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増田 真吾の記事一覧

生産台数わずか197台!?逆風に負けず開発されたケンメリGT-Rの実力
旧車の魅力と知識2022.12.19

生産台数わずか197台!?逆風に負けず開発されたケンメリGT-Rの実力

わずか197台の生産にもかかわらず、現在でも伝説的な人気を誇る“ケンメリGT-R”。生産台数が少なかった理由として、ネガティブな説が挙げられることもありますが、実際は最後のS20型エンジン車として後に進化を遂げたモデルです。今回は希少車“ケンメリGT-R”の魅力について詳しく紹介します。 ハコスカで登場したGT-Rはケンメリに受け継がれた GT-Rは、3代目のスカイラインである通称“ハコスカ”から追加された最上級グレードです。4代目スカイラインの“ケンメリ”にも、GT-Rのグレードは引き継がれました。 大衆受けを狙ったベース車両とは方向性が異なったものの、見事に伝統を受け継ぎ、ケンメリGT-Rはスカイラインの新たな伝統を生み出したモデルへと進化を遂げます。 ベースとなった4代目スカイライン 当時大ヒットした3代目“ハコスカ”の次モデルとして登場したのが、4代目C110型スカイライン、通称“ケンメリ”です。1972年9月に登場したケンメリは、高性能化を目的として骨太に作られたハコスカとは対照的に、大衆受けを狙ったクルマとして開発されます。 “ケンメリ”という愛称の発祥であるCMのキャッチコピー「ケンとメリーのスカイライン」に象徴されるようにソフトなイメージで売り出され、歴代最多となる約67万台を売上げました。 4ヶ月遅れで発売されたGT-R ケンメリGT-Rが登場したのは、ベース車両発売から4ヶ月後の1973年1月。大衆受けを狙って開発されたグレードとは異なり、KPGC110型ケンメリGT-Rはその称号にふさわしく、ベース車両とは大きく差別化が図られました。 オーバーフェンダーやダックテールスポイラー、フロントグリルといったGT-R専用設計の外装パーツを備え、ベース車両と大きく異なる印象に仕上げられています。 ハコスカからの進化を遂げたケンメリGT-R KPGC110型ケンメリGT-Rの生産台数は、わずか197台と言われています。(生産台数には諸説あり)ベースである4代目スカイラインの大ヒットを考えると、当時としてはかなり少ない台数です。しかし、限られた生産台数や条件のなかでも、ケンメリGT-Rは先代から大幅に進化を遂げています。特に大きな影響を受けたのは排ガス規制による同型エンジンの採用です。厳しい時代を背景に、ケンメリGT-Rがどれだけ魅力的なクルマに仕上げられていたかを紹介します。 余り部品の寄せ集めではない 限定197台となった理由を「先代"ハコスカ”で余った部品で組み上げたから」とする説もあります。しかし、ケンメリGT-R専用に開発された外観部品はもちろん、エンジンやサスペンションなど型番が共通の部品もケンメリ用として生産されました。 シャシーの見直しも含めて専用の部品開発も行われており、スカイラインGT-Rとしてしっかりと進化しています。 排ガス規制の中で模索したスペックアップ 新たに設けられた排ガス規制をクリアできなかったことが、ケンメリGT-Rをわずか4か月という短命に終わらせた要因だと言われています。新たな開発費を投じることができず、規制をクリアする新しいエンジンを搭載することが叶わなかったのです。 ハコスカから受け継いだ同型のS20型エンジンは最高出力160㎰、最大トルク18.0kgmを発生し、数値上のスペックに変更はありません。しかし、中速域重視のセッティングを見直し、補器類はケンメリ用にアレンジされて、型式とスペックが同様ながらも進化を感じられるよう手が加えられました。 また、シャシーやサスペンションの徹底的な見直し、ブレーキにマスターバックを導入するなど高いハンドリングとコントロール性能を手に入れています。 GT-Rらしいスパルタンな内装 性能や外観だけではなく、乗り込んだ際に感じるインテリアの特別感もGT-Rの魅力の1つです。ケンメリGT-Rは、先代のハコスカ以上に内外装でベース車両との差別化が図られています。 ダッシュボードには、横一列にメーターが並べられたインストパネルにアルミパネルが取り付けられ、よりスパルタンな印象に仕上げられています。その中には240km/hまで表示されたスピードメーターと、10,000rpmまで刻まれたタコメーターが組み込まれています。 ほかにも、表皮やデザイン、ヘッドレストまで一新された本格的なバケットシートや本革巻きのステアリングなど、“走り”と“特別感”を意識したGT-Rらしい内装に変化しました。 「ケンメリGT-Rならでは」の魅力が詰まっているからこそ希少車としての価値が高い 旧車で販売台数の少ない希少車ともなれば、確かに価格は高騰しがちです。しかし、クルマとしての魅力がなければ買い手がつきません。 ケンメリGT-Rが、余りものの寄せ集めやただ排ガス規制に翻弄されただけのクルマであれば、現在の人気はなかったでしょう。厳しい条件のなかでも妥協することなく、“GT-R”にふさわしいクルマ作りをしたことが現在の人気につながっているのです。

S15シルビアと86/BRZで買うならどっち?FRスポーツカーを比較
旧車の売買と鑑定市場2022.11.28

S15シルビアと86/BRZで買うならどっち?FRスポーツカーを比較

日産S15シルビアとトヨタ86(ZN6)/スバルBRZ(ZC6)は、扱いやすいコンパクトなボディと素直な旋回特性を持つFRという共通した特性をもっています。どちらも既に新車として販売されておらず、購入するなら中古車となりますが、購入後に後悔しないためにはそれぞれの特徴を理解し予算をしっかりと見定めなければなりません。今回はそんなS15シルビアと86/BRZの魅力と、中古車市場について紹介します。 日産S15シルビア【1999年~2002年】 日産シルビアは、誰でも手軽にスポーツドライビングが楽しめるスポーツクーペとして誕生しました。5代目であるS13シルビアでは、軟派なデートカーから硬派な走り屋ご用達車両としての地位を確立し、日本の走りや文化を象徴するモデルとなっていきます。   まずは、シリーズの最終モデルであるS15シルビアについて、その概要と中古車相場について紹介します。 ターボ仕様S15シルビアスペックR S15シルビアのグレードは、NAのスペックSとターボ仕様であるスペックRの2グレードです。2Lターボエンジンを搭載する仕様のスペックRは、6速MTで最高出力250psを発揮し、シリーズ最高の性能を誇ります。また、4速ATでも225psとなっており、スポーツカーとしては十分な性能を持っています。 2022年11月の中古車相場は、6速MT仕様で160万円から800万円前後。走行距離が少なく、修復歴の無い程度が良い車両は価格が高くなっていますが、20万kmを超える個体は200万円前後でも十分に入手可能で、ATターボ仕様は230万円から300万円で推移しています。 S15シルビアスペックS S15シルビアのスペックSは、2LのNAエンジンを搭載するグレードです。最高出力は165psですが、1230kgの軽量なボディと相まって十分な動力性能をもっています。エンジン出力は控え目ながら、トルクフルなエンジン特性で誰でも扱いやすいグレードです。 中古車相場は5速マニュアルで140万円から430万円、ATで80万円から300万円程度です。ターボ仕様のスペックRと比べるとやはり手を出しやすい価格で、ATなら修復歴なし、10万km以下の個体が200万円以下で購入できます。 トヨタ86(ZN6)/スバルBRZ(ZC6)【2012年~2021年】 トヨタ86とスバルBRZは、トヨタとスバルが共同開発したことで大きな話題となりました。比較的新しい車ではあるものの、中古車としては入手しやすい価格です。入手しやすい理由と、旧型となっても魅力的な初代トヨタ86とスバルBRZを紹介します。 新型の発売により初代86の中古車が増加 トヨタ86/スバルBRZの中古車が比較的安い理由は、2021年10月に2代目が発売されたことです。エンジンが2.4Lとなったことで、パフォーマンスが大幅に向上。新型に乗り換えたユーザーも多く、2022年11月現在、初代トヨタ86/スバルBRZは多くの台数が中古車市場に流通しています。 2011年11月現在で大手中古車情報サイトに掲載されている台数は、86が約1,500台、BRZは約450台。中古車価格は6速MTが100万円から500万円で、ATは80万円から300万円です。「スポーツカー=MT車」というある種の固定概念が崩れつつある世相を反映し、AT比率が高めないことも特徴といえます。 新しい車両が多く維持がしやすい トヨタ86/スバルBRZは2021年まで新車が発売されており、トラブルが少ない車種といわれています。 エンジン出力は200psとターボのS15シルビアに比べると控え目で、手荒に扱われた車両も少なく、程度の良い車両が多くなっています。また、補修部品は生産終了から約10年は提供されており、末永く付き合えるクルマです。 唯一無二の2L水平対向エンジンとFRの組み合わせ トヨタ86/8スバルBRZは、いずれも2Lの水平対向エンジン FA20型を搭載しています。 全高の低い水平対向エンジンならではの「超低重心パッケージ」で、軽快で優れたハンドリング性能を持っており、誰でも運転の楽しさを味わうことができる1台です。 FRレイアウトと水平対向エンジンの組み合わせは、世界中どこを見渡しても86とBRZしかありません。この唯一無二の組み合わせが、初代トヨタ86/スバルBRZの魅力が色褪せない理由です。 中古車で買うならS15シルビアとトヨタ86/スバルBRZどちらを選ぶべきか FRのスポーツクーペとして、魅力的なS15シルビアとトヨタ86/スバルBRZですが、発売された年式やキャラクターによって、大きな違いがあります。 ここからは、中古車として購入を検討した場合、どんな違いがあるのかについて紹介していきましょう。 アメリカの25年ルールのあおりを受けてS15シルビアの中古車相場も上昇 R32スカイラインGT-Rや80スープラ、RX-7など、80年代後半から90年代に発売された国産スポーツクーペは、異常ともいえる高騰を見せています。その主な要因として挙げられるのが、アメリカの25年ルールです。アメリカでは右ハンドル車の販売が認められていませんが、発売から25年経ったクルマは、クラシックカーとして例外的な販売、使用が可能です。 2022年現在、1999年に発売されたS15シルビアは、まだ直接25年ルールの影響を受けてはいません。しかし、S13やS14の高騰を受ける形で、S15シルビアの中古車相場も上昇傾向にあります。 トヨタ86とスバルBRZに比べ、ターボエンジンを搭載するS15シルビアの方が動力性能という点では格上です。しかし、仮に300万円で程度の良いS15シルビアを手に入れても、経年劣化に起因する整備費用を覚悟しなければなりません。 もちろん、最新の車種にはないスタイリングやユーザーの好みでカスタムする余地が残っているなど、S15シルビアにしかない魅力があります。時間を掛けて程度の良い個体を探し、購入後もしっかりとメンテナンスするのであれば、購入後に後悔することはないでしょう。 トヨタ86/スバルBRZなら車両代+100万円で十分にカスタム可能 初代トヨタ86とスバルBRZは年式が新しく、経年劣化による故障の心配は低く安心して維持、保有できます。もちろん、絶対的な動力性能ではS15シルビアに敵いませんが、逆にいえばチューニングによって求める性能にカスタムすることが可能です。 例を挙げると、マフラーやエアクリーナー、ECUを交換すると、実際の最高出力以上の気持ち良さが比較的安価で手に入ります。そして、S15シルビアのターボモデル並みの馬力を手に入れたい場合は、チューニングメーカー各車から市販されているボルトオンターボキットやスーパーチャージャーがおすすめです。 選ぶキットや求める出力により費用は異なりますが、もっとも手軽な物であれば、50~60万円程度で230~250psを狙えます。さらに、サスペンションや駆動系に手を加えれば、クルマ全体をリフレッシュできるでしょう。トータル100万円程度のカスタム費用を見ておけば、S15シルビアにも引けを取らない1台を仕上げることも不可能ではありません。 まとめ 電動化や自動運転など、世間の潮流は環境性能と安全性を重視しており、運転の楽しさを求めたスポーツカーはやや影の薄い存在となっています。中にはスポーツ性能を重視した車種も販売されていますが、超高額高性能なスーパーカーばかりです。S15シルビアやトヨタ86/スバルBRZのように、手軽な新車として購入できる国産FRスポーツカーは多くありません。 S15シルビアは、程度の良い個体が少なく修理やメンテナンスの費用が掛かるものの、走り屋文化を象徴する雰囲気とカスタムが楽しめます。対して、トヨタ86とスバルBRZは、動力性能で劣るものの、購入と整備費用を抑え、その費用をカスタムに回せば同等の性能を手に入れることも可能です。 往年の雰囲気と動力性能を重視してS15シルビアを選ぶか、維持保有のしやすさを重視してトヨタ86やスバルBRZを選ぶか。どちらもスポーツカーの楽しさと雰囲気を十分味わえる魅力的なモデルなため、予算とメンテナンス環境を勘案し選びましょう。

V8エンジン搭載!130クラウンロイヤルサルーンGこそバブルの申し子!
旧車の魅力と知識2022.11.28

V8エンジン搭載!130クラウンロイヤルサルーンGこそバブルの申し子!

シリーズ史上最高傑作と言われる通称130系クラウンの中でも、特別な存在が4リッターV8エンジンを搭載するロイヤルサルーンGです。中古車価格も高い状態をキープしており、発売から30年以上が経過した今でも、200万円を超える個体も珍しくありません。ここでは、130系クラウンロイヤルサルーンGの人気の秘密を紹介します。 クラウン史上もっとも売れた130系8代目クラウン クラウンはセルシオが登場するまで、トヨタを代表する最高級車という位置付けでした。ショーファーカーであるセンチュリーを除き、フラッグシップとして君臨したクラウンの中でも、歴代最高販売台数を記録した130系8代目クラウンの概要を紹介します。 バブル時代に登場したクラウン 130系クラウンは、1987年9月、所謂バブル経済がまさに始まった景気の良い時代に誕生しました。4ドアセダンは後席重視の法人向けで、4ドアハードトップは個人向けのドライバーズカーです。 今回紹介するロイヤルシリーズは4ドアハードトップとセダンがあり、ハードトップには1,755mmの全幅を持つワイドボディが設定されています。ワイドで伸びやかなシルエットに迫力のあるグリルを装備し、3ナンバーボディの威風堂々とした佇まいはフラッグシップを名乗るにふさわしいものでした。 マイナーチェンジと合わせてロイヤルサルーンGが誕生 1989年8月のマイナーチェンジに合わせて登場したのが、ロイヤルサルーンGです。新開発の4リッターV8(1UZ-FE型)が搭載され、トヨタのフラッグシップとしてさらに魅力と存在感が増しました。 その後の1989年10月には、当時レクサスLSとして北米で販売されていたセルシオが日本でも発売され、同車にも同様の4リッターV8エンジンが採用されています。 V8エンジンを搭載したセダン及びハードトップのロイヤルサルーンGを含め、130系クラウンのハードトップは1991年10月に販売を終了。セダンとステーションワゴン、バンは継続して販売されますが、ハードトップは140系(9代目)へフルモデルチェンジされ、V8エンジン搭載車は、初代クラウンマジェスタとして登場することになります。 高級ブランド「レクサス」に繋がる4リッターV8 1UZ-FE型エンジン 130系クラウンロイヤルサルーンGの一番の特徴は、4リッターV8の1UZ-FE型エンジンです。このV8エンジンはのちに多くの車種に搭載され、名機と呼ばれることとなります。ここからは、4リッターV8 1UZ-FE型エンジンが名機と言われる理由を解説します。 後のレクサスにも採用された1UZ-FE型エンジン 派生車種であるクラウン・エイトを除き、クラウンに搭載されることになった1UZ-FE型エンジンは、130系クラウンロイヤルサルーンGに搭載された後に、初代セルシオにも搭載されます。このセルシオは1989年にアメリカでレクサスLSの名でも販売され、ライバルであるメルセデスベンツやBMWの同クラスよりも200万円以上安いにも関わらず、その性能とクオリティは圧倒的でアメリカ高級車市場を席巻しました。 動力性能も高く、同車の最高速度は250km/hを達成。これは排気量の近いエンジンを積むベンツ420SEやBMW735iを超える数値です。1UZ-FE型エンジンを搭載した初代レクサスLSは世界に衝撃を与え、後のレクサスブランドの成功を支えました。 静粛性を極めた4リッターV8エンジン 1UZ-FE型エンジンの一番の特徴は、何といってもその静粛性です。スペックは最高出力260ps、最大トルク36.0kgmと、現代の同クラスの排気量を持つエンジンと比べると目を見張る数値ではないものの、静粛性では他を圧倒していました。 静粛性を高めるために、クランクシャフトやピストンなどの精度をレーシングエンジン並みに高め、不快な振動やノイズを徹底的に排除しています。他社が消音材でごまかしていた雑音も徹底的に源流対策を行い、音の発生源をつぶしていったのです。1UZ-FE型エンジンのなめらかさと静粛性はV12に並ぶとも言われ、今でも一級品の性能を誇っています。 最上級モデルらしく最新機能を満載した130系クラウン 最上級モデルのロイヤルサルーンGにはもちろん、130系クラウンにはバブル期を象徴するような装備が満載でした。ここでは、当時最新鋭だった豪華装備を振り返ります。 ハイテク技術満載のメカニズム クラウンロイヤルサルーンGには、あらゆる走行条件で常にスムーズな変速を行うV8専用のオートマチックトランスミッション「ECT-i」が採用され、なめらかな変速を実現しています。足回りには電子制御エアサスをクラウンとして初めて搭載し、乗り心地と安定性を向上させました。 そのほか、130系クラウンは日本初となるトラクションコントロール(TRC)を採用したことでも知られています。日本初・トヨタ初など時代の最先端の技術を詰め込んでいる点も、初代以降トヨタが常に力を入れて開発してきたクラウンらしいポイントです。 バブルを感じさせる魅力的な豪華装備 130系クラウンには、バブル期ならではの豪華な装備が豊富に搭載されています。 運転席にはエレクトロマルチビジョンが設置され、クルーズコントロールや電動のステアリング調整機構、プリセット機能付き電動シートを装備。また、当時は最新鋭で高額だったCD-ROM式のカーナビを搭載したグレードも設定されていました。 そして、V8のロイヤルサルーンGには、左右分割の電動リアシート、アームレストにはカセットデッキやマッサージ機能も用意され、高級車らしいおもてなしを演出しています。バブルを感じさせる至れり尽くせりの豪華装備は、ロイヤルサルーンGならではの魅力でしょう。 まとめ 2022年7月に、往年のクラウンとは一線を画した新型クラウンが発表されました。新型クラウンはクロスオーバーSUVスタイルへと変貌を遂げ、大きな話題を読んでいます。 しかし、130系の伝統的なスリーボックススタイルは、今見ても決して色褪せることがありません。130系クラウンロイヤルサルーンGは、ビデオカタログの中で「クラウンの新たなるロイヤルプレステージへ」と紹介されています。「プレステージ=威厳」という、現代のクルマにはあまり用いられないフレーズが似合うのは、トップグレードである130系クラウンロイヤルサルーンGならではです。 2022年11月の原稿執筆時点で、大手中古車情報サイトに掲載されている130系クラウンロイヤルサルーンGの中古車相場は170万円から210万円です。また買取では、旧車王で12万km超えの130系クラウンロイヤルサルーンGを100万円で買い取っています。 130系クラウンロイヤルサルーンGは決して高騰している車種ではないものの、いまだに高い人気を誇っています。今後、130系クラウンロイヤルサルーンGのような豪華さにこだわったバブルを象徴する高級車が発売される見込みはないといっていいでしょう。また、V8エンジンを搭載したクルマが製造される可能性も限りなく低いと予想できます。そのため、130系クラウンロイヤルサルーンGの価値が上がることはあっても、これ以上下がることはほぼないでしょう。程度によっては、さらなる高値で買取ってもらえる可能性が十分あります。

アルファロメオの伝統のエンジンV6ブッソを徹底解説!名機を載せた名車156GTAと147GTAも紹介
旧車の魅力と知識2022.11.25

アルファロメオの伝統のエンジンV6ブッソを徹底解説!名機を載せた名車156GTAと147GTAも紹介

官能的な加速感、気持ちの良い吹け上がりと共に響く甘美な音。アルファロメオ伝統のV6エンジン“V6ブッソ”は、今もファンを魅了し続けるエンジンです。今回は、開発者の名前を冠した通称で呼ばれるほど多くの人に愛された、V6ブッソについて振り返ります。アルファロメオのこだわりと、スペックだけでは測れない情緒的な魅力が見えてきました。 V6ブッソは最後のアルファロメオ製エンジン アルファロメオが1970年代に開発したV型6気筒エンジンは、1979年から2005年までの26年間も生産され続けた伝統あるエンジンで、“V6ブッソ”の愛称で呼ばれています。名機となったV6ブッソは、アルファロメオを代表するさまざまな車種に搭載されました。 今なお人気の高いV6ブッソと、開発者ジュゼッペ・ブッソについて紹介します。 アルファロメオ伝統のV6エンジン アルファロメオV6エンジン、通称V6ブッソが登場したのは1979年。アルファロメオのフラッグシップセダン、アルファ6(セイ)に初めて搭載されます。 その後、SOHCからDOHC、2バルブから4バルブ、キャブレターからインジェクションといった改良を加えながら、2005年の生産終了まで26年間もの間作り続けられました。 長期に渡る生産期間に、さまざまなバリエーションも生み出されます。排気量は当初2.5Lのみでしたが2L・3L・3.2Lを追加し合計4種になり、吸気方式は自然吸気とターボが用意されました。 オリジナル設計のエンジンをこれだけの長期間生産し続けたアルファロメオでしたが、2005年以降のエンジンは、残念ながら他メーカーとの共同開発に移行します。結果的に、アルファロメオがゼロから開発した最後のエンジンとなったことも、後にV6ブッソの評価を高めた要因の1つと言って間違いありません。 エンジンの愛称にもなっている開発者“ブッソ” V6ブッソを開発したのは、イタリア・トリノ生まれのエンジニア、ジュゼッペ・ブッソです。キャリアのスタートはフィアット、その後アルファロメオのレーシングエンジン責任者を務め、一度フェラーリに移籍しました。再びアルファロメオに戻ってきた後、手掛けたのが名機V6ブッソです。 個性的な存在感を放つV6ブッソ V6ブッソはアルファロメオを代表するエンジンだけあって、どのクルマに搭載されていてもエンジン単体で独特の存在感を放っています。 長年作り続けられ、今なおファンの心をつかんで放さないV6ブッソのすべては書ききれません。そこで、数あるV6ブッソの魅力から、あえて2点に絞って紹介します。 ファンを魅了する吹けの良さと甘美なサウンド V6ブッソの魅力は、高回転まで気持ちよく回る“吹け”の良さです。アクセルを踏み込むと、V6エンジンが生み出すパワフルなトルクによって、高回転まで一気に吹き上がります。 そして、エンジンの吹け上がりと共に高鳴るエンジン音も、V6ブッソが多くの人を虜にする理由です。V6ブッソが搭載されるモデルはさまざまにありますが、どのモデルも多くのファンを魅了しています。 高性能エンジンが奏でる音の表現として「咆哮」という言葉がよく使われますが、アルファロメオのそれは、咆哮ではなく「美声」と呼ぶにふさわしい官能的なサウンドです。フェラーリの乾ききった高音や6気筒エンジン特有の滑らかな音とも異なり、情熱的でハリのある甘美な響きを感じさせます。 息をのむ見た目の美しさ V6ブッソは、見た目でも人の心をひきつけるエンジンです。赤色の筆記体で記された「Alpha Romeo」の文字が印象的なヘッドカバーに、同じく赤色の「V6」の文字が浮かび上がるインダクションボックス。そこから伸びるインテークマニホールドも含めて、デザイン的なまとまりを感じます。 V6ブッソはイグニッションを回さなくても、見た目だけでエンジン全体のバランスの良さを感じさせる独特の魅力を持ったエンジンです。エンジンルームを眺めていると、機能美とはこんなにも美しいものかと再認識することができます。 V6ブッソを搭載した人気の2車種 数あるV6ブッソを搭載した車種の中でも、とくに高い人気を集めているのが156GTAと147GTAです。いずれもV6ブッソ最後のモデルとなったため希少性が高く“車両価格はエンジンの価格”とまで言われています。 156GTAには、セダンとスポーツワゴンが用意されていました。専用にチューンされた3.2LのV6ブッソは最高出力250ps/6,200rpm、最大トルク30.6kgm/4,800rpmを発生。セダンタイプで1,420kgもあったボディでしたが、V6ブッソ独特のエンジン音と加速感を味わえます。 147GTAは、156GTAの兄弟車として発売された、3ドアハッチバックのいわゆるホットハッチです。156GTAと同じく250psを発生する3.2LのV6ブッソエンジンを搭載しています。セダンの156GTAよりも車重が軽い147GTAのパワーウェイトレシオ5.56kg/psは、トップクラスのスポーツカーと遜色ないスペックで、V6ブッソ本来の加速感をセダン以上に感じられるモデルでした。 156GTAと147GTAを売るなら実績・知識豊富な業者へ 強烈な個性とヒステリックな魅力が溢れるV6ブッソ。そんな名機を最後に搭載した156GTAと147GTAはアルファロメオが誇る人気モデルです。 売却を検討する際にはエンジンの特徴や魅力をしっかりと理解している業者を選びましょう。どんな歴史をもち、どういった部分が長年愛されているのかを知っている買取業者であれば、高額買取に期待できます。156GTAと147GTAはちろん、さまざまな車、特に古いクルマに特化したサービスに査定を依頼するのがおすすめです。

S204 STIバージョンはなぜ高価買取が可能なのか?!突出した人気の理由に迫る
旧車の売買と鑑定市場2022.11.18

S204 STIバージョンはなぜ高価買取が可能なのか?!突出した人気の理由に迫る

スバルのスポーツ部門を担うSTIが制作した600台限定の特別仕様車であるS204は、シリーズの中でも特に高い人気を誇っています。ベースモデルであるGDB型インプレッサと比較してもその差は歴然です。なぜこれほどまでにS204が人気なのか、歴史を紐解きながらその理由に迫ります。 Sシリーズはメーカーが作ったチューニングカー Sシリーズは、STIが送り出すコンプリートカーの最上位シリーズです。スバルのモータースポーツ部門として開発をおこなうSTIによって、レースで培ったノウハウをもとに特別仕様車として製造されています。 エンジンチューニングだけにとどまらず、新開発の足回りやブレーキ、専用デザインされた内外装と、細部にいたるまでSTIのこだわりがみられる特別なシリーズです。 Sシリーズの歴史 Sシリーズは、今でも名車として名高いインプレッサ22B STI バージョンの成功を受けて開発されました。 初代Sシリーズとしてリリースされたのは、GC8をベースとして開発されたS201。専用にチューニングされたエンジンは300psを発生、エアロバンパーや大型ウイングを装備するなど、まさにメーカーが作ったチューニングカーといった迫力のある仕様でした。 また、Sシリーズには2系統あり、インプレッサをベースとする20系とレガシィをベースにする40系にわかれます。Sシリーズ第2弾として登場したのは、レガシィベースのS401でした。 その後、モデルチェンジの節目ごとに発売されたSシリーズは、現在までに10モデルをリリースしました。内訳は、インプレッサベース6モデルとレガシィベース、WRXベースがそれぞれ2モデルです。 2代目インプレッサGDB型Sシリーズは3モデル 2代目インプレッサとなるGDB型をベースとしたSシリーズは、マイナーチェンジごとに製作され、合計3モデルがリリースされました。 インプレッサベースとして発表された6モデルのSシリーズ内、同型で複数のモデルがあるのはGDB型のみです。S202〜204の3モデルがGDB型インプレッサベースのSシリーズとして製作されました。 2000年に登場したGDB型インプレッサは2度のマイナーチェンジをおこなっていて、ヘッドライトの形状から、それぞれ「丸目」「涙目」「鷹目」という愛称がファンによってつけられました。 GDB型として製作された3台のSシリーズは、S202が「丸目」、S203が「涙目」、そしてS204が「鷹目」に対応しています。 S204の人気が高い3つの理由 GDB型インプレッサは中古車としてそれほど人気が高いわけではありません。しかし、S204に関しては多くのファンから熱い支持を得ています。販売台数600台限定と希少性が高いように感じますが、Sシリーズの多くのモデルは台数を限定して販売されています。 たとえば、S204の直前にリリースされたS203は555台限定でした。こうした背景から、流通量の少なさは「S204特有の人気の高さ」につながっていないと考えられるでしょう。 S204がなぜこれだけの支持を集めているのか、3つの観点から迫ります。 WRC参戦モデルとして最後のSシリーズだった スバルの“世界ラリー選手権”(WRC)参戦の歴史を締めくくるモデルだという点は、S204の人気に大きく影響しているでしょう。2005年に発表されたS204のベースであるGDB型インプレッサは、スバルがメーカーとしてWRCに参戦する最後の年となる2008年シーズン中盤まで使用されていました。 WRCでの活躍により、インプレッサはスポーツカーとして確固たる地位を築きました。しかし、2008年シーズン後半に3代目インプレッサのGRB型ハッチバックモデルが投入されたあと、世界経済の悪化と戦績の低迷を理由に同年のシーズンを最後にワークス活動を終了してしまいます。 WRC撤退後、ワークス活動の主軸はニュルブルクリンク24時間レースに移行。のちにハッチバックのGRB型ベースのR205や、セダンであるGVBベースのS206が登場していますが、開発目標はラリーでの勝利ではなくオンロードの快適性向上でした。 インプレッサを象徴するWRCでの活躍が影を潜め、オンロードに移行してしまった結果、S204が「スバル=ラリー」というキャラクター性を色濃く残した最後のSモデルとなります。 エンジンへのこだわりと新開発のボディと足回りを徹底的に強化 S204は前身となるS203を正統進化させたモデルです。前作のS203から特にボディと足回りに力を入れていて、ボディ強化パーツとしてヤマハと共同で新開発した“パフォーマンスダンパー”が投入されます。すでに完成の域にあったエンジンに足回りを徹底的に強化したことで、S204はクルマとしての完成度を極限まで高めたモデルになりました。 トランクルームにあるリアストラット上部に装着される“パフォーマンスダンパー”は、ボディへの入力を吸収するパーツです。ストラットタワーバーのようにボディに受ける力を跳ね返すのではなく、吸収するという発想でボディへの影響を抑えて、安定性を高めます。 また、車高を15mmダウンさせスプリングレートを50%向上した専用のローダウンスプリングと、大径化により強化されたリアスタビライザー、そしてリアサスペンション取り付け部のピロボール化と応答性のよい足回りを完成させました。さらに、軽量BBS製鍛造18インチアルミホイールも用意され、S203よりも大幅に運動性能が向上しています。 すべてにおいてワンランクアップ S204は、エンジンや足回り以外にも多くの点で進歩しています。細部にこだわってワンランク上の性能と上質さを身にまとったことも、S204が高い人気を誇る理由の1つです。 性能面では、エンジンへのこだわりとともに、タービンの大型化と専用チタンスポーツマフラーによって抜けの良いレスポンスを実現。減衰力が固定式に変更されたショックアブソーバーや径が拡大されたスタビライザーなど細部にもこだわり、発生するパワーを持て余すことなく自在にコントロールできる高い操縦性を発揮します。 内装面では、全体をグレーに統一し、随所に本革を使用するなどインテリア全体の質感を向上させました。ドライカーボンを使用したレカロ製シートは、基本的な設計は変わらないものの、本革とアルカンターラのコンビシートに変更されています。加えてサイドサポート部に本革を使用し、乗降性とともに高級感も向上しました。こだわり抜いたシートは1脚75万6000円と前作S203のシートよりも20万円も高額になっています。 また、ステアリングのグリップ部分には、フェラーリにも使われている最高級の本革を採用。フロアカーペットは高級感があり遮音性に優れた高い毛足の長いものに変更されています。 S204は、欧州高級スポーツカーをターゲットに開発されたS203の完成型ともいえるモデルです。 今も高値で取引されるS204 発売当時500万円近い高額な価格も話題となったS204ですが、発売から15年以上が経過した現在は、新車価格よりもさらに高い価格で取り引きされています。 買取相場からお伝えすると、旧車王では2022年10月に550万円でS204を買取しています。通常のGDB型の買取価格は100万円前後で推移しており、S203でさえ260万円ほどでの取り引きなので、いかにS204の人気が高いかお分かりいただけるのではないでしょうか。 販売価格に関しては、大手中古車販売サイトで2006年式のS204が約900万円で販売されていました。また、先述の通り販売台数が限定600台だったことから、現存する在庫数も豊富とは言えません。 価格の高騰だけではなく、在庫面からも今後さらに入手困難になることが予想されるため、S204が気になっている方はぜひ早めの入手をおすすめします。 ※価格は2022年11月執筆当時

今が買い!?996・997型ポルシェ911で注意したい“インタミ問題”とは?
旧車の売買と鑑定市場2022.11.16

今が買い!?996・997型ポルシェ911で注意したい“インタミ問題”とは?

996・997型のポルシェ911は、ポルシェの中では比較的手が出しやすいモデルだと言われています。そんな996・997型の購入を検討する中で、エンジンの故障である“インタミ問題”を気にする方も多いのではないでしょうか。ハードルが低いとは言え、ポルシェの中古車は決して安くありません。インタミ問題が怖くて、購入を躊躇している方も少なくないと思います。そこで今回の記事では、996・997型911の特徴とインタミ問題について詳しく紹介します。 996・997型ポルシェ911とは ポルシェ911は、世界中のスポーツカー好きから愛されていると言っても過言ではないほど人気のモデルです。プレミアムスポーツカーらしく中古でも簡単に購入できる価格ではありませんが、そんなポルシェ911の中でも比較的手を出しやすいと言われているのが996・997型の911です。 まずは、996・997型それぞれどんな特徴があるのか紹介します。 初の水冷エンジンを搭載した996型(1998~2004) 996型のもっとも大きな特徴は、水冷化されたエンジンです。 初代の901型が登場した1964年から、911には一貫して空冷式の水平対向6気筒エンジンが搭載されてきました。しかし、排気ガスや騒音の規制に対応するため、1997年に登場する996型から水冷式に変更されます。 もう一つ大きな変化と言えるのが、衝突安全のために拡大されたボディサイズです。それまで「ポルシェを着る」と表現されていたタイトな内装から一転、ボディサイズの拡大に伴って車内空間にも余裕が生まれました。 これらの変更点はコアなポルシェファンにとって歓迎できるものではありませんでしたが、水冷化でオーバーヒートの心配が軽減し、室内が広くなったことで日常の使い勝手は向上しました。その結果、あまり911に興味を示さなかった新たなファン層の獲得に繋がったのです。 現代のスポーツカーへ進化する997型  996型のあとを受け、2004年に997型がデビューします。996型では不評だった涙目型のヘッドライトを廃止し、911伝統の丸型に変更されました。しかし、骨格やエンジンの基本設計は996型を継承しており、実質的な変化はそれほど大きくありません。997型が大きな進化を遂げたのは、2008年のマイナーチェンジのときです。 まず、996型で採用されたティプトロニックSを廃止し、いわゆるツインクラッチを持つPDK(ポルシェ・ドッペル・クップルング)に変更されました。さらにNAモデルには新開発された直噴エンジンを搭載し、カレラの最高出力は325馬力から345馬力に向上しています。 最後の空冷式エンジンを搭載する993型911まで、どちらかと言えばハードで玄人向けのスポーツカーと思われてきました。しかし、996型で伝統の空冷式エンジンに別れを告げ、997型で今では当たり前のツインクラッチ式PDKを採用することで、誰でも乗れるスポーツカーへと進化したのです。 996・997型911の“インタミ問題”とは 高額な値段で取引されるポルシェの中でも、996型と997型の911は比較的手が出しやすい価格で推移しています。しかし、安いからには“それなりの理由”があるもの。その最たる理由として挙げられるのが、“インタミ問題”です。 インタミとはインターミディエイトシャフトの略で、クランクシャフトの下部に位置するエンジン内部の部品です。911に搭載されている水平対向6気筒エンジンは、左右3気筒ずつシリンダーヘッドが分かれており、インターミディエイトシャフトとチェーンを使って、クランクシャフトの回転を左右バンクにあるカムシャフトに伝えています。 エンジンの仕組み上、クランクシャフトとカムシャフトは必ず決められた位置関係になければなりません。その為、緩みがないよう、チェーンにはかなりの張力が掛っています。真の問題はインターミディエイトシャフトそのものがダメなのではなく、支えているベアリングの強度不足です。このシャフトを支えるベアリングが破損すると、最悪カムシャフトとクランクシャフトの位置がずれ、吸排気バルブとピストンがぶつかり、エンジンが壊れてしまいます。 つまり、インターミディエイトシャフトがあるからダメなのではなく、強度不足のベアリングがダメというのがインタミ問題です。 万が一壊れてしまった場合、最悪エンジン本体が壊れてしまう可能性があり、修理費は高額になります。そうなれば当然買うことを躊躇してしまいますが、実はそれほど心配する必要はありません。 中古車で996・997型ポルシェ911を探すなら年式に注意 インタミ問題が関係しているのは、2002年~2004年の996型後期と2004年から2008年までの997型前期のみです。しかも、NAのカレラだけであり、ターボやGT2、GT3は該当しません。 もちろん、997型でもっとも高年式を狙ったとしても10年以上前の中古車であるため、年式相応の故障リスクはあります。しかし、996型なら前期、997型なら後期から選べばインタミ問題を気にする必要がありません。 また、上記の問題に該当する車両は、ポルシェジャパンによるサービスキャンペーンの対象です。並行輸入車ではなく正規ディーラー車であれば、対策済みの部品に交換されているため心配はいりません。 中古車を購入する場合は、正規ディーラー車でサービスキャンペーンを実施しているか確認しましょう。万が一対策されていなくとも、購入後正規ディーラーで対応してくれます。 リスクを許容できるなら購入を検討すべし 筆者をはじめ、多くのクルマ好き、スポーツカー好きにとってポルシェ911は特別な一台です。「いつかはポルシェ!」と思っている方も少なくないと思います。 996型の中古車相場は、大手中古車販売サイトで420万円前後。997型は同じサイトで670万円前後で掲載されています。最後の空冷式である993型が1100万円前後、新しい世代の991型が1500万円前後であることを考えると、高いとは言え手が出しやすい価格です。 「最新のポルシェは最良のポルシェ」と言われるものの、どんなに古くてもその乗り味やエンジンフィールはポルシェです。もちろん年式としては古いため、輸入車の中では壊れ難いと言われるポルシェであっても消耗品の交換とこまめなメンテナンスは欠かせません。 今回紹介したインタミ問題を良く調べ、古いクルマであるという一定のリスクを許容できるのであれば、996・997型911は十分購入を検討する価値があるポルシェです。

旧車を象徴するマストアイテム!国産車におけるフェンダーミラーの歴史とメリット・デメリット
旧車の売買と鑑定市場2022.10.31

旧車を象徴するマストアイテム!国産車におけるフェンダーミラーの歴史とメリット・デメリット

セダンやクーペなどと相性が良く、どこかノスタルジックな雰囲気を醸し出すフェンダーミラーは旧車ならではの特徴です。今回は旧車を語る上で欠かせないフェンダーミラーの歴史と、そのメリット・デメリットについて紹介します。 日本におけるフェンダーミラーの歴史 今ではほとんどのクルマがドアミラーを採用しており、もはや当たり前の仕様となりつつあります。しかし、かつて日本にはフェンダーミラー装着車しかなく、法律によってドアミラーは禁止されていました。 ここからは、フェンダーミラーが日本で義務化された歴史や、今再び注目されるようになった背景を紹介します。 フェンダーミラーがいつから登場した? フェンダーミラーが登場したのは、1950年代のイギリスです。それまでフロントガラス(風防)に取り付けられていたクルマはありましたが、屋根やドアが当たり前の装備になったことで車内ではなく車外に取り付けられるようになりました。 ただ、1940年代~50年代の日本では、後写鏡の装着が義務付けられていたものの数や位置についての規定はなく、トヨタ初代クラウン(1955年登場)やスバル360(1958年登場)など、フェンダーミラーもドアミラーも付いていない車種が多く販売されていました。 その後1962年には、すべてのクルマに左右のサイドミラーが義務付けられるようになり、日本では左右のフェンダーにサイドミラーを備えた光景が当たり前になったのです。 日本ではドアミラーが禁止されていた 欧米では1950年代からドアミラーを搭載した車種が登場していましたが、日本では1983年まで認められていませんでした。そのため、海外の自動車メーカーは日本向けにフェンダーミラーを新規に開発しなければならず、非関税障壁だと多くの批判を受けました。 安全性という観点で日本では許可できない状態にあったものの、デザイン性に優れたドアミラーが世界的に主流になっていきます。 結果的に外部からの圧力によってドアミラーは解禁され、1983年に発売された日産パルサーエクサがドアミラーを初採用。古臭いイメージを持たれていたフェンダーミラーは急速に人気を失い、一気にドアミラーが普及しました。 フェンダーミラーは日本の旧車を象徴するアイテム 現在では古臭いイメージで敬遠されがちなフェンダーミラーですが、海外の日本車好きや旧車好きにとって憧れの存在です。 ハコスカの愛称で知られる日産 スカイライン 2ドア ハードトップ 2000 GT-R(KPGC10型)や初代フェアレディZ(S30型)もフェンダーミラーを採用しています。(北米仕様のフェアレディZはドアミラーを採用)当時はフェンダーミラーであることが当たり前だったため、現代のクルマのような“デザイン的に似合わない”ということはありません。 旧車を彷彿とさせるデザインを復刻したような新型車も登場していますが、当然ながらドアミラーが採用されています。フェンダーミラーは、自動車史に残る名車を象徴するアイテムなのです。 フェンダーミラーのメリットとデメリット 法律で厳しく規制してまで、なぜ日本車が長らくフェンダーミラーを採用していたのか?ここではフェンダーミラーのメリット・デメリットをご紹介します。 フェンダーミラーのメリット フェンダーミラーの一番のメリットは、視線の移動が少ないことです。運転席よりも前方にミラーがあるため、少ない視線移動でミラーを見ることができることに加え、ドアミラーよりも広い後方視界を確保することができます。 さらに、雨天時もフェンダーミラーが力を発揮するシチュエーションです。前述したとおり、フェンダーミラーは運転席よりも前方、フロントガラスから見える範囲に設置されています。雨が降った際にワイパーがフロントガラスの雨粒をふき取ってくれるので、しっかりとミラーを視認できますドアミラーだとサイドウィンドウが雨粒で覆われてしまうと見にくくなってしまうため、この点はフェンダーミラーならではの強みです。 また、フェンダーミラーには車幅も抑えるという役割もあり、日本の狭い道でも容易に取り回しできます。フェンダーミラーは、安全性と日本の道路事情にマッチした合理的な装備と言えるでしょう。 フェンダーミラーのデメリット 一方フェンダーミラーのデメリットとして挙げられるのは、やはり現代のクルマに似合わない点です。 フェンダーミラーはボンネットが長く広い車種に合うものの、現在主流のボンネットが短く狭いミニバンやコンパクトカーには合いません。ボンネットの面積が広ければ大きなフェンダーミラーも映えますが、小さなスペースに大きな突起物が鎮座することとなり、車両前方のデザインを損なってしまいます。 また、ボンネットについた突起物だと考えると、万が一人身事故が発生した場合、フェンダーミラーが原因で歩行者への被害が大きくなってしまう可能性があります。 なぜタクシーはフェンダーミラーを採用しているのか 現在のクルマに似合わないフェンダーミラーですが、新車では唯一トヨタのJPNタクシーだけがフェンダーミラーを採用しています。そこには、タクシーならではの事情と日本人らしい国民性が大きく関係していました。 ここからは、タクシーがフェンダーミラーを採用している理由について紹介します。 日本人らしいおもてなしの心 ドアミラーで後方を確認する際、どうしても助手席側に視線を動かす必要があります。運転手が後席や助手席の乗客をチラチラ確認しているように見えるため、人によっては不快に感じるかもしれません。 フェンダーミラーであれば視線の移動が少ないため、乗客はよりリラックスして乗ることができ、日本人らしい「おもてなしの心」を表現しています。 また、人々の足としてさまざまな道を走行することがあるタクシーは、狭い路地に入っていかなければなりません。フェンダーミラーは車外への飛び出しが小さいことに加え、車幅感覚が掴みやすく、どんな道でも安全に走ることを求められるタクシーに適しているのです。 JPNタクシー専用開発のフェンダーミラー 2022年6月に国際自動車グループ会社のKmGオートアシストが、JPNタクシー用に視認性を高めるフェンダーミラーを開発し、実証実験を開始したと発表しました。 2017年10月の発売から4年以上経過しているにも関わらず、タクシー専用のフェンダーミラーが開発されることは異例です。タクシーにとって、いかにフェンダーミラーが大切な存在なのかがわかります。  まとめ 古臭く野暮ったいイメージを持たれやすいものの、フェンダーミラーは旧車好きにとってノスタルジーな雰囲気を醸し出す、なくてはならないアイテムです。また、運転にやや慣れは必要ですが、前方にあることで視線の移動が少なく、映し出す範囲が広い後方視野で安全を確保できます。 クルマを取り巻く技術が日々進化する中で、今ではミラーが小型カメラに置き換わりつつあります。 クルマにはどんなミラーが装着されているのかを見れば、その時のトレンドと時代背景が見えてくるかもしれません。

BNR34スカイラインGT-Rに設定された2つのVスペックを徹底比較!
旧車の魅力と知識2022.10.28

BNR34スカイラインGT-Rに設定された2つのVスペックを徹底比較!

第2世代スカイラインGT-R最後のモデル・R34型スカイラインGT-Rの中で、今も高い人気を集めているのがVスペックやVスペックⅡです。スカイラインシリーズ究極のGT-Rとの呼び声が高いR34型スカイラインGT-Rの最上位グレード、VスペックとVスペックⅡの違いを紹介します。 R34型スカイラインGT-R最上位グレード・Vスペック 日産の誇る国産最高峰のスポーツカー、R34型スカイラインGT-R(BNR34)にはいくつかのグレードが設定されており、中でも最上位に位置するのがVスペックです。 まずは、Vスペックがベースグレードと比べてどんな箇所が強化されていたのかに加え、VスペックとVスペックⅡの違いについて紹介します。 Vスペックは究極のGT-R 充実した装備と高い走行性能を誇るR34型スカイラインGT-Rの中でも、Vスペックは上位グレードとして設定されました。専用のエアロパーツや特別にチューニングされたサスペンションなど、R34型スカイラインGT-Rの性能をさらに高める装備を搭載しています。 ベースグレードとVスペックで大きな違いと言えるのが空力です。フロント下部に樹脂製、リア下部には国産量産車初となるカーボン製のディフューザーを装備し、さらに角度調整が可能なリアウィングと組み合わせることで強力なダウンフォースを発生させます。 「アドバンストエアロシステム」と呼ばれるこのエアロパッケージは、ボディ下部の空気を整流してダウンフォースを発生させるという、レーシングカーと同じ発想で開発されました。 そのほかにも、アクティブLSDを含むATTESA E-TS PROやフロントブレーキに走行風を送って冷却する導風板など、Vスペックにはベースグレードにはない装備が数多く搭載されています。 R34スカイラインGT-RのVスペックは前期、後期に分かれている R34型スカイラインは、発売1年後の2000年にマイナーチェンジを実施しました。Vスペック(前期型)は仕様が更新され、VスペックⅡ(後期型)へと進化を遂げます。 Vスペック N1のみに装備されていた322mmのリア大型ブレーキローターが全車標準装備に変わるなど、メーカーが強い意欲を発揮したマイナーチェンジとして知られています。内外装はVスペック以上にスパルタンな印象になりました。 VスペックとVスペックIIの違い VスペックからVスペックⅡへのマイナーチェンジで決定的に変わった点は、実はそれほど多くありません。また、すべてにおいてVスペックIIのほうが優れているというわけではないことも覚えておきたいポイントです。さらに、レース仕様をそのまま踏襲した特別仕様車についても紹介します。 よりスパルタンになりつつコストダウンも目立つ VスペックⅡへのマイナーチェンジでもっとも大きく変わったのは、量産車として初めてカーボンボンネットが採用された点です。ボンネットの変更で4kgの軽量化に成功し、さらにNACAダクトの追加によってタービン付近の温度低減も図られています。また、ウィンカーレンズがクリア化され、内装ではペダルがアルミペダルに変更されるなど細かな点のアップデートで、よりレーシーな内外装になりました。 すべての装備が豪華になったわけではなく、コストダウンを目的にヘッドライトのレベライザーやバックランプ周りのシルバー塗装などいくつかの装備や装飾が廃止されました。 Vスペックをさらに進化させたN1仕様と ニュル Vスペックには、N1耐久レース参戦用ベースモデルとなるN1仕様車や最終モデルとして投入されたVスペックⅡ Nür(ニュル)があります。特にR34GT-R販売最終年に投入されたVスペックⅡ Nür(ニュル)は、「大人のGT-R」として発売されたMスペックと合わせて1,000台限定で販売されました。 ウォーターポンプ、エキゾーストマニホールドなど、通常のVスペックとは異なるピュアレーシング仕様で、エンジンも個別にバランス取りがおこなわれているうえ、N1仕様のメタル製タービンも装備されています。 価格的にはVスペックのほうが安い アメリカ国内で、初年度登録から25年以上経過した右ハンドル車の輸入と販売が解禁される、通称「25年ルール」をきっかけに、1990年代~2000年代初頭の日本製スポーツカーが高騰し続けています。中でも、R32型からR34型のスカイラインGT-Rは、ある種異様なまでの暴騰と言っても良い状態です。 大手中古車サイトで検索すると、2000年式のVスペックが約2,500万円、2002年式のVスペックⅡNur(ニュル)ともなると5,500万円もの価格がついていました。また、掲載されている車両の多くは価格が表示されておらず、かなりの高値で取引されていることは間違いありません。 旧車王の買取上限価格は、Vスペックが1,500万円、VスペックⅡが2,000万円が目安です。「R34型GT-RのVスペックを所有しているがあまり乗っていない」という方は、売却を視野にいれて相談してみてはいかがでしょうか。 また、R34型スカイラインGT-RのVスペックやVスペックIIの購入を検討している方は、今後さらに高騰する可能性もあるので価格の動向に注意しましょう。 ※中古車相場は2022年10月原稿執筆現在  

国産ホイールの定番ボルクレーシング TE37はなぜ今も人気のホイールなのか? 高い性能と魅力の秘密に迫る
旧車の魅力と知識2022.10.27

国産ホイールの定番ボルクレーシング TE37はなぜ今も人気のホイールなのか? 高い性能と魅力の秘密に迫る

発売から20年以上経過した現在も多くのユーザーから支持を集め、販売され続けているボルクレーシング TE37。コンケイブ形状に仕上げられた6本スポークのシンプルなデザインは、発売当時から変わりません。市場には毎年のように新しい形状のアルミホイールが投入されるなか、なぜこれほど長い間愛されるモデルとなったのか、TE37の魅力に迫ります。 国産鍛造ホイールの金字塔TE37 TE37は、国産ホイールメーカーレイズの手がけるスポーツブランド、ボルクレーシングから発売されている鍛造スポーツホイールです。一般向けのホイールとして当時まだ珍しかった鍛造を採用し、高い性能を実現しました。 1996年の発売以来、変わらぬデザインと人気を獲得し続けるTE37の特徴と、鍛造により実現した高い性能について紹介します。 ボルクレーシングのトップモデルに君臨 2022年現在も、ボルクレーシングのトップモデルとして君臨するTE37が発売されたのは1996年で、発売以来変わらぬデザインを継承し続けています。当時すでに設立20年を迎えていたボルクレーシングの技術を結集し、アルミホイールに求められる剛性、軽量性、デザイン性のすべてを兼ね備えたモデルとして開発されました。 応力を分散する6本のスポークを配した1ピース構造を実現し、高剛性と軽さを両立したことがTE37最大の特徴です。 15インチホイール1本の重量がわずか3.7kgというのは、発売当時としては規格外の軽さで、モデル名の由来にもなっています。1本37,000円という価格も、ボルクレーシングの重量「3.7kg」に対するこだわりを感じるポイントです。 また、余計な華飾のないシンプルなデザインで、装着車種を選ばなかったことも人気を集めた大きな理由といえます。 鍛造によって実現した軽さと剛性 鍛造を採用することにより、TE37の剛性・軽さの両立が実現しました。。比較的安価に複雑なデザインを表現できる鋳造ではなく、あえて鍛造を選んだことがTE37の成功につながったといえるでしょう。 鍛造とは、熱した材料に圧力をかけて成形し、アルミの分子結合をより強固にする製法です。分子結合が強固になると反復応力に対しての剛性が生み出され、その分軽量に製造できます。 また、鍛造で成形すると成形後の内部応力が残らないので、製品自体の精度向上も叶えられます。 長年愛されるTE37の魅力 TE37は、スポーツホイールに求められる性能をすべて満たしたホイールです。しかも、6本スポークというシンプルなデザインは、まさに機能美と呼ぶに相応しい仕上がりで、どの車種に装着してもフィットします。 場面や車種を問わず広く使用できるTE37は、一般ユーザー向けホイールの最高傑作ともいえるモデルです。軽さと剛性、デザイン性のすべてを兼ね備えたTE37の魅力をさらに詳しく紹介します。 圧倒的に軽いのに高剛性 TE37の軽さは、当時大きな話題となりました。スポーツ走行のみならず、クルマそのものの走行性能を高めるうえで、バネ下荷重の軽量化は欠かせないポイントです。 バネ下荷重を軽くするとサスペンションの動きがスムーズになり、結果として路面からのインフォーメーションが掴みやすくなります。そして、操作をダイレクトにタイヤへ伝えられます。 一方で、クルマの安定走行にはホイールの剛性も重要です。特にサーキットをはじめとしたスポーツ走行では、ホイールの僅かなたわみがタイムロスに繋がります。さらに、縁石や路面の凹凸による衝撃で破損してしまうホイールでは、安心して走行できません。 ただし、剛性を求めるとその分肉厚になり、当然ホイールの重量は増えてしまいます。TE37が人気を集めている最大の理由は、鍛造製法とデザインによって高い剛性力を実現しながらも、軽さも犠牲にしていないことでしょう。軽さと剛性という相反する2つの性能を高次元で実現したホイールだからこそ、今なおボルクレーシングのトップモデルに君臨しています。 コンケイブ形状を採用した先進のデザイン 性能だけではなくデザイン性の高さも、TE37の大きな魅力です。高剛性を実現した6本ホイールに加えて、コンケイブ形状を採用し、シンプルながら単調にならないスポーティーなデザインとなっています。 コンケイブとは「くぼみ」という意味で、ホイール中心に向かい落ち込んでいくデザインを指します。当時は“コンケイブ”という言葉も浸透していなかったので、“逆反り”などとも呼ばれていました。 また、TE37のコンケイブデザインは、サイズごとにフェイスが異なっており、ビッグキャリパーにも対応しています。 TE37は今も新モデルが投入され続けている 手頃な価格設定もTE37が支持されている理由の一つです。一般的にコストが高くなる鍛造ホイールを、一般ユーザーも購入しやすい価格で提供したことで、鍛造の良さを世間に知らしめました。 高剛性で軽量、しかもデザイン性も高いのに手の届く価格を実現したTE37は、発売時にすでに究極のモデルだったのかもしれません。現在も、TE37は販売継続しており、さらに限定モデルも含めて派生モデルが続々と投入されています。愛車のアルミホイール選びに迷ったら、国産ホイールの金字塔ともいえるTE37もぜひ検討してみてください。  

日産が誇る4気筒の名機!SR20型エンジンの魅力とは
旧車の魅力と知識2022.10.21

日産が誇る4気筒の名機!SR20型エンジンの魅力とは

SR20型エンジンは、日産製の直列4気筒エンジンでシルビアや180SXなどさまざまな車種に搭載されてきました。このエンジンは今でも多くのファンに愛され、熱い要望によって2022年9月には30機限定で新品エンジンの再販が決定したほどです。そこまで愛されるSR20型エンジンとは、どのようなエンジンなのでしょうか。今回はSR20型エンジンの歴史とその魅力を紹介します。 SR20型エンジンを記憶に残る名機押し上げたシルビア&180SX SR20型エンジンは、パルサー GTI-R(RNN14型)や初代エクストレイル(T30型)などの高出力モデル、さらにセレナやアベニール、ブルーバードなど、日産車に幅広く採用されてきました。まさに日産の主力エンジンといえるでしょう。 そのなかでもSR20型エンジンを一躍有名にした車種といえば、多くのスポーツカー好きに愛されるシルビア&180SXです。S13シルビアには通称S13と呼ばれる5代目の後期(PS13型)以降、180SXは中期以降(RPS13型)に、SR20型エンジンが搭載されています。そこで、まずはシルビア&180SXの歴史を振り返るとともにSR20型エンジンについて紹介します。 デートカーとして開発されるもスポーツカーとしてヒットしたS13型シルビア S13型シルビアが発売された1988年といえば、デートカー全盛の時代です。中でも一際高い人気を博したプレリュードの牙城を崩すべく、S13型シルビアもデートカーとして開発が進められました。 FF車のプレリュードに対し、日産はフロントエンジン後輪駆動のFRを採用。S13型シルビアがデビューした頃は、トヨタのカローラレビン/スプリンタートレノ(AE86)が生産中止となり、コンパクトでスポーティなFR車が存在しない時期でした。その結果、当初はデートカーとしての開発されたS13型シルビアでしたが、日産の思惑とは裏腹にコンパクトFRスポーツカーとしての人気を伸ばします。 CA18型エンジンからSR20型エンジンへ 発売当初、S13型シルビアにはCA18型という1,800ccのエンジンが採用されていました。しかし、1991年のマイナーチェンジで2,000ccのSR20型へ変更されます。 ターボ仕様のCA18型エンジンは最高出力175psを発生し、当時としては十分なパワーをもっていましたが、設計自体が古く鋳鉄製で重量があるという点が問題視されていました。そこで、CA18型エンジンに代わって採用されたのがSR20型エンジンです。アルミブロック製で軽量コンパクト、出力もターボ仕様で205psと大幅なパワーアップを果たしました。 S14型・S15型シルビアのSR20型エンジン S14型シルビアのターボモデルで最高出力は220ps、さらに1999年に発売されたS15型シルビアではSR20型エンジンの最高点とも言える250psに到達しました。 S14型シルビアに比べてコンパクトなS15型シルビアは、走り好きなドライバーには評価されましたが、当時のミニバンブームに押されて販売台数が伸び悩みました。流通台数の少ないS15型シルビアに搭載されたSR20型エンジンは、現在は大変希少なエンジンといわれています。 SR20型エンジンの特徴とウィークポイント 発売当初から走りにこだわるドライバーに支持されたSR20型エンジンですが、発売終了から20年経った今でもその人気は衰えていません。 快適な街乗りを叶えるだけではなく、峠やサーキットでの爽快なドリフト走行でも活躍するSR20型エンジン。ここからはさらに詳しく魅力を紹介するとともに、弱点についても解説します。 チューニングベースとして優秀なSR20型エンジン シルビアと180SXのヒットにより、SR20型エンジンのチューニングパーツが多く出回りました。こうした背景があり、チューニングベースのエンジンとして確かな地位を手に入れます。 ターボであるSR20DET型は、マフラーやエアクリーナーを交換するだけで比較的簡単にパワーアップでき、さまざまなチューニングメニューがラインナップされています。エンジン内部にまで手を入れれば、500㎰以上を狙うことも不可能ではありません。 ライトにチューニングを楽しみたいドライバーから、とことんパワーにこだわるドライバーまで幅広い層が楽しめるという点もSR20型エンジンの魅力の一つです。 また、S13型からS15型まで仕様は違うものの、FRレイアウトでターボモデルというパッケージ自体は変わりません。カスタムパーツの開発が長い期間続けられたことも、チューニングベースとして人気を集める理由です。 SR20型エンジンのウィークポイント 軽量コンパクトを狙ったアルミ製エンジンブロックなので、鋳鉄製のブロックに比べると強度や耐久性が劣ります。流通量の多いSR20型エンジンですが、中には手荒に使用されてきた個体も多く、中古のエンジンを使用する場合は注意しましょう。 また、ロッカーアームを介してカムを駆動しているため、直打式に比べ高回転に不向きです。さらに、「ロッカーアーム飛び」という高回転高負荷時にロッカーアームが外れる(破損する)SR20型エンジンならではの不具合も発生しやすくなっています。特にドリフトなど過酷な条件で使用されたエンジンは、アイドリングの安定性や異音など、注意深く確認する必要があるでしょう。 SR20エンジンが30機限定で再販決定! 八王子のチューニング&中古車販売を行うマーキュリーが、2022年9月にSR20型エンジンを再販しました。これはマーキュリーの代表が2年に渡り日産と交渉を続け、再販を依頼したこと。そして、再販を希望する多くのファンの声が届いたこともあり、台数限定で再生産されることになりました。 再販が決まったのはSR20DET型です。S15型シルビア用のターボエンジンで30機限定で販売されます。価格はで133万円(税抜)です。販売元はマーキュリー富士森店で、2022年9月26日10時〜から予約を開始し11月から納品開始予定となっています。しかし、販売される台数も少なく、かなりの人気が予想されるため、気になる方はすぐに問い合わせてみましょう。 まとめ SR20型エンジンはさまざまなカスタマイズやチューニングが可能で、自分好みに仕上げる楽しみがあります。そんなSR20型エンジンを搭載しているからこそ、シルビアと180SXが人気車になったといっても過言ではないでしょう。人気は未だに衰えず、ファンの熱い要望にメーカーが動かされ再販にも繋がりました。 省燃費性能をはじめとして、今は環境性能が求められる時代です。今後、純粋な内燃機関のスポーツエンジンが登場する可能性は低いといえます。純粋なスポーツエンジンを楽しみたいならSR20型エンジンを搭載した中古車を探しましょう。昨今シルビアや180SXの中古車価格は高騰し続けているため、今が購入のラストチャンスかもしれません。  

メルセデス・ベンツ 190SLは廉価版と侮れない影の立役者だ!
旧車の魅力と知識2022.10.21

メルセデス・ベンツ 190SLは廉価版と侮れない影の立役者だ!

メルセデス・ベンツのクーペ、及びロードスターの最高峰に位置付けられる“SLクラス”。そのルーツは、レースで結果を残したモデルをベースに開発された300SLです。しかし、同時に発売された廉価版の190SLも、300SLに劣らず魅力をもったクルマでした。SLクラスの確固たる地位を築き、現在も高い人気を誇るメルセデス・ベンツ 190SLの生い立ちを振り返ります。 SLクラスを世間に認知させた190SL メルセデス・ベンツの歴史上初めて“SL”の名が付けられ、自動車史に残る名車として認知されているのは300SLです。しかし、販売台数を伸ばし商業的に成功したのは、同時に発売された190SLでした。 SLクラスを世間に認知させその後のクラス存続にもつながったモデルともいえる、190SLの歴史を振り返ります。 伝説の名車300SLと同時発売された廉価モデル メルセデス・ベンツSLクラスが誕生するきっかけとなったのは、300SLのプロトタイプが、1952年のカレラ・パナメリカーナ・メヒコで勝利したことです。当時、世界一過酷と言われていた公道レースで勝ったことは、アメリカのスポーツカー好きから注目を集めます。 そこに今後の需要があると踏んだのが、アメリカで輸入車ディーラーを経営していたマックス・ホフマンです。当初300SLは市販される予定はありませんでしたが、彼の強い働きかけによって、1954年に300SLは生まれました。そして、300SLの製造を依頼するのと同時に、日常使いができるコンパクトで低価格なモデルとして製造を依頼して誕生したのが190SLです。 販売台数で300SLを大きく上回った190SL 190SLは、日常的に使えるクルマを目指して開発され、ボディサイズやエンジンのコンパクト化など随所にコストダウンが図られています。当時の販売価格は、300SLよりも4割ほど安く設定されていました。 コストに制約があるなかでも、ボディデザインにはこだわり、300SL同様の流麗なボディを実現。結果として、2万5,000台以上を販売するという大ヒットを記録します。300SLの販売台数が3,000台強ということを考えると、SLクラスを多くの人に広めたのは190SLと言って間違いないでしょう。 ただの廉価版ではない190SLの魅力 ベースモデルの300SLよりもエンジンは小型で、ボディサイズもコンパクトです。190SLは、いわゆるメインモデルの廉価版として製造されました。 しかし、メインモデルと変わらない美しいボディデザインや日常での取り扱いやすさなど、190SLは“SL”の名に恥じないこだわりが詰まったクルマです。ここからはその魅力を詳しく紹介します。 コンパクトながら官能的なボディデザイン 190SLの特徴は官能的なボディデザインです。300SLと比べて全長約300mm、全幅50mmコンパクトに設計されているにもかかわらず、独特な美しいボディラインは損なわれていません。 なお、300SLはレースカーと同様にガルウィング仕様も用意されていましたが、より多くのドライバーが楽しめるように190SLは最初からロードスター(幌)モデルのみの販売されました。(後にハードトップも追加)流麗なデザインでありながら誰でも手に届くクルマだったといっていいでしょう。 必要十分なパワーを持つ扱いやすいエンジン 190SLのエンジンは、105馬力を発生するキャブレター式1.9L直列4気筒SOHCです。215馬力の300SLに比べて劣るものの、100kgも軽量に作られている190SLにとって、当時としては十分なエンジンパワーでした。 また、レースカーライクでピーキーな300SLよりも取り扱いやすかった点も、190SLの成功につながったポイントです。 高いメンテナンス性 当時としてメンテナンス性が高かったことも、SL190が持つ特徴の一つです。日常使いというコンセプトは、性能面や価格だけでなく車両の内部設計にも反映されていました。 また、異なるモデル間でも共通パーツが多く使われていることも、クルマを長く維持するうえで重要なポイントです。190SLに関する情報のなかには、製造された個体の半数近くが現存していると推定しているものもあります。 手頃だった190SLも今やプレミアムカー 販売当初は、日常使いのしやすさと手頃な価格で人気を博した190SLですが、現在の中古車価格は手頃とはいいがたい水準で推移しています。販売終了から50年以上が経過し、いかにメンテナンス性が高くても年々在庫は減少しているためです。 大手中古車サイトで検索すると、1960年式の190SLに2,350万円の価格がついていました。また、検索結果に表示されたのはわずか3台。年式から考えても現存台数が多いと言える190SLですが、希少車であることには変わりありません。また、旧車王での買取価格を確認すると、10月に1750万円もの高額で買い取った実績がありました。 190SLを手に入れたい方は、市場動向をこまめにチェックし購入の機会を逃さないようにしましょう。また、お手元に190SLをお持ちの方は状態が悪くなる前に、高値で推移している今こそ売却を検討してみてはいかがでしょうか。 ※中古車相場は2022年10月原稿執筆現在  

GRB・GVB型インプレッサ WRX STIは今が買い!中古車事情を解説
旧車の売買と鑑定市場2022.10.07

GRB・GVB型インプレッサ WRX STIは今が買い!中古車事情を解説

インプレッサ WRX STIは、同モデルのトップグレードであり、スバルを代表するスポーツカーです。水平対向エンジンとバランスの良いシャーシを持ち、ファンの多いインプレッサ WRX STI。その中でも、GRB/GVB型の3代目インプレッサ WRX STIは、ボディやエンジン唯一ハッチバックボディを採用するなど、多くのバリエーションを持つモデル車でした。今回はそんな3代目インプレッサ WRX STIを紹介します。 GRB/GVB型 3代目インプレッサ WRX STI の概要 スバル インプレッサ WRXは、「スバルと言えばラリー」というイメージを初代レガシィから引き継ぎ、WRCで勝つため、毎年、毎モデル進化し続けてたモデルです。国内トップクラスの走行性能を持ち、スバリストだけでなく多くのスポーツカー好きから注目を集めました。しかし、3代目インプレッサ WRX STI は、同モデルのスポーツタイプとして大きな転換点を迎えることになります。 ラリーに勝つための“ハッチバック”から販売開始 3代目インプレッサ WRX STIには、2007年から2014年まで発売された5ドアハッチバック(GRB型)と2010年から2014年まで販売された4ドアセダン(GVB型)の2つのボディタイプが存在します。当初はハッチバックのみの設定でしたが、「WRXといえばセダン」というファンの声に応える形でセダンタイプが追加されました。ハッチバック・セダンともに2Lターボに6MTが組み合わされています。 そして、2012年には2.5Lターボエンジン+5速ATのAラインが追加されました。5速ATのAラインは、ハッチバックの(GRF型)とセダンの(GVF型)が用意され、エンジンとミッション以外MTモデルと共通という非常にユニークな車種です。 先代まではセダンのみだったWRX STIですが、3代目ではハッチバックが採用されています。その理由は3代目インプレッサ WRX STIがWRC(FIA 世界ラリー選手権)での王者奪還を目指し、旋回性を重視したことにほかなりません。セダンは高速安定性やボディ剛性に優れますが、ラリーのように多くのコーナーを駆け抜ける場面ではリアオーバーハングの短いハッチバックの方が有利です。その証拠に現在のWRCでは、ほとんどのクルマがハッチバックを採用しています。 WRCからの撤退とWRXの転換点 スバルは3代目インプレッサ WRX STIをベースに、WRCで王者奪還を目指したものの、思ったような戦績を残すことができませんでした。さらに都会的なイメージを目指すスバルに、オフロードのイメージが合わなくなってきたこともあり、スバルは2008年にWRCから撤退します。 その後はニュルブルクリンク24時間耐久レースをはじめとしたオンロードレースを重視するようになり、メーカーとしてだけでなく“WRX”ブランドとしての大きな転換点を迎えます。この変化を受けて、4代目インプレッサ以降はインプレッサとWRXは切り離され、インプレッサ名義のスポーツタイプはこのモデルを最後に姿を消すことになったのです。 歴代インプレッサでもっともパワフルなEJ20型エンジン 3代目インプレッサ WRX STIには、限定車を除く歴代インプレッサの中で最もパワフルなEJ20型水平対向エンジンが搭載されています。スペックは最高出力308ps、最大トルク43.0kgmを発生。メカニズム面では、可変バルブタイミング機構であるAVCSを吸気・排気ともに採用し、先代に引き続きツインスクロールターボが採用されています。 また、先代にくらべホイールハウスを拡大したことで、太いタイヤを履けるようになりました。さらに、ボディ剛性が向上したことで、大きなパワーを受け止められるようになっています。 EJ20型水平対向エンジンは、今では珍しいショートストロークの高回転型エンジンです。回転の上昇に伴って得られるターボの存在感と、8,000回転までよどみなく回る官能的なフィーリングは、ダウンサイジングされた近年のエンジンでは感じることができません。 より強化された電子制御デバイス バランスの良さやクルマ本来のコントロール性を重視するスバルですが、3代目インプレッサ WRX STIでは電子制御も充実しています。 このモデルから「SI-DRIVE」と呼ばれる車両特性を変更出来るシステムが搭載されました。最もエコなインテリジェントモード(Iモード)からスポーティなスポーツモード(Sモード)、さらにレスポンスを高めたスポーツシャープモード(S#モード)まで3種類のモードをスイッチ1つで変更できます。 また、センターデフの差動制限を調整するDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)も、自動もしくは手動で調整できるマルチモードDCCDへ進化しました。自動を選択した場合は、「AUTOモード」に加えて旋回重視の「AUTO-」とトランクション重視の「AUTO+」を任意に選択可能。ユーザーの好みに合わせ、FRのような挙動から安定志向まで変更でき、速さと使いやすさを高次元で両立しています。 3代目インプレッサ WRX STI が狙い目の理由 3代目インプレッサ WRX STIの中古車は、国産スポーツカーの中でも特に狙い目の車種となっています。 3代目インプレッサ WRX STIが新車販売されていた2007年は、各自動車メーカーがスポーツモデルをラインナップしていた時代です。そのため、スポーツカー氷河期と言える現在、同世代のスポーツモデルの需要が増え、中古車価格が軒並み上昇しています。 たとえば、長年ライバルとしてシノギを削ってきた三菱 ランサーエボリューションを見てみると、同世代のIXやXのMTモデルは、11万km走行した個体でも220万円以上で販売されています。 対して、3代目インプレッサ WRX STIのMTモデルの販売価格は、走行距離が10万kmの個体で130万円以内です。同じ高性能なAWDモデルで、尚且つ走りをとことん走りを楽しめるMTモデルと考えれば、3代目インプレッサ WRX STIがいかにコストパフォーマンスに優れているかお分かりいただけるのではないでしょうか。(※どちらも2022年9月の原稿執筆時、修復歴ナシのデータ) また、中古車として狙い目であるにもかかわらず、旧車王では、2010年式で約6万kmの個体を195万円で買い取っています。2009年式、約11万kmのスペックCグレードでも、130万円の価格がつきました。 まとめ 3代目インプレッサ WRX STIを最後にインプレッサ名義のスポーツモデルは姿を消し、4代目インプレッサ以降は環境性能や安全性を重視したモデルへと変化を遂げました。つまり、3代目インプレッサ WRX STIは、インプレッサベースのスポーツカーとしての集大成と言えるモデルです。 2022年現在、スバルはMT仕様のAWDスポーツカーを販売していません。(AT仕様のWRX S4のみ販売) 今後もMT仕様のスポーツモデルが発売されることは考えにくく、3代目インプレッサ WRX STIの価格が高騰する可能性があります。ハイパワーのAWDスポーツカーを検討中の方は、急いだほうがいいかもしれません。

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