旧車と名車が甦るメディア
査定を依頼する(無料)

増田 真吾の記事一覧

ルノー・クリオ・ウィリアムズの魅力とは?最高出力150psのフレンチホットハッチ!
旧車の魅力と知識2022.04.13

ルノー・クリオ・ウィリアムズの魅力とは?最高出力150psのフレンチホットハッチ!

1t前後の軽量な車重と、150psの最高出力を誇るルノー・クリオ・ウィリアムズは、F1チャンピオンマシンを彷彿とさせるウィリアムズブルーにカラーリングされた美しい1台です。ルノー・クリオの特別限定車として販売されたルノー・クリオ・ウィリアムズは、エンジンだけではなく足回りやエキゾーストマニホールドまで専用設計されました。今回は、今なお評価の高いフレンチホットハッチの魅力に迫ります。 ルノー・クリオ・ウィリアムズ ルノー・クリオ・ウィリアムズはルノー・クリオの限定モデルとして販売されました。ベース車両は多くの受賞歴を持つルノー・クリオです。 ルノー・クリオはBセグメントのハッチバック車で、コンパクトで取り扱いやすいうえ、上位グレードは走行性能も高かったことから人気を集めました。 ベース車両の素性は折り紙付き ベース車両となった初代ルノー・クリオは、シュペール5の後継車として1990年に発表されました。見た目と実用性のトータルバランスに優れていたことから高く評価され、ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー(1991年度)を受賞し、フランス国内でのベストセラーカーとなりました。 エンジンのライナップは、販売当初から5種類と幅広く用意。発表翌年の1991年には、さらに2種類のエンジンが追加されました。なかでも16S(16V)というモデルに搭載された1.8L直列4気筒DOHC16バルブエンジンは、最高出力135psにも達します。この16Sがルノー・クリオ・ウィリアムズのベース車両となりました。 販売限定台数を即完売するほどの人気 ルノー・クリオ・ウィリアムズは、ラリーの販売台数規定を満たすために開発されました。当初3,800台限定という予定でしたが、予定台数はすぐに完売。1,617台も追加生産されています。 さらにルノー・クリオ・ウィリアムズの人気は衰えず、初期シリーズの生産終了後に特別仕様車が販売されることになります。結果的にルノー・クリオ・ウィリアムズ3つの使用で合計12,100台が生産されました。 ルノー最高のホットハッチ ルノー・クリオ・ウィリアムズは、ただの限定カラーモデルではありません。エンジンから足回り、内装に至るまで細部にこだわって作り込まれた車です。とくに走行性能の評価は高く、販売後限定台数がすぐに完売したことからも人気の高さがうかがえます。 0-100km/hわずか7.8秒の加速力 ルノー・クリオ・ウィリアムズ最大の特徴は、ルノーのスポーツエンジン部門が開発した専用エンジンF7Rです。2.0L直列4気筒エンジンは150psを発生し、軽量な車重にハイパワーエンジンは十分な加速力を持ち、0-100km/h加速はわずか7.8秒。最高速度も215km/hに達します。 ベースは16S(16V)に採用されている1.8LエンジンF7Pですが、変更は単なるボアアップに留まりませんでした。バルブサイズ、カムプロフィール、クランクストロークなど多岐に渡って変更。さらにエキゾーストマニホールドを変更するなど、スポーツカー並みのこだわりを持って仕上げられています。 車全体のバランスが取れていて気持ちのよい走りが楽しめる ルノー・クリオ・ウィリアムズの評価が高いのは、高性能エンジンのパワーだけが理由ではありません。トレッド幅や足回りなども含めてバランスよく開発されていることが最大の強みです。 コンパクトカーにハイパワーエンジンというピーキーな特性になりがちな組み合わせにも関わらず、見事なバランス感覚でまとめあげています。トレッドの拡大とホイールのワイドサイズ化に加え、サスペンションの変更によって安定性が向上。路面状況を選ばずハイパワーエンジンをいかした走りが楽しめます。 ウィリアムズブルーが美しい 外装はウィリアムズのネイビーブルーでまとめられていて、特別仕様の金色のホイールともよくマッチしています。 また、内装もウィリアムズカラーでまとめられているのが、特徴的なポイント。フロアカーペット、メーター類、シフトノブからシートベルトまで専用色で統一され、F1ウィリアムズの特別感を存分に味わえます。 まとめ プジョー205GTiやゴルフGTIほど、高い評価をされていなかったルノー・クリオ・ウィリアムズ。しかし、ルノーのスポーツ部門がこだわった高い走行性能は、今でも色あせることはありません。 ルノー・クリオ・ウィリアムズは初期型の完売後、ウィリアムズ2、ウィリアムズ3と呼ばれる合計3種のモデルが販売されました。ルノー・クリオ・ウィリアムズを中古車で手に入れるなら、断然おすすめなのがウィリアムズ1と呼ばれる初期型モデルです。 ただし、初期型モデルは5,000台程度しか製造されていないため手に入りにくいので、根気よく探しましょう。国内のみならず、海外のオークションも含めて常にアンテナを張っておくことが大切です。 [ライター/増田真吾]

80万円で買えるMT車は実力派ぞろい!?初心者から上級者まで楽しめるMT車5選
旧車の魅力と知識2022.04.06

80万円で買えるMT車は実力派ぞろい!?初心者から上級者まで楽しめるMT車5選

車を操る楽しみを味わえるのは、やはりMT(マニュアルトランスミッション)車です。速度域やエンジンの回転数にあわせてシフトチェンジをすれば、思い通りに車を走らせることができます。 今回は、初心者にもおすすめで、手頃な価格で入手可能なMT車をご紹介します。運転する楽しみと実用性を兼ね備えた車種ばかりなので、MT車選びの参考にしてください。 MT車はコンパクトカーが狙い目 MT車を中古車で探すのならコンパクトカーがおすすめ。コンパクトカーのMT車の多くはスポーティモデルとなっており、走行性能が高く十分に走りを楽しめます。さらに、手頃な価格帯で販売されている上、実用的で日常の使い勝手も申し分ありません。 近年MTの設定がある車は減少している 近年MTの設定のある車はスポーツカーが中心となっていて、全体として選択肢は少なくなっています。ワンボックスや軽トラなどの実用車を除くと、そもそもMTの設定がない車種も珍しくありません。 また、新車時の価格設定も高くなる傾向にあります。かつては同モデルであればMT車の方が安く設定されていましたが、走行性能をより重視したモデルに設定されることが多いためです。 コンパクトカーが狙い目の理由 MT車はスポーツカーが中心ですが、現在スポーツカーは年式の古いものでも価格が高止まりしています。理由は、海外で日本製スポーツカーの人気が高まっているためです。 そこで、おすすめなのがコンパクトカー。コンパクトカーでもMTの設定があるグレードはスポーツモデルが多くなっています。WRCなどラリーカーのベース車両になっている車種もあるので、コンパクトカーでも十分な走行性能が備えられています。 80万円で買えるMT車5選 予算80万円でも十分に走りを楽しめるMT車を購入できます。日常使いに便利なコンパクトカーですが、MTが設定されているモデルはどの車種もスポーツモデルが中心で、高い走行性能を備えています。 コンプリートカー並みの性能を持った車種や、人気のプレミアムカーも含まれているので、初心者だけでなくこだわりのある上級者にもおすすめです。 GRヤリスにつながる最終型トヨタ ヴィッツRS 2010年に登場した3代目トヨタ ヴィッツは、スタイリッシュなデザインが特徴のコンパクトカー。コンパクトカーながら見た目以上に車内は広く、上質なインテリアに仕上げられています。 5MTが設定されているグレード「RS」は、ヴィッツのスポーティグレードです。109ps を発生する1.5L直列4気筒エンジンは、控えめなパワーながら気持ちよく回ります。さらに、通常のモデルより、足回りが硬めの設定になっているのもRSの特徴。軽量な車重とあわせて軽快な走りを楽しめます。また、バンパーやルーフスポイラーなどが専用デザインとなっている点も特別感があるのでおすすめのモデルです。 3代目ヴィッツRSの中古車価格は39.8〜139.8万円。たとえば「ヴィッツRS 2015年式、5MT、1.6万km」の中古車は79.8万円で販売されていました。(2022年4月現在) モデル末期には現在のGRヤリスにつながるGRスポーツモデルも販売されているので気になるかたはチェックしてみてください。 スイスポの名前を定着させた2代目スズキ スイフトスポーツ 2005年に登場した2代目スズキ スイフト。新たに世界戦略車という位置付けになり、高い走行性能とデザインが好評を博したスズキを代表するコンパクトカーです。とくにスポーツモデルとなるスイフト スポーツは、「スイスポ」という略語もうまれるほど通常モデル以上に評価されています。 1.6L直列4気筒エンジンは6,800回転で125psを発生。車重わずか1,070kgの車体を軽快に走らせます。足回りにはモンロー製ショックアブソーバーや前後ディスクブレーキなどスポーツグレードにふさわしい装備となっているのも通常モデルとは異なる特徴です。 中古車価格は19.8〜119万円。たとえば「スイフトスポーツ 2008年式、5MT、走行距離5.7万km」で79.8万円という個体もあります。(2022年4月現在) 日常使いも便利な2代目ホンダ フィットRS 2代目フィットは2007年に登場しました。フィットの特徴は、インテリアの高い質感と使い勝手のよさです。広い荷室が確保されていることはもちろん、シート周りにも収納スペースが豊富に設けられています。ホンダならではの走行性能の高さもあり、通常モデルでも日常使いだけではなく運転をする楽しさも味わえるモデルに仕上がっているのが特徴です。 5MTが設定されているRSは、フィットの使い勝手のよさはそのままに、より走行性能が高められています。120psを発生する1.5L直列4気筒エンジンは、i-VTEC仕様で低回転から高回転までスムーズに吹け上がります。また、最大トルクは145Nmと十分で、低速走行の多い街乗りでもストレスを感じません。また、さらに走りを楽しめる6MTモデルもあります。 中古車価格は19〜118万円で、中心価格帯は80万円以下です。たとえば「フィットRS 2013年式、6MT、6.7万km」の中古車は79.9万円でした。(2022年4月現在) コンプリートカー並みの完成度だった三菱 コルト ラリーアート バージョンR ベース車両の三菱コルトは、2002年の登場から2013年までの11年間、大きなモデルチェンジをおこなうことなく販売された三菱を代表するコンパクトカーです。販売期間が長かったため、多くのグレードや派生モデルが登場しました。 コルト ラリーアート バージョンRは、コルトをベース車両として開発されたスポーツモデル。もともとあったコルトラリーアートに専用のエアロバンパーやオーバーフェンダーを装着し、ランサーエボリューションを思わせる外観になっています。 性能面では、163psを発生する1.5L直列4気筒ターボMIVECエンジンが最大の特徴です。わずか1,100kgほどの車重を考えるとかなりハイスペックで、スポーツ走行も十分楽しめます。足回りやホイールが強化されていることに加えて、MT車には横滑り防止装置まで装備されていてこのままラリーに出場できそうな仕様です。 中古車価格は28〜238万円で、中心価格帯は80万円以下です。「コルト ラリーアート バージョンR 2009年式、5MT、10.7万km」が79.9万円で販売されていました。(2022年4月現在)ただし、走行性能重視のスポーツモデルだけあって走行距離が多めの中古車が多く、実際に購入する場合は、きちんと車を見極める力が必要です。 毎日特別な気分で運転できる2代目BMW ミニ クーパー BMW社が商標を獲得し、2007年に登場した2代目となるBMWミニ。プレミアムコンパクトカーとして人気の高いミニも、先代であれば80万円の射程圏内です。 ミニ独特の内外装のデザインは、所有しているだけで特別感を味わえます。また、走行性能の高さもミニの特徴。1.6L直列4気筒エンジンは最高出力120ps、最大トルク160Nmを発生します。バルブトロニックという技術によって、バルブのリフト量とタイミングを無段階で精密にコントロール。低域から高域までストレスのないエンジンフィールを実現しています。 中古車価格は35〜163.5万円。「ミニ クーパー 2010年式、6MT、5.3万km」のモデルが79.8万円で販売されていました。(2022年4月現在)また、175psを発生するターボモデル「クーパーS」もほぼ同価格帯で販売されています。 まとめ MT車であれば、高性能スポーツカーでなくても運転を楽しめます。 そして、MT車を低価格で購入したいのであれば、コンパクトカーがおすすめ。多くが走行性能を重視したスポーツグレードなので、小柄なボディをきびきびと走らせる爽快感が味わえます。 また、最近のコンパクトカーであればインテリアも上質で見た目以上に車内も広いので日常使いの車としても最適です。年式や走行距離には注意が必要ですが、こだわりの特別仕様車なども予算80万円で見つかるかも知れません。 [ライター/増田真吾]

トルクコンバーター+ ステップ式ATが復権!一度は見捨てられた方式が今脚光を浴びる理由
旧車の魅力と知識2022.03.31

トルクコンバーター+ ステップ式ATが復権!一度は見捨てられた方式が今脚光を浴びる理由

オートマティックトランスミッション。いわゆるATといえばほとんどがトルクコンバーター+ステップ式ATでした。機構が単純で高出力エンジンでも対応できることから、多くの車種で一気に採用が進みます。しかし、高まる燃費性能への要求から次第に他の方式にシフト。そして、近年になり技術が進歩するとともに、トルクコンバーターが再び注目を浴びています。今後ATの主流に返り咲くかもしれない、トルクコンバーターについて詳しくご紹介します。 かつてはATの主流だったトルクコンバーター AT(オートマチックトランスミッション)は、1960年代以降アメリカを中心に急速に普及。 ATの普及を牽引したのがトルクコンバーター+ステップ式AT です。さまざまな形式のATのなかでも、機構が比較的単純で当時の技術でも開発が容易だったことが後押ししました。 トルクコンバーターの仕組み トルクコンバーターは、エンジンとトランスミッションを直接接続せず、流体(オイル)を介してトルクを伝達。エンジンとトランスミッションを物理的にクラッチ板でつながないため、単純な機構でATを実現しました。 エンジンの回転でトルクコンバーター内のオイルをかき回し、その回転力でトランスミッションにつながるタービンを回して動力を伝えます。エンジンの出力とトランスミッションは直接つながっていないため、停車時にクラッチを切る必要もなく、滑らかに発進することが可能です。 トルクコンバーターのデメリット トルクコンバーター最大のデメリットは、伝達ロスが大きいことです。流体で動力を伝達するため、エンジン出力によって流体が動いてトランスミッション側のタービンを回すまでに、どうしてもロスが発生します。また、トルクを伝達する際に一部は熱として液体内に放出されることもロスが発生する一因です。 伝達ロスが大きいと、当然エンジンの性能が十分に発揮されません。ロスの分だけエンジン負荷が上がるので燃費的にも不利になります。また、時間的ロスも発生するため、適切なギアにシフトチェンジするのに時間がかかる点も燃費が悪化する要因でした。 燃費性能重視の風潮からCVTやDCTに置き換わる 環境意識の高まりから、車に求める性能の中でも燃費性能が重要視されるようになると、トルクコンバーターのデメリットを補う新しい技術の投入が模索されるようになりました。そこで開発されたのがCVTとDCTです。 より高効率化を目指して開発されたCVTとDCT  従来のトルクコンバーター+ステップ式ATのデメリットを解消するため、開発された代表的な方式が、CVTとDCTです。どちらも急速に採用される車種が増え、現在でも多くの車種で採用されています。 トルクコンバーターのまま効率を高めたCVT CVTはエンジン出力と車軸を、テーパー状(円錐)のプーリーを介してベルトで接続した変速機です。 テーパー状のプーリーがギアの変わりとなり、ベルトのかかる位置によって変速します。ギアのように段がないので無段階変速機とも呼ばれています。 エンジンとの動力伝達には、従来通りトルクコンバーターを使用する車種が大半です。(一部電磁クラッチを使用した車種もあり)しかし、1速、2速というような通常のステップ式ATと違い、CVTはエンジンを適切な回転数で使用することができるため、特に燃費の向上に効果を発揮します。 伝達ロストスムーズな変速を実現するDCT DCTはデュアルクラッチトランスミッションのことで、奇数段ギアと偶数段ギアそれぞれにクラッチが装備されています。 MTと同じく物理的にクラッチがつながるため、伝達ロスを最小限に抑えることが可能。奇数段ギアのクラッチがつながっている間に偶数段ギアを準備しておき、変速タイミングでクラッチを切り替える仕組みです。 また、マニュアルトランスミッション(以下MT)のペダルを踏んで操作するクラッチと基本的には同じですが、湿式と乾式の2種類の方式が存在します。 技術革新で再び脚光を浴びているトルクコンバーター 近年の技術革新によって、トルクコンバーター最大のデメリットである伝達ロスが大幅に改善されつつあり、一度は見放されたトルクコンバーターは、再度脚光を浴びるようになってきました。 実際にCVTからステップ式ATに再び戻した車種も増えてきています。 CVTとDCTが抱えていたデメリット 夢のATとされたCVTとDCTですが、同時にデメリットも抱えていました。 エンジンの高出力化やより高い燃費性能が求められるなか、そのデメリットが浮き彫りになり始めます。 CVTはベルトで動力を伝達するという仕組み上、高出力エンジンでは滑りが発生してしまいます。また、油圧でプーリーを動かすため一定のエンジンパワーが変速で消費されてしまうのも出力を追求したエンジンにとっては不利でした。 そして、DCTのデメリットは、機構が複雑なため小型化しにくくコストもかかること、不具合が発生しやすいこと。さらに、よりエンジンを効率よく使うため、8速や10速といった多段化が求められるなか、重量と大きさがネックとなったのです。 電子制御の進化でデメリットを解消 トルクコンバーターのデメリットである伝達ロスを軽減する方法として、エンジンとトランスミッションを直結させるロックアップ機構という方法がかねてからあります。しかし、CVTやDCTなみに伝達ロスを軽減するには精度の高い制御が必要で、デメリットの解消とまではいきませんでした。 制御方法が長年課題だったロックアップ機構ですが、技術の進歩によって近年劇的な進化を遂げます。各種センサーによる的確な車両状況の把握、制御コンピューターの高速化による瞬時の動作によって伝達ロスを大幅に軽減することに成功。トルクコンバーターならではの滑らかな発進と高効率を両立しました。 また、トランスミッションの多段化という要求に対しても、従来のステップ式ATは有利。さらに、トルクコンバーター自体は低コストで比較的コンパクトに設計できることもあり、近年トルクコンバーターを採用したステップ式ATの車種が増えてきています。 CVTからトルコンATに戻った車種やあえてATを採用した車種 トルクコンバーターの進化によって、新車にステップ式ATを採用するメーカーも増えてきています。さらに、CVTに一度変更したもののモデルチェンジでステップ式ATに戻る車種も出てきました。 4代目マツダ デミオ マツダ デミオもステップ式ATを再度採用した車種の1つ。2007年に発売された3代目デミオでは省燃費化のためにCVTを初めて採用しました。しかし、2014年の4代目へのモデルチェンジでトルクコンバーターATに戻しています。 新開発の「SKYACTIV-DRIVE」というトランスミッションで、トルクコンバーターをベースに「燃費」「なめらかな発進と変速」「ダイレクト感」を緻密な設計と制御で実現しました。 5代目トヨタ スープラ ドイツBMWとの共同開発で大きな話題となった5代目のトヨタ GRスープラにも、ZF製8速のステップ式ATが採用されています。(姉妹車のBMW Z4も同じ)スポーツカーとして、MTが欲しいというユーザーの要望もあり、2022年4月下旬には6速MTモデルの追加される予定です。 それまでスープラがMTを設定していなかった理由は「速さを追求した」から。つまり、「速さ」という点でMTは非効率で、今やステップ式ATの方が速いのです。 ダイレクト感とレスポンスが重要なスポーツカーにも、トルクコンバーターを用いたステップ式ATが採用されるようになりました。 まとめ トルクコンバーターを用いたステップ式ATから、CVTやDCTに置き換わった大きな理由の1つは燃費性能の向上でした。面白いことに、さらなる燃費性能の向上が求められる現在は再びトルクコンバーター+ステップ式ATが見直されています。 小さく軽量で、いかに動力を効率的に伝達するか?単純な機構による高い信頼性と低コスト、流体伝達による滑らかな発進や変速、多段化の要求にも応えられる省スペース設計。トルクコンバーター+ステップ式ATの組み合わせは、現代の車に求められる変速機の要件を高次元で満たす機構として見直されています。 ハイブリッドや電気自動車など、動力の発生方式による違いや技術革新ばかり注目されがちです。しかし、トルクコンバーターやステップ式ATなど、動力伝達の方式も日々進化。「これからどんな優れた方式出てくるか」ということに注目してみるのも、面白いのではないでしょうか。 [ライター/増田真吾]  

いすゞ117クーペは「カーデザイン」の革命児
旧車の魅力と知識2022.03.31

いすゞ117クーペは「カーデザイン」の革命児

流麗なファストバックスタイルの117クーペは、1968年7月から1981年4月までいすゞが販売していた2ドア4シータークーペです。発売から50年以上経った今もなお「世界で最も美しいスポーツカー」と評され、スポーツカーとしての性能よりも、そのスタイルだけで多くの車ファンを魅了してきました。日伊合作による自動車開発の成功例として、日本の自動車殿堂の歴史遺産車にも認定される117クーペは、まさにカーデザインの革命児なのです。 走る芸術品とも称された117クーペの魅力 1960年代、いすゞでは国産乗用車のイメージアップを図るべく、社運をかけたフラッグシップカーの開発が行われていました。 この開発でデザインを手掛けたのはイタリア・デザイン界が誇る美の巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロ氏。そして1966年、彼がデザインしたプロトタイプがジュネーブショーで「コンクール・ド・エレガンス賞」を受賞。さらにイタリアで開催された「国際自動車デザイン・ビエンナーレ」でも、名誉大賞を受賞しました。 その後、このプロトタイプは正式に117クーペと命名。その美しさから「走る芸術品」とも称され、多くの人にとっての憧れの車となったのです。 ジウジアーロといすゞのタッグが生まれた背景 1960年代中頃の日本車市場は、イタリアのカロッツェリア(デザイン工房)と提携してカーデザインを起こすのがブーム。ダイハツの「コンパーノ・バン」、日産の「410型ブルーバード」、マツダの「ファミリア」など、ヨーロッパテイストを取り入れた車で賑わっていました。 そしていすゞも同様にフラッグシップモデルとなるべく117クーペのデザインをイタリアに求め、カロッツェリア・ギア社と委託契約を結びます。そのギア社に在籍していたのがジウジアーロだったのです。 天才ジウジアーロが手掛けた流麗なデザイン(初期型) ジウジアーロが考えた117クーペのエクステリアコンセプトは、滑らかな流線型のファストバックスタイル。当時のイタリアンデザインに見られたホイールアーチに沿ったフェンダーライン、大きなガラスエリアに細いピラーなど斬新なデザインが随所に見られます。 フロントフェイスは、一体型のバンパーに丸目4灯のヘッドライト。センターには獅子のエンブレムを備えます。ジウジアーロの最大の拘りは、ボディの溶接面やガラスの接合面を見せない配慮。スッキリと1枚の面で構成されたフォルムになっています。 そしてインテリアにも、ジウジアーロならではのセンスが散りばめられています。インパネやステアリング、シフトノブに本物の木材を使うなど随所で高級感を演出。そして7連メーターでスポーティさもしっかりアピールしています。 ちなみに117クーペが発売された1968年当初、いすゞにはこの美しい造形を量産化する機械技術がなかったため、ボディの板金製作や装備は全てハンドメイドで行っていました。そのため月間の生産台数は30台前後、価格は172万円で、現在の価値に換算すると大体620万円(消費者物価指数で換算)と高価。それでも当時は作れば作るだけ赤字を計上していたと言われています。 高級なハンドメイドから量産化により爆発的にヒット 117クーペは1968年から1981年まで間に、2度のマイナーチェンジが行われています。初期型と呼ばれるモデルはハンドメイドで製造されましたが、1973年の中期型では製造方法がライン生産に変わり、生産台数が飛躍的に向上しました。 また高すぎるコストの削減にも成功し、初期型と比べ車両価格を抑えた117クーペは爆発的にヒット。販売開始以降、初の黒字化を達成。一方で中期型では内装の素材が木材から金属やウレタンに変わり、初期型独特のエレガンスな雰囲気が損なわれてしまいました。 さらに、1977年に登場した後期型では、特徴的だった丸目のヘッドライトが角目に変更。また、内外装に樹脂パーツが多く使われるなど、さらになるコストカットが図られました。そして117クーペはフルモデルチェンジをせずに1981年に生産終了。総生産台数は86,192台でした。 いすゞ117クーペの中古車市場 初期型の117クーペの新車価格は172万円。当時の大卒初任給は平均で3万950円だったと考えると、かなりの高級車であったことは間違いありません。しかし、マイナーチェンジによるコストダウンにより、新車価格も廉価版では100万円前後まで抑えられます。 そんな117クーペの中古車市場(3月15日現在)を覗いてみると、取引台数は16台。最高値はハンドメイド製法の初期型で685万円、最安値は後期型で148万円と共に新車価格を上回っています。 続いて買取り相場ですが、歴史的価値の高い117クーペは一般査定なら95万円、旧車王ならおよそ120万円と高額査定も期待できます。もちろん希少価値の高いハンドメイドなら高額買取も望めます。 まとめ まさに「魅せる」という1点張りで名車の仲間入りを果たした117クーペ。ジウジアーロ自身も「最高傑作」と称するほどのスタイリングに、現在もコレクターを中心に高い人気を誇っています。 いすゞが赤字採算を覚悟してまで世に出したフラッグシップカーは、それまでの日本のカーデザインの概念を変えたと言っても過言ではありません。 日本とイタリアの技術が融合して生み出された117クーペと言う名の超傑作、もし機会があれば、一度は手にしてみたいですね。 [ライター/増田真吾]

日産3代目スカイライン「ハコスカ」日本を代表する大名跡「GT-R」の元祖!
旧車の魅力と知識2022.03.24

日産3代目スカイライン「ハコスカ」日本を代表する大名跡「GT-R」の元祖!

「ハコスカ」の名称で多くのモーターファンに認知されている3代目日産 スカイライン。実はこのスカイラインは、日産にとって節目となる記念すべきモデルでした。プリンスとの合併、レースでの連勝記録、GT-Rの称号の誕生などスカイライン、そして日産の方向性をも決定づけた3代目スカイライン「ハコスカ」の魅力に迫ります。 日産とプリンス合併後初のスカイライン 日産とプリンスの合併後初の新規モデルとして発売されたのが3代目スカイライン、通称ハコスカです。 スカイラインの方向性を決定づけた3代目 3代目スカイラインの登場は1968年。1966年に日産とプリンスが合併したあと、初の新規モデルとして発売されました。 ハコスカの愛称で親しまれた3代目スカイラインは、スカイラインの方向性や日産のスカイラインとしての地位を確立したモデル。とくに発売2ヶ月後に登場したGC10型はスカイライン人気を決定づけたモデルとなりました。 初期型となるC10型に搭載されたエンジンはプリンスが開発したG15型エンジン。一方のGC10型には日産の開発したL20型エンジンが搭載。プリンスのスカイラインから脱却し、日産のスカイラインという地位を確立したのが2000GTとして販売されたGC10型です。 GT-Rもハコスカから始まった 2000GTによって人気を集めたスカイラインはさらに意欲的に新型を投入します。GC10型スカイライン登場の翌年、PGC10型2000GT-Rが追加されました。 2000GT-Rのコンセプトカーは、2000GT発売と同月に開催された第15回東京モーターショーにスカイライン2000GTのレーシング仕様として出品されます。2000GTのエンブレムは赤く塗られ、エンジンには新型のS20型エンジンが採用されました。 レーシング仕様として登場した2000GT-Rは実際にレースシーンを席巻。ツーリングカー50連勝という日本のレース史上不滅の金字塔を打ち立てたのです。 2000GT-R以降、「GT-R」の名はスカイライン最高の走行性能を誇るグレードに冠されるようになります。ちなみに、GT-Rといえば2ドアクーペのイメージですが2000GT-R登場当初は4ドアセダンのみの設定でした。 愛称がつけられたのもハコスカが最初 ハコスカは性能やモデル展開だけではなく、あらゆる面でその後のスカイラインの方向性を決定づけたモデルです。その1つがスカイラインシリーズに名付けられた愛称。スカイラインは「ハコスカ」をはじめ「ケンメリ」「鉄仮面」などさまざまな愛称がつけられています。 初めて愛称がつけられたのが3代目スカイライン「ハコスカ」でした。特徴的な角張ったボディから「箱型のスカイライン」と評されたことが語源です。また、「愛のスカイライン」というCMキャッチコピーから「愛スカ」とも呼ばれました。 4年間で意欲的に新型式を投入した3代目スカイライン 3代目スカイラインに対して、日産がいかに力を入れていたのか。その意気込みが良く分かるポイントは、投入されたモデルの多さです。初期型となるC10型を皮切りに4年間の販売期間で、メインラインだけでも実に4つの型式のモデルが投入されました。 バリエーションの多かったC10型 合併後初の新モデルとなったC10型は、まだプリンスの影響が色濃く残っています。その象徴がエンジンで、プリンス製のG15型1500cc直列4気筒OHCエンジンを搭載していました。 また、展開バリエーションが多かったのもC10型の特徴。ベースとなる4ドアセダン(C10型)をはじめ、エステートのWC10型、バンのVC10型がラインナップされていました。 グレードは「スタンダード」と「デラックス」の2種だったものの、デラックスは「ファミリーデラックス」「ツーリングデラックス」「スポーティデラックス」の3種を展開。さらに、女性仕様の「Lパック」というメーカーオプションまで用意します。当時としてはバリエーションの幅が広く人気を集めました。 日産スカイラインの元祖となったGC10型 C10型発売の2ヶ月後に投入されたGC10型最大の特徴が、日産製エンジンへの変更です。 120psを発生する2,000cc直列6気筒OHCのL20型エンジンが搭載され、大幅に走行性能を向上。エンジンの大型化に伴ってフロントノーズも延伸され、ロングノーズ仕様になります。実は3代目スカイラインはもともと6気筒エンジン搭載を配慮して開発されていたため、ロングノーズ仕様になったことで車全体のバランスが整いました。 モデル名には2000GTの名が冠され、ロングノーズのスタイリングは翌年発売されるGT-Rにもつながります。 記念すべき初代GT-RとなったPGC10型 2000GTのレーシング仕様という位置付けで1969年に発表されたのが、GT-Rの称号が初めて使用されたPGC10型。2000GT-Rと名付けられたPGC10型スカイラインこそが、現在まで続く「GT-R」の初代です。 2000GT-Rはレース車両としての走行性能を追求して開発され、最高出力160psを発生する新開発の2,000cc直列6気筒DOHCエンジンS20型を搭載。サスペンションやステアリングギア比に加えてリアフェンダーの形状までもが変更されたうえ、レースに不要なヒーターやラジオはオプション扱いとされました。 現在まで続くGT-Rの形になったKPGC10型 GT-Rの称号を初めて冠されたのは4ドアセダンのPGC10型スカイラインですが、2ドアクーペという現在まで続くGT-Rの形となったのはKPGC10型です。 登場当初は圧倒的な速さを誇っていた4ドアセダンの2000GT-Rですが、次第にロータリーエンジンを搭載するマツダ車の猛追が始まります。 そこで投入されたのが2ドアクーペのKPGC10型です。KPGC10型スカイラインは従来のPGC10型のホイールベースを短くすることでコーナリング性能を大幅に引き上げ、ライバルの猛追を振り切りました。 また、KPGC10型は。デザイン面で大幅に変更が加えられています。ダッシュパネルなどインテリアに大幅な変更が加えられたことに加えて、フロントグリルや前後バンパーとテールランプなどの外観も随所にデザイン変更が施されました。 まとめ 現在でも日産のスポーツモデルとして続くスカイラインの歴史は、3代目スカイライン「ハコスカ」から始まったと言っても過言ではありません。 また、最高の走行性能を誇るグレードに使用されたGT-Rの称号も3代目スカイラインが元祖。現在では「GT-R」という車名で独立した車種となるほど、3代目スカイラインから使用が始まったGT-Rの名称は日産だけじゃなく日本を代表する大名跡です。 ハコスカは発売からすでに50年以上が経過しました。しかし、すべての起源となったハコスカはスカイラインファンのみならず、多くのモーターファンから今も高い人気を集める車種です。 市場での人気もまさに異次元。高いものでは、1970年式の2000GT-Rが3,000万円以上で販売されていました。さらに旧車王での買取価格は1969年式のPGC10型スカイラインで1,350万円のものもあり、上限1,500万円という高値で取引されています。※価格はいずれも2022年3月現在 [ライター/増田真吾]

詰め込まれた最新技術と豪華な内装がスゴイ!日産 430型セドリック
旧車の魅力と知識2022.03.24

詰め込まれた最新技術と豪華な内装がスゴイ!日産 430型セドリック

日産 430型セドリックは、センターピラーを持たない4ドアハードトップセダン。安全性と剛性の問題から今ではなくなってしまった4ドアハードトップですが、かつては高級セダンのあかしでした。直線的でスタイリッシュなボディには、当時の先進技術が詰め込み、その姿はまさに高度経済成長の集大成。先進的で豪華な見た目と装備を備えた、日産430型セドリックの魅力に迫ります。 時代の最先端だった430型セドリック 日産 430型セドリックは、40年以上販売が続いたセドリックの5代目として1979年に登場しました。高級セダンとして豪華な内装はもちろん、性能面でも先進の技術が詰め込まれた1台です。 とくに車の核となるエンジンやドライブトレインは、ハイブリッド車登場以前、現代車の基本形がすでに完成していました。 国産市販車初のターボ車はセドリックだった 430型セドリックは、高度経済成長を遂げた1970年代末の車だけあり、革新的な技術や装備が随所に盛り込まれています。 とくに革新的だったのが、国産市販車初となるターボエンジンL20ET。環境性能への要求が高まるなか、高性能と低燃費を実現する切り札として登場しました。その後多くの国産車にターボエンジンは搭載されますが、430型セドリックから国産ターボ車の歴史が始まったのです。また、国産乗用車初の6気筒ディーゼルエンジンであるLD28型もラインナップされていました。 次世代車の基本形となった430型セドリック 430型セドリックに投入された先進技術は、国産市販車初のターボエンジンだけではありません。世界初となる電子制御OD(オーバードライブ)付きフルロックアップ機構4速ATも投入されました。 フルロックアップ機構とは、MT車のように物理的にクラッチ板をつないでしまう仕組みのこと。多くのAT車で使用されていたトルクコンバーターは、液体によって動力を伝達するためどうしても回転ロスが出てしまい、パワーロスとともに燃費が悪化するという点が大きなデメリットでした。 しかし、フルロックアップ機構でクラッチを物理的につなぐことでデメリットを最小限に抑え、燃費性能を向上させました。電子制御フルロックアップ機構は、現在トルクコンバーターを採用するATでは多くの車に備えられている技術です。 そのほかにも、日産初のエンジン集中電子制御システム(ECCS)が採用されるなど、次世代の車を支えるさまざまな技術が430型セドリックで初めて投入されています。 贅を尽くした内装と装備 1970年代後半からバブルにつながる当時の車の特徴は、とにかく内装が豪華なこと。とくにセドリックは、高級セダンのトップに君臨していたトヨタ クラウンを意識して作られたため、贅沢な内装に可能な限りの装備が詰め込まれていました。 応接室のように仕上げられた内装 430型セドリックのインテリアは昭和の応接室がそのまま再現されたかのようなデザインです。インパネは全て深い色の木目調で、車内のいたる所に同様の木目調パネルが使用されています。シートやドアパネルなどは全てベロア調素材でまとめられていていました。 また、オーナーカーでありながら後席の居住性も追求して開発されています。ラジオチューナーやエアコンのコントローラーも木目調パネルに収められていて、天井には後席用の冷房の吹き出し口も完備。 そして、さらに秀逸なのが後席の乗客が足を伸ばせるシートアレンジです。助手席のシート背面部の一部をくり抜くように倒すことでオットマンのようになり、後席から助手席に足を伸ばすことができました。 あらゆる機能が詰め込まれていた 430型セドリックの運転席に座ると、無数のボタンやツマミに目がいきます。各種警告灯や照明を備えたオーバーヘッドコンソールとあわせて、まるで飛行機のコックピットかのような印象。可能な限りの技術を詰め込でいることも、当時の高級車にとって重要なステータスの1つだったのです。 中には、本当に意味があるのか分からない機能まで装備されていました。たとえば、テンキーを備えたドライブコンピューター。カーナビの元祖のような存在ではありますが、走行距離と時間(速度)の計算ができるだけという今となってはおもちゃのような装備です。 他にも、画面もないのにテレビチューナーだけはラジオとは別途備えられていて、専用のコントロールツマミまで用意されていました。 まとめ 1970年代末に新時代の到来を予感させた430型セドリック。販売台数ではライバル車トヨタ S110型クラウンには及びませんでしたが、先進性と独創性から今でも根強いファンがいます。 中古車価格は高いもので300万円を超えるものもある一方、買い取り価格は現在のところ100万円前後。ただし、状態が良ければ相場の倍額での買い取りとなるケースもあります。残存台数は年々減少しているため高騰する可能性もあり、今後の価格動向から目が離せません。 ※価格はいずれも2022年3月現在

唯我独尊のステンレスボディ!バックトゥザフューチャーで脚光を浴びたデロリアン DMC-12を振り返る
旧車の魅力と知識2022.03.16

唯我独尊のステンレスボディ!バックトゥザフューチャーで脚光を浴びたデロリアン DMC-12を振り返る

「デロリアン」。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(85’)で一躍、有名なった “あの車”です。直線基調のステンレスボディにガルウィングを備えた独特なフォルムで時空を駆け巡る「デロリアン」は、当時まさに唯一無二の存在でした。そして映画の公開から40年近く経った今もカルト的な人気を博しています。でも「デロリアン」の魅力はそれだけではありません。それはまさに1人の男の人生をも変えた車だったのです。 わずか1車種しか販売できなかった自動車メーカーデロリアンとDMC-12 デロリアンの正式名称は「DMC-12」。1981年1月から翌年の12月まで、デロリアン・モーター・カンパニー(DMC)が製造・販売していたスポーツカーです。 DMC は1975年当時、ゼネラルモーターズの副社長だったジョン・ザッカリー・デロリアン氏が自分の理想とする本格的なGTカーを作るために独立し、デトロイトに設立しました。 それからなんと6年もの開発期間を経て完成したのがDMC-12です。「あのデロリアンが作った車」ということもあり、発売開始直後から予約が殺到。しかし、初期型のクオリティがあまりにも低かったことでキャンセルが相次ぎ、同社は経営難に。さらにデロリアン氏の不正経理やコカイン所持容疑での逮捕など、度重なるトラブルに見舞われ、1982年10月に「DMC」社は倒産してしまいます。 念願叶ったDMC-12も、僅か2年でおよそ9,000台が生産されただけにとどまり、後継車開発も断念。DMC-12は、僅か1世代で幕を閉じた不遇な車となってしまいました。ところが、1985年に公開され世界的大ヒットを記録した「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場すると一躍脚光を浴び、現在もコレクション的な車として高い人気を誇ります。 他に類を見ないデロリアン DMC-12独自のメカニズム DMC-12を生み出したDMC社の実態は、理想は高い一方で技術力が圧倒的に足りない自動車メーカーでした。開発部門もなく製造スタッフも経験不足という状況で、最初から理想の車作りを断念したジョン・デロリアン氏。そこで彼はなんと、ヨーロッパの名車のエッセンスを寄せ集めてDMC-12を生み出しました。 そうこれはイギリス、フランス、ドイツ、そしてイタリアの風味漂う、一粒で4度おいしい多国籍車なのです。 ステンレスボディにガルウイングはまさにイタリアン! DMC-12最大の特徴は、メンテナンスフリーでサビないステンレスボディとガルウイングでしょう。 無塗装のステンレスボディは、加工時に付くサンドペーパーの傷がそのまま残ったヘアライン仕上げ。そして、スーパーカーを彷彿とさせるガルウイングとなれば、注目を集めないはずがありません。 このデザインを担当したのがイタリア・カーデザインの巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロ氏。日本でも117クーペやスバル・アルシオーネSVXのデザイナーとしてお馴染みのジウジアーロは、象徴的なステンレスボディに樹脂製のバンパーを組み合わせ、エッジの効いた近未来的なデザインに仕上げました。ちなみに「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の発明家「ドク」によると「ステンレスボディはタイムマシンには好都合」だったそうです。 その後「DMC-12」は純金パネル仕様の追加やターボ車、4人乗り&4枚ガルウイングドア仕様も計画されていましたが、残念ながらDMCの倒産で実現には至りませんでした。 エンジンや足回りも多国籍!? 「DMC-12」に搭載されているエンジンは、プジョー(仏)ルノー(英)ボルボ(独)の多国籍軍が作った合弁会社「PRV」製の2.8L・V型6気筒SOHCエンジン。元々アルピーヌ・A310に搭載されていたエンジンを改良し搭載されました。 最大出力は135ps、最大トルク22.9kgm、最高速度は209km/h。変速機はルノー製(英)の5MTと3ATがラインアップされました。 シャーシを手掛けたのはコーリン・チャップマンが率いるロータス社(英)です。足回りはロータス・エスプリ、サスペンションの一部はロータス・エラン、リアブレーキ・キャリパーはフォード・コルチナからの流用。 このようにヨーロッパ各国で生まれた名車の部品を寄せ集め、イタリア・カロッツェリアのデザインを取り入れ、イギリスの工場で組立てられたのが、アメリカの自動車メーカー「DMC」から発売されたDMC-12です。 デロリアン DMC-12の中古車市場 1981年当時、DMC-12の新車価格はおよそ700万円と高額でした。それから40年経った現在は一体、幾らで取引されているのでしょうか? 2022年3月現在、大手中古車情報サイトで中古市場を見てみるとDMC-12の取引は2件。どちらも1,480万円ほどの高価格で掲載されています。走行距離は3,000キロ、もう一方も13,000キロと低走行車です。 続いては買い取り相場ですが、こちらは非常に希少な車のため残念ながら確認できません。ただその希少性故、コンディション次第では高額査定も望めます。しかし、こういったコレクション性の高い車種の場合、過走行になると査定額が大幅に下がってしまう可能性もあります。 まとめ 自動車メーカーの革命児として名を馳せたデロリアン氏が人生を賭けて作り上げた「DMC-12」。わずか2年という短命でその幕を閉じましたが、40年が経った今もコレクターを中心に高い人気を誇っています。 2022年8月に後継車として「デロリアンEV」がお披露目されると噂されていますが、果たして初代の魅力を継承できているのか。ヨーロッパの風味が漂い、時空をも駆け巡る近未来カー。 多くの人を虜にする一方で、1人の男の人生までを狂わせた「DMC-12」の魅力は、まさに唯一無二の存在といっても過言ではありません。 [ライター/増田真吾]

ヤリスWRCに繋がるトヨタのスポーツ4WDグレード「GT-FOUR」を振り返る
旧車の魅力と知識2022.03.08

ヤリスWRCに繋がるトヨタのスポーツ4WDグレード「GT-FOUR」を振り返る

トヨタのスポーツ4WDの歴史は、「GT-FOUR」の登場と共に幕を開けました。高い走行性能とスタイリッシュな外観で若者の心を掴みつつ、WRCという世界最高峰のステージで着実に結果を重ねていきます。現在WRCで活躍しているGRヤリスにもつながる、GT-FOURの歴史と魅力を振り返っていきましょう。 トヨタWRCの歴史とともに歩んだGT-FOUR 「GT-FOUR」はトヨタのスポーツ4WD最高グレードとして受け継がれてきた称号です。2車種4世代に渡って使用されたグレードで、その時代の最新技術が投入されていました。 トヨタのスポーツ4WDの礎を築いたGT-FOURは、最終型の3代目カルディナの販売終了まで実に20年以上も使用された伝統のグレード名称です。 トヨタ初のスポーツ4WDとして登場 初代のGT-FOURは4代目セリカ(160系)の追加グレードとして1986年に登場しました。トヨタ初のスポーツ4WDとなり、以降「GT-FOUR」という名称はトヨタのスポーツ4WDを象徴する称号として受け継がれることになります。 GT-FOURはセリカとして3代、別車種カルディナで1代の合計4世代に渡ってトヨタのスポーツ4WD最高峰グレードとして君臨。WRCのベース車両ともなった高い走行性能が魅力でした。 WRCでトヨタ黄金時代を築く 初代160系セリカGT-FOURは、1986年の登場の2年後となる1988年からWRCに参戦します。5,000台販売というWRC参戦規定のクリアを待ったためです。参戦初年度こそランチアに苦戦を強いられますが、翌年には初優勝。さらに1990年には、ドライバーズタイトル獲得と目覚ましい活躍をします。 続く2代目ST185系セリカでは、トヨタのラリー黄金期を築き上げます。1992年から1994年にわたってドライバーズタイトルを3年連続で獲得。さらに1993年と1994年についてはマニュファクチャラーズタイトルも獲得し2冠に輝きました。トヨタのマニュファクチャラーズタイトル獲得は、日本車初という快挙です。 後継となるST205では車両規定違反があったこともあり、GT-FOURによるWRCの歴史は1995年で終了します。 歴代GT-FOUR トヨタのスポーツ4WDとして一時代を築き、トヨタのみならず日本の自動車史に残るGT-FOUR。ここからは、4代目セリカから3代目カルディナまで、歴代GT-FOURについて振り返ってみたいと思います。 映画でも話題になったST165 初代GT-FOURは、185psを発生する2Lターボ3S-GTEエンジンにトヨタ初となるフルタイム4WD車として1986年に登場。すでに販売されていたST160系セリカの追加モデルとして発表されました。 高いスペックとリトラクタブルライトという先進の外観から、若者を中心に注目を集めます。当時はスタイリッシュに乗れる高性能車が人気で、ホンダ プレリュード、日産 シルビアと並んで3大デートカーとも呼ばれました。 また、映画「私をスキーに連れてって」にも登場。劇中で雪道のカーアクションシーンがあり、当時ブームとなりつつあったスキー用の車としても人気が高まりました。 WRC黄金時を築いたST185 ST165の後継車種として投入されたST185型GT-FOUR。エンジンの型式こそ先代と同様の3S-GTEながら、セラミックタービンと空冷インタークーラーによって、40psアップとなる225psを実現しました。走行性能も随所に先進技術が投入され、日本初のトルセン式リミテッドスリップデフ、油圧制御式アクティブサスペンション(限定車)などが装備されています。 WRCには1992年から参戦。6連覇中のランチアを抑えて日本車初のマニュファクチャラーズタイトルを獲得するなどトヨタWRCの歴史のなかでも輝かしい黄金期を築き上げました。 車としての完成度は高かったST205 1993年のセリカモデルチェンジから1年遅れで登場したのが、ST205型GT-FOURです。セリカ最終型のT230系セリカにはGT-FOURの設定はなかったので、セリカとして最後のGT-FOURとなります。 インジェクター容量の増加やメタルガスケットの採用など、改良された3S-GTEエンジンの出力は255psに到達。対向4ポッド(後輪は2ポット)アルミ製キャリパーを採用したブレーキをはじめ、当時のWRカーとしては完成の域に達していました。リトラクタブルヘッドライトを廃止し丸目4灯式ヘッドライトになった点が外観上の大きな変更点です。さらに大型のリアスポイラーを装備し、WRCでの活躍も期待されました。 しかし、ST205型GT-FOURは参戦翌年の1995年シーズン途中で車両規定違反が見つかり、トヨタはWRCから遠ざかることになってしまします。1998年にWRCに復帰する際は車両をカローラに変更していたため、GT-FOURでのWRC参戦はST205型セリカで幕を閉じることになりました。 GT-FOURの称号を復活させた3代目カルディナ ST205型GT-FOURの販売終了から3年後となる2002年、GT-FOURの称号が別車種で復活します。3代目カルディナ(T240系)のターボモデルのグレードにGT-FOURの名が冠されました。 260psまで高められた3S-GTE型エンジンと高い走行性能が魅力で、ニュルブルクリンクでは80型スープラよりも速いタイムを記録したという逸話まで残っています。この逸話には多くの説があり真偽は不明ですが、3Lツインターボのスープラと比較されるほどの高性能であったことは間違いありません。 ただし、用意された設定は4速ATのみということでWRC等のレース参戦車両となることもなくカルディナの販売終了と共に2007年にGT-FOURの名称は終了しました。 まとめ 現在GT-FOURの名称は使われていませんが、GT-FOURの名称を受け継いだ「GR-FOUR」という名称が使用されています。WRCで第2の黄金期を築きつつあるGRヤリスの4WDシステムの名称です。 トヨタ初となるスポーツ4WDに冠されたGT-FOURは、トヨタのWRC参戦の歴史に輝く最初の黄金期を築きました。GT-FOUR以来のスポーツ4WDとなるGRヤリスに搭載されたGR-FOURは、新開発された画期的な4WDシステムです。 GR-FOURもGT-FOUR同様、トヨタ最高の技術が投入された証でもあります。WRCでのGRヤリスの活躍とともに、GR-FOURの今後からも目が離せません。 [ライター/増田真吾]

当たり前じゃなくなる?!10年後に消えるかもしれない装備
旧車の魅力と知識2022.03.01

当たり前じゃなくなる?!10年後に消えるかもしれない装備

車は世相と技術が反映された製品で、その時代に合わせた装備が搭載されてきました。近年では自動運転、EV化と車は今大きな過渡期にあります。10年後の道路ではどんな車が走っているのか。今後10年で消えるかもしれない装備をみていくと、未来の車の形がより具体的に見えてくるかもしれません。 当たり前は既に変わりつつある車の装備5選 シフトノブ(シフトセレクトレバー)に針が動くスピードメーターなど、これまで当たり前に装備されていると思っているものも、既になくなっている車もあります。 なくなりそうな装備を紐解くと、車の操作はよりシンプルになっていることが見えてきます。車を操作している感覚が楽しい人には少し寂しい面もありますが、車の安全性をより高めるためには仕方のない方向性なのかもしれません。 車の心臓部であるエンジン 車の心臓部であり、ボンネットを開けると存在感を放つエンジン。しかし既にEV車が出始めていて、10年後にはボンネットを開けても小さなモーターが設置されているだけという日がくるかもしれません。 また、エンジンがなくなるということは、エンジンオイル交換も不要になります。さらに、パワーステアリングも油圧式から電動式への置き換えが進んでいるので、パワステフルードも不要になる日がくるでしょう。 MT車の名残であるシフトノブは完全消滅の可能性も シフトセレクトレバー、いわゆるシフトノブはMT車の名残ともいえる装備です。しかし、すでにパドル式、ダイヤル式やボタン式のものも出てきています。さらに安全技術や自動運転技術が進化すると、ボタン1つで車が動くようになる日がくるかもしれません。 アナログメーターは過去の遺物になる 「物理的に針が動く」アナログメーターは、多くの車でフル液晶ディスプレイのメーターが採用され既になくなる方向です。アナログ風の表示方式自体は一部車種で今後も残り続けても、自動運転技術が進むとそもそも速度やエンジンの回転数を逐一確認する必要性がありません。 物理スイッチは減っていく 車をコクピットのように演出する物理スイッチも、今後なくなってしまうかもしれない装備の1つです。エアコンのコントロールなど、一部の機能は既にタッチセンサー式のスイッチになっています。さらに、遠くない将来スマホのように車のコントロールは液晶タッチパネルのみになるかもしれません。 また、電動化がさらに進み、既にワイヤーで物理的に引っ張っているトランクや給油口の開閉もタッチパネルからコントロールできるようになりつつあります。 カーナビそのものは進化するも社外品ナビは厳しいかもしれない 自動運転技術はGPSによる方位測定と、カメラによる3D認識によるものです。つまり、純正のカーナビは自動運転技術の核ともいえる装備なので今後も存続します。ただし、純正のカーナビが外せなくなる以上、社外品のカーナビは入り込む余地がなくなってしまいます。自動運転技術が搭載されていない車種であれば、スマホのアプリの方が、性能も更新性も高いのでそちらに置き換わっていくでしょう。 既になくなってしまったかつては定番装備だったもの4選 かつては当たり前だった装備でも、今では既になくなったしまったものがいくつもあり、なかには法律で義務付けられていた装備もありました。また、オプションとして現在でも残ってはいるものの、時代の流れから選択されなくなった装備もあります。 車内は優雅な喫煙場所 男性の喫煙率が6割を超えていたという時代背景もあり、灰皿やライターが標準装備でした。 前後席の灰皿はもちろん、車種によっては後席にもシガーソケットが備えられ、タバコを片手に運転する当時のドライバーには欠かせない装備でした。 現在では灰皿は小物入れなどに置き換わり、シガーソケットも「アクセサリーソケット」や「電源ソケット」という呼び名に変わってきています。シガーソケット自体は現在でも電源として残っていますが、もともとは「シガー」の名の通りライターが取り付けられていたことを知るかたも年々減っているかもしれません。 法律で義務付けられていた速度警告音 時速100km/hを超えると「キンコン」と鳴っていた速度警告装置。かつては道路交通法で義務付けられていた装備も現在ではなくなってしまいました。法律で定められていた正確な速度は普通乗用車で105km/h、軽自動車は85km/hです。 しかし、日本独自の装備だったためアメリカ政府や自動車メーカーからの圧力で1986年に法律は廃止。以降徐々に姿を消していきました。 安心して運転できたコーナーポール 左前方のバンパーから伸びる1本の棒。運転席から見にくい左前方の位置を示すコーナーポールです。車両感覚にあまり自信が無い人でも、コーナーポールのおかげでしっかり見切りをつけられました。セダンや大きな車だけでなく、コンパクトカーや軽自動車などでもよく見かけた装備です。 現在でも純正オプションやアフターパーツとして販売されていますが、各種センサーやモニターの発達で装備する人はほとんど見かけません。 レースのシートカバーで高級感を演出 かつて車は高級で特別なものというイメージがあり、その演出として定番だったのがレースのシートカバーです。車種やグレードを問わず、多くの車で装備されていました。 最近はみかけることもなくなりましたが、実は今でも純正品として供給されています。しかも撥水性が高められるなど機能性も進化していて、小さな子どもなどを乗せる際はシートの汚れを防ぐアイテムとして有効です。 ただ、どうしても古めかしいイメージから敬遠する人が多いのも事実で、いつかは完全になくなってしまう日も来るかもしれません。 まとめ 慣れ親しんだ装備がなくなっていくのは寂しさも感じます。車の装備は、技術面だけではなく当時の世相を反映したものもあり、振り返ると思わぬ発見もあるかもしれません。 一方、この装備が将来どうなっていくのかを考えるのは楽しいものです。技術の進歩によってなくなるのか、より進化するのか。車を運転しながら思いを馳せてみてはいかがですか。 [ライター/増田真吾]

新車価格は1,200万円のスペシャルGT-R!メーカーチューンの神髄を見せたニスモ 400R
旧車の魅力と知識2022.02.22

新車価格は1,200万円のスペシャルGT-R!メーカーチューンの神髄を見せたニスモ 400R

ニスモ 400Rは、日産のモータースポーツ部門NISMOが開発し、わずか55台しか販売されなかったコンプリートカーです。販売が少ない理由はその価格。ベースとなったR33型GT-Rの2倍以上となる1,200万円で販売されました。 今回は、NISMOがこだわり抜いて開発したコンプリートカー、ニスモ 400Rの魅力をお伝えします。 ニスモ 400Rのベース車両はR33GT-R 今回紹介するニスモ 400Rのベースとなった車両は、R33型スカイラインGT-Rです。新車販売当時は不評で、先代R32型スカイラインGT-Rの半分以下の販売台数でした。しかし、実はかなり高いスペックとなっていて、車の素性としては近年見直されているほどのポテンシャルを秘めています。 そして、R33型スカイラインGT-Rを使用してコンプリートカーを作り上げたのが、日産のモータースポーツ部門を担うNISMO。そんな400Rを生み出したNISMOについて、改めてご紹介します。 日産のモータースポーツを支えるNISMO 日産ファンなら一度は聞いたことのあるNISMO。ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社を省略表示した日産子会社のブランド名です。 レースへの技術支援、モータースポーツ向けの部品設計や製造をおこなっている会社で、日産のモータースポーツの心臓部ともいえます。 ニスモ 400Rは、ニスモの持つ技術を結集してチューニングされたコンプリートカー。デザイン面での不評とは裏腹に、性能面では素性の良かったR33型スカイラインGT-Rだからこそ実現しました。 見た目は不評ながら性能アップを果たしたR33型GT-R R32型スカイラインGT-Rの後継車種として登場したのが、R33型スカイラインGT-Rです。R32の弱点だった居住性を改善するため、大型化したことが裏目に出てしまい、また、バブル終焉の煽りを受けてステアリングなど内装パーツのいくつかを他車種と共通化。丸みを帯びたデザインとともに、R32の精悍なイメージを望んでいた一部のファンからは、セダンのようだと酷評されました。 しかし、性能面は大幅な進化を遂げます。増加した車両重量に対応したエンジンは、型式こそ先代と同様RB26DETTですが、最大トルクは先代の36.0kgmから37.5kgmにアップ。 ニュルブルクリンク北コースでのタイムは、R32型Rより21秒も短縮されました。R33型GT-Rは、コンプリートカーを制作するベース車両としては十分な戦闘力を持ったマシンだったのです。 NISMOのノウハウが詰め込まれたニスモ 400R R33型スカイラインGT-Rに搭載されている直列6気筒RB26DETTエンジンは、もともとチューニングベースとして素性のいいエンジンです。R32型開発当時のグループAで勝つために作られていたこともあり、600psを想定して開発されていました。 しかし、エンジン出力を向上させるだけでは車は速くなりません。また、スポーツカーの醍醐味は、車を意のままにコントロールする人馬一体の感覚です。 400RはNISMOのノウハウによって、ハイパワー車ながら手足のように操る感覚で乗れる公道最強ともいえるコンプリートカーに仕上がっています。 名前の由来となったエンジン出力は400馬力 ニスモ 400Rの「400」は、そのままエンジン出力を表しています。ニスモ 400Rに搭載されているエンジンの型式はRB-X GT2です。R33型スカイラインGT-Rに搭載されていたRB26DETTエンジンをベースとしながら、新開発エンジンといえるほどのチューニングを施していました。 日産工機 (REINIK) 製ストロークアップクランクによる排気量アップ、N1仕様メタルタービン装着とそれに対応してインタークーラーの大型化。そのほかにも、強化アクチュエーター、メタルヘッドガスケット、専用ECUへの変更等をおこなった結果、最高出力400ps/6,800rpm、最大トルク・47.8kgm/4,400rpmまで性能を向上させています。 また、排気量を200ccアップしたことで中低速域のトルクが向上。ハイパワー車にありがちな中低速域でのもたつきもなく、一気に高速域まで加速します。他の同クラスの車とは明らかに違うスムーズな加速感こそ、400Rの真髄です。 高出力エンジンを支える装備も一級品 足回りにはビルシュタイン製のサスペンションを採用。ビルシュタイン社は、スポーツサスペンションに定評のあるドイツのメーカーで、ポルシェやフェラーリなどにも純正採用されています。さらにマウント部はすべて強化ブッシュにすることで、ハイパワーエンジンに追随するきびきびとした走りを実現しました。 また、クラッチにはツインプレートタイプを搭載。ハイパワーエンジンの動力を余すことなく伝えます。一般的にツインプレートクラッチは重く扱いにくいのが特徴でしたが、400Rのツインプレートクラッチはノーマルと同等の踏力でコントロールできました。このあたりにも、メーカー直系という開発陣のこだわりが感じられます。 そのほかにも、軽量化によってエンジンポテンシャルをさらに引き出す工夫も随所に見られました。GTカータイプのボンネットを採用し、ボディ剛性アップのため装着されたタワーバーも、より軽量なチタン製がチョイスされています。 デザイン面では、ニスモ製エアロパーツを装備し、オーバーフェンダーによって車幅は左右それぞれ50mmずつ拡大されています。 まとめ こだわり抜いてチューニングされた魅力あふれるニスモ 400R。中古車価格もお伝えしたかったのですが、限定55台のみの生産ということもあり、現在の中古車市場で見つけられませんでした。 ちなみに、ノーマルのR33型GT-Rの中古車価格は500万円前後から高いものでは1500万円以上の車両もあります。(2022年1月現在) R33型スカイラインGT-Rの魅力が見直されている今、ニスモ 400Rにはさらなるプレミアム価格がつく可能性もあります。もし、ニスモ 400Rの購入をお考えであれば、国内中古車ディーラーはもちろん海外含めて幅広く探すしかありません。もし運良く見つけられたなら、それは運命の出会いといえるのではないでしょうか。 [ライター/増田真吾]

創設者“エンツォ・フェラーリ”が生んだ最後のスーパーカー!フェラーリ F40の魅力を解説
旧車の魅力と知識2022.02.22

創設者“エンツォ・フェラーリ”が生んだ最後のスーパーカー!フェラーリ F40の魅力を解説

メーカーが製作するスペシャルカーは数多く存在します。そのなかでもフェラーリ F40(エフフォーティー)は、創業者のエンツォ・フェラーリ存命中最後のスーパーカーということもあり、ファンの間でも特別な存在です。 今回は「そのままレースに出られる市販車」をコンセプトに、外観、素材、走行性能、そのすべてに一切の妥協なく生み出された「F40」を、中古車市場も踏まえてご紹介します。 当時の国内最高値は2億5000万円!?F40は価格も性能も異次元 フェラーリ創業40周年を記念して製作されたF40は、1987年7月21日、エンツォ・フェラーリ自らのスピーチによって大々的に発表されました。 F40は同社の「288 GTO」をベースとした後輪駆動の2シーターで、エンジンはリアミッドシップに搭載。「そのままレースに出られる市販車」をコンセプトに掲げるだけあり、走行性能は非常に高く、発売当時の市販車世界最速となる324km/hと発表されています。 発表当時の生産台数は400台を予定していましたが、顧客からの人気は非常に高く注文が殺到したため急遽増産となり、1992年の生産終了までに1,311台が生産されました。また、日本での新車価格は4650万円でしたが、当時がバブル景気真っ只中ということも手伝って投機目的での購入が増え、高額の個体では2億5000万円というプレミア価格がつくほどでした。 一般人には踏み切れない暴力的なエンジンパワー 最高速が324km/hに達するとされるF40には、2.9LのV型8気筒ツインターボエンジンが搭載されており、最高出力は478PS、最大トルクは58.8kgmという大パワーを放出。そのスペックの高さもさることながら、F40最大の魅力はツインターボのスリリングな急加速にあります。 俗にいう「ドッカンターボ」というもので、アクセルを踏んでから一定のエンジン回転数に達すると急激な加速を始めるという、その当時のスポーツカーにはよく見られた特性です。F40の高出力エンジンが生み出すドッカンターボは強烈かつスリル満点であり、その痛快な加速は多くのファンを唸らせました。 反面、その急加速ゆえに扱いは難しく、フェラーリのF1ドライバーであるゲルハルト・ベルガーには「雨の日には絶対に乗りたくない」と言わせるほど。価格はもちろんのこと、その性能を発揮させるためには、常人離れした運転技術と度胸が必要な、まさしく“スーパーカー”です。 世界の自動車業界に影響を与えた大型ウイング F40はエクステリアも高く評価されており、ボディはイタリアのピニンファリーナが担当しています。 ロングノーズ、スモールキャビンというスーパーカーらしい造形とともに、リアカウルと一体型になっている大型のリアウイングは斬新かつダイナミック。もちろん見た目だけではなく、走行時は効果的なダウンフォースを発生させ「そのままレースに出られる」というコンセプトに恥じない走りを見せてくれます。 このリアウイングは大きな反響を呼び、アフターパーツメーカーでは同型のウイングが次々製作され、F40のエクステリアで語るに外せない要素です。 快適装備は一切なし!徹底したレーシング仕様 「そのままレースに出られる市販車」がコンセプトなだけあり、装備面で無駄が一切排除されています。レーシングカーの操作感に近付けるため、ABSやパワステ、ブレーキのマスターバックといった補助装置や快適装備は一切ありません。通常どんな車にもあるドアトリムはおろか、ドアハンドルすら存在せず、ワイヤーを引っ張ってドアを開閉するという徹底ぶりです。 また、シャシーや外装パネルには、当時流行していたカーボンがふんだんに使われ、室内にもむき出しの状態で取付。それほどまで軽量化に力を入れた結果、F40の車重は1100kgとまさにレーシングカーにも匹敵する軽さを実現しています。 そのパワーウエイトレシオは2.3 kg/PSで、同時期に発売されたR32スカイラインGT-Rが、5.1 kg/PSであることを考えれば、どれほど軽快でパワフルであったかがお分かりいただけると思います。 フェラーリ F40の中古車市場 市販車としてはこれ以上ないほどの完成度を誇り、フェラーリ車のなかでも特別な存在といえるF40ですが、意外にも国内には在庫が残っていました。2022年1月時点での大手中古車サイトで調べたところ、F40は5台の在庫がありましたが、そのどれもが車体価格の欄は「応談」となっています。 F40は発売当時の新車価格が4650万円、現在でもオークションでは2億円を超えることもあるため、各ショップとも値付けできないというのが正直なところでしょう。 各個体0.9万kmから2.5万kmという低走行車で、フェラーリ正規ディーラーの認定を受けた「クラシケ」を持った車両もあります。そして、もともとコレクション目的で購入された個体が多いため、車両状態は悪くありません。 まとめ 40周年記念モデルかつ、エンツォ・フェラーリ時代最後のスーパーカーであるF40は、多くの人に強烈な印象を与えました。 市販車でありながらレーシングカーのようなスタイリング、カーボンを惜しみなく使用した軽量ボディ、そして一般人では扱い切れない強烈な加速力。「そのままレースに出られる市販車」というコンセプトは伊達ではなく、他のスーパーカーとは違った別格の魅力があります。 中古市場では簡単に値段が出ないほどの存在となっていますが、国内に在庫は残っているので、一度見てみるだけでもF40の貫録は十分に感じ取ることができるでしょう。 [ライター/増田真吾]

世界中から7万人のバイヤーが集まる超大規模見本市!「SEMAショー」とは?
旧車のイベント2022.02.15

世界中から7万人のバイヤーが集まる超大規模見本市!「SEMAショー」とは?

アメリカで行われている自動車アフターマーケットの見本市、「SEMAショー」をご存知でしょうか?SEMAショーは、東京オートサロンの会場となる幕張メッセの3倍、30万平方メートルという広さで開催される大規模イベントです。 今回は、アフターパーツやペイント、ラッピング、カスタムカーによるショーなど、ありとあらゆるジャンルを取り揃えた大見本市、SEMAショーについて解説していきます。 50年以上続くSEMAショーとは SEMA とは「Specialty Equipment Market Association」の略称で、日本語では「米国自動車用品工業会」という意味になります。1967年の第1回目から、年に一度ハロウィーンの時期に開催され、いままで50年以上の歴史を重ねてきたSEMAショー。当初はロサンゼルスで開催されていましたが、現在はラスベガス コンベンションセンターが会場となっています。 SEMA(米国自動車用品工業会)に7,000社以上の企業が登録しており、アフターパーツをはじめ自動車に関連するあらゆるものを集めた大見本市。業界関係者向けのイベントではありますが、クラシックからEVまで網羅したカスタムカーの展示や、ドリフトのデモ走行などエンターテイメント性も高く、全世界から7万人以上のバイヤーが訪れます。 アフターパーツだけでなくカスタムカーの展示も豊富 アフターパーツを駆使したカスタムカーが数多く展示されるSEMAショーには、ジャンルや生産国を問わず、多彩な車両がお披露目されます。 アメリカで人気の高いピックアップトラックをはじめ、クラシックカーに大排気量エンジンを載せたハイパワー車や奇抜なペイントを施した「ホットロッド」、車高を下げ、足回りにハイドロを装着した「ローライダー」。さらに、SUVやピックアップトラックにテントを設置し、北米で昨今ブームとなっているアウトドアカスタム「オーバーランド」も出展されています。 GT-RやスープラがSEMAでも大人気 東京オートサロンがそうであるように、最終的に商売につなげることが目的のSEMAショーでは、いかに自分のブースに人を呼び込めるかが重要になります。 そこで、インパクト満点なカスタムカーを展示しているわけですが、近年特に注目されているのが、アメリカで人気がある日本車のカスタムカーです。 歴代の日産 スカイラインGT-Rや、トヨタ A80スープラ、FJ40系ランドクルーザーなど、アメリカらしいアグレッシブなカスタムを施された日本車が、毎年数多く出展されています。 SEMAショーの人気イベント さまざまな出典や催しがあるSEMAショーですが、その中でもメインかつ、人気のブースを紹介していきます。 SEMA NEW PRODUCTS SHOWCASE SEMAショーにおける新製品の展示スペースが、「SEMA NEW PRODUCTS SHOWCASE」です。毎年3,000以上の製品が展示されるこのスペースには、自動車アフターパーツをはじめ、板金塗装機器やカーケア用品など、取り扱うアイテムは非常に多ジャンル。 さらに展示スペースでは実演もされており、ペイントブースでは世界中から招かれた職人が、自らの手でカスタムペイントを披露する催しもあります。 コンプリート車両の出展 SEMAショーではアフターパーツメーカーのカスタムカーはもちろん、各自動車メーカーがカスタムを施したコンプリートカーが出展されているのも魅力です。 日本の企業からもコンプリートカーは出品されていますが、メーカーの北米担当のカスタムということもあって、内外装ともに国内モデルよりもアグレッシブな車両が目立ちます。 また、2021年の出展では2022年春発売予定の新型日産「フェアレディZ」も展示。米国市場向けの240台限定特別仕様車「Z Proto Spec」が展示され、Zファンはもちろん報道関係者まで多くの注目を集めました。 SEMA CRUISEとSEMA IGNITED 4日間に渡るSEMAショーの最終日には、「SEMA CRUISE(セマ クルーズ)」、そして、夕方には、アフターパーティーである「SEMA IGNITED(セマ イグナイテッド)」が開催されます。 SEMA CRUISEはSEMAショー内で展示された車両が勢ぞろいし、一台ずつ列になってパレードを行うイベント。そして、夕方からのSEMA IGNITEDでは展示車両が屋外特設ステージに移動し、フォーミュラドリフトやF1参戦ドライバーによる派手なアピール走行が行われます。 SEMAショーは基本的に業者間での取引となりますが、SEMA IGNITEDは20ドルの入場料を払えば一般人も入場可能。ラスベガスの夜景をバックに行われる派手なアピール走行はまさに圧巻であり、業者一般問わずSEMAショーに訪れる誰もが楽しみしている催しとなっております。 まとめ 東京オートサロンをはるかに超える規模で開催されるSEMAショー。SEMAショーは毎年3000を超えるアフターパーツや、カー用品などを取り揃えるほか、SEMA IGNITEDといった派手な催しも用意したエンタメ性の高いイベントです。 登場する車両は、見た目もスペックも非常に過激なものが多く、アメリカのダイナミックなイメージが車に表れています。 基本的には業者間の取引のみであるSEMAショーですが、屋外ショーには一般客でも入場できるので、日本とはひと味違った自動車イベントを、一度体験してみるのも良いかもしれません。 [ライター/増田真吾]

旧車王マガジンは
旧車王
が運営しています

旧車王は、「買取は10年以上の旧車だけ」というコンセプトのもと、旧車・クラシックカーに特化して26年、 累積15,000台以上を買取させていただいております。改造車から希少車まで、適正価格を見極めて買取させていただきます。弊社所属の鑑定士が最短当日で全国無料出張査定いたします。ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する二重査定は一切ありません。特別なそして価値ある希少車の買取こそ、確かなノウハウと実績を持つ旧車王にお任せください!

すぐ査定依頼が可能!

Web査定申込はこちら

まずは車について気軽に相談したい

LINEで売却相談する