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在庫切れになったらアウト? 純正部品の製造廃止と欠品の違いとは
旧車の再生と維持2025.07.23

在庫切れになったらアウト? 純正部品の製造廃止と欠品の違いとは

「お気に入りのアイテム」は、その使い勝手や愛着など、さまざまな理由でいつまでも愛用していたいと考えるもの。しかし、年数の経過による経年劣化や使用頻度の高さからくる摩耗といった、故障するリスクは避けられない。 クルマは消耗品の塊ともいわれ、走らせれば走らせるほど摩耗することは避けられず、同時に乗らなくとも劣化は避けられない。現代および最近まで生産されたクルマであれば部品を取り寄せて交換するなり修理すれば(費用のことはさておき)たいていは直る。 問題は、生産終了から一定の期間を経た愛車のメンテナンスや故障したときだ。部品が手に入らないといったトラブルは珍しいことではなく、旧車およびネオクラシックカーオーナーであれば誰にでも起こりうる身近な問題でもある。今回は、部品の「製造廃止」「欠品」問題への対処方法について触れていく。 ■1.部品が製造廃止・欠品その意味とは? まず「製造廃止」とは、対象部品の在庫がなく、新たに再生産しないことを意味している。そして「欠品」とは、現在在庫はないが、条件が揃えば再生産する可能性があり、製造廃止よりはまだ希望が持てる。ただ、その条件はさまざまあり、一番多い条件として、バックオーダー数が集まらなければ再生産を行わないことが多い。1個や2個作るのでは採算が取れないため、ある程度まとまった数がそろった時点で生産をすることだ。 必要な部品がすぐに手に入らないため、修理が行えないことには変わりはない。  先日、筆者も気に入ったコンパクトデジカメの修理が行えないために、泣く泣く引退させるという悔しい思いをした。 10年以上愛用していたカメラだったが、ピントを合わせる際に異音とともに思い通りに動かなくなる症状が発生した。壊れたデジカメを修理に出そうとしたが、部品が製造廃止のために対応不可となっていた。このデジカメを筆者が直す技術は持ち合わせていないため、残念ながら引退となってしまった。 このような事態は、旧車およびネオクラシックカーオーナーにとっても他人事とはいえないだろう。問題なく走行することが可能な状態でも、もし車検適合に必要な部品が製造廃止で手に入らない状況となった場合、車検不適合となり廃車にせざるを得ないこともある。このことは文字どおりクルマにとって死活問題となる。 ■2.製造廃止部品、もう手に入らない? 実際に製造廃止となった部品を自動車メーカーから手に入れることは、ほぼ不可能といえる。現在各パーツセンターの在庫状況は、ネットワーク上で確認することができ、欲しい部品の所在を把握することができる。そのネットワーク上に「製造廃止」の文字があれば、手には入らないといえる。 たまにあるのは、整備工場が何かしらの理由で在庫として持っていたものが出てくるケースだが、余程のことがなければ巡り合わせはないといえる。 それ以外に頼りとなる入手経路をここで紹介しよう。 ●純正同等のサードパーティー製部品 純正部品は、自動車メーカー独自の適合性や品質を保証するための証として、自動車メーカーの刻印や専用の包装がされている。 しかし、その部品を製造しているのは部品メーカーであるため、サプライヤーが自社製品として販売をしていることもある。 また、規格で決まったサイズのものは汎用性が高いため、数社の部品メーカーからラインナップされていることもある。これらの部品は、整備工場を顧客とする自動車部品商をはじめネットショップでも取り扱われていることがある。適合など不安がある場合は、整備を依頼する整備工場に問い合わせると良いだろう。 ●ヤフオクやメリカリ、アップガレージ等をくまなくチェック 中古部品の場合は、流通量の多さからヤフオクやメルカリはもっとも有力な手段といえる。 店舗販売では、アップガレージといった中古パーツ店での購入という選択肢もある。商品によっては保証付きで販売されていることもある。 どの方法もパソコンだけではなく、スマホでちょっとしたスキマ時間を利用して検索をすることが可能だ。 特にヤフオクやメルカリの場合、出品者が元々乗っていたクルマの部品を出品していることもあり、出品リストを見れば同一車種の部品を多く出品しているケースもある。 中古パーツ店の場合は、買い取り時に商品のチェックを行っていることもあり、一部の商品は保証付きという安心感がある。販売しているのが近くの店舗ではない場合でも、自宅への配送も可能となっている。 ●オーナー同士のトレード(有償または無償で) 同一車種の場合、オーナー同士で流用情報の共有や直接部品のトレードを行うケースもある。 部品トレードの場合、純正パーツとカスタムパーツのトレードといったケースは割とある。 カスタム全盛期から乗っているオーナーは、一周回ってノーマルを再び味わいたいことも多い。しかし、カスタムを行った際にノーマルパーツを廃棄してしまったケースは多くある。ノーマルパーツも近年の旧車人気で高騰気味になっている。 対して近年購入したオーナーは、カスタムを行いたい欲があるが、パーツが流通していないため、カスタムを行えないケースは多い。 そのような場合、双方でパーツをトレードすることで外したパーツを無駄にはせず、win-winの関係といえる。 また、リフレッシュやレストアをするオーナーはストックしていたパーツに交換後、まだ使用することができるが、不要となったパーツを相場より安くオーナー間で譲り合うこともある。 ■3.自動車メーカーがヘリテージパーツを展開 近年、旧車オーナーにとっては嬉しい動きが起きている。 自動車メーカーが、一度製造廃止にした部品を「ヘリテージパーツ」として改めて再生産を行うことだ。対象となっている車種の多くは、ネオヒストリックカーと呼ばれている90年代初頭モデルだ。 車種、年式、グレードなどは限られているが、一度製造廃止となり入手が困難になった部品を手に入れられることは、重要なポイントといえる。特に専用部品や車検適合に重要となる部品が再生産されることで、多くの現存車両が今後も走り続けられる可能性が高まったことを意味する。 今までの国内自動車メーカーは、その多くが残念ながら過去のモデルについて、プロモーション活動以外ではあまり積極的に話題にすることがなかった。 しかし、現在世界的にも知名度が上がり人気が高まっている点、今も大切に乗っているオーナーが多くいることをメーカーも認識しているのだろう。そのために始まった新たなムーブメントといえる活動である。 ■4.まとめ 愛車とともに走り続けるためには、日ごろのメンテナンスや故障した際の対処が重要となる。しかし、そのためには部品の供給状況や入手性がキーポイントといえる。 もし、愛車の純正部品が「製造廃止」になった場合、今回紹介した方法を参考にしてもらえれば幸いだ。簡単にはいかないケースも多々あると思うが、愛車と過ごす時間が続くことと一台でも多くのクルマが今後も活躍できることを切に願っている。 [画像/Adobe Stock、ライター・カメラ/お杉]

いま、ネオクラシックカーを初めて手に入れたいと考える人が知るべき『5つの覚悟』とは?
旧車の売買と鑑定市場2025.06.13

いま、ネオクラシックカーを初めて手に入れたいと考える人が知るべき『5つの覚悟』とは?

現在、さまざまなジャンルでレトロブームが起きている。昭和の雰囲気で作られたテーマパークや今も当時の面影が残る街並み、雑貨や家電といったアイテムが対象だ。その時代を過ごした世代には懐かしく、知らない世代には新鮮に映る点が魅力となっている。 もちろんクルマもその対象に入る。例えば、現在は衝突安全性の点から採用がされない、窓部分に柱のない「ピラーレスハードトップ」などのデザインが新しく見えるそうだ。 しかし、本格的なクラシックカーは、利便性の点で手を出しづらい。そのため、人気となっているのは、80~90年代に販売された「ネオクラシックカー」と呼ばれているモデルたちだ。 これらのモデルは、クラシックカーよりも扱いやすく、見た目も近代的、日常的にも使用可能な点が魅力となっている。当時欲しくても若さゆえに手に入れられなかった世代、幼少期に自宅で乗っていた思い出を持つ世代、親のアルバムやアニメ、映画から憧れを持つ世代と多彩だ。 今回「ネオクラシックカー」と呼ばれる世代のモデルに乗るうえで、事前に理解してもらいたい「覚悟」について、この年代のクルマを所有するオーナーの目線から紹介したいと思う。 ■1:車輌価格の高騰  現在の「ネオクラシックカー」の中古車価格は総じて高値となっている。 特にスポーツカーは、映画やマンガ、アニメの影響もあって人気モデルばかりだ。特に日本のみで販売されていたモデルはどれもプレミア価格だ。その理由のひとつには、アメリカへの輸出がある。以前は、右ハンドルの日本車をアメリカに持ち込んで乗ることは、多くの試験をパスした場合でのみしか許可が得られなかった。 しかし「25年ルール」と呼ばれる、日本での新車登録後25年経過した車輌は、以前のような試験を行わずアメリカで乗ることが可能となり、25年経過した日本車の多くがアメリカへ輸出されはじめた。 また、映画に登場したことで、アメリカのカーマニアに「スカイラインGT-R」の存在が知られることになった。彼らも日本のカーマニア同様、他の人とは違うクルマに乗りたいと思う気持ちは、よくわかる。そのため、国内から台数が減ったこと、世界的需要が発生して価格は上がったことを理解してもらいたい。 また、2009年に新車への乗り換え促進を目的に行われたエコカー補助金も高騰の要因のひとつだ。新車への買い替えのため、当時市場価値がないとされたクルマの多くが、補助金と引き換えに廃車となったことで、現存数が減ったことにより価格の上昇が起きている。 ■2:部品の供給 自動車メーカー各社で考え方は異なるが、共通しているのは「古くなった現存数が少ないモデルの部品は製造終了」という点だ。 メーカーは常に新しいクルマを開発、生産している。そのため、古いクルマの部品との入れ替えで新しいクルマの補修部品を保管することは致し方ないところ。 そのため、古いクルマの場合人気モデルだとしても、めったに注文が来ない物、場所を取る大型部品は廃止されてきた。 ただ、汎用の利く部品は部品メーカーからも発売されており、特定の車種を多く扱う専門店では、独自に対応品を製作していることもある。 自動車メーカーでも「ヘリテージパーツ」として、現在所有しているオーナー向けに復刻版の純正部品をリリースする流れも起こっている。 また、先に触れたように人気モデルが海外へ輸出されていることにより、海外メーカーが現地で、新たなオーナー向けに部品を製造しているケースも起こっている。この点については、日本で同車種を乗っている場合、助かるだろう(その代わり、輸送や関税コストは掛かるが)。 ■3:主治医探し 自身ですべてのメンテナンスを行える人は少なく、やはりかかりつけの主治医がいるかは、旧車ライフを過ごすうえで重要なこととなる。 先に述べたように、特定の車種について深い知識と経験を持つ専門店はある。そこでは、その車種のウィークポイントを押さえており、対策方法も熟知しているケースが多い。 もし、欲しい車種の専門店がある場合は、そのお店で販売されているクルマを購入することも手ではある。お店としても履歴を把握しているため、今後のメンテナンスの相談がしやすい点がメリットとなる。 その他には、インターネットでの情報収集を行い、同車種に乗っている先輩オーナーの主治医を紹介してもらうことや、車種を問わず、ネオクラシックカーを得意とする整備工場を探すのも重要といえる。 ■4:維持費 自動車を持つことは、維持費がかかり続けることになる。それは大なり小なり、新車はもちろん旧車でも発生する。しかし、ナンバーを付けずにガレージに飾り楽しむ場合は、税金や保険代、車検代はかからない。 とはいえ、やはり愛車を走行可能な状態にしたくなるのが、多くのクルマ好きの性ではないだろうか。新しいクルマと比べた場合、ネオクラシックカーは自動車税と重量税が増税されている。具体的には、自動車税は初年度登録から13年超えた場合、概ね15%の重課税。車検のタイミングでかかる重量税は、0.5tごとに4,100円のところ13年経過5,700円(+39%)、18年経過6,300円(+54%)とパーセンテージで表されると驚くほどの重課率となることを覚悟しなくてはならない。 ただ任意保険は、ネオクラシックカーとなったモデルでは以前よりも安くなっていることもある。それは、以前よりも大切に乗られるようになったことで、事故の発生率が低くなり、安くなっているケースもあるからだ。車輌保険に関しては加入できるケースとできないケースがあり、まちまちだ。可能であれば、同じクルマを所有する仲間に聞いてみるといいだろう。思わぬ解決方が見つかることもある。 ■5:予期せぬトラブル ある程度車齢が経つと、予想外のトラブルも発生するもの。予防整備をしていれば防げることもあるが、新車のように完璧にはならないものだ。 筆者の友人が走行距離が少ないネオクラシックカーを購入した。しばらく車検が切れていた車輌だったため、車検の合格に必要な整備を行った状態で納車されたが、やはりトラブルが発生した。原因は燃料ポンプとオルタネーターの不良だ。どちらもクルマを動かすための、重要な電装パーツである。電装パーツは目視での劣化が分からず、故障発生のタイミングが掴みづらい。事前に交換しておくことがベストではあるが、都合よくいかないものだ。そのため、突然のトラブルにも対応できる、レッカーサービスが付帯している保険など、備えておくことが重要だ。 ■まとめ:覚悟していれば楽しめる!? 今回「覚悟」という少々脅迫めいた不安にさせるような単語を用いた。 憧れのネオクラシックカーに触れるにあたり「後悔」や「嫌な」思い出になることを避けてもらいたい願いがある。事前の心構えがあれば、少しの逆風ぐらいならば動じずに済むことができると思う。 「覚悟」を決め是非ネオクラシックカーライフをはじめてみよう。そこには、抱いていた不安を忘れる以上に充実した楽しいカーライフが待っているに違いない。 [画像・日産, Adobe Stock、ライター・カメラ / お杉] 

不変のオーテック愛「AOG湘南里帰りミーティング2024」は愛車とオーナーの同窓会だ!
旧車のイベント2024.11.26

不変のオーテック愛「AOG湘南里帰りミーティング2024」は愛車とオーナーの同窓会だ!

自動車メーカー主体のオーナー参加型イベントは近年多く開催されている。 日産自動車のカスタマイズカーを取り扱う「日産モータースポーツ&カスタマイズ」の前身であるオーテックジャパンはその先駆けともいえる。 AOG湘南里帰りミーティングは初開催から20周年という節目となる。 今回はイベントの模様と参加されたオーナーと愛車について紹介しよう。 1.「AOG湘南里帰りミーティング」そのゆえんとは? まずはイベントタイトルについて。 「AOG」とは“オーテック オーナーズ グループ”の頭文字になる。これはFacebook上でオーテックジャパンが管理しているオーナー向けのプライベートグループになる。 そのグループメンバーであるオーナーが主役の大規模な“オフ会”が、このミーティング開催のきっかけとなっている。 「湘南里帰り」については、日産モータースポーツ&カスタマイズの所在地が湘南であり、ここで開発・生産を行ったクルマたちにとって湘南は「故郷」となるのだ。 このイベントは事前エントリー制となり、事務局から招待状が届いたオーナーだけが参加可能となっている。 今回インタビューを行ったオーナーのなかにも毎年応募しているが、参加できる年・できない年が過去あったとのこと。 もし今回参加が叶わなかったオーナーも、来年受かるチャンスがあるかもしれないので再びエントリーをして欲しいと思う。 なお、このイベントは関係者のみが入場することができるいわば「秘密の花園」である。 残念ながらエントリー資格のある愛車を手にしていない筆者は、このイベントの存在は知りつつも謎に包まれた状態であった。今回、この「秘密の花園」に入れる機会を得て、非常に興奮していたことを正直に白状しておく (笑)。 2.オープニングセレモニーに日産ファンくぎづけ!? 今回、特別ゲストとしてスーパーGT GT500にて23号車MOTUL AUTECH Zのドライバーを務める千代勝正選手、ロニー・クインタレッリ選手 2024 AUTECHレースアンバサダー 高岡みほさんが参加された。 その登場時には、神奈川県警で現役のR33スカイライン 4ドアGT-Rのパトカーが先導して、C28型セレナ オーテック スポーツ スペックを千代選手自らハンドルを握って登場。 登場BGMは日産自動車吹奏楽団の生演奏によるドラマ「西部警察」のテーマ曲と、随所にこだわりが感じられた。 3.勢揃いした最新モデルと海外専売モデル 希少なニスモヘリテージ展示も 今回オーテックとニスモの最新モデル、海外向けパトロール (日本名サファリ)のカスタムカー スーパーサファリが展示された。 両ブランドの最新モデルが一堂に会することは、なかなかないため現役オーナーたちもくまなく観察していた。 また、ゲストたちも展示車輌に触れ、参加者と談笑しながら写真撮影に応じアットホームな雰囲気であった。 また、普段触れる機会がない海外専用車となったパトロールのカスタムカー「スーパーパトロール」も今回披露された。 日本名サファリで販売されていたモデルのため、記憶にある方も多いと思う。 今も海外では現代の要求に合わせてバージョンアップされて現役で販売中だ。 ニスモ ヘリテージとしてはS14シルビアをベースとした270R、Z33フェアレディZをベースとしたバージョン ニスモ タイプ380RSが展示された。 270Rは旧ニスモ社創立10周年記念として、ニスモとして初めてのストリート向けコンプリートカーになる。 バージョン ニスモ タイプ380RSは、旧ニスモ社と旧オーテックジャパン社の本格的コラボで生まれた初のニスモロードカーとなる。 この380RSは、レース用エンジンのデチューン版VQ35HR改が搭載されている。 4.オーテックモデルのオーナーは生粋のマニアだらけ!? ここからは参加車輌のなかから、筆者が独断と偏見で選んだクルマを紹介していきたい。紹介するクルマたちについて、オーナーにも話を伺った。 お話を伺ったすべてのオーナー方は、こだわりポイントや愛車にまつわる話、それぞれのグレードや筆者が知らなかったオーテックモデルのみに採用されている特別仕様についても教えていただけた。 ※さまざまなイベントが目白押しのなか、時間を割いていただきインタビューに応じていただきました。ご協力いただきました皆様、この場を借りてお礼を申し上げます。誠にありがとうございました。 テラノ アストロード(R50型) 今回唯一のテラノで参加したオーナーは96年に新車で購入されて現在14万kmを走破。 元々は初代テラノにお乗りで、別のクロカン車に乗り換え予定だったが予定変更で現在の愛車を購入されたとのことだ。 この年代のRVは、ディーゼルエンジンを購入する人が多かった。 しかし、ガソリン車を購入されたため、ディーゼル規制の影響を受けずに済んだ。 勘の良い読者なら気づかれたかもしれないが、サイドのデカールが装着されていない。 その件について伺ったところ、デカールが朽ちてしまうのが嫌で、早々に剥がしたとのことだった。 長い付き合いになることはその当時考えてなかったようだが、結果としてきれいなボディを維持できることに繋がっている。 購入時のエンジン選択、デカールの撤去など結果的に愛車と長く過ごせる結果に繋がっていることは運というよりも運命なのかもしれない。 また、今回カタログもお持ちだったため、カタログ写真と実車を見比べることができた(ありがとうございました!)。 アベニールサリュー エアロエクスプレス ステージ2(W10型) 近年、街中で出会う機会が少なくなってしまったアベニールサリュー。 筆者自身、今年はイベント会場で見かける機会の方が多かったほどだ。 今回、話を伺ったこちらの車輌は、購入後まだそれほどの年月が経っていないとのことだ。 しかしオーナーのアベニールサリュー歴はとても長く、新車でGT(4WD ターボモデル)を購入。 土地柄、サビの影響を受け、買い換えるタイミングでも同じくアベニールサリューを選ばれており、今の愛車は3台目とのことだ。見かける機会が減ったと先述したとおり、買い替えたくても選択肢どころか、同じモデル自体が流通していないことが増えてきた。 しかしこちらのオーナーのように、素敵な巡り合わせが起きることに驚くばかりだ。 ステージア 260RS(WC34型) GT-Rのステーションワゴンともいえるステージア260RS。 RB26型エンジンだけでなく、駆動系もGT-R譲りかつステージアに合わせた補強も行われた伝説的な1台ともいえる。 ニスモのデカールに目が行く260RSは新車時からのワンオーナーである。 この里帰りミーティングも初期から参加をされているとのことだ。 ついついデカールに注目してしまいがちだが、脚元を見て驚いたのはなんとR35 GT-Rのブレーキに変更されている点だ。 エンジンにも手が加えられており、チューニングやカスタムが好きなオーナーは、常にその時代に合わせたバージョンアップをさせて今まで連れ添ってきたとのこと。 最新技術を用いての進化に、今後も期待をしてしまう1台であった。 ステージア アクシス350S(M35型) オーテック社は「アクシスシリーズ」を展開していた時期がある。 ステージアにも当然のように設定はされていたが、ハイパフォーマンスモデルとして350Sというグレードも用意されていた。 この350SはV6 3.5Lの自然吸気エンジンにマニュアルトランスミッションを搭載している、M35ステージア唯一のマニュアルモデルになる。 初代の260RSに続くハイパフォーマンスワゴンではあったが、販売台数は芳しくなく限定車ではないが100台も販売されていないとのことだ。 オーナーは長距離移動する機会が増え、便利でラクに移動できる、大排気量のV6エンジンかつマニュアル車という点が決め手となり手に入れたとのこと。 一見ノーマルに見えるが、足回りはZ33のブレーキやホイールに変更されている点にも注目だ。 マフラーはフジツボのオーダーシステム「ビスポーク」を利用して、好みに合わせて製作されている。 音色、リアビューの見た目はもちろんのこと。愛車家として大切な洗車時の拭き取りで重要なウエスの入りやすさにもこだわれたとのことだ。 エルグランド ロイヤルライン(E50型) 初代エルグランドに設定されていた、VIPが快適に移動するため、4名乗車仕様ちなる。 現代でこそミニバンもショーファーカーとしての地位を築いているが、この当時はまだ人数が乗れることに重きを置かれていた。 これまでロイヤルラインの実車を見る機会はなく、今回初めてであった。 オーナーはE50型エルグランドが好きで、過去ロイヤルラウンジ以外のグレードも所有されていたとのこと。 今回取材したロイヤルラウンジはなんと2台目とのことだ。 オーテックにおいては、VIP向けのカスタムをセドリックやプレジデントベースで行ってきた。 その経験が生かされており、細やかな点にも驚くほどの配慮が散りばめられていた。 スライドドア横には傘を収納するホルダー、シートには収納可能なテーブル、リアのラゲッジからの音を遮るためのパーテーション、日産純正空気清浄機のピュアトロンも設置されている。 ミニバンはラゲッジとつながっているのが当たり前と考えていたが、セダンのように空間を隔てる配慮がされている。 すべては後席に乗るVIPのためのおもてなしの環境となっている。 フロントエンブレムはボディーカラーに合わせたカラーリングがされており、リアに付くオーテックジャパンのステッカーも専用品とのこと。 大型高級ミニバンの先駆けとしてデビューしたエルグランド。 さらにブラッシュアップさせ、細部にもこだわりが詰まっていることを今回知ることができた。 エルグランド VIP(E51型) ロイヤルラインのオーナーに話を伺った際、ご一緒だった方はなんと元ロイヤルラインオーナーであり、今回2代目E51型エルグランド VIPで参加されているオーナーだった。 オーナーにお願いして愛車を拝見すると、2代目となりさらに豪華になった内装がそこにはあった。 シートは本革パワーシートに進化しており、リアパーテーションにはスピーカーが追加されていた。 両側スライドドアになったことから、傘のホルダーは運転手が格納しやすいよう、運転席側のスライドドア部に移動されていた。 オーナー曰く、4人乗りのため友人から「この見た目で4人しか乗れないなら、大きな軽バンやないか!」と突っ込まれたとのことだ(笑)。 普段この愛車でゴルフなどを楽しまれており、その長距離移動時にリアシートに乗る機会がある。 少しリクライニングさせ座った際、革シートになったことでブレーキング時、体が前に滑ってしまうことがちょっと悩みの種であるとのことだ。 備え付けのキャビネットにはスピーカーも内蔵されている。 金属製の大型ステップは乗り降りをする際に安心感を持って乗ることができるお気に入りのアイテムとのこと。 ロイヤルライン、VIPともに外装はライダー仕様にしており、外観からはわからないようにカスタムを施されている点がこだわりとのことだ。 シルビア オーテックバージョン K's MF-T(S14型) S14シルビアにもオーテックバージョンがあったことをご存知だろうか? 恥ずかしながら筆者は2年ほど前に初めて知った。 その外観上の特徴としては、大きなリアスポイラーにある。 今回取材した車輌は、リアスポイラーはオーテックバージョン、リアバンパーは社外のものを組み合わせており、今も現役でサーキット走行を楽しまれているという。 そして、オーナーにとって初めての新車であり、愛車なのだとか。 なぜオーテックバージョンを選んだのか尋ねてみると、購入後、チューニングをしたい考えがあったなか、オーテックバージョンは最初からベースとなる基準車に対して、タービンとコンピューターが変更されたチューニング状態されていることが決め手となったそうだ。 最初の愛車として、メーカー保証付きチューニング車というのは信頼感においては抜群だろう。 現在もその進化は続いており、サーキット走行と街乗りでの乗り心地を両立するセッティングについて研究をされているとのことだ。 シルビア オーテックバージョン(S15型) 前述のS14シルビア オーテックバージョンがターボチューンだったのに対し、S15シルビアではNAチューンを施してリリースされた。 NAエンジンに基準車ではターボのみに設定があった6速マニュアルトランスミッションが組み合わせられた。 新車から乗り続けているオーナーは、過去の愛車遍歴からNAフィーリングが好みだということに気づかれた。 このクルマは、メーカー保証付きのNAチューンモデルという点に惹かれ購入されたそうだ。 ドアミラーやテールレンズを好みのモノにカスタムを行なっている。 オーナーの愛の深さは、愛車だけにとどまらず「オーテック」へも向けられている。 愛車のフロントウィドウには、AOG里帰りミーティングの前身イベントともいえる「オーテックオーナーズフェスティバルin大磯」開催時のパンフレットが飾られていたのだ。 もちろんそのイベントにも参加されており、イベント企画の愛車との記念写真も飾ってあった。 この当時はシルビアは4台ほどしか居なかったとのことだ。 さらにそのイベント時に配られたネックストラップも今回持参されていた。 オーテックへの想いはおそらく、会場内で1番だと断言しても良いと筆者は感じたほどだ。 5.里帰りミーティングは年に1度の同窓会だ! 今回お話を伺ったオーナー方から共通のワードを聞くことがあった。 「一年に一度ココで会うのが恒例行事」 「毎年開催される同窓会」 長期に亘ってメイド イン オーテックを愛車としているオーナー同士は共通の価値観、周波数が合う感覚があるのだろう。 今回お話を伺ったシルビア、260RSオーナーのグループは里帰りミーティング初期から参加されている方々だ。同じ場所に集まって止めているのは「チームパーキング」という制度を利用することで可能となっている。 これは、事前申請することで、まとまって並べられるエリアが用意されている。 多くの車輌と人がいる会場内は事故防止のため、車輌移動が禁止されている。 事故を防ぎつつも並べられるよう、オーナー視点でも考えられた思いやりが感じられるサービスとなっている。 出会った当初は260RSオーナーが多数だったが、今は乗り換えて車種が変わっている方もいる。 しかし乗り換えた車輌もオーテックやニスモというオーナーも多い。 今も同じ「オーテックオーナー」としての交流は続いている。 車種や世代が変化しても、オーテックモデルに乗り続けるオーナーが多いのは、クルマはもちろん今回のようなイベントを行う「オーテック」が持つ魅力によるものなのだろう。 6.まとめ AOG湘南里帰りミーティングは、オーテックだけでなくニスモブランドも加わり、これまでにない規模の大イベントとなった。 両ブランドともに明確な個性とこだわりを持ち、その魅力は多くのオーナーを虜にしている。 そんなオーナーたちにとっても湘南の地は第2の故郷となり、年に一度仲間が集まる“里帰り”先になっていると感じた。 多くのオーナーと愛車が今後も里帰りできるよう、末永く続いてもらいたい魅力的なイベントであった。 [ライター・画像 / お杉]

スケールアップで過去最大級!歴代ブルーバードミーティング2023
旧車のイベント2023.11.09

スケールアップで過去最大級!歴代ブルーバードミーティング2023

今年も開催された“歴代ブルーバードミーディング” 。 昨年に引き続き、参加させていただいた模様をレポートしたいと思う。 今年は、とんでもないサプライズが起きたので、乞うご期待! ■今年も開催!全国から集まるブルーバードたち 昨年に引き続き、今年も富士山の麓にて歴代ブルーバードミーティングが開催された。 今年は主催者からリクエストがあり、筆者の愛車U14型ブルーバードと、親族が所有する同型のブルーバードでのダブルエントリーとさせていただいた。 高校時代からの付き合いとなるクルマ好きの友人に、2台目の運転をお願いした。 クルマのイベントに参加となると、クルマ繋がりの友人も愛車で参加するため、なかなか代わりに運転してもらうことは叶わないものである。 会場に着くとすでに多くの参加車輌が並んでおり、初参加の車輌もいた。 なかには、去年はU12型(以下U12)ブルーバードに同乗参加後、触発されて新たなU12オーナーとなっていた方も。 ミーティングに間に合うよう車検取得の手配に動かれたそうだが、不具合が発生したそうだ。 交換部品の納期がかかり、危うく間に合わないかと肝を冷やしたとのことだった。 1989年式とのことだが、まだ純正部品が新品で手に入るということには驚いた。 こんな情報が得られるのも、ミーティングの楽しみの1つである(笑)。 遠くは九州から参加されているオーナーも! 友人と運転を交代しながら参加されたとのことだった。 渡り鳥のごとく、さまざまな地域から集まったブルーバードたち。 “歴代”というだけでなく、“全国”ミーティングも兼ねたイベントへと発展されていると感じた。 ■参加車の世代もスケールアップ! 前回は直前の台風の影響もあり、各地で通行止めが発生していた。 そのため、参加することが叶わなかった方も多くいたと聞く。 今回は天候に恵まれたため、前回よりも多くの台数と世代の参加となった。 今回が初参加となった世代は、910型(以下910)とU11型(以下U11)の2世代。 前回より二世代歴史をさかのぼったことになる。 両車の紹介を簡単にさせていただきたいと思う。 910は、ジュリーこと沢田研二が広告に起用されていた。 「ブルーバードお前の時代だ」のキャッチコピーが有名なあのCMだ。 実際に910はヒットモデルとなり、一時代を築いたのだった。 今回の参加車輌は、イメージカラーの赤に、セダンのボディがスクエアなデザインをより強調していた。 U11型は910の次世代として、ブルーバード初のFF車(前輪駆動)でデビューした。 参加車輌は、U11のなかでも高級路線のモデルとなる“マキシマ”である。 エンジンはV型6気筒を搭載しており、FFとの組み合わせは日本初であった。 標準のU11よりも全長が長いため、ハードトップの伸びやかなデザインをさらに際立たせていた。 新しい世代の参加車輌も負けておらず、今回一気に台数が増加した。 ブルーバードは、ブルーバードシルフィへと名称変更された。 よって、もちろんシルフィも対象車輌である。 その多くはカスタムをされており、若いオーナーの方が多かったことが印象的だった。 海外でも販売されているモデルでもあり、年式も新しいため、海外仕向の部品を流用するなどカスタムを楽しまれていた。 ■急遽開催されたじゃんけん大会! ミーティングの中盤、一部の参加者たちから運営メンバーにある質問が投げかけられていた。 「じゃんけん大会の景品はどちらに持っていけば良いですか?」 前回のミーティングでは、じゃんけん大会が行なわれたのだ。 その際に、参加者からも景品が提供されていた。 今回、じゃんけん大会について事前アナウンスはされていなかったはず。 運営としても行なわない予定だったが、なんと前回参加した方々から景品の提供があったのだ! そのため急遽、じゃんけん大会が行われる運びとなった(笑)。 意外なことに多くの参加者が何かしらの景品を持参しており、急遽行なわれたとは思えないほどの、マニアなら喜ぶような豪華景品が出揃った。 各自が景品を受付に持っていくなか、大きな景品がやってきたのだった…。 ■まさかの景品は…参加車輌のブルーバード!? 受付横に一台のブルーバードが止められた。 筆者の愛車と同色のU14型ブルーバードだ。 なんと、参加者の方が乗ってきた参加車輌が景品としてエントリーされたのだ! 冗談ではなく、オーナーは最初から景品として提供する予定とのことだった。 お話を伺うと、新車時からともに歩んできたが、次回の車検のタイミングで手放すことに決めたとのこと。 そこで、ブルーバードが好きな人たちが集まるこのミーティングで、是非欲しい方の手に渡ってもらいたいという思いもあり、提供したとのことだった。 ブルーバード争奪のじゃんけん大会に、数名の参加者が手を挙げた。 実は、筆者も周りの声に押され参加したのだった。 結果は、残念ながら(?)2位となってしまった。 1位になっていた場合、駐車場の準備等、大変なことになっていただろう。 負けてしまったことで、冷静に考えられるようになり、少し安堵した(笑)。 じゃんけん大会中は 「もし手にできたら現愛車のレプリカを作ろう」 「入れ替わっていても、家族はいつまで気づかないだろうか」 なんて妄想をしていたことを素直に白状しよう(笑)。 ■まとめ 今回のミーティングは、過去最高の参加台数のことだった。 回数が増すにつれ、参加台数も増えてきた。 開催地、時期も固定化されてきたところ。 是非今後も、ブルーバードが集まれる恒例イベントとして定着していただきたい! …と、ブルーバードオーナーの1人として、強く願うのであった。 主催メンバーの方々には感謝せずにはいられない。 ありがとうございました! [ライター・画像 / お杉]

スポーツの秋到来!走行会はクルマの運動会!
旧車のイベント2023.10.06

スポーツの秋到来!走行会はクルマの運動会!

今年は例年になく、猛暑を越して“酷暑”という言葉がぴったりだった。 あまりの暑さに、屋外活動のやる気が起きない話もよく耳にした。 それは、クルマを趣味とする、読者の皆様も同じことと思う。 ようやく涼しくなってきた今、スポーツの秋ならぬ“モータースポーツ”の秋は、いかがだろうか。 今回は、クルマ好きなら一度は思う「愛車の性能をフルに試してみたい!」が体験できる、走行会について紹介したいと思う。 そもそも「走行会」とは? 走行会とは、サーキットなどを使用して、普段体験することができない、限界付近の旋回性能や加減速を、安全に愛車で楽しむことができるイベントである。 プロのレーサーがおこなうレースを、オリンピックといった陸上の大会と例えるならば、走行会はオリンピックの会場でおこなう、運動会と思っていただければよい。 プロが走行するコースを愛車を駆って走行できる、貴重なチャンスである。 走行会にもジャンルがある! まず“走行会”には、いくつかのジャンルがある。 ・サーキット走行・ジムカーナ・ゼロヨン  今回は、この3つを紹介していきたい。 サーキット走行 走行会の多くは、サーキットで開催となる。 メジャーなレースで使用される国際コースから、隠れ家的なミニサーキットでも実施されている。 驚くことに、探せば意外な身近な場所にも、サーキットは存在している。 多くのサーキットでは、そのサーキットのライセンスを取得しないと、フリー枠でも走行ができない。 定期的にスポーツ走行をおこない、腕を磨く目的がないと、なかなかに敷居が高い。 しかし、走行会は運営が提示するレギュレーションを満たしていれば、走行することができるのだ。 今回、取材させていただいた「初音レーシング」さんの走行会は、クルマ好きなら誰もが知る、あの富士スピードウェイ 本コースを使用した走行会であった。 しかも、約1時間連続で走れるのは、貴重な機会だ。 ジムカーナ サーキットとは異なり、広い敷地内にパイロンが設置され、パイロンを目標に指定された道順で走る競技である。 ジムカーナは、広大な駐車場でもおこなわれることがあり、多くの場所で実施されている。 また、速度域もサーキットほど高くはなく、1台ずつ走行するため、他車を気にせず滑り出しの感覚などを楽しめる。 ゼロヨン 全長400メートルのコースを止まった状態から加速して、速さを競う。 ストリートでのゼロヨンレースが舞台であった、ワイルドスピードの第1作目を思い出していただければ、想像に容易いと思う。 全国的にコースは多くはないが、愛車の加速性能をフルに体験するには、もってこいのステージである。 …と、どのジャンルも、参加するにあたっては最低限の準備は必要だが、普段乗っている愛車で走行可能だ。 走行会に向けての準備 では、走行会に参加するにあたっての準備について説明しよう。 申し込みについてだが、開催告知と募集の多くはSNSで行われているだろう。 走行会を主催する多くは、チューニングショップやカー用品店である。 スポーツパーツに熱心な、大手のカー用品店では、お店が独自で開催していることもある。 初めてで不安な場合は、お店での募集に申し込むのが良いだろう。 今回、走行会を主催されている「初音レーシング」さんは、VOCALOIDとモータースポーツが好きなメンバーで結成された総合モータースポーツクラブである。 その活動の一環として、“サーキット走行体験して楽しんでもらいたい!”との思いから企画されているとのこと。 このように、モータースポーツが好きな有志によって、開催されるパターンもある。 走行会参加にあたって、1番大事なことは“愛車で無事に帰宅できること”だろう。 レーシングカーのように、積載車で搬入出をするのではなく、自走での参加が基本となる。 そのため、無理を通して、愛車を壊してしまっては元も子もない。 また、走行会といえども、走る場所はサーキットである。 街中やワインディングを走っているのとは、異なるレベルで高負荷がかかるステージなのだ。  走行前は、適切なメンテナンスを行わないと、愛車が壊れてしまうどころか、多くの方を巻き込む事故につながる恐れもある。 今回の走行会は8月の半ば、真夏のなかでの開催となった。 そのため、参加者の方にお話を伺うと、口々に「車よりも人の方がバテてしまいますよ(笑)」とおっしゃっていた。 この暑さのなか、約1時間全開に近い状態で走行されていたが、コース上で止まってしまう車輌はいなかったことが印象的だった。 それは、参加されている方の多くが、きちんと事前にメンテナンスをおこなっていたからこそ。  任意保険の多くは、サーキット走行による事故では適用されない。 その点も留意いただきたい。 自車の破損はもちろん、サーキットを破損した場合も自腹となってしまうのだ。 ただ、サーキット走行用の保険もあるので、走行会前に加入するのも手だ。 走行会の多くは、ヘルメットや長袖、長ズボン、グローブの着用が必要である。 普段着ている服装でも、問題ない。 ヘルメットと滑りにくいグローブを用意すれば、参加準備はOK! その点も敷居を低く、参加しやすくしてくれている。 他に必要なものは、主催者から事前にアナウンスがあると思う。 過去、筆者が参加した経験から、ガムテープやビニールテープ、養生テープは忘れずに持参した方が良いだろう。  配布されるゼッケンの貼り付けはもちろん、レギュレーションによっては、事故時の破片飛散防止に、灯火類へのテーピングが必要となる。 また、ブレーキフルードのキャップやバッテリーの端子なども、脱落防止のためテーピングが必要になることもある。 テープは持参必須のアイテムなのだ。  走行会当日の流れ ここからは、今回取材にご協力いただいた「初音レーシング」さんの流れをもとに説明していこう。 走行会当日、受付でゼッケンを手渡される。 サーキットによっては、トランスポンダと呼ばれる計測器も一緒に渡されることもある。 車輌に取り付けることで、周回タイムを測定される。 走行終了後、各ラップのタイムを渡される。 同じコースを走るレーシングカーとのタイム差を知ることができるのも面白い。 周回ごとに、何がタイムに影響を及ぼすのかの発見にも繋がるだろう。 車輌の準備としては、ゼッケンを貼り付け、不要な荷物を下ろす。 必要ならばテーピングもここで済ませておく。  準備がある程度終わったタイミングで、ドライバーズミーティングがおこなわれる。 その際、主催者からサーキット走行上の注意点、黄色や赤のフラッグの意味などが説明される。 初めての方でも、不明点は遠慮なく質問をすれば良い。  走行開始時間になったら、誘導に従いコースインする。 最初は、先導車について完熟走行から。  車内から見たコースの広さに驚くことだろう。 先導車がピットに入ったタイミングから、待ちに待った愛車の性能を試すチャンス! ただ、油断をしてはならない。 公道とは違い、景色の流れがゆっくりと感じるため、想像以上にスピードが出ている。 これは過去、筆者が走行した際に感じたことだ。 コーナー進入時、きちんと減速をおこなわないと、クルマは遠心力で外側に引っ張られていく。 さっきまで広いと感じたコースだが、気を付けないとコースアウトしてしまうほどなのだ。 安心して欲しいのは、サーキットは仮にコースアウトしてしまっても、エスケープゾーンが広く設定されていることが多い。 愛車の性能、自身のテクニックを踏まえ、無理のない範囲でコーナーを攻める経験をしてもらいたい。 ただ、あくまでも“愛車で帰宅する”点をお忘れなく。 運動会は、余力を持って楽しむことが重要なのである。 走行が終了したら、各車ピットに戻り片付けをしつつ、走行タイムの一覧表を受け取ろう。  閉会式後には、参加者へさまざまな景品が当たる抽選会がおこなわれた。 勝敗を決めるレースではないため、アットホームな雰囲気である。 先述したように、「初音レーシング」さんは、VOCALOIDとモータースポーツが好きなメンバーで結成された総合モータースポーツクラブである。 そのため、当日もラッピングされた痛車の展示も同会場で行われていた。 今回の走行会で、筆者の琴線に触れる車輌も走行していた。 T31型エクストレイルのMTだ。 意外と知られていないが、ガソリンエンジンにもMTの設定があったのだ。 そこに、ワンオフでスーパーチャージャーを取り付けられていた。 走行している姿は、エクストレイルとは思えない走りだった。 何度かこの走行会に参加されているそうだが、今回はあまりの暑さにエアコンを入れて走行していたとのことだった(笑)。 ちょっと走ってみたい人向けに体験走行枠も ここまで読んでいただき、サーキットを走ってみたいが、走行会でも不安な方は居られるだろう。 そんな方向けに「初音レーシング」さんでは、体験走行枠も用意されている。 これは、ヘルメットの着用はいらず、乗車定員まで同乗可能となっている。 先導車に続き、追い抜きは禁止。  トップスピードも100キロほどと、高速道路を走行する感覚で、サーキットを走行できるのだ。 また、車輌規定も「自動車専用道路走行可能なクルマ」なので、軽トラ含め、さまざまな車種が参加されていた。 体験走行なら、家族みんなで楽しむことができるので、お子様が同乗すれば「サーキットを走った」という、特別な思い出になるだろう。 愛車でサーキットを駆けたくなった! 久しぶりに、愛車でサーキットを走りたい衝動にかられた。 涼しくなり、人にも車にも過ごしやすい季節となった。  もっぱら“食欲の秋”を満喫中だが、走行会に参加して“モータースポーツの秋”にするのも楽しそうだ。 興味を持った方は、冬が来る前にぜひ、行動してもらいたいと思う。 今回取材にご協力いただいた初音レーシングの皆様、ありがとうございました。 初音レーシングHPhttp://hatsune-racing.club/ [ライター・画像 / お杉]

初の愛車は、高校時代に手にした“R32 スカイラインGT-R”
旧車の愛好家たち2023.09.15

初の愛車は、高校時代に手にした“R32 スカイラインGT-R”

2023年現在、100年に一度の転換期といわれている。 自動運転に関する技術革新が日々行われ、新型車には電気自動車も多くなってきた。 そんな環境のなか、旧車と呼ばれる年代のクルマを、新たな愛車として選ぶ方も多くいる。 今回は“ちょっとした”一言がきっかけで「R32 スカイライン GT-R」が初の愛車となったオーナーにお話をうかがった。 1.出会いは突然 最初の愛車がGT-Rに!?しかし本音は・・・ 前回、新たに日産N15パルサー VZ-Rを愛車にした、お父様の話を紹介した。 ●教えて旧車オーナーさん!今"N15 パルサー VZ-R"を買ったワケhttps://www.qsha-oh.com/historia/article/nissan-family-pulsar-vzr-n15/ 今回の主役は、R32 スカイラインGT-Rにお乗りになられている息子さんだ。 手に入れた経緯は、なかなかに興味深いものだった。 「このGT-Rは元々、父の知人が所有していたクルマだったんです。3年半程、寝かせていたクルマを手放すということで、紹介されました」 最初の愛車がGT-Rとは、とても羨ましい話ではあるが、実は本音は違ったようで・・・ 「実は、当初欲しかったクルマはS15シルビア オーテックバージョンでした。中学生の頃、近所の中古車屋さんに置いてあった売り物を見に行ったりしていました(笑)」 「当時ガラケーに、シルビア オーテックバージョンの中古車情報の程度や金額をメモするほど憧れて、恋枯れていました」 S15シルビア、そのなかでもメーカーがチューニングを施した、NAエンジン(SR20DE)を搭載するオーテックバージョン。 中学生のころに、S15シルビア オーテックバージョンへ憧れを抱くとは、なかなかに通な選択だ。 これも、日産フリークなお父様の影響を受けた結果なのかもしれない(笑)。 2.GT-Rの縁談に乗り気になれない、クルマ好きならではの“理由” その当時を振り返り、お父様から意外な言葉が出てきた。 「息子に最初この話をしたとき、そんなに乗り気ではなかったのは、すぐにわかりました」 「私がすでに同型のGT-Rに乗っているので、同じクルマに乗るのが嫌なのかな?と思っていました」 予想外の反応をされた息子さん。 ではその当時、実際にはどう思っていたのだろうか? 「たしかに、父親がすでに同じGT-Rに乗っていることも意識としてはありました。ただそれよりも、当時はGT-Rって『最終地点』なイメージを持っていたんです」 この『最終地点』が意味することは、クルマ好きならすぐに理解できることだろう。 世界に目をやれば、超ド級なスーパーカーは多くある。 ただ、日産フリークな家庭で育ったオーナーにとって『GT-R』は、日産のスポーツカーのなかでも特別な存在であることはよく分かる。 「GT-Rに乗っている人は、段階を経て到達するイメージがありました。それこそ、シルビアなどに乗って練習して、父親のようにステップアップしていってGT-Rと考えていました」 お父様がDR30スカイラインで腕を磨き、R32スカイラインGT-Rにステップアップされたのを間近で見て育っただけに、その思いが強くなったのだと想像に容易い。 「いきなりGT-Rに乗っていいのか?という思いがあるのと、“シルビアが好きだから”という理由で断りました」 ずっとモータースポーツを観戦していただけに、GT-Rの凄さを理解していたことと、シルビアへの思いからの考えだったようだ。 3.父親からの思いがけないアドバイスがきっかけに 息子さんの思いを聞いたうえで、お父様から現実的なアドバイスがあったそうだ。 「シルビアからステップアップしてGT-Rにいきたくても、いざGT-Rに乗りたくなったときに買える保証はないんだぞ」 それは、なかなかにストレートなアドバイスだった。 お話をうかがっているとき、筆者は思わず笑ってしまった。 ただ、この言葉がきっかけとなり、現実的に自分の状況を踏まえ、改めて考えたそうだ。 当時でもS15シルビアは人気車であり、生産終了から日が浅く、程度の良いものは新車同等、もしくはそれ以上の価格だった。 対するR32スカイラインは、すでに生産終了から年数が経過した“旧車”となっていた。 年式を考えると流通量の減少、流通しているなかから良い程度を求めた場合、状況は厳しくなる一方と考えたそうだ。 そこからGT-Rを初の愛車として迎え入れることを決意したのをきっかけに、一気にモチベーションが上がることとなった。 教習所に通いながらアルバイトに励み、修理代を捻出していったとのこと。 このお話を聞いて、どこかの誰かと同じような境遇だと、思ってしまった。 「以前、初の愛車を手に入れた経緯をお聞きして、うちの息子と境遇が似ていると思いました(笑)」 と、筆者を見るお父様の表情は、満面の笑みであった(笑)。 4.初の愛車は課題が豊富 実際に手に入れたGT-Rはどうだったのだろうか? 「やはり3年半寝かしていたクルマということもあり、最初、エンジンをかける前に燃料系統を確認しました。案の定、ガソリンが腐っていました。さらにその腐り方が想像以上だったため、燃料ポンプを新品に、燃料タンクを中古の物に交換したんです」 ガソリンも食品と同じく、古くなると腐ってしまうのだ。 長期間動かしていない場合、注意が必要な点でもある。 「エンジンをかけられる段階まできて、いざエンジンをかけたものの、アイドリング不調で、まだまともに走れる状態ではありませんでした。そこで、点火系など順を追ってチェックしました。幸いなことに父親のGT-Rと同じ年式だったので、部品を入れ替えてチェックすることで、ダメな部品のトラブルシューティングができました」 修理と併せ、予防整備もおこなったとのこと。 交換した際、元々の部品は、お互いのクルマに使えるストックとなっているそうだ。 外観からも、チューニングを施しているのが見て分かった。 修理をする際に、併せておこなったのだろうか? 「今ついている社外のチューニングパーツは、前オーナー時代に交換されたものがほとんどです。ワンオーナーだったため、弄っている個所も分かっていました。あとからカスタムする必要が無い状態だったのは、結果的に良かった点ですね」 今回購入されたのは、ワンオーナーかつ、ご本人から直接譲り受けたので、詳細が分かっていたのは大きなアドバンテージだ。 5.素性を見極めて選んでもらいたい! これから旧車を手に入れようと思っている方へのアドバイスをうかがった。 「この年代のクルマを手にするなら、可能な限り素性の分かる車輌を選ぶことをお勧めしますね」 それは、お乗りのGT-Rで得た経験も背景にあるのかもしれない。 「私自身もそうだったのですが、やはり若い時って『エアロが付いていてカッコイイな!』『エンジン周りも弄ってあって良いな!!』と思ってしまうんですよね(笑)」 その気持ちは非常によく分かる。 どうしても“ノーマルとは違う”ことに憧れを抱いてしまうものだ。 「わからない弄り方をされていると、何か不具合が起きた時に原因が掴みづらくなってしまうんですよね」 実は筆者にも経験がある。 自身の愛車を手にしたときも、アイドリング不調が出ていた。 原因は、過去のオーナーが取り付けた社外部品の不調であった。 すでにカスタムされていることは魅力的に映るだろう。 しかし、長い目で見た際には、ノーマルの方が心配は減るものだ。 「特にスポーツカーは、ノーマルを探すのが難しいと思います。なので、ある程度詳しい人と一緒に現車を見に行くのが一番かと思いますね」 欲しいクルマを目の前にすると、誰もが正常な判断はできなくなる。 中立な、落ち着いた判断と目利きができる人に同行してもらうのは、大事なことだろう。 6.総括  いつかより今!時には踏み出す勢いが必要! 今回、お話をうかがい感じたことは、踏み出す勢いが大切だということ。 “いつか、あのクルマに乗りたい” そう思うことは、クルマ好きにとっては、日常的なことと思う。 今回お話をうかがっオーナーのように、キャリアアップして乗ることを目標にするクルマもあると思う。 ただ、タイミングが許すならば、一気に目標へ到達してしまうのも、旧車に乗るには必要な判断要素かもしれない。 今しか乗れない、今だから乗れる。 このことを考えて、旧車に乗るのもアリと感じた。 [ライター・画像 / お杉]

教えて旧車オーナーさん!今"N15 パルサー VZ-R"を買ったワケ
旧車の愛好家たち2023.08.11

教えて旧車オーナーさん!今"N15 パルサー VZ-R"を買ったワケ

2023年現在、100年に一度の転換期といわれている。 自動運転が開発され、新型車には電気自動車も多くなってきた。 そんな環境のなか、旧車と呼ばれる年代のクルマを、新たな愛車として選ぶ方も多くいる。 なぜ新たな愛車として迎え入れたのか? 新たにオーナーとなられた方にお話を伺った。 ■根っからの日産フリークなファミリー 今回、お話を伺ったのは、親子で旧車を愛車としているご家族だ。 お父さまは日産スカイラインGT-R(R32型)を所有しつつ、最近日産パルサー VZ-R(N15型)を通勤メインのクルマとして購入したのだとか。 長男である息子さんは、お父さまと同じ型のスカイライン GT-Rを所有されている。 今回お話を伺うことはできなかったが、次男の息子さんは、日産フェアレディZ(Z33型)にお乗りとのことだ。 おわかりの通り、大の日産フリークなご家族なのだ(笑)。 今回、パルサーVZ-Rを購入されたお父さまの内容となる。 今所有されているクルマについて伺った。 「R32スカイラインGT-Rは2008年頃、知人が手放す車両を購入しました。それまで、DR30 スカイラインRSターボに乗っていたのですが、やはりGT-Rには一度は乗っておきたいという思いを持っていたため、意を決して乗り換えました」 やはり、多くのクルマ好きが一度は憧れる、GT-R。 日産フリークであり、憧れを持っていた方にとって、そんな縁談の話は願ったり叶ったりに違いないだろう。 最近購入された、パルサーについて伺った。 「パルサーは半年ほど前、中古車店で購入しました。通勤で使っていたK12マーチからの買い替えになります」 なぜ、今まで乗られていたマーチより古い、パルサーに乗り換えられたのか? 「パルサーVZ-Rも、いつか乗りたいと思っていました。今回の購入時には、VZ-Rしか考えていませんでした」 そこまでの熱い思いを持たれているには理由があるはず。 さらに詳しく伺ってみた。 「昔、耐久レースに日産のワークスとしてVZ-Rが出てました。その時にびっくりするほど速かったんです。」 筆者も、当時VZ-Rがレースに出ていたのは知っていた。 しかし、残念ながらまだ幼かった筆者は、実際にレースシーンを見る機会がなかった。 レースでの活躍を、生で見た感想も聞くことができた。 「そのレースでは、当時の愛車と同じDR30のRSターボも出走していたのですが、VZ-Rが立ち上がりの加速で離れていっちゃうんですよ。テンロク(1.6L)なのに。それが衝撃でしたね」 「まだ幼かった、息子二人も観戦していたのですが『お父さんのクルマを抜いてった!』と驚いていましたよ!」 幼い息子さんにとっても、父親が乗っている身近な存在である同型のスカイラインが抜かれてしまったことは、記憶に残っているそうだ。 「特に次男がカルチャーショックだったようでして、のちに免許を取って最初に買ったクルマがVZ-Rでした(笑)」 現在、Z33にお乗りの息子さん。 幼心に受けた衝撃がきっかけとなったのか、最初の愛車として3ドアのパルサーVZ-Rを選び、腕を磨いていたそうだ。 VZ-R購入時、他に候補のクルマはあったのか? 「なかったですね。VZ-Rだけでした。最近のスポーツモデルの中古車も同価格帯でありましたが、候補には入っていませんでした」 なぜ、指名買いだったのか? 「この年代(90年代)のクルマって、個性があるじゃないですか。そこに惹かれてました。この頃って、各社ライバルメーカーのクルマに勝ってやろう!とかラリーで優勝してやろう!とか、攻めの姿勢だったのが良いですよね。VZ-RにもN1という仕様もありましたし」 ■心がけているのは予防整備 ここからは、購入後のエピソードについて。 すでにR32 スカイラインGT-Rもお持ちなので、経験は豊富だ。 今までの経験を踏まえ、納車後におこなった整備があるとのこと。 「GT-Rでも同じことを心掛けているのですが、出先で不動にならないよう、予防整備をしています。今回、納車後にオルタネータや点火系などの交換をしました。燃料系はまだなのですが、ここもやっておけば心配は減りますね」 予防整備としては、かなり手厚い部類と思う。 中古車である為、今までの扱われ方が分からないことは多い。 “無事に帰宅する”これは事故に限ったことではなく、忘れがちではあるが整備についても、重要なことと思う。 マイナーな不具合に見舞われたこともあるそうだ。 「タコメーターが動かなくなってしまう症状が出てしまいました。メーター交換をしようと思ったものの、VZ-R専用メーターはすでに製造廃止。標準グレードの物はまだ手に入ったので、メーター修理専門のお店に修理を依頼しました。新しいメーターから故障した部品を移植して、専用メーターを直してもらいました」 「他にも調べると在庫が残り1個の物が多く、気になるところは交換しました」 その行動力と決断に恐れ入ってしまう。 90年代車は多くの「グレード専用部品」がある。 その部品自体の新品はなくとも、流用や移植で修理が可能であり、専門店もあることには驚いた。 ■カスタムも長期の目で見た安心感を 次にこだわりの部分について伺った。 「本当は3ドアが欲しかったのですが、タマ数も減っており、値段も息子が購入したときの1.5倍になっていました。そのなかで見つけたのが今の愛車です」 パルサーVZ-Rにはボディ形状は3タイプある。 4ドアセダン、3ドアハッチバック、5ドアハッチバック。 程度と金額から5ドアハッチバックを購入されたとのことだが、最初拝見した時に違和感があった。 「5ドアはRVブームもあって、フロントバンパーがRVっぽいデザインになっています。それが、ちょっと好みと合わなかったため、3ドアVZ-Rのバンパーに交換しました」 話を伺って、違和感の理由がわかったのだった。 VZ-Rが新車で販売されていたころ、世間はRVブームであった。 そのため、パルサーの5ドアにはRVテイストを与えていた。 そのデザインのまま、VZ-R専用エンジンを載せて販売していたのだ。 他にも、リアのスポイラーをオーテックバージョンの物に変更されている。 交換する際、標準装備のスポイラーと取付穴の位置が合わなかった。 バックゲートを別途中古で購入、穴を開け直してから交換されたそうだ。 従来の穴を埋めることによる、トラブルを避ける為のこだわりが表れていた。 また、マフラーも購入時は社外の物が装着されていたが、純正採用の実績があるフジツボ製に交換されたとのこと。 ■ぜひ、そのクルマのことを理解して乗って欲しい! これから、90年代のクルマに乗ろうと思っている方へ、何かアドバイスがあるか伺ってみた。 「せっかく乗るなら、そのクルマのことを理解して、少しでもいいので勉強して乗ってもらいたいですね。もし、ネームバリューだけで乗りたいと思っているのでしたら、良い結果とならないことが多いので、やめた方がよいと思います」 90年代のクルマは、まだまだ現役で走っている個体も多く、街中でも目にするだろう。 映画やアニメなどでフューチャーされることや、過去の映像作品も動画サイトで目にするだろう。 そこでクルマの名前を知り、同じクルマに乗りたい!と思う人は多くいる。 いつまでも現役で、人気で居続けることは嬉しいことだ。 ただ、そのクルマのことを理解せずに乗った時、旧いが故に現代の感覚と違うことはもちろん、トラブルも発生する。 理想と違うことが起きた時、大きく落胆するだろう。 しかし、ほんの少しでも、そのクルマについて知る努力をしたことで、感じ方は変わってくる。 「せっかく憧れのクルマを愛車としたのに、残念な思い出となってもらいたくない」 そんな思いのこもった言葉だった。 ■ 総括 メーカー同士、意地の張り合いに熱くなっていた時代 今回お話を伺ってわかった、現代にあえて旧車を選ぶ理由。 そこには、デビュー当時の活躍を目の当たりにしてきた方ならではの理由があった。 各メーカーのスポーツモデルには、明確な意識をしているライバルがいた。 そのクルマたちは、ワークスとして戦うレースに留まらず、そのクルマを選んだオーナー同士もお互いを意識し合い、サーキットなどで性能をぶつけ合っていたのだ。 ユーザーも含め、ライバルに秀でるよう切磋琢磨していた時代を見てきたオーナーならではの、熱さを感じるための選択であったと知ることができた取材となった。 [撮影&ライター・お杉]

海アリ!山アリ!旧車に優しい!?初夏のオススメツーリング
旧車の魅力と知識2023.07.17

海アリ!山アリ!旧車に優しい!?初夏のオススメツーリング

多くの読者においては、梅雨でなかなか愛車を引っ張りして、出かけられない日々が続いたことだろう。 梅雨明けした地域では、待ちに待ったツーリングシーズンの到来である! しかし、酷暑と渋滞は、旧車にはツラいところ。 今回、旧車オーナーたちと梅雨の晴れ間に、ツーリングをおこなった。 旧車に優しく、オーナーには楽しいツーリングルートの一例をご紹介したいと思う。 ■スタートは高速道路のサービスエリアに集合 この日、普段お世話になっている方にお誘いいただき、一緒にツーリングをすることとなった。 「ツーリング」というと、バイクのイメージをお持ちになられるかと思う。 クルマなら「ドライブ」の方が一般的とは思う。 「ドライブ」というと、1台のクルマに乗り合わせて出かけたり、1人で走る時に使う方がしっくりくると思う。 今回、1人1台で連なって走るため「ツーリング」という単語の方が、適していると筆者は考えた。 当日の朝、曇り空ではあるが、雨は降らない予報だ。 厳しい暑さにはならないことは、クルマにもドライバーにも都合がよい。 今回のツーリングは、暑さと混雑を避けるために設定された日程でもあった。 まだ、街が動き始めた頃、自宅を出発して最初の目的地を目指す。 待ち合わせ場所は、高速道路のパーキングエリア。 パーキングエリアに到着すると、すでに2台が到着していた。 今回、息子さんもご一緒されることになり、3台でのツーリングだ。 参加車輌は、お世話になっている方の日産 N15 パルサー VZ-R。 息子さんの日産 R32 スカイラインGT-R。 筆者の日産 N14 パルサー GTI-Rである。 息子さんとは初めてお会いするが、クルマを前に話しはじめると、初対面同士でも話題に困ることはない。(笑) まだまだ話を伺いたいところだが、道路が混む前に出発した。 高速道路上を走っているクルマの台数は多いが、流れは悪くなく、3台で連なって走る。 ストップ&ゴーの多い市街地とは違い、一定のペースで走れてクルマへの負担も少ない。 ■オーシャンビューな海沿いのルート 高速を走り、たどり着いたのは西湘バイパス。 ここは、海沿いを走る有料道路であり、眼下に広がる海と開けた景色が楽しめる。 もちろん、ドライバーのよそ見は厳禁だ。 しかし、西湘バイパスには海沿いのパーキングエリアもあるのでご安心を。 一時、台風の影響で損壊してしまい利用不可になっていたが、最近リニューアルオープンした。 海を臨む展望スペースもあるため、落ち着いてじっくり景色を楽しみたい方は、ぜひ寄っていただきたい。 西湘バイパスを降りたあとも海沿いの道を走り、漁港を目指す。 向かっている道中も、眺めの良いポイントがいくつもあった。 筆者としては、海と山と道路が同時に見えるポイントの景色が、お気に入りであった。 ■昼食は海の幸に舌鼓 漁港に到着後、休憩をしつつ、駐車場で海をバックに、各々写真撮影を楽しんだ。 そこは、パルサー VZ-Rオーナーさんお気に入りのフォトスポットとのことだ。 昼食の時間が近づいてきたので、地元の方に教えていただいたという、人気の定食屋へ向かった。 人気店とのことだが、タイミング良く、並ばずに入店することができた。 やはり海が近いので、海鮮丼を選ぶこととしたが、店内に掲げられた「オススメ」の握り寿司5貫の誘惑にも負け、勢いで2品もオーダーしてしまった。 美味しい海の幸を、お腹一杯お得に味わうことができた。 行った先で、美味しい食事に舌鼓を打つことも、ツーリングならではの楽しみである。 ■海から山へ!日本が誇るワインディング お腹が満たされたあとは、日本が誇るワインディング、箱根を目指す。 意外なことに、海沿いを走っていた西湘バイパスからすぐ、箱根の入口にたどり着く。 今回はターンパイクで箱根を登ることとした。 ここで、それぞれの愛車を乗り換えて山頂を目指す提案をいただいた。 最初に、N15パルサー VZ-Rに乗らせていただいた。 高回転型エンジンが自慢のグレードである。 実は、筆者が初めての愛車選びの際に憧れていたクルマの1台が、このVZ-Rというグレードであった。 オーナーから、せっかくなのでエンジンを高回転まで、回して乗ってみることを勧めていただいた。 ターンパイクは、料金所を抜けると長い上り坂である。 お言葉に甘え、低いギアで高回転まで回させていただいた。 MTのダイレクトな繋がりもあり、エンジンがとても気持ちよく吹け上がることを体感できた。 マフラーの発する音はもちろんだが、エンジン自体が発する音も心地よい快音である。 途中のパーキングで、再度乗り換えをおこなった。 続いて、R32スカイラインGT-Rを運転することとなった。 実は、GT-Rを運転するのは初めての経験である。 ドッシリとした乗り味に、上り坂の勾配を忘れさせる力強さ。 筆者の愛車と並べると大きく感じるが、現代の目で見るとR32 スカイラインGT-Rはコンパクトである。 車内はベース車と同じ、5ナンバーサイズであることも手伝い、運転をする際には大きさを感じさせない。 この点も、今もなお第一線を突き進んでいる、理由の一つなのかもしれない。 ターンパイクの頂上に到着し、ラウンジで休憩をすることとした。 お互いのクルマを運転した感想、さまざまなクルマの話題で会話は尽きないのであった。 ■帰路のルートは選び放題! 時間はあっという間に過ぎ、帰路につくこととなった。 箱根の頂上から、首都圏へのルートは複数選択肢がある。 ・ワインディングを楽しみながら、湯河原方面へ下り海沿いルート・御殿場方面へ下り、アウトレットなどでお買い物を楽しみ、東名高速ルート・箱根駅伝で知られる、国道1号線を下り、小田原経由ルート 他にも意外とルートはあり、お気に入りのルートを見つけることができるかもしれない。 ■猛暑前に楽しもう! これからのシーズン、気温が上がり、クルマにもオーナーにも厳しいものとなる。 旧車となると、猛暑は思わぬトラブルに見舞われるリスクも考えられる。 今回、首都圏に住む読者の方にはピンとくるであろうルートを紹介させていただいた。 読者の方々も、地元付近のツーリング・ドライブルートを開拓して、気温が高くなる前に、愛車との語らいをぜひ楽しんでいただきたいと思う。   [ライター・撮影 / お杉]

過去最高65台がエントリー!パルサー全国ミーティングに潜入
旧車のイベント2023.06.12

過去最高65台がエントリー!パルサー全国ミーティングに潜入

行動制限が緩和されたゴールデンウィーク。 観光地は数年ぶりに多くの人で賑わっていた。 イベントも例外ではなく、各地で多くのイベントが開催された。 今回紹介する「パルサー全国ミーティング」も、日本各地はもちろん、海外からもフリークが参加して賑わうこととなった。 パルサーを愛車とする筆者も、参加させていただいたその模様をレポートしたいと思う。 パルサーってどんなクルマ? まずパルサーについて解説。 パルサーの歴史は長い。 日産自動車が1978年から2000年まで、5代にわたって発売を行っていた。 当時のメーカーラインナップのなかでは、スタンダードなモデルである。 ボディタイプは世代ごとに違う点はあるが、大まかに3ドアハッチバック・4ドアセダン・5ドアハッチバックが用意されていた。 まだ、海外ではパルサーの名は残っているが、海外専売車となっている。 ワンオーナーにレアな個体も!個性ある参加車たち パルサーには派生車も存在していた。 その名は、パルサーEXA(エクサ)というモデルである。 パルサーEXAということだけでも十分にレアなのだが、そのなかでも極めてレアなコンバーチブルが、今回初参加されていた! 1985年に特別仕様車として、100台限りで発売された。 台数から、当時でも大変希少なモデルであることは間違いない。 そんな希少車が、38年の時を経て、ここまでキレイな状態で残っていたことには驚きである。 近年、若い世代の方々が、旧車オーナーになられることが多い。 今回のイベントでも、多くの若いオーナーが参加されていた。 しかし、まだまだ現役! 新車時から乗り続けていらっしゃる、オーナーの方も。 それが、このN14型パルサーGTI-Rだ。 最近、パルサーを長期で修理することになり、必要に迫られ別のクルマを入手されたそうだ。 それまでは、このパルサーとともに過ごしてきたとのこと。 オーナーは「長い年月をともにして、味が出てきているでしょ」と笑いながらおっしゃっていた。 たしかに、映画で観るヨーロッパの街並みに溶け込んだ、コンパクトカーにも見えてきた。 筆者の琴線に触れたイチオシパルサーたち 会場で、個人的に筆者が気になったパルサーを紹介したいと思う(筆者のマニアック目線なのはご勘弁を!)。 N14型GTI-Rは、イメージカラーがブラックなのもあり、目にする多くはブラックだと思う。 このイベントでも、半数以上のボディカラーはブラックである。 紹介するのは、GTI-Rのなかでも“超”が付く程のレアカラー「グレイッシュグリーンメタリック」である。 このボディカラーが設定されていたのは、モデルライフ中盤の僅かな期間だけだったのだ。 そのため、長年のGTI-Rオーナーやフリークでも、設定があったことを知らない人が多数であった。 ただ、GTI-R以外のグレードでは長期間設定されており、それなりの人気カラーであった。 どの車種でも、ボディカラー遍歴としてよくあるのは、デビュー時に多くの色を設定。 マイナーチェンジで、不人気色を廃止もしくは差し替えである。 筆者の予想としては、他グレードでそれなりの人気カラーだったことから、試しに設定して様子を見ていたのかもしれない。 結果としてはGTI-Rで選択するオーナーが少なく、廃止になったのではないかと予想する。 次に紹介するのは、cのディーラーオプションマシマシ仕様だ。 実は何度か、出先でお見かけしたことがあった。 まるで、ディーラーオプションカタログから飛び出してきたような姿に、驚いたのだった。 今回、参加されていたので、間近で拝見することができた。 大きな珍しいものでは、ストライプ(デカール)とウィンドウスクリーンである、 N15型でサイドストライプを装着しているのは、グレード問わずなかなかお目にかかれない。 まだプライバシーガラスの設定や装着率が低い時代、リアサイド・バックゲートに車名入りのスクリーンが設定されていた。 海外から参加のパルサーフリークも! 今回、日本各地からパルサーオーナーたちが集まった。 それだけでもすごいことなのだが、なんとニュージーランドから、このイベントのために来日された方が居られたのだ! 今回の開催地は、人気の観光地にて駐車場の1区画を貸し切りにして行われている。 筆者は最初、開催地へ観光に来た方が、ついでに見学しているのだと思っていた。 しかし、事務局から閉会時に紹介があり、このイベントを目的としてお越しになられていることを知ったのだ。 次の項で紹介するじゃんけん大会の際、非常にレアな海外仕様のテールレンズとフロントグリルがエントリーしていた。 そのアイテムたちは、ニュージーランドからのお土産として持参されたとのことだった! 国籍や文化は違っても、同じクルマが好きなマニアの心は同じなのだ!と、このお土産のセンスから、強く感じてしまった(笑)。 過去最長! 2時間にも及んだ白熱のじゃんけん大会 このミーティングの目玉イベントとして、各自景品を持ち寄って行うじゃんけん大会がある。 事前に事務局から、景品持参のお願いがアナウンスされている。 嬉しいことに、年々景品としてのアイテムが増加しているとのこと。 その理由としては、自動車部品に限らず、各地から集まった方々が地元のお土産など、バラエティに富んだアイテムを持参されている。 また、持ち込まれた部品については、出品者にとって不要になったものだとしても、同一車種オーナーからすれば「お宝」が多い。 多くの仲間が集まるこのイベントで、再び使ってもらいたいと持ち寄っているのだ。 また、じゃんけんという平等な方法で、部品の行き先が決まるのも気持ちがよいものだ。 総括:今後の記録更新に期待! 今回の参加台数だが、事務局によると過去最高台数の65台とのことだった。 参加されたモデルは、2代目・4代目・5代目が集まった。 最終モデルの生産が終了して23年経っているが、参加台数は増え続けている。 それは、年々台数は減っていても、好きな人が増えているのだと考えられる。 趣味の対象として選ばれる時期になってきたのだろう。 過去のイベントでは、初代・3代目が参加された回もあった。 今後は、歴代モデルのコンプリートをぜひ、実現してもらいたいと願ってやまない。 [ライター・撮影/お杉]

縁の下の力持ち「エンジンマウント交換」の重要性とは?
旧車の再生と維持2023.04.03

縁の下の力持ち「エンジンマウント交換」の重要性とは?

読者の皆様は「エンジンマウント」という部品をご存知だろうか? クルマのメンテナンスが好きな方は、なんとなく想像できると思う。 今回、意外と注目されていない部品「エンジンマウント」に注目をしてみたいと思う。 ■エンジンマウントってなに? 「エンジンマウント」とは、エンジンを“車体上に乗せる=マウント”するための部品である。 最近、巷で話題の“マウント”という言葉の意味は、確かに合っている(笑)。 エンジンやミッションは、マウントを介してクルマに固定されている。 部品自体は、ゴムなどのブッシュが内蔵された金属や強化樹脂製のブラケットになる。 取り付け時は、ブラケットが車体側・ブッシュがエンジン側になる。 ブッシュによってエンジンの振動が吸収され、車体側に伝わらない仕組みになっている。 トランスミッションにも同様のマウントが存在し「ミッションマウント」といわれている。 今回「エンジンマウント」と銘打っているが、ミッションマウントも同様と考えていただければと思う。 ■エンジンマウントがダメになったらどうなる? 交換歴がない旧車(20年以上経過)の多くは、すでにくたびれた状態になっている可能性が高いと思われる。 というのも、エンジンマウントは重量物であるエンジンを支えている部品であり、常に重さが加わり続けている状態である。 そのため、走行距離だけでなく、経過年数により劣化して、その免振機能が低下してしまう。 エンジンマウントが劣化したことに気が付くきっかけの多くは「振動」になる。 劣化によりブッシュが硬化してしまい、今まで吸収されていた振動が伝わることになる。 また、長年エンジンやミッションの重さを支えていたことから、ブッシュがつぶれてしまい、位置が下方向に落ちてしまうことがある。 そのため、エンジンやミッションの搭載位置にズレが生じてしまう。 ズレによって、他の部品へ負担がかかることや、スムーズなシフト操作を妨げることにも繋がる。 ■マウント交換は快適性UPに効果テキメン! 筆者の愛車で、劣化に気が付いたきっかけを紹介したいと思う。 1つ目は、AT車でリバースにシフトした際、振動が発生した。 アイドリングや走行をしていても問題となる症状はなかった。 しかし、車庫入れ等でリバースに入れた際、驚くほどの振動が車体を揺らしたのだった。 後退時、エンジンとミッションが普段と逆の方向に捩じれる動きとなる。 劣化したマウントの収まりが悪くなり、振動が発生していた。 交換する際、外した部品の見た目に大きな劣化は見られなかった。 しかし、新旧の部品を並べたところ、古い部品のブッシュ側の固定点位置が下がっていることがわかった。 事実、マウント交換後はエンジン位置が今までよりも高い位置になったのだ! それだけ、マウントは劣化して搭載位置が下がってしまっていたのだった。 2つ目は、MT車でクラッチを繋ぐ際、ジャダーのような振動が発生した。 この振動の原因は、ミッション側のマウントの破断が主な原因であった。 交換時、取り外したマウントは劣化して切れた状態となっていた。 車両は、走行距離10万kmの2001年式 三菱 トッポBJである。 同じく10万km目前の2000年式ダイハツ ミラでも、ミッション側のマウントが破断していた経験がある。 両車ともにMTであり、ミッションマウントへの負荷が大きいのかもしれない。 助手席側のタイヤハウス内、アクセスしやすい場所にあるマウントである。 もし、読者の方で同様の気になる振動がある方は、確認されてみてはいかがだろうか。 ■強化品という選択肢も! エンジンマウントには、強化品も存在している。 封入されたブッシュが標準よりも硬いものと思っていただければ、イメージしやすいと思う。 強化品がラインナップされている目的としては、モータースポーツ用途のためである。 TRDやNISMOといった自動車メーカー系ブランドからもリリースされている。 加減速時、エンジンやミッションは大きく揺れや傾き・捩じれといった動きをする。 街中を普通に走る分には、気にならない程度の動きである。 スポーツ走行をする場合、高負荷がかかり動きも大きくなるが、可能な限り小さくしたい。 強化マウントは、それらを抑える役割を担っており、アクセルレスポンスやシフトフィーリングが向上する。 調べたところ、すでに旧車の域に入っている人気スポーツカーにも設定されている。 車種によっては、純正部品が製造廃止になっていることも、おおいにあり得る。 その場合、強化マウントを流用するといった対応策も選択肢の一つとして可能となる。 強化マウントではあっても、劣化した本来の性能が出せていない標準のマウントと比較して、快適性や操舵性能が良くなることは間違いない。 そしてほんの少し、スポーティになる副産物がついても来るのだ(笑)。 ■まとめ:エンジンマウントは縁の下の力持ち! エンジンマウントは、快適な車内空間を保つ、縁の下の力持ちなのである。 常に支え続けていることで、距離は走っていなくとも劣化してしまう。 気になる振動が出ている場合、マウントの劣化を疑って、早めの交換をオススメしたい。 快適性向上だけでなく、他部品への負担軽減にも繋がり、より長く愛車との時間を過ごせることに繋がるだろう。 [ライター・撮影/お杉]

ついに富士スピードウェイへ!手作りの6輪F1タイレルP34を追え!Vol.4
旧車の愛好家たち2023.02.15

ついに富士スピードウェイへ!手作りの6輪F1タイレルP34を追え!Vol.4

■富士スピードウェイに並ぶ2台のレーシングカー 今回、タイレルが富士スピードウェイでのイベントにて展示されるとの情報を得て、現地に向かった。 メインコースで行われていたK4-GPのパドック内の特設ブースに展示されていた。 そこには、タイレルとGP 935の2台が展示されていた。 このGP 935は、なんとスズキのカプチーノをベースとしたカスタム車両であった。 展示会場となったK4-GPとは、軽自動車の耐久レースの名称である。 そのため、ベースが軽自動車であるGP 935と並んでの展示となっていた。 今回、GP 935を制作された方のお誘いによって、この富士の地でタイレルも一緒に展示する運びとなったのだった。 ■進化を続けるタイレル 前回、タイレルは76年日本グランプリでのシェクター仕様に進化をとげていたことをご報告したと思う。 今回、新アイテムと更なる機能美を備え、進化をとげていた。 新アイテムとは、ジョディ仕様のヘルメットである。 1976年に日本初のF1グランプリが開催された際、ジョディ・シェクターが被ったヘルメットデザインが再現されている。 機能としての進化点は、チェーンカバー・エアクリーナーボックスカバーの追加である。 タイレルの心臓部はスズキのバイク、ハヤブサである。 そのため、駆動系はチェーンを用いている。 今回装着されたチェーンカバーは、走行中にチェーンが破断した際、飛散防止のために取り付けられたとのこと。 今回は展示のみで、走行することはなかったが、今後走行する機会が増えることを見据えた進化であった。 筆者としては、走行する姿を目にする機会が増えることが、今から楽しみである。 安全のために用意されたカバーも、ただの無機質なモノではないところがこだわりを感じて止まない。 カバーとはいえ、曲線美を纏った形状で制作されていた。 この流線形の形状も、もちろん綿引氏の手によって、一から叩き出して生み出された唯一無二の一品なのだ。 エアクリーナーボックスカバーについては、テーマである76年シェクター仕様を彷彿とさせるデザインとなっている。 カバーをすることで、走行時に異物を吸い込んでしまうリスクを防ぐことができる。 メッシュの奥に、ファンネルが見える点が非常に心をくすぐられる。 ■タイレル制作 前進のきっかけ 製作者である綿引氏にお話を伺っていたところ、タイレル制作が大きく前進したきっかけについて、知ることができた。 昨今のコロナ禍による、外出自粛がきっかけとのことだった。 それまでは、休日はご家族と外出する機会が多かったそうだ。 しかし、緊急事態宣言の発令に伴い、外出する機会がなくなってしまった。 そこで、休日の空いた時間を利用して、工房にてタイレルの制作に勤しまれた。 今回のように、イベントを行える機会が増えたタイミングで、タイレルは多くの人々の前に姿を現したのであった! 今回の展示に際して、ご子息もご一緒に参加されていた。 ご子息もクルマが好きとのこと。 富士スピードウェイの隣にできた、富士スピードウェイホテル内「富士モータースポーツミュージアム」(https://fuji-motorsports-museum.jp/)へ親子で見学に行かれたそうだ。 タイレルのみだけでなく、家族サービスも抜かりはなかったのであった(笑)。 ■GP 935もこだわりが凄かった 今回、隣に展示されたGP935についても、気になる読者は多いだろう。 このGP 935は冒頭で触れた通り、90年代にスズキから発売されていた「カプチーノ」がベース車両となっている。 驚くべきことに、ボディサイズから普通車にはなっているが、ナンバー付きの公認車両なのである。 そのため、公道を走行することが可能となっている。 この車両は、今回K4-GPに参戦されているチームが制作している。 「きっと、プロのレーシングチームなのだろう」と、お話を伺うまでは思っていた。 しかし、チームメンバーの方々は、趣味でレースに参戦されているとのことだった。 チームとして発足してから歴史は長いが、普段は各々本業があるとのこと。 レース活動の延長線上で、GP 935を制作されたそうだ。 今回GP 935は出走車両ではなかったが、レース参戦用の車両を別に用意して挑まれていた。 そのマシンはスバル ヴィヴィオ。 旧車王ヒストリアとしては、ドンピシャな年代の車種であった。(笑) ■K4-GPとは? 今回、タイレルとGP 935が展示されたイベントのK4-GPについても触れたいと思う。 K4-GP(https://k4-gp.com/)は「軽自動車で多くの人にモータースポーツを楽しんでもらおう」という趣旨のもと、夏と冬の年2回、耐久レースが開催されている。 初心者からレース経験者まで、ともに楽しめることを目的とされている。 車両制作・改造は参加者の意思を尊重して、レギュレーションの範囲内で自由に行うことができる。 また、車両クラスも細かく設定されており、多くのカテゴリーに分かれている。 そのため、普段街で目にするクルマからレーシングカー顔負けのボディメイキングをされたマシンまで、バラエティに富んでいる。 混走する形で、出走台数127台と想像以上に多いことにも驚いた。 だが、軽自動車のみのため、コースが狭い印象はなかった。 レースと聞くと、MTのイメージがあると思う。 しかし、K4-GPではATやCVTのクラスも設けられている。 レギュレーションに合致していれば、普段乗っているクルマでの参戦も可能となる。 事実、帰宅時に高速道路で、参戦車両が自走で帰路に就いているところに遭遇した。 興味を持たれた方は、一度ホームページを覗いてみてはいかがだろうか? ■巴自動車商会/カスタムビルド&レストア WATAHIKI 店舗情報 住所:〒310-0912 茨城県水戸市見川3-528-2TEL:TEL/FAX 029-243-0133URL:http://cbr-watahiki.comお問い合わせ:http://www.cbr-watahiki.com/mail.html ●綿引氏のYouTubeチャンネル"cbrwatahiki" 「アルミのイオタ」および「タイレル P34」の製作風景も紹介されていますhttps://www.youtube.com/user/cbrwatahiki/featured ■Special Thanks! K4-GP:https://k4-gp.com/ [ライター・カメラ/お杉]

チャイルドシートにも種類がある!?旧車に装着する場合の注意点とは?
旧車の魅力と知識2023.01.06

チャイルドシートにも種類がある!?旧車に装着する場合の注意点とは?

筆者には愛してやまない3歳の甥っ子と生後7ヶ月の姪っ子がいる。 最近、少し落ち着いたが、誰に似たのか、甥っ子はクルマが大好きだ。 現行車の名前はもちろん、旧車王ヒストリアで扱う年代(彼にとっては、本当の旧車なのだと気づき、感慨深くなってしまった)でも知名度の高い車種はわかるようになってきた。 現行車であるが、ジムニーシエラ、フェアレディZのカタログをプレゼントした。 そしたら、各ページの謳い文句を暗記。 グレードも判別ができるようにまでなっていた! おっと、甥っ子の話は今回の本題ではないので、ここまでにしよう(笑)。 そんな甥っ子、姪っ子とクルマで出かける際の必須アイテムのひとつがチャイルドシートである。 今回は、筆者所有の旧車にチャイルドシートを装着した経験から、読者の方々に少しでも情報共有ができればと思う。 同じに見えるチャイルドシート、実は取付方法にも種類が! 筆者が所有する「愛車たち」の生産された年代は、1992年〜2002年式と、10年くらいの幅がある。 それぞれの愛車を見比べると、この10年という期間において、クルマの進歩は目覚ましいものがある。 そのなかのひとつが、安全性能であり、チャイルドシートに関連する機能の進化だ。 チャイルドシートの固定方法については、大きく分けて3種類ある。 まず、現代の主流であるISO-FIXタイプ。 現在販売されているクルマは、ISO-FIXという規格にて簡単に取り付けが可能となっている。 シートの座面と背面の間に固定用のバーがある。 対応したチャイルドシートは、ワンタッチでバーに固定することができる。 確認方法としては、取り付け位置付近にマークが設置されている。 2つ目はALR(自動ロック)付きELR式シートベルトタイプ。 シートベルトを最大限に引き出した後、戻していくと引き出し方向へはロックされる構造となっている。 チャイルドシートを固定する際、緩みを少なく装着することができる。 確認方法としては、上記のようにシートベルトを操作して確認することである。 車両によっては説明が書かれている場合もある。 3つ目はELR式シートベルトタイプ。 従来からある、急ブレーキ時にロックするタイプである。 運転席のシートベルトと同様の構造とイメージしていただければ分かりやすいと思う。 このタイプの場合、チャイルドシートメーカーから、固定用の金具がオプションで用意されている。 固定用金具については、使用するチャイルドシートに合うものの確認を行っていただきたい。 これらクルマ側の仕様に合わせ、取り付け可能なチャイルドシートを選ぶ形となる。 同じクルマでも年式で取り付け方法が違う⁉ ここまでは、チャイルドシートの取り付け方について紹介した。 同じ車種でも、取り付け方が異なるパターンもある。 ここからは筆者の体験を交えて、説明したいと思う。 まずは、筆者の愛車であるU14型ブルーバードを例に挙げてみよう。 U14型ブルーバードは96年1月にデビューをしている。 筆者の愛車は98年4月登録の車両である。 前述のALR付きELR式シートベルトが装着されている。 しかし、96年式では、ELR式シートベルトとなる。 同一モデルでも、マイナーチェンジで安全性能がアップデートされているのである。 このような違いは、よほどのマニアでも知らないと思う(笑)。 実は、筆者の親族が96年式のモデルを所有している。 その車両にチャイルドシートを装着しようとした際、ALRの自動ロック機構がないことに気がついた。 もう一例として、T30型エクストレイルを例に挙げる。 筆者が所有しているのは、2002年式モデルである。 購入後に甥っ子が生まれ、改めて車両を確認した。 てっきりISO-FIXが装着されていると思っていたが、確認した際に装着されていないことを知った。 ALR付きELR式シートベルトは装着されているため、ブルーバード同様にチャイルドシートは装着できる。 2002年当時はまだ、ISO-FIXはメーカーオプション(工場装着オプション)の扱いとなっていたのであった。 ちょうど過渡期の時期に登場したモデルでは、このようなケースもある。 過去、クルマに詳しくない友人から、相談を受けたことがある。 「ISO-FIXのチャイルドシートを買ったけど、自分のクルマに付くのかな?」 その結末はそのことについてまとめた。 現代主流のISO-FIX、旧車にもあるのか!?確認方法とは? 友人は、2000年代初頭のミニバンに乗っていた。 チャイルドシートを購入する際、車名と年式で調べ、ISO-FIXという単語と装着事例を見たようだ。 購入後、いざ車両に装着する段階で、ISO-FIXが車両に無いことに気が付いたのだった。 これも、ISO-FIXがまだオプション設定のクルマだったため、起きたハプニングであった。 結果としては、チャイルドシートは装着可能なモデルに交換してもらえたそうだ。 過渡期のモデルでは、今回のようなパターンが実際にある。 では、車両に装着されているかの確認方法を説明したいと思う。 多くは後席の座面と背面近辺に「ISO-FIX」を明示する、マークやタグが装着されている。 過渡期世代の明示については異なることもあるため、各車の取扱説明書にてご確認いただきたい。 いざ取付け!しかし思わぬ落とし穴も ここまで、旧車にチャイルドシートを取り付けるための説明をまとめてきた。 では、実際に取り付ける段階になるのだが、ここで思わぬ落とし穴が! チャイルドシートを車両に乗せると、意外と大きいことに驚く。 着座姿勢で装着する場合では、大人と同じ一席分で収まる。 しかし、0歳児用のチャイルドシートは、背もたれを寝かせてベッドスタイルにする。 このベッドスタイルが予想外にスペースを取ることを、装着して初めて知ったのだ。 姪っ子用に購入したチャイルドシートは、ベッドスタイルにした際、左右方向に寝かせるスタイルだ。 リアシートに装着したところ、中央席分のスペースも使用するほどのスペースを要したのだ。 5名乗車出来るクルマだが、4名しか乗れなくなってしまったのだ。 前後、左右方向に余裕のある車両なら問題はないだろうが、旧車世代は車内スペースがタイトな場合が多い。 そのことも考慮し、購入を検討する際はぜひ販売店で試着させてもらうことを強くお勧めする。 まとめ:必要になる前にクルマの機能とチャイルドシートの種類を理解しておこう クルマの機能とチャイルドシートの種類をよく理解すれば、多くの旧車世代車両にも装着は行える。 但し、くれぐれも誤った装着とならないよう、万全の確認をしていただきたい。 筆者含め、旧車に乗りつつ次世代のクルマ好きを皆さんと一緒に育てていきたいと思うばかりだ。 [ライター・撮影/お杉]

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