旧車市場動向

唯我独尊!マツダの旧車が高いそのワケとは?
旧車市場動向 2022.02.10

唯我独尊!マツダの旧車が高いそのワケとは?

マツダ車は高く買って安く売る”マツダ地獄”という言葉を聞いたことがあるでしょうか?この言葉は、マツダ車は手放すときに高く売れないことを揶揄した表現です。しかし、マツダ車であっても旧車であれば、十分高く売ることができます。そこで今回の記事では、“マツダ地獄”とは無縁な、高く売れるマツダの旧車についてご紹介していきましょう。 色褪せることのないマツダの旧車 歴史的価値も高く、新車当時よりも高値で取引されているのは、主に1960年代後半から1980年代にかけてのモデルです。 コスモスポーツ マツダを語る上で絶対に外すことのできないのが、ロータリーエンジンの存在。そのロータリーエンジンを市販車として初めて搭載したのがコスモスポーツなのです。まるで宇宙船のようなデザインは未来的で、今見ても素直にカッコいいと思えるスタイリングになっています。 搭載される10A型ロータリーエンジンは、最高出力110psを発揮。最高速度185km/h、0-400m加速16.3秒という、当時としては脅威的な動力性能を誇っていました。また、その動力性能のみならず、一般的なレシプロエンジンには無いスムーズな回転フィールが特徴で、未来的なスタイリングと相まって「夢の車」と形容されるほどです。 ルーチェ ルーチェは、1966年から1995年までの、およそ29年間販売されたマツダの主力セダンで、2代目のみ2ドアハードトップやワゴンが存在。日本国内だけでなく、常に国外での販売を意識し、どの世代も日本車離れしたエクステリアデザインで、トヨタや日産には無い魅力が人気のモデルです。 2代目から5代目まで、ロータリーエンジンを搭載したモデルをラインナップしていることも大きな特徴で、特に大柄な高級サルーンであった5代目では、大きなエンジンルームにコンパクトな13B型ロータリーエンジンが搭載された様子は、独特の雰囲気を醸し出していました。 カペラ 1970年にデビューした初代カペラは、最高出カ120ps、最大トルク16.0kgmを発生する12A型ロータリーエンジンと、1.6Lのレシプロエンジン、2ドアクーペと4ドアセダンを設定。ロータリーエンジンを搭載した2ドアクーペのカペラは、最高速度190km/h、0-400m加速15.7秒という性能を誇り、「風のカペラ」とも呼ばれていました。マツダの世界戦略車として、2002年まで製造。また、2ドアクーペからステーションワゴン、5ドアハッチバックまで多彩なボディバリエーションをそろえています。 サバンナ(RX-3) 後述するRX-7の前身にあたる、ロータリーエンジン専用車であるサバンナ(RX-3)。1971年の発売当初に搭載されていた10A型のロータリーエンジンから、翌年1972年に12A型ロータリーエンジン搭載したサバンナGTが登場します。日本車離れした大胆なスタイリングもさることながら、当時のツーリングカーレースでは、当時無敵を誇っていた日産GT-Rの50連勝を阻止したことでも知られています。 RX-7(SA22C) 先述したサバンナから、マツダのスポーツカー部門を受け継ぐのが初代SA22C型サバンナ RX-7です。ロータリーエンジンを搭載していることがわかる低いボンネットに、今では衝突安全上の問題で採用できないリトラクタブル式ヘッドライトなど、一目でスポーツカーであることがわかるスタイリングになっています。当然走りも軽快そのもので、軽量小型のロータリーエンジンを主眼に置いて開発。その設計思想は後に販売される、FC型(2代目)やFD型(3代目)にも受け継がれ、日本を代表するピュアスポーツカーです。 ロータリーエンジンや独自のデザインが中古車市場でも人気 ロータリーエンジンという、市販車としては世界に類を見ない独自の技術を持ち、マツダは技術屋集団として世界から評価され続けてきたメーカーです。それ故、旧車になっても評価の高いのは、マツダとして独自性の強い技術やデザインが採用された車種であることが多く見受けられます。 現在でも、スカイアクティブや魂動(こどう)デザインといった、他のメーカーとは一線を画す高い技術力を用いた車種を多くラインナップ。2020年で創立100周年を迎え、今現行車として販売されているモデルの中から、将来歴史的な価値を持った車種が生まれてくるかもしれません。 マツダの旧車相場は高騰している理由は“希少性” マツダには、販売台数の低迷から経営不振に陥り、そのたびに倒産の危機を乗り越えてきた歴史があります。そんなマツダの旧車の中で、高値で取引される傾向にあるのは、やはり1980年代前半までのモデルが中心です。 また、ロータリーエンジンをはじめとして、他メーカーには無いマツダ独自のデザインやメカニズムが色濃く反映された車種に人気が集中する傾向にあります。つまり、今後市販される可能性が低いこれら、マツダの独自性自体が希少価値を生み、当時の新車価格以上の価格で取引されているのです。 希少性にかかわらず高く売るなら専門店がオススメ ここまでお話してきたように、マツダの旧車は希少性という点で、中古車として高い価値を生み出してきました。とは言え、今回ご紹介していない、NA型NB型ロードスターやランティス、日本のコンパクトカー市場で中核を担ってきたファミリアなど、今後その価値が見直される可能性を秘めた車種がまだまだ存在します。今回ご紹介した車種はもちろん、そうではない車種の場合でも、しっかりとその価値を理解し、中古車市場の動向や人気を深く理解した、旧車王のような専門店に売ることが大切です。 [ライター/増田真吾]

いま世界中から大人気!旧車の国産SUVが中古車になっても高いワケ
旧車市場動向 2022.02.10

いま世界中から大人気!旧車の国産SUVが中古車になっても高いワケ

いま、国を問わず人気となっているSUV。SUVの魅力はアクティブでカッコいいデザインはもとより、乗用車よりも広く実用性の高いし室内空間と、ミニバンには無い高い走行性能が大きな魅力です。そんなSUVの中でも、特に中古車相場が下がらず人気となっているのが、旧車の国産SUVであることをご存じでしょうか?今回は、人気の衰えを知らない旧車の国産SUVについてお話していきます。 世界のSUVを牽引してきた国産SUV もともと、軍用車やトラックをベースに開発されてきた車種が多く、一般的な乗用車に比べ耐久性に優れています。特に年式の古い旧車と呼ばれるSUVの中には、30万km50万kmい所現役で走っている個体も珍しくありません。ではそんな、今での人気の衰えを知らない、旧車の国産SUVの一部をご紹介していきましょう。 トヨタ ランドクルーザー 言わずと知れたトヨタを、いや、日本を代表する存在のトヨタ ランドクルーザー。その歴史は古く、1950年代にまでさかのぼります。つまり、誕生からおよそ70年経過しており、それほど長いあいだ日本のみならず世界中から支持されている車種です。 ランドクルーザーの大きな特徴として上げられるのが、そのモデルごとのファンがいるということです。角ばったスタイリングで、これぞクロカン!といった男らしい60や70系。バルブ期に発売され高級SUV路線で大成功した80系など、ランドクルーザーを買い求めるユーザーは、みな型式を指定して探すほどです。 三菱 パジェロ 30代半ばから40代後半の世代の方は、パジェロと言えば人気バラエティ番組の商品、はたまた、世界一過酷と言われる「パリ・ダカールラリー」で活躍した姿を思い浮かべるのではないでしょうか。もともと本格クロカンとしてデビューしたパジェロですが、1987年に本革シートを装備し、高級志向になった“エクシード”が登場。世の中のスキーブームを手伝って、普段悪路を走ることのない層からも人気となりました。 スズキ ジムニー 初代スズキ ジムニーがデビューしたのは1970年と、およそ50年の長い歴史を持つジムニーの魅力は、軽自動車でありながら、どんな悪路でもそうはできる本格的な走行性能です。耐久性が高いことはもちろんですが、ラダーフレームに前後車軸懸架というシンプルな構造で整備性にも優れ、何台もジムニーを乗り継ぐ熱狂的なファンも存在します。 旧車の国産SUVは魅力的!でも古いが故の注意点も かく言う筆者も、25年前のJA11型ジムニーを所有している身。旧車のSUVは最新の車には無いアナログな魅力があり、車を操る感覚は何事にも代えがたいものがあります。がしかし、古いが故、下記のような弊害が無いわけではありません。 自動車税が高い! 日本の法律では、年式が古くなると自動車税(軽自動車税)が高くなる仕組みになっています。軽自動車であるジムニーは数千円ですが、排気量の大きな車種になればその差額は決して無視できるものではありません。 燃費が悪い! もともと車重が重く4輪駆動、そして太いタイヤを履くSUVは、燃費という点ではほかのジャンルよりかなり不利。さらに、2010年以前のモデルは、最新のモデルのように燃費性能を第一に考えられていない場合が多く、車種によっては、街乗りでリッターあたり5kmを下回ることも珍しくありません。 安全装備が乏しい 最新の車種では、キャビンをぐるっと取り囲むように配置されたエアバックや、いわゆる自動ブレーキがほぼ標準装備となっています。しかし、国産車でエアバックが普及したのは1990年代後半(登場は1987年)、自動ブレーキに至っては、一般化したのは2010年以降です。(登場は2003年) 家族使う車なら今まさに買い替えのチャンス 本当にその車種が好きで、なにがあっても乗り続けたいという強い希望がある場合は別として、家族全員で使う、もしくは生活の足として乗るのであれば、最新のモデルをオススメします。税金や燃料代も長い目で見れば決して小さくありませんし、何より、安全はお金で買うことができません。 この記事をお読みになっている方のなかで、まさに旧車のSUVを大切に乗っているのなら、そのまま大切に乗り続けるか買い替えるのかを決断するのはイマがオススメ。なぜなら、SUVは車をただの道具ではなく、所有すること、運転することそのものを魅力として訴求できる唯一無二の存在だからです。 大切に乗って来たからこそ、買い替えを検討するなら高く売れるこのタイミングは絶好のチャンス。さらに、多くの取り扱い実績があるが旧車王のような専門店にお願いすれば、満足のいく結果が得られやすくなります。 [ライター/増田真吾]

MR2(SW20型)の中古車は買いと言えるのか?迷車と言われる理由についても解説
旧車市場動向 2022.02.10

MR2(SW20型)の中古車は買いと言えるのか?迷車と言われる理由についても解説

MR2は、1984年に登場した国産車初の市販ミッドシップスポーツです。1989年にフルモデルチェンジが行われ、1999年まで販売された15年の歴史を刻んだトヨタが誇る名車です。一般のユーザーが手に届く価格でフェラーリなどのスーパーカーと同様のミッドシップレイアウトを実現したバブル時代だからこそなし得たスポーツカーでした。とくに、現代でも通用するポテンシャルを持っていると言われる2代目であるSW20型は、ネオクラシックカーブームの後押しもあり、今なお高い人気を誇っています。 SW20型は、なぜ「迷車」と言われるのか? MR2のSW20型には、有名なエピソードがあります。それは、一般的には高い評価を得ているSW20型ですが、「迷車」と呼ばれるくらい初期型の出来が酷く、2型以降のモデルとは全く評価が異なることです。具体的には、MR2の初のモデルチェンジはデザイン重視に振りすぎたと言われており、そのためボディ剛性不足に陥ってしまいました。それ以外にも、フロントショックアブソーバーのストローク不足、フロントサスペンションのキャスター角不足、見た目もいまいちだった14インチのタイヤ&ホイールサイズなどの問題があり、元々ピーキーな特性のミッドシップレイアウトにもかかわらず、初期型は「あ、やばい」と思った時にはスピンしていると言われるくらい、そのピーキーさを助長している車となってしまいました。しかし、2型以降は弱点と言われたピーキーさはほとんど影を潜め、15インチタイヤ&ホイールなどによる見た目の変更もあり、高い人気を得ることが出来たのです。 MR2(SW20型)の中古車を上手に買うためには MR2(SW20型)の中古車を購入する際に重要なことは、2型以降を選ぶということです。理由は前述の通りですが、最近では殆ど中古車を見かけなくなってしまったので、その点を心配する必要はないと言えるでしょう。それよりも、3型以降のターボのGT系とVVT-i(可変バルブタイミング機構)化により200馬力の出力を得たNA・2Lの5型のGリミテッドを比較するユーザーが多いはずです。仮に、250万円前後で購入を考えた場合に、この2つのモデルの間には少なくても4~5年の開きがありますので、非常に悩みどころと言えるです。もちろん、5型のターボを買えれば一番良いのですが、最近の相場では優に300万円を超えてきます。 MR2(SW20型)と言えば、ターボのGT系を思い浮かべる方がほとんどだと思いますが、25年以上経過してしまっている個体も多く、距離なども含めて良い状態が望めなくなっているのが現実です。なおかつタマ数も極端に少なくなってきているため、購入にあたっては相当な苦労を覚悟しなければなりません。それに対して、5型のGリミテッドは比較的走行距離が少なく状態が良い個体が安価で手に入ります。最終型の5型ですので、年式が新しいことは言うまでもありません。現行の86/BRZが200馬力程度のことを考えれば、200馬力のNAエンジンは十分に魅力的です。「MR2(SW20型)の5型をNAであまりお金をかけずに楽しむ。」これが、旧車王からの提案であり、これからのMR2(SW20型)の楽しみ方かもしれません。 [ライター/旧車王編集部]

オープンエアと超高回転NAエンジンの快感!ホンダ S2000の特徴と中古車事情
旧車市場動向 2022.02.10

オープンエアと超高回転NAエンジンの快感!ホンダ S2000の特徴と中古車事情

燃費が良く安全、それでいてエンジンは低回転から最大トルクを発生して乗りやすい。近年販売される車種のほとんどはとにかく優秀で良くできた車ばかりです。しかし、優秀過ぎるが故、操る楽しさやエンジン回転数に伴って加速する気持ちよさが半減してしまったと感じている方の少なくないと思います。そこで今回は、ホンダが世に送り出したピュア中のピュアなスポーツカー、S2000の特徴と中古車事情についてお話していきましょう。 速く走ることを宿命づけられたホンダのFRスポーツ ホンダ S2000は、本田技研工業創立50周年を記念して開発されたFRオープンスポーツカー。ホンダとしては約29年ぶりであったことから、大きな話題となりました。 もともとVTECエンジンで名をはせていたホンダらしく、搭載されるF20C型 直列4気筒2.0L DOHC VTECエンジンは、最高出力250馬力、最大トルク22.2kgmを発生。許容回転数は9000rpmと、市販車としては異例の超高回転型エンジンで、どこまでも回りそうなエンジンフィールが大きな特徴です。トランスミッションは6速MTのみ、サスペンションも速く走ることだけを考えて開発され、2005年11月まで製造された前期型は、乗り手の腕を選ぶとまで言われていました。 一方、2005年年末以降の後期型は、エンジンはアメリカ向けに開発された2.2L(F20C型)に変更され、最高出力は242馬力、許容回転数は8000rpmに引き下げられます。しかし、その分低中速トルクが厚くなり、街中での扱いやすさが向上。さらにサスペンションチューニングも見直されたことで、前期型よりもマイルドで誰でも乗りやすいスポーツカーに進化しています。 流通台数も少なく新車価格超えは当たり前! S2000に限らず、90年代に発売されたスポーツカーの中古車相場は軒並み高騰しています。その中でも、S2000の中古車相場は特に高騰しており、2020年8月現在の大手中古車検索サイトでもっとも安い車両は、1999年式で走行距離は19.3万kmの128万円(車両価格、消費税別)。20年以上前の車両で、走行距離が20万kmに迫っていることを考えると、かなり異例であることがわかると思います。 また、2006年以降の後期型はさらに高く、修復歴無しで3万km以下の低走行距離車となると、新車価格を上回る値付けがされている、もしくは「応相談」となっているほどです。 走り倒したいなら前期型、気持ちの良いセカンドカーなら後期型 そんなホンダ S2000を購入したいのであれば、できるだけ早く購入することをオススメ。ここ何年かの値動きを見ていると、ほぼ横ばいで推移しているものの、掲載台数は明らかに減少しています。つまり、当然のことながら程度のいい個体、もしくは、価格が安い個体からどんどん売れているため、時間が経てば経つほど選べる候補が少なくなってしまいます。 オススメの選び方としては、S2000を購入後、サーキットなどに持ち込んでスポーツ走行を楽しみたい方なら、直しながら乗ることを前提に2005年11月以前の前期型。特にサーキットには行かないが、気持ちよく走れるスポーツカーを探しているなら後期型がオススメです。 狙いはガラススクリーンの2001年以降!ただし修復歴車は慎重に オープンカーであるS2000のウイークポイントはやはり幌。雨漏れはある程度覚悟しなければいけませんし、通常のクーペとは違い、走行音はかなり大きめです。また、購入するなら、リヤスクリーンがガラスに変更された2001年以降を選びましょう。 そして、やはり注意しなければいけないのが修復歴車の存在。一口に修復歴と言っても、損傷の程度は大きく違います。そのため、購入後に発生するトラブルも予想ができず、いくら安いからとは言え絶対におすすめできません。 ただし、S2000は性格上、他車種に比べ修復歴ありの比率がやや高めで、2020年8月の掲載台数で言えば、156台中61台が修復歴あり。そのため、どうしても手に入れたいのであれば、修復歴車も候補にせざるを得ないかもしれません。その場合は、販売店が信頼できるかどうかを見極め、購入後も頼りにできる整備工場や専門ショップを見つけておくようにしましょう。 今後相場が下がる心配なし売却先選びが重要 ここまでお話ししたように、S2000の中古車相場は、かなり高いところで安定しています。また、それだけ高騰しているにも関わらず、コンスタントに台数が減っているところから見て、需要もかなりあると言うことがわかります。また、今後相場が大きく落ちる可能性はほぼないと言っていいでしょう。 そのため、これからS2000の売却を考えているなら、焦らなくてもそれなりの価格で売却することができそうです。しかし、だからこそきちんと評価してくれる店舗を見つけることが最重要ポイント。相場が落ちる可能性が極めて低い車種であるため、焦らずじっくり売却探すことがオススメです。 [ライター/増田真吾]

今が底値か!?280馬力規制のきっかけになったZ32型フェアレディZの中古車事情とは
旧車市場動向 2022.02.10

今が底値か!?280馬力規制のきっかけになったZ32型フェアレディZの中古車事情とは

2020年9月16日、日産は新型フェアレディZプロトタイプをオンラインで公開。歴代Zの要素を随所に散りばめた姿は、大きな話題となりました。そんなフェアレディZの歴史の中で、大きな転換点になったのは、4代目に当たるZ32型。今回は新型フェアレディZ登場にちなみ、4代目Z32型フェアレディZの特徴を振り返りつつ、中古車事情についてお話していきましょう。 国産スポーツカーの歴史を作ったZ32型フェアレディZ Z32型フェアレディZが登場したのは1989年当時、日本はバブル経済の絶頂期を迎えていました。そんな時代に開発されたこともあり、より完璧なスポーツカーを目指してありとあらゆる技術が惜しみなく投入。その結果、先代Z31型までの伝統よりも、新たなフェアレディZとして大きな転換点を迎えます。 その最たるところはデザインで、初代S30型から踏襲してきたロングノーズ・ショートデッキのスタイルではなく、時代の潮流を意識したワイド&ローなスタイルに変更。伝統の2シーターに加え、2+2の通称“2by2”が用意されていたことも、景気が良かったことを物語っています。 そして、エンジンはこれまた伝統だった直列6気筒を完全に廃止し、V6 3リッターDOHC NAのVG30DE型エンジンと、ツインターボチャージャーを加えたVG30DETT型エンジンを搭載。ツインターボVG30DETT型エンジンは、当初300馬力超えを視野に入れて開発されていたものの、お国からの指導により280馬力にデチューンすることになります。このことが前例となり、国産車にしか存在しい「280馬力自主規制」のきっかけとなったのです。 中古車の流通量は少なめで相場はやや高騰 バブル崩壊と日産の経営不振が重なったことで、Z32型フェアレディZは2000年まで生産されることになります。しかし、景気が悪い中新車のスポーツカーを買うユーザーは少なく、11年という長期間で合ったにもかかわらず販売は低迷。販売期間のおよそ11年間で約16万5千台ほどの販売にとどまりました。 そのため、中古車として流通している台数も多くなく、大手中古車検索サイトを見る限り、全国で64台しかありません。また、スポーツカーという性格上、修復歴車もやや多め。修復歴なしの低走行車でツインターボの場合、当時の新車販売価格を超える値付けがされています。 じっくり探せばお買い得な中古車を見つけられるかも!? そんなプレミア価格ともいえる値付けがされたZ32型フェアレディZの中古車ですが、すべての中古車が常軌を逸した価格かと言えばそうではありません。2020年9月現在の情報では、AT、修復歴無しのツインターボでも60万円を切る個体も存在しています。 ただし、新しい年式でも20年落ちとなる、いわばネオクラシックに分類される車種であるため、価格が安い個体は塗装の状態がイマイチで、走行距離は多めです。予算としっかり相談しながら、できるだけ程度の良い個体をじっくり探すと良いでしょう。 中古車販売店によって値付けはバラバラ Z32型フェアレディZの中古車情報でもう一つ特徴的なことは、価格が応相談となっている個体が、調査時点で8台も存在していることです。また、走行距離や年式と価格が必ずしも比例していないという印象です。 つまりそれは、一般的な中古車とは違い、販売店の価値観や考え方で値付けされているということを意味します。そのため、よほどビビビッとくる個体ではない限り、ゆっくりじっくり探すことが大切。走行距離、塗装の劣化具合、カスタム内容など、これなら欲しい!と思える1台に出会うまで焦らず探すようにしましょう。 これ以上の値上がりの可能性は低いもののリセールバリューは高め Z32型フェアレディZは、セダンやコンパクトカーに比べ、中古車価格が高めに推移しているのは確かです。しかし、同時期に販売されていたR32スカイラインGT-Rのように、1000万を超えるような価格は期待できません。 その理由は、Z32型フェアレディZがアメリカの25年ルールと無関係だからです。規制によってアメリカに輸入できなかった日本車でも、25年以上経過することでクラシックカーという扱いになり、輸入できるようになるというもの。その法律によって日本でしか販売されていなかった歴代スカイラインGT-Rは、軒並み新車価格以上の高値で売買されるようになってしまいました。 一方、Z32型フェアレディZは、新車当時からアメリカで販売されていたため、25年ルールによる値上がりには無関係なのです。とは言え、今後台数が減少していくことが明白であるため、これ以上中古車相場が下がることあり得ません。したがって、もしこれからZ32型フェアレディZの売却を考えているなら、その価値をしっかり見極め、買取価格に反映してくれる買取店を探すようにしましょう。 [ライター/増田真吾]

100万円で購入出来るロータリー?マツダ RX-8の中古車は今がチャンス!
旧車市場動向 2022.02.10

100万円で購入出来るロータリー?マツダ RX-8の中古車は今がチャンス!

旧車バブルやスポーツカーの価格高騰が騒がれている今日この頃ですが、そんな中に100万円程度で購入出来てしまうロータリースポーツが存在します。その車は、最後のロータリー車「RX-8」 であり、ここではRX-8が評価されない理由や中古車選びのポイントなどについてご紹介させていただきます。 RX-8の前に立ちはだかるRX-7(FD3S)の厚い壁 昨今の旧車・ネオクラシックカーブームは、一部の車種で3000万円を超える取引が行われるなど、その勢いは留まるところを知りません。そんな中でロータリーの代表的な車種である3代目RX-7、通称エフ・ディー(FD)が高値で取引されていることは言うまでもありません。 ところが、最後のロータリーエンジン搭載市販車であるRX-8が100万円前後で購入出来るという異常事態が発生しているのです。もちろん、RX-7が高値で取引される理由には、日本一美しいと言っても過言ではないエクステリアデザインやストリート仕様でも500馬力オーバーが狙える13Bロータリー・ターボなどがあります。また、RX-8の価格の安さの背景には、環境を優先させてNAロータリーにしなければならかったという事情があったのも、また事実です。 しかし、いくらRX-8の魅力がRX-7に劣ると言っても、トルセンLSDが標準のタイプSを購入すれば何もいじらずにドリフトが可能なポテンシャルを持ちあわせており、何しろ高年式のロータリーが購入出来ることは、RX-7では絶対に手に入れることの出来ない大きな魅力のひとつなのです。 そのことにいち早く気づいた若い世代のユーザーが、中古車価格の安さを武器にカスタマイズやサーキット走行などを楽しんおりますが、皆共通して言えることはロータリーエンジンの魅力に取り憑かれていることです。さらに言えば、旧車・ネオクラシックカーのスポーツカーの歴史を振り返れば、購入から何年か後に価格が高騰することはほぼ間違いのない事実と言えます。 ポルシェやベンツと真っ向勝負の末にルマン24時間耐久レースを制した伝説の車「マツダ 787B」は、総排気量2600cc(654x4)のNA4ローターでした。つまり、RX-8のNAロータリーには、RX-7では味わうことが出来ない魅力があり、ロータリーエンジンにとってターボが全てではないということです。 RX-8の中古車選びのポイント RX-8の中古車を選ぶ際の注意点は、2008年にマイナーチェンジが行われていることを頭に入れておくことと、グレードごとの装備や違いを理解することです。 まず、マイナーチェンジに関しては、エクステリアデザインやエンジンの仕様が大きく変更されており、一般的には無難に後期型を選びましょうという話しになります。ところが、この世代のスポーツカーは、マイナーチェンジの際にエンジンをデチューンする場合があり、RX-8もこれに当てはまります。具体的には、ベースグレードは210ps→215psとなっておりますが、250psのタイプSはレギュラーガソリンを使用してしまった時の対応幅を拡大させたなどの理由により、何と15psもパワーダウンしてしまったのです。したがって、前期型のタイプSも十分に魅力的と言えるのです。 次にグレードに関しては、ざっくりと言ってしまえば、ドリフトまでこなすトルセンLSDが標準装備のタイプSか、あくまでロータリーの雰囲気を楽しみたいベースグレードかのどちらかになりますが、カスタマイズやチューニングを考えるのであれば、グレードにこだわる必要はなく、「乗りたいと思える一台」を探すことが最も大切になってくるのかもしれません。それに付随して、やはりオーバーホールが必要なロータリー車ですので、走行距離はなるべく少ない方がいいでしょう。 最後に、マツダ車は基本的に楽ナビなどの社外ナビが取付出来ません。そんなお悩みには、「カナック(Kanatechs)品番:TBX-T003R カーナビ/オーディオ取付キット」が解決してくれますので、参考にしていただければ幸いです。 [ライター/旧車王編集部]

中古車でも1000万円超!?90年代FRスポーツの最高峰!A80型スープラ
旧車市場動向 2022.02.09

中古車でも1000万円超!?90年代FRスポーツの最高峰!A80型スープラ

トヨタを代表するスポーツカーであるスープラは、2019年に新型GRスープラが復活し大きな話題となりました。ところが先代に当たるA80型スープラの人気は衰えることはなく、状態によっては1000万円を超える車両も存在するほど高い人気を誇っています。A80型スープラがそこまで人気となっている秘密と、その魅力について見ていきましょう。 90年代のトヨタフラッグシップスポーツ! スープラとしては4代目(日本では2代目)に当たるA80型スープラは、NA(自然吸気)仕様のSZとツインターボエンジンを搭載するRZをラインナップ。排気量は3.0リッターのみで、NA使用は225馬力、ツインターボ仕様は自主規制いっぱいの最高出力280馬力、最大トルク46.0kgf・m(1997年のマイナーチェンジ後)を発生します。 先代のA70型に比べ、全長は100mm、ホイールベースは45mm短縮。丸みのあるマッシブな見た目とは裏腹に、コーナリングマシンとしての側面を持ちます。 トランスミッションは、国産車初のゲトラグ製の6速マニュアルミッションを搭載。その走りは世界一過酷と言われるドイツ ニュルブルクリンクで鍛え上げられ、ハイパワーFRでありながら高いコントロール性を誇ります。また、モリゾウことトヨタ自動車社長の豊田章男氏が、マスタードライバーになるための訓練としてA80型スープラでニュルブルクリンクを走るなど、現在もトヨタの訓練用車両として活躍しています。 極上のマニュアルモデルは1000万円超! A80型スープラの中古車相場はかなり高騰。もっとも新しいモデルでも2002年製であるため、流通している台数が少ないこともありますが、一般的な中古車と比較すると、かなりのプレミア価格となっています。 原稿執筆時点の2020年10月の中古車情報を確認すると、もっとも安い車両は、1995年式 走行距離約8万km SZ ATモデルで約280万円。年式のわりに走行距離が少なめではありますが、もっとも人気のないNAのATモデルであるため割高感があります。 一方、価格応相談を除きもっとも高いモデルは、1994年式 走行距離1万km RZ 6MTモデルで、その価格はなんと1000万円オーバー。同モデルの新車価格は約440万円であるため、やはりかなり相場が高騰しているということがわかります。 あえての右ハンドルがアメリカで人気 スカイラインGT-Rをはじめとして、1990年代から2000年代前半に発売された日本製スポーツカーの中古車相場が軒並み高騰しています。その原因の一つが、アメリカの25年ルール。これは、もともとアメリカで右ハンドルの車を売ることができなかったところ、製造から25年が経過すると販売と登録が解禁される制度で、アメリカのバイヤーは25年の解禁を待って、日本の中古車を買い付けているのです。 A80型スープラは、まさにこの25年ルールに当てはまっています。さらに言えば、映画ワイルドスピードのヒットにより、“右ハンドルの日本車”が好まれるため、もともと左ハンドルの北米モデルがあるにもかかわらず、日本で販売されていたA80型スープラの中古車価格が高騰しているのです。 雰囲気を味わうだけならNAのATモデルがおすすめ これ以上価格が上がる前に、なんとかA80型スープラを購入したいと考えている方も多いと思いますが、余程強いこだわりがない限り、NAのATモデルをおすすめします。もちろん、A80型スープラと言えばツインターボの6速!といいたいところではありますが、やはり中古車としては高すぎると言わざるを得ません。 また、いくら高性能なFRスポーツとは言え、年式と走行距離からくる“ヤレ”は避けることができず、本来の走りを取り戻すためには相応のメンテナンス費用を覚悟する必要があるでしょう。 NAでは物足りないのでは?と思うかもしれませんが、最新のエンジンに比べ複雑な制御が介入していない分、直6大排気量NAの滑らかでトルクフルな感触をダイレクトに楽しむことができます。 リセールバリューは高値安定 A80型スープラが2002年に販売を終えてから、およそ17年後に5代目スープラ(DB型)が復活。BMWとの共同開発で誕生し、BMW Z4の兄弟車としても大きな話題となりました。そんな現行型スープラは、当然のことながらA80型スープラよりも高い走行性能と最新の安全装置を備えていますが、なんでも新しければ良いと言い切れないのが“車”という文化の面白いところ。 最新型が発売されてもA80型スープラの人気は衰えることはなく、余程保管状態が良くない、または修復歴車でもない限り、買取相場が落ちることはないでしょう。 ただし、A80型スープラならどんな店舗でも高く買ってくれるかと言えばそうではありません。そのため、今回の記事でご紹介したようなA80型スープラの価値をしっかり理解している買取店に相談することが大切です。 [ライター/増田真吾]

スポーツカーの買取は専門店が高い?その理由と方法を解説
旧車市場動向 2022.02.02

スポーツカーの買取は専門店が高い?その理由と方法を解説

昨今、スポーツカーの価格が​高騰しているという話をよく耳にします。 実際、中古店舗に並んでいるスポーツカーには高額なプライスタグが付けられています。しかし、いざ売却するとなると、「何から調べたらよいのかわからない」や「売却までの流れがわからずスムーズに進まない」などと感じる方は、意外と多いのではないでしょうか。 ここでは、業者選び及び売却の際のポイントについて解説します。また、スポーツカーの買取事例も紹介しますので、参考にしてください。 スポーツカーの買取市場 セダンやミニバンなどのいわゆる乗用車とスポーツカーの売却の際の大きな違いは、年数が経過しても値が下がりにくい傾向にあることです。中でも1990年代から2000年代初頭にかけて発売されたスポーツカーは、中古車価格が異常なほど高騰することがあります。したがって、スポーツカーは高い買取額が期待できますが、市場の影響を受けやすいという側面もあります。 理由としては、趣味性の高さが挙げられますが、上がり過ぎた買取相場の反動という見方もできます。また、多くの買取業者はスポーツカー買取に不慣れなため、適正に評価されないケースが​多々あります。特に一般的な買取店で、その傾向が強く見られます。  業者選びのポイント 車の売却といえば車一括査定を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。 車一括査定の特徴は、1回の情報入力で複数の見積りを手に入ることです。しかし、想像以上に電話がかかってくるため、多くの時間を割かれることになります。また、レアなケースを除き査定額が大きく変わらなかったり、買取を断った後も何度もダイレクトメールが届いたりといったデメリットが存在します。 一方で、専門業者はスポーツカー買取のノウハウや専門知識を豊富に持った査定スタッフが在籍しているため、1台1台状態が違うスポーツカーを正しく評価することができます。また、確実な再販ルートや独自の相場情報をを持っており、市場の動向に大きく左右されることなく、常に高額買取を行うことができます。さらにカスタムパーツに対する知識が豊富で、プラスアルファの査定が可能です。 つまり、 スポーツカーの場合は、専門業者に査定を依頼した方が様々なメリットを得ることができるのです。 スポーツカーを売る時のポイント スポーツカーは、高く買い取ってくれる業者を探すだけでは希望額に届かせることはできません。理由は、スポーツカーの所有者側で確認すべき点があるからです。その代表といえるのが、「定期点検整備記録簿」です。 「定期点検整備記録簿」とは、車検や12ヶ月点検をはじめとする法定点検を行った際に、その点検内容を記録する書類のことをいいます。「定期点検整備記録簿」には、メンテナンスに関するアドバイスやブレーキパッドの残量などが細かく記録されていますので、愛車がどのようなメンテナンスを受けてきたのかが一目見ただけではっきりと​わかります。 もし「定期点検整備記録簿」がなかったとしたら、どんなにきちんとメンテナンスしてきたとしても、それを証明することができません。 また、改造車やチューニングカーであれば、保安基準を満たしているのかという点も重要なポイントになります。さらに、改造した箇所を具体的に説明する必要がありますが、購入時の請求明細書があれば漏れなく説明することができるはずです。 つまり、全ての記録を残しておくことで、例え改造車であったとしても正確な査定を受けることができるのです。 買取事例 所有するスポーツカーを高く売却したいなら、まずは大体いくらくらいで売れるのかを知ることが大切です。そのひとつの方法が査定を依頼する業者の買取事例です。 旧車王の買取事例は以下のとおりです。 NSX タイプT 4AT 査定時期:2021年5月 年式:2004年 走行距離:1,100km 買取金額:1,700万円 R33 スカイライン GT-R LMリミテッド 査定時期:2021年6月 年式:1996年 走行距離:不明 買取金額:645万円 インプレッサWRX STI GDB S203 査定時期:2021年5月 年式:2005年 走行距離:84,000km 買取金額:295万円 これはほんの一例に過ぎませんが、最初のNSXでは当時の新車価格の約1.7倍で買取しています。また、最後のインプレッサWRX STI S203では、走行距離が8万km以上走っているにもかかわらず、約65%の残価率を維持しています。 まとめ ここまで、スポーツカー買取の特徴や専門業者に依頼するメリットについて解説してきましたが、「具体的にどこに査定を依頼すればよいのか?」​と迷う人も多いのではないでしょうか。 そこでおすすめしたいのが、スポーツカーの買取に特化した旧車王です。旧車王では、「ネットを見て安心できる会社だと思いました。」や「希望どおりの査定をしていただいたので大変満足できました。」などの高評価な口コミを多数見ることができます。また、メーカーや年式を問わず様々なスポーツカーを買取しているので、例えば輸入車を乗っているユーザーでも安心して査定を任せることができます。 ぜひ希望額での買取が実現した際には、また違った魅力を持ったスポーツカーを検討してみてください。 [ライター/旧車王編集部]

日本大衆車の先駆け!アメリカで低評価だったスバル360が高値で取引されている理由
旧車市場動向 2022.01.31

日本大衆車の先駆け!アメリカで低評価だったスバル360が高値で取引されている理由

日本大衆車の先駆け!アメリカで低評価だったスバル360が高値で取引されている理由 日本初の大衆車として、戦後国内の自動車事情を支えてきたスバル360。キュートで印象なフォルムは「てんとう虫」の愛称で親しまれ、現在でも根強い人気を誇っています。しかし、そんな360でもアメリカ市場では辛酸を舐め、辛い時代があったのです。 今回はスバル360がアメリカで受け入れられなかった理由、そして現在は高値で取引されている現状を解説していきます。 まだマイカーが浸透していない時代に誕生した360 日本では1950年代当時、戦後の経済成長を図るために「国民車構想」という自動車生産計画が提唱されていました。 排気量350~500ccで、価格は25万円以下。さらに、最高時速100km/h、車両重量400kg以下で4人乗車可能という当時の技術では厳しい条件が示され、各メーカーは頭を悩ませます。 そんななか、スバルが1958年に発売したのが360という全長3mにも満たない小さな自動車でした。 機械遺産にも選ばれた技術の結晶 余計なフレームを必要としない「モノコックボデー」を採用し、FRPと0.6mm鋼板を使用することで385kgという軽さを実現。リアに横置きされた排気量360ccの空冷2気筒2ストロークエンジンは、最高出力16馬力ながら4人乗車の状態でも最高速度83km/hを記録しました。 そして、サスペンションには省スペースの「トーションバースプリング」を使用し、家族4人が座れる室内空間を確保しています。 価格は425,000円で、360が発売された1958年当時、一般的なサラリーマンの月収が16,000円程度だったことを考えるとまだまだ高値の花。しかし、時が経つにつれ国民の給料も上がっていき、1970年に生産が終了するころには、累計で約39万台を売り上げる大ヒットとなりました。 創意工夫を重ね、日本にマイカー時代を到来させた360は現代でも評価されており、2016年には日本機械学会が定める「機械遺産」として認定されています。 アメリカでの360の価格上昇 そんな一時代を築いた360ですが、半世紀経った現在において市場価格が上昇しています。 2020年1月時点のアメリカで10,100ドル(約110万円)だった1969年式の360が、1年後には44,300ドル(約486万円)まで上昇。さらに2020年10月には、上位グレードの「デラックス」が50,000ドル(約550万円)で取引されています。 半世紀も前に販売されていた360の価値がわずか1年の間で4倍以上も上がっているのは、一体どういうことなのでしょうか。 360はアメリカの道には適さなかった もともと360は1968年にアメリカ市場でも展開されており、出荷台数は累計1万台とそれほど振るいませんでした。 360は28km/Lという燃費の良さも売りでしたが、当時のアメリカでは燃費にあまり関心がなく、むしろ車体重量の軽い360は「安全基準の低い車」と捉えられ、良いイメージは与えられなかったのです。 アメリカ車と比べた場合の衝突安全性に、加速性、後部ヒンジドアが走行中に開いてしまう問題など、あらゆる点を考慮した上で360は北米の道路を走るには適さない車だと結論づけられました。 なぜ今になって価格が上がってきているのか? そんな評価の低かった360が現代のアメリカで再評価され、価格も高騰しているのはなぜなのでしょう。日本のクラシックカーには多くのファンが存在しており、時間が経過するにつれ価値は上がっていきます。 そのなかでも日本大衆車の始祖という立ち位置の360は、海外ファンにとってはジャパニーズクラシックとして非常に人気。年数が経つことで価値が増すクラシックカーと、360の持つ歴史的価値が相まって価格の上昇が起こっているのです。 360の中古車相場と直近のオークション価格 海外での需要が高い360ですが、日本国内の大手中古車サイトでの消費税込みの車体価格は、90万円~220万円。最高額の個体はエンジンの出力アップや、内外装を洗練させた「ヤングSS」というスポーティグレードで、1972年式で走行距離は14,000kmと低走行で、ファンの方なら220万でも高くはない買い物かもしれません。 直近の海外オークションでも50~120万円の相場になっていますが、状態の良いものが出品されれば200~300万越えは当たり前になってくるでしょう。 まとめ スバル 360は1958年の発売から日本国内で市民権を得ることに成功し、日本に「マイカー」を定着させました。 比較的安価で、小さな車体に家族4人が乗れるというコンセプトは日本の生活ではピッタリ。しかし、“大きく重く強い”ことが良しとされていた当時のアメリカでは快く受け入れられませんでした。 しかし、現在はその歴史的かつ技術的価値が見直され、クラシックカーとして多くの人々に愛され需要が上昇。日本国内の中古市場でも手ごろとは言えませんが、個体によっては手の届く範囲の価格ですので、360に乗って道路上で周りの注目を得てみるのも面白いかもしれません。 [ライター/増田真吾]

落札額6000万超え!ワイルド・スピードにも登場したA80型スープラの中古市場動向
旧車市場動向 2022.01.28

落札額6000万超え!ワイルド・スピードにも登場したA80型スープラの中古市場動向

今も現役のスポーツカーとして販売されているトヨタ スープラは長い歴史の中で人気を博してきた車です。先代モデルのA80型スープラは特に人気が高く、中古市場では走行距離10万km近い個体でも当時の新車価格を超える車体もあります。現時点で28年も前の車がなぜそこまで人気なのか、その理由は国内だけではなく、海外の影響もあるのです。 グランドツーリングからピュアスポーツに方向転換したA80型 1990年代前半当時は、日産 「R32 GT-R」やマツダ「 RX-7 FD3S」など魅力的なスポーツカーが数多く発売されていました。そんな車好きを熱くさせた1993年5月、ニュルブルクリングで幾多の走行テストを重ね、研究し尽された新型スープラが誕生。これまでのグランドツーリング志向の歴代モデルに比べ、よりピュアなスポーツカーとして登場しました。 「THE SPORTS OF TOYOTA」のキャッチコピーのもと発売されたA80型スープラは、曲線を多用したグラマラスな外観ながら、ツインターボエンジンやダブルウィッシュボーンサス、大型ブレーキ、ゲトラグ社の6速MTなど、多くの魅力的な装備が備わっています。 1000馬力にも耐えうる2JZエンジン 全長4,520mm×全幅1,810mm×全高1,275mmのボディに搭載される2JZ型はパワーとトルク、耐久性にも優れており「トヨタ最強エンジン」との呼び声も高いエンジンです。 シーケンシャルツインターボを搭載したRZグレードは、最高出力は自主規制いっぱいの280psでありながら、最大トルク44.0kgmという当時のライバルたちを蹴散らすかの性能を発揮しました。 おまけに鋳鉄製のエンジンブロックはとても頑丈で、およそ1000psのパワーにも耐えることができ、チューニング業界でも非常に重宝されています。その性能の高さから、GRヤリスなど現在の車にも載せ替えが積極的に行われており、ドリフトやゼロヨンなどでは未だ現役のエンジンだといえるでしょう。 ワイルド・スピードへの登場で人気は加速 そんなA80型スープラは、北米でカルト的とも言える人気を誇っています。その理由は2001年に第一作が公開され、現在までシリーズが続くカー・アクション映画「ワイルド・スピード」の存在です。 故ポール・ウォーカー演じる主人公「ブライアン・オコナー」が駆るA80型スープラは、劇中でもその力強い走りを見せつけ、多くのファンを生み出します。 しかし、主演のポールは実生活でもスープラを所有するほどの車好きでしたが、2013年11月に自動車事故に遭い、40歳という若さでこの世を去ってしまいました。この衝撃的なニュースにファンは深い悲しみに暮れ、その後公開された7作目「ワイルド・スピード SKY MISSION」はポールの遺作となったのです。 なぜ中古市場が高騰しているのか 2021年6月17日〜19日にラスベガスで行われた「バレット・ジャクソン・オークション」では、ポールが劇中で乗ったA80型スープラが出品されました。 劇中どおりのオレンジのボディカラーとアルミ製の大型リアウイングが装着されたその姿にオークションは沸き、55万ドル(約6106万5950円)もの価格で落札されたのです。A80型スープラの海外人気はワイルド・スピードの影響もありますが、北米仕様として販売された日本車を純日本仕様にカスタムする「JDM」がブームだったことも関係しています。 そして、北米での制度により、製造から25年が経過した車は自由に販売、運転することができるため、日本の多くのA80型スープラは海外に輸出されました。その「25年ルール」の影響でA80型スープラの需要は急増、それに従って日本国内の中古車価格も高騰している現状です。 A80型スープラの中古車価格と買取相場 では、A80型スープラの中古車価格はどうなっているのか、車両本体価格と買取相場について見ていきましょう。 2021年6月時点での中古車は、最安個体でNAのSZグレードが243万円であるに対し、最高額はRZグレードの1080万円と、新車価格の4倍近い価格でした。やはり「RZ」や「RZ-S」といったターボ付きグレードは年式、走行距離問わず高額で取引されており、10万km走行車でも600~800万円の価格がついています。 旧車王での買取相場は「SZ」が100~300万円、「RZ」が200~700万円と、車両の状態によっては新車価格以上の買取が期待できることから、A80型スープラの需要は非常に高いことがわかります。 まとめ A80型スープラは2002年7月に新設された排気ガス規制に対応できず、販売を終了していますが、その人気は新型が発売されても未だに衰えることがありません。 チューニング、モータースポーツ、ワイルド・スピード、25年ルールなど、国外問わずさまざまな要素がA80型スープラを取り囲んでいます。 販売期間中の売上台数はわずか3万台ほどで、国内の在庫も着実に減っていっており、中古車相場はますます高くなる可能性があるでしょう。それほどの魅力に満ち溢れたA80型スープラ、購入を検討しているならば早いうちが得かもしれません。 [ライター/増田真吾]

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