▲筆者の所有する空冷ビートル。ソリッドカラーとはいえクリアー層を有するが、比較的高年式の車輌とはいえ塗装の質は現代車に比べ明らかに劣る 新車・中古車に関わらず、クルマを購入する際に、必ずといってよいほどボディーコーティングの施工を勧められることはないだろうか? クルマの見積書に記載があれば、これから自身のモノとなる愛車のために、いわれるがまま施工される方も多いことであろう。 もはやボディーコーティングといえば、車輌購入時のオプションメニューとして、代表的な選択肢の一つといっても過言ではないはずだ。 さて、ここまでは一般的な現代のクルマでの話であるが、これが旧車へのボディーコーティングとなったら一体いかがなものであろうか? 今回はボディーコーティング施工の業務経験から、旧車へのボディーコーティング施工について、私クマダの主観とはなるが、初心者のためにできるだけ簡単に意見を述べてみたいと思う。 ▲現代のクルマでは、購入と共に当たり前のように施工されるボディーコーティング そもそもボディーコーティングとは何か? ボディーコーティングとは、その名のとおり、自動車のボディーなど外装に施工する保護処理の一つである。 業務用の特殊なコーティング剤を塗布してボディーの塗装面全般を保護し、耐久性を向上させるためにおこなわれる。 使用されるコーティング剤については、黎明期はワックスに類似する程度のものから、フッ素(テフロンとも呼ばれる)やシリコーンを用いたポリマーコーティング剤が主であったが、おおよそ10数年ほど前から、(ガラスの組成に近いシロキサンやポリシラザンを原料とする)二酸化ケイ素を用いたガラス系コーティング剤が主流となった。 今回の記事は、現代において主流となったガラス系コーティングの施工を前提として、話を進めていきたいと思う。 ▲昨今では近所のガソリンスタンドでも施工できるほど、身近になったボディーコーティングではあるが・・・ ボディーコーティングを施工するメリットとは? それでは、旧車にボディーコーティングを施工するメリットとデメリットについて語っていきたい。 まず、現代車に施工する場合と同様の一般的なメリットをあげれば、以下のとおりだ。 【塗装の保護】厚く硬いコーティング膜により塗装面を傷やスクラッチなどのダメージを緩和し、傷そのものをつきづらくする。 【光沢に優れる】ガラスの組成に似た成分を持つことから光沢に優れる。ハイグレードなコーティング剤を施工すれば、その膜厚によりクリアー層がさらに厚くなった様に見える製品も存在する。 【汚れが定着しづらくなる】コーティング被膜上に汚れが定着しづらくなる。ピッチ・タールなど、特に油性の汚れがこびり付くことが少なくなる。また、長期間放置したものはNGだが、水アカも通常の洗車でかなり落としやすくなる。 【長寿命である】ガラス系コーティングは無機質のため、酸化しないことが特徴だ。 旧来のポリマーコーティングについて全てがそうとはいえないが、ロウや石油系溶剤などの有機物からなるワックスについては、熱を受けたり時間の経過により、ゆくゆくは保護膜そのものが酸化し、汚れとともに塗装にこびりついて劣化してしまう場合もある。 無機質であるガラス系コーティングは熱や紫外線に強く、酸性雨からもボディーを保護する効果が高い。 これは有機物からなるワックスやポリマーコーティングとの最大の違いである。 一般的に寿命は3~5年といわれるが、筆者の経験上、メンテナンス次第だが寿命はそれ以上ともいえる。 【旧車に施工するメリットは?】旧車に施工するメリットは、とくに青空駐車にてクルマを保管するオーナーにとって、紫外線や酸性雨からボディーの塗装を保護できることが最大のメリットとなるはずだ。 それ以上に、現代車のように厚いクリアー層を持たない旧車については、膜厚のあるコーティングを施工することによって、ボディーに光沢を与えることができる場合もある。 また、油性の汚れがこびり付きづらくなる防汚性能にもメリットがある。 キャブレター車など、リアバンパーのマフラー周りに排気ガスによる黒いススがつくことが無かろうか? こういった汚れが通常の洗車で落としやすくなるのだ。 逆にボディーコーティングを施工することによるデメリットは? それでは、逆にデメリットを述べよう。 今日においては、ボディーコーティングを施工するうえで、選択肢はほぼガラス系コーティング一択となるであろう。 考えられるデメリットは以下のとおりだ。 【施工費用が高額である】価格が高い。誰しもがそう感じるはずだ。情報化の進んだ今日では、ボディーコーティングに用いるプロ用の薬剤もインターネットショッピングで手に入れることができる。薬剤そのものの価格は、施工する金額の数分の一となり、けっして高価ではない。 それでは、なぜプロに施工を依頼すると高額なのか? 答えは簡単だ。施工にとても時間がかかり、とにかく重労働だからである。 その理由を次の項で述べる。 ▲旧車ではありませんが、筆者はこんなYouTube動画をつくっております。https://youtu.be/SK1gWpUxyIk ボディーコーティング剤への過度な期待は禁物 ところで、実際にボディーコーティングの施工をプロに依頼する際の検討材料といえば、よほどのマニアでない限り、なんとなく使用するコーティング剤のブランドや、ネームバリューから想像される仕様や性能に興味が向きがちではなかろうか? 私クマダは、この部分に注意喚起をしたい。 あくまでもボディーコーティングの施工において、作業の主役はコーティング剤そのものを塗布する工程ではなく、その施工時間の大半を費やす、施工者自身による下地作りの工程なのだ。 では、ボディーコーティング施工において主役となる、下地作りとは何か? 簡単にいえば、それはボディーの汚れ落としと塗装面の研磨だ。 ボディーに付着した長年の汚れ、鉄粉やピッチ・タールをトラップ粘土で除去することから始まり、ボディーについた傷やスクラッチを、ポリッシャーを用いて入念にコンパウンド掛けをして削り落とす。 使用過程のクルマにおいては、通常の洗車では手の届かない部分の汚れ、一例を述べれば、モールとボディーのすき間やエンブレムの周りなどにこびりついた長年の水アカなどを、スケール除去剤のような個人で取り扱うにはリスクのある「プロ仕様」の特殊な薬剤をもちいて入念に落とす。 実は、ボディーコーティングを施工することでクルマが輝くのではなく、むしろこの下地作りの作業でクルマが輝くといっても過言ではない。 ではなぜ、ボディーコーティングを施工するために、そこまでの作業が必要なのか? それは、ガラス系コーティングの被膜はとても強固なため、簡単にやり直しができないからである。 ガラス系コーティングはシンナーで簡単に落とせるような代物ではない。 下地となる塗装面に傷や汚れが残ったまま施工してしまうと、そのままその傷や汚れを強固にコーティングしてしまうのだ。 新車と違い、使用過程におけるクルマを磨くことは、面倒なことこの上ない。 さらにコーティング剤を塗布する場合にも、塗布する場所の温度や湿度など、施工環境への配慮が必要である。 また施工後も、決められた時間、ボディーを水に濡らさないようにして、しっかり乾燥させなければならない。 とにかく、全般的にとても気を遣う作業なのだ。 だからボディーコーティングの施工は高額となるのである。 どこかで聞いたような言葉で述べれば、「コーティング剤の性能の違いが、コーティングの仕上がりの決定的な差ではない」のだ。 むしろ、施工者の技術や経験で仕上がりに大きな差がでるといって過言ではないであろう。 コーティング剤のネームバリューに惑わされてはいけない。 お金を費やすべきものは、施工者自身の腕と情熱なのだ。 ▲旧車ではありませんが、筆者はこんなYouTube動画をつくっております(その2)https://youtu.be/mLqZ6kl4BWc 悩ましい旧車へのボディーコーティング 旧車にボディーコーティングを施工する場合は、さらにいくつか注意するべき点がある。 ここまでの記事を読めば、勘の良い読者の方は気づかれたことであろう。 ボディーコーティングの下地作りをする際におこなう、電動ポリッシャーによるコンパウンド掛けはボディーの塗装面を磨くので、当然のことではあるが少なからずボディーの塗装を薄くしてしまう。 もとより旧車の塗装といえば、経年により少なからずダメージがあることが前提ではある。 しかしながら、事故などの補修による再塗装部分やキレイにレストアされた車輌など、プロフェッショナルであっても、その塗膜がどのような下地の上に乗っているものか予想がつかない場合が多い。 こういった部分に安易に手を入れると、下地作りの作業途中で、思いもよらない原因で塗装面を傷めてしまう場合もあるのだ。 旧車のボディーコーティングについては、施工を断られることもあると耳にしたことがある。 当然のことであろう。 旧車の塗装に手を入れるには、それなりの経験が必要だ。 ボディーコーティング施工者の誰もが旧車を相手にできるわけではないのだ。 レストアされた車輌であればまだしも、貴重なオリジナルペイントの車輌に手を入れる場合は特に慎重に作業せねばならない。 それこそ取り返しのつかない事態になりかねないからだ。 ならば、旧車のボディーコーティングはどこに依頼すれば良いのか? ボディーコーティング施工は洗車の延長線上、すなわちカーディティーリング業界に属する。 旧車への施工を唱っている施工業者であればなんら問題ないが、身の回りに見つからなければ、鈑金塗装の、それも旧車が得意なプロフェッショナルの門を叩くと良い。 ワックスは塗料を弾くため、塗装時のトラブルの素となるためか、洗車業界と鈑金業界は水と油といわれることもある。 しかし、常にボディーペイントの下地と塗膜に向き合っている彼らからは「佳い(よい)」アドバイスをいただけるはずだ。 ▲業務上、今日までガラス系コーティングを施工する時間はいくらでもあったが、今日までワックス仕上げで維持している。メキシコ産ビートルとはいえ、すでに25年が経過したオリジナルペイント塗装はいたるところでクリアー層の剥がれが始まっている まとめ レストアされたクルマはどれも美しい。 しかし、自身の幼少期、これらのクルマが新車であった頃、はたして、これほど艶やかに輝いていただろうか・・・?ふと思うことがある。 旧車といえば、ある時代より旧いクルマの場合、ソリッドカラーのクルマなど、クリアー層を持たない塗装が多く存在する。 筆者もいわばアラフォーのおっさんとなり、昨今の旧車ブームではネオクラシックと呼ばれる1970年代後半から1980年代のクルマが自身の刷り込みのクルマであるのだが・・・。 そういえばこのクルマ、新車の頃はもう少し落ち着いた輝きだったような・・・。 特にここ数年、旧いクルマを眺めていると、このように感じることが多い。 極端にいえば「不自然」に感じるのだ。 レストアされ、新車時以上に高品質な塗装で、エンジンルームのスミからスミまで美しく厚い塗膜でオールペイントされたクルマ。 こういったクルマには、躊躇せずボディーコーティングを施せばよいことであろう。 しかし、オリジナルペイントが残るクルマはどうだろうか? 当時はまだ高額だったシュアラスターのカルナバで仕上げたクルマは、まだ幼かった筆者の目でも違いを感じたものだ。 ここからは余談であるが、ここまでボディーコーティングについて語っておきながら、特にオリジナルが随所に残る旧車風情が漂う佳き時代のクルマに対し、安直にガラス系コーティングをおススメして良いものかと感じているのが筆者の正直な感想だ。 青空駐車かつ日常使いの旧車オーナーにとって、ボディーコーティングは強くおススメできるものではあるが、決して必須であるとはいえない。 有機物ゆえに、ボディーの水アカの原因になりかねない旧来のカーワックスであっても、その自然な艶と肌ざわりに根強い人気があり、週末の洗車とワックス掛けがルーチンワークとなっているベテランオーナーは数多い。 長い期間隅々までキレイに磨かれ、良好な状態を保たれた旧車のボディーの細部に残る、どうしてもオーナーが落としきれないちょっとした水アカに、むしろそのオーナーの愛着の深さを感じてしまうことがあるのだ。 あばたもえくぼ。 結局は、自身のいちばんやりたい方法でクルマを仕上げるのが、究極の旧車メンテナンスではなかろうか。 閑話休題。 旧車においては、最新が最良と言えないことが多いのだ。 ボディーコーティング然り。 ボディーコーティングはあくまでも、クルマ維持の選択肢の一つに過ぎない。 ※私クマダはYouTubeでポンコツ再生動画を公開しております。ぜひ動画もご覧になってください。チャンネル登録お待ちしております。https://www.youtube.com/@BEARMANs [ライター・クマダトシロー / 画像・クマダトシロー, AdobeStock]
昨今の旧車ブームによって、旧いクルマに対してにわかに興味を持たれた方は多いことだろう。 これまでもお伝えしてきた通り、旧車には現代のクルマにはない魅力があるのは紛れもない事実である。 しかし、相手は最低でも20~30年落ちのクルマだ。 快適装備をこれでもか!と装備した現代のクルマと同じように扱えるとは到底思えない。 同じように感じる方は少なくないだろう。 旧車に憧れはあっても、実際に手に入れようとすると、どうしても購入をためらってしまうことは決して不思議なことではない。 クルマは自身の生活の一部分になるものだ。 初めて旧車を購入しようとする方にとって、旧いクルマを一筋縄に扱えるか、不安なことこの上ないものだろう。 筆者自身、プロ・アマチュアにかかわらず、数多くの旧車愛好家とお付き合いをさせていただいている。 これらの観点および自身の経験も含め、これから旧車を購入予定の方に少しでも参考になるように、愛車を末永く維持して旧車ライフを満喫できるヒケツを紹介したい。 旧車の不便な部分とは? ▲エアコンが備わる前の旧いクルマ独特の装備、三角窓 この記事をご覧のあなたは旧車、すなわち旧いクルマは現代のクルマに比べて、何かと不便な部分が多いイメージをお持ちではないだろうか? 当時を知る由もない、とくに20代の若いオーナーにとっては、憧れの旧車とはいえ、自身が生まれる前のクルマの購入を考えたときに悩みがちな部分であろう。 ある程度、歳を重ねたベテランオーナーには当たり前のことかもしれないが、ここで具体的にどのような部分が不便なのか、ここで一例を挙げてみよう。 「エアコン・パワステ・パワーウィンドウ」が装備されていない 昭和や平成初期の中古車には、「フル装備」と表示がされていたが、これは「エアコン・パワステ・パワーウィンドウ」の3点を指す。 ある一定の年代より旧いクルマは、これらが備わらない車種が多いため、快適性能からして劣るイメージを持たれる方が多いよう感じるが、まずこの部分から考えてみよう。 なお、エアコンについては後述する。 パワステ(パワーステアリング)については備わらなくとも、カスタムなどで極端に太いタイヤを履かせていたり、小径ステアリングを装着していない限りは、それほど困ることはないだろう。 ステアリング操作の軽い現代車に慣れてしまっていると、やや旧車への抵抗感を感じるかもしれない。 しかし、クルマが停車した状態で無理に据え切りをせずに、少しでもクルマが動いている状態でステアリングを切るなど、当時、誰もが行っていた運転方法に慣れれば、それほど苦にならないはずだ。 思えば、筆者の母も当時細い腕で、ノンパワステのVWゴルフを転がしていたものだ。 次に、パワーウィンドウが備わらないクルマについて述べよう。 よく、パワー(いるんです)ウィンドウなどと揶揄されるが、そんなことはない。 レギュレーター周りのメンテナンスがしっかり行き届いていれば、窓の開閉が重いということはまずないはずだ。 むしろ筆者はクルマを修理する観点から、旧車にパワーウィンドウが装備されていると、逆に身構えてしまう。 まずパワーウィンドウの開閉スイッチは、そもそも旧車でなくとも壊れる可能性が高い部品であるし、経年劣化によりモーターやレギュレーターが傷んでいるクルマが多い割には、部品の供給を心配しないといけない部分でもある。 偏った考えではあるが、パワーウィンドウが備わらないことで、イグニッションスイッチがオフの状態、さらにバッテリーが上がっている状態でも窓の開閉ができるといえば、これは意味メリットではなかろうか? パワステにしても、パワーウィンドウにしても、無くてもなんとかなるものではないだろうか? 最後にエアコンについて述べる。 エアコン(エアーコンディショナー)とは、その名の通り、空気を調整する機能だ。 クーラーとヒーター両方の風を混合(ミックス)し、室内空間をドライバーにとって快適な温度と湿度に調整する機能がエアコンである。 少なくとも70年代前半までのクルマには、エアコンという概念がないクルマが数多く存在する。 ヒーターと三角窓(画像参照)のみ備わるのだ。 旧車であれば、現代のクルマには絶対にない三角窓やクロッチクーラー(外気取り入れ口)といった装備がある。 これらはドライバーの体感温度をそれなりに下げてくれるが、気温40℃を超えることもある昨今の猛暑では完全に役不足だ。 旧車にはクーラーのみ後付けできることが多い。 これは当時からの贅沢な手段ともいえる。 旧車にクーラー装着はエンジンに悪影響があり、NGという意見もあることは確かだ。 しかし、昨今のクーラーキットは旧来のものに比べ、コンパクトかつ性能が良く、とても冷えるものが多い。 高額な装備ではあるが、検討してみても良いと思う。 現代のクルマでは当たり前のものが装備されていない その他、旧車にはナビやドライブレコーダーはおろか、ETCも後付けが当たり前、ドリンクホルダーなども当然のごとく備わらない。 リモコンドアロックなど、もっての外だ。 シートについてもフルフラットはおろか、ある年代より旧くなるとリクライニングすらできない車種もある。 ビジュアル面からのイメージが先行して、こういった部分を知らずに旧車を購入してしまい後悔したという話もないわけではない。 多少不便な部分があっても、まずは自分をクルマに合わせる ▲エアコンが備わらないクルマの、後付けクーラーの一例 ここまで、ほんの一部分ではあるが、旧車の不便な点を解説した。 今日は空前の旧車ブーム真っただなかであり、業界はとても賑やかだ。 旧車であっても、自分好みのカスタムを楽しんでいるオーナーは多く存在する。 なかには旧車カスタムの域を超え、旧車の不便な部分をフォローすべく、現代の最新デバイスを装着する例も決して珍しくはない。 極めればそれをレストカスタムとも、魔改造とも呼ぶ。 いかんせん旧車の構造は現代車に比べれば、とてもシンプルである。 例えば、クラシックな鉄板製のダッシュボードを切削加工して、最新の2DINナビを装着することも可能であろう。 リクライニングができないシートの代わりに、現代車のパワーシートをシートレールごと溶接して装着する方法だってある。 筆者も20代の頃は個人的に、このようなカスタムが好みであったが、皆さまはいかがお考えだろうか? 不便だからといってあまり深く考えず、これ見よがしに最新装備を旧車に移植するようでは、何のために旧車に乗っているのか分からない。 一度加工したものを元に戻すことはとても面倒である。 そもそも絶版となった部品はハード・トゥ・ファインドである場合が多く、失ったら最後、2度と手に入らないモノも多い。 決して、現代の装備を旧車に装着することを否定するわけではないが、その最新のデバイスが自身にとって本当に必要なものかを考えることも重要である。 多少不便な部分があっても、その当時の時代背景を考えることも、旧車趣味のひとつではなかろうか? 旧車に乗れば、現代車への進化の過程を身をもって体感できる。 なぜ、現代においてマニアがビートルズを真空管アンプとLPで聴く趣味があるのかを、よく考えてみたい。 旧車趣味も同じベクトルであるのは間違いないのだ。 なお、ベテランかつ通なオーナーは、あたかもそのクルマが新車のころのオプションを装着したかのように巧みにカスタマイズする。 筆者はこういった先輩オーナーの隠れたこだわりをみて、自分もまだまだであると感じるものである。 当時モノのモモやナルディーのステアリング、レカロシートなどが高額で売買される理由はここにある。 旧車と長く付き合いたいのであれば、自身にとって本当に足らないと感じたモノを後付けすれば良いのではなかろうか。 機能がなくなることで、その大切さやありがたみが分かってからでも決して遅くはないはずだ。 クルマを自分に合わせるのではなく、まず自分をクルマに合わせることが、ベテラン旧車オーナーへの道ではなかろうか。 洗車をしたら、車庫にしまわずにドライブへ 旧車は磨きがいのあるクルマが多い。 旧いクルマはその佇まいこそが特別なものであり、一切カスタムせずとも存在感のあるクルマが多いものだ。 ボディーにしっかりワックスが乗りかかり、モールに磨きがかかっていれば、多少のキズヘコミがあろうとも、凛として見えるモノだ。 旧車を手に入れれば、クルマを磨くことも趣味の一つになることであろう。 ただ、一つここで注意を促したい。 雨を浴びたり、洗車後のクルマは、ボディ内側の至る部分に水分が溜まっている。 フェンダーやトランクの裏側、足回り、そしてフロアやドアの内側などだ。当然この部分は、手の届かない部分である。 タオルで水分を拭き上げることはまず不可能だ。 では、いったいどうすれば良いのか? それは、クルマが水を浴びたらまずは走行してほしい。 クルマの内部は走行することで、至る部分で負圧が生まれる。 この負圧が、クルマに溜まった水分を吸い上げてくれるのだ。 旧いクルマは錆びるからといって、バケツに水を汲み、軽く絞ったタオルで吹き上げる。 いわゆるバケツ洗車を行うと、塗装に傷が入りやすい。 しっかりと水を使ってホコリを流したうえで、シャンプーで汚れを浮かし、入念に泡を流し、これを吹き上げる。 これこそ洗車の基本だ。 そのうえで、先述の通り、クルマを走らせることでしっかりと水を切りたい。 洗車後のドライブも、洗車の一工程といえるのだ。 ドライブから帰ってきたら、各部をグリスアップすれば完璧だ。 これも旧車維持のための必須事項だ(旧車のグリスアップについては以前の記事をぜひお目通しいただきたい)。 目先のカスタムよりも、メカにお金をかける ▲旧車は一筋縄とはいえない。常にメンテナンスは念頭に入れておくべきだ 憧れのクルマを購入した次には、自分好みにカスタムをしたくなったり、アクセサリーを購入したくなる。 これは至極当然のことだ。 ただ少し待ってほしい。 購入したクルマのコンディションはいかがだろうか? 購入したクルマの見た目はキレイであっても、クルマの下回り、すなわちメカの状態が悪かったということは決して珍しい話ではない。 クルマを購入するときに、下回りを見て購入することはほとんどないことであろう。 また旧車の場合、車検切れなどで、試乗をせずに購入することも多いことだろう。 購入元がメンテナンスや修理に力を入れているショップであれば心配はないであろう。 しかし、これが販売専門のショップであったり、個人売買などでクルマを手に入れた場合、まずメンテナンスを引き受けてくれる工場を探すべきである。 購入したばかりの愛車が、次回の車検に問題なく合格できるとは限らない。 大きな費用がかかる場合もあれば、入手困難な部品が必要になる場合もある。 旧車は一筋縄では行かないとよくいわれるが、こういった場合に痛感することが多い。 カスタムは、購入したクルマが本当の意味で絶好調になってからでも遅くはない。 クルマを購入してから、少なくとも最初の車検を通すまでは、しっかりメンテナンスの予算を用意しておくべきだ。 とにかくクルマに乗ろう!使用による傷はなんのその ▲さほど使用せずとも、家庭用充電器では完全放電したバッテリーの充電は難しい どうしても愛車を大切にしている気持ちから、なかにはセカンドカーを購入し、クルマをガレージにしまいがちになるオーナーもいることだろう。 そして、それは筆者も同様だ。 色々な要因があると思う。 雨風に愛車をさらしたくないといった、至極単純なことから、燃料の高騰が叫ばれるなか、燃費が悪いため、ガソリン代がかさんだり、絶版部品が多く、できる限り事故に遭いたくなかったり・・・。 しかし、旧車を放置するとロクなことがない。 まず、キャブレター内のガソリンが劣化しエンジンが掛かりづらくなる。 さらに、ガソリンタンク内は結露が発生するため、ガソリンに水分が混じりやすい。 そしてこれがタンク内部の錆の原因となり、これが燃料ポンプの故障の原因ともなる。 タイヤは常に地面に接している部分に力がかかるので、丸いタイヤが四角く潰れる。 これがいわゆるフラットスポットだ。 このまま走ると、バタバタとした振動が不快なこと極まりない。 バッテリーも短命になる。 充電器を繋げれば良いと思われるかもしれないが、一般的な家庭用充電器は劣化して抵抗と化したバッテリーの過充電を避けるため、50%以上容量が消耗したと思われるバッテリーの充電を行わない。 バッテリーを交換するか、ブースターケーブルを繋げない限り、エンジンを始動できなくなってしまうのだ。 とにかく旧車は1週間に一度はエンジンに火を入れて、それなりの距離を走るべきだ。 旧車の日常使いはもったいないという意見を耳にするが、こればかりは肯定も否定もできない。 しかし、愛車のコンディションを隅から隅まで理解しているオーナーは、やはり日常使いをしている方が多い。 筆者もその傾向にあるのだが、どうしてもバッテリーを放電しがちなほどクルマに乗らないと、自身のクルマであっても、完調なのか不調なのか分かりづらくなってくる。 旧いクルマの扱いに長けたベテランの旧車オーナーは「やはりクルマは乗ってなんぼ」であることをよく理解している。 日常的に火が入るエンジンは、隅々までオイルが行き渡り、クランクの回りも軽くとても調子の良いものだ。 とにかく乗ることが、愛車の維持管理の近道であることは間違いない。 多少の傷など、何のその。 とにかくクルマは乗って楽しもうではないか! ※私クマダはYouTubeでポンコツ再生動画を公開しております。ぜひ動画もご覧になってください。チャンネル登録お待ちしております。 ●YouTube:BEARMAN’s チャンネル(ベアマンチャンネル)https://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g/ ●Twitter:https://twitter.com/BEARMANs_Ch [ライター・撮影/クマダトシロー]
▲エンジンオイルはクルマの血液ともいえる、重要な消耗品である。 ■初めての旧車メンテDIYにふさわしいエンジンオイル交換 少しでも愛車のメンテナンスを自身の手で行いたいと思う旧車オーナーに、初めてのDIYとして挑戦していただきたいメンテナンスがあるとすれば、それはエンジンオイル交換だ。 エンジンオイル交換といえば、旧車のみならずもっとも身近なカーメンテナンスといってよいことであろう。 エンジンオイルは人間でいうところの血液によく例えられる。 クルマの心臓部分であるエンジンの寿命は、この血液たるエンジンオイルの状態によって大きく左右されるのは周知の事実だ。 現代のクルマほど加工精度がよくない旧車のエンジンではなおさらのことである。 熟練のメカニックやベテランの旧車オーナーがクルマ選びをする際に、ボンネットを開くことがあれば、まずはエンジンオイルのフィラーキャップ(注入口の蓋)を外すことであろう。 フィラーキャップ裏に付着したブローバイ汚れの状態や、フィラーからのぞけるエンジン内部のスラッジの具合、エンジンオイルからガソリン臭が漂っていないか? また、オイルレベルゲージを抜けば、オイルレベルのみならず、レベルゲージについたエンジンオイル焼けを見るなどして、前オーナーのオイル管理の状態を推察する。 エンジンオイルという傷みやすい消耗品を見れば、たったこれだけの情報からでも、前オーナーのクルマというメカとの向き合い方がわかるのだ。 メンテナンス費用を節約するためにDIYを志すオーナーも多いかと思われるが、ここではクルマというメカと向き合うためにDIYを行う次第である。 初めてメカと向き合うDIY、それにふさわしいのがエンジンオイル交換ではなかろうか。 今回から数回にわたって、このエンジンオイル交換に関する内容をお伝えしようと思う。 まず第一回目の今回はエンジンオイル選びについて、旧車ならではの注意点についてお話しをしていきたい。 なお、本題に入る前にあらかじめお断りしておくと、今回の記事は旧車のエンジンオイルについて若干詳しく掘り下げる内容ではあるが、すでに豊富な知識を持つベテランオーナーや評論家のための記事ではない。 初心者の方へ幅広い内容を、できるだけ分かりやすくお伝えするための記事であることをご承知おきいただければ幸いだ。 ■一筋縄ではいかない、旧車オイルの多種多様な選択肢 現代のクルマであれば、エンジンオイルは近所のホームセンターやカー用品店で簡単に入手することができる。 しかし、問題は旧車用のエンジンオイルだ。ホームセンターでは旧車用エンジンオイルの取り扱いなど、まず皆無である。 ただ、旧車といっても、ヒストリックカーと呼ばれる戦後~1970年代前半くらいまでのバルブカバーやオイルパンなどのガスケットにコルクや紙(本当にただの紙)が使用されているクルマ、1970年代末くらいまでのキャブレター式かつ触媒レスのクルマ、1980年以降のネオクラシックと呼ばれ、現代車に近い構造かつ大馬力・大トルクを誇るクルマ・・・。 さらには国産・欧州車・アメリカ車など、多種多様にカテゴライズできる。 これらに使うエンジンオイルを、単にひとくくりに「旧車用エンジンオイル」と呼んでしまっては少し乱暴ではなかろうか。 クルマの新旧に関係なく、オイル選びは車両の取扱説明書やサービスマニュアルの「指定の粘度」から検討することが基本である。 この「指定の粘度」を今日流通しているエンジンオイルのラインナップから選択するしかないのだが、注意点は、ただ「旧車用」と記されているからといって、それが正しい選択とはいい切れないかもしれない点になる。 ▲旧車用エンジンオイルといっても、初心者にはどれを選んでよいか分からないものである。 気に入っているオイルがラインアップ落ちすると、とても悲しいものだ。 ■旧車用エンジンオイルを「指定の粘度」と実際の硬さ「動粘度」で選ぶ 特に筆者が難しく感じるのは、旧車用として販売されている複数の「同じ粘度」のエンジンオイルを実際に比較検討すると、各オイルで異なる「動粘度」である場合が多いのだ。 例を述べれば~1970年代前半までのキャブレター式かつ触媒レスのクルマに多い、指定粘度「20W-50」やシングルグレードと呼ばれる「#30」や「#40」だ。 選択するエンジンオイルのブランドによって性格が異なるため、これらが指定されているクルマのエンジンオイル選びは少しシビアだ。 以下の表をご覧になっていただきたい。 上記は「20W-50」の同じ粘度で今日入手できるエンジンオイルのデータシートから代表性状をまとめたものだ。 他にも筆者が個人的に気になる「旧車用」エンジンオイルが複数あったが、残念ながらデータシートが公開されていなかった。 そこで今回は、比較的入手しやすく、かつデータシートが公開されているもので比較した。 いかがだろうか。 同じ粘度でも実際の「動粘度」がまったく異なることがわかる。 走り出し直後を想定したであろう油温40℃での動粘度の違いをみると、実際のフィーリングもだいぶ異なることが予想できる。 さらに述べると、これはあくまでも新油での話。 交換後のメカニカルノイズの大きさや、数千キロ走行後のフィーリングなどは実際に意識して使い込んでみないと何ともいえないものだ。 これがエンジンオイル選びの醍醐味であり悩みどころだ。 旧車ではこの辺りの違いをはっきりと体感できることが多い。 ではあえて、今日近所のホームセンターで入手できる一般的なエンジンオイルを旧車に入れるとどうなるであろうか。 実際にやってみるとわかるが、結果は何も起きない。 いや、今すぐは何も起きないというべきであろう(極端な場合はオイルが燃焼し、マフラーから白煙が出る場合もある)。 実物に触れてみるとわかるが、現代の一般的なエンジンオイルは旧車用のそれと比べるとシャバシャバとしており、反対に旧車用はドロドロとしているはずだ。 旧車はエンジン内部のピストンとシリンダーのクリアランス(すき間)が大きく、旧車用のエンジンオイルの粘度が高めなのも、このクリアランスを埋めるための密封性能が必要だからである。 また粘度の高いオイルは、ピストンとシリンダーのみならず、各部のすき間やクリアランスに充填することで部品の摩耗を防いでいるともいえる。 旧車に低粘度のエンジンオイルを使用すると、わかりやすい故障の原因にはならない。 しかし、継続して使用するとオイル消費が著しかったり、エンジンの寿命が短くなるというのが正しい答えではなかろうか。 なお、旧車にはこの密封性能が必要だが、反対にハイブリッドやアイドリングストップ車などの現代車では、むしろこれがあだとなる。 いわゆる昨今のエコカーのなかには、省燃費性能の向上のために各部の摩擦抵抗を減らすことを目的に「0W-16」など極端な低粘度のエンジンオイルを指定したクルマもある。 こういったクルマに旧車用のエンジンオイルなど入れようものなら、確実に抵抗となるので、その負担からギクシャクとした動きになることが予想される(さすがにやってみたことはないのであくまでも予想)。 なお、1980年代後半以降のいわゆるネオクラシックカーと呼ばれるクルマはそこまでシビアにならなくても良いと思われる。 さすがに現行エコカー用の「0W-16」や「0W-20」は不適だろうが、現行車よりかは少し硬めの「10W-30」や「10W-40」を選択すれば問題はないであろう。 これも先述の動粘度の話があるので、よく検討したいところではあるが、迷うようであれば取扱説明書およびサービスマニュアルの指定のオイル粘度のうち、高温側を一段階(10単位)例:5W-30 ⇒ 5W-40などで調整すればよい。 これならシリンダー内の気密保持と保護性能を両立できるはずだ。 いずれにせよ、目的に合わないエンジンオイルを安易に使用することがNGなのである。 ▲ペンシルバニア産のエンジンオイルが最良であった時代は、筆者が生まれたころの話ではなかろうか。余談だが表1の「粘度指数」とは粘度の温度変化が極めて小さいペンシルバニア系潤滑油を100とし、極めて大きいガルフ・コースト系のものを0として定められた規格で、値が大きい油ほど粘度変化が小さいとのこと(画像はイメージです) ■永遠の課題:旧車には「鉱物油」か「化学合成油」か ここで、都市伝説の如くよくいわれる、旧車に化学合成油はNGという説に持論を述べたい。 一般論として旧車には「化学合成油」は不向きだ。あながちこれは間違いではない。 先述の通り、ヒストリックカーと呼ばれる~1970年代くらいまでのクルマは、エンジンのバルブカバーやオイルパンにコルクや紙のガスケットが使用されていたり、シールやパッキンの耐久性が悪く、加工精度もまだまだ(というよりも削ったまま)のものが多い。 このようなエンジンに粒子の細かい化学合成油を入れると、各部からオイルにじみが発生する。 また、化学合成油には種類があり、そのうちの一種PAO(ポリアルファオレフィン)はシールやパッキンを収縮させる性質を持ち、やはりこれもオイル漏れの原因となる。(余談だが、やはり化学合成油の一種であるエステルは逆にシールやパッキンを膨張させるため、一部オイル漏れ防止の添加剤にも使用される) このような経緯から、化学合成油が旧車に不向きだといわれる。 しかし、これはオイル漏れの観点のみで考えた場合の話だ。 鉱物油にはデメリットとして、エンジン内でスラッジとなりオイルラインの詰まりの原因になりやすい点や、酸化安定性が悪く、使用開始後に早い段階で性能が劣化してしまう点がある。 オイルの性能面を全体で見れば、化学合成油を使用するメリットは大いにある。 以下の表をご覧になっていただきたい。 化学合成油というとPAOやエステルに代表される、人工的に作り出されたハイエンドなオイル、すなわち「グループⅣ」や「グループV」が想像される。 今日「全合成油」という名で市場に広く一般的に出回っているのは「グループIII」オイルだ。 かんたんにいえば、鉱物油に含まれる不純物を水素と反応させて除去「水素化分解(ハイドロクラッキング)」して精製されたオイルだ。 ベースオイルは鉱物油であるが、化学合成油に近い性能を持つ。 問題は、このグループIIIオイルが旧車に使えるか否かだ。 個人的には動粘度などの仕様に注意を払えば、十分に使用できると考えている。 筆者はコストパフォーマンスから、エステルブレンドのグループIIIオイルを長年愛用しているが、まったく問題はない。 前述のデータシートをよく見て判断したい。 なお、1990年代以降のいわゆるネオクラシックカーであれば、オイル漏れ関係がしっかりと整備されていることを前提にPAO(グループⅣ)オイルは何ら問題なく使用できる。 鉱物油にこだわりたい場合は、グループII(高度精製鉱物油)をチェックするとよい。 「20W-50」やシングルグレードの「#30」「#40」のエンジンオイルにおいて、パッケージには鉱物油の表示のみであっても、ケンドルやRIZOILなどメーカーのホームページやデータシートを注意深く確認するとグループIIの記載があることが確認できる。 先述の【表1】をご覧になっていただくとわかるが、グループIIオイルは鉱物油ながら非常に高い粘度指数を持つオイルが多く、格上のグレードに迫る性能のエンジンオイルもあることが分かる。 なお、筆者はキャブレター車にはケンドルのエンジンオイルを愛用している。 余談であるが2023年1月現在、グループⅣやグループⅤなどの「100%化学合成油」は3,000円/Lを割ることはないだろうが、グループIIIの「全合成油」であれば1,000円/ℓ前後で手に入る。 近所のホームセンターやガソリンスタンドで購入できる少しグレードの高いオイルは、ほぼこのグループIIIのエンジンオイルであるといっても過言ではないことであろう。 問題はその表示方法だ。市販のオイル缶には、APIのグループ分類で表示されているものがほとんど見当たらない。 クルマ好きのオーナーであっても「全合成油 = 100%化学合成油」という認識をしてしまいそうな表示である。 繰り返すが「全合成油」として販売されるグループIIIのベースオイルは、あくまでも水素化分解処理済みの「鉱物油」である。 紛らわしいことこのうえない。 なお、この問題は北米で訴訟となっている。水素化分解処理された鉱物油(グループIII)をカストロール社が化学合成油として販売したため、モービル社より不当表示として訴えられたのだ。 結果はモービル社が敗訴しカストロール社の主張が認められた。 これ以後、モービル社も自社製品にグループIIIオイルを使用するようになったという経緯がある。 ▲化学合成油によるオイル漏れを心配するよりも、根本的にエンジンをオーバーホールした方が良い場合は多々存在する。オイル漏れを化学合成油だけのせいにしてはいけない ■触媒装着車への旧車用エンジンオイルや、亜鉛とリンを含んだ添加剤の使用について 触媒が装着されているクルマに旧車用エンジンオイルを使用する場合は注意をしたい。 もともとエンジンオイルには、亜鉛とリンをベースとした添加剤が摩耗防止剤として必ず含まれているが、旧車用エンジンオイルのなかには、この添加剤が配合されていることをセールスポイントにしているものが存在する。 注意すべき点は、この亜鉛とリンを含んだエンジンオイルが、オイル上がりやオイル下がりなど何らかの原因で燃焼して排気ガスとなって触媒に流れてしまうと、触媒の機能低下を促進してしまうことが報告されている。 これは、亜鉛とリンを使用した旧車用のエンジンオイル添加剤も同様だ。 触媒は車検に必ず必要かつ入手困難な場合が多いため、丁重に扱いたい。 現代車のエンジンオイルでもこの亜鉛とリンをベースとした添加剤は使用されているが、規格として極限まで少ない配合となっている。 昨今では、液体チタンや有機モリブデンなどを代替としているメーカーもあれば、変わらずふんだんに亜鉛とリンをベースとした添加剤入りをアピールしているメーカーもある。 触媒装着車に旧車用エンジンオイルを使用する場合は、事前に販売元に確認が必要であろう。 気になる方は「ZDDP(またはZnDTP)」というワードで検索してほしい。 ▲かつてケンドル社のエンジンオイルは亜鉛添加剤入りがセールスポイントだったが、触媒への影響から亜鉛から液体チタン配合に切り替わり、APIの新規格SP取得と同時に液体チタン配合も終了・・・。SN規格のままのバルボリン社は変わらず亜鉛&リン添加剤(ZDDP)入りとのことだが・・・ ■旧車のオイル選びは奥が深い できる限りかんたんに旧車のエンジンオイル選びの注意点についてまとめたつもりではあるが、それでもさまざまな検討ポイントがあることがおわかりいただけたであろうか。 DIYを志す方であれば、エンジンオイル選びにもこだわりを持たれることであろう。 ときにはメカニックや専門家にアドバイスをもらうことも必要であるが、自身の感性をMAXにして愛車と向き合うこともとても重要だ。 旧車に使用するエンジンオイルは、最新のものが最良ともいえず、現時点で最良のものを見つけ出したとしても、それがいつまでも販売されているとは限らない。 場合によっては常に最良のエンジンオイルを探し、何種類もの銘柄のオイルをソムリエの如く交換するオーナーもいることであろう。 いずれにせよ、正しい知識をもって愛車のエンジンオイル選びをしたい。 次回も旧車のエンジンオイル交換について続編を執筆させていただくので、興味があれば、次回を期待して待っていてほしい。 ※私クマダはYouTubeでポンコツ再生動画を公開しております。ぜひ動画もご覧になってください。チャンネル登録お待ちしております。 ●YouTube:BEARMAN’s チャンネル(ベアマンチャンネル)https://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g/ ●Twitter:https://twitter.com/BEARMANs_Ch [画像・AdobeStock、ライター・撮影/クマダトシロー]
■1.メンテナンスの基本中の基本、ジャッキアップ ▲空冷ビートルに付属する車載ジャッキ。欧州車は新旧関わらず、この手のジャッキが多く標準装備されるが、あくまでもパンク時のスペアタイヤへの交換用だこれを普段のメンテナンスに使用するのはもってのほかだ。車両の下に潜るような用途には絶対に使用してはいけない DIYでクルマのメンテナンスを行うオーナーにとって、避けて通れない作業がジャッキアップだ。 旧車のみならず、DIY初心者にとって登竜門になると思われるエンジンオイル交換やホイール脱着を行う際にジャッキアップが必須の作業となる。 また、作業を行わないまでも、晴れて購入したクルマの下回りを覗いてみたいと思うメカ好きなオーナーも多いはずだ。 旧車のみならず、クルマの真のコンディションは下回りを見てみなければ分からないからだ。 ジャッキアップ自体は、DIYの中では基本中の基本の作業なので、ハウ・トゥー的な記事は他にも数多く存在する。 今回は、生産後数十年が経過した旧車オーナー向けに、20年来のポンコツ愛好家である筆者が、旧いクルマの独特な注意点をお伝えできればと思う。 ■2.決してマニュアル通りとは限らない、旧車のジャッキアップ方法 ▲空冷ビートルのジャッキアップポイント。新車時ならともかく、旧車で錆による腐食などでフロアやサイドシルにダメージがあるクルマでは、果たしてこんな部分で、クルマの重さを支えることができるのであろうか? DIY初心者であるオーナーが、クルマをジャッキアップしたいと考えたとき。 まず手にするものは、パンタグラフ式を代表とする「車載ジャッキ」ではなかろうか? 結論からいえば、旧車については、これを普段のメンテナンスに使用するのはかなり危険だ。 クルマの「トリセツ(取扱説明書)」には当然のごとく、パンク修理用に車両に付属する車載ジャッキの使用方法が記されているはずだ。 そして、これらはほとんどの場合、ボディーのサイドシルと呼ばれる部分にあるジャッキアップポイントにあてがって使用することを前提としている。 しかし、考えてみてほしい。 旧車と呼ばれるクルマは最低でも生産後20年は経過している。 「オールドタイマー」と呼ばれるクルマであれば、生産後40年~50年は当たり前だ。 すでに「アンティーク(骨董品)」となっている車載ジャッキが果たして使い物になるのか?という問題も当然あるが、クルマのボディー自体がジャッキアップに耐えられない状態になっている場合も存在するのだ。 旧車のみならず、クルマのサイドシルという部分は、縁石などのダメージを受けることが多い。 さらにクルマが長らく放置された場合、この部分に雨などの水分が溜まり、フェンダー裏などと同様、錆で腐食が進行しやすい部分といっても過言ではない。 ジャッキアップポイントには、そのクルマの重さが集中して掛かる。 取扱説明書に記されている通りに車載ジャッキでジャッキアップした瞬間に、いきなりサイドシルが潰れてしまった!そんな話は旧車の世界では決して珍しい話ではない。 このような話は、きれいにレストアされたクルマのオーナーには他人事の様に聞こえるかもしれない。 しかし、実施にはきれいに仕上げられたクルマほど、要注意である。 なぜなら、レストアされたクルマはどのような方法で作業されたのかが不透明な場合が多いからだ。 海外では、腐ったパネルを鈑金せずにFRP樹脂とファイバーパテで埋めるという方法が当たり前のように存在する。 その道のプロであっても、きれいに仕上がっていると一見ではなかなか判別しづらいものである。 塗装面にクラックが入って初めて、厚く盛られたパテが露見するのだ。 旧車にとって、何も考えずにジャッキアップするという行為は、クルマに致命的なダメージを与えてしまう可能性がある行為そのものなのだ。 また不確実なジャッキアップは、作業中に事故に遭う可能性がある。命の危険すらあるのだ。 それでは、一体どうすればよいのか?次項で説明しよう。 ■3.旧車のジャッキアップに必要な知識と道具とは? ▲実際に筆者クマダが使用しているフロアジャッキとリジットラック。どれも安価品だが十分に使えている。赤いフロアジャッキはそろそろ寿命だ まずは、そのクルマの正しいジャッキポイントを探ることが最優先である。 前回の記事で触れたが、サービスマニュアルに必ず記されている項目の一つだ。 なお、フロアジャッキ用のジャッキポイントは良しとして、リジットラックをあてがう部分はサービスマニュアルにおいても、サイドシルが指定されている場合が多い。 前述のとおり、旧車のサイドシルは必ずしもフロアジャッキやリジットラックをあてがえるコンディションではないことが多い。 そうなるとボディーやシャーシの強度のあるポイントを探すこととなるが、これはその車種によって異なる。 そのため、同車種のベテランオーナーか、やはり専門知識を持ったプロに尋ねることをおすすめする。 だいたいの場合、フレームや足回りのサスペンションアーム等の付け根の部分が、強度のあるポイントとして検討できるはずだ。 予備知識を得たら、ここからが道具選びだ。まずはジャッキを選ぼう。 はじめに、車載ジャッキでは定番のパンタグラフ式は、ここではおすすめしない。 それはなぜか? 先述の通り、旧車はサイドシルにダメージを負っている可能性がある点もあるが、何よりもパンタグラフ式のジャッキは車両の前後方向に倒れやすい点がある。 何らかの原因で車両の前後方向に力が加わると、いとも簡単に倒れてしまう。 後述するが、輪留めなしの状態での使用は非常に不安定でとても危険だ。 おすすめはやはり、油圧式のフロアジャッキとリジットラック(通称:ウマ)のセットだ。 これらはベテランのDIYオーナーであれば、必ずガレージに備わっていることであろう。 まずは、フロアジャッキから説明する。 大きく場所をとり、重量もあるフロアジャッキだが、整備工場で使用されるプロ用はとても頑丈な代わりにたいへん高価で、DIYでの購入はハードルが高い。 実際にはDIY向け工具店でのラインナップから選択することになることであろう。 この場合、まずはじめの一台は、鉄製の2.5~3トン程度のものをおススメする。 ネット通販などでアルミ製の3トンといったものも存在するが、これらはあくまでも2トン程度までの使用で考えたほうが良い。 実際に使用すれば分かるが、明らかに容量不足を感じるはずだ。 アルミ製の2トンについては車載用と考えたほうが良いだろう。 安価なアルミ製のフロアジャッキは軽くて持ち運びしやすいが、よくしなる。重量車には使えない。 フロアジャッキの次は、車体を保持するリジットラック選びだ。 これは、一部の折りたためるものを除けば、ホームセンターで販売されている2トンのもので十分こと足りる。 3本脚か、4本脚かの検討ポイントもあるが、ここでは省略する。 実際に手に取って気に入ったものを選んでほしい。 あえて注意点を述べるとすれば、リジットラックが車両と接触する部分の形状だ。 車載ジャッキの先端を注意深く見ると、サイドシルのジャッキポイントの部分にジャストフィットする形状になっているはずだ。 しかし、この部分は市販のリジットラックではぴったりフィットするとは限らない。 また、先述の通り、旧車ではサイドシル以外の部分にリジットラックをあてがう場合もある。 ジャッキアップ後にクルマがリジットラックの上に安定して乗っていればよいが、不安定な場合、車体をしっかり保持できる形状のアダプターを用意する必要がある。 ほとんどがゴム製になると思われるが、この部分は市販のものがうまくフィットしないなどの理由で、木端などの材料で自作している強者も存在する。 最後に輪留めを忘れずに用意してほしい。 輪留めについては、持ち上がっているタイヤの対角線上となる位置のタイヤに使用する。 旧車に限った話ではないが、ニュートラル状態のマニュアル車やサイドブレーキが甘い車両の場合、ジャッキアップした瞬間にクルマが動き始めてしまうということが十分にあり得る。 DIY初心者のみならず、ベテランオーナーにも注意喚起をしたい。事故が起きてからでは遅いのだ。 付け加えれば、スロープを用意するととても便利だ。 スロープについては、本来ローダウンされたクルマなどで、フロアジャッキを車体の下に潜らせることができない場合に使用するものだ。 しかし、車高の高い旧車の場合、エンジンオイル交換などは、ローダウンでもしていない限り、クルマをスロープに上らせれば対応できてしまう場合が多いのだ。 「スロープ+輪留め」で作業をすれば、クルマの下敷きになる可能性は大幅に減少する。 DIYの初心者・上級者に関わらず、ここは必ず実施したいところだ。 ■4.旧いクルマには、常にいたわりをもって接したい ▲旧車でこのようなジャッキアップを行うと・・・ ここまで駆け足で説明したが、話の要は、変形しやすい箱を、いかにダメージを与えずに持ち上げることができるかだ。 分からないことは、なんでも指先で検索できてしまう時代。 いわゆる「自称・正しい方法」とやらが、生産後数十年を経過した旧いクルマにそのまま当てはまると思ったら、それは大間違いである。 今回は旧車という偏った観点からジャッキアップについて短めにまとめてみた。 これは良かれと思って行った作業が、かえってクルマにダメージを与えてしまうということがある一例である。 せっかくの愛車だ。この記事の読者の方は、小さなことでもよく考えて、いたわりをもってクルマに接してほしい。 ●YouTube:BEARMAN’s チャンネル(ベアマンチャンネル)https://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g/ ●Twitter:https://twitter.com/BEARMANs_Ch [ライター・撮影/クマダトシロー]
前回、初めて工具を購入する旧車オーナーのために、簡単ではあるがアドバイスとなるであろう記事を担当した。 今回はその続編として、晴れて旧車オーナーとなったら、次にいったい何を揃えれば良いのか、具体的な内容にまとめてみた。 ▲おちゃらけた内容の筆者のYouTube動画も、すべて事前にサービスマニュアルやパーツリストなどで下調べをしたうえで作業をおこなっている(私クマダはYouTubeでポンコツ再生動画を公開しております。ぜひ動画もご覧になってください。チャンネル登録お待ちしております。動画はこちらです→ https://t.co/jshezU8Be0) ■工具以外にもこれだけは揃えておきたい 晴れて旧車オーナーになって、少しでも自分自身でクルマに手を入れてみたいと思ったら、まずは参考となる資料を用意するべきであろう。 DIY派の旧車オーナーに筆者が入手を強くおすすめしたいのが、「自身の愛車のサービスマニュアル」と「パーツリスト」だ。 ▲筆者所有のサービスマニュアルやパーツリスト、社外アフターマーケット品のパーツカタログなど。余談だが、海外のパーツカタログ類は資料性が高く、参考となるものが多い。英語というハードルがあるが、国産旧車でも海外輸出されていた車両であれば、洋書で探すという手段が存在する 旧車は、日常的に行われる基本的なメンテナンスなどにおいても、現代のクルマでは当たり前となっている方法とは異なる場合が多い。 例えば基本中の基本、エンジンオイルを例に挙げてみよう。 たかがエンジンオイルと思われるかもしれないが、今日一般的に入手できるオイルが使用できるのか、もしくは旧車用と呼ばれる特殊な粘度のオイルを用意しなければいけないのか、サービスマニュアルがなければ判断すらできない。 タイヤひとつとっても、ホイールナットの締付トルクはおろか、規定の空気圧すら分からないなど、手探りで作業する場面が容易に想像できる。 DIY初心者にとっては、とても心許ないものであろう。 また、旧車は修理などパーツ交換が必要な際に、あらかじめそのパーツが入手できるか否か作業を行う前に探りを入れておかなければならない。 パーツの供給状況によっては、その作業を断念せざるを得ないことがあるからだ。 パーツリストは部品検索のための必須ツールだ。 部品番号がわからないと発注はおろか、パーツ探しすらままならない。 正直なところ、これらは当時モノとなるため、車種によっては入手困難なケースもある。 しかし、ネットオークションなどを駆使して何としてでも手に入れてほしい。 サービスマニュアルとパーツリストは旧車オーナーにとって、たいへん重要な参考資料であり、いわば旧車維持の道しるべともいえるからだ。 ■現代車では用いられることがない、旧車ならではのツール。タイミングライトとシックネスゲージ ▲シックネスゲージを使用して実際にタペット調整をする。決してむずかしい作業ではない。ある年代より旧いクルマでは必須メンテナンスだ(画像は空冷ワーゲンの水平対向4気筒エンジン リアルタイムで旧車に接してきた世代のオーナーにとっては当たり前のことであっても、若いオーナーにとってみれば「なにそれ?」といったことは多々あるだろう。 旧車といえども、比較的に現代車に近い感覚で乗れる1990年代以降のネオクラッシックカーであっても、平成生まれのオーナーにとっては生まれる以前に造られた、あるいは同世代のクルマだ。 筆者はいわゆるアラフォー世代の「おっさん」である。 その「おっさん」が免許を取ってクルマをいじり始めた20年前であっても、実際に当時で「旧車」と呼ばれたクルマに触れないかぎり、出会うことはないであろう基本的なメンテナンスが存在した。 代表的なものをいくつか挙げてみれば、「タペットクリアランス調整」「ポイントギャップ調整」「点火時期調整」あたりだろうか。 具体的内容については話が長くなるのでここでは割愛するが、これらは、よくいわれるエンジン完調のための基本「良い圧縮・良い火花・良い混合気」すべてに関連する。 旧車を絶好調に走らせるための必須メンテナンスだ。 ここで必要となるのが、タイミングライトやシックネスゲージである。 さすがにこれらはホームセンターの店頭はおろか、工具店でも在庫として店頭に置いてある店舗が非常に少なくなったように感じる。 これらはネット通販であれば安価に入手できるが、筆者の経験ではタイミングライトの安価品は高い確率で早くに故障する。 シックネスゲージについては高額ではないので、精度を信頼できる日本製を選んでほしい。 デジタル化された現代のクルマでは、これらの部分は「メンテナスフリー」というより、「ノンタッチ」となっている。 これらは当時、車検点検の際には必ず行われる身近なメンテナンスであったと聞く。 車種によっては、取扱説明書に作業方法が記載されるほどであったという。 これらはDIY派の旧車オーナーには、オイル交換・スパークプラグ交換の次に、ぜひ実践してほしい基本メンテナンスだ。 この部分を普段から触れているオーナーは、早い段階で一見判りづらい完調であるクルマ、そうで無いクルマの判別が感覚的に身についてくることであろう。 ▲「画像④」:YouTube動画内で登場したタイミングライト。40年以上前のナショナル製。(#11 完成 / スズキ カプチーノのへたったエンジンをリカバリーせよ)より。動画はこちらです→ https://youtu.be/1Fx3xMNmNxM ■DIY派の旧車オーナーは、ぜひグリースにもこだわってほしい 自身でメンテナンスを行うと、グリスアップを行う場面が増えてくるはずだ。 グリスアップはメンテナンスの基本中の基本といっても過言ではないだろう。 オイルと同じくメカニズムを潤滑保護するために必須の油脂、グリース。 各種オイルにこだわりを持つ旧車オーナーは多いが、グリースもオイルと同様、目的に応じてさまざまな種類が存在する。 ここに一般的な自動車整備に使用されるグリースの代表的なものを挙げるとしよう。 ●リチウム石けん系グリース マルチパーパスグリースという名で広く一般的に使用される。 マルチパーパス(万能)というが、これを鵜呑みにしてどこにでも使用してはいけない。 ●カルシウム石けん系グリース 通称シャーシグリースとも呼ばれる。 主にジャバラチューブに入っていて、下回り各所のグリースニップルにガンで充填することが多い。 耐水性もあり安価だが、耐熱性は期待できない。 ●二硫化モリブデングリース マルチパーパスグリースに二硫化モリブデンを配合し、耐摩耗性・耐荷重性を持たせた黒いグリース。 トライブシャフトなど、等速ジョイントのブーツ内部などに使用される。 ここまでは、液状の「ベースオイル」を、半固体の「グリース」にするための「増ちょう剤」にリチウムやカルシウムを使用した「石けん系」のグリースである。 以下は増ちょう剤に石けんを使用しない「非石けん系」グリースの代表的なものを紹介する。 ●ウレアグリース マルチパーパスグリースとほぼ同じ用途で使用されるが、やや耐水性・耐熱性が高い。 密封されたシールドベアリング内部など製品に使われることが多い。 筆者はクルマよりもバイクの整備によく使われるイメージを持っている。 前述の3種類の石けん系グリースは、ほぼ鉱物油ベースといって間違いない。 しかし、この非石けん系のウレアグリースに関しては、製品ごとにベースオイルが異なる場合が多い。 購入する場合には、耐ゴム性能の観点から購入時の確認は必要と思われる。 ●ポリグリコール系グリース 「ラバーグリース」や「ブレーキグリース」の名称で店頭に並ぶ合成油ベースのグリースだ。 ブレーキ内部のピストンシールやカップラバーなど、ゴムを傷めずに潤滑する。 ●シリコーン系グリース 耐熱かつ耐寒、幅広い温度帯で使用可能。 さらに耐水性も抜群な白いグリースだ。 ただし金属同士の摺動面や力のかかる部分には使用できない。 主にプラスチックやゴムに使用される。 高額ではあるが、幅広い用途に使用できる。 その他、特定の使用用途に応じたグリースも多々存在する。 ここで、前述した汎用グリースでは代用できない例を二つ挙げてみよう。 ●ブレーキパッドグリース 主にブレーキパッドとシムなどキャリパー周辺や、ドラムブレーキのライニングとバックプレートの接触部分などに使用する。 他のグリースで代用すると雨などの水分に流されてしまい、ブレーキ鳴きの原因の一つとなる。 耐水性をもつことから、シリコーン系グリースでも代用できるという意見もある。 しかし、筆者はグリースの固さ、すなわち「ちょう度」によると考える。 相手は重要保安部品のブレーキだ。 ここは専用品を使用するべきであろう。 ●クラッチスプライングリース クラッチ交換時に使用するグリースである。 乾燥しにくい性質を持たせることで、グリースがクラッチ摩擦材などのダストを含むことで固くペースト状になることを防ぎつつも、周囲に飛び散りにくいという特長を持つ。 このグリースについては、オートマ車全盛の今日において使用頻度が低いためか、修理の際に別のグリースで代用され時間の経過とともにグリースが粘着する。 クラッチペダルが極端に重くなったり、グリースが周辺に飛び散るなどしてジャダー発生の原因となっている例がある。 細かい部分ではあるが、安易なグリース選びができない一例だ。 他にも挙げられるものはあるが、一般的なクルマのメンテナンスに使用されるものは、おおよそこれぐらいであろうか。 お分かりいただけたと思うが、クレ5-56にマルチパーパスグリースだけがあれば良いわけではないのだ。 確かに広範囲に使用できるグリースは存在するが、筆者の知る限り、どこにでも使える万能なグリースは存在しない。 使用する用途を間違って使用した場合、良かれと思って使用した高額なグリースが、外側のラバーブーツをボロボロにしてしまったという例もある。 これでは本末転倒だ。 まさに「間違いだらけのグリース選び」ではなかろうか? 良かれと思って行ったメンテナンスが、トラブルの原因となる。 潤滑系ケミカルは、どうしてもインターネット広告に流され、高額なものを購入しがちだ。 グリースなどのケミカルは、まずは先述のサービスマニュアルをもとに選択してほしい。 購入の際にはパッケージの裏書きと照らし合わせれば、どれが正しい選択であるか判るはずだ。 幸いなことにこれらは決して高額なものではない。 比較的安価である。 荷姿の問題で少し多めに購入することになったら仲間内でシェアすればよい。 まずは目的に必要なものを用意して、ツールボックスにストックするべきである。 くれぐれも「都市伝説」に騙されてはいけない。 ▲筆者使用のエンジンオイル(主に旧車用)。クルマ用のオイルやケミカルは数多く存在するが、これら油脂類も信頼できる資料をもとに正しい選択をしたい ■まずは自分のペースに合わせて、できることからはじめよう 今回は、サービスマニュアルとパーツリストの入手のススメから話を展開した。 相手は古い機械モノである。 一筋縄でいくとは考えないほうが良い。 DIYの前にまずは情報収集だ。 作業の事前準備はたとえ、その道のプロであっても必要不可欠である。 筆者の経験上、腕の良いメカニックであるほど、この点についてはとても真剣かつ用意周到であると感じる。 森羅万象ともいえる筆者の師匠(熟練の整備工)はサービスマニュアルの内容が脳内にインプットされており、最新情報にも常にアンテナを張っている。 旧車のみならず、DIY初心者の方は今回の記事を読んで「いきなりプロ相手の修理書かよ!?」と思われるかもしれないが、これは修理の具体的かつ、王道である内容である。 これから自身で愛車に手を入れようという方には、ぜひ正しい方法を覚えていただきたい。 ここまで聞くと、難しく感じてしまうかもしれないが、現代のクルマとは異なり、旧車にはオーナーが手を入れられる余地が数多くある。 クルマを構成する部品点数も、必要な工具も現代車に比べればはるかに少ない。 肩ひじ張ることはないのだ。 これなら自分でもできるという部分からはじめればよい。 繰り返しとなるが、そのために道しるべとなるのが「サービスマニュアル」と「パーツリスト」である。 自分のクルマだ。 やりたいようにやればいい。 納得できるところまでやればいい。 そして、何度でもやり直せばいいのだ。 自身の手を汚し、絶好調になったクルマに乗る瞬間は、何事にも代えられない素晴らしい体験である。 こればかりがお金で買えるものではない。 一度経験すると病みつきになる。 まさにプライスレスだ。 プロ顔負けのプライベーターが存在する理由はここにある。 「千里の道も一歩から」「先ず隗よりはじめよ」。 いずれの言葉も、まずはできることからはじめようという意味だ。 ・・・閑話休題。 今後も旧車を維持するにあたって、より実践的な工具の選択方法やケミカルについても案内していこうと思う。 ※前回の記事 ■車整備歴20余年の経験者が思う、旧車オーナーが初めて工具を購入する際の注意点とは? https://www.qsha-oh.com/historia/article/maintenance-tools/ [YouTube]BEARMAN's チャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g [ライター・撮影/クマダトシロー]
旧車オーナーにとって、クルマへの愛情が深くなれば深くなるほど、自身の愛車のメンテナンスに興味を持つことはないであろうか? 詳しい知識はなくとも、できる部分は自身の手でやってみたいと考えているオーナーは決して少なくないと思う。 クルマのメンテナンスを行うためには当然工具が必要なる。 クルマのみならず、機械いじりなど一度も行ったことがないオーナーにとっては、数ある工具の中からどれを選べば良いのか、まったくもって見当もつかないだろう。 今回は、ポンコツ愛好家の私・クマダが、かれこれ20余年の経験を持って、メンテナンスデビューしたいビギナー(初心者)に向けて、なるべく簡単にアドバイスをしたいと思う。 ▲ 雑然とした筆者のツールチェストの内部。安価なショボ工(しょぼい工具)から高額なスナップ・オンまで幅広いラインアップ!?※私クマダはYouTubeでポンコツ再生動画を公開しております。ぜひ動画もご覧ください。チャンネル登録お待ちしております! https://t.co/jshezU8Be0) ■ホームセンターで販売されている工具が、必ずしもクルマの整備に向いているとは限らない ▲すでに購入から20数年が経過したPBボーマンのドライバー。 良い工具は長持ちするうえ、使い込めば使い込むほど愛着がわき、やがて一生モノとなる。 ご存じの通り、昨今DIYがブームとなっている。 ホームセンターの工具コーナーの品揃えも本格的なものとなりつつあるようだ もはや、プロ志向の品揃えとなっているといっても過言ではないことだろう。 おそらく多くのビギナーが、自身で最初に手にする工具をこのホームセンターで検討されると思うが、購入については少し踏みとどまっていただきたい。 それはなぜか? 私クマダは経験上、ホームセンターで販売されている工具が、必ずしもクルマの整備に向いているとは限らないと考えているからだ。 そもそもホームセンターで販売されている工具は、自動車整備のみならず、建築や工業機械など、その他の用途も含めた目的で製造されたものが多い。 これらはたいがいにして肉厚で強固、かつ重量があるため、クルマのエンジンルーム内など、細かく入り組んだ部分での作業がしづらかったりする。 また、くれぐれも多数の工具が一つのケースに入った一見お得そうなツールセットなるものにはくれぐれも注意してほしい。 安価品は全体的に繊細さに欠ける印象のものが多いが、印象のみならず、実際に精度も悪かったりする。 そもそもしっかりと対象物にかみ合わないのだ。 例えば、錆びてただでさえ緩みづらくなっている旧車のボルトやナットに大きなトルクをかけて使用した場合、いとも簡単に頭をなめてしまう可能性がある。 これは作業をする者の腕がいいとか悪いとかの問題ではない。 場合によっては、大きなトルクをかけて使用した際に突然破損し、ケガの原因になることすらあるのだ(筆者は経験済み)。 ■クルマの工具はやはり専門店がおススメ!工具を実際に手に取って選ぼう ▲ 新卒でディーラーの整備士になったが、支給工具は最低限のもので、当然満足のいくものではなかった。先輩に借りるわけにもいかないので、毎月毎月少しずつ工具を買い足していった。これらは20年経った今もしっかり使えている。 それでは、いったいどこで工具を購入すればよいのか? それはやはり、自動車整備用の工具を専門に取り扱った店舗一択となるであろう。 ネットではなく店舗で購入するメリットは、実際に工具を手に取り感触を確かめられる点である。 また忘れてはいけないのが、工具店での経験を積んだスタッフからの直接のアドバイスはたいへん貴重だ。 こういったリアルな体験はネットショッピングではまず不可能といっていいだろう。 ぜひ店舗に直接足を運んで工具を自分自身で選んでほしい。 例を挙げると、早回しに必要なラチェットハンドルひとつとっても種類はさまざまだ。 ハンドルの太さや長さ、そして重さ、ラチェットの歯数や空転時の軽さ、ソケットツールのクイックリリースボタンの有無や押しやすさ・・・。 さらにはクロームの仕上げ方法による握ったときの滑り具合などなど、チェックポイントは多数ある。 そして何よりも、高価なブランド工具と、同機能の安価な工具との違いもここで確かめるといいかもしれない。 なお、最初から数多くの工具を購入する必要はない。 まずはじめに揃えておきたい工具の具体的な内容は次の項で述べるが、使用頻度の高い基本的な工具はしっかりとしたブランド・品質のもので購入したい。 あとは、追々、自身の作業内容やレベルに応じて買い足しすることをおススメする。 必要性を感じてから工具を買い足すことで、無駄なく工具を揃えられるのと同時に、いま手元にある工具の使い方に工夫を凝らすことで、メンテナンスの腕の向上にもつながることであろう。 工具があることにありがたみを感じる瞬間でもある。 ■ビギナーが最初に選ぶべき基本的な工具を、具体的に挙げてみる ▲ 文中に挙げた最低限の基本的な工具。これらを車載工具として携行できるとさらに頼もしい。 筆者が、メンテナンスのビギナーがとりあえず最初に揃えると良いと思う工具は以下の通りだ。 ●コンビネーションレンチ(片側がスパナ、もう片側がメガネレンチになった工具)●3/8sqソケットレンチとラチェットハンドル(8/10/12/13/14/17/19mm)●欲をいえば、1/4sqのソケットレンチとラチェットハンドル(8/10/12/13mm)●エクステンションバー(3/8sq・1/4sqともに長さで2~3種類)●プラスドライバー(1/2/3号)●マイナスドライバー(3/4/5号)●長めのヘックス(六角)棒レンチ(片側がボール型になっているものが良い)●ノズルプライヤー(ラジオペンチ)●カッティングプライヤー(ニッパー)●ウォーターポンププライヤー●1/2sq スピンナーハンドル などなど・・・ とはいえ、ビギナーにとってこれらを最初からそれなりのブランドの工具で購入するとなると、予算のことなど、とても勇気が必要になるだろう。 ただ安心してほしい。 ここ十数年で状況はとても良い方向に好転していからだ。 旧来の工具専門店というと、敷居が高く、その道のプロでないと入りづらそうな雰囲気の店が多かった。 しかし昨今では、プロのみならず、個人のユーザー向けに全国展開をしている工具店が複数存在している。 アストロプロダクツや、ストレート、ファクトリーギアなどである。 インターネットで検索すれば、きっとあなたの身近な場所に店舗が見つかるはずだ。 とりあえずこういった工具店では、ショップのオリジナルブランドではあるが、安価でありながらも、品質的にはなんとか及第点となる工具セットが販売されている。 筆者の本音は、それなりに名の通ったメーカーの工具で揃えていただきたいが、セットの内容を吟味したうえで、これらを購入するのも選択肢のひとつだと思う。 これらの工具セットは、コンパクトで仕上げの良いツールボックスに入って販売されていることが多いので、後々ステップアップした後も車載工具として使用することもできる。 ■スナップ・オンだけが工具ではない。さまざまな工具を手に取り吟味して選ぼう ▲「安くて良いもの」は存在しない。しかし、「安い割にはまぁまぁ良いもの」は間違いなく存在する。ただ、それを見極めるのが難しい・・・。 熟練したメカニックの中には、スナップ・オンをはじめとするブランド工具以外は認めないといった風潮があることも事実だ。 彼らはボルト一本を締める行為一つに強い責任感を持ち、情熱を燃やしている。 先述の通り、安価な工具は精度が悪く、ボルトやナットの角に傷を入れることが多い。 当然の意見であろう。 ただ「ブランド工具」といっても、自動車整備の世界には様々な工具メーカーが存在し、各々個性的な特徴を持ち合わせている。 例えば、高額なブランド工具の代表格、米国メーカーのスナップ・オンのレンチはミラーツールとよばれるクロームメッキ仕上げが特徴で、その美しい外観から使用せずに収集するコレクターが存在する。 しかし反対に欧州では手に持っても滑りにくいザラザラとした梨地仕上げのレンチが好まれる。 ハゼットや、スタビレーの柔軟にしなるレンチがこれに該当する。 PBボーマンのドライバーは、オイルまみれの手で握っても不思議とすべらないグリップをもつ。 国産メーカーでは、定番中の定番であるKTC(京都機械工具)、とても精度の高いソケットツールに定評があるコーケン(山下工業研究所)が挙げられる。 また、機械工具の武骨なイメージだったが、ここ数年で自動車整備向けの工具に力を入れてきたTONE(筆者はラチェットギアレンチや、ストレートメガネレンチを愛用)などなど・・・。 いくつか工具メーカーを挙げたが、これらは、どこのOEMで生産されたか分からない各工具専門店のオリジナルブランド品に比べれば、倍くらいの値段がする。 しかし、これらの製品は、スナップ・オンに比べればとてもリーズナブルだ。 仕様の用途や頻度も含め検討するとよい。 なお、ちゃんとした工具は壊れにくい。 それこそ、良い工具を選べば一生モノとなる。 しかし、工具の世界には「安くて良いもの」は存在しない。 やはり「良いものは高い」のだ。 ただ、「安い割にはまぁまぁ良いもの」は間違いなく存在する。 前述したとおり、工具は手に取ってよく吟味したうえで選んでいただきたい。 納得のいく工具選びを繰り返せば、あなたもいつかエキスパートになれることだろう。 今回は、初めての工具選びについてかんたんに執筆させていただいたが、機会があれば、旧車を維持するにあたって、より実践的な工具の選択方法やケミカルについても案内していこうと思う。 次回を期待して待っていてほしい。 [YouTube]BEARMAN's チャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g [ライター・撮影/クマダトシロー]
今や入手困難となりつつあるシールドビームと、今日なんとか入手できるセミシールドビームとのデザインの違いから、シビエやマーシャルなど当時の一流ブランドをご紹介します。 また、ベテランオーナーがこだわるポイントや、右側通行や車検への適合についても触れてみます。 さらには、日本国内ならではの注意ポイントなどを、むずかしくなり過ぎないようにまとめました。 パーツ単体を深掘りして、自動車産業の進化の過程を読者のみなさまとともに考えていきたいと思います。 当時、デザインの大きな制約であった旧車のヘッドライト ▲ただいま編集中のリフレクターが錆びてしまったシビエ製のセミシールドビームをレストアする動画 こちらは[YouTube]BEARMAN'sチャンネルで8月下旬公開予定。 ※チャンネル登録お待ちしております。 [YouTube]BEARMAN's チャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g みなさまは旧車のヘッドライトについて、いかがお感じだろうか? 旧車のヘッドライトといえば、丸型や角型のシンプルな形状が多い。 これらが人間味のある顔に見えてカワイイと感じる方もいれば、機能そのものがデザインとなっており、メカメカしくカッコイイと感じる方も多いことではないだろうか? クルマの旧い新しいに関係なく、顔つきの印象を大きく左右するヘッドライトのデザインは、そのクルマのキャラクターを決定する、たいへん重要な部分ともいえる。 クルマのデザイナーにとっては、まさに力の入れどころである。 旧車の世界に話をうつせば、そもそもヘッドライトといえば当初は丸型のみであり、当時のクルマのデザインにとって大きな制約となっていた事実を、みなさまはご存じであっただろうか? 今回はこの旧車の顔「ヘッドライト」について、すこし掘り下げてみたいと思う。 限られた選択肢が、より強くオーナーの個性を光らせる! 先ほど述べたとおり、旧車のヘッドライトといえば当初は丸型のみであった。 これは当時のアメリカの法規が深く関わっている。 アメリカでは1940年に米国内で販売される新車へ「7インチ規格型シールドビーム」の装着が義務付けされたことが事の発端である。 シールドビームとは、レンズ・リフレクター・バルブ(発光フィラメント)が一体となったものに不活性ガスを注入し、その名の通り完全密閉(シールド)されたヘッドライトである。 長所は、当時としては高寿命かつ高輝度であり、密閉構造のため内部の劣化による曇りの心配が少ない。 また、全体がガラス製であるため、現代のクルマのヘッドライトのように樹脂製のレンズが劣化して曇るといったことは無縁だ。 採用されるクルマも消耗品としての交換を前提に、規格に沿って設計されているため、整備性も良く、比較的簡単に交換ができる。 短所は、レンズとリフレクターが一体化しているため、発光フィラメントが寿命を迎えた場合、シールドビーム一式で交換が必要な点である。 ハロゲンバルブが普及した現代から見ると、若干高価に感じる点でもある。 規格によって寸法その他が決められてしまっているため、当然、デザイン性に大きな制約がある。 これは当時、国土の広いアメリカの、どこのガソリンスタンドでも交換ができることを優先したためともいわれている。 ただ、このアメリカ国内の法規が、ヨーロッパや日本のクルマ作りに大きく影響した。 それはなぜか?理由は簡単だ。 アメリカはもとよりモータリゼーションの先進国であり、また、今も昔も世界最大の自動車消費国でもあるからだ。 ヨーロッパ車では、はやくも1960年代初頭には角型ヘッドライトが登場する。 アメリカに輸出をすることを念頭に設計・生産されたクルマは、同じ車種であっても本国仕様と北米仕様で顔つきが異なることが多い。 当時の自動車メーカーは、最大の消費地であるアメリカの法規を無視できず、規格ヘッドライトありきでクルマのフロントフェイスのデザインが決めていったという時代背景があるのだ。 この状況は1984年にアメリカ国内で法規が改訂され、バルブ交換型のヘッドライトが許可されるまで続く。 国産車の場合も、アメリカの法規に追従する形で、その影響を受けているといっても過言ではないだろう(日本の場合は、戦後、進駐軍によりシールドビームを装着した軍用車が大量に持ち込まれ、これらの消耗品が一部国産化され普及したという特別な背景も一部ある)。 特に国産車のヘッドライトは、丸形と角型のそれぞれ2灯と4灯、合わせて4種類のシールドビームしか無かった時期が長く続いた。 当時のクルマのオーナーだった方は、その頃の選択肢の無さを思い出すことであろう。 しかし、現代の旧車乗りにとっては、むしろこの部分がオーナー自身の個性を発揮するポイントとなっている。 今日では国産のシールドビームは数年前にすべて生産終了し、ハロゲンバルブ交換型のセミシールドビームが主流となっている。 このセミシールドビームは往年のレンズカットのあるガラス製のものから、カスタム志向のマルチリフレクター式、または、まるで最新の現行車のようなデザインのLED式のものまで存在する。 逆に旧車のオリジナリティを求め、現在入手困難となったシールドビームや、当時はハイパフォーマンスパーツであった、絶版のシビエやマーシャルのセミシールドビームを探し当て、自身の愛車に装着するオーナーも存在する。 今日現在、一般的に入手できるセミシールドビームはレンズが平面であるものがほとんどであるが、これらはレンズ面が丸みを帯びた凸形状であることが共通する。 ▲ 絶版のシビエ製セミシールドビーム(左)と、今日新品で入手できる小糸製セミシールドビーム(右)。レンズの丸みが異なる 当時物のノスタルジーを得ようとする者、今日のテクノロジーを旧車に反映しようとする者、クルマのフェイスデザインの制約でしかなかった規格ヘッドライトが、いまや旧車乗りの個性をアピールする場となっているのだ。 この記事の読者の方は旧車イベントを訪れた際には、ぜひクルマのヘッドライトを一台一台覗き込んでいただきたい。 とても細かい部分であるが、ここにオーナーのこだわりが垣間見えるからだ。 パーツ探しは意外と困難!?日本国内ならではの注意ポイント ▲試しに海外のサイトでヘッドライトAssyを検索してみた。画像はBMWのあるモデルのHELLA製新品であるが、左側通行用はまず見当たらない。だが諦めてはいけない。これらを加工してシールドビームを装着する強者(ツワモノ)も存在する 旧車ヘッドライトのパーツ選択に趣(おもむき)があることを述べたが、日本のオーナーには、注意をしなければいけないポイントがあることをお話しする。 それは日本国内の特別な事情だ。 クラシックミニをはじめとする英国車のオーナーは特に心配する必要はないことであろう。 といえば、分かる方もいるはずだ。 そう、日本は世界でも珍しい左側通行の国だ。 いったい何が問題なのかというと、左側通行用と右側通行用のヘッドライトはレンズカットの形状が異なり配光が異なる。 左側通行用のヘッドライトはロービームで点灯させると、カットオフラインと呼ばれる境界線を境に、対向車が眩しくならないように、かつ歩道側が先まで見通せるように、左上がりの配光となる。 これが右側通行用のヘッドライトでは正反対になるのだ。 当然、右側通行用のヘッドライトでは日本国内の車検に合格することは不可能だ。 特に困るのは、旧車でもヨーロッパ車のオーナーであろう。 先述の規格型ヘッドライトのクルマであれば特に困ることはないが、車種専用のヘッドライトであった場合、左側通行用は世界的に見ても希少、かつ入手困難なレアパーツとなる。 昨今はインターネットが普及し世界中からパーツを取り寄せることができる旨を前回の記事で述べたが、筆者の経験上、こればかりはかなり厳しい一例といえる。 もし中古部品で探し出せたとしても、必ずしも光軸を調整する部分などに異常がないとも言い切れない。 この部分も車検を通すための重要な部分だ。 良質なリプロダクション(再生産品)や社外品があればいいが、右側通行用であることがほとんどである。 ヘッドライトのみならず、こういった車検にかかわる部分は事故などのアクシデントに遭う前に、何らかの予備的手段を用意しておくことをおすすめしたい。 なお、筆者の場合、本命パーツは車体に装着せず、いざという時のために常に保管している。 日の目を見ない保有パーツばかり増えていくのだが、これは悲しい旧車オーナーの性ともいえる。 ■温故知新。個々のパーツを通し、自動車産業の進化の歴史を考える クルマを横から見た場合のヘッドライトレンズのデザインや形状にも、さまざまな「趣」がある。どれも決して間違っていない。あなたもぜひこの部分にこだわってみませんか? 今回この記事を執筆するにあたって、私クマダにとってクルマの先輩ともいえる方々のうち何人かに、当時の状況を伺ってみた。 そのなかでも特に心象に残ったのが、当時シールドビームの丸いデザインが古臭くて嫌いだったという話だ。 この方は現在70歳代半ばで、まさに1970年代に20歳代を過ごした「旧車リアル世代」だ。 この方はどちらかというと当時から輸入車を多く乗り継いでいるが、1980年代になると仲間内はこぞってボッシュ製のハロゲンヘッドランプユニットに交換したという。 これらのソリッドなデザインの平面レンズに時代の最先端を感じたということだ。 先ほど述べた、当時物のシールドビームにレンズ面の丸さを求める趣とはまるで正反対の意見だ。 確かに当時はもとより、現代に至るまで自動車メーカーは、商品性向上のためにマルチリフレクターや、キセノンやLEDヘッドライトなどなど、われ先にと自社の販売するクルマに新しい技術を導入したものだ。 しかし、振り返ってみればそんなクルマのヘッドライトにサプライヤー(部品供給元)のロゴが入らなくなったのはいつ頃からであろうと筆者は考えた。 少なくともヘッドライトレンズがガラス製であった時代には、サプライヤーのロゴが煌々と輝いていたように感じる。 すっきりとしたデザインを優先したためと思うが、これはこれで寂しく感じるものである。 ヘッドライトはさまざまな時代背景を持ちながらも、常にクルマの顔であったパーツである。 旧車オーナーであれば、ぜひこの部分にこだわりを持ってみてはいかがだろうか? [YouTube]BEARMAN's チャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g [画像/AdobeStock ライター・撮影/クマダトシロー]
旧車趣味は、ハード面やソフト面を問わず「ハードルが高い」というイメージを持たれている方が多いはず。 ・・・と同時に、強い憧れを抱いている方も少なくないと想像します。 今回、ポンコツ愛好家というハードウェア中心になりそうな筆者が、ソフトウェア的な観点(例えば、対人間)など、多くの方たちに旧車適性があることをお伝えし、前述のような方たちの背中を少しでも押すきっかけとなれば幸いです。 ポンコツ愛好家からみた、最先端の旧車ライフとは? ▲旧車関係では空冷のフォルクスワーゲンについて、イベントに参加した際の動画を配信しています。「■旧車イベント フラバグ・ファイナルに行ってきた」 こんにちは!はじめまして。 私『ポンコツ修理系YouTubeチャンネル・ベアマンチャンネルのクマダトシロー』と申します。 主に、ヤフオクやメルカリにて一ケタ万円で取引されるようなポンコツ(?)車を中心に、ちょっとした修理やカスタムをメインにした動画を配信しております。 旧車と呼ぶ・・・までには至らない、ネオクラシックな年代の車両が動画のネタとなっておりますが、筆者であるクマダはもともと旧いクルマやバイクが大好物なのです。 例えば私自身が20年近く乗っている愛車は空冷のフォルクスワーゲンです。 さまざまなご縁があり、こちらで記事を執筆させていただくことになりましたが、今回のテーマは「あなたの旧車ライフ適性」についてです。 さっそくですが「旧車」と聞いて皆さまは、どのようなイメージを持たれますか? 当然この記事をご覧になっている皆さまは、少なからず旧車のある生活に興味をお持ちであることと思います。 旧車といえば、古い機械ものであるゆえの不具合や故障など、ネガティブなイメージがあるでしょう。 また、維持管理が難しそうな側面から、なかなか手を出しづらいといった方も多いことかと思います。 確かに、旧車を現代の車両とまったく同じように維持管理できるかといえば、それはかなり厳しいといえることでしょう。 では、まるで専門家のような知識や技術を持ち合わせたうえで、血と汗と涙を流すような努力が必要かといえば、まったくそんな必要はありません。 筆者(クマダ)は、ここ十数年で非常に旧車の維持管理がしやすくなったと感じております。 その要因は「インターネットおよび、SNSの普及」です。 世間では「空前の旧車ブーム」といわれておりますが、事実、以前に比べて確実に旧車に関する情報量が圧倒的に増えました。 筆者が学生であった20数年前は、旧車の情報といえば、数少ない専門誌が頼みの綱でした。 古本屋で当時物の雑誌や専門誌のバックナンバーを棚からほじくり出したあげく、ページに穴があくほど読みこんだりしたものです。 しかし現在ではスマホ検索一発で欲しい情報を得ることが可能です。 かつては、当時物の部品をそろえたいと考えたとき、自動車専門誌の発売日に「売りたし買いたし欄」に目を光らせる必要がありました。 ライバルに先を越されぬように、いち早くオーナーに連絡する必要があったのです。 また、全国各地で日も昇らぬ時間から催される、部品交換会といったフリーマーケットに懐中電灯を持って参加したりしたものですが、現代では自宅から一歩も出なくとも「ヤフオク!」や「メルカリ」でことが足ります。 極めつけは、翻訳ソフトの精度や利便性が向上したことで、海外サイトからも情報を得ることもたやすくなり、その気になれば、海外のオークションサイトでのレアパーツの発掘も可能になってきました。 昨今では、ショップ主催のイベントやミーティングのみならず、SNSを介しての同車種の仲間同志での全国レベルの情報交換も活発化しています。 各メーカーも旧車用のドレスアップパーツや、旧パターン&旧サイズのラジアルタイヤの復刻、旧車用のアルミホイールの販売されるようになってきました。 選ぶ側としても、以前では想像がつかないほどに選択肢が増え、旧車界隈がいままでになく盛り上がっているように感じています。 老若男女関係なし!意外と幅が広い「旧車に対する適性」とは? ▲1990年代の車両も今やネオクラシックカーとして旧車の一ジャンルを構成している。「AMG 190E 3.2(W201)」 インターネットの普及(というより定着)が、旧車趣味のハードルを一気に引き下げてくれたのは紛れもない事実です。 「旧車」という言葉自体も定義づけがあいまいなこともあり、非常に幅広い年代の車両を指す言葉になってきています。 ひとつ例を挙げると、以前は旧車と呼ぶには時期尚早とも言われた1980~1990年代のモデルも、昨今は「ネオクラシック」と呼ばれ、立派な旧車のいちジャンルとして定着しつつあります。 よくよく考えてみると、現時点で20代前半の方々にとって、バブル時代の名残が感じられるこの年代の車両は、いわば生まれる前のクルマです。 新鮮このうえないことでしょう。 逆に、アラフォー世代の筆者からすれば、運転免許を取りたての頃にお世話になった、懐かしいクルマばかりです。 このように、旧車といえどもさまざまな種類やジャンルがあり、そのクルマ一台一台への感じ方や趣の持ち方は各個人で異なります。 「旧車」という言葉が、よくいえば「幅広く」、繰り返しになりますが「あいまい」でもあります。 専門知識を持ったうえで、ピンポイントで特定の車種やジャンルのみを取扱うプロショップが増えたように思います。 その結果、専門店が扱う特定のモデルの維持管理において、的確なアドバイスやサポートを受けることができるようになってきました。 これは初心者にとっては、とても心強いことと思います。 さらにインターネットで検索すれば、このような専門店を見つけだすことができるようになりました。 旧車が好きというだけで、どなたでも旧車ライフにのめりこめる環境が整いつつあるともいえます。 もはや旧車は一部のマニアのものではなくなりつつあります。 肩ひじ張らなくとも、乗ってみたい気持ちひとつあれば、誰でもオーナーになれる適性を持っているともいえるのです! 実は旧車の維持に向いていない方、特有の「3つの特徴」とは? ▲クラシックミニは旧車入門としては最適な車種の一つである。女性オーナーも多い 乗ってみたい気持ちひとつあれば、誰でもオーナーになれる環境が整いつつある旧車界隈。 筆者の20年来の経験上、クルマの知識があるとかないとかにかかわらず、こんな方は旧車維持に向いていないかもしれません。 ここでは筆者の偏った主観で第3位までを発表させていただきます。 第3位:クルマに対して現代車の利便性を求める方 旧車とは基本的に不便である。 これは紛れもない事実です。 現代車では当たり前のように装備される機能であっても、旧車には備わらない機能が多々あります。 一例をあげれば、リモコンドアロック。 バブル期真っ盛りに製造されたネオクラシックカーは別として、70年代以前のクルマにはリモコンドアロックが装備されていることはまず考えられません。 それがフェラーリやポルシェなど高級車であってもです。 旧車には近年では死語となりつつある「フル装備(パワステ・エアコン・パワーウインドウ)」が備わらない車種も数多くあります。 なかにはクーラーなど後付けできる車種もありますが、それなりに費用がかかります。 どうしても快適装備が欲しい!という方は、先述の1980年代以降のネオクラシックカーを選択することをおすすめいたします。 第2位:他人の意見が極端に気になってしまう方 旧車ライフを満喫し、イベントやミーティングなど仲間で集うようになってくると、当然愛車の情報交換や意見を交わす機会が増えていきます。 さまざまな意見や考え方があると思いますが、なかには○○は××が王道だ!といった意見や、○○は絶対に××であるべきだ!・・・などなど。 具体的な内容はこの場では控えますが、熱意をもった威勢のいいオーナーのなかには、信念が強すぎる限定された意見や、場合によっては排他的な意見を持つ方もいらっしゃいます。 「いってくれるうちが華」という考え方もありますが、あくまでも論客として接しましょう。 このような他人の根拠のない意見を、真剣に協調性をもって聞いていると、自分で気に入って購入したクルマに対して、モヤモヤとした不思議な感情を抱いてしまうかもしれません。 周囲の価値観に影響されて「一生乗り続けます!」なんて言わずに、自分のペースで維持管理していけばよいと思います。 現に筆者の身の回りにも、インスタで一生もの!なんて熱意をもって活動しつつも1年でお乗り換え!なんて方がおりました。 旧車趣味は十人十色です。(注:当然メカニックの維持管理のアドバイスとは異なります) 第1位:クルマに対してせっかちになってしまう方 旧車を所有するとあらゆる場面で、都度ちょっとした時間を消費します。 例えば、朝一のエンジン始動と暖機運転。 キャブレター車の場合、冬場の冷え込んだ朝には、儀式とまではいきませんが、エンジン始動には若干のコツが必要です。 さらに、エンジン始動後も、暖まって走り出せるようになるまでに少し時間が必要です。 ここでせっかちに暖機運転をせずに無理やり走りだしてしまうと、エンジン他、各部の寿命を縮めてしまう原因になるといっても過言ではありません。 インジェクションの車両であれば、すぐに走り出すことが可能ですが、長い目でみれば触媒にダメージをあたえる原因ともなるため、やはり暖機運転は必要だと思います。 他にも、このような例があります。比較的現代車に近い感覚で乗れるネオクラシックカーのパワーウィンドウスイッチを想像してみてください。 どんなに新しくとも新車で納車されてから20年~30年が経過しています。 プラスチック部品は経年による劣化が進んでおり、少しレスポンスが悪いからとせっかちになって乱暴に操作すれば、すぐに壊れてしまうことでしょう。 部品供給に比較的余裕がある車種であれば、交換すれば事なきを得ますが、いつまで新品の部品が購入できるかは、まったくもって不明です。 そして、すでに絶版部品となっている場合もあります。 これがオートエアコンのスイッチパネルだったりすると、たいへんな苦労をする場合があります。 スイッチ操作一つでも、ワンクッション置いた操作が旧い部品ひとつひとつの寿命を延ばします。 旧車は予期せぬ故障や不具合が発生することがありますが、普段のメンテナンスが重要であり、クルマに乗っていたい一心でメンテナンスをおろそかにしてはいけません。 普段乗りをするクルマであればなおさらです。 やはりメンテナンスでも現代車より時間を消費しますが、ちょっとした故障や不具合を後回しにすると、いつまでたっても完調にならないばかりか、致命的な故障の原因となり、大きな出費になる場合もあります。 「気持ちよく旧車に乗るためには、せっかちになってはいけない」。 クルマ、とくに旧車を自分に合わせるといろいろうまく行きません。 自分をクルマに合わせる努力が必要です。 あくまでもクルマが優先。 思いやりをもって旧車に接することが重要です。 まとめ:手間の部分を旧車特有の趣としてとらえ、楽しめるようになれば・・・ ▲軽自動車だって立派な旧車趣味だ。チューニングパーツは現代でも存在する。「スズキ カプチーノ」 ここまで文中で述べてきましたが、インターネットやSNSの普及により、旧車を維持するオーナーにとって必要な情報量が増え、もはや旧車は一部のマニアのものではなくなりました。 あなたが旧車に興味があり、所有したいという気持ちただ一つがあれば、旧車ライフを踏み出すことは決してむずかしいことではない時代になってきました。 旧車専門のプロショップの門をたたけば、維持管理において、的確なアドバイスやサポートを受けることができることでしょう。 確かに旧車は現代のクルマと異なり、所有維持するにあたってその都度手間がかかりますが、この手間の部分を旧車特有の趣としてとらえ、楽しめるようになれば、あなたは立派な旧車オーナーです。 クルマにまったく興味がない人から見れば「旧車=ポンコツ」に見えるかもしれませんが、時代は変わりつつあります。 「旧車=皆の憧れのクルマ」となるように、私たちで旧車ライフをさらに盛り上げていきませんか?皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。 [YouTube]BEARMAN's チャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g [ライター・撮影/クマダトシロー]
はじめまして。YouTube「BEARMAN’s チャンネル(ベアマンチャンネル)」のクマダトシローです。 ■名前:クマダトシロー ■職業/肩書き ・ポンコツ修理系ユーチューバー・フリーランスの軽貨物ドライバー・その他いろいろ ■現在の愛車 平成14年式 スズキ アルト ラパン(HE21S) 1999年式 VW Sedan(通称:メキシコ製ビートル) ■ご自身の性格をひと言で表現すると? ・気分屋で横着かつ、めんどくさがり屋 ■好きなクルマは? ・国産・輸入車問わず、生まれてきた役割がはっきりしているクルマ・コンパクトカーや商用車など、熟考の後に余計な機能が省かれたクルマ・整備性の良いクルマ(具体的な車種はあえて述べません。) ■憧れのクルマは? ・ポルシェ911(930) ■旧車王ヒストリアではどんな記事を書いてみたいですか? まずは記事を書くにあたって、令和の現代において「旧車とは何ぞや?」と考えてみました。私クマダはちょうど40歳。成人してからすでに20年が経過しました。 振り返れば、クマダをはじめとするアラフォー世代においては「旧車=最低でも昭和のクルマ」的なイメージがありますが、平成初期のクルマは既に30年落ちです。20代前半の方々にとっては、生まれる以前のクルマです。 よ~くよく考えれば、私クマダがユーチューブで公開しているポンコツ軽自動車たちも、まもなくそんな年式に突入してしまうクルマたちです。そう、身近なポンコツ車達も立派な旧車ではないですか! ところで、クマダはそんなクルマたちをポンコツ呼ばわりしていますが、自分自身にとっては青春の20代をともに過ごした存在です。決して悪くいっている訳ではありません。 若い世代の方からみれば現行の新型車にない、新鮮に感じる部分が多々あるかと思います。低予算で購入しても、しっかり手を入れればまだまだしっかり乗れるクルマたちです。 そんなポンコツ車たちを維持するための内容がメインとなり、少し手を汚しがちな内容になると思いますが、まずは肩ひじを張らない身近な「ちょっと古いクルマとの付き合い方」をゆる~く紹介できればと思います。 ■その他なんでも・・・ 乱筆乱文お許しください ■HP/SNS/YouTube他 ・YouTube:BEARMAN’s チャンネル(ベアマンチャンネル)https://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g/ ・Twitter:https://twitter.com/BEARMANs_Ch [ライター・撮影/クマダトシロー]