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伝説の2シーターオープンスポーツカーであるトミーカイラZZを、ピュアEVとして復活させたトミーカイラZZ EV。99台しか生産されず、まさに幻のスポーツカーと言える存在です。旧車王では2022年11月に350万円という高価格で買取っています。今回は、そんな超希少な国産ピュアEVオープンスポーツカーのトミーカイラZZ EVの登場した経緯と特徴を紹介します。 トミーカイラZZ EVとは トミーカイラZZ EVはエンジンを持たないピュアEVで、2015年10月から99台限定で販売されました。ここでは前身となったガソリンエンジンのトミーカイラZZを振り返りながら、誕生の経緯を紹介します。 前身となったトミーカイラZZ 前身となったトミーカイラZZは、京都の小さな自動車メーカー「トミタ夢工房」から1997年に発売されました。創業者であり開発者の富田義一さんと解良喜久雄さんは「二人の爺さん(爺爺)(ZZ)が開発したからZZと名付けた」と語っており、2人の夢と遊び心が詰まったスポーツカーであることが分かります。 シャーシにはアルミモノコック、ボディはFRPで作られており、エンジンは日産製SR20DEが搭載されています。エンジン出力は185psと目を見張るほどの数値ではありませんが、車重は690~740kgと超軽量なため、まさにレーシングカーと呼ぶにふさわしい車でした。 トミーカイラZZはイギリスで生産されており、輸入車の衝突安全基準が改正された関係で1999年に生産終了。その生産台数は、206台(海外を含めると220台)にとどまっています。 トミーカイラのブランドを受け継ぐGLM そんな幻のスポーツカー、トミーカイラZZをEVとして復活させたのは、京都大学発の次世代車開発ベンチャーとしてスタートしたGLM株式会社です。 新型車を検討する際、トミーカイラの創始者である富田義一氏と出会い、ZZ EVの開発が開始されることとなります。 新型車の開発初期、当時GLMの代表だった小間裕康氏は、トミーカイラZZが同じ京都で開発・発売された車だということを知ります。 「とにかく、とんがったクルマを世に送り出したかった」という小間氏は「トミーカイラ創業者の冨田義一氏にZZのEVを作りたい」と直訴。富田義一氏は快く依頼を受け入れ、ピュアEVスポーツカーの開発が開始されました。 実際の開発に際しては、元祖トミーカイラZZの販売当時とは安全基準が変わっていたため、モノコックをイチカから作り直し、フロント周りの意匠が大きく変更されています。 EVらしさをダイレクトに感じられるソリッドなスポーツカー トミーカイラZZ EVはスパルタンで伝統的なスポーツカーらしさと、EVらしさ兼ね備えたスポーツカーです。ここでは、そんなトミーカイラZZ EVの特徴と魅力を詳しく紹介します。 航続距離はわずか120km!?実用性皆無のレーシングモデル トミーカイラZZ EVに乗り込むと、見慣れたナビはおろかオーディオやエアコンスイッチすら見当たりません。リクライニング機能のないバケットシートは最大限まで低く設定され、ヒップポイント280mmです。 そこはまさにレーシングカーの世界そのもので、スタートはEVらしく無音ですが、その未来感とは裏腹にパワステやブレーキブースターは装備されていません。ブレーキは初期制動が弱いためガツンと踏み込まなければならず、慣れるまでは注意が必要です。 ルーフもサイドウインドウも装備されておらず、ドアは内側からしか開けられません。航続距離も120kmと短く、長距離移動はおろか近距離のドライブでも心もとないレベルです。まさに実用性は皆無ですが、この車の魅力は、その不便さをも超えて余りあまる走りの楽しさにあります。 超軽量ボディにハイパワーモーター 実用性を犠牲にしてまで手に入れたのは、スポーツカーとして他に類を見ないモーター+軽量ボディというパッケージングです。 トミーカイラZZ EVの車両重量は850kgしかなく、組み合わされるモーターの最高出力は305ps、最大トルクは42.3㎏・m。軽自動車よりも軽い車体に、高性能な2Lターボを上回る出力を備えていると考えれば、トミーカイラZZ EVがいかに俊足かは容易に想像できるでしょう。スタートから時速100kmに到達するまでの時間は、わずか3.9秒です。 もちろん、トラクションコントロールやABSは装備されておらず、そのパフォーマンスを引き出せるかどうかは全てドライバーにかかっています。「レーシングカーを公道で操る」これこそ、トミーカイラZZ EVの持つ魅力です。 トミーカイラZZ EVの中古車市場 トミーカイラZZ EVの販売台数は、先祖であるトミーカイラZZを下回る99台で、中古車としては極めて希少な車種と言えます。大大手中古車販売サイトを確認したところ、原稿執筆時の2022年12月現在、わずか1台のみですが、690万円で販売されていました。 実用性がほとんどなく趣味性が極めて高いため、誰しもが飛びつく車種ではないのかもしれません。 まとめ テスラやポルシェなど、今ではEV+スポーツカーの組み合わせはそれほど珍しい存在ではありません。しかし、トミーカイラZZ EVが発売された2015年は、まだまだ一般的ではありませんでした。 そんな時代に発売されたトミーカイラZZ EVは、先祖であるトミーカイラZZに込められた「夢」と、現代の最先端技術である「EV」を組み合わせた日本のモノづくり精神を象徴する唯一無二の存在です。
「シビックタイプRといえば高回転型NAエンジン!」とイメージする方も多いのではないでしょうか。EK9型から始まったNAエンジンのシビックタイプRは、その官能的なエンジンフィールで令和になったいまもクルマ好きを魅了し続けています。しかし一番人気の初代EK9は、500万円近いプライスがついており、簡単に手が出せるクルマではありません。 そんな中「どうしてもNAエンジンのシビックタイプRが欲しい!」という方におすすめなのが、EP3型2代目シビックタイプRです。そこで今回はEP3型2代目シビックタイプRが狙い目の理由と、その魅力を紹介します。 イギリス帰りの異端児!EP3型2代目シビックタイプRとは 2001年12月に発売されたEP3型シビックタイプRは、欧州向けシビックをベースに開発された高性能3ドアハッチバックです。まずはその概要を紹介します。 ベースは欧州仕様の3ドア仕様 EP3型シビックタイプRの発売当時、日本では5ドアのシビック(EU型)しか販売されていませんでした。代わりにベースとして選ばれたのが、欧州仕様の3ドア仕様のシビックです。 欧州仕様のシビックをベースに装備がアップデートされ、タイプRとして初めての逆輸入車となりました。そのデザインは「Dangan(弾丸)」といわれるスポーティなもので、タイプR専用エアロフォルムバンパーや大型テールゲートスポイラーを装備しています。 ハッチバックで最強のNAエンジン エンジンは同時期のDC5型インテグラタイプRと同様に、2リッターのK20Aが搭載されています。専用にチューニングを施されたK20Aは、最高出力215PS/8000rpmを発生。6速MTとの相性もよく、そのままサーキットへ持ち込めるマシンです。 エンジンスペックは同型のK20Aを積むDC5型インテグラタイプRと比べ、5PS低くなっていますが、パワーステアリングが電動化されたことでパワーロスが少なくなっているため、体感的にほとんどその差は感じません。 サーキットからワインディングまで楽しめる 同時期に発売されたDC5型インテグラタイプRは、サーキットでの走りを重視すべく、足回りがガチガチに固められていました。対して、EP3型シビックタイプRはサーキットだけでなくワインディングも気持ちよく走れるように味付けされています。 また前後オーバーハングを切り詰めたデザインは回頭性もよく、ジムカーナなどの速度域の低い場面でも強さを発揮します。 タイプR伝統の装備は健在 控えめなデザインが特徴のEP3型シビックタイプRですが、内装はタイプR伝統の赤ベースで、レカロ製の真っ赤なバケットシートやMOMO製ステアリングを装備しています。 また、スポーツタイプとしては珍しいインパネから生えるシフトノブもEP3型シビックタイプRの特徴です。ステアリングから近い位置にシフトノブを配置することで、クイックなシフト操作が可能となっています。 発売当初は賛否両論あったインパネシフトも、スポーツ走行時も操作がしやすく、ユーザーからも好評でした。 EP3型2代目シビックタイプRの日本導入は予定されていなかった 開発当初EP3型シビックタイプRは、日本へ導入される予定はありませんでした。しかし、逆輸入という形でタイプRの発売が決定したのはなぜなのでしょうか。ここでは当時の背景を振り返ります。 日本はミニバン全盛の時代に欧州専用モデルとしてタイプRの開発がスタート 2000年代当時の日本は、ミニバン全盛の時代です。日本版シビックはスポーティさを前面に出さず、前後ウォークスルーができるスペース効率の良いファミリーカーとして販売されました。一方、イギリスをはじめとする欧州では、実用性に優れたスポーティなハッチバックの人気は根強く、市場の3割を占めるほどでした。 そんな中、ヨーロッパでシビックの存在感を示すため、最上級グレードとしてタイプRの開発がスタート。他のタイプRと同様に、日常でもサーキットでも走れるスポーツモデルを目指し開発が進められます。 また、ヨーロッパは日本よりも速度域が高く、快適で疲れないクルマが必要だったこともあり、結果としてライントレース性が高く、高速でも疲れない新しいシビックタイプRが完成しました。 トップの一言で日本向けシビックタイプRの開発が決定 日本向けのシビックタイプRが開発されるきっかけを作ったのは、7代目EU型シビックの新型試乗会です。会場には、展示車として欧州向けの3ドアモデルがあり、評論家から非常に高い関心が寄せられました。 その光景を見た当時の社長が懇親会で発した一言により、急遽日本仕様のシビックタイプRが開発されることになったのです。 日本ではタイプRといえばサーキットのイメージが強く、荒れた公道を想定した欧州向けとは足回りの味付けを変える必要がありました。日本向けシビックタイプRは、欧州仕様の高速巡航性能をそのままに、ステアリングの応答性能を向上させました。加えて、サーキットやワインディングを気持ちよく走れる仕様に変更されています。 EP3型2代目シビックタイプRの中古車相場 大手中古車情報サイトを見ると、2022年12月の原稿執筆時点で、修復歴なしのEP3型2代目シビックタイプRの中古車相場は105万円から248万円です。 EK9型が180万円から498万円、FD2型は188万円478万円で、2代目シビックタイプRが手の届きやすい価格であることがはっきりとわかります。しかし、現存する台数が少なくなりつつある現状を考えれば、今後は値上がりが予想されるでしょう。 まとめ 2022年9月、新型シビックタイプRが発売されました。その人気はすさまじく、400台というひと月の生産台数に対して、その4年分程度の注文が入っているといいます。 最高出力330㎰を発生する新型シビックタイプRのターボエンジンは魅力的かもしれません。しかし、高回転NAのVTECエンジンがホンダの一時代を築いたことは、誰もが認める事実です。 EP3型シビックタイプRは高回転NAエンジンが楽しめ、誰でも購入できる唯一のタイプRとも言えます。ホンダならではの官能的なVTECエンジンを搭載するEP3型シビックタイプRを購入検討しているなら、今がチャンスなのかもしれません。
フロントグリルにおさまる、「R」が強調されたエンブレム。日産のみならず、日本を代表するスポーツカー、スカイラインGT-Rの証です。特に人気なのがR34型スカイラインGT-R。しかし、あなたの目の前にあるGT-Rは、本来の型式であるBNR34ではなく「ER34」かも知れません。 R34マニアが、ER34をベースにカスタマイズしたGT-R仕様車が今注目されています。外観上は見分けがつかないほど精巧なカスタマイズ車も存在する、ER34のGT-R仕様について詳しくみてみましょう。 R34型は第2世代最後のスカイライン R34型スカイラインは、R32型から続く第2世代と呼ばれるスカイラインの最終モデルです。当時不評だった、丸みを帯びた重い印象のR33型の後継ということで、スカイラインらしさを感じるシャープな印象に仕上げられました。 下位グレードであるにも関わらず人気のあったER34も含めて、R34型スカイラインについて振り返ってみましょう。 BNR34は「スカイライン」最後のGT-R BNR34は、結果的にスカイラインとして最後のGT-Rになりました。スカイラインの最上位グレードとして生まれたGT-Rですが、BNR34の後継モデルの35型からは「GT-R」という車名でスカイラインから独立したためです。 BNR34はスカイラインGT-Rの集大成にふさわしく、クルマとしての完成度を追求したモデルでした。「究極のドライビングボディ」と称して、ボディ剛性と空力特性を大幅に向上。さらに、前後重量配分は、理想的といわれる50:50に限りなく近い55:45を実現しました。 エンジンは第2世代GT-R共通のRB26DETTですが、ボールベアリングタービンの採用などで最大トルクは40kg・mにまで引き上げられています。 FR車として人気の高かったER34 R34型スカイラインのなかでは、スポーティーモデルのER34も人気の高いモデルです。GT-Rの性能には及ばないものの、ターボモデルに搭載するRB25DETエンジンは自主規制いっぱいの最高出力280psを発生させます。駆動方式がスポーツ走行に最適なFRということもあって、スポーツ走行から街乗りまで幅広く楽しめることもER34の魅力です。 また、カスタムベース車輌としても、ER34は支持を集めています。完成度の高いGT-Rではカスタマイズを楽しもうにも手を加える余地があまり残っていないうえ、中古車価格の高騰でそもそも入手が困難です。結果的に、GT-Rに比べると安価に入手でき、チューニング余地の残るER34はカスタマイズユーザーにとってはちょうど良いモデルなのです。 ER34のGT-R仕様が熱い ER34で人気のカスタマイズが、GT-R仕様への変更です。基本的なシャシーやボディデザインが共通のため、パーツの流用によってER34をBNR34風に仕上げることができます。 ライトチューンから性能面含めてGT-Rを狙う本格的なものまで、ER34のGT-R化について詳しく紹介します。 ライトチューンで雰囲気を楽しむ ER34のGT-R化で定番なのは、フロント周りの変更でGT-R顔にしてしまうカスタマイズです。あまりボディ本体に手を加えずに楽しめるため、比較的手軽にGT-Rの雰囲気を味わえます。 具体的には、フロントバンパー、フェンダー、ボンネットをGT-R用のパーツに変更するだけです。クルマの性能自体は変わりませんが、GT-Rルックを手軽に手に入れられます。 また、本物のGT-Rにはなりませんが、ER34用に発売されているGT-R風フロントバンパーを利用すればもっと簡単です。フェンダーやボンネットといった大型のパーツを変更することなく、GT-R風を楽しめます。 RB26DETTエンジンを搭載してGT-Rに近づける ER34のGT-R化は、見た目だけにとどまりません。GT-Rに装備された高性能パーツも、ER34に移植可能です。代表的なのはブレーキの移植で、取り付けの難易度もそこまで高くありません。また、GT-Rからのブレーキの流用は、R34型だけでなくR35型のものも最近では人気です。 さらに、本格的にGT-Rを目指すチューナーのなかには、GT-RのRB26DETTエンジンに載せ替える人もいます。手間はそれなりにかかりますが、究極のGT-R仕様ともいえるでしょう。 本物にはない装備で楽しめる ER34をGT-R仕様にすると、本物とは違う個性的なGT-Rを楽しめます。たとえば、4ドアセダンをベースに制作すれば、4枚ドアという迫力のあるGT-Rも実現可能です。 また、サンルーフも本物のGT-Rには設定がありません。純正オプションのサンルーフ装備のER34であれば、開放感のある特別なGT-Rに仕上がります。 内装もBNR34とER34では異なるので、全てをGT-R仕様にすることは困難です。しかし、あえてER34のよさを活かすことで、本物とは違う魅力を引き出せます。 高額査定にもつながるER34のGT-R仕様 最後のスカイラインGT-R、BNR34の人気が高いことはいうまでもありません。しかし、ER34も当時の新車価格を上回る価格で取引されるなど、チューニングベースとしても素性が良いだけに現在でも高い人気を誇ります。 さらに、ER34のなかでも注目されているのが、GT-R仕様の車輌です。GT-Rの純正パーツを利用してしっかりと作り込まれていれば、高額査定につながることも少なくありません。一般的には、純正から変更されていると売却価格は下がりますが、ER34のGT-R仕様なら場合によってはリセールバリューの向上につながります。 GT-Rを楽しむ方法の1つとして、入手の難しいBNR34ではなくあえてER34を選んでカスタマイズという手段も検討してみてはいかがでしょうか。
セダンやクーペなどと相性が良く、どこかノスタルジックな雰囲気を醸し出すフェンダーミラーは旧車ならではの特徴です。今回は旧車を語る上で欠かせないフェンダーミラーの歴史と、そのメリット・デメリットについて紹介します。 日本におけるフェンダーミラーの歴史 今ではほとんどのクルマがドアミラーを採用しており、もはや当たり前の仕様となりつつあります。しかし、かつて日本にはフェンダーミラー装着車しかなく、法律によってドアミラーは禁止されていました。 ここからは、フェンダーミラーが日本で義務化された歴史や、今再び注目されるようになった背景を紹介します。 フェンダーミラーがいつから登場した? フェンダーミラーが登場したのは、1950年代のイギリスです。それまでフロントガラス(風防)に取り付けられていたクルマはありましたが、屋根やドアが当たり前の装備になったことで車内ではなく車外に取り付けられるようになりました。 ただ、1940年代~50年代の日本では、後写鏡の装着が義務付けられていたものの数や位置についての規定はなく、トヨタ初代クラウン(1955年登場)やスバル360(1958年登場)など、フェンダーミラーもドアミラーも付いていない車種が多く販売されていました。 その後1962年には、すべてのクルマに左右のサイドミラーが義務付けられるようになり、日本では左右のフェンダーにサイドミラーを備えた光景が当たり前になったのです。 日本ではドアミラーが禁止されていた 欧米では1950年代からドアミラーを搭載した車種が登場していましたが、日本では1983年まで認められていませんでした。そのため、海外の自動車メーカーは日本向けにフェンダーミラーを新規に開発しなければならず、非関税障壁だと多くの批判を受けました。 安全性という観点で日本では許可できない状態にあったものの、デザイン性に優れたドアミラーが世界的に主流になっていきます。 結果的に外部からの圧力によってドアミラーは解禁され、1983年に発売された日産パルサーエクサがドアミラーを初採用。古臭いイメージを持たれていたフェンダーミラーは急速に人気を失い、一気にドアミラーが普及しました。 フェンダーミラーは日本の旧車を象徴するアイテム 現在では古臭いイメージで敬遠されがちなフェンダーミラーですが、海外の日本車好きや旧車好きにとって憧れの存在です。 ハコスカの愛称で知られる日産 スカイライン 2ドア ハードトップ 2000 GT-R(KPGC10型)や初代フェアレディZ(S30型)もフェンダーミラーを採用しています。(北米仕様のフェアレディZはドアミラーを採用)当時はフェンダーミラーであることが当たり前だったため、現代のクルマのような“デザイン的に似合わない”ということはありません。 旧車を彷彿とさせるデザインを復刻したような新型車も登場していますが、当然ながらドアミラーが採用されています。フェンダーミラーは、自動車史に残る名車を象徴するアイテムなのです。 フェンダーミラーのメリットとデメリット 法律で厳しく規制してまで、なぜ日本車が長らくフェンダーミラーを採用していたのか?ここではフェンダーミラーのメリット・デメリットをご紹介します。 フェンダーミラーのメリット フェンダーミラーの一番のメリットは、視線の移動が少ないことです。運転席よりも前方にミラーがあるため、少ない視線移動でミラーを見ることができることに加え、ドアミラーよりも広い後方視界を確保することができます。 さらに、雨天時もフェンダーミラーが力を発揮するシチュエーションです。前述したとおり、フェンダーミラーは運転席よりも前方、フロントガラスから見える範囲に設置されています。雨が降った際にワイパーがフロントガラスの雨粒をふき取ってくれるので、しっかりとミラーを視認できますドアミラーだとサイドウィンドウが雨粒で覆われてしまうと見にくくなってしまうため、この点はフェンダーミラーならではの強みです。 また、フェンダーミラーには車幅も抑えるという役割もあり、日本の狭い道でも容易に取り回しできます。フェンダーミラーは、安全性と日本の道路事情にマッチした合理的な装備と言えるでしょう。 フェンダーミラーのデメリット 一方フェンダーミラーのデメリットとして挙げられるのは、やはり現代のクルマに似合わない点です。 フェンダーミラーはボンネットが長く広い車種に合うものの、現在主流のボンネットが短く狭いミニバンやコンパクトカーには合いません。ボンネットの面積が広ければ大きなフェンダーミラーも映えますが、小さなスペースに大きな突起物が鎮座することとなり、車両前方のデザインを損なってしまいます。 また、ボンネットについた突起物だと考えると、万が一人身事故が発生した場合、フェンダーミラーが原因で歩行者への被害が大きくなってしまう可能性があります。 なぜタクシーはフェンダーミラーを採用しているのか 現在のクルマに似合わないフェンダーミラーですが、新車では唯一トヨタのJPNタクシーだけがフェンダーミラーを採用しています。そこには、タクシーならではの事情と日本人らしい国民性が大きく関係していました。 ここからは、タクシーがフェンダーミラーを採用している理由について紹介します。 日本人らしいおもてなしの心 ドアミラーで後方を確認する際、どうしても助手席側に視線を動かす必要があります。運転手が後席や助手席の乗客をチラチラ確認しているように見えるため、人によっては不快に感じるかもしれません。 フェンダーミラーであれば視線の移動が少ないため、乗客はよりリラックスして乗ることができ、日本人らしい「おもてなしの心」を表現しています。 また、人々の足としてさまざまな道を走行することがあるタクシーは、狭い路地に入っていかなければなりません。フェンダーミラーは車外への飛び出しが小さいことに加え、車幅感覚が掴みやすく、どんな道でも安全に走ることを求められるタクシーに適しているのです。 JPNタクシー専用開発のフェンダーミラー 2022年6月に国際自動車グループ会社のKmGオートアシストが、JPNタクシー用に視認性を高めるフェンダーミラーを開発し、実証実験を開始したと発表しました。 2017年10月の発売から4年以上経過しているにも関わらず、タクシー専用のフェンダーミラーが開発されることは異例です。タクシーにとって、いかにフェンダーミラーが大切な存在なのかがわかります。 まとめ 古臭く野暮ったいイメージを持たれやすいものの、フェンダーミラーは旧車好きにとってノスタルジーな雰囲気を醸し出す、なくてはならないアイテムです。また、運転にやや慣れは必要ですが、前方にあることで視線の移動が少なく、映し出す範囲が広い後方視野で安全を確保できます。 クルマを取り巻く技術が日々進化する中で、今ではミラーが小型カメラに置き換わりつつあります。 クルマにはどんなミラーが装着されているのかを見れば、その時のトレンドと時代背景が見えてくるかもしれません。
ランサーエボリューション(ランエボ)といえば三菱が世界に誇るスポーツモデルです。世界ラリー選手権(WRC)では1996年から4年連続でドライバーズチャンピオンを獲得したことによりランエボは世界中の注目の的になりました。 ランエボⅨは、ランエボシリーズのなかでもターボエンジン搭載の4WDとして高い人気を誇るモデルです。しかし、購入しようと思っても「本格的なスポーツモデルは維持費が大変そう」と心配の方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事ではランエボⅨにかかる維持費について解説いたします。 ランエボⅨの特徴 ランエボⅨは、2005年に発売されたランエボ第3世代の最終モデルです。三菱の名機である4G63型エンジンを搭載する最後のモデルでもあり、歴代のランエボのなかでも高い人気を誇ります。MIVEC(連続可変バルブタイミング機構)を採用したために高回転域の性能が向上しました。 ランエボⅨ維持費の内訳 ランエボⅨの維持費について、5項目に分けて解説します。 燃料代 まずはランエボⅨの燃費から確認しましょう。4G63型 MIVEC 直4気筒 ターボエンジンを搭載しており、実燃費は8km/L程度です。 ここからは金額をシミュレーションします。ランエボⅨで月間1,000km走行した場合、ガソリンは約125リットル使用(*1)し燃料代は2万2,562円(*2)かかります。この条件で1年間走行した場合の総額は、27万750円(*2)です。 *1 燃費は8km/リットルで算出(実燃費)*2 2023年11月17日のハイオクガソリン1リットル当たりの平均価格180.5円で算出 自動車税 ランエボⅨの排気量は1,997ccです。2023年11月現在、1.5L超~2.0L以下の自動車税は3万9,500円/年です。ランエボⅨは2005年デビューのため、車齢が13年を超える個体が多いです。車齢13年超えの場合は重課税され、4万5,400円かかります。(2019年9月30日以前に新車登録した場合) 任意保険 ランエボⅨの任意保険について大手のネット型保険で見積もりをしました。 <条件>年齢:30歳等級:6E使用目的:通勤・通学運転者:本人限定 <補償内容>対人賠償(1名につき):無制限対物賠償(1事故につき):無制限人身傷害:あり(車内のみ補償)人身傷害(保険金額/1名につき):3,000万円入院諸費用特約:なし車輌保険:あり(限定タイプ)車輌保険(保険金額):65万円免責金額(1回目-2回目以降):5万円〜10万円 上記内容でシミュレーションしたところ、総額は約10万2,000円/年でした。 車検 次にランエボⅨの車検代についてみていきましょう。 <ディーラー車検の場合>自賠責保険:1万7,650円(24ヶ月)自動車重量税:3万7,800円(24ヶ月)印紙代:1,800円車検料:8万円合計:13万7,250円 ※車検料は内容、整備工場などにより費用は増減します ランエボⅨは、重量税が1.0t~1.5t以下に区分されます。発売されたのが2005年で車齢が18年を超えるモデルも多いため、二段階重課税された金額で重量税を計算しました。 メンテナンス費用 最後にメンテナンス費用を確認しましょう。ランエボⅨのメンテナンスについては下記の費用がかかります。 ・洗車代・ワイパーゴム交換代・ウォッシャー液交換代・冷却水補充代・エアコンフィルター交換代・ヘッドライト交換代・エンジンオイル交換代・オイルフィルター交換代・ブレーキオイル交換代・エアクリーナー交換代 1年間でこれらの費用が発生します。高く見積もって5万円ほどを見込んでおけばよいでしょう。ランエボⅨのタイヤ交換が発生する場合はスポーツタイヤを購入する必要があるため追加で10万円以上かかるケースもあります。 ランエボⅨ年間維持費はいくら? ここまで維持費の内訳を解説してきました。それでは合計でいくらになるのでしょうか。合計額をみていきましょう。 <自家用車登録のランエボⅨ年間維持費>燃料代:27万750円自動車税:4万5,400円任意保険:10万2,000円車検:6万8,625円(2年ごとにかかる費用の半額分)メンテナンス費:5万円合計:53万6,775円 月額では4万4,700円ほどかかります。通勤で使用しない場合は燃料代と任意保険料を下げられるでしょう。 また、ローンで購入するとさらに月々の返済が発生するほか、月極駐車場を契約する場合は別途駐車場代がかかります。 ランエボⅨの維持費が高いと思った時の対処法 ランエボⅨは車齢18年超えの個体が多いために自動車税と重量税の負担が大きく、維持費がかさんでしまいます。また、修理や整備費用が跳ね上がる場合もあるでしょう。 ランエボⅨの維持費が高いと思ったら、手放すことを検討してみてはいかがでしょうか。 ※2023年11月17日時点のデータです
車の点検や修理を依頼するにあたって、代車を借りられるかどうか気になっている方も多いでしょう。代車は業者が善意で行っているサービスのため、店舗によって対応が異なります。 この記事では、代車のサービスや費用について解説するとともに、トラブルを防ぐためのポイントについても詳しく解説します。 車の修理中に代車を借りられるケース 車の点検や修理などの事情で手元に車がない場合には、代わりの車が必要になることがあります。 ディーラーや修理工場などでは、代車を用意しているところが多いです。ただし、代車の有無は店舗により異なります。車の点検や修理などによって一時的に車を預ける際には、代車を借りられるかどうかを事前に確認しておきましょう。 車の代車を借りられないケースもある 代車は、業者が善意として行っているサービスのため、必ず用意できるわけではありません。また、台数も限られているため、空きがない場合には借りられません。 通勤や買い物など日常生活に車が必要不可欠な場合には、車検や修理の日程が決まり次第、代車が必要であることを伝えましょう。 車の代車にかかる費用 車を点検・修理する場合、代車を無料で借りられることが多いです。事前に予約して修理する場合は、代車がすべて出払っていて借りられないという状況も少ないでしょう。 ただし、事故などで突然代車が必要になった場合には有料になるかもしれません。代車が必要な期間によっては、レンタカーの方が安く済む場合もあるでしょう。 車の代車を借りるときの確認事項 ディーラーなどの業者とのトラブルを防ぐためにも、借りる際には確認しておくべき事項がいくつかあります。 ・傷をつけたときの対応 ・料金 ・返却時のガソリンの補充 ・保険の加入 ・代車の貸出期間 ・グレード ・チャイルドシートの貸出の有無 ・スタッドレスタイヤの貸出の有無 ・禁煙車かどうか それぞれ詳しく解説します。 傷をつけたときの対応 車に乗っていると気づかないうちに傷がついてしまっていることがあります。 自身がつけた傷かどうかを判別し、トラブルを防ぐためにも、可能であれば代車を借りる際に担当者と一緒にチェックすることをおすすめします。 もし運転中に傷をつけてしまった場合には、代車を借りている業者に連絡しましょう。その後、修理費用は誰が負担をするのか話し合います。 料金 代車は無料のケースと有料のケースがあります。返却時に料金のことで揉めないためにも、借りる前に料金について確認しておきましょう。 修理や車検などで借りる場合、口頭で説明がなくても、見積書には記載されていて費用が取られるケースもあります。修理や車検で借りる際には、見積書の項目も確認しておき、納得したうえで利用することがトラブルを防ぐうえで大切です。 返却時のガソリンの補充 代車はレンタカーとは異なり、借りる段階でガソリンが満タンでない場合も多いです。 ガソリンの補充については借りる際に業者側から説明を受ける場合があります。そのまま返却してくださいというところもあれば、満タンにして返却してくださいというところもあるため、事前に確認しておきましょう。 保険の加入 代車を借りる際には、保険の加入についても事前に確認しましょう。普段乗っている車と異なる車を運転すると、操作性や視界の違いなどを理由に事故を起こしやすくなります。 万一の事態に備えて、ほとんどの方は保険に加入をしていますが、保険の内容によっては他の車を運転した場合には保障が受けられないこともあります。 最近では、レンタカーなどの需要も高まっており、自動車保険に他車運転特約がついていることが多いです。 この特約は、契約者またはその家族が所有している車以外の車を運転していて事故を引き起こしてしまった場合に保障が受けられるものです。所有車以外を運転することがないと特約を外してしまっている場合もあるため、代車を運転する前に自身の保険内容を確認しましょう。 代車の貸出期間 代車を借りられる期間は数日〜長くても1ヶ月程度です。車検であれば2〜3日程度、長くても1週間以内には終了します。修理の場合も、1ヶ月もあれば完了するでしょう。 ただし、新車の納品待ちなどであれば1ヶ月以上かかるケースもあります。長期間貸出が必要な場合は事前に借りられるか確認が必要です。 また、長期間借りる場合には一部有料になってしまうこともあります。トラブルにならないよう、費用も確認しておきましょう。 グレード 代車で借りられる車のグレードは、利用者が乗っている車と同じグレードのものが多いです。しかし、数は限られているため、出払ってしまっている場合には高いグレードのものや高級車を貸し出されることもあります。 逆に、乗っている車が高級車の場合には同じグレードの代車が用意されておらず、グレードダウンすることが多いです。 グレードアップは希望できませんが、グレードダウンするのであれば、好きな車を選べる場合もあります。 チャイルドシートの貸出の有無 代車では、チャイルドシートを含め、付属品の貸出を行っていないことがほとんどです。そのため、代車を利用する際にはチャイルドシートを含め、付属品は載せ替えておきましょう。 万一の事故やリスクを回避するため、業者ではチャイルドシートの載せ替えを行っていないところもあります。小さい子どもを連れて借りに行く場合には、載せ替えている間に子どもを見る人に同行してもらうと安心です。 スタッドレスタイヤの貸出の有無 冬場に積雪の多い地域で代車を借りる場合、スタッドレスタイヤが装着されている場合があります。これは地域によって異なるため、積雪の心配がある地域では借りる前に確認しておきましょう。 禁煙車かどうか 代車のほとんどは禁煙車ですが、なかには喫煙車が用意されている場合もあります。車内で喫煙する方は、車内での喫煙ルールについて確認しておきましょう。また、タバコの匂いが気になる人や小さい子供を乗せる可能性がある人も、事前に禁煙車であるかを確認しておくことをおすすめします。 他にも犬や猫などのペットを飼っている人も、ペットの乗車ルールについて確認しておくと安心です。借りたものにペットをそのまま乗せるのはマナー違反になってしまうことがあります。ペットの乗車OKとされていてもケージやクレートに入れて車内が汚れないように配慮しましょう。 まとめ 車の修理利用に関する注意点を解説しました。 ディーラーでも整備工場でも、基本的には無料で代車を借りられます。ただし、突然の事故や故障に見舞われ、急に修理しなければならなくなった場合には、有料になったりそもそも代車を借りられないかもしれません。 また、トラブルを防ぐためにも、借りる際に傷の有無やガソリンの補充、禁煙車かどうかなど、いくつかのポイントを確認しておきましょう。
第2世代スカイラインGT-R最後のモデル・R34型スカイラインGT-Rの中で、今も高い人気を集めているのがVスペックやVスペックⅡです。スカイラインシリーズ究極のGT-Rとの呼び声が高いR34型スカイラインGT-Rの最上位グレード、VスペックとVスペックⅡの違いを紹介します。 R34型スカイラインGT-R最上位グレード・Vスペック 日産の誇る国産最高峰のスポーツカー、R34型スカイラインGT-R(BNR34)にはいくつかのグレードが設定されており、中でも最上位に位置するのがVスペックです。 まずは、Vスペックがベースグレードと比べてどんな箇所が強化されていたのかに加え、VスペックとVスペックⅡの違いについて紹介します。 Vスペックは究極のGT-R 充実した装備と高い走行性能を誇るR34型スカイラインGT-Rの中でも、Vスペックは上位グレードとして設定されました。専用のエアロパーツや特別にチューニングされたサスペンションなど、R34型スカイラインGT-Rの性能をさらに高める装備を搭載しています。 ベースグレードとVスペックで大きな違いと言えるのが空力です。フロント下部に樹脂製、リア下部には国産量産車初となるカーボン製のディフューザーを装備し、さらに角度調整が可能なリアウィングと組み合わせることで強力なダウンフォースを発生させます。 「アドバンストエアロシステム」と呼ばれるこのエアロパッケージは、ボディ下部の空気を整流してダウンフォースを発生させるという、レーシングカーと同じ発想で開発されました。 そのほかにも、アクティブLSDを含むATTESA E-TS PROやフロントブレーキに走行風を送って冷却する導風板など、Vスペックにはベースグレードにはない装備が数多く搭載されています。 R34スカイラインGT-RのVスペックは前期、後期に分かれている R34型スカイラインは、発売1年後の2000年にマイナーチェンジを実施しました。Vスペック(前期型)は仕様が更新され、VスペックⅡ(後期型)へと進化を遂げます。 Vスペック N1のみに装備されていた322mmのリア大型ブレーキローターが全車標準装備に変わるなど、メーカーが強い意欲を発揮したマイナーチェンジとして知られています。内外装はVスペック以上にスパルタンな印象になりました。 VスペックとVスペックIIの違い VスペックからVスペックⅡへのマイナーチェンジで決定的に変わった点は、実はそれほど多くありません。また、すべてにおいてVスペックIIのほうが優れているというわけではないことも覚えておきたいポイントです。さらに、レース仕様をそのまま踏襲した特別仕様車についても紹介します。 よりスパルタンになりつつコストダウンも目立つ VスペックⅡへのマイナーチェンジでもっとも大きく変わったのは、量産車として初めてカーボンボンネットが採用された点です。ボンネットの変更で4kgの軽量化に成功し、さらにNACAダクトの追加によってタービン付近の温度低減も図られています。また、ウィンカーレンズがクリア化され、内装ではペダルがアルミペダルに変更されるなど細かな点のアップデートで、よりレーシーな内外装になりました。 すべての装備が豪華になったわけではなく、コストダウンを目的にヘッドライトのレベライザーやバックランプ周りのシルバー塗装などいくつかの装備や装飾が廃止されました。 Vスペックをさらに進化させたN1仕様と ニュル Vスペックには、N1耐久レース参戦用ベースモデルとなるN1仕様車や最終モデルとして投入されたVスペックⅡ Nür(ニュル)があります。特にR34GT-R販売最終年に投入されたVスペックⅡ Nür(ニュル)は、「大人のGT-R」として発売されたMスペックと合わせて1,000台限定で販売されました。 ウォーターポンプ、エキゾーストマニホールドなど、通常のVスペックとは異なるピュアレーシング仕様で、エンジンも個別にバランス取りがおこなわれているうえ、N1仕様のメタル製タービンも装備されています。 価格的にはVスペックのほうが安い アメリカ国内で、初年度登録から25年以上経過した右ハンドル車の輸入と販売が解禁される、通称「25年ルール」をきっかけに、1990年代~2000年代初頭の日本製スポーツカーが高騰し続けています。中でも、R32型からR34型のスカイラインGT-Rは、ある種異様なまでの暴騰と言っても良い状態です。 大手中古車サイトで検索すると、2000年式のVスペックが約2,500万円、2002年式のVスペックⅡNur(ニュル)ともなると5,500万円もの価格がついていました。また、掲載されている車両の多くは価格が表示されておらず、かなりの高値で取引されていることは間違いありません。 旧車王の買取上限価格は、Vスペックが1,500万円、VスペックⅡが2,000万円が目安です。「R34型GT-RのVスペックを所有しているがあまり乗っていない」という方は、売却を視野にいれて相談してみてはいかがでしょうか。 また、R34型スカイラインGT-RのVスペックやVスペックIIの購入を検討している方は、今後さらに高騰する可能性もあるので価格の動向に注意しましょう。 ※中古車相場は2022年10月原稿執筆現在
トヨタ・ソアラは、時代を先取りしたデジタルメーターやハイパフォーマンスエンジンを搭載し、高級セダンのような上質な内外装をもっています。今振り返ってみても、トヨタ・ソアラはどの国産車にも類をみない特別なパーソナルカーです。元祖ハイソカーといわれ、多くのファンが憧れたトヨタ・ソアラの歴史を振り返ります。 高級感と走りで一世を風靡したトヨタ・ソアラ 元祖ハイソカーといわれるトヨタ・ソアラの特徴は、高い走行性能とゴージャスな内外装の両方を持っていたことです。 70年代前半の厳しい排気ガス規制により、名だたる国産スポーツカーがパワーダウンを余儀なくされました。そんな中、高級パーソナルカーであるソアラは、大きな話題と人気を獲得していきます。 欧州の高級GTカーを目標に開発された ソアラの登場以前から海外での日本車に対する評価は徐々に高まっていました。しかし、評価されていた日本車はほとんどが小型車で、高級GTカーのジャンルでは遅れをとっていたのです。この状況を打破するため「メルセデス・ベンツ SLクラス」や「BMW 6シリーズ」などの欧州の高級GTカーを目指してソアラの製造が始まりました。 トヨタ歴代のハイパワーエンジンを搭載 ソアラがラグジュアリークーペの地位を確立できた大きな理由は、搭載するエンジンを妥協しなかったことです。M型エンジン、JZ系エンジンとトヨタを代表する歴代のハイパワーエンジンが搭載されました。 初代ソアラが登場する1年前に、日産のレパードが国産高級パーソナルカーとして先にリリースされています。しかし、ソアラはトヨタ最高峰のハイパワーエンジン、M型エンジンを2,800ccに大型化したうえでDOHC化。性能面で圧倒的な優位性を打ち出して、国産随一と呼ばれるラグジュアリークーペの地位を築きあげました。 先進技術を初採用するイメージリーダー スタイリッシュなデザインと高い走行性能、さらに装備の先進性によってソアラは多くのクルマ好きから支持を得ました。 エンジン統合制御システムであるTCCSや電子制御サスペンションTEMSなど、初代ソアラに搭載された先進技術は、現在のトヨタ車にもつながっています。なかでも、デジタル数字での車速表示やバーグラフ表示のタコメーターは、高い先進性と「クルマの未来」を予感させました。 24年にわたって生産された歴代ソアラ トヨタ・ソアラはデビューから24年にわたり、国産パーソナルカーとして強い存在感を放っています。ここからは、初代Z10型から最終モデルとなった4代目Z40型までの、それぞれの特徴を振り返っていきましょう。 欧州車並みのハイスペックを打ち出した初代Z10型 初代ソアラのZ10型が登場したのは1981年です。 他社も含め、当時はSOHC車が多かったなか、全車にDOHC6気筒が装備されているという圧倒的な高性能を打ち出しました。加えて3,000ccがラインナップされていた点も大きな強みです。また、高級セダン並みの贅沢な内装と、2ドアクーペながら余裕のある居住性を確保するボディ形状も初代ソアラの魅力で、他のクーペタイプとは一線を画す存在であった理由はここにあるといえるでしょう。 デジタルメーターの採用などの先進装備とともに、もう1つ話題となったのがボディカラーです。当時の日本車で設定されていたホワイトは、ほとんどがややクリームがかった色だったのに対し、スーパーホワイトという名称がつけられたソアラの白色は、まばゆいほどの鮮烈な白色でした。 初代を正当に進化させ不動の地位を築いた2代目Z20型 1986年に、ソアラは2代目にフルモデルチェンジされます。バブル景気を背景に、初代ソアラを正当に進化させたモデルです。 ソアラ専用に開発されたM型エンジン7M-GTEUは、空冷インタークーラー装備のターボエンジンで、当時の日本車では最高出力となる230psを発揮しました。 エクステリアも、初代を踏襲しつつ曲線も取り入れた現代的なデザインとなり、エレガントなボディスタイルに進化しています。寸法は初代とほぼ同様ながら、より伸びやかでバランスの取れた印象になりました。 装備もさらに進化していて、従来のデジタルメーターに奥行感をプラスしたスペースビジョンメーターが採用されています。さらにエアコンなどのコントローラーには、液晶タッチパネルが採用されました。 500台限定で販売された特別仕様車「エアロキャビン」も忘れられません。ルーフ部とリアウィンドウが電動で格納されてオープン仕様となる、時代の先を行く装備でした。 ついに世界クラス車となった3代目Z30型 初代、2代目と国内専用車だったソアラですが、1991年に登場した3代目Z30型は、トヨタがグローバルブランドとして展開を始めていた「レクサス」からも発売されました。 全幅は1,805mmに拡幅され、全長も5m弱まで伸ばされます。これまでの直線的なボディから曲線を多用したデザインに変更されたこともあり、迫力のあるスポーティでグラマラスなスタイリングになりました。 エンジンも、2.5Lの1JZや3.0Lの2JZというトヨタ自慢のハイパフォーマンスエンジンに加え、V型8気筒4.0Lエンジンの1UZ-FEエンジンもラインナップ。車格の向上に合わせてパワートレインも大幅に強化されます。 伝統を受け継いだ高級感のある内装や高い走行性能にも定評があり、グローバルカーを名乗るに相応しい仕上がりでした。 レクサスブランドへの橋渡しとなった4代目Z40型 2001年に登場したのが、4代目のZ40型です。最も大きな変更点はボディ形状で、伝統のクーペタイプではなく、クーペとコンバーチブルの両方が楽しめる全車リトラクタブルハードトップとなりました。 搭載エンジンは4.3LのV8エンジン、3UZ-FE型のみとなり、より一層ラグジュアリー志向が高められました。また、内外装は前モデル以上に上質なものになり、初代開発当初から続いていた最上級クーペの世界観を究極的に高めたモデルです。 リトラクタブルハードトップも注目したい装備です。当時としては世界初となるフル電動のルーフシステムによって、他社では実現できない静粛性と俊敏なルーフ開閉を実現しています。 そんな究極的な進化を遂げたZ40型ソアラですが、レクサスブランドへの統合にともなってソアラとしては最終モデルになってしまいました。 ソアラの中古車市場は初代〜3代目が高騰傾向 トヨタ ソアラの中古車相場は、JDM人気の影響を強く受けています。特に海外輸出されなかった初代と2代目は価格の高騰が顕著なため、価格の動向には注意が必要です。 大手中古車サイトで確認したところ初代Z10型は500万円弱で、なかには569万円もの高値がついていたものもありました。Z20型も初代よりはやや価格は落ちるものの400万円前後が相場です。3代目Z30型についても新車価格が高価だったこともあり、300〜400万円台で取引されるなどほとんど値崩れしていません。 ただし、4代目となるZ40型は30万円台から300万円で販売されており、歴代ソアラの中ではやや値崩れを起している存在です。 旧車王での買取価格も高騰中で、1984年式初代Z10型ソアラで280万円もの買取価格がついているものもあります。 今後の高騰も予測されるため、歴代ソアラを入手したい方は市場動向を注視しつつ早めの入手をおすすめします。 ※中古車相場と買取価格は2022年8月原稿執筆時
レーシーにまとめられた専用の内外装に、強化されたエンジンと足回り。ホンダスポーツモデルの最高峰グレードであるTYPE-Rは、そのままサーキットを走れるほどのスペックを備えていました。特にインテグラとシビックは、TYPE-Rの代表車種として多くのファンを獲得しています。今回はインテグラとして最終型となるDC5型、ほぼ同世代にリリースされたFD2型シビック、2つのTYPE-Rの魅力に迫っていきましょう。 ホンダスピリッツを体現したTYPE-R TYPE-Rは、取り扱いやすさを求める一般向けで実現できなかったクルマ本来のポテンシャルを極限まで高めたモデルです。もともと高性能なスポーツモデルの車両をさらにチューニングすることで、最高峰のスポーツグレードに仕上げられています。 初代NSXに設定されたTYPE-R 初めてTYPE-Rが登場したのは1992年で、初代NSXの最上位スポーツグレードとして設定されました。もともと国産スーパーカーという位置付けで高性能だったNSXを、各パーツの徹底的な見直しによって120kgも軽量化されています。さらに、サスペンションのセッティングに加え、クランクシャフトやピストンといったエンジン内部にまで手を入れ、徹底的なハイパフォーマンス化が図られました。 TYPE-Rの両雄となったインテグラとシビック 初代TYPE-RとなったNSXの成功によって、TYPE-Rシリーズはインテグラとシビックにも展開されます。NSX TYPE-Rは高価な車両価格と希少な生産台数から、手にする人は限られていました。しかし、インテグラやシビックという大衆モデルで採用されたことで、TYPE-Rの名は一気に広まります。 クーペ、ハッチバックとそれぞれボディ形状は異なりますが、ホンダを代表するスポーツモデルをさらにスポーティに仕上げ、TYPE-Rはホンダファンのみならず多くのスポーツカーファンの人気を獲得しました。 世界最速FFと呼ばれたDC5型インテグラTYPE-R 世界最速FFの称号を得た先代DC2型からモデルチェンジしたDC5型TYPE-Rは、安全性能の見直しなどでやや大型化したものの、インテグラTYPE-R特有の軽快なハンドリング性能は継承されています。 エンジンや足回り性能のみならず、内装も走ることに特化したDC5型インテグラTYPE-Rも、やはり世界最速FFでした。 TYPE-Rのために開発されたDC5型 2代目インテグラとなるDC5型インテグラは、TYPE-Rの設定を前提に開発されています。また、プレリュードが廃止されたことにともない、ボディサイズは3ナンバーサイズに拡幅されました。 ボディタイプは3ドアハッチバックのクーペスタイルを採用。スポーツカーらしいクーペスタイルながら、ハッチバックで高い利便性も確保されています。 装備面の強化によって車重増をカバー 広い車内空間の確保と安全性能の強化により、車両重量は100kgほど重くなってしまいます。しかし、専用チューニングされたKA20型は220psを発生し、ホンダ初となるブレンボ製ブレーキを備えるなどエンジン性能や装備面では先代DC2型を上回っていました。 しかも、これだけのハイスペックエンジンを搭載しながら、12.4km/Lという低燃費も実現しています。 魂をくすぐられるレーシーな内装 「TYPE-R」のロゴがあしらわれたチタン製シフトノブや、チタン色のメーターパネルとペダル類から受ける印象は、まるでレーシングカーのコックピットを思わせるものです。専用に開発されたレカロシートに身を沈めれば、一気に気分が高まります。 スイッチ類やエアコンの吹き出し口もメーター同様の丸型に統一され、余計なスイッチ類は極力排除したシンプルなデザインです。 高級感ある4ドアセダンとなったFD2型シビックTYPE-R DC5型インテグラの販売終了後に登場したのが、FD2型シビックTYPE-Rです。高い性能もさることながら、4ドアセダンとしたことで居住性や使い勝手が向上しています。そして、TYPE-Rの称号にふさわしく、トルク感応式LSDやブレンボ製ブレーキキャリパーといった走行性能に直結するパーツを採用しているのが大きな特徴です。 重厚感のある4ドアモデル 歴代シビックのTYPE-Rは3ドアハッチバックで展開されてきましたが、FD2型シビックでは初めて4ドアセダンタイプを採用。また、全幅も3ナンバーサイズの1,770mmとなり、従来の軽量なイメージから重厚感のあるデザインに変わりました。 さらに、見た目だけではなくボディ剛性もDC5型インテグラTYPE-Rから50%も向上し、さらなる応答性と安定感が加えられました。 さらに高出力化されたKA20型VTECエンジン FD2型シビックTYPE-Rに搭載されたのは、DC5型と同型のKA20型です。最高出力は220psから225psにまで高められ、もともと専用チューニングされていたエンジンをさらにファインチューニングしたことで、回転域によっては10ps以上の出力向上を果たしました。 また、ピークトルクの発生も7,000回転から6,100回転に引き下げられていることに加え、0.9kgf・m向上していて、大柄な4ドアボディをストレスなく引っ張ります。 先進のコックピットが演出する高揚感 FD2型シビックTYPE-Rのコックピットデザインは、DC5型インテグラと大きく異なります。すべてのメーターをアナログメーターでまとめていたインテグラに対して、デジタルメーターとアナログメーターを融合させた先進のデザインでした。 スポーツドライビング時にもっとも気になるタコメーターは、視認性の高いアナログメーターを中央に配し、上部にデジタル表示のスピードメーターが配置されています。さらに、最適なシフトタイミングやVTECの作動状況が視認できる各種インジケーターもデジタルパネル部分にまとめられており、先進性を感じるコックピットになりました。 また、シートはTYPE-R用に専用開発されたオリジナルシートで、内装と統一された赤と黒のカラーリングはドライバーに高揚感を与えます。 高く甲乙つけがたい2台のTYPE-R インテグラとして最終型となったDC5型TYPE-Rと、4ドアモデルのFD2型シビックTYPE-R。発売年式が近いこともあり、この2車種はよく比較されますが、結論としてはどちらも優れたスポーツカーであることは間違いありません。 走行性能を追求して作り込まれたインテグラTYPE-Rは車重も軽く、FF車最速といわれる速さとハンドリングが楽しめます。一方で、4ドアによる高い居住性と安定性、先進のコックピットを誇るシビックTYPE-Rは、ファミリー層のユーザーにも受け入れられました。エンジンはどちらもKA20型を採用しているため、多くのアフターパーツも出ていてチューニングベースとしても最適です。 ホンダスピリッツが詰め込まれた、高い走行性能を誇る2台のTYPE-R。どちらを選んでも決して期待を裏切りません。
車庫証明は、保管場所が車庫の要件をクリアしているかどうか確認する必要があるため、即日発行されません。発行にかかる期間は地域によって異なり、数日を要するケースがほとんどです。車庫証明の発行にかかる期間を考慮したうえで申請しましょう。この記事では、車庫証明の発行にかかる期間や有効期限、申請方法などを紹介します。 車庫証明の発行にかかる期間 車庫証明の発行にかかる期間は3〜4日程度です。取得する地域によって期間が異なり、埼玉県の場合は申請してから4日程度で発行されるケースがほとんどです。たとえば、火曜日に申請した場合は金曜に車庫証明が交付されます。ただし、土日祝日はカウントされないため水曜日に申請した場合は、5日後の月曜日に発行される仕組みです。申請する曜日によっては、発行にかかる期間が3〜4日以上になることを把握しておきましょう。 また、書類や保管場所に不備があった場合は、数日延びるケースもあります。遅くても1週間以内に交付されるため、発行にかかる期間を考慮して申請してください。なお、申請時に発行日が記載された控えを渡されるケースもあるため確認しましょう。 行政書士に車庫証明の取得を依頼した場合にかかる期間 行政書士に取得を依頼した場合、必要書類の送付や交付された車庫証明を依頼者に郵送する日数も加わるため、1週間程度の期間を要します。たとえば、日曜日に行政書士へ書類を郵送し、火曜日に申請手続きに行く場合、申請から発行までに4日かかるのであれば車庫証明が交付されるのは金曜日です。いったん、行政書士に交付された車庫証明を依頼者に郵送するため、土曜日もしくは日曜日には手元に届くでしょう。 また、急ぎの場合は午前着で行政書士に必要書類を郵送すると、当日に申請してくれるケースもあります。交付された車庫証明を速達で郵送してくれる行政書士もいるため、まずは相談してみましょう。 車庫証明の有効期限 車庫証明の有効期限は、交付されてから1ヶ月程度です。正確な有効期限は決まっておらず、1ヶ月後の1〜3日程度のオーバーでも、受理されるケースがあります。また、交付されてから40日経過していても受理してくれる運輸支局もあるため、一概に1ヶ月とはいえません。ただし、受理されないケースもあるため、車庫証明の有効期限は「1ヶ月」と考えておきましょう。 車庫証明の申請方法 車庫証明の申請方法を事前に把握しておくと、スムーズに手続きできるでしょう。続いて、車庫証明の申請方法を紹介します。 車庫を確保する まずは、駐車場である車庫を確保します。車庫は要件が決まっており、駐車場であればどこでもよいわけではありません。車庫の具体的な要件は、以下のとおりです。 1.自動車の使用の本拠の位置から2キロメートル以内(直線距離)の場所であること2.道路から支障なく出入りができ、かつ、自動車の全体を収容できるものであること3.自動車の保有者が、自動車の保管場所として使用する権原を有するものであること 出典:大阪府警察公式Webサイト「自動車保管場所の要件」 たとえば、自宅から2km以上離れた月極駐車場は車庫として利用できません。また、車がはみ出すことなく全体を収容できる車庫が必要なため、駐車スペースの大きさも考慮する必要があります。要件をしっかりチェックしてから車庫を確保しましょう。 必要書類を入手する 車庫を確保したら、使用の本拠地を管轄する警察署で必要書類を入手します。車庫証明の申請に必要な書類は以下のとおりです。 1.自動車保管場所証明申請書2.保管場所標章交付申請書3.保管場所の所在図・配置図4.保管場所使用権原疎明書面(自認書) ※所有地を車庫にする場合5.保管場所使用承諾書 ※他人の所有地を車庫にする場合6.使用の本拠の位置が確認できるもの ※車の使用の本拠地と申請者の住所が異なる場合 車庫が所有地であれば、保管場所使用権原疎明書面が必要です。賃貸の敷地内の駐車スペースや月極駐車場など、他人の所有地を車庫にする場合は、保管場所使用承諾書を警察署へ提出します。車庫の所有者が誰なのかによって必要書類が異なるため注意しましょう。 また、車の使用の本拠地と申請者の住所が異なる場合は、公共料金の領収書や運転免許証の提示を求められます。住民票を移さずに単身赴任している場合や、本社名義の社用車を営業所で使用していると、車の使用の本拠地と申請者の住所が異なるケースもあるため事前に確認しましょう。 なお、必要書類は警視庁公式Webサイトから、PDFファイルをダウンロードできます。警察署で必要書類を入手する時間がない場合は、活用してみてください。 必要書類を記入する 必要書類を入手したら、それぞれを記入します。「自動車保管場所証明申請書」と「保管場所標章交付申請書」には、車の情報や車庫の位置などを記入するため、車検書を参考にするとスムーズに完成します。警察署で入手した場合は、複写になっているケースがあり、一度の記入で2枚分の書類を完成させることが可能です。 「保管場所の所在図・配置図」には、自宅から駐車場までの図と、駐車スペースの大きさや出入り口の寸法などを記入します。賃貸の駐車スペースや月極駐車場を車庫にする場合は、管理会社から記入済みのものを発行してもらえるケースもあるため、問い合わせてみてください。 また「保管場所使用権原疎明書面(自認書)」には申請者の氏名や住所、連絡先などを自分で記入します。ただし、他人の所有地を車庫にする場合に提出する「保管場所使用承諾書」は、地主もしくは管理会社の署名や捺印が必要です。地主や管理会社に問い合わせて、書類に署名や捺印をしてもらいましょう。なお、管理会社によっては発行手数料が発生するケースもあります。 車庫証明を申請する 必要書類の記入が完了したら、使用の本拠地を管轄する警察署の交通課で、車庫証明を申請します。交通課へ書類を提出する前に、隣接している「交通安全協会」で、収入印紙を購入し申請手数料を支払います。申請手数料は地域によって異なり、2,500円〜2,900円程度です。 購入した収入印紙を「自動車保管場所証明申請書」と「保管場所標章交付申請書」に貼り付けて、交通課の窓口に提出しましょう。収入印紙を貼る欄がわからない場合は、交通課のスタッフに問い合わせてみてください。 なお、車庫証明の申請の受付は平日9時〜16時です。仕事の都合で申請できない場合は、行政書士や自動車販売店に代行を依頼しましょう。 車庫証明を受け取る 申請手続きが完了したら、指定された日に車庫証明を受け取りに行きます。受け取る際は、車庫証明のほかに「保管場所標章シール」と「保管場所標章番号通知書」も渡されます。 保管場所標章シールは、車庫が確保されている車輌であることを証明するものです。表示義務があるため、受け取ったらリヤガラスへの貼り付けを忘れずに行いましょう。 また、保管場所標章番号通知書は車庫を再取得するときや、保管場所標章シールを再発行する際に必要な書類です。紛失しないよう車検証入れに保管しておきましょう。 まとめ 車庫証明の発行にかかる期間は、3〜4日程度です。土日祝日はカウントされないため、申請した曜日によっては、3〜4日以上かかるケースがある点に注意しましょう。 また、車庫証明は受付時間内の平日9時〜16時までに、警察署で申請する必要があるため都合が悪い場合は手続きできない方もいるでしょう。車庫証明の有効期限は発行されてから1ヶ月以内のため、すみやかに運輸支局で登録手続きを行う必要があります。都合がつかず、車庫証明の申請や登録手続きに出向けない場合は、行政書士や自動車販売店に代行を依頼しましょう。