カリーナは、1970年から2001年までの30年近くもの間、製造・販売されていたセダンです。「足のいいやつ」のキャッチコピーとともに、カローラとコロナの中間モデルとして登場しました。セリカと姉妹車種の関係にあり、シャシーやエンジンを共用しています。
初代(A1#/3#型)では、2ドアセダンと4ドアセダンがラインナップされました。ボディサイズはコロナとほぼ同じで、丸型4灯式ヘッドランプの内外を分けたフロントグリルと、縦長のテールランプが独自の魅力を放っています。
発売当初は、1.4Lエンジンと1.6Lエンジンがラインナップされました。1.4LはT型 直列4気筒 OHV シングルキャブのみ、1.6Lは2T型 直列4気筒 OHV シングルキャブとダブルキャブの2T-B型の2種類。後のマイナーチェンジを経て、1.8Lエンジンと2.0Lエンジンが追加されました。
サスペンションにはセリカと同じく、フロントにマクファーソンストラット式が、リアに4リンク・コイル式を採用。トランスミッションには、4速・5速MTと2速・3速トルコン式ATが設定されました。
1977年のフルモデルチェンジによって2代目(A4#型)へと進化し、キープコンセプトながらも先代よりも直線的でスタイリッシュなデザインに変更されます。ボディバリエーションはそのままでしたが、サイズは一回り大きくなりました。
リリース後、昭和53年排ガス規制に適合させるためにエンジンの変更が相次ぎます。1.8Lが3T-U型から13T-U型に変わったことを筆頭に、1.6Lの2T-GEU型も適合となり、2.0Lは18R-U型が21R-U型に、18R-GU型もEFI仕様の18R-GEU型に変わりました。
ちなみに、1.8Lに関しては、途中でEFI仕様の3T-EU型も追加されています。排ガス規制への適合が目的ではありましたが、軒並み最高出力が向上し、車としての性能がパワーアップするきっかけにもなりました。
1981年に2度目のフルモデルチェンジが実施され、3代目(A6#型)に世代交代します。それまでセリカとシャシーを共用していたカリーナでしたが、この世代からコロナと共用するようになりました。
あわせてボディバリエーションが変わり、セダンは4ドアのみ、2ドアハードトップがなくなった代わりに3ドアハッチバックが追加されたほか、1982年にはステーションワゴンの「サーフ」が新登場。
また、カリーナ初のターボ車やディーゼル車がラインナップされたことも注目のトピックです。発売当初は1.5L 3A-U型と1.8L 1S-U型(いずれも直列4気筒 SOHC シングルキャブ)、3T-EU型(OHV EFI)が設定されていましたが、1982年1月にディーゼルエンジンの1C型が追加されました。同年10月には、1.8Lに3T-GTEU型のDOHCターボエンジンを搭載したGT-T・GT-TRが登場します。
レースでの功績も目覚ましく、1982年のパリ・ダカールラリーでは総合34位で完走し、市販車無改造クラス・2輪駆動クラス・バギークラス・マラソンクラスの4部門を制覇しました。
1984年には4代目(T15#/16#型)が発売されます。FF版のコロナとプラットフォームを共用した、カリーナ初の前輪駆動モデルで、5代目の登場までは3代目と併売されていました。先代のデザインを受け継ぎつつも、ヘッドランプは角型4灯式から角型2灯式に変更。ボディサイズはわずかに大きくなり、居住性が高まりました。
エンジンに関しては、1.8L 電子制御セントラルインジェクション仕様の1S-iLU型が搭載されたほか、ディーゼルの2.0L 2C-L型もラインナップ。加えて、1.5L 3A-LU型と1.6L 4A-ELU型が採用されました。
1988年に実施されたフルモデルチェンジによって、5代目(T17#型)が登場します。それまでの角張ったデザインから一新され、丸みを帯びたボディラインに変化。また、3代目のFRと4代目のFFが併売されていましたが、5代目ではFFに一本化されたほか、フルタイム4WDも追加されました。
エンジンは、1.5L 5A-F型、1.6L インジェクション仕様の4A-FE型と4A-GE型、1.8L 4S-Fi型を採用。ガソリン車は全てDOHC化されました。ディーゼルに関しては先代と同じ2.0Lの2C-L型を搭載しています。
1992年、5度目のフルモデルチェンジが実施され、カリーナは6代目(T19#型)へと進化します。先代よりもボディサイズが拡大して居住性が向上したほか、基本的なスタイリングはそのままにボディラインがより曲線的に変化しました。
ディーゼルのほかにハイメカツインカムのエンジンがラインナップされますが、先代まで用意されていたスポーツツインカムと呼ばれた4A-GE型はカタログ落ちしてしまいます。スポーツツインカム搭載のGT系が廃止されてしまい、コロナとの差別化が図れなくなったために販売が低迷しました。
1996年には最後のモデルである7代目(T21#型)がリリースされました。基本的なスタイリングはそのままに、衝突安全ボディ「GOA」を採用。加えて、SRSエアバッグシステムとABSが全車に標準装備され、安全性が大幅に向上しました。
さらに先代で姿を消したスポーツツインカムを搭載したGTが復活。スプリンター・トレノと共通のトランスミッションが組み合わされ、優れた走行性能を発揮しましたが、2001年に惜しまれながら31年の歴史に終止符を打ちました。