、もう一度、工具を軽く当てて再確認をしよう。 これは基本的な作業であるが、やはり車両火災やエンジン破損など重大なトラブルを防ぐための必須の作業だ。 熟練のメカニックにとっては、欠かさず行うルーチンワークとなっていることが多い。 ベテランメカニックほど、作業はとことん慎重なものである。 我々も見習うべきではなかろうか? ■3.DIYで困りがちな作業後の廃油・その他の処理について さて、問題はオイル交換後の廃油だ。 オイルを段ボールに入った袋入りの吸収材に吸わせることで処理できるものが安価にホームセンターなどで販売されているが、燃えるゴミとしての回収を拒否する自治体もあると聞く。 筆者は本格的にDIYを行う場合には、やはり廃油用にペール缶(20リットル)、可能であれば空きドラム(200リットル)を用意すべきと考える。 個人的に軽貨物運送業を営んでおり、運送業だけでも年間ドラム一本が一杯になるためだ。 筆者は年に一度、回収業者に廃油の引き取りを依頼している。 気になるコストはゼロだ。 基本的には無料(業者による)で引き取ってくれる。 ベテランのDIYオーナーに話を伺うと、以前は1リットル数円~十数円程度で買い取ってくれたそうだが、さすがに令和の今日ではそんな話はないようだ。 無料で引き取っていただけるだけでもありがたいものだ。廃油はしっかりとリサイクルされる。 ▲筆者は廃油をドラム缶にまとめ、年に一度、廃油の回収を業者に依頼している なお、ここで注意を促したい。 エンジンオイルをはじめ、自動車に使用する石油製品やケミカルは、その大半が危険物となる。 オイルのみならず、一時保管している廃油も当然危険物となり、消防法の対象となるのだ。 エンジンオイルやギアオイル、ATF等、各種オイルについては、消防法上の危険物等級で第4類(引火性液体)とされ、保管できる量が消防法によって決められている。 これを「指定数量」と呼ぶが、個人用途など管轄消防署への届出をしない場合に保管できる最大量は指定数量の最大20%となることが多い(※各市町村により異なる)。 カーショップでも開業しない限り、まず個人の用途ではこの数量を超えることはないであろうが、心当たりのある方は念のため、ご確認いただきたい。 重要なのは廃油のみならず、ガソリンはもちろん、オイルやその他のケミカルなど石油製品は危険物であるという認識を持つということだ。 10数年ほど前であろうか。かつて、かのF1の名門ウィリアムズでも、ピットガレージにて静電気が石油製品に引火したと疑われる火災が発生したことがある。 オイルやガソリンの浸み込んだウエスなどは、乾燥した冬場では静電気火災の原因になる可能性もある。 周辺に放置せずにしっかりと片付けるべきだ。ガレージ内でストーブを焚いたり、喫煙をしたりする際も、くれぐれも用心してほしい。 少し厳しい話をしたが、次はオイルフィルターの処分についてだ。 これはとても厄介だ。 結論から話すと、オイルフィルターの処分は自治体では拒否されることがほとんどだ。 燃えないゴミ、すなわち不燃物として取り扱ってもらえないのだ。 大半の自動車部品のゴミも同じくであるが、ある程度まとまったところで専門の産業廃棄物処理業者に依頼をするしかないだろう。 とはいえ、交換の頻度が多く溜まりやすいオイルフィルターがいちばんの悩みのタネだ。 筆者はここ数年、画像の方法で処理をしている。 簡単に言えば、解体して金属・紙・ゴムとして分別しているのだ。 ここまで分別すれば、地域の自治体で通常通り、処理が可能である。 「捨てればゴミ、分ければ資源」とはよくいったものだ。 余談ながら、鉄・アルミなど、くず鉄の買い取り価格はここ数年、高値安定している。読者の方も挑戦されてはいかがだろうか? ▲専用工具:オイルフィルターカッターでオイルフィルターを分解してみた ■4.まとめ:少しずつできることからやっていこう 今回の記事はDIYをバリバリとこなすベテランオーナーにとって、当たり前ともいえることを徒然と書いたので、内容について退屈に感じた方がいたかもしれない。 しかし、今回も文中にも記したが誰もが最初は初心者だ。 DIY作業は少しずつできることからやっていくことがスキルアップの基本と筆者は考える。 「千里の道も一歩から」、「ローマは一日にして成らず」。 これらの言葉と同様、大きな目標を設定する前に、まず小さな目標を達成し、その積み重ねを通じて大きな目標に向かって進んでいく。 段階を踏んだアプローチは、どことなくビジネスライクに聞こえるが、クルマいじりにも応用できる。 今回は「メカと向き合う初めてのDIY」としてエンジンオイル交換を紹介した。 DIYを志す初心者の方には、じっくりと取り組むことで、少しずつ自身でできる作業を増やし、ひとつひとつ目標を達成することで得た満足感を、次回のDIY作業に取り組むモチベーションの糧にして欲しいのだ。 これを繰り返せば、それが次第に自信となりレベルアップにつながっていくはずだ。 筆者は目標を成し遂げたときの、この何とも言えない達成感を得たくDIYに取り組んでいるといっても過言ではない。 何度も言うが、誰もが最初は初心者だ。 次回は何を書くかまだ決めていないが、引き続きDIY目線で記事を書いていこうと思う。 次回の記事もよろしければお目通しいただきたい。 ※私クマダはYouTubeでポンコツ再生動画を公開しております。ぜひ動画もご覧になってください。チャンネル登録お待ちしております。 ●YouTube:BEARMAN’s チャンネル(ベアマンチャンネル)https://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g/ ●Twitter:https://twitter.com/BEARMANs_Ch [画像・AdobeStock、ライター・撮影/クマダトシロー]
■1.メンテナンスの基本中の基本、ジャッキアップ ▲空冷ビートルに付属する車載ジャッキ。欧州車は新旧関わらず、この手のジャッキが多く標準装備されるが、あくまでもパンク時のスペアタイヤへの交換用だこれを普段のメンテナンスに使用するのはもってのほかだ。車両の下に潜るような用途には絶対に使用してはいけない DIYでクルマのメンテナンスを行うオーナーにとって、避けて通れない作業がジャッキアップだ。 旧車のみならず、DIY初心者にとって登竜門になると思われるエンジンオイル交換やホイール脱着を行う際にジャッキアップが必須の作業となる。 また、作業を行わないまでも、晴れて購入したクルマの下回りを覗いてみたいと思うメカ好きなオーナーも多いはずだ。 旧車のみならず、クルマの真のコンディションは下回りを見てみなければ分からないからだ。 ジャッキアップ自体は、DIYの中では基本中の基本の作業なので、ハウ・トゥー的な記事は他にも数多く存在する。 今回は、生産後数十年が経過した旧車オーナー向けに、20年来のポンコツ愛好家である筆者が、旧いクルマの独特な注意点をお伝えできればと思う。 ■2.決してマニュアル通りとは限らない、旧車のジャッキアップ方法 ▲空冷ビートルのジャッキアップポイント。新車時ならともかく、旧車で錆による腐食などでフロアやサイドシルにダメージがあるクルマでは、果たしてこんな部分で、クルマの重さを支えることができるのであろうか? DIY初心者であるオーナーが、クルマをジャッキアップしたいと考えたとき。 まず手にするものは、パンタグラフ式を代表とする「車載ジャッキ」ではなかろうか? 結論からいえば、旧車については、これを普段のメンテナンスに使用するのはかなり危険だ。 クルマの「トリセツ(取扱説明書)」には当然のごとく、パンク修理用に車両に付属する車載ジャッキの使用方法が記されているはずだ。 そして、これらはほとんどの場合、ボディーのサイドシルと呼ばれる部分にあるジャッキアップポイントにあてがって使用することを前提としている。 しかし、考えてみてほしい。 旧車と呼ばれるクルマは最低でも生産後20年は経過している。 「オールドタイマー」と呼ばれるクルマであれば、生産後40年~50年は当たり前だ。 すでに「アンティーク(骨董品)」となっている車載ジャッキが果たして使い物になるのか?という問題も当然あるが、クルマのボディー自体がジャッキアップに耐えられない状態になっている場合も存在するのだ。 旧車のみならず、クルマのサイドシルという部分は、縁石などのダメージを受けることが多い。 さらにクルマが長らく放置された場合、この部分に雨などの水分が溜まり、フェンダー裏などと同様、錆で腐食が進行しやすい部分といっても過言ではない。 ジャッキアップポイントには、そのクルマの重さが集中して掛かる。 取扱説明書に記されている通りに車載ジャッキでジャッキアップした瞬間に、いきなりサイドシルが潰れてしまった!そんな話は旧車の世界では決して珍しい話ではない。 このような話は、きれいにレストアされたクルマのオーナーには他人事の様に聞こえるかもしれない。 しかし、実施にはきれいに仕上げられたクルマほど、要注意である。 なぜなら、レストアされたクルマはどのような方法で作業されたのかが不透明な場合が多いからだ。 海外では、腐ったパネルを鈑金せずにFRP樹脂とファイバーパテで埋めるという方法が当たり前のように存在する。 その道のプロであっても、きれいに仕上がっていると一見ではなかなか判別しづらいものである。 塗装面にクラックが入って初めて、厚く盛られたパテが露見するのだ。 旧車にとって、何も考えずにジャッキアップするという行為は、クルマに致命的なダメージを与えてしまう可能性がある行為そのものなのだ。 また不確実なジャッキアップは、作業中に事故に遭う可能性がある。命の危険すらあるのだ。 それでは、一体どうすればよいのか?次項で説明しよう。 ■3.旧車のジャッキアップに必要な知識と道具とは? ▲実際に筆者クマダが使用しているフロアジャッキとリジットラック。どれも安価品だが十分に使えている。赤いフロアジャッキはそろそろ寿命だ まずは、そのクルマの正しいジャッキポイントを探ることが最優先である。 前回の記事で触れたが、サービスマニュアルに必ず記されている項目の一つだ。 なお、フロアジャッキ用のジャッキポイントは良しとして、リジットラックをあてがう部分はサービスマニュアルにおいても、サイドシルが指定されている場合が多い。 前述のとおり、旧車のサイドシルは必ずしもフロアジャッキやリジットラックをあてがえるコンディションではないことが多い。 そうなるとボディーやシャーシの強度のあるポイントを探すこととなるが、これはその車種によって異なる。 そのため、同車種のベテランオーナーか、やはり専門知識を持ったプロに尋ねることをおすすめする。 だいたいの場合、フレームや足回りのサスペンションアーム等の付け根の部分が、強度のあるポイントとして検討できるはずだ。 予備知識を得たら、ここからが道具選びだ。まずはジャッキを選ぼう。 はじめに、車載ジャッキでは定番のパンタグラフ式は、ここではおすすめしない。 それはなぜか? 先述の通り、旧車はサイドシルにダメージを負っている可能性がある点もあるが、何よりもパンタグラフ式のジャッキは車両の前後方向に倒れやすい点がある。 何らかの原因で車両の前後方向に力が加わると、いとも簡単に倒れてしまう。 後述するが、輪留めなしの状態での使用は非常に不安定でとても危険だ。 おすすめはやはり、油圧式のフロアジャッキとリジットラック(通称:ウマ)のセットだ。 これらはベテランのDIYオーナーであれば、必ずガレージに備わっていることであろう。 まずは、フロアジャッキから説明する。 大きく場所をとり、重量もあるフロアジャッキだが、整備工場で使用されるプロ用はとても頑丈な代わりにたいへん高価で、DIYでの購入はハードルが高い。 実際にはDIY向け工具店でのラインナップから選択することになることであろう。 この場合、まずはじめの一台は、鉄製の2.5~3トン程度のものをおススメする。 ネット通販などでアルミ製の3トンといったものも存在するが、これらはあくまでも2トン程度までの使用で考えたほうが良い。 実際に使用すれば分かるが、明らかに容量不足を感じるはずだ。 アルミ製の2トンについては車載用と考えたほうが良いだろう。 安価なアルミ製のフロアジャッキは軽くて持ち運びしやすいが、よくしなる。重量車には使えない。 フロアジャッキの次は、車体を保持するリジットラック選びだ。 これは、一部の折りたためるものを除けば、ホームセンターで販売されている2トンのもので十分こと足りる。 3本脚か、4本脚かの検討ポイントもあるが、ここでは省略する。 実際に手に取って気に入ったものを選んでほしい。 あえて注意点を述べるとすれば、リジットラックが車両と接触する部分の形状だ。 車載ジャッキの先端を注意深く見ると、サイドシルのジャッキポイントの部分にジャストフィットする形状になっているはずだ。 しかし、この部分は市販のリジットラックではぴったりフィットするとは限らない。 また、先述の通り、旧車ではサイドシル以外の部分にリジットラックをあてがう場合もある。 ジャッキアップ後にクルマがリジットラックの上に安定して乗っていればよいが、不安定な場合、車体をしっかり保持できる形状のアダプターを用意する必要がある。 ほとんどがゴム製になると思われるが、この部分は市販のものがうまくフィットしないなどの理由で、木端などの材料で自作している強者も存在する。 最後に輪留めを忘れずに用意してほしい。 輪留めについては、持ち上がっているタイヤの対角線上となる位置のタイヤに使用する。 旧車に限った話ではないが、ニュートラル状態のマニュアル車やサイドブレーキが甘い車両の場合、ジャッキアップした瞬間にクルマが動き始めてしまうということが十分にあり得る。 DIY初心者のみならず、ベテランオーナーにも注意喚起をしたい。事故が起きてからでは遅いのだ。 付け加えれば、スロープを用意するととても便利だ。 スロープについては、本来ローダウンされたクルマなどで、フロアジャッキを車体の下に潜らせることができない場合に使用するものだ。 しかし、車高の高い旧車の場合、エンジンオイル交換などは、ローダウンでもしていない限り、クルマをスロープに上らせれば対応できてしまう場合が多いのだ。 「スロープ+輪留め」で作業をすれば、クルマの下敷きになる可能性は大幅に減少する。 DIYの初心者・上級者に関わらず、ここは必ず実施したいところだ。 ■4.旧いクルマには、常にいたわりをもって接したい ▲旧車でこのようなジャッキアップを行うと・・・ ここまで駆け足で説明したが、話の要は、変形しやすい箱を、いかにダメージを与えずに持ち上げることができるかだ。 分からないことは、なんでも指先で検索できてしまう時代。 いわゆる「自称・正しい方法」とやらが、生産後数十年を経過した旧いクルマにそのまま当てはまると思ったら、それは大間違いである。 今回は旧車という偏った観点からジャッキアップについて短めにまとめてみた。 これは良かれと思って行った作業が、かえってクルマにダメージを与えてしまうということがある一例である。 せっかくの愛車だ。この記事の読者の方は、小さなことでもよく考えて、いたわりをもってクルマに接してほしい。 ●YouTube:BEARMAN’s チャンネル(ベアマンチャンネル)https://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g/ ●Twitter:https://twitter.com/BEARMANs_Ch [ライター・撮影/クマダトシロー]
前回、初めて工具を購入する旧車オーナーのために、簡単ではあるがアドバイスとなるであろう記事を担当した。 今回はその続編として、晴れて旧車オーナーとなったら、次にいったい何を揃えれば良いのか、具体的な内容にまとめてみた。 ▲おちゃらけた内容の筆者のYouTube動画も、すべて事前にサービスマニュアルやパーツリストなどで下調べをしたうえで作業をおこなっている(私クマダはYouTubeでポンコツ再生動画を公開しております。ぜひ動画もご覧になってください。チャンネル登録お待ちしております。動画はこちらです→ https://t.co/jshezU8Be0) ■工具以外にもこれだけは揃えておきたい 晴れて旧車オーナーになって、少しでも自分自身でクルマに手を入れてみたいと思ったら、まずは参考となる資料を用意するべきであろう。 DIY派の旧車オーナーに筆者が入手を強くおすすめしたいのが、「自身の愛車のサービスマニュアル」と「パーツリスト」だ。 ▲筆者所有のサービスマニュアルやパーツリスト、社外アフターマーケット品のパーツカタログなど。余談だが、海外のパーツカタログ類は資料性が高く、参考となるものが多い。英語というハードルがあるが、国産旧車でも海外輸出されていた車両であれば、洋書で探すという手段が存在する 旧車は、日常的に行われる基本的なメンテナンスなどにおいても、現代のクルマでは当たり前となっている方法とは異なる場合が多い。 例えば基本中の基本、エンジンオイルを例に挙げてみよう。 たかがエンジンオイルと思われるかもしれないが、今日一般的に入手できるオイルが使用できるのか、もしくは旧車用と呼ばれる特殊な粘度のオイルを用意しなければいけないのか、サービスマニュアルがなければ判断すらできない。 タイヤひとつとっても、ホイールナットの締付トルクはおろか、規定の空気圧すら分からないなど、手探りで作業する場面が容易に想像できる。 DIY初心者にとっては、とても心許ないものであろう。 また、旧車は修理などパーツ交換が必要な際に、あらかじめそのパーツが入手できるか否か作業を行う前に探りを入れておかなければならない。 パーツの供給状況によっては、その作業を断念せざるを得ないことがあるからだ。 パーツリストは部品検索のための必須ツールだ。 部品番号がわからないと発注はおろか、パーツ探しすらままならない。 正直なところ、これらは当時モノとなるため、車種によっては入手困難なケースもある。 しかし、ネットオークションなどを駆使して何としてでも手に入れてほしい。 サービスマニュアルとパーツリストは旧車オーナーにとって、たいへん重要な参考資料であり、いわば旧車維持の道しるべともいえるからだ。 ■現代車では用いられることがない、旧車ならではのツール。タイミングライトとシックネスゲージ ▲シックネスゲージを使用して実際にタペット調整をする。決してむずかしい作業ではない。ある年代より旧いクルマでは必須メンテナンスだ(画像は空冷ワーゲンの水平対向4気筒エンジン リアルタイムで旧車に接してきた世代のオーナーにとっては当たり前のことであっても、若いオーナーにとってみれば「なにそれ?」といったことは多々あるだろう。 旧車といえども、比較的に現代車に近い感覚で乗れる1990年代以降のネオクラッシックカーであっても、平成生まれのオーナーにとっては生まれる以前に造られた、あるいは同世代のクルマだ。 筆者はいわゆるアラフォー世代の「おっさん」である。 その「おっさん」が免許を取ってクルマをいじり始めた20年前であっても、実際に当時で「旧車」と呼ばれたクルマに触れないかぎり、出会うことはないであろう基本的なメンテナンスが存在した。 代表的なものをいくつか挙げてみれば、「タペットクリアランス調整」「ポイントギャップ調整」「点火時期調整」あたりだろうか。 具体的内容については話が長くなるのでここでは割愛するが、これらは、よくいわれるエンジン完調のための基本「良い圧縮・良い火花・良い混合気」すべてに関連する。 旧車を絶好調に走らせるための必須メンテナンスだ。 ここで必要となるのが、タイミングライトやシックネスゲージである。 さすがにこれらはホームセンターの店頭はおろか、工具店でも在庫として店頭に置いてある店舗が非常に少なくなったように感じる。 これらはネット通販であれば安価に入手できるが、筆者の経験ではタイミングライトの安価品は高い確率で早くに故障する。 シックネスゲージについては高額ではないので、精度を信頼できる日本製を選んでほしい。 デジタル化された現代のクルマでは、これらの部分は「メンテナスフリー」というより、「ノンタッチ」となっている。 これらは当時、車検点検の際には必ず行われる身近なメンテナンスであったと聞く。 車種によっては、取扱説明書に作業方法が記載されるほどであったという。 これらはDIY派の旧車オーナーには、オイル交換・スパークプラグ交換の次に、ぜひ実践してほしい基本メンテナンスだ。 この部分を普段から触れているオーナーは、早い段階で一見判りづらい完調であるクルマ、そうで無いクルマの判別が感覚的に身についてくることであろう。 ▲「画像④」:YouTube動画内で登場したタイミングライト。40年以上前のナショナル製。(#11 完成 / スズキ カプチーノのへたったエンジンをリカバリーせよ)より。動画はこちらです→ https://youtu.be/1Fx3xMNmNxM ■DIY派の旧車オーナーは、ぜひグリースにもこだわってほしい 自身でメンテナンスを行うと、グリスアップを行う場面が増えてくるはずだ。 グリスアップはメンテナンスの基本中の基本といっても過言ではないだろう。 オイルと同じくメカニズムを潤滑保護するために必須の油脂、グリース。 各種オイルにこだわりを持つ旧車オーナーは多いが、グリースもオイルと同様、目的に応じてさまざまな種類が存在する。 ここに一般的な自動車整備に使用されるグリースの代表的なものを挙げるとしよう。 ●リチウム石けん系グリース マルチパーパスグリースという名で広く一般的に使用される。 マルチパーパス(万能)というが、これを鵜呑みにしてどこにでも使用してはいけない。 ●カルシウム石けん系グリース 通称シャーシグリースとも呼ばれる。 主にジャバラチューブに入っていて、下回り各所のグリースニップルにガンで充填することが多い。 耐水性もあり安価だが、耐熱性は期待できない。 ●二硫化モリブデングリース マルチパーパスグリースに二硫化モリブデンを配合し、耐摩耗性・耐荷重性を持たせた黒いグリース。 トライブシャフトなど、等速ジョイントのブーツ内部などに使用される。 ここまでは、液状の「ベースオイル」を、半固体の「グリース」にするための「増ちょう剤」にリチウムやカルシウムを使用した「石けん系」のグリースである。 以下は増ちょう剤に石けんを使用しない「非石けん系」グリースの代表的なものを紹介する。 ●ウレアグリース マルチパーパスグリースとほぼ同じ用途で使用されるが、やや耐水性・耐熱性が高い。 密封されたシールドベアリング内部など製品に使われることが多い。 筆者はクルマよりもバイクの整備によく使われるイメージを持っている。 前述の3種類の石けん系グリースは、ほぼ鉱物油ベースといって間違いない。 しかし、この非石けん系のウレアグリースに関しては、製品ごとにベースオイルが異なる場合が多い。 購入する場合には、耐ゴム性能の観点から購入時の確認は必要と思われる。 ●ポリグリコール系グリース 「ラバーグリース」や「ブレーキグリース」の名称で店頭に並ぶ合成油ベースのグリースだ。 ブレーキ内部のピストンシールやカップラバーなど、ゴムを傷めずに潤滑する。 ●シリコーン系グリース 耐熱かつ耐寒、幅広い温度帯で使用可能。 さらに耐水性も抜群な白いグリースだ。 ただし金属同士の摺動面や力のかかる部分には使用できない。 主にプラスチックやゴムに使用される。 高額ではあるが、幅広い用途に使用できる。 その他、特定の使用用途に応じたグリースも多々存在する。 ここで、前述した汎用グリースでは代用できない例を二つ挙げてみよう。 ●ブレーキパッドグリース 主にブレーキパッドとシムなどキャリパー周辺や、ドラムブレーキのライニングとバックプレートの接触部分などに使用する。 他のグリースで代用すると雨などの水分に流されてしまい、ブレーキ鳴きの原因の一つとなる。 耐水性をもつことから、シリコーン系グリースでも代用できるという意見もある。 しかし、筆者はグリースの固さ、すなわち「ちょう度」によると考える。 相手は重要保安部品のブレーキだ。 ここは専用品を使用するべきであろう。 ●クラッチスプライングリース クラッチ交換時に使用するグリースである。 乾燥しにくい性質を持たせることで、グリースがクラッチ摩擦材などのダストを含むことで固くペースト状になることを防ぎつつも、周囲に飛び散りにくいという特長を持つ。 このグリースについては、オートマ車全盛の今日において使用頻度が低いためか、修理の際に別のグリースで代用され時間の経過とともにグリースが粘着する。 クラッチペダルが極端に重くなったり、グリースが周辺に飛び散るなどしてジャダー発生の原因となっている例がある。 細かい部分ではあるが、安易なグリース選びができない一例だ。 他にも挙げられるものはあるが、一般的なクルマのメンテナンスに使用されるものは、おおよそこれぐらいであろうか。 お分かりいただけたと思うが、クレ5-56にマルチパーパスグリースだけがあれば良いわけではないのだ。 確かに広範囲に使用できるグリースは存在するが、筆者の知る限り、どこにでも使える万能なグリースは存在しない。 使用する用途を間違って使用した場合、良かれと思って使用した高額なグリースが、外側のラバーブーツをボロボロにしてしまったという例もある。 これでは本末転倒だ。 まさに「間違いだらけのグリース選び」ではなかろうか? 良かれと思って行ったメンテナンスが、トラブルの原因となる。 潤滑系ケミカルは、どうしてもインターネット広告に流され、高額なものを購入しがちだ。 グリースなどのケミカルは、まずは先述のサービスマニュアルをもとに選択してほしい。 購入の際にはパッケージの裏書きと照らし合わせれば、どれが正しい選択であるか判るはずだ。 幸いなことにこれらは決して高額なものではない。 比較的安価である。 荷姿の問題で少し多めに購入することになったら仲間内でシェアすればよい。 まずは目的に必要なものを用意して、ツールボックスにストックするべきである。 くれぐれも「都市伝説」に騙されてはいけない。 ▲筆者使用のエンジンオイル(主に旧車用)。クルマ用のオイルやケミカルは数多く存在するが、これら油脂類も信頼できる資料をもとに正しい選択をしたい ■まずは自分のペースに合わせて、できることからはじめよう 今回は、サービスマニュアルとパーツリストの入手のススメから話を展開した。 相手は古い機械モノである。 一筋縄でいくとは考えないほうが良い。 DIYの前にまずは情報収集だ。 作業の事前準備はたとえ、その道のプロであっても必要不可欠である。 筆者の経験上、腕の良いメカニックであるほど、この点についてはとても真剣かつ用意周到であると感じる。 森羅万象ともいえる筆者の師匠(熟練の整備工)はサービスマニュアルの内容が脳内にインプットされており、最新情報にも常にアンテナを張っている。 旧車のみならず、DIY初心者の方は今回の記事を読んで「いきなりプロ相手の修理書かよ!?」と思われるかもしれないが、これは修理の具体的かつ、王道である内容である。 これから自身で愛車に手を入れようという方には、ぜひ正しい方法を覚えていただきたい。 ここまで聞くと、難しく感じてしまうかもしれないが、現代のクルマとは異なり、旧車にはオーナーが手を入れられる余地が数多くある。 クルマを構成する部品点数も、必要な工具も現代車に比べればはるかに少ない。 肩ひじ張ることはないのだ。 これなら自分でもできるという部分からはじめればよい。 繰り返しとなるが、そのために道しるべとなるのが「サービスマニュアル」と「パーツリスト」である。 自分のクルマだ。 やりたいようにやればいい。 納得できるところまでやればいい。 そして、何度でもやり直せばいいのだ。 自身の手を汚し、絶好調になったクルマに乗る瞬間は、何事にも代えられない素晴らしい体験である。 こればかりがお金で買えるものではない。 一度経験すると病みつきになる。 まさにプライスレスだ。 プロ顔負けのプライベーターが存在する理由はここにある。 「千里の道も一歩から」「先ず隗よりはじめよ」。 いずれの言葉も、まずはできることからはじめようという意味だ。 ・・・閑話休題。 今後も旧車を維持するにあたって、より実践的な工具の選択方法やケミカルについても案内していこうと思う。 次回も期待して待っていてほしい。 ※前回の記事 ■車整備歴20余年の経験者が思う、旧車オーナーが初めて工具を購入する際の注意点とは? https://www.qsha-oh.com/historia/article/maintenance-tools/ [YouTube]BEARMAN's チャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g [ライター・撮影/クマダトシロー]
旧車オーナーにとって、クルマへの愛情が深くなれば深くなるほど、自身の愛車のメンテナンスに興味を持つことはないであろうか? 詳しい知識はなくとも、できる部分は自身の手でやってみたいと考えているオーナーは決して少なくないと思う。 クルマのメンテナンスを行うためには当然工具が必要なる。 クルマのみならず、機械いじりなど一度も行ったことがないオーナーにとっては、数ある工具の中からどれを選べば良いのか、まったくもって見当もつかないだろう。 今回は、ポンコツ愛好家の私・クマダが、かれこれ20余年の経験を持って、メンテナンスデビューしたいビギナー(初心者)に向けて、なるべく簡単にアドバイスをしたいと思う。 ▲ 雑然とした筆者のツールチェストの内部。安価なショボ工(しょぼい工具)から高額なスナップ・オンまで幅広いラインアップ!?※私クマダはYouTubeでポンコツ再生動画を公開しております。ぜひ動画もご覧ください。チャンネル登録お待ちしております! https://t.co/jshezU8Be0) ■ホームセンターで販売されている工具が、必ずしもクルマの整備に向いているとは限らない ▲すでに購入から20数年が経過したPBボーマンのドライバー。 良い工具は長持ちするうえ、使い込めば使い込むほど愛着がわき、やがて一生モノとなる。 ご存じの通り、昨今DIYがブームとなっている。 ホームセンターの工具コーナーの品揃えも本格的なものとなりつつあるようだ もはや、プロ志向の品揃えとなっているといっても過言ではないことだろう。 おそらく多くのビギナーが、自身で最初に手にする工具をこのホームセンターで検討されると思うが、購入については少し踏みとどまっていただきたい。 それはなぜか? 私クマダは経験上、ホームセンターで販売されている工具が、必ずしもクルマの整備に向いているとは限らないと考えているからだ。 そもそもホームセンターで販売されている工具は、自動車整備のみならず、建築や工業機械など、その他の用途も含めた目的で製造されたものが多い。 これらはたいがいにして肉厚で強固、かつ重量があるため、クルマのエンジンルーム内など、細かく入り組んだ部分での作業がしづらかったりする。 また、くれぐれも多数の工具が一つのケースに入った一見お得そうなツールセットなるものにはくれぐれも注意してほしい。 安価品は全体的に繊細さに欠ける印象のものが多いが、印象のみならず、実際に精度も悪かったりする。 そもそもしっかりと対象物にかみ合わないのだ。 例えば、錆びてただでさえ緩みづらくなっている旧車のボルトやナットに大きなトルクをかけて使用した場合、いとも簡単に頭をなめてしまう可能性がある。 これは作業をする者の腕がいいとか悪いとかの問題ではない。 場合によっては、大きなトルクをかけて使用した際に突然破損し、ケガの原因になることすらあるのだ(筆者は経験済み)。 ■クルマの工具はやはり専門店がおススメ!工具を実際に手に取って選ぼう ▲ 新卒でディーラーの整備士になったが、支給工具は最低限のもので、当然満足のいくものではなかった。先輩に借りるわけにもいかないので、毎月毎月少しずつ工具を買い足していった。これらは20年経った今もしっかり使えている。 それでは、いったいどこで工具を購入すればよいのか? それはやはり、自動車整備用の工具を専門に取り扱った店舗一択となるであろう。 ネットではなく店舗で購入するメリットは、実際に工具を手に取り感触を確かめられる点である。 また忘れてはいけないのが、工具店での経験を積んだスタッフからの直接のアドバイスはたいへん貴重だ。 こういったリアルな体験はネットショッピングではまず不可能といっていいだろう。 ぜひ店舗に直接足を運んで工具を自分自身で選んでほしい。 例を挙げると、早回しに必要なラチェットハンドルひとつとっても種類はさまざまだ。 ハンドルの太さや長さ、そして重さ、ラチェットの歯数や空転時の軽さ、ソケットツールのクイックリリースボタンの有無や押しやすさ・・・。 さらにはクロームの仕上げ方法による握ったときの滑り具合などなど、チェックポイントは多数ある。 そして何よりも、高価なブランド工具と、同機能の安価な工具との違いもここで確かめるといいかもしれない。 なお、最初から数多くの工具を購入する必要はない。 まずはじめに揃えておきたい工具の具体的な内容は次の項で述べるが、使用頻度の高い基本的な工具はしっかりとしたブランド・品質のもので購入したい。 あとは、追々、自身の作業内容やレベルに応じて買い足しすることをおススメする。 必要性を感じてから工具を買い足すことで、無駄なく工具を揃えられるのと同時に、いま手元にある工具の使い方に工夫を凝らすことで、メンテナンスの腕の向上にもつながることであろう。 工具があることにありがたみを感じる瞬間でもある。 ■ビギナーが最初に選ぶべき基本的な工具を、具体的に挙げてみる ▲ 文中に挙げた最低限の基本的な工具。これらを車載工具として携行できるとさらに頼もしい。 筆者が、メンテナンスのビギナーがとりあえず最初に揃えると良いと思う工具は以下の通りだ。 ●コンビネーションレンチ(片側がスパナ、もう片側がメガネレンチになった工具)●3/8sqソケットレンチとラチェットハンドル(8/10/12/13/14/17/19mm)●欲をいえば、1/4sqのソケットレンチとラチェットハンドル(8/10/12/13mm)●エクステンションバー(3/8sq・1/4sqともに長さで2~3種類)●プラスドライバー(1/2/3号)●マイナスドライバー(3/4/5号)●長めのヘックス(六角)棒レンチ(片側がボール型になっているものが良い)●ノズルプライヤー(ラジオペンチ)●カッティングプライヤー(ニッパー)●ウォーターポンププライヤー●1/2sq スピンナーハンドル などなど・・・ とはいえ、ビギナーにとってこれらを最初からそれなりのブランドの工具で購入するとなると、予算のことなど、とても勇気が必要になるだろう。 ただ安心してほしい。 ここ十数年で状況はとても良い方向に好転していからだ。 旧来の工具専門店というと、敷居が高く、その道のプロでないと入りづらそうな雰囲気の店が多かった。 しかし昨今では、プロのみならず、個人のユーザー向けに全国展開をしている工具店が複数存在している。 アストロプロダクツや、ストレート、ファクトリーギアなどである。 インターネットで検索すれば、きっとあなたの身近な場所に店舗が見つかるはずだ。 とりあえずこういった工具店では、ショップのオリジナルブランドではあるが、安価でありながらも、品質的にはなんとか及第点となる工具セットが販売されている。 筆者の本音は、それなりに名の通ったメーカーの工具で揃えていただきたいが、セットの内容を吟味したうえで、これらを購入するのも選択肢のひとつだと思う。 これらの工具セットは、コンパクトで仕上げの良いツールボックスに入って販売されていることが多いので、後々ステップアップした後も車載工具として使用することもできる。 ■スナップ・オンだけが工具ではない。さまざまな工具を手に取り吟味して選ぼう ▲「安くて良いもの」は存在しない。しかし、「安い割にはまぁまぁ良いもの」は間違いなく存在する。ただ、それを見極めるのが難しい・・・。 熟練したメカニックの中には、スナップ・オンをはじめとするブランド工具以外は認めないといった風潮があることも事実だ。 彼らはボルト一本を締める行為一つに強い責任感を持ち、情熱を燃やしている。 先述の通り、安価な工具は精度が悪く、ボルトやナットの角に傷を入れることが多い。 当然の意見であろう。 ただ「ブランド工具」といっても、自動車整備の世界には様々な工具メーカーが存在し、各々個性的な特徴を持ち合わせている。 例えば、高額なブランド工具の代表格、米国メーカーのスナップ・オンのレンチはミラーツールとよばれるクロームメッキ仕上げが特徴で、その美しい外観から使用せずに収集するコレクターが存在する。 しかし反対に欧州では手に持っても滑りにくいザラザラとした梨地仕上げのレンチが好まれる。 ハゼットや、スタビレーの柔軟にしなるレンチがこれに該当する。 PBボーマンのドライバーは、オイルまみれの手で握っても不思議とすべらないグリップをもつ。 国産メーカーでは、定番中の定番であるKTC(京都機械工具)、とても精度の高いソケットツールに定評があるコーケン(山下工業研究所)が挙げられる。 また、機械工具の武骨なイメージだったが、ここ数年で自動車整備向けの工具に力を入れてきたTONE(筆者はラチェットギアレンチや、ストレートメガネレンチを愛用)などなど・・・。 いくつか工具メーカーを挙げたが、これらは、どこのOEMで生産されたか分からない各工具専門店のオリジナルブランド品に比べれば、倍くらいの値段がする。 しかし、これらの製品は、スナップ・オンに比べればとてもリーズナブルだ。 仕様の用途や頻度も含め検討するとよい。 なお、ちゃんとした工具は壊れにくい。 それこそ、良い工具を選べば一生モノとなる。 しかし、工具の世界には「安くて良いもの」は存在しない。 やはり「良いものは高い」のだ。 ただ、「安い割にはまぁまぁ良いもの」は間違いなく存在する。 前述したとおり、工具は手に取ってよく吟味したうえで選んでいただきたい。 納得のいく工具選びを繰り返せば、あなたもいつかエキスパートになれることだろう。 今回は、初めての工具選びについてかんたんに執筆させていただいたが、機会があれば、旧車を維持するにあたって、より実践的な工具の選択方法やケミカルについても案内していこうと思う。 次回を期待して待っていてほしい。 [YouTube]BEARMAN's チャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g [ライター・撮影/クマダトシロー]
読者の皆様は「エンジンマウント」という部品をご存知だろうか? クルマのメンテナンスが好きな方は、なんとなく想像できると思う。 今回、意外と注目されていない部品「エンジンマウント」に注目をしてみたいと思う。 ■エンジンマウントってなに? 「エンジンマウント」とは、エンジンを“車体上に乗せる=マウント”するための部品である。 最近、巷で話題の“マウント”という言葉の意味は、確かに合っている(笑)。 エンジンやミッションは、マウントを介してクルマに固定されている。 部品自体は、ゴムなどのブッシュが内蔵された金属や強化樹脂製のブラケットになる。 取り付け時は、ブラケットが車体側・ブッシュがエンジン側になる。 ブッシュによってエンジンの振動が吸収され、車体側に伝わらない仕組みになっている。 トランスミッションにも同様のマウントが存在し「ミッションマウント」といわれている。 今回「エンジンマウント」と銘打っているが、ミッションマウントも同様と考えていただければと思う。 ■エンジンマウントがダメになったらどうなる? 交換歴がない旧車(20年以上経過)の多くは、すでにくたびれた状態になっている可能性が高いと思われる。 というのも、エンジンマウントは重量物であるエンジンを支えている部品であり、常に重さが加わり続けている状態である。 そのため、走行距離だけでなく、経過年数により劣化して、その免振機能が低下してしまう。 エンジンマウントが劣化したことに気が付くきっかけの多くは「振動」になる。 劣化によりブッシュが硬化してしまい、今まで吸収されていた振動が伝わることになる。 また、長年エンジンやミッションの重さを支えていたことから、ブッシュがつぶれてしまい、位置が下方向に落ちてしまうことがある。 そのため、エンジンやミッションの搭載位置にズレが生じてしまう。 ズレによって、他の部品へ負担がかかることや、スムーズなシフト操作を妨げることにも繋がる。 ■マウント交換は快適性UPに効果テキメン! 筆者の愛車で、劣化に気が付いたきっかけを紹介したいと思う。 1つ目は、AT車でリバースにシフトした際、振動が発生した。 アイドリングや走行をしていても問題となる症状はなかった。 しかし、車庫入れ等でリバースに入れた際、驚くほどの振動が車体を揺らしたのだった。 後退時、エンジンとミッションが普段と逆の方向に捩じれる動きとなる。 劣化したマウントの収まりが悪くなり、振動が発生していた。 交換する際、外した部品の見た目に大きな劣化は見られなかった。 しかし、新旧の部品を並べたところ、古い部品のブッシュ側の固定点位置が下がっていることがわかった。 事実、マウント交換後はエンジン位置が今までよりも高い位置になったのだ! それだけ、マウントは劣化して搭載位置が下がってしまっていたのだった。 2つ目は、MT車でクラッチを繋ぐ際、ジャダーのような振動が発生した。 この振動の原因は、ミッション側のマウントの破断が主な原因であった。 交換時、取り外したマウントは劣化して切れた状態となっていた。 車両は、走行距離10万kmの2001年式 三菱 トッポBJである。 同じく10万km目前の2000年式ダイハツ ミラでも、ミッション側のマウントが破断していた経験がある。 両車ともにMTであり、ミッションマウントへの負荷が大きいのかもしれない。 助手席側のタイヤハウス内、アクセスしやすい場所にあるマウントである。 もし、読者の方で同様の気になる振動がある方は、確認されてみてはいかがだろうか。 ■強化品という選択肢も! エンジンマウントには、強化品も存在している。 封入されたブッシュが標準よりも硬いものと思っていただければ、イメージしやすいと思う。 強化品がラインナップされている目的としては、モータースポーツ用途のためである。 TRDやNISMOといった自動車メーカー系ブランドからもリリースされている。 加減速時、エンジンやミッションは大きく揺れや傾き・捩じれといった動きをする。 街中を普通に走る分には、気にならない程度の動きである。 スポーツ走行をする場合、高負荷がかかり動きも大きくなるが、可能な限り小さくしたい。 強化マウントは、それらを抑える役割を担っており、アクセルレスポンスやシフトフィーリングが向上する。 調べたところ、すでに旧車の域に入っている人気スポーツカーにも設定されている。 車種によっては、純正部品が製造廃止になっていることも、おおいにあり得る。 その場合、強化マウントを流用するといった対応策も選択肢の一つとして可能となる。 強化マウントではあっても、劣化した本来の性能が出せていない標準のマウントと比較して、快適性や操舵性能が良くなることは間違いない。 そしてほんの少し、スポーティになる副産物がついても来るのだ(笑)。 ■まとめ:エンジンマウントは縁の下の力持ち! エンジンマウントは、快適な車内空間を保つ、縁の下の力持ちなのである。 常に支え続けていることで、距離は走っていなくとも劣化してしまう。 気になる振動が出ている場合、マウントの劣化を疑って、早めの交換をオススメしたい。 快適性向上だけでなく、他部品への負担軽減にも繋がり、より長く愛車との時間を過ごせることに繋がるだろう。 [ライター・撮影/お杉]
クルマと付き合う際、避けては通れないメンテナンス。 旧車となると、一筋縄でいかないことも多い。 どのように愛車の健康管理を行っていくか、筆者の経験から感じたことを今回は紹介したいと思う。 ■メンテナンス、どうすればよいの? クルマのメンテナンスは、機関系とボディ系のジャンルがあると考える。 今回は、機関系のメンテナンスをテーマにしたいと思う。 愛車家の皆様においては、手厚いメンテナンスを行っている方も多いことだろう。 不調が出る前に予防整備を行い、ベストな状態を維持する。 不調を感じ取り、対処整備を行い、調子を戻す。 どちらも走り続けるためには、必要なメンテナンスである。 旧車オーナーの多くは、中古車として愛車を手にしていることだろう。 メンテナンスを行うにあたって、自身で行うか?プロにお願いするか? これらには、それぞれのメリットや判断ポイントがあるので、紹介していこう。 ■DIY派は正しい知識と資料の確保が大切 メリット:・構造が理解できる・急な不具合にも対処するスキルがつく 冒頭に、伝えておかなくてはならないことがある。 DIYでのメンテナンスは、やり方を間違えると、重大な事故につながる恐れがある。 そのため、不安のある場合や分解整備を伴わない範囲で行っていただきたい。 現在、各種SNSを通じ、メンテナンスに関する情報が溢れている。 動画を使った説明は、分かりやすく参考になることもある。 それらの情報に触れ、同じようにメンテナンスが行えると思うことは、多いはずだ。 ただ、残念ながらすべてが、正しい内容とは限らない。 悪意を持って、間違えた方法を発信しているパターンもある。 そんなことは、もちろん言語道断である。 しかし、発信者が正しい方法や便利なやり方と思い紹介した内容が、実は危険な方法のケースもある。 そのような情報に対して、正しい方法なのかを見極めるために、受け取り側も正しい知識を備えることが必要だと考える。 筆者の場合、愛車のメンテナンスをDIYで行う機会が多い。 幸いなことに、家族が整備士の資格を持っており、メンテナンスが比較的やりやすい住環境と、恵まれていることも後押ししている。 メンテナンスをする中で、心強いアイテムとなるのは「整備要領書(サービスマニュアル)」である。 自動車メーカーが車種ごとに発行しており、整備手順や故障診断方法が記載されている。 整備士向けの内容となっているため、専門知識を備えていないと難解な内容だったりする。 ただ、構造の図解もあるため、知識を蓄えるには参考となるはずだ。 自身でメンテナンスを行わなくても「読みもの」として楽しむことができるだろう。 いざ、DIYでメンテナンスを行うに際して、注意しなくてはならないことが他にもある。 作業がうまくいかず、動けなくなった場合の対処法だ。 最悪なケースとして、レッカーで運ぶことも考え、作業場所を選ぶと良いと思う。 ■経験豊富なプロにお任せ メリット:・経験に基づく確実な整備・自身の時間を他に使える 最初は、メンテナンスをお願いしたくても、どこへお願いすれば良いかわからないものだ。 さらに旧車となった場合、なおさらである。大まかに3つの選択肢がある。 ・自動車メーカーのディーラー・整備工場・同一車種の専門店 各々の特徴を紹介していこう。 旧車のなかでも、比較的年式の新しい車種は、自動車メーカーのディーラーでも診てもらえるだろう。 もちろん年式が古い場合でも、その車種のことを理解して、整備が行える環境にある店舗の場合、引き受けてくれるだろう。 しかし、条件が合致せず、引き受けられない旨の説明をされることもある。 旧車の場合、分からずに整備を進め、他の個所を壊してしまう危険性もある。 そのリスクを考えた場合、整備ができない旨を正直に打ち明け、断ってもらうことも双方にとって、良いことと考える。 ディーラーでは、保障の観点から、純正部品を用いた整備が基本となる。 そのため、純正部品が手に入らない車種の場合、比較的新しくても整備を断らざるを得ないケースも実際にはある。 整備工場では、純正部品に限らず、適合する社外部品や流用術のノウハウを用いて整備を行うことも多い。 また、旧車を得意とする整備工場も意外と多い。 街中で整備工場を目にする際、入庫している車種や年式が(良い意味で)偏っているお店は、意外と駆け込み寺となっていることもある。 愛車で気になることがある際は、そんな整備工場で相談をしてみるのも良いと思う。 旧車となると、特定の車種に関する情報を多く持つ、専門店の存在も大きい。 専門店では、同一車種を扱っている台数が多いことから、ノウハウを活かして診断してくれるだろう。 発生している不具合が、その車種や同メーカー同年代固有のウィークポイントということもある。 そんなウィークポイントの部品や長期で乗るにあたって必要な部品を、部品メーカーと共同で新たに製造しているパターンもある。 これは同一車種を多く診ている専門店ならではの動きである。 SNSやイベントを通じて、同じ車種・年代・メーカーのクルマに乗っている仲間からおすすめのお店を教えてもらうことも、大事な手段だと思う。 ■プロならではの経験値でチェック 先日、お世話になっているディーラーで、愛車パルサーを診ていただく機会があった。 担当の方は、R32型スカイラインやN15型パルサーに乗っており、旧車への理解がある。 預ける際、気になる点を伝え、関連した不具合がないか診ていただいた。 筆者が感じていた気になる点は「高速道路を走行時、振動が発生する」という内容だ。 以前、高速道路を走行時に100km/h付近で振動を感じていた。 筆者の予想としては、タイヤのバランスが取れていないことで発生している振動と思っていた。 その後、新品のタイヤを履かせ、バランスを取り、不具合が解消されることを期待していた。 しかし、同様の速度域で再び振動が発生した。 原因はタイヤでは無いことがハッキリした。 次に、振動が出そうな部品を考えた。 4WDなので、前後の駆動を伝えるプロペラシャフト関連の部品を疑った。 診ていただく際、今までの経緯と素人なりの予想を伝えた。 預けてすぐに、原因は分かった。 フロントハブのベアリングの劣化によるものであった。 リフトに乗せられた、愛車のホイールを揺すると、ガタツキが目視できた。 経験豊富なプロの診断は、症状から的確にアタリを見つけられた。 仮に、筆者の予想を自身の判断だけで突き進んだ場合、プロペラシャフトのマウントやジョイントを疑い、おおごとになっていたことだろう。 今回、幸いなことにまだ純正部品の供給があり、交換をお願いすることにした。 DIYが多い筆者にしては「お店に頼むとは珍しい」と友人たちにいわれた。 今回、診断にて原因を特定していただき、作業内容を考え自身で行うのは困難と判断した。 ハブベアリング交換は、プレス機による圧入などが必要である。 プレス機等の必要になる設備を持っていないこと、近日中に乗って出かける予定があり、時間的余裕が無いため、作業をお願いした。 作業に1日以上かかるのではないかと思っていたが、プロの手にかかれば半日以内で無事完了した。 やはり固着等の問題はあったようだが、充実した設備、豊富な経験から乗り越えられるのはプロのなせる業であると感じた。 ■まとめ:自身で行える範囲はDIYで楽しみ、重整備はプロに任せる メンテナンスを楽しむのも旧車の醍醐味である。 自身で行える範囲はDIYで楽しみ、重整備はプロに任せる。 バランスよくメンテナンスを行うことで、快調な愛車での旧車ライフを楽しむことができるはずだ。 [ライター・撮影/お杉]