ランサーは、1973年から2012年にかけて製造・販売されていたミドルクラスを担う乗用車です。世界ラリー選手権のベース車としても有名で、ホモロゲーションモデルとしてランサーエボリューションⅠ〜Ⅸが存在します。
初代(A70・A140系)1973年〜1979年
初代のランサーは、1973年に登場します。全長4mを切るボデイサイズの2ドアクーペ及び4ドアセダンに、1.2L 直列4気筒OHV、もしくは1.4L及び1.6Lの直列4気筒SOHCを搭載し、後輪を駆動させます。サスペンションは、フロントがストラット、リアはリーフスプリングのリジッドというシンプルな形式を採用していました。
基本的にはおとなしいグレードが主体のモデルですが、半年後に追加された1600GSRは別物です。2ドアクーペのボディに2基のキャブレターを搭載し、110psを発生させます。さらに当時としては珍しい5MTを搭載していました。
海外ラリーにおける活躍も有名で、発売年である1973年にはオーストラリアのサザンクロスラリーでデビューウィンを飾り、同ラリーで1976年までに4連覇を成し遂げます。
2代目(A170系)1979年〜1987年
EXのサブネームを冠して1979年に登場しました。搭載されるエンジンは、1.2L、1.4L、1.6L、1.8LのSOHCと1.8LのSOHCターボで、ターボモデルはランタボの愛称で親しまれます。
ボディサイズはひと回り大きくなり、特に全長は4,320mmと30cm程度大きくなりました。サスペンション形式は、フロントこそ先代モデルと同じストラットですが、リアはリーフリジッドから4リンクコイル式リジッドにグレードアップしています。
1983年のマイナーチェンジでは、フロントグリルや電子制御燃料噴射が一新され、さらに1800GSRターボ及び1800GTターボに、空冷式のインタークーラーが装着されます。そして、135psから160psにパワーアップしました。
一時参戦を見合わせていた世界ラリー選手権に再び参戦しますが、フルタイム4WDを搭載する競合の革新的マシンの登場で、目立った成績を残すことができませんでした。
3代目(C60・C70系)1988年〜1991年
3代目は、ランサーEXとランサーフィオーレを統合したモデルとして1988年に登場します。ミラージュの兄弟車であり、ボディタイプは5ドアハッチバックのみです。ちなみに、この世代で車名がランサーに戻りました。
キャッチコピーは「アクティブセダン」で、トップグレードのGSRには、4G61型 1,600cc 直列4気筒ターボエンジンとビスカスカップリング付きセンターデフ方式によるフルタイム4WDが搭載されました。
ボディサイズは、先代よりも全長が若干小さくなりますが、全幅は5ナンバーサイズ近くまで広げられます。サスペンションは、FF駆動に変更されたこともあり、フロントがストラット、リアがトーションビーム式に変わりました。
4代目(CB0・CD0系)1991年〜1995年
ランサーエボリューションのベース車である4代目は、1991年にリリースされました。先代と同様にミラージュとコンポーネンツを共有するものの、兄弟車ではなくなります。
主なグレードは、1.5Lの直列4気筒エンジンを搭載するS、MX、MXサルーンや1.8Lの直列4気筒ターボエンジンを搭載するGSR、RS。そのほか、1.6LのMIVECエンジンを搭載するMRや、世界最小の1.6LのV6エンジンを搭載するいわゆるランサー6などが存在しました。
ボディサイズは、先代とほぼ同じ4,270mmですが、一方で全幅は5ナンバーサイズいっぱいまで広げられます。サスペンションは、フロントがオーソドックスなストラットなのに対して、リアが高級車などに用いられるマルチリンクが採用されました。
5代目(CK0・CM0系)1995年〜2000年
5代目は、先代と同じくランサーエボリューションとして、1995年に登場します。
主なグレードは、1.5Lの直列4気筒エンジンを搭載するMX、MXエクストラ、MXサルーン、MXツーリン、・エクシード、1.8Lの直列4気筒ターボエンジンを搭載するGSRで、1.6LのMIVECエンジンを搭載するMRと世界最小のV6エンジンを搭載するいわゆるランサー6も引き続きラインナップされました。ただし、ランサー6のエンジンは、1.6LのV型6気筒DOHCから1.8LのV型6気筒SOHCに変更されます。
ボディサイズは、全長は4,290mmと先代よりも2cm大きくなりましたが、全幅は変わりません。サスペンションもフロント・ストラット、リア・マルチリンクが引き続き採用されます。
6代目(CS0系)2000年〜2010年
最後のランサーである6代目は、2000年に登場します。ミラージュセダンと統合が図られ、車名もランサーセディアに変更されました。また、2001年2月から、このモデルがランサーエボリューションのベース車輌になります。
主なグレードは、1.5Lの直列4気筒エンジンを搭載するMXツーリング、MX-E、1.8L・GDI直噴の直列4気筒エンジンを搭載するSE-G、1.8L・GDI直噴の直列4気筒ターボエンジンを搭載するラリーアートです。
2003年のマイナーチェンジで車名がランサーに戻り、富士山型のフロントグリルいわゆるブーレイ顔が採用されました。しかし、2005年のマイナーチェンジでブーレイ顔は廃止されます。
ボディサイズは、4,535mmと2Lセダン並みに大型化され、サスペンションには引き続き、フロント・ストラット、リア・マルチリンクが採用されました。
GDI直噴ターボなど、現在につがるような技術を駆使して製造されたモデルではありましたが、2012年に販売台数減少やセダン市場の不振などが理由で生産終了しました。