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増田 真吾の記事一覧

FR車ならドリフトできる!ベース車の選び方からおすすめパーツまで紹介
旧車の売買と鑑定市場2022.07.29

FR車ならドリフトできる!ベース車の選び方からおすすめパーツまで紹介

後輪を滑らせながら高速でコーナーを駆け抜けていくドリフト走行。競技などの動画をみると操作が難しそうなうえ、特殊な車両を使っているかのように感じます。しかし、ドリフトはクルマさえあればどなたでも楽しめるモータースポーツです。ドリフトに適したクルマ選びや必要なパーツなどを詳しくご紹介します。 ドリフトは敷居の低いモータースポーツ ドリフト走行は、いくつか公式な競技団体が存在するほど、現在ではモータースポーツの1カテゴリとして広く認知されています。また、一方でアマチュアレベルでのドリフトシーンも活発で、モータースポーツのなかでも手軽にはじめられるカテゴリの1つです。 ドリフト走行とは Drift(ドリフト)は、直訳すると「流れ漂う」という意味です。コーナーなどで意図的にリアタイヤを滑らせ、スピンをしないようにカウンターステア(曲がる方向とは逆方向にハンドルを切る)をあてながら走行します。コーナーの角度以上に横を向き、スピン寸前の不安定な状態をコントロールするという技術がドリフトの大きな見どころ。D1、フォーミュラドリフトといった競技では、コーナーへの進入速度、ドリフトアングル(横を向く角度)などを得点化して優劣を競っています。 基本的にFR車両ならなんでもOK ドリフト走行にもっとも適しているのは、駆動方式がFRの車両です。車種は日産 シルビアや180SX、トヨタ AE86やスープラなどのスポーツカーのほうが適していますが、重要なのは駆動方式なのでFRであればスポーツカーである必要はありません。実際、JZX100型のチェイサーやアリストなど、セダンタイプの車両を使用しているプロドライバーもたくさんいます。ミッション形式についてはMTが断然おすすめです。ドリフト走行はクルマに通常とは違う動きをさせるので、コンピューターで制御するATだとコーナー内でうまくギアが合わないこともあります。ただし、ATでもドリフト走行を楽しんでいる方はたくさんいるので、とりあえず手持ちのクルマがATであってもドリフト走行は可能です。  ドリフト走行の基本的なやり方 ドリフト走行で重要なのは、リアタイヤを滑らせるきっかけ作りです。きっかけの作り方は、ブレーキング、フェイント、クラッチ蹴り、サイドブレーキなどいくつかの方法があります。初心者のうちはサイドブレーキでのきっかけ作りがおすすめです。コーナー進入時にブレーキングをしてクルマの向きが変わった瞬間にサイドブレーキを使ってリアを滑らせれば、低い速度域で安全にドリフト走行ができます。そして、リアが滑り出したらアクセルを踏みこんで車体の向きをコントロールしてみましょう。基本的にはアクセルを踏み込むとよりリアが流れ、アクセルを離すとドリフトがおさまります。(※一気にアクセルを戻すと反対にスピンを起こす原因になるので注意) ドリ車に必要なパーツ3選 極端なことを言えば、ノーマル車両のままでもとりあえずドリフト走行はできます。しかし、本格的にドリフト走行を楽しみたいのであればいくつか後付けパーツが必要です。後付けパーツを導入した方がコントロール幅も広がり上達しやすいのはもちろん、よりレベルの高いドリフトを楽しめます。  LSD(リミテッドスリップディファレンシャルギア) LSDはドリフト車両に欠かせないパーツのひとつです。クルマの駆動輪には、コーナリング時の内外輪差を吸収しエンジンの力(トルク)を適切に配分するために、ディファレンシャルギア(差動装置=以下デフ)が取り付けられています。しかし、純正のデフはアクセルを踏んだ際に負担のかかっていない車輪が空転してしまうため、トルクが路面にうまく伝わりません。そこで、スポーツ走行時に左右の差動動作を制限するLSDを使用します。また、ドリフトをする目的でクルマを選ぶ際には、後付けのLSDがラインナップされている車種を選ぶことをおすすめします。 車高調整式サスペンション 車高調整式サスペンションも、ドリフトをするのであれば装着しておきたいパーツの1つです。ブレーキングでのピッチ(車体の前後の高さ変化)やコーナリング時のロール(車体の左右の傾き変化)を最小限にしておいたほうが、クルマの姿勢が掴みやすくコントロールもしやすくなります。もちろん、純正の足回りでもドリフト走行は可能です。しかし、純正の足回りだともともとの車高が高いこともあり、ピッチやロールの変化が大きくなるため、姿勢のコントロールがしにくくなります。テレビCMなどで見かける、純正の足回りのままで行うドリフトは、かなりのテクニックが無ければできません。 ちなみに、最近は若干フロントを高めにしてコントロール幅を大きくとるセッティングがトレンドです。 バケットシート レーシングカーなどに装着されているバケットシートは、ドリフト初心者にこそおすすめのパーツです。純正のシートは快適性を重視してゆとりのある作りになっているため、クルマを大きく横向きに流すドリフト走行をすると、ドライバーの体も流れてしまいます。姿勢を保持するために余分な力が必要になると、運転操作に集中できないばかりか操作できる幅も狭まってしまい思うようにドリフト走行ができません。まだクルマのコントロールに慣れていない初心者こそ、運転操作に集中できるバケットシートを装着すると上達も早くなります。 FFや4WDでもドリフトは可能 ドリフト走行に適したクルマは間違いなくFR車両ですが、FFや4WDといったFR以外の駆動方式でドリフトを楽しんでいる人もたくさんいます。どんなクルマでも楽しむだけなら、すぐに挑戦できるのもドリフト走行の魅力の1つです。 FFでドリフトをする FFでドリフトをする場合も、ドリフトのきっかけ作りはFRと同様です。コーナー進入時にサイドブレーキでリアタイヤをロックして後輪を意図的に滑らせます。FFでドリフトをする場合のポイントは、リアタイヤのグリップ力をいかに落とすかということ。できるだけ細くグリップ力の低いタイヤを使いましょう。FFでのドリフトは「Fドリ」と呼ばれ、一定数の愛好家がいます。Fドリは、軽自動車からセダンまで幅広い車種で楽しんでいる方が多いのも特徴です。 4WDでドリフトをする 基本的に4WDは安定性が高いことが特徴なので、意図的にリアタイヤを滑らせるドリフト走行に向いていない駆動方式です。コーナーでの限界能力の高い4WDでリアタイヤを滑らせるには、一定のテクニックとある程度の高い速度が必須。コツはカウンター(進行方向と逆にハンドルを切る)を当てすぎず4輪すべてを滑らせながらコーナーを抜けるイメージです。ラリーの世界では結果的に4WDドリフトを駆使する場面が多く、世界最高峰のWRCでは限界を超えた大迫力のドリフトが見られます。 まとめ 速度と角度を追求するプロレベルから、自分の技量にあわせて楽しむアマチュアレベルまで、幅広い層がドリフト走行を楽しんでいます。また、使用するクルマをレーシングカーのように作り込まなくても、最低限の装備でとりあえずはじめられるのもドリフトの魅力です。なお、誰でも手軽にはじめられるドリフト走行ですが、公道でのドリフト走行は当然禁止されています。ドリフトの練習は必ずサーキットなど許可された場所で行いましょう。自分の技量と安全面に配慮して、ドリフト走行を楽しんでください。  

規制をクリアするDPFとは?令和のいま70系ランクルに乗る方法
旧車の魅力と知識2022.07.21

規制をクリアするDPFとは?令和のいま70系ランクルに乗る方法

1980年代のクロカンブームに登場した70系ランドクルーザー。クラシカルな見た目でファンが多く、特にディーゼルエンジンモデルに人気が集中しています。しかし、ディーゼルエンジンモデルは、現代の排ガス規制により何か対策を講じないかぎり、一部の地域では登録できないばかりか、車検を通すことすらできません。今回は70系ランドクルーザーのディーゼルモデルを現代の厳しい規制の中でクリアし、登録する方法についてご紹介します。 世界中で支持される70系ランドクルーザーの歴史 70系ランドクルーザーは、40系の後継車種として1984年に誕生。1999年にマイナーチェンジを受け、2004年に日本国内での販売を終了しています。 その後多くの根強いファンの声もあり、2014年から2015年の1年間限定で再版されました。これまで世界中で販売されていたバリエーションは、ボディタイプは5種類、エンジンはガソリンエンジンが3種類、ディーゼルエンジンが7種類と豊富なバリエーションが販売されてきました。 一部国外限定ではありますが、同年代のライバルであるパジェロと比べても車体のバリエーションが多いことや、武骨でありながらどこか可愛らしさのあるスタイリングで、多くのファンを獲得。また、海外では未だに需要が多く、現在もマイナーチェンジを繰り返しながら、日本での販売期間終了後も販売が継続されています。 トルクフルなディーゼルエンジンと堅牢なラダーフレーム 70系ランドクルーザーが人気の理由は、トルクフルなディーゼルエンジンと堅牢なラダーフレーム構造を採用していることです。 ディーゼルエンジンはガソリンエンジンのスパークプラグで点火する方式とは違い、混合気を圧縮熱で着火させます。ガソリンエンジンに比べ高トルクを得ることができ、低速でのパワーに優れていることため、悪路を走る場面で有利。また、エンジンの耐久性が高いこともあり、過酷な状況で使用するユーザーの支持を集めました。 ラダーフレームは一般車のモノコックボディと違い、ボディとフレームが別々になっています。エンジンやミッション、サスペンションなどの主要な機構がフレーム部分に搭載されているため、ボディにダメージを受けてもフレームに問題がなければ走行可能です。 もちろん、フレーム自体の剛性も高く、未舗装道路や山道などの悪路ではラダーフレームが重宝されています。このエンジンとフレームがクロカンファンにはとても魅力的であり、発売から35年以上経った今でも多くのファンを魅了しています。 ディーゼルエンジンの大気汚染物質規制 70系ランドクルーザーをはじめ、多くのクロカンモデルに採用されているディーゼルエンジンからは、ガソリンエンジンと比べ、NOx(窒素酸化物)とPM(浮遊粒子状物質)が多く排出されます。 この2つはいわゆる大気汚染物質と言われるもので、人体への悪影響や環境汚染が問題視され始めたのです。 そこで、誕生したのが自動車NOx・PM法(正式名称は自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減に関する特別法)。それまでの自動車NOx法の改定法として2001年に成立、翌2002年の10月より適用されました。 自動車NOx・PM法にはポイントが3つあり、1つ目が「排出基準」、2つ目が「車種規制」、3つ目が「適用される地域」です。 その中でも気にするべきは適用される地域で、適用地域は「東京都」「埼玉県」「千葉県」「神奈川県」「大阪府」「兵庫県」「愛知県」「三重県」。仮に規制地域外から上記8地域に引っ越し(使用の本拠地を変更)した場合、新たなに車検を取得することができません。 規制をクリアするために必要なDPFとは 70系ランドクルーザーなど、自動車NOx・PM法に引っかかる車でも登録できるようにする方法が「後付けDPF」です。 DPFとは「ディーゼル・パティキュレート・フィルター」の略で、排気ガス中のPMを捕集し、排気ガスをクリーンにすることができます。 基本的に後付けに使用されるDPFはメンテナンスフリーの物が多く、費用としては工賃込みで大体120~140万円(型式、ミッション、ショップにより異なる)。そして作業後に日本車両検査協会で排ガス検査を行い合格すると、規制をクリアした登録可能車両となります。 中古車を購入できるくらいの金額に加え、持ち込み検査でかなりの手間がかかりますが、思い入れのある70系ランドクルーザーだからこそ、後付けDPFを選ぶオーナーは少なくありません。 まとめ エンジンやフレームの車両性能、クラシックなルックスで多くのファンがいる70系ランドクルーザー。いま首都圏で乗るためには、排気ガス規制をクリアするDPFの装着は必須です。実際に装着するとなれば相応のコストと時間がかかるため、装着を検討しているなら、実績のある専門ショップに依頼するようにしましょう。 後付けDPFは、ややハードルが高いと思われがちです。しかし、乗り越えることができれば、ディーゼルエンジンとラダーフレームの確かな走行性能と、現代の車には無い魅力を持った70系ランドクルーザーを一生の相棒にできます。 ちなみに、これから70系ランドクルーザーの購入を検討しているなら、必ず後付けDPFが装着されているか確認することをお忘れなく。  

圧倒的な存在感と個性!今なお高い人気を誇るアメ車シボレー インパラ
旧車の魅力と知識2022.07.06

圧倒的な存在感と個性!今なお高い人気を誇るアメ車シボレー インパラ

全長5mを超える大型のボディに5LオーバーのV8エンジン。大きさと力強さというアメリカの象徴ともいえるクルマがシボレー インパラです。初代発売から60年以上も市場に投入され続けているインパラの歴史を振り返ります。 力強いアメリカを象徴するインパラ アメリカが1番元気だったとも言われる1960年代の直前、シボレー インパラは登場しました。インパラは新時代の到来に期待が高まるなか、時代に呼応するようにシボレーが最上級グレード車として市場に投入したパーソナルカーす。 最上級グレードのスポーツモデルとして登場したインパラ 初代インパラの登場は1958年。当時シボレーの最上級グレードだった「ベルエア」のスポーツグレード、「ベルエア・インパラ・スポーツパッケージ」としてデビューしました。1958年はアメリカが初めて人工衛星の打ち上げに成功した年で、公民権運動など負の側面も含めてアメリカ全体にエネルギーが満ち溢れつつあった時代です。 初代インパラは2ドアクーペとコンバーチブルのみの設定でしたが、翌年の1959年のモデルチェンジで4ドアモデルも追加。ベルエアがややダウングレードされたことで、名実ともにシボレー最上級グレードとなりました。ちなみに、インパラという名前はアフリカのサバンナに生息するレイヨウというカモシカに似た動物の名前です。 アメリカらしい大型で個性的なデザイン インパラの特徴は、5mを超える全長に2m近い車幅の大柄なボディと個性的なデザイン。大柄なボディをドライブするエンジンもパワフルで、初代モデルから最大で5.7LのV8エンジンを搭載し、大きくて力強いアメリカを象徴するクルマの1つです。 大幅なモデルチェンジをおこなった7代目以降は、ややダウンサイジングされたものの、インパラの伝統は現在も受け継がれています。4ドアセダンの現行型は、エンジンこそ3.6LのV6エンジンとやや迫力不足ながら、ボディサイズは全長5m以上と存在感は抜群です。 6代目が節目となった歴代インパラ インパラは2度の販売中止期間があり、その前後でクルマとしての性格が大きく異なります。 とくに人気なのは、初代から6代目までのモデル。初代登場から60年以上が経過するインパラのモデル変遷を紐解くと、時代背景が浮かび上がってきます。 インパラらしさを追求した初代〜6代目 インパラがもっともインパラらしかったのは6代目までで、ボディサイズ、エンジンともに大型化の一途をたどりました。1965年に登場した4代目インパラには、7.0LのV型8気筒ターボジェットエンジンを採用。また、経済的に豊かになっていったアメリカの勢いを象徴するかのように、この頃のインパラは同世代でもほぼ毎年違う仕様のモデルが発売されていた点も特徴です。 しかし、1970年代に入ると安全性や環境性能に対する意識の高まりとともに、自動車市場は大きな変革期を迎えます。さらにオイルショックの影響もあったことから、安全で経済的なクルマに方向転換せざるを得なかったのです。 そんな中1977年に登場した6代目モデルでは、全長が短くコンパクトになり、エンジンサイズも初代同様の5.7Lという経済性を優先した仕様となりました。6代目の販売が終了する1985年に30年近く続いたインパラの歴史に一旦幕を下ろすことになります。 限定車扱いで復活した7代目 6代目インパラの販売終了から9年が経過した1994年、限定車という扱いながらインパラが7代目インパラSSとして復活します。 コンパクト化した6代目を引き継ぐ形で設計され、エンジンは、カマロやコルベット、ポンティアック・ファイアーバードに搭載されていたV型8気筒5.7LのLT1型エンジンを採用。LT1型エンジンはスポーツモデル用のエンジンですが、大型車のインパラをにあわせてトルク重視に仕様変更されていました。 7代目インパラは1996年までのわずか2年間だけ販売され、インパラの名前は再び姿を消すことになります。 大幅にコンセプトを変えた8代目〜10代目 インパラの名が次に復活したのは、4年後の2000年。8代目となるインパラは大きくコンセプトを変更して登場しました。初代から40年近く続いていた駆動方式を、FRからFFに変更。ラインナップは4ドアセダンのみとなり、クルマとしての立ち位置はスポーツモデルから高級ファミリーセダンになりました。そして、8代目インパラは、2004年に29万台を超える売り上げを記録し、シボレーはこの大幅なコンセプト変更を成功させます。高級車でありながらも、ただの嗜好品ではなく実用的だったことが時代背景とマッチしていました。 2014年に発売された10代目モデルもFFの4ドアセダンで、エンジンはV型6気筒3.6Lを搭載。7.0Lエンジンの頃から比べると約半分の排気量になってはいるものの、5mを超えるボディサイズは健在でアメリカ車らしいどっしりとしたスタイリングです。 まとめ オールドアメリカを体感できるインパラは、今でも人気の高いアメリカ車の1つです。とくに人気の高いのはやはり初代〜2代目。1958年の初代モデルで約3,000万円という価格がついているものもありました。一方で、3代目以降は1964年モデルで380万円など500万円を切るクルマも複数あるので現実的に入手可能な金額です。さらに7代目のインパラSSは100万円を切る価格のものあります。 ただし、現在インパラは日本で正式販売されていないこともあり、2000年以降のFF化されたモデルは日本の中古車市場ではほとんど見かけることがありません。※価格は2022年6月現在

最小排気量で上限馬力を実現したトヨタ 1JZ型エンジン!今なお名機と呼ばれる理由とは
旧車の魅力と知識2022.06.24

最小排気量で上限馬力を実現したトヨタ 1JZ型エンジン!今なお名機と呼ばれる理由とは

トヨタ最強エンジンとも称される2JZ型エンジン。しかし、前身となる1JZ型エンジンの開発成功がなければ続く2JZは生まれませんでした。排気量を2.5Lに抑えながらも、自主規制上限の280psを発生し、最高のパフォーマンスを叩き出した1JZ型エンジンの魅力に迫ります。 名機の後継機として開発された1JZもまた名機 JZ系エンジンの初代となる1JZエンジンは、30年近く製造されてきたトヨタを代表するエンジン、M型の後継機として開発されました。排ガス規制や税制上の理由から2.5Lというサイズダウンを余儀なくされた開発となるものの、トヨタの高い技術力によって名機M型エンジンをしのぐパフォーマンスを発揮します。 名機M型エンジンを受けて開発された 1JZの前身となるM型エンジンは、1965年から1993年の28年間もの長期に渡って製造されたトヨタ屈指のハイパワーエンジンです。クラウンはもちろん、セリカXXやソアラ、そして2000GTといったスポーツモデルにも搭載された名機と呼ばれるエンジンでした。 しかし、M型エンジンの基本設計から既に30年近くが経過していたことと、税制区分の変更で2.5Lエンジンが税制上有利になることから新型エンジンへの移行が決定されます。 そこで登場したのが、JZ系エンジンとなる1JZエンジンです。2.5LというM型エンジンより500cc小型ながら、後継機としてM型エンジン以上のパフォーマンスを求めて開発されました。 直列6気筒というトヨタのハイパワーエンジンの系譜をそのまま受け継ぎ、M型エンジンの正当な後継機が1JZエンジンです。 JZ系エンジンの地位を確立した1JZ-GTE JZ系エンジンの基本形は、2.5L直列6気筒の1JZ-GE型自然吸気エンジンで、自然吸気ながら180psを発生するハイパワーエンジンでした。しかし、1JZエンジンの地位を確立したのはツインターボを搭載した1JZ-GTE型エンジン。ヤマハ発動機と共に開発された1JZ-GTE は、2.5Lという小排気量でありながら、当時の自主規制いっぱいとなる280psを発生しました。 そして、1JZ-GTEエンジンの人気に火をつけたのが90型マークII3兄弟であるツアラーVの登場です。4ATしか用意されていなかった80型と異なり、5MTが用意されたツアラーVは、1JZエンジンのポテンシャルを十分に引き出し、スポーツサルーンの代表格となりました。 今も支持される1JZエンジンの魅力 ツインターボによる爆発的な加速力が魅力の第1世代、トルクフルで扱いやすかった第2世代。2世代開発された1JZは、どちらの世代も甲乙つけがたい秀逸なエンジンだったことは間違いありません。また、堅牢で信頼性が高かったことも多くの車好きやチューナーから支持を集めた要因です。 世代によって異なる1JZの性格 1JZエンジンは、可変バルブタイミング機構の有無によって2世代に分かれています。可変バルブタイミング機構が採用された第2世代では、ベースとなる1JZ-GEの出力は200psにまで高められました。 しかし、第2世代最大の特徴はパワーではなくトルクです。とくにターボ仕様の1JZ-GTEでは、トルク特性が大きく変更されました。第1世代のトルクは37.0kg・mを4,800回転で発生していたのに対し、第2世代では38.5kg・mをわずか2,400回転で発生。ターボもツインターボからシングルタービンに変更され、低速域から扱いやすいマイルドな性格のエンジンになりました。 レスポンスが良くターボラグが少ない 1JZエンジンは、トヨタが高い技術力をアピールするために掲げたLASRE(Light-weight Advanced Super Response Engine)として開発されます。軽量コンパクトに設計する一方で、3.0LエンジンだったM型エンジンのパフォーマンス以上のパワーが求められました。 燃焼室形状の変更やバルブ径の拡大、ショートストローク化によってエンジンの高さを抑えることに成功。しかも、ショートストローク化したことで高回転までスムーズに吹け上がる理想的なエンジンに仕上がりました。 さらに、ターボ仕様となる1JZ-GTE型には軽量なセラミックタービンを採用。ターボラグは当時としては最先端といえるほどの水準で、もともと吹け上がりのいいエンジン素性とあわせて抜群のアクセルレスポンスを発揮しました。特に第1世代となるツインターボモデルでは、過給のかかる4,000回転以上で爆発的な加速力を見せます。 チューニングベースとして堅牢な1JZ-GTE 1JZエンジンは、エンジンブロック部分にブロック骨格を採用するなど、もともと剛性の高いエンジンです。さらに、ターボ化にともなって鍛造のアルミ合金製のピストンを採用し、冷却性と耐熱性を大幅に向上。シャフトセンターがブレにくいフルカウンタークランク、耐久性の高いメタルガスケットなど、1JZ-GTEはエンジン自体の基本設計がしっかりしていました。 第1世代、第2世代ともに自主規制によって280psに抑えられていますが、吸排気チューニングやタービン交換でエンジン内部に手を入れることなく400psオーバーを狙うことも可能です。 現在のトヨタハイパワーエンジンにつながる存在 1JZエンジンの成功は、排気量アップモデルとなった2JZ型エンジンや、現在のGR型エンジンの開発へとつながっていきます。M型エンジンからはじまったトヨタのハイパワー直6エンジンは、1JZによって不動の地位を確立しました。 また、1JZエンジンは排気音も大きな魅力の1つ。低回転からスムーズに立ち上がり、独特の高音をともなった咆哮がドライバーの耳に心地よく届きます。欧州の高級スポーツカーに引けをとらないエグゾーストノートは、当時のみならず今もファンを魅了するサウンドです。  

旧車好きがこだわる「キャブレター」ってなに?今さら聞けない仕組みを解説
旧車の魅力と知識2022.06.16

旧車好きがこだわる「キャブレター」ってなに?今さら聞けない仕組みを解説

旧車好きの間では、近年のクルマに採用されているインジェクションによる燃料噴射システムではなく、キャブレターの方が好まれます。キャブレターとは、電子制御の燃料噴射装置が登場する以前に採用されていた燃料噴射方式のことです。 見かたによっては、時代遅れとも言えるキャブレターがなぜ旧車好きから愛されているのか?その仕組みや長所、短所を改めてご紹介します。 キャブレターの仕組み キャブレターは電気を使わず、エンジンの負圧を利用して燃料を噴射します。 キャブレターの中にベンチュリーという吸入空気の道を絞った場所を設け、吸入空気の流速を上げることにより負圧を発生。ベンチュリーの中にあるジェットから燃料が吸い出され、霧状になります。 燃料を霧状にするのは、気化を促進して空気と混ざりやすくするため。空気と燃料が混ざった“混合気”は、そのインテークマニホールドを通ってエンジンの吸気側へと送られ、燃焼室に入ります。 性能特性に大きく影響する「ジェット」とは ここでは、クルマのエンジンに使用される一般的なキャブレターについて、もう少し深く解説します。 キャブレターとエンジンの性能特性を左右するのが“ジェット”です。燃料を霧状にするジェットは、「メインジェット」「スロージェット」「ニードルジェット」の3種類。アイドリング時(アクセル全閉時)はスロージェット、アクセル全開時はメインジェット、全閉と全開の中間時はメインジェットに刺さっているニードルジェットが燃料噴射量をコントロールしています。 メインジェットとスロージェットは、穴の大きさによって燃料噴射量が変化。メインジェットに刺さっているニードルジェットは、アクセル開度に応じてニードルジェットが持ち上げられ、メインジェットの穴の隙間が広がり燃料の噴射量が変化します。 一度知ったら病みつき!?「キャブ車」にしかない独特なフィーリング キャブレターの大きな特徴の一つが、インジェクションには無い吸気音です。キャブ車はアクセルオフにした際、キャブ車は独特な“シュッツ”という音がします。その音はノーマル状態でも耳を済ませば聞こえ、チューニングしていればさらに良く聞こえてきます。 そしてもう一つの特徴が、機械を操作していると実感できるダイレクト感です。キャブ車の場合、アクセルペダルの操作でバルブが開いて空気が流入し、そこにガゾリンが噴射されてエンジンに到達。そして、圧縮された混合気が一気に膨張(爆発)し、パワーが出るという一連の流れをダイレクトに感じることができます。 エンジンが空気を吸っている機械的な音や、ダイレクトで気持ち良いスロットルレスポンスこそ、キャブレターが好まれる理由です。 機械を操作していると実感できるダイレクト感 インジェクションでも一部のスポーツカーには、スロットルレスポンスが良いものもあります。しかし、電子制御である以上、ドライバーの意志が届かない領域でコンピューターの制御が入り、それが違和感やダイレクト感が希薄になる要因です。 また、キャブレターは物理的なジェット交換やスクリューを調整することでチューニングします。画面上の数値でしか確認できない電子制御インジェクションに比べシンプル。もちろん、最高のコンディションにチューニングするためには相応の経験と知識は必要ですが、目に見えるものを交換、または調整するというシンプルなチューニングも、キャブレターならではの魅力なのです。 キャブレターのデメリット 独特のダイレクト感でインジェクションには無い魅力を持つキャブ車ですが、インジェクションと比べるとデメリットもあります。一番大きなデメリットは、外気温度や標高などでエンジンの調子が変化することです。 エンジンに大切な三要素のひとつである“混合気”は、燃料の量と空気中の空気量(酸素密度)で決まります。インジェクションであれば、空燃比センサーを使ってリアルタイムに検知することで燃料の噴射量を調整し、酸素濃度の変化に対応できます。しかし、キャブ車の場合は空気の流速で燃料を噴射するため、酸素密度が変化しても同じ量の燃料を噴射します。 つまり、気温の変化や標高の変化で酸素密度が変わっても、同じ量の燃料を噴射することになり空燃比が変化。エンジンにとって大切な“混合気”の空燃比が変わってしまうことで、朝一などでエンジンが掛かりにくいと言ったような症状の原因になることもあります。 暑い日も寒い日も旅行先の高地でも、常に気兼ねなくエンジンをかけ走ることを優先にした場合、やはりキャブレターよりもインジェクションの方が圧倒的に有利です。 時代の流れに乗ることができなかった「キャブ車」 現在クルマに対する考えは、「排気ガスをクリーンにし、地球の環境を守ること」「自動車の燃費性能を向上させること」「気温や高度に関係なくスムーズに運転ができること」などです。 各自動車メーカーは日々研究や開発を進め、排気ガスはクリーンで燃費が良く、いつでも快適に使えるクルマが販売されています。 また、近年は昭和や平成初期に比べかなり車好きが減っていることもあり、燃費は購入するときの重要な検討材料という方がほとんど。そんな今の時代には、セッティングや乗り味、スロットルレスポンスを楽しむキャブ車より、燃費が良くいつでも快適な電子制御インジェクションの方が喜ばれるのは当然です。 自動車メーカーにとっても、性能が出しやすく万人に好まれるインジェクターに移行するのは当たり前で、2003年の三菱 リベロカーゴを最後に、キャブレターを持つ新型車は消えていきました。 まとめ 日本でも2035年には、内燃機関を備えた自動車の新車販売が禁止される可能性が濃厚になってきました。今後の自動車開発は、インジェクションどころか、BEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド)などの電動車がメインになるのは確実です。 そうなると、ガゾリンエンジンを搭載しているクルマの価格は、今以上に高騰することが十分考えられます。当然、年式が古くなったキャブ車はさらなる高騰が考えられるため、キャブ車の購入を考えているなら、早めに購入することをおすすめします。 しかし、前述したように、キャブレターは気温や標高など、さまざまな条件に合わせたチューニングが欠かせません。 本気で購入を考えているのなら、キャブレターについて学び自分でメンテナンスをしながら乗るか、キャブ車に強いショップで相談しつつ、できれば現車確認はショップの方に同行してもらうのが良いでしょう。

日本の技術と経済成長を象徴する1台!常に最先端を走っていたクラウンの軌跡
旧車の魅力と知識2022.06.01

日本の技術と経済成長を象徴する1台!常に最先端を走っていたクラウンの軌跡

「いつかはクラウン」日本国民の所得が増え、暮らしが豊かになるなかでトヨタ クラウンは国民の目標でした。クラウンは、純国産にこだわって開発された初代から現代まで、常にトヨタの持つ先進技術を投入して開発されてきました。日本の自動車産業を世界レベルに押し上げた立役者と言っても良い、クラウンの軌跡を時代背景と共に振り返ります。 日本を代表する高級車の誕生:初代~5代目 戦後わずか10年で登場した純国産車クラウン。日産でさえアメリカから技術者を呼び寄せて自動車開発をしていた時代に、トヨタは独自開発の路線を取ります。外国車に引けを取らない先進性と信頼性をもったクラウンは、日本の自動車産業に対する世界の評価を変える原動力になりました。 日本の自動車産業を切り拓いた初代クラウン 初代クラウンとなるRS型の登場は、戦後10年を迎えた1955年。初代クラウン最大の特徴は、完全な純国産車である点です。当時の自動車開発は外国メーカーとの提携でおこなわれることが多かった中、クラウンはトヨタがすべての開発をおこないました。 高度経済成長を支えた日本の自動車産業は、クラウンから始まったともいえます。初代が販売された1955年以降のわずか5年間で、現代に通じる自動車の開発体制や量産体制を整えました。続く2代目では現在のクラウンの基本である高級路線に転じ、3代目では今では一般的となった白色のボディを押し出します。(当時は公用車が多くほとんどが黒色だった) さらに、4代目では丸みを帯びたスピンドルシェイプを採用。世界的な「美しさ」や「豊かさ」を求める流れを国産車に反映させました。そして、高度経済成長を遂げる1970年代末期となる1979年には「ロイヤルサルーン」を追加。日本の経済的成長に呼応するように、クラウンの高級路線化を明確にしたモデルになりました。 惜しみなく最新の技術を投入して開発される伝統 「日本初の技術はいつもクラウンから搭載される」という自負のもと、初代では半自動ATを搭載し、2代目では完全自動ATを搭載しいずれも日本初の技術でした。 さらに、日本初ではなかったものの3代目でパワーウィンドウ、4代目ではEFI(電子制御燃料噴射装置)や後輪ESC(横滑り防止装置)を搭載するなど、当時の先進技術を投入。そして、5代目では世界初となるオーバードライブ付4速ATを投入し、日本の国産車が世界に追いつき、そして追い越したモデルとなりました。 以降、クラウンには常に先進の技術が投入される伝統が根付き、現在のモデルでもこの伝統は継承されています。 日本の経済成長を象徴するモデルに成熟:6代目〜10代目 高級セダンとしての地位を確立したクラウンは、1980年代に入り国民のステイタスシンボルともいえる存在まで地位を高めます。時代背景を敏感に読み取り、常に先進技術を投入してきた開発ポリシーは健在で、一気に現代のクルマへと進化しました。 「いつかはクラウン」のコピーでステイタスシンボルに 5代目クラウンでさらなる高級路線を打ち出したクラウンは正統に進化します。 6代目ではパワーシートやクルーズコンピューターなど豪華装備を搭載。さらにターボやDOHCというハイパワーエンジンもラインナップされ、重厚なボディをゆうゆうと走らせました。 そして、7代目で登場するコピーによってクラウンは、ステイタスシンボルに押し上げられます。「いつかはクラウン」豊かになった証としてクラウンを手にするというイメージが醸成されました。 豪華になっただけではなくバブル終焉後も意欲的に開発された 6代目以降のクラウンはバブル景気を背景に、モデルを追うごとに豪華路線をたどります。 とくに8代目クラウンでは、電子制御エアサスペンションに日本初のトラクションコントロール、マルチビジョンに、後席液晶テレビと時代を反映したハイテク装備が目白押しでした。さらに3ナンバー専用ボディを投入し、4.0LのV8エンジンを搭載。豊かさを象徴するように大型化が進みます。 その後、バブル景気は終焉を迎えますが、クラウンの開発は止まりません。1991年発売の9代目にはさらに上級グレードとなる「マジェスタ」を追加し、世界最高レベルの静粛性を実現します。 さらに10代目では、世界的に高まっていた安全性能への意識を反映したモデルに進化。国内初となる車両安定制御システム(VSC)やブレーキアシストの採用、エアバックも標準装備にします。衝突安全ボディ「GOA」と呼ばれるフルモノコックボディも採用されました。 新時代の開拓を目指して開発された:11代目〜15代目 1950年代から続くクラウンの大きな転換点となったのが11代目クラウンでした。これまでの高年齢帯から、若年層をターゲットにするべく若返りが図られます。また、高性能化の一途をたどって開発されてきた自動車業界も、安全性や環境性能を重視する方向に大きく舵を切った時代でもありました。 若年層をターゲットに大きく方向転換 21世紀に入るとクラウンは大きな転換期を迎えます。これまではステイタスシンボルとしてある程度高い年齢層からの支持が中心でしたが、若年層にもしっかりとアピールをする方向に舵を切ります。 20世紀最後のクラウンとして投入された11代目クラウンから、若年層を意識したモデルに変化し、走行性能を高めたグレード「アスリート」が投入されます。 続く12代目では「ZERO CROWN」というコピーを使い、クラウンはゴールではなくスタートであることをアピール。新型のV6エンジンにシーケンシャルシフト付きの6速AT、減衰力制御付電子制御サスペンションを搭載するなど明確に走行性能を意識していたことが分かります。原点に立ち返り、クルマ本来の走行性能を追求することで若者世代への訴求をさらに強めました。 世界がクルマに求める要求を次々に反映 21世紀に入ると安全性や環境保護への意識が高まり、クルマにさまざまな性能が求められるようになります。常に先進技術を投入してきたクラウンも、世相を反映した多くの技術が投入されました。 12代目で初導入されたハイブリッドシステムは13代目でプリウスと同様の本格的ハイブリッドシステムになり、4代目では環境性能と走行性能を両立した新開発の2.5Lハイブリッドシステムへと進化します。安全性能でも13代目には世界初となるドライバーモニター付プリクラッシュセーフティシステム、14代目ではインテリジェントクリアランスソナーを装備するなど常に先進の技術が投入されました。 そして、2018年から販売されている15代目クラウンはスポーティモデルへと舵を切ったクラウンの集大成とも言えるモデルとなります。 3.5Lハイブリッドモデルでは、システム最高出力は359psに到達。そのハイパワーを支える足回りやボディも強化されています。フロントサスペンションは、初代から14代目まで受け継がれてきたダブルウィッシュボーン式に変えて、ハイマウント式のマルチリンクサスペンション採用。ボディ剛性やステアリング剛性の強化もおこない、ハンドリング性能と乗り心地の向上が図られています。 まとめ トヨタ クラウンはトヨタにとってのみならず、日本人にとって特別なクルマです。戦後わずか10年で、しかも当時の先進技術を盛り込み、純国産で高性能車の開発に成功したトヨタの技術力とこだわりは、日本の産業が世界と戦えることを示しました。 初代発売から65年以上もの長きに渡り、常に最先端の技術を取り入れきたクラウン。つい最近発表された現行モデルの受注終了によって新モデルへの期待感が高まっています。(2022年5月現在) 次のモデルはどんな技術とコンセプトで世界を驚かせてくれるのか、今から楽しみで仕方ありません。

全塗装をすると査定が下がる?!全塗装のメリットとデメリット
旧車の売買と鑑定市場2022.05.20

全塗装をすると査定が下がる?!全塗装のメリットとデメリット

見る角度や光の加減によって色が変わるマジョーラカラーなど個性的な色のクルマはつい振り返ってみてしまいます。愛車を個性的な色にしたい。色褪せてきた愛車のボディを復活させたい。全塗装をしたいユーザーは以前よりは増えてきました。今回は、全塗装の費用感やメリット、デメリットについて詳しく紹介します。 全塗装の料金は色や工程によって違う 愛車を好みの色に変える全塗装(オールペン)。クルマ好きなら1度はあこがれるカスタマイズの1つです。 しかし、全塗装の料金をみると、なかには軽自動車が購入できそうな金額を提示しているところもあり躊躇してしまうかもしれません。まずは、全塗装の料金相場と料金の内容について詳しく見ていきましょう。 全塗装の料金相場 全塗装の料金は、まず塗装色による違いが大きく、一般的には20〜50万円前後です。塗装色による違いをもう少し詳しく説明すると、ソリッドカラー、メタリック、パールなど、選択する色によって塗料の積層数が変わってきます。 たとえば、クリア塗装の必要のない単純な白や赤といったソリッドカラーの積層数は1層ですが、パール塗装の場合は色の層、パール素材の層、クリアと3層以上の塗装が必要です。 積層数が多くなれば、それだけ手間と塗料が増えるので費用は高くなります。また、元の塗装色と違う色にする場合も、下地処理の手間が増える分、費用が価格が高くなりがちです。 仕上がりはどの程度分解するかで違ってくる ボンネットやトランクの裏側、ドアの内側などもボディと同じ色で塗装されているように、純正の塗装は、ボディ外側だけではなくフレームから塗装されています。 全塗装する場合、ドアやバンパー、ボンネットなどをどの程度まで分解して塗装するかにより、仕上がりの印象が大きく違ってきます。しかし、細かく分解して塗装をすればするほど仕上がりもよくなりますが、内装全てやエンジンに至るまで全ての部品を外してフレームまで塗装をするのは現実的ではなく、費用と時間がかなりかかります。 とくに元の色と違う色に塗装をする際には、どの範囲まで塗装をするのか事前に検討しましょう。 全塗装のメリット 好きな色、美しい塗装面の車には、自然と愛着が湧くもの。全塗装のメリットは何にも代え難い満足感です。 思い入れのあるクルマを純正色で再塗装すれば、新車を購入した際の感動が蘇ります。また、ほかにはない個性的な色に挑戦できるのも、全塗装のメリットです。 劣化した塗装をリフレッシュして新車同様にできる 全塗装というと、純正と異なる好みの色に塗り替えることをイメージしがちですが、純正と同じ色に再度全塗装をすることで、新車時同様の鮮やかな色合いと艶感が復活します。 堅牢な純正の塗装でも、紫外線や酸性雨などの影響でどうしても経年劣化は避けられません。日々見ていると見慣れてしまいますが、新車と比べると違いは一目瞭然です。 また、元と同じ色への塗装であればどの箇所も同色なので、あまり多くのパーツを外すことなく塗装できます。 好きな色でクルマへの思い入れが増す 全塗装最大の魅力は好きな色にできること。中古車で思った色のクルマが入手できなかった場合でも好みの色にできますし、純正に設定のない色に塗装すれば個性を表現できます。 クルマを所有するうえで、ボディカラーは満足度において重要です。好みの色で全塗装をすれば、それだけ愛着を持てるようになります。 全塗装のデメリット 全塗装をするうえで最大のデメリットは、買い取り価格が減額される可能性があることです。オリジナルからの変更ということでカスタムカー扱いになり、色によっては買い取りできない場合もあります。次のクルマの購入資金とするため、少しでも高額でクルマを売りたい場合には全塗装はおすすめしません。 また、全塗装は依頼する工場の実力差が出やすいため、仕上がりや耐久性がイマイチといったこともあります。全塗装をする場合は、事前に十分情報収集をして依頼しましょう。 全塗装をすると査定が下がる場合がある もとと同色の純正色に全塗装をした場合は、査定に影響しないことやむしろ買い取り価格があがる場合もあります。しかし、全塗装をした費用を回収できるほど査定が上がることはほとんどありません。さらに、塗装の質によっては同色への全塗装でも査定が下がる場合もあります。 また、純正から色変更をおこなった場合はカスタムカー扱いになり、価格が下がるどころか色や仕上がりによっては買い取りをしてもらえないことも少なくありません。最終的にクルマを高額で売りたい場合、全塗装を避けたほうが無難です。 塗装の品質に注意 クルマの塗装は職人の腕の差がそのまま出てしまう作業の1つ。下地処理、下塗り、本塗装と後処理のほとんどは手作業のため、依頼先の実績などをよく確認して依頼しましょう。 価格が高ければ高品質というわけではありませんが、全塗装の仕上がりには1つ1つの工程をどれだけ丁寧におこなうかということが重要。かけた時間と手間の分だけ高額になるのが普通で、あまりに価格の安い工場には注意が必要です。 まとめ 全塗装は万人におすすめできるものではありません。しかし、価格やデメリットを理解しているなら、思い切って好みの色に全塗装をすることで、より愛着をもってクルマに乗り続けられます。 全塗装をしたいけれど、デメリットを考えると迷ってしまうかたにはラッピングという手法もおすすめです。 簡単にいうとクルマにフィルム状のシールを貼ることで色を変えることができ、あとから元に戻すこともできます。ただし、施工費用は全塗装とほぼ変わらない金額でありながら、耐用年数が5年ほどと全塗装の半分程度なのでコスパはあまりよくありません。 全塗装をする際は、今乗っているクルマを中古車としてなるべく高く売りたいのか、それとも今よりももっと満足感を持って長く乗り続けたいのかを十分検討することが大切です。  

空冷よりもポルシェらしい!?初の水冷エンジンを搭載した996型ポルシェ911
旧車の魅力と知識2022.05.11

空冷よりもポルシェらしい!?初の水冷エンジンを搭載した996型ポルシェ911

ポルシェ911初となる水冷エンジンを搭載した996型ポルシェ911。自然吸気エンジンとしてシリーズで初めて300psを突破したにもかかわらず、発売当時はユーザーから不評だった不遇のモデルでもあります。 しかし、高いポテンシャルとポルシェ開発陣のこだわりが詰まったモデルであることが見直され、ポルシェ人気の高まりとともに再評価。ポルシェ911シリーズのなかではお買い得感のある996型ポルシェ911の魅力と実力を、ぜひチェックしてみてください。 初のフルモデルチェンジと初の水冷エンジン 996型ポルシェは、5代目911として1997年に登場。ポルシェ911が登場して以来、全面的に新設計された初のフルモデルチェンジでした。また、ポルシェ911初となる水冷エンジンは、当時のシリーズ最高出力にまで高性能化されています。 一方で、コストカットの目的で格下モデルである986型ボクスターと部品が共用され、ユーザーの不評を買いました。しかし、ボディ剛性や空力性能などを詳しく見ていくと、エンジン性能以外もポルシェ911の名に恥じない完成度となっています。 シリーズ初の水冷エンジンは300psを発生 996型ポルシェのもっとも大きな変更点は、水冷エンジンの採用です。空冷エンジンはポルシェ911のアイデンティティの1つでしたが、欧州をはじめ世界的に環境基準が厳しくなったことに対応するため初めて水冷化されました。 新開発のエンジンは、ただ水冷化して環境性能に対応しただけではありません。3.4L水冷6気筒DOHCエンジンは、自然吸気モデルのポルシェ911として初めて300psを発生。小排気量化して環境性能に対応しつつ、ポルシェエンジンにふさわしいスペックに仕上げられています。 クランクケースやシリンダーヘッドを刷新し、圧縮比を11.3まで引き上げました。さらに可変バルブ機構(バリオカム)と吸気管切り替え機構(バリオラム)を採用するなど、徹底的に性能を追求したエンジンです。 ボクスターと共用部品は多くても性能はアップ 996型で最も不評だったのは、986型ボクスターと共用パーツが数多く使用されていたことです。ヘッドライトやフロントフェンダー、バンパーなど車両前方部分を中心に多くのパーツが共有化されていました。 しかし、実はシャシーも含めて一新された996型ポルシェ911は、大幅にボディ性能も向上しています。各種補強でボディ剛性を高めたにもかかわらず、車両総重量は50kgも軽量化。(初期モデル 2輪駆動モデル同士の比較) さらに、フロントウインドシールドを寝かせることで空気抵抗を示すCd値は0.3となり、先代から10%も改善しました。(993は0.33)また、足回りもフロントこそ986型ボクスターと共通ですが、リアは完全に新設計のマルチリンク式サスペンションが装備されています。 評価が高まりつつある今狙い目の996型 伝統の空冷を捨てたうえ、格下のボクスターとの部品共用によって発売当時は評価が低かった996型ポルシェ911。しかし、月日を経ることで評価は見直され、もともともっていた高いポテンシャルとあわせて今人気が高まっています。 空冷ポルシェ911以上にポルシェらしい996型は、実は開発陣がこだわり抜いて仕上げたモデルでした。 問題の涙目ヘッドライトも再評価 ボクスターとの部品共用でもっとも不評を買ったのが、「涙目」と呼ばれるヘッドライトです。ヘッドライトはクルマの印象を決定する部分だけに、格下のボクスターと同じという点は大きなマイナスポイントでした。 しかし、発売から20年以上が経過し、現在では当時と評価が変わってきています。1990年代に生み出されたスポーツカーが持つ独特の高揚感は、「ヤングタイマー・クラシック」とも呼ばれて独自の個性として再評価されるようになりました。 ポルシェらしさを追求した996 エンジンの水冷化に際して、「ポルシェらしさが失われた」と批判されることが大きな懸念でした。そこで、ポルシェ開発陣は、徹底的にポルシェらしさにこだわります。 「ポルシェを着る」とも評されるほどに一体感のあるドライブフィールと、往年のレーシングポルシェを連想させる甲高いエキゾーストノート。いまでは、空冷最終モデルとなった993よりもポルシェらしいという意見も少なくありません。 まとめ 996型ポルシェ911は発売当時に不評だったことで、高騰している911のなかでもまだ比較的手頃な価格で入手できます。状態にもよりますが中古車価格は、400〜500万円前後です。 また、価格の高騰は買取価格に徐々に反映されつつあり、旧車王での買取事例をみるとカレラ4Sで410万円もの価格がついたものもありました。 996型ポルシェ911を購入する際は1点注意点があります。通称「インタミ問題」と呼ばれるトラブルです。 インターミディエイトシャフトとは、簡単に言えばクランクシャフトの回転を、左右のカムシャフトに伝える部品のひとつ。走行中に破損すると、最悪の場合走行不能になるばかりか、エンジンの大掛かりな修理が必要になってしまいます。ポルシェが無料点検・交換プログラムもおこなっていたので、インターミディエイトシャフト破損に対する修理や対策がおこなわれている車両を選びましょう。 ※価格は2022年4月現在

一般市場だけじゃなくレースでも無敵!日本の大衆車市場を切り開いた日産 サニー
旧車の魅力と知識2022.05.09

一般市場だけじゃなくレースでも無敵!日本の大衆車市場を切り開いた日産 サニー

日本を代表する大衆車として時代を切り開いた日産 サニー。また、ただの大衆車におさまらず、レースシーンでの長期に渡る活躍や派生モデルがサニトラという愛称で大人気となるなど、日本の自動車史を語るうえで外せない大名跡です。日産開発陣の粘りによって誕生した名車、サニーの歴史を振り返ります。 40年近くも続いたロングラン大衆車 サニーは1966年から2004年まで、実に38年にも渡って販売された日本を代表する大衆車です。高度成長期に高まった大衆のマイカー需要に応え、日本の大衆車市場を牽引しました。 コンパクトなボディとエンジンで大ヒットとなった日産 サニーの開発背景を詳しくご紹介します。 トヨタ カローラと大衆車の双璧をなしたサニー 日産 サニー(4代目まではダットサン)の初代登場は、50年以上前となる1966年でトヨタ カローラの登場と同じ年でした。800万通以上の公募のなかから選ばれた車名とともに、大衆の心をしっかりと掴んで爆発的ヒット。ライバルであるトヨタ カローラと大衆車の双璧を成す存在でした。 実は開発陣が半ば無理やりリリースした 1,000ccクラスだったブルーバードが1,200cc以上のクラスに主力を移したことで、同クラスが空席でした。しかし、経営陣はブルーバードとの同志討ちを懸念し、開発には消極的。商用車開発という名目で開発陣がなんとか説き伏せ、サニーの開発に漕ぎ着けたという逸話が残っています。 高度成長期だった1960年代後半は、大衆が徐々にマイカーを手にし始めていた時代。空席となっていた1,000ccのエントリークラスを埋めたことで、時代背景を追い風にサニーは成功を手にします。 その後38年も続く日本を代表する大衆車は、当時の開発陣の粘りがなければ登場していなかったかもしれません。 初代に搭載されたA型エンジンは30年も使用された 初代サニーに搭載されたエンジンは、新開発の直4OHVの1,000cc A10型エンジン。小型で実用的なA型エンジンは、その後30年にも渡って生産され続けます。 また、小型車向けのエンジンとして経済性に優れていただけではなく、低回転から高回転まで軽快にまわる特性のよさから、チューニングエンジンとしてのポテンシャルが高かったのも特徴。シンプルな構造かつ軽量で、低重心だった点も評価されました。 エンジンのポテンシャルの高さは、モータースポーツの舞台で証明されます。OHVエンジンながら10,000rpmで175psという驚異的なポテンシャルを発揮し、「サニーのライバルはサニー」といわれるほど、国内のツーリングカーレースを席巻。とくに2代目となるB110型サニーは、1970年から1980年代初頭までの長きに渡って多くのチューナーやプライベーターからの支持を集めます。また、全日本FJ1300選手権など、フォーミュラカーの世界でも一大勢力を築きあげました。 日産 サニー歴代全9モデルを紹介 38年間もの間製造された日産 サニーは、トヨタ カローラを強く意識し合計9モデルをリリース。サニーのモデル変遷を追いかけると、日本の自動車業界の発展も見えてきます。 初代B10型系(1966-1970) サニーは初代をはじめ、4代目まではダットサン名義で販売されました。当時のクルマとしては珍しく、登場前年からティザーキャンペーンを展開。コンパクトで経済的という大衆車の市場を切り開いたモデルです。 2代目B110型系(1970-1973) 2代目となるB110型は、サニーの地位を確立したモデルです。エンジンは初代サニーから200ccアップの1,200ccA12型エンジンを搭載。1,000ccエンジンで販売を続けていたトヨタ カローラに対し、「隣のクルマが小さく見えます」という挑発的なコピーを展開したことでも有名です。 モータースポーツシーンでも多くの実績を残し、生産終了後もレースシーンでその地位を保ち続けました。エンジンだけではなく、空気抵抗が少なく軽量で高い運動性を発揮していたことも高く評価されています。 また、「サニトラ」の愛称で親しまれているピックアップトラック(B120型)は、国内向けが1994年。海外向けにいたっては。2008年まで同型(マイナーチェンジは実施)で販売され続けます。 3代目B210型系(1973-1977) 3代目のB210型の大きな変更はデザインです。曲線を多用したデザインは、北米市場を強く意識。ボディバリエーションは、先代以前と変わらず2ドアセダン、4ドアセダン、クーペの3タイプが用意されます。ただし、先代の評価があまりに高かったこともあり、大型化したことはユーザーの不満につながりました。 4代目B310型系(1977-1981) 4代目サニーは、3代目の不評から再びボディラインが直線的なものに変更されます。1979年に追加されたサニーカリフォルニアは、ボディサイドのウッドパネルが特徴的で、現代のステーションワゴンの元祖ともいえるモデルです。 4代目サニーは、ダットサン名義のサニーとしては最後のモデルとなり、ファンの間では「ラストダット」とも呼ばれています。 5代目B11型系(1981-1985) サニーは、5代目にして大きな転換点を向かいます。1つは日産名義になったこと、もう1つは駆動方式がFFに変更された点です。ライバルのカローラより2年先んじての変更で、技術力が必要なもののスペース効率に優れたFFレイアウトは、小型大衆車にとって大きなメリットになりました。 6代目B12型系(1985-1990) 6代目サニーは、「トラッド・サニー」の愛称で親しまれたモデルです。サニー初となる4WDの追加やDOHCエンジンの投入など、やや高年齢化していたユーザー層の若返りに成功しました。 7代目B13型系(1990-1994) バブル期に登場したB13型系サニーはガソリンエンジンをすべてDOHC化し、一気に現代のクルマへと進化。また、カローラにはなかった1,800ccエンジンを投入し、初代登場から常にカローラを意識していたことがうかがえます。1,800ccエンジンを搭載する4WDモデルは、国内ラリーやダートトライアルでも活躍しました。 8代目B14型系(1994-1998) 8代目サニーとなるB14型は、「クラスを超えた機能の実現」を目指して開発されました。先代でいったんサニーのラインナップからはずれた2ドアクーペを「サニー・ルキノ」として復活させるなど、再度ユーザーの若返りを図ったモデルです。 9代目B15型系(1998-2004) サニーとして最後のモデルとなる9代目B15型サニーは、意欲的なモデルでした。「新・世界基準セダン Sunny」というコンセプトのもと、燃費向上や排ガスの有害物質を低減した仕様のモデルをラインナップ。さらに、可変バルブタイミング機構を備えた、サニー史上最強スペックのSR16VE型エンジンを搭載するスポーツグレードも設定されました。 まとめ 発売期間が長く、9代ものモデルチェンジをしたサニーの中古車動向は、モデルによって大きく異なります。ただ、最終型の販売終了から、すでに20年近くが経過しているので、全体として台数は少なくなる傾向。大手中古車情報サイトでも登録台数は60台ほどでした。とくに、1966年発売の初代や人気の2代目B110型系は、ほとんど市場に出回っていません。 発売当時はユーザーからは不評だったB210型モデルで、300〜400万円ほどが中心価格帯。一方で最終型となるB15型は市場での販売台数も一定数あり、50~100万円ほどで取り引きされています。 ※価格は2022年4月現在

シビックはtypeRだけじゃない!EG6シビックSiRの底力!
旧車の魅力と知識2022.05.02

シビックはtypeRだけじゃない!EG6シビックSiRの底力!

シビックのスポーツグレードとして、すっかりお馴染みの「typeR」。赤いヘッドカバーにチューニングが施されたエンジンやサスペンションなど、中でもVTEC機構は国内から海外まで多くのファンを魅了しています。 しかし、実はtypeRじゃないのにツウなファンが好むシビックが存在します。それがEG6シビックSiRです。今回はEK9シビックの先代、typeRを先駆けともなったEG6シビックSiRについてご紹介します。 EG6シビックの歴史 EG6シビックは1991年に登場し、シビックとして2度目の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています。 ボディタイプは「3ドアハッチバック」、「4ドアセダン」「2ドアクーペ」の3種類。2ドアクーペは日本では生産されておらず、「ホンダ・オブ・アメリカ」で生産され、1993年に日本に輸入されました。 グレードは6種類あり、その内VTEC仕様が3種類。「ETi」は新開発のVTECである「VTEC-E」という低燃費志向のエンジン。「VTi」はSOHCで吸気のみ可変するVTEC。そして、SiRはDOHCの吸気と排気が両方可変するVTECとなっています。 このSiRこそ、当時のJTC(全日本ツーリングカー選手権)でライバルのトヨタ・カローラに勝つために開発されたスポーツグレードなのです。 格上車とも戦える!軽量・高出力・旋回能力の高さ EG6シビック(SiR)のB16A型は、最高出力が170ps/7,800rpmというハイパワーエンジンで、足回りには4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションを採用。車両重量はパワステなどの快適装備がないSiRで「1,040kg」、快適装備付きのSiRⅡで「1,050kg」という当時の1,600ccクラスでは軽量な上にパワーも別格だった為、格上車とも同等に戦えるスペックを有していました。 ここからは、エンジン、重量、サスペンションについて細かく紹介していきます。 クラス最強レベルの高回転ハイパワーエンジンと軽量ボディ B16A型エンジンのスペックは、排気量1,595cc、最高出力125kw(170ps)/7,800rpm、最大トルク156.9N.m(16.0kgf.m)/7,300rpmとなっています。 他の1,600ccクラスと比べれば一目瞭然で、当時のJTCで活躍していたライバルでもあるAE101カローラ GT APEXの4A-GEは、排気量1,587cc、最高出力118Kw(160ps)/7,400rpm、最大トルク161.8N.m(16.5kgf.m)/5,200rpmというエンジンスペック。 最大トルクではやや劣っていますが、カローラの車両重量は「1,140kg」。シビックSiRの車両重量は「1,040kg」と100kg程シビックの方が軽量です。ウエイトレシオで見るとシビックの方がハイスペックで当時の1,600ccクラスで考えるとなかなかのモンスターマシンだと言うことがわかると思います。 先代から改良され進化した4輪ダブルウィッシュボーン EG6シビックの4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションは、先代のEF9から採用されていました。しかし、EF9では贅沢な方式を採用したにも関わらず、サスペンションのストロークが不足。高いスピードで大きな段差を踏むと姿勢を崩す、コーナリング中のインリフトなど、リアのグリップ力が低下することが多くありました。 一方、EG6ではストロークを多くとり、ホイールベースを延長したことにより、路面追従性を大幅に向上させ、コーナリング中の段差などにも対応させました。この改良により、ライバルであるカローラのスーパーストラットサスペンションにも引けを取らないコーナリング性能を実現します。 現在主流となっているトーションビーム(車軸懸架式)に比べ、部品数が多く高コストで重量も増えます。ですが、剛性の高さや安定性、さらに細かなセッティングなどが可能で、JTCに勝つために開発されたEG6にはダブルウィッシュボーンが採用されました。 シビックEG6の中古車&買取相場 旧車王で確認してみると、SiRⅡの最低買取額「50万円」(2020年買取、走行距離20万km)で、最高買取額「200万円」(2021年買取、走行距離9万km)。車体の状態で変動するため、大体「50万円〜200万円」で、年式を考えればかなり高額であることが分かります。 続いて、シビックEG6の中古車市場は、SiRⅡが多くフルノーマルの個体はほとんどありません。現在(2022年4月)の中古販売車両を調べると、150万円〜400万円で販売されています。こちらも車両の状態で価格が変動しますが、やはり程度が良いほど高額で売買されているため、本気で購入を考えているのであれば300万円以上の予算を用意しておくと安心です。 まとめ シビックEG6は、後継車のEK9や現行型のFK8などのtypeRと比べると、やや目立たない存在です。しかし、EG6の軽量な車重や4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションなど、もともと持っている戦闘力はかなり高め。ややハード目に固めた足で、高回転エンジンを回しきる快感は、ダウンサイジングターボや電動化が主流となってしまった最新車種では味わえない感覚です。 当時のJTCに勝つという想いがこもったホンダの最高傑作は、ツウなファンが多く存在し、今後の中古相場も高騰することが予想されます。気になる方は是非今のうちに所有して、当時のホンダのレース魂を感じてみてはいかかでしょうか。

AT車をMT車にスワップ!費用の目安と後悔しない為の注意点とは
旧車の魅力と知識2022.04.27

AT車をMT車にスワップ!費用の目安と後悔しない為の注意点とは

AT車は楽チンだけど、運転を楽しむなら断然MT!という車好きの方も多いはず。しかも、現在中古で売られているスポーツカーの相場を見ると、MT車の価格は年々高騰。 AT車を買ってミッションをMTに交換する方が安くなるのでは?と考える方も少なくないかもしれません。今回はそういった方達の為にスワップに掛かる費用の目安や注意点を説明します。 昔は安かったはずのMT車が高騰している理由は? MT車のシフト操作は、車好きにとってこの上なく楽しいもの。発進からシフトアップ、ダウンなど、ダイレクトに車を動かす感覚は、MT車ならではの醍醐味です。運転好きならば、やはりMT車を購入したくなるものですが、新車で販売されているMT車は少なくなり、中古車の価格も高騰し続けています。 その理由は単純で、流通している車体の数が少ないから。ATの性能は年々進化し、いまやスーパーカーはATの設定しかありません。一般的な車でもMTを購入するのは根っからの車好きで、ごく一部のスポーツモデルを除き新車で販売される車のほとんどがATなのです。 新車で販売されるMT車か減れば、当然時を追うごとに市場に出回るMT車の台数は減っていきます。しかし、スポーツカー好きやMT車好きは多く、一定の需要は維持していることから、供給量(流通量)とのバランスが取れず価格が高騰している状況です。 ベース車両によって費用は大きく異なる MT車が買えないのであれば、ATを乗せ換えてしまえばいい!となりますが、実際に載せ替えるとなるとどの程度の費用が必要なのかについてご紹介します。 乗せ換えの情報が多い車種の場合、費用は部品代などを含めて大体「50~80万円」前後で可能です。ただし、それはあくまで最小の費用感であり、乗せ換えをする車両によって制作費用(工賃)は大きく変わってきます。 費用が変わる理由は、車種によって必要な作業が増えるから。費用の違いに大きく関わるのは、1. ATの設定しかない車体に別車種のミッションを流用して乗せ換える場合2. ECUの書き換えor交換が必要な場合3.新型車で情報が少ない場合が挙げられます。 1.の場合は、フロアパネルの加工やプロペラシャフトの交換など、動力伝達装置の加工が必要になってくる場合が多く、2.のECU書き換えor交換も必要になってくるため総額で「150万円」くらい、もしくはそれ以上掛かる場合もあります。2.の場合は、コンピューター制御が多い最近の車両に多いパターン。この場合は乗せ換え代+ECU書き換え工賃で考えて「100〜120万円」程度で考えておきましょう。3.の場合の新型車は、流用できるミッションを調べたりするところから始まり、乗せ換えも一筋縄ではいかないことがあるので費用の想定が難しく、かなり高額になることを覚悟しなければなりません。 このように、一概に「ATからMTへの載せ替えはこの位」と言い切れないのは、どんな車種をベースにするかによって、必要な部品点数と作業の手間が大きく異なるためです。 部品が手に入らない場合は費用も手間もさらに掛かる 乗せ換えに使用する部品を中古で我慢すれば、部品代を抑えることができます。しかし、乗せ換え後すぐに故障してしまうと余計に修理代が掛かることもあるため、可能ならば新品部品かリビルト部品を使用するのがおすすめです。 ところが、古い車になると新品部品もリビルト部品も販売されていない、または部品自体が少ないため高値で販売されていることも少なくありません。この場合、多少費用は掛かりますが、中古のミッションを購入後、ショップでオーバーホールしてもらって乗せ換えをすれば、すぐに壊れるといった不安は解消できます。 また、中古部品が出回っていない場合は、業者でイチから部品を制作してもらう「ワンオフ」も選択肢のひとつ。ただ、かなり高額になるため部品を所有している人を見つけるか、中古が出てくるまで気長に待つしかありません。 もし、ショップで部品がないと言われた場合、他のショップや解体屋さんを巡ってみると、在庫として所有している場合もあるので1店舗で諦めず複数店回ってみましょう。 AT→MTは構造変更が必須 構造変更とは、車の寸法や構造を大きく変更する際に行わなければならない手続きです。構造変更の範囲は、原動機(エンジン)の型式変更、ブレーキ方式の変更、車体の寸法など多岐に渡ります。 通常では車検に通らないような改造をしてしまった場合でも、保安基準に適合するかを検査し、合格すれば「公認車」として堂々と走ることが可能。もちろん、改造した部分に不具合や損傷などがなければ、その後の車検も問題なく合格できます。 もし、構造変更の手続きをしなかった場合は、違法改造車扱いになり「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が課せられるため、公道で運転してはいけません。構造変更の手順は、運輸支局に車検証や改造した部品の車検対応証明書、強度計算書などの書類とともに構造変更届を提出します。 晴れて書類審査に合格したら、約1週間後に車両を車検場に持ち込み検査を受けます。すべての検査に合格すると「公認車検車」として認められ、構造変更は完了です。個人で手続きするのは手間が掛るだけでなく、専門的で高度な知識が必要なため、手数料を払ってでも乗せ換えをやってもらったショップにお願いした方がいいでしょう。 まとめ ATからMTへの載せ替えは、手間と費用がかなり掛かります。それでもATからMTに載せ替えたい方は、部品調達から構造変更まですべてを行ってくれるショップに依頼することをおすすめします。また、ショップに依頼する際は載せ替え費用だけで決めるのではなく、さまざまな車種の載せ替えを数多くやってきた豊富な実績を持つショップに依頼することも重要です。 そして、ATの中古車を購入してMT化する場合は、その車種の載せ替えに掛かる費用をあらかじめショップに相談し、MTの中古車の価格と比較するようにましょう。

「鉄仮面」ことR30スカイラインとは?日産の技術力が光る名車の歴史を解説
旧車の魅力と知識2022.04.20

「鉄仮面」ことR30スカイラインとは?日産の技術力が光る名車の歴史を解説

「鉄仮面」の愛称で今もファンから根強い支持を集めるR30型スカイライン。日産の誇る高い技術力を投入して進化をし続けた結果登場したのが、R30後期型となる「鉄仮面」でした。特徴的なグリルレスデザインに、インタークーラーを備えた高出力ターボエンジンを搭載したR30型スカイライン「鉄仮面」の魅力をご紹介します。 排ガス規制など厳しい時代背景に一発回答したR30型スカイライン 6代目スカイラインとなるR30型スカイラインは、先代スカイラインが埋められなかった動力性能と環境性能のギャップを見事に埋めたモデルです。1970年代後半に一気に高まった環境意識は、高度経済成長を追い風に各メーカーが性能の向上を競っていたなかで突如押し寄せた逆風でした。 スーパーカーブームの名残からユーザーが求めるスカイラインに対する期待と、時代が求める環境性能を両立させたR30型スカイラインを振り返ります。 GT-Rの設定はなかったR30型スカイライン R30型スカイラインが発売された1981年は、石油危機や円相場の急騰などネガティブな要素がいくつも重なったことで高度経済成長期後の日本に暗い影を落とした時代。さらに、大気汚染が問題となり、排ガス規制が一層厳しくなっていきます。 先代となるC210型では、排ガス規制に対応したハイパフォーマンスモデルを作れなかったこともあり、GT-Rの設定はなし。R30型もその流れを引き継き、GT-Rの設定はありませんでした。 ユーザーの期待を裏切らない技術の日産 GT-Rの設定はありませんでしたが、R30型は登場直後に新開発のハイパワーエンジンが投入されます。 直列4気筒DOHCで4バルブを備えたFJ20E型エンジンは、排ガス規制をクリアしつつ150psを発生。GT-R伝統の6気筒ではなかったものの、スカイラインに対するユーザーの期待に日産が技術で応えた形です。 「2000RS」と名付けられたFJ20E 型モデルはその後も進化を続け、1983年にターボモデルの「2000ターボRS」を追加。さらに大幅なマイナーチェンジを経た後期モデルでは、空冷インタクーラーターボを搭載した「2000ターボインタークーラーRS/RS-X」が登場します。 後期モデルのみを「鉄仮面」と呼ぶ スカイラインにつけられる愛称は基本的に1世代につき1つの愛称(愛称自体が複数ある場合もある)ですが、R30型スカイラインは前後期で異なる愛称で呼ばれています。 前期型はCMに俳優のポール・ニューマンが起用されていたことから「ニューマンスカイライン」。そして、後期型は特徴的な外見から「鉄仮面」と呼ばれています。 先鋭的なデザインに加えて国産車で初めて壁を破った「鉄仮面」 登場後も惜しみなく技術を投入し進化をさせ続けたR30型スカイライン。実際に1983年に実施されたマイナーチェンジ前後では、見た目も性能も大きく異なります。 「鉄仮面」という愛称で呼ばれたマイナーチェンジ後のR30型スカイラインは、日産の技術力と意地を感じるモデルです。 グリルレスという先鋭的なデザイン R30型スカイライン後期型最大の特徴はフロント部分のデザイン変更です。ラジエーターグリルレスに薄型のヘッドライト、大型の前後バンパーと前期型から大幅に意匠を変更。とくにスカイライン伝統のフロントグリルを廃した先鋭的なデザインは「鉄仮面」の愛称の由来になりました。 グリルレスに加えて薄型のヘッドライトという当時としては斬新なデザインは、のちのR32型スカイラインにもつながるデザインです。 また、ランバーサポート・パワーステアリング・パワーウインド・カセットコンポを装備した豪華仕様の「2000ターボRS-X」も追加投入。当時の最新かつ豪華な装備を搭載しているあたり、いかに日産がスカイラインという車種を大事にしていたかが分かります。 リッターあたり100psの壁を国産車で初めて破った スカイラインに求める高い動力性能を実現したFJ20E型エンジンは、前期型の販売終了間際にはターボを搭載してFJ20ET型に進化。最高出力は190psまで高められ、「史上最強のスカイライン」と呼ばれました。 そして、後期型登場から半年後には、空冷インタークーラーを装備し205ps到達。2Lエンジンで200ps以上を発生し、ついに国産で初めて1Lあたり100psの壁を打ち破ったのです。 6気筒エンジンでなかったため、「GT-R」の称号は与えられませんでした。しかし、後期型の「2000ターボインタークーラーRS/RS-X」は、ユーザーがスカイラインに求める性能を十分に満足させるモデルでした。 まとめ 1リッターあたり100psを達成したR30型スカイライン後期となる「鉄仮面」は、性能の高さとデザインから現在でも人気車種です。 大手中古車情報サイトを見ると、400万円台後半から500万円台後半の車が複数あります。(2022年4月原稿執筆時) 旧車王での買取価格も「2000ターボRS」で350万円を上限とした買取価格がつくなど、高値で取り引きされていて、不動車でも80万円もの価格がつく事例もあります。 発売から既に40年以上が経過、市場に出回る台数も年々減少していくことは確実です。現在所有している方も、今後あわよくば購入したいと思っている方も、今後さらに高騰する可能性もあるため、鉄仮面の市場価格から目が離せません。 ※価格は2022年4月現在

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