クレスタは、1980年から2001年までトヨタのビスタ系列で販売されていた中型高級乗用車です。チェイサー、マークⅡとともに「マークⅡ3兄弟」と呼ばれて人気を博しました。
初代(X50・60系)は、チェイサー、マークⅡと同じピラードハードトップとして登場します。角目4灯のヘッドライトとスクエアカットのテールライトにより、洗練されたスタイリングに仕上がっています。2.0L 直列6気筒 1G-EU型のエンジンを初めて搭載したことでも知られ、スーパールーセント、スーパーツーリング、スーパーデラックスという上級グレードに採用されました。サスペンションに関しては、フロントが全車ともマクファーソンストラット式、リアに関しては上級グレードがセミトレーリングアーム式、そのほかは4リンク式サスペンション が装備されています。トランスミッションは、上級グレードが4速ATと5速MT、そのほかには3速ATと4速MTを用意しました。
1984年に登場した2代目(X70系)では、ボディ形状がサッシュドアを採用したセダンに変わりました。角目4灯のヘッドライトやスクエアカットのテールライトはそのままに、スーパーラグジュアリーシートや左右調整式のリアヘッドレストが採用されるなど、内外装ともにラグジュアリー感がアップした点も大きな特徴です。1985年にツインカムツインターボエンジンを搭載したGTツインターボが追加されたほか、1986年のマイナーチェンジでは異形4灯式ヘッドランプやフォグランプ組み込み式バンパーが採用され、さらに高級車としてのキャラクター性が強まりました。
3代目(X80系)では、エンジンが全てDOHCに変わったほか、デザインに関してもプレスドアの採用によって丸みを帯びたデザインに進化。サスペンションもリヤにダブルウィッシュボーンを新採用し、安定性が向上しました。最上級グレードとしてスーパーチャージャーエンジン(1G-GZE)搭載のスーパールーセントGが設定され、マークⅡとチェイサーを含めた販売台数は歴代1位を記録した世代です。
4代目(X90系)では、先代のデザインを継承しながらも3ナンバーに大型化しました。スポーティーグレードが、GTツインターボからツアラーへと変わったことも大きなトピックです。ターボ付きはツアラーV、NA車はツアラーSとして設定されました。先代ではリアサスペンションのみがダブルウィッシュボーン式でしたが、フロントにも採用されて、より安定性が向上しました。
5代目(X100系)では、ツアラーシリーズの名称が「ルラーン」に変更されます。上級グレードもエクシードに変わり、それまで最上級グレードだったスーパールーセントは廉価版として扱われるようになりました。セダンらしさが強調された端正なスタイリングが特徴的で、全高がマークⅡやチェイサーよりも20mm高く設定されました。MTは前期型のスーパールーセントにのみ用意され、後期型は全車ATとしてリリースされます。
全世代を通じて、マークⅡ3兄弟のなかでも一際高級感が強く、渋好みのユーザーやミドル以上の世代から支持されているモデルです。操縦安定性の向上が図られるなど、世代を追うごとにその性格がどんどん強まっています。