スプリンタートレノは、1972年から2000年まで、7世代にわたって販売されていました。シリーズ全体としては28年ほど歴史のあるクルマですが、人気が高ったのは、初代のTE27と4代目のAE86です。
初代のスプリンタートレノである通称・TE27は、1972年にスプリンタークーペの上位モデルとして登場します。エンジンは、セリカと同じ、2T-G型 直列4気筒DOHCの1.6Lを搭載し、最高出力は115psを発揮。TE27はその高出力なエンジンもさることながら、当時としては幅広い175/70HR13のタイヤを収めるために装着されたFRP製のリベット留めオーバーフェンダーにも注目が集まりました。
1974年にはスプリンタートレノとして初めてのフルモデルチェンジが行われ、TE47が登場します。スプリンタートレノはカローラレビンの兄弟車としても有名ですが、カローラレビンがクラス初の2ドアハードトップを採用したため、この世代は歴代モデルの中で唯一ボディ形状が異なります。1975年に排ガス規制の関係で一旦生産中止となりますが、1977年には再びカローラレビンとの共通ボディとなり、復活を遂げます。
1979年にフルモデルチェンジが行われ、TE71へと進化を遂げます。この世代からボディ形状がクーペから3ドアハッチバックとなりました。また、リアサスペンションが同じリジッド式ながらリーフリジッドから4リンクコイルへ変更され、操縦性が向上しました。
歴史的な名車であるAE86は、1983年に登場します。エンジンは、このモデルから2T-G型に代わって、4A-G型が搭載されました。1気筒あたり2バルブから4バルブに変わり、最高出力も115psから130psにパワーアップします。ボディタイプは、2ドアクーペと3ドアハッチバックの2種類。リトラクタブル式ヘッドライトが採用され、カローラレビンとの差別化が図られました。
5代目のAE92は1987年に登場します。この代からFF化され、ボディタイプは2ドアクーペに1本化されました。FF化が理由で不人気車となったといわれていますが、実は歴代のカローラレビン/スプリンタートレノで最高の販売台数を記録しています。AE92は「ミニ・ソアラ」と呼ばれ、デートカーとして広く知られていましたが、一方で走行性能の高いスーパーチャージャー付きのスポーツグレード「GT-Z」も用意していました。
1992年にフルモデルチェンジが行われAE101となりますが、基本的にはキープコンセプトで、大きな変更は行われませんでした。ただし、エンジンは1気筒あたり5バルブの20バルブ化されたいわゆる4A-GE型が搭載されます。なお、スーパーチャージャー付きのグレードには、16バルブの4A-GZE型エンジンが継続して採用されています。
最後のスプリンタートレノであるAE111は1995年に登場します。165psを誇る20バルブエンジンを搭載するスポーツグレードは、スーパーストラットサスペンション装着車のBZ-Rと装備を充実させたBZ-Gの2種類です。スペシャルティカーの販売不振のため、2000年8月をもってカローラレビンとともに生産終了となり、28年の歴史に終止符を打ちました。