バブル時代のデートカーとして有名なプレリュードは、1974年に生産終了した「145」以来の2ドアクーペとして1978年に登場します。
初代は地味なデザインということもあり、国内での販売が振るいませんでした。しかし、海外での評価は非常に高く、約4年の総生産台数は31万台に達しました。
特徴的なリトラクタブル・ヘッドライトをもつ2代目プレリュードは、1982年に登場します。そして、ここからプレリュードの大躍進が始まります。初代よりもボンネット高が10cmほど低くされたデザインは自動車業界に衝撃を与え、「デートカー」という新たなカテゴリーの先駆け的な存在となりました。
デザイン性ばかりが取り沙汰される2代目プレリュードですが、1985年6月にはDOHC 16バルブと電子制御燃料噴射式(PGM-FI)で160㎰を誇るB20A型エンジン搭載の「2.0Si」が追加されます。
1987年に5年ぶり2度目のフルモデルチェンジを実施し、3代目となります。キープコンセプトながら、ボンネットフードはさらに低くなり、ミドシップレイアウトのフェラーリよりも低いといわれました。量販車として世界初となる4WS(4輪操舵システム)を採用したことも大きなトピックです。
S13シルビアの登場で「デートカー」の座を譲ることになりますが、2ドアクーペとしては驚異的な4年間で約64万台という生産台数を記録します。
スポーツ性能を高めた4代目プレリュードは、1991年に登場。リトラクタブル・ヘッドライトは固定式に変更され、先代に引き続き設定された4WSは、操舵角速度制御式の「ハイパー4WS」に進化します。
進化した点が多いなかでも、一番のトピックは200psを誇る2.2L 直列4気筒VTEC エンジンの採用でしょう。エンジン性能を含めポテンシャルは非常に高く、当時の「N1耐久シリーズ(現在のスーパー耐久シリーズ)」では、総合で表彰台を獲得するほどの活躍をみせました。
なお、型式及びグレードは少々わかりづらく、BA8型がSi、BA9型がSi 4WS、BB1型がSi VTEC 4WS、BB4型がSi VTECでした。
最後のプレリュードである5代目は1996年に登場します。キープコンセプトではあるものの、スポーツグレードである「SiR Sスペック」と「タイプS」には4WSの設定がないなど、先代からの変化がみられました。
他にもさまざまな改良が行われましたが、2代目や3代目のような人気を取り戻すことはできず、2001年4月をもって約23年にわたる歴史に幕を下ろしました。