911は歴史のあるモデルで、1963年から現在までポルシェのフラッグシップモデルとして君臨し続けています。ポルシェ初の市販車である「356」の後継車として誕生し、低いシルエットや丸目のライトなど各所の特徴を受け継いでいます。長い時間をかけて、さまざまな部分で刷新が図られ、唯一無二のスポーツカーへと進化しました。
世代によって「空冷ポルシェ」と「水冷ポルシェ」の2つに分けられます。なかでも人気が高いのは、空冷ポルシェと呼ばれる空冷エンジンを搭載したモデルです。現在もなお、中古車市場において高値で取り引きされています。
911の空冷モデルは4代に分けられ、1964年に登場した初代が通称ナロー、1974年に登場した2代目が930型、1989年に登場した3代目が964型、そして1993年に登場した993型は、「空冷ポルシェ」の最終型です。最終型は1998年まで販売されたため、911の空冷モデルは、実に30年以上にわたって販売されていたことになります。
993型の後に、1997年に登場した996型を皮切りに、エンジンが空冷から水冷へと変更されます。いわゆる「水冷ポルシェ」のはじまりです。環境問題への対処を理由とした変更でしたが、構造がシンプルでメンテナンスの手間がかからないため、ユーザーの利便性向上の面でも大きなメリットがありました。
996型に次いで2004年にリリースされたのが997型、2011年には991型に移行し、2018年からは992型が製造されています。エンジンの大改革から25年以上にもわたって、多くのファンに愛されているモデルです。
空冷から水冷への変更があったものの、エンジンは初代から一貫して伝統の水平対向6気筒です。初代の2.0Lから始まり、最終型の993型では3.6Lまで拡大されました。性能としては現行型で採用されている水冷の方が高いですが、空冷ポルシェには独特のフィーリングがあります。「癖になるエンジン」が空冷であり、現在でも多くのファンに支持されています。
911で気になるのが、996型と997型のインターミディエイトシャフトの破損、いわゆる「インタミ問題」でしょう。インターミディエイトシャフトとは、クランクシャフトの下部に位置するエンジン内部の部品です。このインターミディエイトシャフトを支えるベアリングの強度が弱く、エンジンの故障につながる事象インタミ問題です。
該当の年式のモデルに関しては、ポルシェが無償点検と修理を実施しています。ちなみに996型と997型前期までのトラブルで、997型後期からはインターミディエイトシャフトが使われていないため、故障が起こる心配はありません。