ブロンコは、1966年に登場したフォードのSUVモデルです。約30年にわたりジープをはじめとするSUVのライバルとして存在感を発揮しますが、1996年に一度生産が終了します。しかし、2017年の北米国際オートショーにて、2021年にブロンコが復活することがアナウンスされ、約四半世紀ぶりにブロンコの名を冠したSUVが登場しました。
ブロンコとは「北米に棲む野生馬」を意味し、道を選ばずに荒野を走り回れるコンパクトな4WDとして、今も昔も高い人気を誇ります。
初代(アーリーブロンコ)1966年~1977年
1966年から1977年まで製造・販売された初代ブロンコは、「アーリーブロンコ」の愛称で親しまれ、第1世代のブロンコのなかで最も人気の高いモデルといわれています。
可愛らしいフロントマスクを持つアーリーブロンコですが、パワーステアリングやオートマチックトランスミッションの設定がないなど、当初は見た目とは反するスパルタンな性格を持つモデルでした。ちなみに、パワーステアリングとオートマチックトランスミッションは1973年に追加されます。
標準で搭載されたエンジンは、2.8Lの直列6気筒エンジンで、最高出力105psを発揮しました。1966年の3月には200psを誇る4.7LのV型8気筒エンジンもオプション設定されますが、こちらに搭載されるミッションも3速のマニュアルミッションでした。
全長3,863mm、全幅1,755mm、全高1,809mmと、アメリカの車にしてはコンパクトに設計されています。ボディタイプは3つで、ハードトップを備えた2ドアワゴン、ピックアップ、フロントガラスも折り畳めるロードスターというラインナップです。
2代目(1978年~1979年)
2代目からは、アーリーの名が外されました。フォードのピックアップトラック「Fシリーズ」をベースにしたことにより、ボディが初代よりも大きくなります。エンジンも大型化が図られ、5.8L、6.5Lという2種類のV型8気筒が設定されました。
販売期間は約2年間と短かったものの、ローマ教皇のヨハネ・パウロ2世がアメリカ訪問中にブロンコベースのパパモビルに乗ったという逸話が残るほどの栄誉あるモデルです。
3代目(1980年~1986年)
フロントサスペンションにフォードが独自開発したTTB(ツイン・トラクション・ビーム)が採用され、快適でしなやかな乗り心地を実現したモデルです。
先代よりも燃費が考慮された4.9Lの直列6気筒エンジンが搭載され、1984年に5.8LのV型8気筒エンジンが追加されます。1987年には同じ排気量のフォードスモールブロック、いわゆるウィンザー V8が設定されました。
4代目(1987年~1991年)
フォード全てのラインアップでデザイン変更が図られ、ブロンコも全体に丸みを帯びたデザインへと進化。また、この世代から全てのブロンコが電子制御のフューエル・インジェクションになり、後輪のABSも標準装備されました。
5代目(1992年~1996年)
5代目は第1世代の最後のブロンコです。エクステリアにおいて細かなアップデートが行われたほか、運転席エアバッグを装備するなど、安全性の向上も図られました。
1990年代に入ると、ブロンコのような2ドアモデルよりも4ドアモデルが好まれるようになり、1996年6月に約30年の歴史に幕を下ろします。
6代目(2021年~)
約四半世紀の時を経て、ブロンコは復活を果たします。歴代モデルと比較すると車体は小さいですが、ラダーフレームをもつ本格的なクロスカントリー車という位置づけは堅持されています。よりコンパクトなボディの「ブロンコ・スポーツ」もラインナップされており、選択の幅が広がったことも大きな特徴でしょう。さらにブロンコ初の4ドアもラインナップされました。