ミニは、1959年から2000までの41年間にわたって生産されたイギリスの超ロングセラー小型大衆車です。ここでは主に、1989年にローバー・カーズと改称されてからの販売モデルについて解説します。
当時のミニはフロントのディスクブレーキ採用とともにホイールが12インチ化されており、開発コードE-99Xと呼ばれるいわゆる1000が「メイフェア」「スプライト」「キャンバストップ」といったラインナップで存在しました。
1990年には全グレードともに1,300ccでの生産が開始され、同時に往年のファンから切望されていた「ミニクーパー」が、初代クーパー誕生から実に20年ぶりの復活を遂げることに。もちろん日本ユーザーの声もローバー社に届き、国内では1991年から発売されました。
さらにはミニのなかでも伝説の異端児とされる限定車、「ERAターボ」モデルが登場。歴代ミニのなかで唯一過給機が採用されたモデルであり、SU製HIF44キャブレターとギャレット製T3ターボチャージャーを搭載した同モデルは希少価値大です。
スパルタンなワイドフェンダーをまとった外装は、まさにミニの底力を見せつけてくれたかのような、従来のルックスとは一線をかすスタイルに仕上がっています。
再誕したクーパー、ERAともに、80年代に最盛期を迎えた「ボーイズレーサー」の流れを汲んだホットモデルとして、クルマ好きを大いに湧き上がらせたのはいうまでもないでしょう。
1990〜1991年に生産・販売されたミニは最後のキャブレター車であり、今でも「キャブ車のミニ」にこだわるマニアから多くの支持を得ています。
1992年以降は全グレードがインジェクション化します。この時点ではシリンダーごとではなく、シングルポイントのインジェクターの採用でした。1994年には、現在のミニ誕生の発端ともなるBMW社による買収があったものの、この時点では「クラシックミニ」が継続して販売されました。
以前からも段階的に安全・快適装備の向上を図っていたミニですが、1996年モデルではオーディオやクーラーなどの快適装備が標準化。水温と連動する制御装置が付いたことにより、オーバーヒートの激減に成功しました。
1997年以降はエアバックが標準装備に。その他にもシート形状の変更、メッキメーターのベゼル装飾、アルミホイールの全グレードに標準化など、クラシカルでありながら現代的なクルマとして完成度を高めました。
日本国内市場においても、1997年4月からの消費税率の引き上げ(5%)、日本で初めて導入された自社の残価設定型クレジットなどの後押しがあり、驚異的な販売台数を記録しました。
また同年、イギリス本国仕様のエンジンはマルチポイントインジェクションに進化し、いわゆる「ラストミニ」と呼ばれる世代がリリース開始したものの、日本への正規輸入は見送られたため並行輸入車のみの流通となっています。
1998年には、13インチのクーパーやアイコニックな存在として有名な「ポール・スミス」コラボモデルなどを発売。1999年に40周年を迎えたクラシックミニの歴史は、その翌年2000年、ローバーブランドの分割により、惜しまれながらも幕を閉じることとなりました。