旧車市場動向

落札額6000万超え!ワイルド・スピードにも登場したA80型スープラの中古市場動向
旧車市場動向 2022.01.28

落札額6000万超え!ワイルド・スピードにも登場したA80型スープラの中古市場動向

今も現役のスポーツカーとして販売されているトヨタ スープラは長い歴史の中で人気を博してきた車です。先代モデルのA80型スープラは特に人気が高く、中古市場では走行距離10万km近い個体でも当時の新車価格を超える車体もあります。現時点で28年も前の車がなぜそこまで人気なのか、その理由は国内だけではなく、海外の影響もあるのです。 グランドツーリングからピュアスポーツに方向転換したA80型 1990年代前半当時は、日産 「R32 GT-R」やマツダ「 RX-7 FD3S」など魅力的なスポーツカーが数多く発売されていました。そんな車好きを熱くさせた1993年5月、ニュルブルクリングで幾多の走行テストを重ね、研究し尽された新型スープラが誕生。これまでのグランドツーリング志向の歴代モデルに比べ、よりピュアなスポーツカーとして登場しました。 「THE SPORTS OF TOYOTA」のキャッチコピーのもと発売されたA80型スープラは、曲線を多用したグラマラスな外観ながら、ツインターボエンジンやダブルウィッシュボーンサス、大型ブレーキ、ゲトラグ社の6速MTなど、多くの魅力的な装備が備わっています。 1000馬力にも耐えうる2JZエンジン 全長4,520mm×全幅1,810mm×全高1,275mmのボディに搭載される2JZ型はパワーとトルク、耐久性にも優れており「トヨタ最強エンジン」との呼び声も高いエンジンです。 シーケンシャルツインターボを搭載したRZグレードは、最高出力は自主規制いっぱいの280psでありながら、最大トルク44.0kgmという当時のライバルたちを蹴散らすかの性能を発揮しました。 おまけに鋳鉄製のエンジンブロックはとても頑丈で、およそ1000psのパワーにも耐えることができ、チューニング業界でも非常に重宝されています。その性能の高さから、GRヤリスなど現在の車にも載せ替えが積極的に行われており、ドリフトやゼロヨンなどでは未だ現役のエンジンだといえるでしょう。 ワイルド・スピードへの登場で人気は加速 そんなA80型スープラは、北米でカルト的とも言える人気を誇っています。その理由は2001年に第一作が公開され、現在までシリーズが続くカー・アクション映画「ワイルド・スピード」の存在です。 故ポール・ウォーカー演じる主人公「ブライアン・オコナー」が駆るA80型スープラは、劇中でもその力強い走りを見せつけ、多くのファンを生み出します。 しかし、主演のポールは実生活でもスープラを所有するほどの車好きでしたが、2013年11月に自動車事故に遭い、40歳という若さでこの世を去ってしまいました。この衝撃的なニュースにファンは深い悲しみに暮れ、その後公開された7作目「ワイルド・スピード SKY MISSION」はポールの遺作となったのです。 なぜ中古市場が高騰しているのか 2021年6月17日〜19日にラスベガスで行われた「バレット・ジャクソン・オークション」では、ポールが劇中で乗ったA80型スープラが出品されました。 劇中どおりのオレンジのボディカラーとアルミ製の大型リアウイングが装着されたその姿にオークションは沸き、55万ドル(約6106万5950円)もの価格で落札されたのです。A80型スープラの海外人気はワイルド・スピードの影響もありますが、北米仕様として販売された日本車を純日本仕様にカスタムする「JDM」がブームだったことも関係しています。 そして、北米での制度により、製造から25年が経過した車は自由に販売、運転することができるため、日本の多くのA80型スープラは海外に輸出されました。その「25年ルール」の影響でA80型スープラの需要は急増、それに従って日本国内の中古車価格も高騰している現状です。 A80型スープラの中古車価格と買取相場 では、A80型スープラの中古車価格はどうなっているのか、車両本体価格と買取相場について見ていきましょう。 2021年6月時点での中古車は、最安個体でNAのSZグレードが243万円であるに対し、最高額はRZグレードの1080万円と、新車価格の4倍近い価格でした。やはり「RZ」や「RZ-S」といったターボ付きグレードは年式、走行距離問わず高額で取引されており、10万km走行車でも600~800万円の価格がついています。 旧車王での買取相場は「SZ」が100~300万円、「RZ」が200~700万円と、車両の状態によっては新車価格以上の買取が期待できることから、A80型スープラの需要は非常に高いことがわかります。 まとめ A80型スープラは2002年7月に新設された排気ガス規制に対応できず、販売を終了していますが、その人気は新型が発売されても未だに衰えることがありません。 チューニング、モータースポーツ、ワイルド・スピード、25年ルールなど、国外問わずさまざまな要素がA80型スープラを取り囲んでいます。 販売期間中の売上台数はわずか3万台ほどで、国内の在庫も着実に減っていっており、中古車相場はますます高くなる可能性があるでしょう。それほどの魅力に満ち溢れたA80型スープラ、購入を検討しているならば早いうちが得かもしれません。 [ライター/増田真吾]

ジャパニーズスポーツカーの雄!日産 フェアレディZの価値は空冷ポルシェ911並ぶか!?
旧車市場動向 2022.01.27

ジャパニーズスポーツカーの雄!日産 フェアレディZの価値は空冷ポルシェ911並ぶか!?

2021年8月に待望の新型車が発表されることが正式に決まった日産 フェアレディZ。1969年に登場した初代となるS30型は、日本のみならず、北米市場も席巻し、日産を世界的企業へと押し上げた1台となりました。 日産の高い技術力と個性的なデザインが融合したフェアレディZは、どのモデルも常に独創的で、日産ファンのみならず、全ての自動車ファンが注目するモデルのひとつ。今回は、日産の地位を世界的なものにしたフェアレディZの歴史と、中古車価格から見る現在のZシリーズの人気についてご紹介します。 新型が登場する日産 フェアレディZの歴史 2021年8月に新型車の発表をすると正式にアナウンスがあった日産 フェアレディZ。 初代の登場は半世紀以上前となる1969年で、現在まで発売されたモデルは全6世代です。 どのモデルも個性的で人気の高いフェアレディZの初代から現行の6代目までの特徴を順にご紹介します。 S30型(初代:1969年~1978年) 初代フェアレディZが登場したのは1969年。登場から10年に渡り、世界累計55万台を売り上げるロングヒットモデルとなりました。 特徴的な、ロングノーズ・ショートデッキの独特のフォルムは、海外でも人気が高く、高い走行性能に対して価格の安い、いわゆるコスパのいいことも手伝って、海外、特に北米での売上を伸ばし、日産の名前を世界に知らしめた1台です。 S130型(2代目:1978年~1983年) 国産車初のTバールーフ車となった2代目Zは、初代のフォルムを引き継ぎながらややワイド化したモデルでした。 ド派手な爆破シーンとカーアクションで大人気の刑事ドラマ、西部警察で大門刑事(渡哲也)が乗るスーパーZとして活躍したのが記憶に残っています。 Z31型(3代目:1983年~1989年) ロングノーズ、ショートデッキという基本的なフォルムは継承しつつ、2代目までとはイメージが大きく異なるモデルです。 フェアレディZシリーズ唯一のリトラクタブルヘッドライトが特徴的で、エンジンもハイパワーのターボエンジンVG30ETを搭載するなど、ハイパフォーマンススポーツカーという新しいZの方向性を決めたモデルになりました。 Z32型(4代目:1989年~2000年) 先代からスーパースポーツカーへと変更した方向性を、より発展させたモデルとなりました。 一番大きな変更点は、フェアレディZの外観上の特徴だった、ロングノーズ・ショートデッキを改め、スポーツカーの象徴であるワイド&ローにデザイン変更したこと。 これによって、主要マーケットであった北米で、ポルシェなどと同等の高級スポーツカーの地位を確立しました。 Z33型(5代目:2002年~2008年) 1969年の初代登場から途切れる事がなかったフェアレディZの歴史上、唯一の空白となった2年間を経て登場したのが5代目となるZ33型です。 ボディタイプは、クーペとロードスターの2種類で、伝統の2by2モデルを排して、2シーターのみの設定でした。日産リバイバルプランの目玉の一つとして登場したのも記憶に新しいところです。 Z34型(6代目/現行型:2008年~) 現行型となるフェアレディZ6代目のZ34型は、Z33型を正統に進化させたと言えるモデルです。 フォルムは前作を引き継ぎつつ、エンジンは排気量を200cc増加させて最大355馬力を発生するV型6気筒3.7Lエンジンを搭載。ドライブトレインやボディ・シャシー設計の見直しを行うなど、性能面を徹底的に煮詰めたモデルとなりました。 歴代フェアレディZの中古車相場について 現行車種が販売中にも関わらず、歴代モデルも人気の高いフェアレディZの中古車相場を調べてみました。 歴代のフェアレディZは、古いモデルほど相対的に高値で取引されている傾向があります。特に初代となるS30型の価格は高値となっていて、中古車価格は軒並み500万円以上で、中には1000万円を超えるものもあるほどの人気車種です。 一方で、Z31型以降は100万円台から400万円程度と、今のところ常識的な価格で推移しています。 30年以上経過していても100万円以上の買取実績も しかし、旧車王での買取実績を見ると、新車登場からすでに30年以上が経過しているZ31でさえ、100万円での買取実績もあり、Zシリーズはやはり人気の高いモデルであることは間違い有りません。 フェアレディZシリーズは、特に海外では安定した人気があり、今後海外での価格動向次第で、国内での中古車価格が上がる可能性もあり、今後の動向に注目です。 フェアレディZは空冷ポルシェ911のようになれるか 2010年代半ばから起こったポルシェ911の価格が、世界的に暴騰したことをご存知でしょうか。 ポルシェ911はアメリカ市場において、2010年台に入るまで徐々に価格が上昇していたものの、日本円換算約500万円以下で取引されていました。 しかし、2010年代に入り、約650万円を超えたあたりで、車のコレクターだけではなく投機家の注目も集め、2015年には約1300万円と2倍に高騰。特に保存状態が良いという理由で、日本で流通していた993型以前の空冷モデルは海外のバイヤーから注目されたこともあり、日本の中古車市場相場を押し上げる要因となりました。 アメリカ市場で急騰するフェアレディZ!今後の価格動向に注目 元々海外での人気が高く、比較的高値で取引されることの多かったフェアレディZシリーズは、近年、ポルシェと同じ様な値動きをしています。 特に初代となるS30系は、2020年の300万円前後から2021年には、400万円弱まで急騰していて、アメリカ市場といえども今後の値動きから目を話せない状況です。 海外での日産の地位を確立したフェアレディZは現代でも健在 独特のデザインと、バーゲン価格というべき驚きの低価格設定で、日産の技術力を世界に知らしめたS30型、そしてポルシェなどと同等の高級スポーツカーとしての地位を海外で確立したZ32型。 フェアレディZの歴史は、日産を世界企業にした歴史と言っても過言ではありません。 初代S30系Zの登場から半世紀以上経った現在でも、新型が発表されるという点からも、フェアレディZの存在が日産にとって特別であることが分かります。 [ライター/増田真吾]

【特報】高騰中の注目車種の特徴はこれだ!
旧車市場動向 2022.01.24

【特報】高騰中の注目車種の特徴はこれだ!

このページをご覧のあなたは、間違いなく車好きですよね? そんなあなたに、日々、様々な名車から、高級車、スポーツカー、SUV、ミニバン、軽自動車、時にはトラックやバイクの買取のご依頼までいただく旧車王が、プロの目線でどんな車が高く売れるのか、価値のない車はどんなものなのか。現在のコロナ禍における自動車売買のトレンドをわかりやすくお伝えします。 中古車の価値はどのように評価されるのか? さて、まずはじめに中古車の価値はどのように評価されると思いますか? どれくらいきれいか? メンテナンスはしっかりされているか? 快適なガレージで保管されているか? オーナーはお金持ちか? 1オーナーか? 事故歴はないか? カスタムはしてあるのか? 本革のシートか? サンルーフは装備されているか? ほかにもまだまだ様々な要素があげられることでしょう。 結論を申し上げると、どれも正解であり、正解でないということになります。 では、正解を。 資本主義の原則通り、需要と供給がすべてです。 つまり、欲しい人がたくさんいて、でもあまり多く台数が存在しない車は価値が上がります。逆に、欲しい人があまりいない、または欲しい人はいるが、それ以上にたくさんの台数が販売されている車は価値が上がりません。 なので、一言でいうと、欲しい人が多ければ多いほど、台数が少なければ少ないほど価値は高まります。 あまり値段のつかない車の特徴 あまり価値のない車、買取価格が付きにくい車の一例をあげるとこのようなイメージです。 10年落ちの4人乗り軽自動車 最近はとてもおしゃれで機能満載の軽自動車も多数販売されていて、安全性も格段に向上しています。新車でも100万円前後から購入できる軽自動車の世界においては、実は10年も経ってしまうとほとんど需要が発生しません。そのため、市場における販売価格も低く(数万円から10万円程度)、買い取る業者の提示価格も非常に低いものになってしまっている可能性があります。 90年代、当時は先進的な技術を搭載していたスポーツカー 90年代のスポーツカーは総じて、価値が上がっている昨今ですが、それに合致しないモデルがいくつか存在します。スープラやシルビア、スカイライン、NSXなどが評価を大きく上げているのに対して、一部で価値の上がらないモデルがあります。例えば、4輪操舵や4WDなど複雑な機構を持ち、技術を押し出していた車です。このようなモデルは、新車から数年は問題ないのですが、年月が経過しすでに20年、30年が経過してくると、メーカーからの部品供給も終了しており、修理ができない、または十分な整備ができずトラブルが頻発するという懸念から、ユーザーから敬遠されます。つまり「いいな」とは思っても「欲しい!」と思う人がいないということになります。そのため、このケースだと価値は高くない場合が多いと言うことになります。 一般的なファミリーセダンやコンパクトカー 現在の需要は、ミニバンやSUV、軽自動車でもSUVスタイルやミニバンスタイルが主流になっています。そのため、普通のセダンやコンパクトカーは、あまり多くの需要が見込めません。このような車種の中古車を求めるケースは、とりあえず足になる車があればよいというユーザーであり、車の性能や色や形よりも安ければ安いほどありがたいということになります。そうなると、安い金額でなければ販売できないため、仕入れるときに安い金額で仕入れるという流れになってしまうのです。 同世代の他メーカーのモデルよりも動力性能が優れていた輸入車スポーツカー 当時は300馬力越えのスポーツモデルはまだまだ少なく、パフォーマンスは圧倒的に優位な車でした。しかし、前述のモデルと同様に、このモデルにはオーナーを悩ませるある欠点がありました。デスビがウォーターポンプの下にあり、定期的に交換する消耗品ではあるが、そのたびにウォーターポンプも外しての作業が必要。水回りの漏れが発生すればやはり被害を受けるというもので、構造的にちょっと難あり。そのため、その前後の世代の同モデルは価値は上がっているのですが、その世代だけが取り残されている。。。といったケースもあります。 価値の高い車、評価が上がっている車 ここまでは、あまり価値の付きにくい車についてお話ししました。では、大きく価値の上がっている、評価の上がっている車は何でしょうか? これは、大雑把に言うとこんな感じです。 2ドア マニュアルミッション スポーツカー これを満たすモデルであれば、基本的には評価が高くなり、買取金額も相応に上がります。評価が高いので具体的に車種名を言っても、車の名誉は傷つかないのでお伝えしましょう。※以下でご紹介する車両は価値が高い車の中のごく一部です。 ニッサンスカイライン 特に、ハコスカ、ケンメリ、ジャパン、鉄仮面、32、33、34のマニュアル車は非常に評価が高いです。ノーマル車も改造車、カスタム車も評価が上がっています。2ドアのモデルであれば、マニュアル車以外でも価値の上がっているものがあります。また、GTRはどの世代も非常に価値が高いです。モデルによっては、数千万円で取引されることも珍しくありません。また、ハコスカやケンメリは、長期間放置されていた不動車でもしっかり評価ができるためおもわぬ買い取り額をご提示できることもございます。 トヨタスープラ スープラも非常に人気の高い車種です。特に80のターボ車は大変評価が高くなっています。NAモデルでもカスタムなどがしっかりされていたり、1オーナーフルオリジナル車両なども探されているユーザーが多いため、買取金額にもその需要が反映されていきます。事故歴のあるような個体でも、走行に支障のないものであれば、しっかり評価が可能です。 フェラーリやポルシェ いわずもがな車好きなら誰もが憧れる名車です。世界中で愛されているメーカーですが、絶対数が非常に少ないため、どのモデルも総じて高価で取引されています。ですので、フェラーリ、ポルシェをお持ちの方は、いつでも高い評価で売却していただくことが可能です。 コスモスポーツ 一見すると海外のクラシックモデルにも思える流麗なデザインと、ロータリーエンジンの軽快さが魅力の国産スポーツカー。歴史的にも大変価値のあるモデルであり、なおかつ非常に台数が少ないため、年々評価は高まっています。もし、納屋に眠っている個体がある、もう何年も乗ってないなあーというオーナーさんはぜひすぐにお知らせください。専門の鑑定士が価値を見定めます! まとめ まだまだ、たくさんの価値の上がっている車たちはあるのですが、スペースの都合上今回は以上とさせていただきます。このコロナ禍において、高額な買取が可能な車は、簡単に言うと、2ドアでマニュアルのスポーツカー全般ということになります。お乗り換えや、ご売却、減車を検討されている方は、実は今がチャンスだということをご認識ください。 [ライター/旧車王編集部]

買うなら今がチャンス?多くのホットハッチファンを生み出したフォルクスワーゲン ゴルフ2 GTIの中古車市場
旧車市場動向 2022.01.18

買うなら今がチャンス?多くのホットハッチファンを生み出したフォルクスワーゲン ゴルフ2 GTIの中古車市場

フォルクスワーゲンを代表するホットハッチとして、また、ハッチバックコンパクトカーのベンチマークとして現在も販売が続くゴルフGTI。そんななか、クラシックな外観かつスポーティな走りを楽しめる2代目ゴルフGTIは、クラシカルな見た目と比較的購入しやすいこともあり、いま注目の車種となっています。 今回は、今も人気の絶えないゴルフ2 GTIの魅力と、中古車市場についても解説していきます。 2代目GTIになるもパワーは変わらず? 元祖ホットハッチとして名高い先代のゴルフ1 GTIは、その性能の高さで多くのファンを獲得するも、日本仕様は製造されず、国内に輸入されることもありませんでした。 その後の1985年4月、モデルチェンジを果たした2代目のゴルフのGTIグレードが満を持して日本で発売されます。特徴としては、バンパーやボディ部に赤のアクセントを入れ通常モデルと差別化。室内にも専用のステアリングやシフトノブ、高さ調整機構付きのシートなどさまざまな特別装備が採用されています。 しかし、ゴルフ2 GTIのエンジンは先代の1.8L SOHC8バルブから変更はなく、最大出力は先代GTIに搭載されていた1.6L 8バルブエンジンの110psから112psとわずかに上昇。くわえて車両重量が820kgから1020kgと、200kgも重くなったことで先代GTIの軽快さは失われ、結果的にそれがファンの不満を生む事態となってしまいました。 パワーアップしたDOHC16Vエンジンで起死回生! そんなファンの声を受け、1987年2月にはDOHC16バルブエンジンに改良された「GTI 16V」が登場。排気量は1.8Lから変わりませんが、最高出力は112psから139psまでアップし、最高時速は208kmを誇ります。 ちなみに139psという数値は、マフラーの触媒が取り除かれた本国仕様のものであり、触媒付きの日本モデルは125psなっていました。エンジン以外では、車高が10mm下げられ、ブレーキ冷却用のリップが追加されるなど、軽微ではありますが、着実に走行面での性能向上が図られています。 マイナーチェンジでスポーティなGTIが帰ってきたことにより、当時のくすぶっていたユーザーの熱も再燃。DOHC16バルブの採用で、ゴルフのGTIブランドはことなきを得たのでした。 1989年には安全基準のためのビッグバンパーが装着 1989年10月からは車体下部まで大きくカバーされた、通称「ビッグバンパー」が装着され、外観も先進的な印象に変わりました。 これは、当時アメリカで定めれた衝突安全基準に適合させるため、衝撃吸収性を考慮したバンパーの装着が義務付けられたゆえのイメージチェンジだったのです。 この変更はゴルフ2全グレード共通ですが、GTIの場合は下部のリップスポイラーが大型化され、バンパー内部にフォグランプが装備されたりなど、スポーツモデルならではの豪華装備となっています。 比較的リーズナブルだが高騰の可能性も? そんなゴルフ2 GTIですが、海外での自動車市場では比較的お買い得となっています。オークションでのゴルフ2 GTIは、日本円で170万円から190万円ほどで推移しており、同年代のクラシックカーと比べると、リーズナブルに購入可能です。 しかし、昨今は先代GTIの中古価格が上昇していることもあって、世のドライバーたちは比較的安価なゴルフ2 GTIに注目しだしているとのこと。 その結果、現在の価格が落ち着いていても、時間が経つにつれプレミアがつく可能性が高く、数年後には何倍ものプライスになるかもしれません。 ゴルフ2GTIの中古車相場について それでは日本国内でのゴルフ2 GTIの市場価格はどうなっているのでしょうか。原稿執筆時の2021年10月時点で、市場価格を大手中古車サイトで調べてみたところ、国内在庫は4台と僅少ながらも残っていました。 最安値で1990年式176,000km走行の個体が174.8万円。最高額では1991年式91,000km走行で230万円となっています。 一方、旧車王での買取価格は、GTI 16Vで40〜200万円となっており、ゴルフ2 GTIの相場は国内と海外ではさほど変わりません。 購入の際はサビの確認を 1980年代の車ということもあり、経年劣化に起因する故障は避けられません。 代表的なものとして、ゴルフ2 GTIは各部のシール劣化が多く、長期在庫になっている個体は、ボディ内に雨漏れが発生していることも考えられます。外部から車体内部に進入してきた水は各部にサビを発生させ、ボディを一気に劣化させてしまう原因となります。 サビの発生箇所は多岐に渡り、フロントガラス周辺、フロントシャシー周り、そのほかにも湿気で電気系統の部品も故障することもあります。 比較的無理のない価格で手に入れられるゴルフ2 GTIですが、購入の際は綿密な実車確認と、メンテナンスをお任せできる専門ショップを見つけておくことが必須となるでしょう。 まとめ コンパクトなボディでありながらゆとりのある室内空間をお持ち、痛快なドライビングも楽しめるゴルフ2 GTI。街中でも扱いやすいボディサイズと、そのキュートな外観から、現在でも根強い人気を誇ります。 現在は在庫台数こそ少ないものの、価格はそれほど高騰していないので、現車確認でサビや水漏れなどをしっかりチェックすれば、状態の良い個体に出会えるかもしれません。 逆をいえば、ゴルフ2 GTIはこれから高騰する可能性が高いので、予算さえ問題なければ購入するタイミングはまさに今なのかもしれません。 [ライター/増田真吾]

ノーマルでも1500万円超え!?R33スカイラインGT-Rの中古車相場が高騰
旧車市場動向 2022.01.06

ノーマルでも1500万円超え!?R33スカイラインGT-Rの中古車相場が高騰

海外で日本産スポーツカー人気の加熱が言われ始めてしばらく立ちますが、現在中古車市場でにわかに価格が高騰しているのが、日産R33スカイラインGT-Rです。 販売当初は、R32から大きく印象の変わった大柄なボディが不評を買い、結果的に新車販売台数も伸び悩みました。ここにきて、なぜR33GT-Rが注目なのか、R33の基本情報と合わせてご紹介します。 R33スカイラインGT-Rの概要 第2世代と呼ばれるGT-Rの中で、R33は販売当時不評でした。 動力性能を追求し、ターボエンジンに四輪駆動という現代のGT-Rの礎にもなったスパルタンな印象のR32。そして、シャープでより洗練されたデザインを採用し、第2世代の完成形とも言える精悍なイメージとなったR34。この2台に挟まれたR33は、少し異質な存在です。 十分な速さを持っていながら、不当とも言える低い評価をされていた不遇のGT-R、R33について振り返ります。 バブルに翻弄されたR33 R33が発売されたのは、ちょうどバブル経済崩壊直後の1995年。開発当初はバブル期であったものの、社内でも不要論が出るほど風当たりは強く、開発に当たっては、当初の計画からさまざまな面で変更を迫られます。 例えば、内装にはステアリングをはじめ、一部パーツで全車共通化が図られ、マーチと同じパーツが使用された徹底的なコストダウン。500万円という価格を考えると、チープな印象と言わざるを得ませんでした。 大型化した車体は歴代最長 さまざまな制約の中で開発されたR33ですが、R32からの改善も試みられています。 R32で数少ない不評ポイントだった居住性の低さを改善するべく、車両サイズを一回り大きくし、広い居住空間を確保。しかし、これがユーザーの不評を買う大きな原因となります。 丸みのあるデザインとなったボディと広々とした室内は、ほかの日産車と共通化された内装とあわさって、R32と比較するとまるでセダンのようなイメージでした。 GT-Rに卓越したスポーツ性能と特別感を求めるユーザーにとって、期待はずれになってしまったのです。 走行性能は正常進化!R32より21秒も短縮 走行性能については、GT-Rの名に恥じない進化を遂げています。 まず、大型化によって増加した車重の問題を解決したのがエンジンの進化。型式こそR32と同様のRB26DETTながら、ECU変更、バルブタイミングや吸排気、圧縮比の見直し、過給圧の上昇によって最大トルクは1.5kgmも増強されています。 さらに、車体のサイズアップによりロングホイールベース化したことで、R32の弱点だったコーナリング性能が向上。ニュルブルクリンクでR32が記録したタイムを21秒も縮め、「マイナス21秒ロマン」というキャッチコピーで売り出されました。 販売当時は不評であったものの、R32を凌駕する高い運動性能は、“GT-R”の名に恥じないものだったのです。 今後R33スカイラインGT-Rの価値が爆上がりするかもしれない 車そのもの価値以外に、中古車の価格を決定する要素は、需要と供給のバランス。バランスが崩れ、市場への供給以上に需要が高まると価格は高騰します。 R33GT-Rの中古車は、現在急激に需要が高まりつつあり、今後の価格の高騰が予測されるモデルの一つです。 アメリカで新車販売されることの無かった第2世代GT-Rが、輸入解禁と共に需要が高まるのは既にR32で証明済み。さらにR33GT-Rは、生産台数が少なかく、市場に残る中古車の数も限定されています。 25年ルール適用でアメリカの門戸が開く 正規ルートで販売していない車をアメリカに輸入するには、かなりハードルの高い基準をクリアする必要があります。 ところが、発売から25年を経過すると、この規制が緩和され、比較的自由に輸入できるようになります。これがいわゆる「25年ルール」です。 1995年発売のR33は、2020年からこの25年ルールの適用対象となりました。これまで主に日本国内需要しかなかったところに、一気にアメリカのコレクターの需要が加わったことで、価格が上昇しているのです。 また、販売当時は不評だった「大型化」ですが、比較的体格の大きなアメリカ人や、ファミリー層から評価されています。 希少価値が価格高騰に拍車をかける R33が高騰する可能性が高いもう一つの理由は、生産台数の少なさです。 販売当時、バブル経済が終焉した直後ということと、不評だったことから、販売台数が伸び悩み、1.6万台しか生産されませんでした。この台数は、同じく25年ルールによって高騰したR32の3分の1ほどの台数です。 輸送中には販売先が決まるほど加熱している現在の状況は、暫く続くと見られ、今後R33スカイラインGT-Rの価格動向から目が離せません。 欲しいなら今すぐ買っとけ!R33スカイラインGT-Rの中古車相場 R33スカイラインGT-Rの価格高騰はすでに始まっています。大手中古車サイトで販売価格を調べたところ、完全ノーマルながら低走行の無事故車で1600万円以上(2021年7月執筆時点)という価格で販売されている個体もあるほど。 また、旧車王での直近の買取価格も上がってきていて、最大700万円の値段がつくこともあります。これまでご紹介した通り、今後さらに価格が高騰する可能性が高く、現在購入を検討されている方は、すぐに車を探した方がいいかも知れません。 一方で、買取については、今後年数が経過すると、経年による劣化の分、査定価格が下る可能性もあります。 もし自宅に眠っているR33スカイラインGT-Rがあるのなら、このタイミングで一度買取店にご相談されることがおすすめです。 まとめ アメリカ市場でのR32GT-Rの中古車価格の高騰は記憶に新しいところですが、2020年の25年ルール解禁をきっかけにR33スカイラインGT-Rにその軸足が移りつつあります。 もともと国内でも再評価され、需要が伸びていたモデルなので、海外需要まで伸びると今後の価格が落ちることは無さそうです。 新車販売当時、あれだけ不評だったR33スカイラインGT-R。新車価格を上回る価格で取引されるようになるとは、当時、さまざまな制約の中で開発せざるを得なかった日産の開発担当者でさえ予想していなかったことでしょう。 [ライター/増田真吾]

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